勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年01月

    a0005_000144_m
       


    中国政府は、日々悪化する経済情勢に音をあげたようである。30日からの米中貿易協議で、中国が構造改革行程表を提示する可能性が出てきた。ここで、米中協議が決裂したら、中国にとって大変な事態が待っているからだ。

     

    協議が決裂して、米国から2000億ドルの関税が、3月2日以降に25%(現在10%)へ引上げられれば、中国経済は大混乱必至だ。失業者が急増して社会不安を引き起こす。習近平政権を守るためにも、米国と合意せざるを得ない事情を抱えている。

     

    すでに、私のブログで取り上げたように、中国の金融危機は本格化している。銀行資本が不良債権で棄捐しており、補強しなければならない状況だ。中国人民銀行は、その手段として永久債発行を意図したものの、民間では不人気ゆえに発行しても応募見通しが暗かった。永久債の妥当利回りは、4.5~5.2%の範囲と見られていたからだ。

     

    これでは、消化が困難視された。そこで、緊急を要する事態のために、中国人民銀行が全額引き受ける「特融」形態になった。かつての日本が、バブル崩壊後に行なった「日銀特融」の中国版である。中国は大言壮語してきたが、ついにここまで落ちぶれたのだ。こうした事態を受けて、中国が貿易戦争を戦う意欲を失ったことは否めない。

     

    さらに、次のような暗い材料が中国を圧迫している。

     

    昨年夏、成立した19年度米国防権限法で、米政府との取引禁止を名指しされたファーウェイや中興通訊(ZTE)など中国企業5社が、「海外金融機関との取引が事実上、難しくなる」との見方が出てきたことだ。こうなると、中国企業は生命線を絶たれるのも同然となる。これ以上、米国のご機嫌を損じてはならないギリギリの線に追い込まれた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月29日付)は、「30日から米中閣僚協議、中国工程表提示へ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米中両国は3031日、貿易問題を議論する閣僚級協議を開く。米中交渉筋によると、中国側はエネルギーや農産品など12分野の輸入拡大策を提示済みで、次回は新たに知的財産権の保護など構造改革の工程表を示すという。当局者は『合意は遠い』(ロス商務長官)とけん制し合うが、両国経済には下振れ懸念がにじんでおり、貿易戦争の打開に期待もある」

     

    中国は、メンツにこだわってはいられない状況になっている。米国との妥協を探るのは当然であろう。

     

    (2)「中国は、北京で179日に開いた次官級協議で「エネルギーや農産品、工業品など12分野の輸入拡大策を提示した」(米中交渉筋)という。一部メディアは「中国側が今後6年で対米貿易黒字を解消すると提案した」とも報じている。米中閣僚級協議では、技術移転の強要や産業スパイなど『中国の不公正慣行』(USTR)の是正策を集中協議する。米中交渉筋は、『中国側は構造改革のスケジュールを定めた工程表を提示する』と指摘する。中国側が具体的な日程を示して外資規制の緩和策などを取り決め、両国が進捗具合を確認し合うやり方だ。トランプ米大統領は『交渉は順調で合意は可能だ』と繰り返す。中国当局関係者も『今回は大幅な譲歩をみせる』と貿易戦争の打開に意気込みが強い」

     

    中国は、対米貿易黒字を均衡させることは簡単である。中国が、購入条件さえ合えば、輸入先を米国に変えればいいだけでのことだ。問題は、構造改革である。①補助金を出さない。②強制的な技術移転をしない。③サイバー攻撃をしない。④産業スパイをしないことを約束し、実行できるかである。中国は、改革の行程表を米国へ提示して、米国の信頼をつなぎ止めざるを得ない。

     

    (3)「トランプ米政権の対中強硬派は、『中国は約束を破り続けてきた歴史だ』(ナバロ大統領補佐官)などと批判し続けている。ロス商務長官は『中国が合意を履行するよう罰則が必要だ』とも指摘。米国側は中国と『工程表』で合意しても同国の構造改革が進まなければ、関税引き上げなど対中制裁を強める考えもにじませている。中国は先端産業育成策『中国製造2025』を掲げるが、中国の国家資本主義の根幹といえる産業政策の縮小にどこまで応じるかが焦点だ。中国側は米国からの制裁リスクを抱え続ける数値目標の導入にも慎重だとされ、ライトハイザー氏やナバロ氏ら強硬派が矛先を収める機会を得られるか見通しにくい」

     

    米国は、中国に対して、「中国製造2025」を止めろという権利はない。ただ、前のパラグラフで指摘したように、①補助金を出さない。②強制的な技術移転をしない。③サイバー攻撃をしない。④産業スパイをしないことを約束させ、実行させることは可能である。WTO(世界貿易機関)の禁止規定であるからだ。中国はこれまで「掟破り」の常習犯である。この国を更生させるには、監督しなければダメなのだ。

     


    a0960_008565_m
       

    米国司法省は、中国のファーウェイ(華為技術)副会長とファーウェイ自体を起訴した。副会長については、米国の対イラン制裁に違反する取引に関与した疑い。会社に対しては、米通信会社から企業秘密を盗んだ罪で、それぞれ起訴した。

     

    ファーウェイ副会長孟晩舟氏は29日、保釈されているカナダのブリティッシュコロンビア州、最高裁判所へ出廷する予定だ。米国が正式に起訴した以上、トランプ大統領が発言していた「政治的な取引」は不可能になった。

     

    カナダのジョン・マッカラム駐中国大使は、22日の中国語メディアとの会合で、カナダ当局から米への孟氏の身柄引き渡しについて「良好な結果に結び付かない可能性がある」と発言して物議を醸した。トルドー首相から26日、解任される騒ぎにまで発展している。マッカラム発言の根拠として、トランプ大統領の政治介入発言を上げていた。孟氏が、米国司法省によって起訴された以上、その道は閉ざされた。

     

    『ロイター』(1月29日付)は、「米司法省、中国ファーウェイを起訴、制裁逃れと企業秘密窃取の疑い」と題する記事を掲載した。

     

    1)「米司法省は28日、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]と孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を、米国の対イラン制裁に違反する取引に関与した疑いで起訴した。ニューヨーク州の裁判所に提出した起訴状によると、ファーウェイがイランで事業を行うため、子会社であるファーウェイデバイスUSAと香港の通信機器販売会社スカイコム・テクとの関係について、ある大手銀行と米当局を欺いていた、としている。米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は起訴案件が、『ファーウェイが米企業や金融機関を悪用するために取った恥知らずで執拗な行動を露呈している』と批判した」

     

    カナダ当局は昨年12月、米国の要請に応じて孟副会長を逮捕した。米当局は、米国のイラン制裁を回避する取引で孟氏が主導的役割を果たしたと主張している。孟氏は不正を否定。逮捕後保釈が認められ、バンクーバーに滞在しており、29日、カナダの裁判所が米国への身柄引き渡しについて判断する。

     

    身柄引き渡しまでには、孟氏側からの法廷闘争が予想されるので、最長で数年はかかるという見方もあるほどだ。米国で裁判が行なわれれば、20年以上の懲役刑が予想されており、孟氏やファーウェイにも重大な事態になる。

     

    (2)「これとは別に、ワシントン州の裁判所に提起した案件では、米携帯大手TモバイルUSがスマートフォンの品質試験で使っていたロボット『タッピー』に関連する技術を盗んだ疑いに関し、企業秘密の窃盗、通信詐欺、司法妨害など10件の罪でファーウェイの子会社2社を起訴した。Tモバイルは、人間の指の動きを模倣するロボットであるタッピーについて、ファーウェイが技術を盗んだと過去に訴えていた。ファーウェイはこれまで、2017年に両社がこの問題を解決したとの見解を示している」。

     

    この問題については、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月17日付)が、次のように報じていた。

     

    Tモバイルが2014年にファーウェイを相手に起こした訴訟が、今回の刑事捜査が開始される一因となった。この訴状によると、Tモバイルは当時、ファーウェイから携帯電話を調達する契約を結んでいた。Tモバイルは販売した携帯電話の品質管理をテストするため、『タッピー』と呼ばれる試験ロボットを開発した。ファーウェイは取引を行う過程で、次第にタッピーの詳細情報について質問するようになったほか、専有技術に関しての情報を繰り返し求めてきたという」

     

    「ファーウェイ社員はTモバイルの研究所で、許可なくタッピーの写真を撮影したほか、監視カメラに映らないようタッピーの一部を隠し、ラップトップのバッグに入れて研究室から持ち出そうとしたとTモバイルは主張している」

     

    民事訴訟が刑事訴訟へ発展したものである。ファーウェイが、「2017年に両社がこの問題を解決したとの見解を示している」と主張しているのは、民事訴訟を指している。今回の刑事捜査の背景には、「中国企業が、知的財産権を侵害し技術移転を強要しているとされる問題で、トランプ政権が取り締まりを強化している」とWSJは指摘している。

     


    a0003_ki_0063_m
       

    米国は、次世代通信網「5G」で中国ファーウェイ(華為技術)を排除する総力戦を繰り広げている。「5G」は、軍事戦略において決定的な影響力を持つとされている。それだけに、米国は同盟国を巻き込んで「ファーウェイ絶対排除」への守りを固めている。

     

    『大紀元』(1月28日付)は、「5G競争、米が勝たなければならないゼロサムゲーム」と題する記事を掲載した。

     

    米紙『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)は126日、米中対立が深まり新時代の軍事設備の競争が進行中だと主張した。この軍備とは、ミサイルなどの伝統的な兵器ではなく、5G網の支配を指す。報道によると、米政府は5G網をめぐる競争について「ゼロサムゲーム」、つまり勝者は一人しかなく、敗者が淘汰される戦いだと確信しているという。次世代通信規格5Gへの技術移行は、進化ではなく革命と例えられている。複数の専門家は、電気が社会にもたらした影響を上回ると語った。

     

    (1)「NYTのインタビューに応えた米政府高官は、現代で核兵器を除く、最も致命的な武器となるのは電子ネットワークの制御であると述べた。さらに、この点について米国も中国の上層部も確信しており、5Gの主導権を握る国は経済、情報、軍事において他を圧すると認識している。同紙によれば、米政府は重要な通信ネットワークに中国製品の使用を禁止する行政命令を起草しているという」

     

    ファーウェイは、世界100の有名大学に研究費を補助するほか、研究用の器具やソフトを無料提供して、研究成果を還流させる方法を取ってきた。だが、最近のファーウェイの不祥事(スパイ発覚)により、にわかにファーウェイへの警戒心が高まっている。英国のオックスフォード大学は、研究費受領を辞退する方針を発表した。また、米国でも有名大学が同じ動きを見せている。

     

    米国が、ファーウェイを警戒するのは中国諜報機関と密接な関係を持っているという疑惑である。今回、ポーランドで逮捕されたファーウェイ幹部は、中国領事館員を兼業していたと疑われている。このほか、ファーウェイ製品が、中国政府の補助金で割安販売を行なっている疑いだ。中国製スマホが、急激にシェアを上げている裏には、中国政府が生産費の補助金を支給していると疑われている。中国は、あらゆる製品に補助金を出している。スマホや5Gが補助金対象から外れているはずがない。

     

    (2)「現在、日本を含め通信強化を図る多くの国が5Gインフラ建設の入札を準備している。国家の基幹インフラに影響を及ぼす巨大な契約だ。米国は、向こう6カ月が重要だと分析し、同盟国に『包囲網』を狭めるよう協力を呼び掛ける1月中旬、英ジェレミー・ハント外相は訪米し、5G通信網に関する安全保障政策において歩調を合わせるようトランプ政権に求められた。フィナンシャル・タイムズによると外相の帰国後、英通信大手ボーダフォンは欧州の5G網でファーウェイ機器を採用しないと発表した。さらに、米代表団は1月中にドイツを訪れ、北大西洋条約機構(NATO)は安価の中国製品を採用すれば安全に大きな代償を支払うことになると警告したという。ドイツ経済紙は17日、同国政府は5Gインフラ建設にあたり、ファーウェイの参入を排除する方針があると報じた」

     

    米国は、第二次世界大戦中から「ファイブ・アイズ」(米・英・豪・カナダ・ニュージーランド)で、諜報関連情報の交換を行なってきた。これを基盤に、「5G」戦略でも結束しており、さらに日本・ドイツ・フランスなどに結束を呼びかけている。同時並行的に、中国のスパイ行動が摘発されており、ファーウェイ製品への危険性が認識されつつある。

     

    (3)「ポーランド当局は11日、中国電子技術大手で人民解放軍と密接なかかわりを持つ企業ファーウェイの上級幹部・王偉晶と同国の元情報当局者をスパイ容疑で逮捕したと発表した。複数の米国政府高官は匿名でNYTに対して、ポーランドの出来事は中国共産党政権がファーウェイを利用して他国でスパイ活動を展開する典型的な事例だと語った」。

     

    ポーランドで、中国領事館員兼業と疑われているファーウェイ幹部が、スパイ容疑で逮捕された。これは、きわめて象徴的な事件だ。つまり、ファーウェイ=中国外務省=スパイという確固たる背景が浮き彫りになっているからだ。

     

    今後のファーウェイの「運命」はどうなるか。

     

    『ロイター』(1月18日付)は、「中国ファーウェイ、打ち砕かれる5G世界制覇の夢」と題する記事を掲載した。

     

    最終的に、ファーウェイの運命は米国次第だろう。中国通信機器の使用を禁止するよう他国に圧力をかけることと同様に、米議員が提案したように米テクノロジー企業に対しファーウェイ向けの販売を制限することは、同社の事業を損なうことになるだろう。孟CFOの米国引き渡しが現実となれば、同社に決定的打撃を与えるかもしれない。また、中国政府の反応は、良くも悪くも米中関係を一変しかねない「ワイルドカード」となるだろう。政府も企業も、そして消費者も、5Gがもたらす副産物に備えるべきだ」。

     

    米国が、ファーウェイ排除の目的で、部品やソフトなどの輸出を禁止すれば、ファーウェイの世界覇権は不可能になる。ファーウェイは、米国の半導体に依存せずとも高度の製品を開発すると言い始めた。これから開発するという話であり、当座の需要を満たせる訳でない。技術的なファーウェイの劣勢は覆いがたいのだ。


    a0960_008707_m
       

    迫り来る債務の津波に耐えながら、19年も40兆円の景気対策により「最低6%成長」を守ると必死である。独裁政権ゆえに、国民からの唯一の支持をうる条件は経済成長の維持しかない。切羽詰まっているのだ。その象徴的な事件が、大手国有銀行の中国銀行へ中国人民銀行引き受けの永久債が400億元発行される。悪名高き「日銀特融」の中国版である。中国の不動産バブルは、完全に崩壊した。

     

    国際金融協会(IIF)によると、中国は政府、民間、金融部門を合わせた債務が、2018年79月時点でGDP比約300%にのぼっている。10年前の09年時点では約200%だったが、その後で急増している。この上、さらに債務を積み増さねば政権が維持できないのだ。習近平氏は、膨大な債務によって自らの政権を「買っている」ようなもの。返済する当てもなく借金しつつづける危険なゾーンに落込んできた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月29日付)は、「中国、景気対策に40兆円超、減税・インフラに総力」と題する記事を掲載した。

    中国が景気対策の規模を拡大している。昨秋以降に固まった対策は減税とインフラ投資だけで2兆5000億元(約40兆円)超にのぼり、銀行の資本増強支援など金融面の対策も強化する。下押し圧力が高まる景気の失速を防ぐことに全力をあげる。ただ、過剰債務問題への警戒も緩めておらず、ブレーキを慎重に踏みながらの対策となっている。

     

    (1)「2008年のリーマン・ショック直後に中国が打ち出した景気対策は『4兆元対策』(当時の為替レートで約56兆円)と言われ、当時の中国のGDPの13%に上った。今回の対策はGDP比3%程度で、まだ拡大余地がある。今回の対策の柱は大規模減税だ。1月から所得税と中小企業向け減税を始めたほか『増値税(付加価値税)の減税も検討する』(劉昆財政相)。手数料軽減を含めると18年(1.3兆元)を上回り、減税規模は1.5兆元前後とみられる」

     

    耐用年数を過ぎて崩れる建物をいくら補強しても無駄である。土台が腐っているからだ。中国経済も同じである。不動産バブルによる過剰債務で信用機構が目詰まりを起こしている。しかも、国有企業重視で民営企業を圧迫してきた。最も資金の必要な民営企業に流れるパイプがないのだ。日本流に言えば、「制度金融」が存在しないためだろう。だから、シャドーバンキングという不正規金融に頼らざるを得なかった。

     

    (2)「もう一つがインフラ建設で、主役は鉄道投資。中国鉄路総公司の投資額は19年に8500億元規模と過去最高の見込み。地方政府の債券発行は例年なら3月の全国人民代表大会後に始まるが今年は1月に前倒し。インフラ向け債券は19年に前年比で6割増えそう。2月の春節(旧正月)休暇の前後に工事が途切れないようにする狙いのようだ」

     

    インフラ投資の主役は鉄道建設である。19年は前年よりも6割増という。すごい大盤振る舞いになる。採算の採れない地域での鉄道建設である。債務が増えるだけである。

     

    (3)「金融支援もテコ入れする。大手銀行の中国銀行は25日、償還期限のない永久債を400億元発行して自己資本を増強したと発表。中国人民銀行(中央銀行)が間接的に債券を引き受ける。人民銀は今後、地方銀行などの債券発行も支援し、資金繰りが苦しい中小企業への融資を促す。同債券は公募増資が難しい地銀や農村商業銀行でも発行できるのがミソだ」

     

    大手国有銀行で、「四大商業銀行」の一角である中国銀行に、資本増強のために400億元の永久債を中央銀行の中国人民銀行が引き受ける。ついに、信用機構維持のために「人民銀行特融」が始った。この意味は、重大である。中央銀行資金が永久債という形を取って注入される事態になったからだ。金融危機の深まりを象徴する「事件」である。

     

    日本でも、1965年の山一証券救済で「日銀特融」が行なわれた。その後の平成バブル崩壊では、信組や再度の山一証券や北海道拓殖銀行で実行された。その中国版である。中国の信用危機はここまで来た。不動産バブルが崩壊したのだ。


    a0001_000088_m
       

    韓国の革新派は、突拍子もないことを言い出す。今回の日韓のレーダー照射問題や威嚇飛行問題の裏に、安倍首相が黒幕として存在すると主張している。韓国左派メディアには、こういう論調が判で押したように流れている。安倍首相の支持率低下を挽回させるために、あえてことを大きくさせて、日韓を対立させているというのだ。

     

    実は、こういう報道の裏には日本メディアにも責任がある。日本の防衛省がレーダー照射問題を、日韓の当事者間で話し会おうしていたところ、首相官邸が一挙にメディアへ発表させたというもの。実際は、日本がデータを出し合い検証しようと提案したところ、韓国が拒否したのが真相である。日本メディアの勇み足報道が、韓国にまんまと利用されて、「安倍黒幕説」を定着させた。つまり、日本がレーダー照射問題を政治的に利用しているという解釈を生んだのだ。

     

    慰安婦報道もそうだった。朝日新聞が鬼の首を取ったように報道したのが最初である。以来、慰安婦問題は、日本軍が主導したという説が世界中に定着した。朝日新聞の誤報が、日本と慰安婦を結びつける原因となった。メディアが、権力の横暴を監視することは当然としても、商業主義先行で、証拠もない「報道垂れ流し」は国益を著しく損ねるのだ。

     

    韓国革新系『ハンギョレ新聞』(1月27日付)は、「安倍首相の弱点」と題するコラムを掲載した。筆者は、パク・ミンヒ統一外交チーム長である。

     

    (1)「(安倍は)中国、ロシアとの和解に乗り出した。尖閣(釣魚島)の軋轢以降初めて昨年10月に北京を訪問し、習近平主席と首脳会談をした。新たな敵が必要だった。韓国最高裁(大法院)の強制動員被害補償判決に対する日本国内の拒否感を煽り、韓国との軍事的対立を高めることは、安倍政権の支持率上昇、改憲支持世論の結集、自衛隊戦力強化など多目的の布石として利用できる。日本は、米国が介入する素振りを見せないことを確認しながら、韓国を狙った攻勢を長期化する態勢だ」

     

    久しぶりに、マルクスの左翼理論を芬芬(ふんぷん)とさせる記事に出会った。韓国には、今でもこういう思想に取り憑かれた人たちが文政権を支えているのだろう。日本外交が、中ロとの和解を進めているので、新たな敵を作る必要から韓国との争いを始めたというもの。この「敵をつくる」という考え方は、韓国で根強いことに注目していただきたい。

     

    これは、韓国が中世までの「氏族制社会」の名残を留めている結果だ。氏族の結束を固めるには、新たな敵を作って争いごとを起こすというもの。韓国は、今なおこれを行なって対立抗争を続けている。文政権が、「積弊一掃」という名で前保守党政権関係者を告発し、牢獄へつないでいるのは、「氏族制社会」の掟を踏襲しているのだ。次に、政権が保守党に変れば今、大統領府で権力を振るっている「86世代」の秘書官は、告発されて刑務所送りになるだろう。韓国とは、こういう国である。

     

    日本が、韓国と対立して政治的な安定を高めるという危機感があるだろうか。野党は弱小集団である。経済は安定しているし、政権交代の絶対的条件が掛けている。民主党政権は混迷して、大きなミソを付けた。野党が政権の座に就くのは予見しがたいであろう。韓国の経済事情と全く異なるのだ。

     

    (2)「それでは安倍首相の弱点は何か? 安倍首相の戦略的計算を逆利用してみよう。まず、日本の挑発には毅然と対応するものの、興奮したり偶発的衝突が起きれば罠にはまるということを肝に銘じよう。次に、南北関係を発展させ非核化と朝米和解を進展させ、北東アジア平和体制を推進することだ。安倍首相が韓日間の民族主義的憎悪を煽り立てようとしていることに対抗し、日本国内にも安倍首相の政策と改憲に反対する多くの市民がいることを記憶し、反日感情に巻きこまれず平和体制と非核地帯に向けた連帯の空間を作ることも重要だ。南北が共存・繁栄し、東アジア平和体制が強固になれば、韓国と日本の冷戦保守勢力の立つ瀬がなくなることを覚えておこう

     

    日本人の6割は、韓国へ好感を持っていないのだ。韓国からの呼びかけに応じて、日本の世論が動かされることは、先ずあり得ない。「南北が共存・繁栄し、東アジア平和体制が強固になれば」という時代がいつ来るだろうか。

     

    北朝鮮の核問題が最大の難関である。仮に、北が核保有国として認められるようなハプニングが起れば、韓国の安全保障はどうなるか。それでも、韓国は北朝鮮と交流するのか。それは、韓国革新派の思う壺だろうが、保守派は絶対に容認しまい。韓国は分裂する。こういう近未来の韓国情勢を想像すれば、南北が交流して、日本へ対抗することは「おとぎ話」に過ぎない。もっと、シビアな現実政治の罠に気を付けるべきだろう。

     


    このページのトップヘ