勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年03月

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     韓国は、8人の長官(大臣)の交代人事を発表した。先の米朝会談決裂を事前に把握できなかった外交・安保のトップは、予想外にも留任となった。韓国メディアからは強い批判が浴びせられている。いずれも、実績より文大統領からの「受け」が良かった結果と見られている。

     

    韓国の外交・安保トップの能力不足問題は、日本の河野外務大臣が、米朝首脳会談直前、「進展は難しい」という情報を得ていたことを日本の国会で答弁して明らかになったことも影響している。

     

    「河野外相が8日、2回目の米朝首脳会談に関し、米国側から事前に進展は難しいという言葉を聞いていたと伝えた。NHKなどによると、河野外相はこの日の衆議院外務委員会で「(米朝首脳が)合意に至らなかったことは残念だが、事前の実務協議の段階で『なかなか進展は難しい』ということを日米で共有していた」と明らかにした。『中央日報』(3月9日付け)が伝えたもの。

     

    米朝首脳会談について、日米は情報を共有していた。だが、韓国は蚊帳の外にいたわけである。韓国は、日本以上に情報収集に動かなければならない立場であるにもかかわらず、こういう結果になった理由は何か、だ。米韓関係が冷え切っている点が第一に想像できる。米韓が共同して北朝鮮に当らなければならない局面で、韓国は南北融和に大きくカジを切ってしまい、協調関係を乱している。

     

    文大統領は、米朝首脳会談の失敗を深刻に受け止めれば、外交・安保のトップを変える人事を行なうはずだが続投させた。真意が訝られているのだ。

     


    『中央日報』(3月9日付け)は、「
    理解しがたい韓国政府の外交安保ライン人事」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「昨日の内閣改造で最も残念なのは、問題が多い外交・安保ラインに手を加えずほとんど留任させた点だ。2017年5月の文在寅(ムン・ジェイン)政権発足と同時に起用された康京和(カン・ギョンファ)外交部長官と鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は1年10カ月間の在任期間中、情報力と判断力が不足して非核化や対日関係などで少なからず外交的失敗をしたという評価を受けている。特にベトナム・ハノイでの2回目の米朝首脳会談を控え、2人は会談当日まで米国などパートナーとの情報共有が十分でなく判断を誤ったと伝えられた。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は会談の結果を楽観し、文大統領が米朝首脳の署名式をテレビで見守るイベントまで準備していたという。これは2人に相当な責任がある」
     
    康京和外交部長官は、もともと外交官出身でなく、国連の通訳官であった。英語はネイティブ並みで見事である。だが、「英語の専門家」であっても外交は素人に過ぎない。常に、批判が絶えず、内閣人事のたびに更迭の噂が出る人物だ。米国要人の懐に飛び込む、情報をかき集める能力には不足があるのだろう。

     


    (2)「ワシントンの雰囲気は尋常でない。米上院の対北朝鮮政策を主導する外交委員会のガードナー東アジア・太平洋小委員長は先日、「今は北朝鮮が非核化するまで最大限の圧力を追求する時」とし『これは、平壌(ピョンヤン)の行動に変化がない中でも南北協力を熱心に追求しようとするわが友人の韓国に送るメッセージ』と述べた。北朝鮮がミサイル基地復旧の動きを見せる中で経済協力のアドバルーンをあげている韓国政府に警告したのだ」

     

    韓国政府の、南北交流事業への熱意はきわめて強い。これをテコに国内景気立て直しという「一石二鳥」を狙っている。この政治的な思惑先行が、米韓関係悪化の主因である。米国の韓国への感情は、怒りに変っている。

     

    (3)「与党はハノイ会談の決裂後、『文大統領が米朝間で仲裁者の役割をすべきだ』と声を高めてきた。しかし米国との疎通で問題点を表した外交部長官・安保室長は留任させ、制裁でなく経済協力を主張する人物を統一部長官に起用すれば、仲裁どころか平壌の誤った判断とワシントンの疑心をさらに招いて事態がこじれてしまう。韓国政府はワシントンと国際社会の一致した対北朝鮮圧力基調を直視し、対北朝鮮政策の基調を現実的に修正する必要がある」

     

    文大統領自身が、北朝鮮の核放棄の判断を間違えている。金正恩氏の発言を鵜呑みにしており、北に核放棄させることがいかに難しいか、その認識がゼロなのだ。こういう大統領の下に付く外交・安保ラインだから、この程度の「軽量人事」でお茶を濁しているのであろう。要するに、似たもの同士なのだ。

     


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    米中首脳会談は、3月下旬の開催が有力であった。だが中朝首脳会談後、風向きが変って来た。トランプ氏が、米朝首脳会談で席を立って物別れになったからだ。習近平氏が、金正恩氏と同じ立場になったら、メンツ丸つぶれになる。中国国内の習氏の威厳は急降下する。そんなリスクを負ってまで、3月中の会談をする必要はない、というものだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月9日付け)は、「米中貿易交渉行き詰まり、米朝会談決裂が伏線」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米中貿易交渉が再び暗礁に乗り上げている。中国政府の考えに詳しい複数の関係者によると、中国当局者は、両国の確実な合意案がまとまらないうちに首脳会談を行うことを躊躇している。1週間前、両国は草案での合意が間近と見られていた。だが関係者によると、先にベトナムで行われたドナルド・トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の首脳会談が決裂したことで、中国指導部に動揺があるという」

     

    ベトナム・ハノイでの中朝会談では、トランプ氏が大向こうを唸らせる「千両役者」となった。正恩氏は、すっかりプライドを汚されたショックで、ミサイル発射の準備のような動きをして、トランプ氏の気を引き始めている。

     

    中国は、この様子を眺めて「いい加減な気持ち」で米中会談に臨んだら「第二の正恩」になりかねない、と急に会談を警戒する姿勢になってきたという。

     


    (2)「トランプ氏は米朝会談で協議を打ち切り、会談の場から立ち去る決断をした。関係者によると、中国当局者はこれを受け、習近平国家主席がフロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の別荘「マールアラーゴ」で今月中に会談に臨めば、一方的な要求をのむか拒むかを迫られかねないとの懸念を強めた。そのため、中国指導部の考えを知る関係者の見解では、中国側は米中首脳会談を模索するに当たり、崩壊する恐れのある最終的な交渉協議ではなく、署名式に近い形式的なものにすることを望んでいる

     

    中国側は、最終的な交渉協議でなく「署名式」という軽いものにしたい意向を見せ始めた。これは、中国が最終的な「意志」を固めていない証拠だ。テリー・ブランステッド駐中国米大使は8日、米中貿易摩擦の解決に向けた首脳会談の日程はまだ決まっていないと述べた。両政府とも合意まで間近とは考えていないためという。米中の間には、まだ溝が残されている。その溝とはなにか。「中国製造2025」であろう。

     


    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月6日付け)は、「中国製造2025の退場、消えたのは名ばかりか」と題する記事を掲載した。

     

    米中貿易摩擦の大きな火種となっていた「中国製造2025」が正式に表舞台から消えた。だが、姿を消したのは名称だけのようだ。

     

    (3)「李克強(リー・クォーチャン)首相が5日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で100分近くにわたって行った政府活動報告では、中国製造2025への言及が全くなかった。ハイテク産業育成策である中国製造2025は、李首相が過去3年に行った政府活動報告では中核を占めていた。李首相は一方で、政府は先端製造業を推進すると表明。育成対象の新興産業として、次世代の情報技術(IT)や高性能機器、生体臨床医学、新エネルギー車などを挙げた。ただ、これらは中国製造2025でも重点産業として盛り込まれており、中国製品を優先購入する『バイ・チャイナ』と似た目標も掲げている」

     

    李首相は、演説で「中国製造2025」という言葉が消えたものの、それに代わって「中国の製造業強化を目指す取り組みを加速する」(「バイ・チャイナ」)と表明した。これは、「中国製造2025」を継続する意味である。この発言で、中国が米国からの「政府主導経済モデル」変更への要求に応じない意志と見られる。

     

    (4)「中国当局はトランプ政権からの圧力を受け、中国製造2025を外資系企業へのアクセス拡大を約束する新たなプログラムに置き換えることで合意した。苗ウ・工業情報化相は5日、記者団に対し、中国の産業政策は将来、『競争上の中立性』の方針を守ると述べた。競争上の中立性とは、トランプ政権が北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の際に主張していた原則だ。この原則の下では、政府が国有企業を民間企業よりも優遇することを禁じている」

     

    中国は、実質的に「中国製造2025」を継続する。だが、「競争上の中立性」によって、政府が国有企業を民間企業よりも優遇することはしないとしている。問題は、この「競争上の中立性」がいかに担保されるか。違反したら罰則はつくのか。ここが、キーポイントだ。

     


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    文在寅大統領の頭は、100%北朝鮮で占められている。半年前は、80%程度で内政にも関心を見せていた。文氏の戦略は、南北交流事業を通して韓国経済を軌道に乗せるという方向に切り替わっている。だから、文氏の頭は100%北朝鮮マターで一杯なのだろう。

     

    文氏の北朝鮮への傾斜は、米国との摩擦を生んでいる。米政府高官は8日、東京都内で記者会見し、「北朝鮮は完全非核化まで制裁緩和を期待すべきではない」と強調。北朝鮮が米側に容認を求めているとみられる南北経済協力の再開についても否定的な見解を示した。こうなると、米韓関係は隙間風が吹く。日本の外交筋では、文政権が米国から離れて中国へ接近しているという、見方まで広がっているという。

     

    これに、東京駐在に韓国人記者が危機感を募らせている。

     

    「日本では、韓国の文在寅大統領が北朝鮮との関係ばかりを重視し、米国のトランプ大統領は全てをカネでしか勘定せず、米韓同盟は危険水位に達しているという認識が広がっている。毎日、東京の空気を吸いながら取材していて、このところ『韓米関係に問題がある』という発言をよく聞く」(『朝鮮日報』(3月9月付け)「韓国は米国の同盟国ではない」)

     


    文氏は、南北交流事業に政治生命を賭けている。それは、北朝鮮の金正恩氏が絶対にウソをつかず、非核化に向けて段階的な努力をしていると信じ切っているからだ。同胞だから、韓国にウソを言わないという前提だが、これは大甘である。過去、韓国はどれだけ北朝鮮に騙されてきたか。文氏は、正恩氏に対して完全に警戒観を捨てている。文氏の構想は、南北が交流し、その先で中国をバックにした旧朝鮮李朝の復活であろう。

     

    『朝鮮日報』(3月9日付け)は、「韓国の開城・金剛山推進案を一言で拒否した米国」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「開城工業団地や金剛山観光に対する制裁免除を検討するかという(記者の)質問に、米国務省の当局者はたった一言「ノー」と答えた。特に理由や背景の説明をすることもなかった。一片の可能性も無い、という意味だろう。開城工業団地と金剛山観光再開問題は、ハノイの第2次米朝首脳会談が決裂した翌日、韓国の文在寅大統領が「米国と協議したい」と表明したもの。つまり、同盟国の首脳が公に言及した提案を、米国は直ちに拒否したのだ。米国の方針は既に決まっているので、韓国政府はこの問題でこれ以上面倒を起こさないでほしい、という意味を含んでいる」

     

    実際、文大統領の意向を受けて急ぎワシントンに飛び、戻ってきた外交部の当局者は、「開城工業団地、金剛山観光」再開協議の結果を明かさなかった。米国側の反応をそのまま伝えることは、到底できなかっただろう。

     


    (2)「韓国統一部は、『開城工業団地、金剛山観光再開の方策を整備し、対米協議を準備したい』と言い、政権与党の関係者らは『金剛山観光、開城工業団地再開を通して米朝仲裁をけん引すべき』と求めている。大統領一人だけでなく、集団的に分別を失ってしまった。どうかすると、こうした韓国の動きに対し、米国の関係者は『ジョークではないのか』という反応を示しているという」

     

    米議会上院外交委の東アジア・太平洋小委員長は、「北朝鮮に対する最大の圧迫」を強調した上で「このメッセージは、平壌の変化がないにもかかわらず南北協力ばかり追求しようとする韓国に対するもの」と語った。文在寅政権に警告したのだ。経済制裁の維持は、北朝鮮に核を放棄させる上で不可欠である。北朝鮮が話し合い路線に乗ってテーブルに着いたのも、経済制裁という圧力が効いた結果だ。

     

    文大統領だけでなく、与党まで経済制裁解除に夢中になっている。この裏には、核付きを容認してでも南北統一への足がかりを確保したいのだ。現に、与党の一部には北の核を容認して統一し、日本へ対抗するという「反日動機」が潜んでいる。統一を果たした後は、中国へ接近する。名実ともに旧李朝として中国との関係を復活させる構想だろう。

     

    外交部(外務省)では機構改革を行い、「中国課」を独立させる一方、日本はオーストラリアなどと一緒の「東アジア課」として残し、日中を差別する案が検討されている。徹底的に日本と対抗しようという計画だ。これが、韓国経済へ疲弊をもたらすことは間違いない。



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    ファーウェイ(華為技術)は、これまで米国政府に追いまくられてきたが逆に提訴した。ファーウェイ製品が、米国国防権限法で理由も開示されず、販売禁止措置を受けたのは違法というもの。米国裁判所がどう裁くのか。ファーウェイに勝算はあるのか注目されている。

     

    ファーウェイ製品は、米国市場で占めるシェアは、1%以下と微々たるもの。あえて損害を申し立てる理由に乏しい。そこで提訴の理由は、「私権剥奪」という。中国では、「私権剥奪」は日常茶飯事だが、ありがたいことに中国企業は、これを理由に米国政府を訴えられる。中国では考えられない裁判が始るのだ。

     

    ファーウェイは敗訴の場合、受けるダメージは大きくなる。安全保障上の理由でファーウェイ製品は危険であると米国裁判所が認めたとなれば、米国政府は「5G導入禁止」の正統性を宣伝できるからだ。どうもファーウェイの戦略が間違っており、墓穴を掘る危険性の方が大きいように見えるのだ。

     

    『ロイター』(3月8日付け)は、「ファーウェイが米政府に反撃、提訴の勝算あるか」と題する記事を掲載した。

     

    ファーウェイは7日、米国防権限法(NDAA)で連邦機関による同社製品の使用が禁じられたことを巡り、禁止の解除を求めて米国政府を提訴した。昨年8月に制定されたNDAAを含め、国家安全保障に関する議会決定ついて、米国の裁判所は後から異議を唱えることを避ける傾向にあるため、法律専門家はファーウェイが敗訴する可能性が高いとみている。一部の専門家は、ファーウェイは勝つ可能性がわずかだと分かっていても、米国政府を相手取ることで世論を味方につけることを期待している可能性があると指摘する。

     

    (1)「今回の訴訟で問題とされているNDAAとは別に、米政府は次世代通信規格「5G」のネットワーク構築に際し、自国企業がファーウェイ製品を使用することを禁止する法律の制定も検討しており、同盟国にも同社製品を排除するよう呼びかけている。米政府はまた、ファーウェイが企業秘密を盗み出し、米国の対イラン制裁に違反していると非難している。任CEOの娘である孟晩舟(メン・ワンツォウ)最高財務責任者(CFO)は昨年12月、米司法省の要請により、カナダ当局によって逮捕された。同省は孟CFOを米国の対イラン制裁違反で共謀した罪などで訴追した」

     

    客観的に見れば、ファーウェイは不利な状況に置かれている。ファーウェイの個人と企業がともに起訴されているからだ。「盗人にも三分の理」というがそんなところだろうか。屁理屈をこねれば、若干の理屈もつくのだろう。

     


    (2)「自社製品の使用禁止は『私権はく奪法』に当たるというのがファーウェイの主な主張である。ある特定の人物や団体に対して、訴訟を行わずに罰する法的措置を意味する私権はく奪法は合衆国憲法で明示的に禁止されている。ファーウェイはまた、適正手続きを行う権利が侵害されているとし、米議会が憲法で定められている三権分立に違反し、司法の権力を行使していると主張している」

     

    中国は、「私権剥奪」花盛りの国である。これによって、どれだけの個人と団体が泣かされてきたか分らない。その項目を使って米国政府を訴える。法廷のやり取りが興味深い。中国政府は、自分が訴えられ思いで聞くべきだ。

     


    (3)「米国の法律専門家の大半は、ファーウェイの勝訴は「ない」との見方を示している。ファーウェイが勝訴するには、米議会がNDAAに同社製品の使用禁止を含めたことは不当であると裁判所が判断しなくてはならないとみられるからだ。一般的に、米国の裁判所は、議会や行政府が下した国家安全保障上の決断に疑念を挟むことに消極的である。議会や行政府は、裁判所よりそのような決断を下すのに適した立場にあるとみられている」

     

    専門家は、ファーウェイが棄却の申し立てを回避できる見込みはほとんどないとし、証拠が開示される前に終わりを迎えるという予想もされている。米国政府は、「中央集権的な中国政府の性質や自国産業との緊密な関係、そして中国によるハッキングを示す文書に裏付けられた数多くの案件は、NDAAには合理的な根拠があるという立場を立証することになるだろう」との予想が多い。 なんだか、やぶ蛇に終わる公算が強いようだ。

     


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    世界的投資家として名を馳せるジム・ロジャーズ氏は、頻りと南北統一の夢を語っている。3年以内に、北朝鮮の金剛山観光開発が実現する、と力説するのだ。また、南北統一が実現すれば、7500万の人口を擁する巨大な経済圏ができるという。この発言は、投資家の夢を語るもので自由だが、韓国を喜ばせる効果は大きい。

     

    3年以内に、金剛山観光開発が行なわれるには、北朝鮮の核放棄実現を前提とする。この難しい米朝交渉が、3年で片付くと見るほど甘い話ではない。先の第二回米朝会談が決裂すると、3日後に破壊されたというミサイル工場で復旧の動きが見られる。また、国連報告書によれば現在、ミサイルの組立を空港内部で行なっているという。米朝交渉中でも、こういう「裏切り行為」を続ける北朝鮮だ。

     

    そうなると、3年以内に米朝交渉がまとまり核・ミサイル完全放棄が実現すると見るのは、かなり無理であることが分る。

     

    ロジャーズ氏の前提が、このように「夢追い型」であることに注意すべきだ。投資家は、見込んだ結果が外れれば、持ち株を売ってしまえばそれでことは済む。だが、現実の経済や外交の戦略を練る側には、この上なく危険で眉唾物に映るであろう。


     

    『聯合ニュース』(3月9日付け)は、「投資家ジム・ロジャーズ氏、金剛山観光は早期に再開される」と題する記事を掲載した。

     

    米国出身の著名投資家ジム・ロジャーズ氏は9日、韓国の国際放送「アリランテレビ」の番組に出演し、「北朝鮮の低賃金で高学歴の人材と豊富な天然資源そして韓国の管理能力と資金が合わされば、世界で最も魅力的な投資先になる」とし、北朝鮮と未来の朝鮮半島を投資先として注目していると明らかにした。

    (1)「ロジャーズ氏は昨年末、北朝鮮の金剛山にゴルフ場を持つ韓国のリゾート企業の社外役員になって話題になった。同氏は同社の定期株主総会に初めて出席し、その後番組に出演した。ロジャーズ氏は南北経済協力事業の金剛山観光の再開時期について、ベルリンの壁崩壊後のドイツ統一を例に挙げながら、3年よりも早い時期に再開されるとの見通しを示し、南北統一も3年以内に実現可能と述べた

     

    ロジャーズ氏の国際感覚を疑いたくなるのは、南北統一が3年以内に実現するという予測だ。ロジャーズ氏は、大韓航空へ投資している立場である。自己保有株の値上がりを願って、株価押上げを狙った発言と見られる。利益誘導発言である。

     

    南北統一は、東西ドイツ統一と訳が違うのだ。旧東ドイツは、ソ連という後ろ盾が弱体化する中、やむなく「身売り同然」になった。南北統一では、北朝鮮の「金ファミリー」が核保持に固執し、北朝鮮が主体になるような形式を主張するだろう。そういう非現実的な統合を、韓国保守派が承認するはずがない。よって、この3年以内の南北統一はあり得ないだろう。

     

    (2)「南北交流が可能になれば、北朝鮮に向かう交通手段の需要が高まるため、大韓航空に投資したが、南北統一に備え、投資する中小企業も物色中と話した。先月末の2回目の米朝首脳会談が物別れに終わったことについては、「良くはないが心配する状況ではない」と述べた。既に北朝鮮には起業家や事業家が市場経済を知っており、韓国やほかの外国と同じような生活をすることを望んでいるため経済開発への意思は後戻りできないと指摘。北朝鮮の非核化を信じていると語った。また、日本は人口8000万人(注:正しくは7500万人)になる統一した南北と競争できないため、あらゆる手段を使って南北が一つになり、北朝鮮が開放されるのを妨害すると主張した」

     

    このパラグラフの発言も、利益誘導型発言である。日本が南北統一を喜ばず、妨害するだろうという憶測発言をして、韓国の「反日ムード」に迎合し、自らの投資物件の値上がりを狙った発言に映る。韓国では、こういう日本を批判して韓国を持ち上げる発言が好まれる。「ロジャーズ銘柄」の値上がり誘導に間違いない。株価が、こと志と異なる結果になれば、株式を売ればリセットできる。気楽なものだと思う。

     


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