韓国の次期大統領選は2022年。早くも、世論調査で候補者選びが始っている。与党「共に民主党」は、今後とも革新派政権を継続させる目的で、保守派に強力な圧力を加えている。「積弊一掃」という名の下に小さい理由でも付けて、司法当局へ告発しているのがそれ。だが、与党陣営で次期大統領候補と目されてきた有力者が、相次いで事件を起こし有罪判決を受け、刑務所に収監される騒ぎだ。一人は、婦女暴行罪(罪名は恥ずかしくて書けない)。もう一人は、世論操作の罪だ。韓国革新派の恥部を余すところなく暴露した。
『レコードチャイナ』(2月2日付)は、「2022年、ポスト文在寅は現前首相の争い、出馬予想政治家の支持率調査で接戦」と題する記事を掲載した。
2022年に行われる次期韓国大統領選挙の有力候補として、文在寅政権の李洛淵首相と朴槿惠政権の首相だった黄教安氏が早くも浮上してきた。最新の世論調査で2人の支持率は拮抗。保守系の黄氏は、大統領選を意識してか最大野党に入党し、文政権の経済政策などへの批判を強めている。
(1)「聯合ニュースによると、韓国の世論調査会社「リアルメーター」が1月29日に発表した22年の次期大統領への出馬が予想される政治家の支持率調査で、黄氏(元首相)が前月より3.6ポイント上昇して17.1%となり、初めてトップとなった。李首相は同1.4ポイント上がった15.3%で2位だった。調査対象は大統領選への出馬が予想される与野党の主な政治家12人の支持率。実施は21~25日で、全国の成人2515人を回答者とした。黄、李両氏が接戦の様相を呈す中、両氏以外の人物の支持率は下落した」
世論調査では、現首相の李氏と元首相の黄氏の二人が、他の人物を引き離して接戦状態になっている。政党別の支持率では、与党「共に民主党」と野党・自由韓国党の差は一桁内に接近した。与党有力者の相次ぐ不祥事が、与党支持の足を引っ張ったもの。これだけでなく、経済政策の失敗も重なっており、予断を許さない状況だ。
(2)「野党の『正義党』と『民主平和党』を含む進歩(革新)系与党陣営の支持層や無党派では李氏(21.2%)、保守系野党の『自由韓国党』と『正しい未来党』の支持層や無党派では黄氏(31.9%)がそれぞれ支持率トップだった。黄氏は元検察官で朴政権発足後の2013年、法務部長官に起用された。15年には首相に就任。国政介入事件などで国会が朴氏の弾劾案が可決した16年12月から、文政権が発足した17年5月まで大統領権限代行を務めた。リアルメーターが1月2日発表した次期大統領選の支持率調査では、李首相(13.9%)に続き、2位(13.5%)だった」
黄・元首相支持率:13.5%→17.1%
李・現首相支持率:13.9%→15.3%
現職首相が、元首相の支持率を下回るというのは、文政権の不人気度を表わしている。最低賃金の大幅引上げで、庶民の雇用を奪い失業させている政治は、どう見ても高い評価には値しない。国民は、文政権に見切りを付け始めたとも言えるようだ。
(3)「黄氏は1月15日、最大野党の自由韓国党に入党し、党代表選出馬を宣言。フェイスブックに『庶民経済の崩壊、直接見ました』という題名で投稿し、文政権を『経済を生かす政策ではなく経済を殺す政策を国民相手に実験している』などと非難した。聯合ニュースは黄氏について『乗り越えなければならない難題が山積している。朴氏の弾劾当時、大統領権限代行を務めた経歴は最高の政治資産になる得る半面、最大の弱点ともなる』と主張。『朴氏を支持する極右勢力が黄氏を中心に集まる可能性もあり、中道勢力が離れるなど、党の支持率に悪影響を与える懸念もある』との見方を示した」
私は、今なお朴槿惠・前大統領裁判を疑いの目で見ている。現政権が、司法に圧力をかけて収賄罪に仕立て上げたという強い疑念だ。結婚もせず、地味な生活を送ってきた朴氏が、莫大な収賄をする合理的な理由がない。次の記事(『朝鮮日報』1月28日付)が、その一端を明かしている。
「韓国の朴槿恵前大統領の弁護士だった蔡明星(チェ・ミョンソン)弁護士がこのほど、朴前大統領の弾劾、裁判過程を回顧した本を出した。『弾劾インサイドアウト』と題する本には弁論過程での裏話が一部盛り込まれている。それによると、朴前大統領が2017年3月21日に初めて被疑者として検察の取り調べを受けた際、突然すすり泣き、取り調べが中断する場面があったという」
「サムスンからの収賄についての検事の質問に対し、朴前大統領は『国のために夜も寝ずに3年間を苦労とも思わずに生きてきたが、わたしがそんな汚れたカネを受け取るなんて。なぜそんなに汚い人間に仕立てたいのですか』と言い、泣きだしたのだという。蔡弁護士は『事故が起きるのを恐れ、取り調べが一時中断された。大統領はあまりに悔しかったのだろう』と話した」
次期政権が保守党に変れば、「朴裁判」の真相が明かされるだろう。それを期待している。