勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年02月

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    会談前は、大いに期待論が盛り上がっていた。終戦宣言が出るのではという報道もあったほど。だが、非核化で合意できず、会談は決裂した。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月28日付 電子版)は、「米朝首脳会談、非核化で合意に至らず」と題する記事を掲載した。

     

    「ドナルド・トランプ米大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長による米朝首脳会談は28日、合意に至らないまま予定を繰り上げて終了した。ホワイトハウスが明らかにした。トランプ氏はこの日、両首脳の個人的な絆の重要性を強調しつつ、北朝鮮の非核化プログラムを一気に前進させる必要性はあまりないとの考えを示していた」

     

    「トランプ氏は45分間におよぶ11の首脳会談に入る前に記者団の取材に応じ、「スピードは私にとってそれほど重要ではない」と述べていた。また、北朝鮮が201711月以降、ミサイル・核実験を行っていないことに満足しているとも語っていた。一方、非核化を進める用意があるかと米国人記者に質問された金委員長は、「そのつもりがないならば、私はここに来ていなかっただろう」と通訳を介して答えていた」

     

    「しかし、その後の両首脳のランチと共同声明への署名は中止となった2回目となる今回の米朝首脳会談は、北朝鮮非核化に向けた具体的な動きにつなげる狙いがあったが、むしろ両国間の根深い溝を浮き彫りにする結果となった。トランプ氏は会談後の記者会見で、北朝鮮との間では経済制裁の問題が交渉を難航させたとし、『彼らは完全な解除を望んだが、それには応じられない』と語った。また、『(北朝鮮は)米国が望んだ範囲の多くで非核化に前向き』だとし、合意文書も署名の準備は整っていたとしたうえで、『時には(合意に至らず)去らなければならない時もある』と述べた

     

    北朝鮮が、経済制裁の完全解除を求めたことで、米国の拒否にあった。次の会談予定もないままの会談終了である。

     

    経済制裁下の北朝鮮経済はどうなっているのか。以下の記事では、さほど困った状況にはない。過去に蓄積した外貨準備を取り崩しているとの予想もされている。米国側の判断では、制裁を強化して、北を追い詰める戦略かもしれない。

     


    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月26日付)は、「北朝鮮経済、制裁にどう耐えているか」と題する記事を掲載した。

     

    「米国は、国際社会による厳しい制裁を通じて北朝鮮に核兵器の放棄を迫るという動きを主導してきた。しかし様々な情報からは、それが狙い通りに機能していないことがうかがえる。『ウォール・ストリート・ジャーナル』WSJ)は脱北者や人道支援関係者、政府当局者、その他の北朝鮮訪問者ら30人以上にインタビューを実施。彼らの証言によれば、1990年代に今よりもっと厳しい状況下で生活していた多くの住民は、市場経済がより深く根付く状況に適応しつつあるようだ」

     

    2016年、2017年に国連で承認された制裁の強化は、北朝鮮の政府やエリート層が中国を含む諸外国との貿易で得ていた収入を奪うことで、北朝鮮にある程度の打撃を与えた。しかしそれ以外の面では、北朝鮮経済は持ちこたえているように見える。コメの価格は安定しており、制裁強化後に上昇していたガソリン価格は2017年秋の高値から大幅に低下した。北朝鮮の通貨ウォンの対ドル相場も安定している。首都平壌(ピョンヤン)では建設プロジェクトが続いている。また脱北者や北朝鮮を最近訪れた人々によれば、制裁強化前には目立っていた中国製加工食品など外国製品の多くは、国内工場の生産拡大を受けて国産品に置き換えられている。平壌などの主要都市を訪れた人々の話では、住宅の暖房を支える電気や安価な石炭の供給を含め、住民の日常生活にも若干の改善が見られたという」

     

    「北朝鮮が困難に直面しているという明確な兆候は見られない」。ジョージタウン大学の非常勤教授で、北朝鮮専門家として米情報機関に関わっていたウィリアム・ブラウン氏はこう指摘する。それどころか、少なくとも重要性を増しつつある民間部門では、経済が成長している兆候があるという。多くの研究者は、制裁強化前にため込んだ外貨準備を食いつぶすことで北朝鮮が経済を支えているのではないかと推測している。北朝鮮が外国からの来訪者に見せるために首都を飾り立てることは以前から知られている。そして、北朝鮮の外貨準備がいつ底を突くかは誰にも分からない

     


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    1月の新規融資が増えて、2月の製造業景況感に変化があるかと注目されていた。中国国家統計局調査の製造業PMI(購買担当者景気指数)はさらに悪化した。1月の融資増は、滞貨金融の資金手当に使われたと見られる。

     

    中国経済は、在庫調整と設備調整の二重調整過程にある。人間の病気に喩えれば、胃腸(在庫調整)と心臓(設備調整)が弱っている。そこへ、米中貿易戦争という荷物を背負わされた。こういう構図と見られる。

     

    『ロイター』(2月28日付)は、「中国製造業PMI 2月は3カ月連続で50割れ 非製造業は50超維持」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国国家統計局が発表した2月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と前月の49.5から低下し、2016年2月以来3年ぶりの低水準となった。業況改善・悪化の分かれ目となる50を3カ月連続で下回った。国内外の需要低迷が引き続き経済に打撃を与えていることが示された。製造業PMIは市場予想(49.5)も下回った」

     

    国家統計局調べの製造業PMIは、調査対象で大企業のウエイトが高い。その点で、後から発表される民間調査の製造業PMIよりもやや高い数値が出る。それでも49.2と悪化している。在庫調整の影響が多方面に及んでいる結果であろう。

     

    (2)「中国の経済成長率は2018年に約30年ぶりの低水準に減速した。アナリストは、景気刺激策の効果が表れるまで、今後数カ月は景気が一段と減速するとみている。同時に発表された2月の非製造業PMIは54.3で、前月の54.7から低下したものの、節目の50を大きく上回る水準を維持した。非製造業PMIは前月まで2カ月連続で上昇していた。急速に成長する非製造業セクターは中国経済の半分以上を占め、製造業セクターの減速による影響軽減に寄与してきた。しかし、不動産市場の冷え込みや自動車、携帯電話といった製品への消費者需要の低下を背景に昨年終盤に同セクターは鈍化した。景気減速で消費者が支出に慎重になる中、アナリストは今年も鈍化が進むとみている」

     

    景気刺激策と言っても、インフラ投資は地方政府の資金調達難で工事そのものが遅れている。所得税の減税効果は所得減の補填程度であろう。家電の補助金は、21年までの3年間もある。今、慌てて買う必要もないのだ。要するに、八方ふさがりである。冒頭で指摘したように、胃腸と心臓が同時に弱っている経済である以上、回復までの時間が「数ヶ月程度」で済むはずがないであろう。

     

    中国では、景気循環という認識がゼロである。経済は、政府のコントロールでいかようにも動かせると思い込んできた。この思い上がりへの痛烈なしっぺ返しが、起っていると見るべきだろう。過去、政府が経済計画によって「健全」な景気循環を抑制した。強引な需要強化で表面化させなかったのである。それが、経済の自然な調整を妨害したので、膨大な債務を抱えて身動きできなくさせている。景気循環は、行き過ぎた景気の調節弁であり休息期でもある。自然の摂理を無視し抑圧した「お返し」が始ったと見るべきだろう。

     

    『ロイター』(2月28日付)は、「USTR、中国製品の関税引き上げ延期へ『追って通知するまで』」と題する記事を掲載した。

     

    中国経済は、完全に米国の掌にある。USTR(米通商代表部)から、関税延期は「追って通知するまで」と軽くあしらわれている。誇り高い中国が、この通知を有り難がる状況まで追い詰められたのだ。習近平氏の奢りと誤算が招いた無残な結果である。

     

    (3)「米通商代表部(USTR)は27日、中国からの輸入品に対する関税引き上げを「追って通知するまで」正式に延期する方針を発表した。トランプ大統領は24日、米中通商協議が進展しているとして、3月1日に予定されていた中国製品に対する関税の引き上げを延期すると表明した。USTRは声明で「大統領の指示に沿い、USTRは予定されていた関税引き上げを追って通知するまで延期する方針を今週の連邦公報で発表する」とした」

     

    徹底的に戦うと元気が良かった習近平氏は、自らの見通しが間違ったことを悔いているであろう。

     



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    2月26日と27日は、韓国で過去と未来が同居する記念すべき日になった。26日は、文大統領は、ソウルにある独立運動家の金九(キム・グ)の記念館で閣議を開催した。戦時を除き、公共庁舎ではない場所で閣議が開かれるのは初めてという。この席で、文氏は「(日本の植民地支配に協力した)『親日』を清算し、独立運動をしっかり礼遇することが民族の精気を正しく立て、正義のある国に進む出発」と強調した。

     

    他国のことだが、未だに「親日精算」と力説している。過去にこだわっている内に、韓国は未来の発展のカギを失っている。昨年の合計特殊出生率が、歴史上初めて0.98人と1人を割ったのだ。「親日精算」と「合計特殊出生率1人割れ」は、深い関係があるはずで、この問題は、後で取り上げたい。

     

    『中央日報』(2月27日付)は、「韓国、出産率世界最低、類例を見つけにくい」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の昨年の合計特殊出生率が、0.98人で史上初めて1人を割り込んだ。合計特殊出生率は一人の女性が妊娠可能な期間(15~49歳)に産むと予想される子どもの数を意味する。昨年合計特殊出生率は歴代最低だった前年(1.05人)を下回った。現在の人口水準を維持するには合計特殊出生率が2.1人でなければならない。「0人台出産率」は世界的にも類例を見つけにくい」

     

    合計特殊出生率の1人割れは、歴史上初めてである。中国が資料を隠して発表を取り止めているが、韓国並みの深刻な事態に落込まれているはずだ。中韓ともに、経済的な要因が1人割れを招いている。経済的な展望が開けないのだ。

     

    韓国では、文政権になって一段と労組寄りの政策になっている。最低賃金の大幅引上げが経済状態を悪化させており、失業率が高まるという矛楯が起こっている。昨年の「1人割れ」は、文氏の悪政がもたらしたものだ。

     

    冒頭で取り上げたように「親日精算」とは、何と時代遅れのことを言っているのかと思う。「過去志向」が、「未来志向」を忘れさせている。「1人割れは」その典型的な回答であろう。

     


    (2)「このような少子化の原因は複合的だ。まず20~30代序盤人口そのものが減った。加えて青年の婚姻年齢がますます遅れている。就職ができず、住居費負担などで結婚そのものを回避している。結婚しても出産を先送するか子供を産まない夫婦が多くなっているのも主な原因だ。これに伴い、韓国の人口減少時点も早まる展望だ。カン・シヌク統計庁長は、「少子高齢化が予測よりも早く進行していて、韓国の総人口減少時点が前倒しになるかもしれない」とし「急激な人口構造の変化によって雇用・福祉・年金・教育・住宅など主要政策に波及効果が大きいものと予想される」と話した」

     

    経済的な理由で、結婚できない。結婚しても経済的な理由で子どもを生まない。すべて経済要因である。だが、公務員家庭では3人の子どもが一般的という。民間企業では、待遇が不安定であるから、出産を控えさせるのだろう。

     

    『朝鮮日報』(1月27日付)は、「なぜ韓国は日本より子どもを産みづらいのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ミンチョル記者である。

     

    (3)「人口問題に詳しいある専門家は、『本当に深刻な状況だが、それでも韓国社会ではあまりにも関心が低い』『合計特殊出生率も多少の低下ならそれなりに対策を取れるだろうが、低すぎるのでそれも難しいだろうし、対策を取るにしても巨額の費用が必要になるだろう』と述べた。その上でこの専門家は『韓国政府も国民も今の問題にしか関心がなく、未来については忘れてしまっているようだ』と嘆いた」

     

    人口問題は、国家の基本中の基本である。それは、領土問題と同じような認識を持つべきテーマである。韓国大統領が、「親日精算」と昔の話を持出して力説している当たりに、この政府の力量の限界を見る思いがする。

     

    (4)「韓国に人口危機感がないのは、『出産に関する統計にこだわらない』とする今の政府の考え方とも無関係ではないだろう。今の政府は『合計特殊出生率を2020年までに1.5人に引き上げる』とするこれまでの目標は実現不可能とすでに判断しており、より長い観点から生活の質を高め、自然に引き上げたいとしている

     

    文政権が力をいれていることは、南北問題だけである。この問題は、もちろん大事だが、だからと言って他の重要問題を無視して良いはずがない。人口問題は、集中的に努力をしなければ解決不能である。文氏が行なっている政策では、子どもを生もうかという人はますます減るだろう。今年の合計特殊出生率はさらに低下する。もはや、どうにもならなくなった。


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    米中貿易協議において水面下で注目されているのは、中国ファーウェイ副会長孟氏の身柄問題である。米国トランプ大統領は、中国揺さぶりに使っているが万一、孟氏を釈放する事態となると、トランプ氏は一挙に政治的にも不利な立場に追い込まれる。通商問題と詐欺事件は別であるからだ。

     

    『ロイター』(2月27日付)は、「米司法省、中国ファーウェイCFO起訴でHSBCの内部調査を活用」と題する記事を掲載した。

     

    米国では、金融取引でウソの説明をすることが罰則の対象になっている。中国人の場合、「ウソが当たり前の世界」だから、ファーウェイ副会長がなぜ逮捕されたのか納得がいかぬはずである。商慣習の違いと言えばそれまでだが、中国にとっては米国ビジネスの厳しさが身にしみているであろう。

     

    (1)「英金融大手HSBCホールディングが中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)がイランとの取引で使ったとされる関係会社スカイコムについて内部調査を行った結果、ファーウェイはスカイコム株を売却したと偽って報告してからも長年にわたり密接な関係を維持したことが判明した。ロイターが資料で確認した」

     

    (2)「孟CFOは、HSBCなどの銀行に対し、イランで事業を行うためのダミー会社とされるスカイコムとの関係について事実を偽って伝えた疑いが持たれている。ファーウェイは、スカイコムがイランでのビジネスパートナーだと主張してきた。米政府はイランでの事業を隠すために使った非公式の子会社だと認定している。司法省はイラン制裁違反や銀行詐欺、通信詐欺で孟CFOとファーウェイ、スカイコムを起訴している」

     

    ロイター通信記者が、資料を確認しており、ファーウェイ副会長がウソの説明をしたことが書き残されている以上、犯罪立証は困難でなさそうだ。有罪となれば、20年以上の禁固刑に処せられると言われている。米国の「ウソ」に対する厳しさが分る

     

    (3)「米当局は、ファーウェイがスカイコムを使ってイランに米国製品や技術を違法に供給し、国際銀行システムを介してイランから代金を得たと主張している。HSBCなどの銀行はスカイコムに関する1億ドル以上の決済を米国内で行ったとされており、米制裁に違反した可能性がある」

     

     

    資料によると、スカイコム株売却を報告してからかなり後も、ファーウェイがスカイコムとカニキュラ両社の経営権を握っていたと示唆するような関係性があったことが調査で明らかになっている。また、カニキュラによるスカイコム買収に対してファーウェイが資金を融通したことも発覚。

     

    こういった関係があったにもかかわらず、孟CFOはHSBCの幹部に対するプレゼンテーションで、スカイコムはイランでの「ビジネスパートナー」だと説明。司法省起訴状では、このプレゼンテーションは「多くの事実を曲げて伝えていた」とされている。起訴状によると、HSBCは17年頃に、ファーウェイに取引関係を打ち切ると伝えている。HSBCが、捜査に全面協力していることが動かぬ証拠固めになっている。

     

    米国務省のロバート・ストレイヤー次官補代理(サイバー・国際通信情報政策担当)は26日、ファーウェイが対イラン制裁違反や知的財産権窃取の疑いがあり、「同社がだましや詐欺を行ってきたことは周知の通りだ」とした。米国政府は、欧州企業が次世代通信網「5G」を導入しないよう、欧州各国を説得中である。こういう重要な時期に、仮にトランプ氏がファーウェイ副会長事件に介入するような事態が起ると、「5G」問題まで波及するという大問題になろう。

     

     

     


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    けさ、下記の目次で発行(有料)しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    文氏は南北統一に政治生命

    08年境に激変の韓国労組

    獅子身中の虫になった労組

    国内経済立て直しが急務へ

     

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの5月で、就任2年を迎えます。この間の政策で浮かび上がった目標は、南北統一への準備にあることが明白となりました。民族統一は、誰にも反対できないテーマです。文政権はこれを実現すべく、国内の保守勢力を徹底的に排除して弱体化させる。一方で、政権支持基盤の労働組合と市民団体の意向は、100%受入れる必要があると判断しているようです。

     

    文氏と与党「共に民主党」は、以上のような戦略を組んでいると見られます。その証拠に「100年政権」という構想を立てています。保守派に政権を渡さず、「共に民主党」が政権を維持するという前提です。こういう、非現実的な構想を練るほど、南北統一への夢に傾斜しています。この延長線で、「反日」を強化し保守勢力と結びつけて、同時に排除するという狙いが透けて見えるのです。

     

    最近の日韓問題は、文政権が南北統一目標実現の上で、国内保守派と「反日」を結びつける視点に基づいた動きでしょう。南北が融和して、軍事的な緊張関係が解ければ、米国との関係も希薄化します。それは、同時に日本との関係も見直しが起るでしょう。もともと日韓は同盟関係になく、米国を仲立ちにする間接的な関係です。韓国はいつでも、日韓関係を断ち切れるものと見ている節が感じられます。

     

    文政権が、以上のような戦略図を描いているとすれば、完全に北朝鮮の戦術に乗せられた動きでしょう。北朝鮮は金日成時代から、韓国にとって最大の後ろ盾が日米と見ていました。その日米が、韓国から距離を置くことは千載一遇の機会です。韓国の南北統一派と提携して、革命を起こすという計画が練られても不思議はありません。この大構想実現の第一歩として、韓国保守派=反日を一括りにして排除する必要があるのです。

     

    文氏は南北統一に政治生命

    文氏が、金正恩氏と三回の会談を経て意気投合した裏には、この南北統一大構想の話し合いがあったと見るべきでしょう。文氏が昨秋、訪欧して各国で金正恩氏の「代理人」のように振る舞って冷笑されました。北朝鮮への経済制裁解除を呼びかけて歩いたからです。各国の反応は、北の核放棄が先であろうと指摘されたのです。

     

    文政権にとって、南北統一への準備が最大の政治目標である以上、国内経済や日韓問題の立て直しの優先度が低くならざるを得ません。南北統一には、膨大な政治エネルギーが必要です。国民運動と同じ大掛かりものになります。朴槿惠・前大統領を弾劾に追い込んだような「ロウソク・デモ」が必要になります。労働組合と市民団体が、前衛的活動する必要があるのです。文政権は、この二大団体を引きつけて置かなければなりません。

     

    文政権が、二大団体を協力させるには、彼らの要求を満たさなければなりません。つまり、最低賃金の大幅引上げと原子力発電所の段階的な廃止です。国内的には、大変な反対論があり、韓国経済を混乱させています。だが、文政権はこれら政策の手直しをする動きを見せません。あくまでも押し通して、二大団体の利益を擁護する姿勢を貫いています。

     

    最低賃金の大幅引上げがもたらす混乱は、これまで一貫して取り上げてきました。文政権が、なぜ韓国経済を亡国に導く最悪政策にこだわっているのか。後で、その背景をさらに分析します。

     

    先ず、原子力発電所を廃止して自然エネルギーに変える構想が、韓国の場合いかに自然破壊をもたらすか。その点について取り上げます。

     

    太陽光発電では、地形の影響が発電実績に大きな影響を与えます。韓国では平地が少なく、傾斜地の山林を伐採して設置するほどです。こういう点が、太陽光発電が不利な点となっています。米カリフォルニア州の「トパーズ・ソーラー」と呼ばれる太陽光発電施設は、大平原にあります。太陽光の利用効率は24.%にも達します。これに対して、韓国の江原道寧越郡の太陽光発電所は、わずか17%の利用効率に止まります。(つづく)

     

     

     


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