勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年01月

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    習近平氏の描く国有企業中心の中国経済は、一段と行き詰まり状況を見せている。国際金融協会(IIF)のティモシー・アダムズ最高経営責任者(CEO)は、中国の債務が対GDP比で300%に達したとスイス・ダボス会議で語った。日本経済新聞 電子版が、28日に伝えた。

     

    中国の電子商取引(EC)大手アリババグループが出張経費を削減するとともに、新規採用の一部を延期したことが分かった。関係者が明らかにしたもの。成長鈍化に対応するためだという。関係者によると、一部の新入社員は4月からの新年度まで勤務を始められないと言われたという。ビジネスクラスの航空運賃が部門ベースで制限されるなど出張費も削減され、社員にできるのは往復で20時間を超える出張旅行5回ごとにプレミアムキャビンを選択することだけだという。ブルームバーグ1月28日付が伝えた。

     

    上記二つのニュースは、きわめて衝撃的である。世界一の通販業者のアリババが、出張経費の削減に動きだしたのは、業績が悪化している証拠である。どこの企業でも不況対策の第一弾がこれだ。毎年、「独身の日(11月11日)」のセールスは、驚異的な販売実績を上げることで有名なイベントである。去年も大騒ぎしたが、売上増加率は鈍化過程にはいっている。

     

    アリババのみならず、中国インターネット検索最大手、百度(バイドゥ)や中国のオンライン旅行代理店、携程旅行網(Cトリップ・ドット・コム・インターナショナル)も苦しみ始めている。アリババの7─9月期決算は、売上高が市場予想を下回った。中国経済の減速とアリババの失速の兆候をあらためて浮き彫りとする内容だ。売上高は前年同期比54.5%増の851億5000万元(123億9000万ドル)で、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の865億1000万元を下回った。中国経済は、確実に底冷え状態に入っている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月28日付)は、「中国国有企業の資金調達、成長につながらず」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)を訪れた、国際金融協会(IIF)のティモシー・アダムズ最高経営責任者(CEO)は、23日に日本経済新聞のインタビューに応じた。世界の約70カ国・地域の約450の主要銀行が加盟するIIFによると、中国で政府、民間、金融部門を合わせた債務は201879月時点でGDP比約300%にのぼる。10年前の09年時点では約200%だったが、その後で急増している。アダムズ氏は背景の一つとして、国有企業がインフラ開発などのために資金調達している点を指摘。『補助金、政府系銀行からの借り入れ、社債などのかたちで多額の資金が回っている』と分析。雇用創出に国営企業が寄与する割合は11%にすぎず、借金が増えても安定した経済の成長につながっていないとした」

     

    中国の総債務は、2018年7~9月時点でGDP比約300%にのぼる。10年前の09年時点では約200%だった。経済成長率が鈍化する過程で、債務だけが積み上がる悲劇的な状態が続いている。借金が増え続けるのは、債務による投資がそれに見合うリターンを生んでいないことを意味している。政府が、当面のGDP押上げだけを目的とする非効率投資を行なっている結果だ。

     

    国有企業には、「補助金、政府系銀行からの借り入れ、社債などのかたちで多額の資金が回っている」が、非効率投資ゆえに採算の悪化を招いている。雇用面での国有企業の寄与は11%に過ぎない。

     

    (2)「また地方政府も公共事業に頼った景気刺激をねらい、債務増加が目立つという。『商業施設建設、宅地開発などが続くが、借金を返すだけの税収などを生んでいない』と述べた。中国の債券、株式市場についてアダムズ氏は『格付けなどの面で市場の透明性が低い。投資家が十分判断できず、結果的に政府が現状を維持しやすい』と語った。ただ、成長がさらに鈍れば投資家が離れ、市場が急速に冷え込む可能性もあるため『今の状態をいつまでも続けられない』と指摘した


    このパラグラフから得られる結論は、中国経済が破綻に向けて最後の「コーナー」を回ったということである。経済発展に必要な制度的なインフラを欠いたまま、高度成長を続けてきた矛楯が、もはやこれ以上隠蔽できない限界点を迎えている。米中貿易戦争という悲観材料が、ぐらつく中国経済を押し倒すテコの役割を果たしていると見る。

     

     


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    文在寅大統領は、余り人と付合うのが好きでないらしい。食事も一人ですることが多いという「首を傾げる」ような現実が、大統領公式日程で明らかにされた。これでは、日韓関係も悪化するはずである。他人の意見を聞くこともなく、「男は一人で勝負する」姿が浮かび上がってきた。

     

    韓国の保守系野党「自由韓国党」は27日、文在寅大統領の就任から600日間の公式日程を全数調査した結果、公式日程のない日が160日(26.%)に上ったと明らかにした。また、公式日程のうち、「北朝鮮」関連の日程が「経済」関連の2倍に上ったと主張した。大統領の公式的な食事の回数は600日間の中で100回だった。以上は、朝鮮日報が28日に伝えた。

     

    前述の通り、北朝鮮関連に割く日程が経済関連の2倍にもなることは、文氏の関心がどこにあるかを示している。先ずは、北朝鮮のことに関心が向き経済問題は二の次である。本来ならば、逆であるべきだろう。文氏が、北朝鮮の金氏「代理人」と揶揄される理由はここにもある。

     

    文大統領が、「孤独派」であることは大統領として困ったことである。盧武鉉・元大統領の場合は、しょっちゅう側近を夫婦で大統領府へ呼び出し食事したという。現在の国会議長夫妻と文大統領夫妻がその相手であったという。文氏は、この経験から言えば、自らも側近だけでなく与野党議員を招いて食事をしながら対話を重ねるべきなのだ。歴代大統領には、次のような例がある。

     

    「故・金泳三元大統領は就任直後、昼食にカルククス(韓国式のうどん)を準備し自らの政策に批判的な人物を招いて直接話を聞いた。当時の大統領府関係者は、『大統領が食事をしながら直接政策を説明し理解を求めれば、批判は自然に弱まった』と当時を回想する」(『朝鮮日報』1月28日付コラム「文在寅大統領のぼっち飯」)

     

    日韓関係の悪化は、文大統領に解決の意思がない証拠である。文大統領は、新年最初の閣議後に主要閣僚を残し、元徴用工問題で協議した。その席で、閣僚の意見を入れず一方的に、「日本へ妥協するな」と厳命したという。他の大統領であれば、どうすべきか閣僚の意見を聞いたであろう。文氏が、確信的な反日大統領であることは間違いない。

     

    『朝鮮日報』(1月28日付)は、「文大統領、就任600日間で公式日程なしが160日ー野党分析」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「自由韓国党のシンクタンクと、同党議員は、2017年5月10日から昨年12月31日までの601日間について、韓国大統領府(青瓦台)ホームページで公表された文大統領の公式日程をビッグデータ分析技法を用いて分析。その結果、文大統領の公開日程は計2144件だった。1611件(75%)は大統領府内部での日程で、そのうち1181件は大統領執務室のある与民館で行われていた。102件は外部の人間が入れない官邸内での日程だった。全2144件のうち1784件(82.%)は『出席者非公表』だった。大半は大統領府の側近や内閣の報告を受ける場だったと推定される」

     

    この日程で分ることは、文大統領はほぼ毎日、大統領府にいることだ。外へ出て、国民にあって実情を聞くことのないことが明らかになった。

     

    (2)「600日のうち160日(26.%)は『公式日程なし』だった。文大統領が就任後に消化した年次休暇21日を除いたとしても、残りの139日は日程が公開されていなかったということだ。また、600日間に1800回食事をしたとして、食事会など日程が公表されたものは100回しかなかった。韓国党は『国民の現場よりも“自分の家”で仕事することを好む“バンコク(部屋にこもる、の意)大統領”であり、一人での食事を好む“一人飯大統領”』と指摘した」

     

    外部の人間と食事する回数は、5.5%に過ぎなかった。後は、「一人飯」というのだ。これでは、食事をしながら腹蔵なく話を聞いたり、自分の考えを伝える機会はない。韓国は、朴槿惠・前大統領に続き二人の「不通」大統領を持ったことになる。そのしわ寄せは、すべて韓国国民が受けるのだ。


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    けさ、下記のも記事で発行(有料)しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    日韓和解に反対の文在寅

    典型的な韓国式の道徳観

    強引な交渉術で相手翻弄

    日韓和解の金大中見倣え

    輸出減でマイナス成長も

     

    日韓関係は、双方が断交宣言をしないだけの冷え切った関係になりました。これで、大使の

    引揚げに踏み切れば、そのまま糸の切れた凧同然の状態になります。日本側の韓国への対応は、文大統領が就任以来、冷却化しました。反日を訴えて大統領に就任した経緯もあり、過去の日韓関係を危機状態に追い込むであろうという警戒がありました。

     

    昨年2月、韓国・平昌での冬季五輪も、安倍首相は出席するかどうか慎重に検討していました。文政権が日韓慰安婦協定の見直しに着手していたからです。韓国側の度重なる要望で、「やむなく出席」した感じでした。韓国側の接待の主力は北朝鮮向けであり、安倍首相はレセプションでの食事だけという扱いでした。

     

    日韓関係は冬の時代を迎えています。慰安婦協定は骨抜きにされました。旧徴用工問題では、韓国大法院が日韓基本協定の根幹部分を否定する判決を下しました。文在寅大統領は、日本側にこの大法院判決を尊重しろと迫っています。この大法院判決を誘導したのは、文大統領です。昨年8月の演説で、「元徴用工の賠償請求権は人権問題であり、永久に請求できる」と語っています。韓国司法は、もともと大統領の意向を「忖度」する傾向があります。今回の判決もその流れに沿っています。

     

    日韓和解に反対の文在寅

    文大統領は、社会派弁護士として活躍してきました。文氏は、弁護士としての感覚で元徴用工裁判を捉えています。韓国大統領として、この問題が日韓関係にどのような影響を及ぼすかという認識はありません。そもそも弁護士という職業は、依頼された案件で勝訴を勝ち取れば、「腕利きの弁護士」という評価が高まります。敗訴した側の利害関係について考慮する必要はありません。文大統領は、まさにこの弁護士の立場です。一国の大統領になりきっていません。日韓の悲劇はここから始っているのです。

     

    文大統領の頑なな対日姿勢を示すエピソードを取り上げます。

     

    今年最初の国務会議(閣議)が終わった後、文在寅大統領は外交部長官・法務部長官、法制処長ら数人の閣僚を別に呼んだ席で、強制徴用賠償判決とそれに伴う韓日の確執に対する自身の見解を説明したそうです。それによると、徴用被害者(徴用工)に対する賠償は日本企業の問題で、韓国政府が率先して動いてはならない。日本は不当な内政干渉をしているので、日本に対してもっと強く出ろという指針だと解釈できる内容でした。出席者の一部が、日本企業だけの問題ではなく、これまで韓国政府も徴用被害者問題は解決したと判断してきた点を考慮する必要があると意見を出しましたが、文大統領はかたくなな姿勢で拒否したとのことです。以上の引用は、『朝鮮日報』(1月25日付)によります。

     

    盧武鉉政権では、日韓基本条約によって個人賠償は済んでいるという見解でした。文在寅氏も当時、大統領府スタッフとしてこの経緯に関わっています。それにも関わらず、文大統領がこういう姿勢に転じたのは、韓国大法院の判決が出て、弁護士感覚で国政の舵を切ろうとしている証拠と見られます。

     

    典型的な韓国式の道徳観

    ここで、文在寅氏の価値判断に典型的な韓国人の「道徳観」が顔を覗かせています。日本がこれを知れば、韓国との話し合い余地はゼロであることが分かります。そのことを認識せざるを得ないのです。

     

    韓国の哲学は道徳哲学で、正確には儒教哲学です。具体的には朱子学といわれるものです。この朱子学が、朝鮮から日本へ伝わったのは江戸時代で、林羅山らが継承しました。為政者は、徹底的に自己修養に努める人物がなるべきという道徳哲学でした。孔子の世界が、彷彿として現れています。

     

    韓国人は、朝鮮王朝が滅びてすでに100年以上も経った今も、この朱子学の描く精神世界に生きることが、もっとも純粋な生き方であると見られています。個人が、そういう生き方を求めることは自由ですが、問題はそれを他人に強制することです。「人々の言葉と行動をひたすら道徳(正義)の尺度で裁き、徹底して優劣をつける」。それが、韓国人の道徳と指摘されています。

     

     


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    マレーシアは危ないところで中国の食いものにされるところだった。中国の交通インフラ建設大手・中国交通建設が、マレーシアで受注していた200億ドル(約2兆1900億円)規模の大規模鉄道計画を取りやめると発表したと報じた。中国が、このマレーシア政府の申し出を受入れた裏には、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)の取材で、中国政府の「悪だくみ」が暴露された結果だろう。

     

    この鉄道建設計画は、マレーシア政府が主体的に取り組んだプロジェクトでなかった。マレーシア前政権のナジブ・ラザク首相(当時)やその周辺が、1MDB(マレーシア政府系ファンド)から多額の資金を横領したとされる疑惑について、米国などによる調査を中止させるため、中国が自らの影響力を行使することを申し出ていた不透明な案件であった。

     

    この疑惑の多い1MDBについて、次のように報じられていた。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月8日付)は、「中国が『一帯一路』見返りに1MDB救済提案」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国当局者は、1MDBを調査していたWSJ記者の香港にある自宅やオフィスを盗聴することも提案していた。彼らに情報を漏らしたのは誰なのかを知るためだった。その見返りとしてマレーシア側は、中国の広域経済圏構想『一帯一路』に基づく巨額インフラ事業の権益を提案した。ナジブ氏は数カ月以内に中国国有企業との340億ドル(約3兆7000億円)の鉄道・パイプライン建設契約に署名した。中国の銀行がその資金を融資し、中国人労働者が建設作業にあたることになった」

     

    中国政府が、嗅覚を効かして1MDBの横領事件をネタにマレーシアの前ナジブ政権に「一帯一路」建設と引き替え条件を出したことが暴露されたもの。相手の弱味につけ込む典型的な中国方式である。

     

    (2)「ナジブ氏はこのほか、中国指導部との間で中国の軍艦をマレーシアの2つの港に停泊させるための極秘協議も始めた。この協議について知る2人の関係者が明かした。領有権争いを繰り広げる南シナ海での影響力拡大を狙う中国にとって、こうした入港許可は重要な特権となるはずだったが、これは実現しなかった」

     

    中国が、言葉巧みにナジブ氏にすり寄り、中国の軍艦をマレーシアの2つの港に停泊させるための極秘協議も始めていたが成功しなかった。

     

    (3)「WSJが各種資料やマレーシア現・元当局者とのインタビューに基づき、中国とマレーシアのインフラ事業を調査したところ、『一帯一路』構想の背後に働く政治的な力について詳細が明らかになった。同構想は約70カ国で港湾や鉄道、道路、パイプラインを建設し、中国企業に貿易やビジネスの機会をもたらす巨大な計画だ。米当局者は中国が同構想を利用して、発展途上諸国への支配を強め、『債務の罠』に陥らせる一方で、軍事的目的を前進させていると主張する。パキスタンやモルジブなどでは、一部の取引が中国に不当に大きな利益を与えているとして『一帯一路』関連事業を見直す動きが始まっている」

     

    中国は、「一帯一路」で莫大な利益を狙い、同時に地政学的な利益を手にしようとしていた。マレーシアは、その橋頭堡になるはずだったが、ナジブ政権の追放で水泡に帰した。

     

    (4)「米国の国家安全保障当局者は、中国がマレーシアで見せた動きは、同構想をテコにして地政学的戦略を進めようとする中国の最も野心的な試みだと捉えている。米国内の議論をよく知る関係者はこう話す」

     

    中国は、「一帯一路」の主要プロジェクトがすべて瓦解した。習近平氏にとっては痛手であろう。もはや、中国の提案を真面目に聞こうという国がなくなったからだ。中国の提案の裏には、何か策略が隠されている。多くの途上国が気付いたのだ。

     

    『レコードチャイナ』(1月27日付)は、「マレーシア、中国企業受注の大規模鉄道計画を取りやめ」と題する記事を掲載した。

     

    (5)「米『ボイス・オブ・アメリカ 中国語版サイト』(1月26日付)は、マレーシアのアズミン・アリ経済相が、中国の交通インフラ建設大手、中国交通建設が受注していた200億ドル(約21900億円)規模の大規模鉄道計画を取りやめると発表したと報じた。記事によると、アズミン・アリ経済相は26日、マレーシアの東海岸と西海岸を結ぶ全長688キロの鉄道計画について、2日前に中止する決定を下したことを明らかにした上で、『コストが高すぎる。計画を中止しなければ、マレーシアは年間5億リンギット(約1327000万円)の利息を支払うことになる』と説明した」

     

    建設費2兆1900億円に対して、年間132億7000万円の利息であれば、金利は6%強である。インフラ投資でこれだけ高い金利を支払えるはずがない。担保で何を狙っていたのか。中国のハゲタカ商法と言える。中国は、1MDBをもみ消してやると持ちかけ暴利を貪ろうとしていた。

     

    (6)「記事は、この鉄道計画について『中国が推し進める“一帯一路”の重要なプロジェクトとみなされていた』とした上で、一帯一路について『中国は沿線国のインフラを改善し、世界に恩恵をもたらすと主張している。だが西側諸国の多くは懐疑的で、中国がこの計画を推し進めるのは、政治的影響力と軍事的プレゼンスを拡大するためという別の意図があるとみなしている。一帯一路が参加国に債務リスクをもたらしているとする批判も多い』と伝えている」

     

    習近平氏は、姑息な手段で大儲けを狙ったが、マレーシアでは大失敗だ。中国の信用はガタ落ちである。こうして、「一帯一路」は風前の灯火となってきた。私は、後世の歴史家が習近平氏をどのように評価するか、非常な興味を持っている。


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    韓国海軍が2月に予定していた幹部の海上自衛隊舞鶴基地訪問を取りやめたと報じた。韓国はレーダー照射問題などを巡って、海自哨戒機が韓国艦に低高度で接近する「威嚇飛行」をしたと反発。日本側も海自の護衛艦「いずも」の韓国への寄港を取りやめる方向で調整に入っており、防衛当局間の関係悪化を反映した形となった。共同通信が27日伝えた。

     

    日韓の防衛当局が、感情的な対立になっている以上、韓国側が日本訪問を取り止めたのはやむを得ない措置だ。冷却期間をおいて見ることも重要だ。

     

    韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官が26日、南部・釜山にある海軍の作戦司令部を電撃訪問した。日本が韓国駆逐艦から火器管制レーダーを照射されたと主張する哨戒機が、所属する海上自衛隊の基地を岩屋毅防衛相が25日に視察したことを受けての訪問だという。鄭長官は、日本の哨戒機の韓国艦艇への威嚇飛行に対しては規則に従い、適法かつ厳しく対応するよう指示した。

     

    韓国側は、絶対に自国海軍が正しいと主張して譲らない。レーダー照射問題の際、日韓の協議において、双方がデータを出し合い検証しようと提案したが、韓国が拒否した。この話は、韓国によって逆に報道されている。日本が、こういう相手といくら話合っても無駄と判断した理由である。

     

    韓国が、海上自衛隊舞鶴地方隊への訪問を「無期延期」してきたと報じる記事もあるから、「無期延期」が望ましい。日韓双方が、相手国海軍を安保上の重要なパートナーとして認めていない以上、儀礼訪問は止めた方が良いのかも知れない。

     

    ちなみに、日本が最も重要視する安保上の重要なパートナーは、米国、豪州、インド、東南アジア、そして韓国の順番である。韓国は、米国、中国、そして日本である。

     

    日本はこの際、韓国と北朝鮮の核・ミサイル関連情報などを共有するため締結した軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も廃止してもいいだろう。日本が現在、独自で取得した朝鮮情報を韓国へ厚意で提供している。その有難味も分らない相手に、あえて教える必要はないからだ。日本は、さっぱりと韓国との防衛関係を切っても良いぐらいの覚悟を固めるべきだろう。

     

    日本が、韓国と交流しても不愉快な事態が積み重なる以上、双方が距離を置くのも必要であろう。


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