勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年02月

    a0960_008779_m
       

    中国社会では、ファーウェイ(華為技術)事件で明らかなように、「技術泥棒」を奨励する風土があるにちがいない。そう思わざるを得ない事件が、またアップルで起った。

     

    改革開放(1978年)直後、中国から日本へ大量の工場視察団が訪れた。その際、日本の工場で器具が頻繁に盗まれた。中には、水道の蛇口が盗まれた話しも聞いた。中国人には、こういう性癖があるようだ。個人の持ち物には手を出さないが、工場などの備品や設備を持出しても罪の意識がないのだ。中国企業は、この中国人特有の心理を悪用し、技術スパイを唆しているのであろう。悪質である。中国企業は窃盗集団という批判を浴びかねない。

     

    『大紀元』(2月1日付)は、「FBI、情報窃盗でアップル社中国人社員を逮捕、『漏洩すれば壊滅的な影響』」と題する記事を掲載した。

     

    米連邦捜査局(FBI)はこのほど、アップル社の中国人技術者、陳紀中氏を、機密情報を窃盗した疑いで逮捕した。昨年7月、同社元社員1人が同じ容疑で逮捕された。ブルームバーグが30日に伝えた。

     

    (1)「FBIがカリフォルニア州サンノゼ市の裁判所に提出した訴状によると、111日、アップルの社員が、陳氏がアップルの自動運転技術の研究開発を行う秘密施設内で、広角レンズ付きカメラで写真撮影しているところを目撃した。陳氏は6カ月前アップルに入社した当時、同社の守秘義務契約に署名した

     

    6ヶ月前にアップルへ入社した中国人社員が、技術窃取して中国へ帰国するところを逮捕された。最初からスパイ目的の入社である。トランプ大統領は、「中国人はみんなスパイ」と言い放って物議を醸した。経済スパイが、こうして連続で摘発されるところを見ると、トランプ発言の真意が分る気もするのだ。

     

    (2)「検察側によると、陳氏はアップル社内での写真撮影、設計図など自動運転技術に関する2000件以上のデータや文書を個人所有のパソコンに保存したことを認めた。陳氏は、中国国内の自動運転車メーカーに転職しようとしていたという。アップル社は、陳氏が盗み出した情報が漏えいすれば、同社に『破滅的な影響を与える』と示した。ブルームバーグによると、FBIは先週、陳氏が中国に帰国する前日に逮捕に踏み切った」

     

    入社半年で2000件以上のデータや文書を盗み出したとは、驚くべき凄腕である。相当のベテラン社員であろう。欲に目がくらんだこの一件で、長期の刑務所生活が始る。愚かなことをやったものだ。ファーウェイ副会長は詐欺罪容疑で、20年以上の懲役刑が予想されるという。技術窃取というスパイ行為は、もっと罪状が重くより長期の刑務所暮らしになるのか。

     

    (3)「FBIは昨年7月11日、機密商業情報を盗んだとしてアップルの元社員、張暁朗氏を身柄拘束した。張氏はアップル社の自動運転技術関連技術を盗んだ後、転職先である中国のスタートアップ企業である『小鵬汽車』に同情報を渡したとされている。トランプ米政権は、中国当局による米企業への知的財産権侵害、強制技術移転、技術窃盗に対して取り締まりを強化している」


    中国の最高指導部は、「技術寡占」に反対するとの発言を繰り返している。習近平氏と王岐山氏である。国家主席と副主席コンビが、揃ってこういう認識だ。技術を教えてくれない以上、技術窃取は当然という言い方にも聞える。恐ろしい国が現れたものだ。まさに、「他人のモノは自分の物」という中国社会の底流意識を表わしている。


    a0960_008779_m
       

    不動産バブルによる金融システム障害は、民営企業の経営を一段と悪化させている。典型的なバブル崩壊後の現象だ。財新/マークイットが1日発表した1月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.3(昨年12月は49.7)と、節目の50を2カ月連続で下回り、約3年ぶりの低水準となった

     

    中国では、PMIは二種類発表されている。国家統計局の調査と、この財新/マークイットによるものだ。前者の調査対象は、大企業のウエイトが高い。後者は、企業規模がやや小さく民営企業のウエイトが高い。財新/マークイットの調査結果が、中国経済の実態をよりリアルに表わしている。

     

    『ロイター』(2月1日付)は、「中国製造業PMI、1月は財新も2カ月連続で50割れ、予想下回る」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「国家統計局が前日に発表した1月の製造業PMIも、50を2カ月連続で下回っていた。今回の指数と合わせると、年初の同国経済の成長は予想通り引き続き勢いを失っており、政府による一連の民間セクター支援策にもかかわらず中小企業が最も強い圧力にさらされていることが示された」

     

    中国国家統計局による1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5。昨年12月の49.4より若干の改善の改善であった。だが、財新/マークイットの調査結果は、48.3(昨年12月は49.7)と国家統計局調査よりも厳しい実態が浮き彫りになっている。現在の景気減速では、民営企業により強くその影響が出ていることを表わしている。金融的な条件が、それだけ劣っていることでもある。

     

    中国は、すでに信用収縮という最悪事態にはまり込んでいる。金融機関は、貸付けても確実な返済が見込めない顧客への融資を渋っている。金融機関が、不良債権を抱える事態になれば、自らの資本へ毀損を招き体力を疲弊し「共倒れ」になるからだ。

     

    (2)「今後の動向を示唆する新規受注も2カ月連続で節目を下回り、47.3となった。2015年9月以来の低水準。3年ぶりの大幅な値引きも奏功せず、市場の需要が弱いことが鮮明になった。需要の低迷が打撃となり、生産指数は2年7カ月ぶりに50を割り込んだ。雇用は5年3カ月連続で縮小、購買活動は1年8カ月ぶりに縮小した。 CEBMグループのマクロ経済分析ディレクター、Zhengsheng Zho ng氏は、『全体として、カウンターシクリカル(反景気循環的)な経済政策は著しい効果をもたらしていない』との見方を示した」

     

    このパラグラフの内容は、身につまされるような厳しい内容である。

        新規受注も2カ月連続で節目を下回り47.3。2015年9月以来の低水準

        生産指数は2年7カ月ぶりに50を割り込む

        雇用は5年3カ月連続で縮小

        購買活動は1年8カ月ぶりに縮小

     

    先行きを示す新規受注が47.3と50をかなり割込み、PMI全体の48.3を下回っている。いかに受注減になっているかを示している。

     

    雇用が5年3ヶ月連続で縮小しているのも驚きである。高い賃金で採算が合わず、ロボット導入をしているのであろう。

     

    購買活動が1年8ヶ月ぶりの縮小とは、「仕入れ」規模を縮小したこと。これは、他企業へスパイラル的に影響し経済活動が自動的にダウンする意味だ。手元在庫の整理であるから、この事態になると景気は急激な落込みになる危険性を帯びている。幅広い在庫調整が始ったもので、警戒すべき段階だ。

     


    a0960_006621_m
       


    習近平氏は、進退に窮する局面にぶつかっている。自ら唱道した国有企業主体の産業構造が、中国の経済構造を政治と癒着化させしまった。習氏の権力維持には好都合としても、その裏でどうにもならない事態にぶつかっている。

     

    それは、市場経済ルールを軽視・抑圧した結果、経済の「自然治癒力」が消失したことである。市場機構を活用すれば、非効率なものは自然に淘汰されて調整が旨く進むものだ。現在は、すべて共産党という政治権力の「御札」が付いているので、自然淘汰できない仕組である。こうして、膨大な無駄が澱となって、中国経済の活力を奪っている。

     

    習氏は1月21日、地方や中央政府のトップを北京に集めて学習会を開き、「我々は変化の激しい国際情勢や複雑で敏感な周辺環境に直面しており、高度な警戒を保たなければならない」と訴えた。習氏はその際、警戒すべきリスクとして「『ブラックスワン』だけでなく『灰色のサイ』も防がなければならない」と強調したという。

     

    「ブラックスワン」はリーマン危機のようにめったに起こらないが、いったん発生すれば極めて大きな影響を及ぼす問題をさす。一方、「灰色のサイ」は起こる確率が高いものの、だれも何もできずに見ているしかないリスクを意味する。これは、きわめて意味深である。習氏は、「ブラックスワン」と「灰色のサイ」を何に喩えていたのだろうか。

     

    「ブラックスワン」は、国民の不満爆発である。失業率の上昇による雇用喪失が、国民の怒りを誘発する。絶えず、国民の不満を抑圧してきた中国だけに、「圧力釜」はいつまでも有効であるはずがない。箍(たが)はいつか外れる。歴代の皇帝はそうやって座を失ってきたのだ。共産党だけが例外であるはずがない。

     


    「灰色のサイ」は、不動産バブルの崩壊であろう。すでに中国の抱える総債務が対GDP比で300%を超えた。国際金融協会(IIF)のティモシー・アダムズ最高経営責任者(CEO)は、中国で政府、民間、金融部門を合わせた債務は、2018年79月時点でGDP比約300%にのぼると指摘した。10年前の09年時点では約200%。10年間でもはや処理不可能な債務を抱えている。習氏は、この過剰債務を無傷で減らせる妙案があるだろうか。あるはずがない。

     

    結局、「灰色のサイ」は「ブラックスワン」を誘因する可能性がきわめて高いのだ。この両者は、盾(たて)と矛(ほこ)の関係にある。習氏は、国家主席の2期10年の任期制を廃してほくそ笑んでいたかも知れない。だが、そのうれしさも時間が経ち、気が付いたら大きな淵に立たされている自分の姿を自覚したのだろう。習氏は、絶体絶命の状態に追い込まれている。ここからの脱出方法は、毛沢東の『矛盾論』の中に書いてある。共産党を捨てることだろう。毛沢東は、共産党が中国の発展に障害となれば、共産党を解党すべきとしている。

     

    『日本経済新聞』(1月31日付)は、「中国にはもう頼れない 経済減速、進出企業に影 」と題する記事を掲載した。筆者は、シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院准教授のジェームス・クラブツリー氏である。

     

    (1)「グローバル企業が中国の急成長に頼れる時代は終わりに近づいているかもしれない。自動車の米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)は、最近まで中国販売が絶好調だった。今は苦境にある。高級ブランドもフランスのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンと、グッチを傘下に持つケリングの株価はアップルのニュースを受け暴落した。外国企業でも繁栄を続けるところはあるだろう。中国は米国との貿易戦争で味方を求めている。ドイツや日本の一部企業を従来より歓迎するかもしれないという話も、もっともらしい」

     

    中国は、市場としての魅力が減ってきたと指摘している。欧米企業は、軒並み苦戦している。市場の成長率が低下しているほかに、産業保護主義がはびこっている結果だ。習氏は、自由貿易を唱えているが、それは真っ赤な噓である。重商主義を貫いている。

     

    (2)「最善のシナリオは、(中国の)成長率が徐々に6%未満に下がっていくことだろう。徐々に移行することは、短期でも貿易戦争で難しくなりそうだが、長期ではさらに悪化しそうだ。急速な少子化やインフラ投資が残した膨大な負債により、もっと劇的に失速する危険が明白にある。中国政府には経済を再び活性化し、外資をもっと活動しやすくさせる広範な政治改革を導入する気配がほとんどない。在中国EU(欧州連合)会議所のイエルク・ブトケ元会頭は『“開放”はほんの少し。中国の政策は多くの多国籍企業にとって5、10年前より、ますます受け入れがたくなっている』と話す」

     

    中国の経済成長率が、徐々に下がってゆくのがベターなシナリオだが、そうならないのだ。これまでの投資主導経済で過剰融資を抱えている。もはや、これ以上の債務による成長は不可能である。そこで、投資を抑えれば、成長率がガクンと落ちる。個人消費でのカバーが困難であるからだ。よって、投資抑制はストレートに経済成長率を急減速させる危険性が高い。

     

    これを、少しでも抑えるには市場を解放することだ。そうなると、国有企業の経営に影響が出る。国有企業は共産党の利権の網が張られている。だから、利権を損ねる市場開放が不可能という結論だ。中国共産党は臆病な政党である。自らの権益を犯されることに過敏である。こうして、中国経済は袋小路に入っていく。

     


    a0960_006602_m
       

    不動産バブル経済は、判で押したような行動をする。中国は、バブル・マネーを利用して、米国のホテルや商業用ビルの買収を行なったが、持ちこたえられずに売却している。日本も平成バブル時、ニューヨークの商業用不動産に食指を動かし話題を呼んだ。最後は、買収ビルの一部を残して売却の羽目に陥った。三菱地所が1989年、ニューヨークのロックへラービルの買収をした時の話しである。

     

    中国は、昨年それまでの動きとは一転して、米国の商業用不動産の売却に動いている。これは、中国企業の資金繰り悪化のほかに、中国政府がドル資金回収を命じた結果である。外貨準備高3兆ドル台維持が至上課題であり、金目の物はドルに換えさせる切羽詰まった行動と見られる。中国の台所事情(外貨準備高)が透けて見えるのだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月30日付)は、「中国マネー、米商業不動産市場からの撤退加速」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「2018年の中国による米商業不動産の純購入額は、2012年以来の低水準に落ち込んだ。これは中国政府が経済成長の鈍化を背景に、自国投資家に国内への資金還流の圧力をかけ続けているためだ。調査会社リアル・キャピタル・アナリティクスによると、2018年第4四半期には、保険会社、多国籍企業、その他の中国本土を基盤とする投資家らの米商業不動産売買は85400万ドル(約930億円)の売り越しとなった。中国投資家の米不動産の売り越しは3四半期連続。これほど長期にわたって中国投資家が売り越したのは、これが初めてだ

     

    2018年は、中国の投資家が一斉に米国不動産を売却した年である。それ以前の5年間は、買い一方であったが売りに回った。ただ、投げ売りということでなく、利益は確保しているという。人民元安が寄与したからだ。

     

    (2)「2018年の傾向は、それ以前の5年間からの著しい逆転と言える。中国の投資家らはそれまで猛烈な買いあさりを見せ、米国の象徴的不動産の買い付けで、しばしば競争相手を易々と打ち負かしていた。ニューヨークのウォルドーフ・アストリアのような高級ホテルやシカゴの超高層ビル開発事業、カリフォルニア州ビバリーヒルズの豪華な住宅開発プロジェクトなどに数百億ドルもの資金を投じていたのだ。現在、海外不動産を投資対象とする中国大手投資家の多くは、こうした戦利品のような不動産について、一部を売却するか、少なくとも新たな投資パートナーへの持ち分売却によってリスクを減らすなどの行動に出ている」

     

    中国資本は、リスクを少なくする方法を講じているが、この裏には米中の「冷戦」という安全保障の問題が横たわっているようだ。もし、米国が在米中国資産の「接収」という事態が起った時を想定した動きのようにも見られる。米中対立は、これだけ深刻であることを物語ってもいる。

     

    (3)「18年の方向転換は、中国政府による通貨安定化、企業債務削減、経済成長鈍化の抑制に向けた海外投資制限などの政策努力を反映している。中国の一部開発業者は現在、国内で厳しい資金調達環境に直面するなか、米国に保有していた不動産の一部を売却することで代替資金を調達しようとしている。アナリストらによれば、一触即発状態となっている米中間の貿易面や政治面の対立もまた、中国企業にとって米国を居心地の悪い場所にしている

     

    中国国内の資金調達は、信用機構の目詰まりによって難航している。金融機関が、資本の棄捐によって「資本勘定」に穴が開き始めているからだ。これを反映して、企業は金目の物は資金化するという混乱状態に陥っている。日本も戦後の混乱時には、銀行からの融資が困難で金目の物を現金化して糊塗した歴史がある。中国では、こういう事態になっているのだろう。情報遮断で推測するしかない。

     

    (4)「中国による米不動産市場からの撤退は、世界第2の経済大国の成長鈍化が世界に影響をもたらし、金融市場を混乱させ、企業利益を少なくさせていることを示す新たな兆候だ。中国は最近、18年の経済成長率が6.6%だったと発表した。これは年成長率としては1990年来最悪の数字であり、中国政府の予想を超える減速であることを示している。中国当局は当面は資本規制を緩めそうにない。このため、アナリストは2019年も、中国人投資家が米不動産を売却する流れが続くとみている」

     

    中国は、一時のバブル景気で米国不動産市場へ触手を伸ばした。それも今は、尻尾を巻いて中国へ逃げ帰った感じだ。中国が再び、輝ける「チャイナマネー」として跋扈する時代は来るだろうか。残念ながら、もはやその機会はないだろう。理由は、中国の直面する潜在成長率の急低下である。合計特殊出生率(一人の女性が生む子どもの数)が、すでに1を割り込んでいる。こういう国家の経済は、衰退の一語に尽きる。習氏がいかに豪語して、必ず世界覇権を手にする。そう言ったところで、実現する可能性はゼロ。これが、経済の原則である。


    a0005_000144_m
       

    朴槿惠・前政権は、弾劾裁判で退陣するという不名誉な幕引きであった。当時の与党は分裂して支持率は下落、見る影もない零落した姿を見せていた。与党「共に民主党」と最大野党の自由韓国との支持率が一時、40%ポイント台まで広がっていた。ワンサイドゲームである。ところが、文在寅政権と与党は、「積弊一掃」の名の下に、前政権関係者を司直の手に渡し、5人もの自殺者を出す「弾圧型」政治を行なってきた。

     

    こういう痛ましい犠牲者を出しながら、経済政策は効果を上げないどころか、失業者を増やす政治を行ない、反省の色はゼロである。言い訳に終始しており、経済減速の「ガン」である最低賃金の大幅引上げを修正する動きも見せない政府である。

     

    政権を取ったら何をやってもいいという「勘違い政治」に驚く。韓国独特の「独善主義」に基づくものだ。自分のやっていることは正しい。間違っているのは相手だ。こういう箸にも棒にもかからない「道徳主義」がはびこっている国である。自分には甘く他人に厳しい「独りよがりな政治である。自己反省のない道徳主義ほど、始末が悪いものはない。

     

    『中央日報』(1月31日付)は、「韓国与党の支持率37.8%、野党・韓国党との差が1けたに」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「与党・共に民主党と野党・自由韓国党の支持率の差が文在寅政権に入って初めて1けたに縮まったという世論調査の結果が31日、発表された。世論調査専門機関リアルメーターが発表した。民主党の支持率は37.8%、韓国党の支持率は28.5%となった。民主党の支持率は3週連続で落ちた。リアルメーターは、『民主党の支持率低下は金慶洙(キム・ギョンス)慶南知事の拘束の影響と分析される』と説明した。

     

    金氏は、前回大統領選でインターネットの情報操作を行なって、2年の実刑判決を受けた。革新政党の看板を掲げながら、やっていることは保守党以上の汚い選挙戦であった。文氏のインターネット上での支持率は、選挙期間後半に一貫してトップであり、下がってもすぐに回復するという不思議な動きを見せていた。大統領選は、41%の得票率である。インターネットでは、断トツの強味を発揮していた点と乖離があった。裏で、世論が操作されていたのだ。この事件では、金氏が主犯と認定された。

     

    与野党の差が、1桁以内に接近してきたことは歓迎すべきである。与党は、やりたい放題であり、反日の旗を振ってきた政党である。野党は、日韓の離間が韓国にとって不利益をもたらすと指摘し続けている。


    (3)「リアルメーターは、『韓国党の支持率上昇は黄教安(ファン・ギョアン)元首相、呉世勲(オ・セフン)元ソウル市長、洪準杓(ホン・ジュンピョ)前代表の党代表選関連報道の増加、金慶洙知事の拘束によるものと考えられる』と分析した。先週12ポイントだった両党支持率の差は、今回9.3ポイントに縮まった。文在寅政権に入って民主党と韓国党の支持率の差が1けたになったのは今回が初めて。政府発足直後の2017年5月に40ポイント台だった両党の支持率の差は徐々に狭まり、昨年11月から10ポイント台、今回の調査では10ポイント未満に縮小した」

     

    与野党の支持率の差は、次のような推移である。

    2017年5月に40ポイント台

    昨年11月から10ポイント台

    今回は1桁

     

    自由韓国党は、党代表を選ぶ選挙運動中である。メディアで報じられる機会が増えて、支持率を高めている点はあろう。昨年11月以降、支持率の差がぐっと縮まっていることは、注目すべきである。自由韓国党の新代表が決まれば、与野党の差はさらに縮まる可能性があろう。そうなった場合、文政権への風当たりは強くなろう。

     

    (4)「文大統領支持率は先週より0.2ポイント落ちた47.5%で、3週連続で小幅下落した。不支持率は1.5ポイント上昇して47.2%である」

    文氏は現在、支持と不支持が拮抗している。自由韓国党の支持率が高まれば、不支持率に大きく傾くケースが想定される。今が、正念場である。


    このページのトップヘ