勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年03月

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    北朝鮮の金正恩氏が、米朝首脳会談で長く平壌を空ける間に、クーデターが起らないのか。誰でもそう思うはずだ。やはり、正恩氏もそれが最大の頭痛の種であったようである。これまでも、国外に出ない理由としてクーデター発生懸念が理由とされてきた。若き「首領」が国を治める上で頼るのは、粛清など血の恐怖を与えるしか道はないようだ。

     

    その「恐怖の大王」は、今回の米朝首脳会談の失敗でメンツが丸つぶれになった。その怒りの矛先をどこへ向けるのか。北朝鮮が交渉実務責任者の金赫哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表への対応が注目を集めている。場合によっては、粛清対象にされるのか、だ。

     

    『朝鮮日報』(3月6日付け)は、「韓国情報機関、北が東倉里発射場で施設を一部復旧」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「『ハノイに行くため平壌を空ける際、クーデターをさせないよう金委員長が銃器使用禁止令』韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は、第2次米朝首脳会談決裂後の北朝鮮内部の動向に関して『内部では会談結果にかなりの期待があったが、合意不発で失望感が現れた』と評し、さらに「金正恩(キム・ジョンウン)委員長は5日、平壌に戻った後、今回の会談について全般的に評価を行い、今後の戦略と方策を検討するとみられる。(検討)期間が多少長くなることもあり得る」という見方を示した」

     

    韓国政府は、政治の最大の目標を南北交流事業に置いている。そのためには、米朝交渉の成功が絶対条件である。文大統領の期待とは反対に、北朝鮮内部では米朝交渉失敗の原因分析に時間がかかりそうだという情勢分析が出ている。北朝鮮が体制を立て直して、米国との交渉のテーブルに着くまでに時間がかかるとなれば、文氏が大統領としての「持ち時間」が少なくなる。それだけに、「北朝鮮効果」の恩恵に浴する機会が減りかねない。ヤキモキしているだろう。

     

    (2)「また国情院は、金正恩委員長が、政権を樹立してから最も長く平壌を空けるということで「クーデターの可能性」を元から断つため徹底して準備したことをつかんだ。韓国国会情報委員会のある委員は「金正恩委員長は北朝鮮を離れる際、飛行場の使用禁止、訓練の全面中断だけでなく銃器の使用禁止措置まで取ったという」と語った。情報委の委員らは5日、北朝鮮が交渉実務責任者の金赫哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表に会談決裂の責任を問い、粛清する可能性についても質問した。これに対し国情院側は「かなり綿密に観察している」と答弁したと伝えられている。ある委員は「国情院が、金赫哲氏粛清の可能性を深刻に捉えているという意味だと解釈した」と語った。また国情院は、金正恩委員長のソウル答礼訪問に関して「北朝鮮内部でも戦略を検討する時間が必要なので、今は急いで答礼訪問の時期を議論することはない」と分析した」

     

    正恩氏が、クーデター発生予防で空港使用や武器使用の禁止令を出していたという。この話を聞くだけで、専制国家最大の悩みはクーデター発生にあることが分る。

     

    中国でも同様だ。習近平氏の護衛部隊はしょっちゅう変えているという。国内クーデターが発生した場合は、部隊が迅速に出動できるように無駄な高速鉄道を建設している。専制国家の管理コストには、民主主義国に比べて膨大なものがかかっている。それ故、景気が悪化した場合の「不況抵抗力」は脆弱であることは不可避である。旧ソ連が、突然の崩壊に見舞われたのもこれが理由の一つであろう。この伝で言えば、中国や北朝鮮も同じ運命を辿っても不思議はない。

     

    北朝鮮には、もう一つ気懸りな動きがある。撤去したはずの施設に修理などの動きが見られることである。

     

    (3)「国情院は5日、国会情報委に「寧辺の5メガワット原子炉は昨年末から稼働を停止した状態で、今のところ再処理施設稼働の兆候はない状況」と報告した。豊渓里核実験場についても「昨年5月の廃棄イベント以降、坑道は放置された状態で、特に動向はなかった」とした。ただし東倉里ミサイル発射場に関しては「北朝鮮が、撤去施設のうち屋根や扉などを復旧している」と報告したと伝えられている」。

     

    米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は5日(現地時間)、2回目の米朝首脳会談後の2日に撮影した衛星写真で、北朝鮮の北西部・東倉里にあるミサイル発射場で再建を進めている動きがあり、意図的な活動再開の可能性があると明らかにした。動きはエンジン試験台や発射台の軌道式ロケット移動構造物などで確認されたという。同発射場は過去、大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術を利用し衛星を発射した場所で、昨年8月以降は活動が中断されていた。以上は、『聯合ニュース』(3月6日付け)が伝えたものだ。


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    北京の人民大会堂で、5日から始った全人代での政府活動報告の際、習国家主席は仏頂面で李克強首相と目も合わせなかったと、話題になっている。李首相の経済采配が悪くて、景気急減速が起っているわけではない。仏頂面している習氏が、引き起こした経済局面である。いささか、場所を心得えず大人げない振る舞いである。これが、14億人を率いるトップの姿だ。

     

    今年の春節(旧正月)期間中の小売り・飲食業売上高は、計1兆100億元(約16兆4000億円)にとどまった。前年に比べて8.5%増に過ぎず、少なくとも2011年以降で最も低い伸び率である。春節といえば、中国最大のイベントである。家族が全員集まって新春を喜び合う。そういう貴重な機会が、湿っぽい景気で振るわなかったのだ。消費に対する下押し圧力が春節休暇中も続いていた。「一年に一度の正月だから」とパッと景気良く行かなかったのであろう。

     

    観光業の収入は8.2%増と昨年の12.6%増から伸びが急速に鈍化した。また、国内の映画興行収入は前年に比べて1%増だったと澎湃新聞がアリババ・ピクチャーズの発券サービスプラットフォームの統計を基に伝えた。正月は、映画を見る絶好の機会であろうに、わずか1%増とは驚きの数字だ。映画すら節約対象になっている。

     

    以上のような状況を見れば、2月のサービス業PMI(購買担当者景気指数)が明るいはずがない。

     

    『ロイター』(3月5日付け)は、「財新の2月中国サービス部門PMIは4カ月ぶり低水準、新規受注減少」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「財新・マークイットが5日発表した2月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は51.1と、前月の53.6から大幅低下し、昨年10月以来4カ月ぶりの低水準となった。内外で新規受注が減少した。指数は、50が景況拡大・悪化の分かれ目を示す。国家統計局が2月28日に発表した2月の非製造業PMIとおおむね同様の結果となった。非製造業PMIは54.3で、前月の54.7から低下した」

     

    サービス業の景況悪化は、製造業の悪化を反映したもの。タイムラグを置いて、サービス業の景況悪化につながったことを示している。サービス業の好転は、製造業が上昇しない限り

    不可能である。製造業が上昇すれば、所得が増え雇用も増加する。この関係を考えれば、サービス業の停滞感は今後、一層、強まるであろう。

     

    ちなみに、2月の財新・マークイットが発表した2月の中国製造業購買担当者景気指数 (PMI)は49.9と前月の48.3から上昇したものの、景況改善・悪化の分岐点となる50を下回る水準にとどまった。輸出受注の低迷が背景にある。PMIが50を下回るのは3カ月連続である。1月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.7%上昇と、上昇幅は前月から0.2ポイント縮小した。伸びはこの1年間で最低となった

     

    1月の消費者物価指数上昇率は、この1年間で最低水準に落込んだのだ。需要が低迷している結果である。サービス業のPMIが、50スレスレまで低下してきたのは当然である。習近平氏が、全人代初日の政府活動報告で仏頂面して、李首相と目も合わせなかった事情もこの辺にあるのかも知れない。

     

    (2)「中国は、製造業が労働コストの上昇や米中貿易戦争の悪影響で鈍化する中、クッション役として、好調なサービス部門に依存している。新規受注の伸びは昨年10月以来の低さ。輸出売上高の伸びも5カ月ぶりの低さとなり、需要が国内外で減少していることを示唆した。雇用創出はわずかな伸びにとどまった。製造業とサービス部門を合わせた総合PMIは50.7と、1月の50.9から低下した。CEBMグループのマクロ経済分析責任者、Zhengsheng Zhong氏は、『雇用には下方圧力がかかっており、サービス部門の成長は著しく鈍化した。インフラ投資の拡大が、経済成長の大幅鈍化を防いだかもしれない』との見方が出ている』

     

    中国経済はすでに、雇用にも下方圧力がかかっている。製造業は過去3ヶ月連続で好不況の分岐点50を割った。サービス業も先行き不安である。まさに総崩れで状態だ。短期的な回復策としてインフラ投資に期待がかかっているが、地方政府にも資金調達力が消えかかっている。バブル経済崩壊というのは、こういう状態を指すのだ。


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    中国通信機メーカーのファーウェイ(華為技術)は、孟副会長のカナダでの逮捕の後、米国引き渡しをめぐる審理が始った。これと前後して、ファーウェイ本社が積極的な広報戦術に出ている。米国主要紙での広告を打ったほか、今度は主要メディア記者をファーウェイ本社のある中国へ招待取材するというもの。招待を受けた記者が、これをツイッターで暴露して騒ぎが広がっている。

     

    これまでのファーウェイは、広報に不熱心な企業で有名あった。CEOの任氏は記者嫌いであり、滅多に取材に応じなかった。だが、娘の孟副会長が逮捕されるに及び、その「親心」から、広報で積極対応を始めている。ここまでのPRは、当然のことで不思議でない。だが、①記者招待、②米紙への意見広告、さらには、③孟氏がカナダで逮捕状執行前に所持品の検査を受けたことは不法であると当局を訴えるに及び、私はあることに気付いた。

     

    それは、「中国人民解放軍政治工作条例」の三戦(さんせん)と呼ばれる戦術である。世論戦(輿論戦)、心理戦、法律戦の3つの戦術を指している。これらの戦術を駆使して、中国の正統性を認識させるというプロパガンダである。具体的には、次のような内容である。

     

    「輿論戦」は、中国の軍事行動に対する大衆および国際社会の支持を築くとともに、敵が中国の利益に反するとみられる政策を追求することのないよう、国内および国際世論に影響を及ぼすことを目的とするもの。

     

    「心理戦」は、敵の軍人およびそれを支援する文民に対する抑止・衝撃・士気低下を目的とする心理作戦を通じて、敵が戦闘作戦を遂行する能力を低下させようとするもの。

     

    「法律戦」は、国際法および国内法を利用して、国際的な支持を獲得するとともに、中国の軍事行動に対する予想される反発に対処するもの。

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    これらの「三戦」に照らし合わせ、ファーウェイの最近の動きを見ると奇妙に一致していることに気付くのだ。

     

    「輿論戦」は、米国メディアの記者を招待取材させ、ファーウェイの言い分を書かせる。同時に、今後ともファーウェイ=中国の「片棒」を担ぐ記事を掲載させるように誘導する。

     

    「心理戦」では、先に不法拘留した二人のカナダ人が、中国の機密情報を共謀して盗み出そうした、というでっちあげの理由を公表した。これは、孟副会長の引き渡しをめぐる審理開始に合わせてきたもの。明らかに、カナダ政府への圧力である。

     

    「法律戦」は、孟氏が逮捕状執行前の2時間にわたり孟氏の私物を検査したのは違法という訴えである。また、米国政府が、ファーウェイ製品販売を禁止したのは違法であるという訴えを起こしている。

     

    以上のように、最近見られるファーウェイの行動は、中国人民解放軍の常用手段の「三戦」に則ったものであることは明らかである。ファーウェイにとっては戦争に値する重大局面である。

     

    『大紀元』(3月5日付け)は、「ファーウェイ、海外メディアを全費用負担で本社招待、記者ら反発」と題する記事を掲載した。

     

    中国の通信機器大手「華為技術」(ファーウェイ)が、海外の記者に対して「渡航費用負担で深圳の本社に招待する」という内容のメールを送信したことが明らかになった。メールを受け取った記者らは相次ぎツイッターで暴露した。

     

    (1)「ワシントン・ポスト記者のジョシュ・ロギン氏は31日にツイッターで、ファーウェイからのメールを撮影した画像を掲載した。そして『ファーウェイの資金を受け取るような米国のジャーナリストは恥じるべきだ』と書き、会社方針と個人の倫理に基づき、外資系機関から何千ドルもの贈与は受け取ることはできないとした。ロイター通信の米官邸担当記者ジョナサン・ランディ氏は、ロギン記者のツイッターに返答する形で、自らも同じ内容のメールを受け取ったと述べた。しかも、送り主は、在米中国大使館の広報事務所だという」

     

    (2)「メール本文によると、ファーウェイは海外記者を深セン本社や研究所などに招き、「ファーウェイのあらゆる幹部と会える機会」を提供し、さまざまな製品の製造ラインを見学でき、また「米国からの挑戦により会社が直面する問題について、記録禁止の機密会議を行う」という。「ファーウェイはあなたのホテル代、飛行機代、食費などを提供する」とも書いている。海外メディア関係者を接待し、ファーウェイあるいは中国政府寄りの考えを形成させる狙いがあるとみられる」

     

    米国は、ジャーナリストの倫理観が最も確立した国である。ジャーナリスト=正義の擁護者という認識の国である。その米国ジャーナリストに「全額負担の招待取材」を持ちかけても拒否されて当然である。中国記者に対すると同じ振る舞いをしたのだろう。

     

    米国開拓時代、荒野の貧しい家庭のテーブルにも、必ず置かれていたものが二つあった。地元の新聞と聖書である。フランスの社会学者A・トクヴィルの書いた『アメリカの民主政治』(1835年)に出てくる一節だ。米国人にとって、新聞の持つ意味はきわめて大きい。その新聞を担う記者に札束を見せつけるような行為は、反感を買って当たり前であろう。


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    鄧小平が提案した「一国二制度」は、習近平氏が国家主席になって換骨奪胎されてしまった。現在の香港を見れば、それが明瞭である。約束を絶対に守らないのが中国である。米中貿易戦争が、中国経済の首根っこを抑えるほど、強烈さをもって迫っている理由は一つ。米国と交わした約束が一つも実現していないという冷厳な事実だ。

     

    日本も騙された国である。東シナ海での日中境界線で2010年、石油の共同開発を行なう契約調印4日前に、大量の中国漁船を尖閣諸島に殺到させ紛争状態に持ち込んだ。この騒ぎで、契約調印は宙に浮いたまま。主犯は、中国人民解放軍と国営石油企業と判明している。利権の山分けが目的で始めた事件だ。日本が共同開発に参加すれば、利益の半分は日本に帰属する。中国人民解放軍と国営石油企業は、それが惜しくて騒ぎを起こしたもの。この利権は、「太子党」の手に渡っているに違いない。ここまで来ると、中国は近代国家とは言いがたい。蒋介石時代の「軍閥政治」と同じである。

     

    台湾が、こういう中国の行状を見ていれば、「一国二制度」が台湾の自治を保証することなどあり得ない。「絶対拒否」は当然のことであろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(3月5日付け)は、「台湾蔡政権、一国二制度を受け入れず、中国全人代での報告に反発」と題する記事を掲載した。

     

    2016年に発足した蔡政権は、独立志向を封印して中国との対話を模索したが、中国の圧力を背景に5カ国との外交関係を失うなど苦境にある。米国は、オバマ政権当時の「傍観主義」から、トランプ政権による積極的な「台湾支援」へと変っている。中国は、米中国交回復時に了解した「一つの中国論」を盾にして、米国の「台湾支援」を非難している。トランプ政権は、これにお構いなく支援姿勢を強めている。台湾海峡に米艦船を航行させており、台湾問題は米中問題にもなっている。

     

    (1)「台湾の蔡英文政権で対中国大陸政策を担う大陸委員会は5日、「(統一の際に台湾側に高度な自治を保障するなどとする)『一国二制度』を絶対に受け入れない」との声明を出した。中国の李克強首相が全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、「一国二制度」を柱とする習近平国家主席の台湾統一戦略を強調したことに反発した」

     

    台湾は、自由と民主政治が定着している。中国本土は専制国家である。専制国家が民主国家を併呑するとは、歴史の歯車を逆回転させるに等しい暴挙である。台湾市民が、自ら得ている自由を捨てて中国政府に監視される牢獄生活を選ぶはずがない。

     

    (2)「中国の李首相は同日、全人代での政府活動報告で、「台湾独立をもくろむ分裂の画策に断固として反対し、食い止め、国家の主権と領土を保全する」と述べ、台湾独立志向を持つ民主進歩党(民進党)の蔡政権をけん制した。これに対し台湾の大陸委は声明で、中国が台湾の「主権と尊厳、民主主義体制を深く傷つけようとしている」と反発。「武力による威嚇や(台湾内部の)分断を図る誤った統一工作をやめることでしか、両岸(中台)の良き交流の助けにならない」とした」

     

    中国の取り得る最後の手段は武力行使である。習近平氏は、自らの政権時代に「台湾解放」を行い中国史に自らの名前を残すことに執着している。ここ数年が、最大の軍事危機を迎えるであろう。自由陣営は、台湾市民を専制主義の生け贄にしてはならない。一人の国家主席の名誉欲のために、無辜の市民を巻き添えにしてはならないのだ。習近平氏に「台湾解放」を諦めさせる手法(具体的な経済制裁)を準備しておき、中国の経済活動を止めてしまうような強力な策を講じるべきだ。

     

    香港は、「一国二制度」の犠牲になっている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(3月4日付け)は、「さようなら香港、移住希望が急増」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「香港中文大の2018年調査では、18~30歳の若者のうち51%が海外への移住を考えていると答えた。17年の調査と比べて5.5ポイントも増えた。「政治的な対立が多すぎる」「人が多くて住環境が悪い」「政治制度に不満」――。移住を希望する理由の上位にはこんな項目が並ぶ。経済的な心配はほとんどないにもかかわらず「香港でどうやって幸せに暮らせるか分からない」と悲観する層が増えている。教育水準の高い人ほど移住を希望する人が多いのも最近の特徴だ」

     

    自由という価値を知れば知るほど、中国から逃げ出したい。教育水準の高い人ほど、「脱香港」の傾向が強まるという。これは、台湾についても当てはまること。中国では、人間として生きる証が得られない。これほど、厳しい人生の選択があるだろうか。

     


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    文大統領の政治の師である盧武鉉・元大統領は、国益を重視して対米協調外交を行なった。政治的信条は別だが、苦渋の選択のできる度量があった。文在寅氏はどうだろうか。完全な「文学青年」である。与党支持基盤の労組と市民団体の意見だけを受入れて、ひたすら北の正恩氏と誼を通じ、あたかもそれが「新外交」と錯覚している。

     

    今回の、米朝首脳会談では100%、合意ができると読んで北との交流事業にのめり込んでいた。決裂した後でも依然として、交流事業が「非核化を促進する」と言っている。米朝首脳会談で米国が北朝鮮へ提示した「完全非核化前にはいかなる経済封鎖解除にも応じない」という原則から逸脱している。

     

    『聯合ニュース』(3月5日付け)は、「開城団地・金剛山観光、非核化に寄与する事業ー韓国統一部」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の統一部当局者は5日、稼働が中断されている開城工業団地と金剛山観光の再開について、「南北関係改善を通じ朝鮮半島の平和定着を促進し、北に明るい未来を見せ、非核化の達成にも寄与できる互恵的な事業」として、「開城団地と金剛山観光の再開について米側と協議していていく」との方針を示した。また、「(米側とまだ)具体的に議論していない」として、「大きな枠組みの中で全体的な方向を決める状況であり、具体的なことに関しては模索している段階」と述べた」

     

    北朝鮮が、米国との交渉に乗り出した背景は、経済封鎖に伴う国内経済の疲弊が限界に達した結果だ。古来より、「兵糧攻め」が敵方を降参させる最適手段として知られている。米国が、この典型的な手法を取っている最中に、韓国が足下でちょろちょろした動きを見せ、足でまといになっている。これでは、北朝鮮に真の譲歩させられないのだ。

     

    日本は、拉致被害者が即時解放されるまで、一切の支援を拒否している。国連世界食糧計画(WEP)や国連児童基金(ユニセフ)などでも、すでに「日本の拠出金を使うことは認めない」という趣旨の通告をしているほどだ。不法を働きながら、相手から支援を受けたいという精神が間違っている。「文学青年」文在寅は、「北風よりも太陽を」という台詞通りに動いているが逆効果である。「人を見て法を説け」である。


    (2)「統一部の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官は米朝首脳会談が事実上決裂したことを受け、4日に開かれた国家安全保障会議(NSC)で、開城団地と金剛山観光の再開について米国との協議を準備すると報告した。同当局者は「(米朝の)仲裁に向けた努力など、(韓国が)やるべき役割がある」としながらも「慎重に行っていく」と表明。その上で「制裁の枠組みを順守、尊重する立場から南北の交流協力を進めるという基本的な立場には変わりがない」と述べた」

     

    北朝鮮の開城団地と金剛山観光の再開をすれば、北朝鮮の現金収入になる。これは、形を変えた「経済支援」だ。北朝鮮は、第一回の米朝首脳会談後も、核を生産していたと指摘されている。そういう疑惑の総本山のような北朝鮮へ、現金収入の道を開けば核の生産を助けるだけである。

     

    北の狙いは、米国に「核保有国」として認知させることだ。文政権は、核付きで「南北統一」への道を開く狙いとも見られている。文氏は、「文学青年」を装っているが、実は「黒幕政治家」になりかねない危険な要素を抱えてもいる。文氏の生涯の目的は、「反日」である。北の核を背景にして日本に対抗しようとしている。韓国与党「共に民主党」が、暗黙の中にも北の核容認姿勢を見せている。「反日」を貫くには、北の核が必要という姿勢である。

     

    韓国の政治状況は、対北朝鮮政策をめぐって与野党が分かれている。与党革新派は核容認である。保守派は核反対である。日本のマスコミ報道では、一般的に日本の革新は善意、保守は頑迷という印象報道が主流であろう。韓国は、完全に逆転している。韓国革新は、きわめて保守頑迷で支持団体の利益擁護だけである。この点を見誤ると、北朝鮮問題は理解できないであろう。


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