中国社会では、ファーウェイ(華為技術)事件で明らかなように、「技術泥棒」を奨励する風土があるにちがいない。そう思わざるを得ない事件が、またアップルで起った。
改革開放(1978年)直後、中国から日本へ大量の工場視察団が訪れた。その際、日本の工場で器具が頻繁に盗まれた。中には、水道の蛇口が盗まれた話しも聞いた。中国人には、こういう性癖があるようだ。個人の持ち物には手を出さないが、工場などの備品や設備を持出しても罪の意識がないのだ。中国企業は、この中国人特有の心理を悪用し、技術スパイを唆しているのであろう。悪質である。中国企業は窃盗集団という批判を浴びかねない。
『大紀元』(2月1日付)は、「米FBI、情報窃盗でアップル社中国人社員を逮捕、『漏洩すれば壊滅的な影響』」と題する記事を掲載した。
米連邦捜査局(FBI)はこのほど、アップル社の中国人技術者、陳紀中氏を、機密情報を窃盗した疑いで逮捕した。昨年7月、同社元社員1人が同じ容疑で逮捕された。ブルームバーグが30日に伝えた。
(1)「FBIがカリフォルニア州サンノゼ市の裁判所に提出した訴状によると、1月11日、アップルの社員が、陳氏がアップルの自動運転技術の研究開発を行う秘密施設内で、広角レンズ付きカメラで写真撮影しているところを目撃した。陳氏は6カ月前アップルに入社した当時、同社の守秘義務契約に署名した」
6ヶ月前にアップルへ入社した中国人社員が、技術窃取して中国へ帰国するところを逮捕された。最初からスパイ目的の入社である。トランプ大統領は、「中国人はみんなスパイ」と言い放って物議を醸した。経済スパイが、こうして連続で摘発されるところを見ると、トランプ発言の真意が分る気もするのだ。
(2)「検察側によると、陳氏はアップル社内での写真撮影、設計図など自動運転技術に関する2000件以上のデータや文書を個人所有のパソコンに保存したことを認めた。陳氏は、中国国内の自動運転車メーカーに転職しようとしていたという。アップル社は、陳氏が盗み出した情報が漏えいすれば、同社に『破滅的な影響を与える』と示した。ブルームバーグによると、FBIは先週、陳氏が中国に帰国する前日に逮捕に踏み切った」
入社半年で2000件以上のデータや文書を盗み出したとは、驚くべき凄腕である。相当のベテラン社員であろう。欲に目がくらんだこの一件で、長期の刑務所生活が始る。愚かなことをやったものだ。ファーウェイ副会長は詐欺罪容疑で、20年以上の懲役刑が予想されるという。技術窃取というスパイ行為は、もっと罪状が重くより長期の刑務所暮らしになるのか。
(3)「FBIは昨年7月11日、機密商業情報を盗んだとしてアップルの元社員、張暁朗氏を身柄拘束した。張氏はアップル社の自動運転技術関連技術を盗んだ後、転職先である中国のスタートアップ企業である『小鵬汽車』に同情報を渡したとされている。トランプ米政権は、中国当局による米企業への知的財産権侵害、強制技術移転、技術窃盗に対して取り締まりを強化している」
中国の最高指導部は、「技術寡占」に反対するとの発言を繰り返している。習近平氏と王岐山氏である。国家主席と副主席コンビが、揃ってこういう認識だ。技術を教えてくれない以上、技術窃取は当然という言い方にも聞える。恐ろしい国が現れたものだ。まさに、「他人のモノは自分の物」という中国社会の底流意識を表わしている。