勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年03月

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    文在寅大統領は、完全な皇帝である。「自分の政策は正しいから変えない」と言い張っているが、昨年のノーベル経済学賞受賞学者ポール・ローマー教授は厳しく批判した。「文皇帝」は顔色なしである。

     

    文氏が、あの物腰から想像もできない「強硬姿勢」に転じている背景には、来年の国会議員選挙で「親文派」を大量に当選させたい思惑が働いているという。「非文派」を排除するのだ。かつて、朴槿惠大統領(当時)が、「親朴派」を国会議員選挙で大量に立候補させ、落選した苦い経験を繰り返すだろうと話題に上がっている。

     

    このように文氏は、自らの権力維持に動いているが、現在の最低賃金の大幅引上げは自らの首を締める結果を招きそうだ。冒頭に挙げたローマー教授は、文政策を次のように批判した。

     



    『中央日報』(3月28日付け)は、「ノーベル経済学賞受賞者、雇用のふりをする雇用ではならない、韓国の公共アルバイトに直撃弾」と題する記事を掲載した。

     

    昨年ノーベル経済学賞受賞者であるニューヨーク大学のポール・ローマー教授は27日、「最低賃金引き上げが労働需要を減少させ労働者の雇用を奪っていきかねない」と警告した。大韓商工会議所がこの日ソウル商議会館で開いた「革新成長、韓国経済が進むべき道」という主題のセミナーで、だ。彼は「最低賃金引き上げ政策により雇用市場で失業者数が増えたとすれば、(この政策で)当面の問題を解決するのは難しいだろう」と診断した。ローマー教授は技術革新が成長を導くという「内生的成長理論」で昨年ノーベル経済学賞を受賞した。

    (1)「ローマー教授は韓国政府が推進中の『所得主導成長政策』の妥当性を計る尺度として「雇用」を挙げた。彼は「所得主導成長は政府が補助金支給などを通じて推進する景気振興政策の一種。すでにさまざまな国で試みた政策だ」と説明した。続けて「政策施行結果はうまくいったり失敗したりもした。この政策で失業者数が減ったなら構わないが、むしろ増えたなら問題」と話した」

     

    最低賃金の大幅引上げを行なって、雇用が増えたのならば問題ない。失業者が増えた結果から見れば、文大統領の最賃政策は明らかに失敗している。毎度、私が上げる例だが、フランスも同じことを行い大失敗した。そこでフランスはすぐに手直したが、韓国は「知らぬ顔の半兵衛」を決め込んでいる。これほど、非民主的大統領は存在しない。自らの権力維持ならば、大衆を犠牲にしても構わない。習近平氏とどこが違うだろうか。

    (2)「彼は雇用を創出するためには政府政策より民間の役割に
    注目すべきと強調した。ローマー教授は航空産業を例に挙げ、『政府は少数の担当者を雇用して航空産業の安全規制などを作って守るよう誘導する役割をするもので、航空産業雇用の大部分は民間航空会社が創出する』と説明した」

     

    政府の仕事は、航空産業に喩えれば、「航空管制官」のようなものだ。航空機の発着の安全を図れば、後は民間航空会社がパイロットを雇い航空事業を行ない雇用が増える。文政権は、このすべてを国家がやろうという話である。大学時代、まともに経済の授業を受けず、火焔瓶闘争に精を出していたのであろう。経済の骨格を理解していない大統領である。




    (3)「良質の雇用創出に向けた先決課題としては、労働市場の柔軟性向上を最初に挙げた。ローマー教授は『正規職雇用を増やすためには労働市場の柔軟性を育てることがひとつの対策で解答になり得る。柔軟性が増えれば新たな雇用が生まれ、若い世代は仕事を探す機会を得ることになる』と説明した。続けて『別の職場に移ること自体が容易にならなければならず、雇用主の立場で制約があってはならない」』と主張した」

     

    労働市場の流動化・柔軟性は不可欠である。働き方改革で、幾通りかの勤務方法があるはずだ。終身雇用・年功序列賃金では、硬直化した労働市場に転落する。かつての日本もそうだった。これが、どれだけ企業も個人も共倒れになっていたか。「失われた20年」には、硬直化した労働慣行も影響した。韓国は今も、同じ失敗を繰り返している。公務員願望があれだけ強い裏には、終身雇用・年功序列賃金が 牢固として抜きがたくなっていることの証拠だ。この悪弊を定着化させているのが文在寅である。あえて、敬称を付けたくない気持ちになる。

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    けさ、発行(有料)しました。よろしくお願いします。

    底の浅い経済の悲劇

    3視点で半導体分析

    需要の早期回復困難

    萎縮した中国企業家

     

    韓国経済は、半導体と自動車が支える産業構造です。しかし、自動車は高賃金による生産コスト増が災いして、利益率が生存ラインを下回る状態にまで落ちこんでいます。現代自動車と起亜自動車は、利益率悪化に伴うR&D(研究開発費)不足によって、魅力ある「車づくり」に失敗。中国に進出の工場の一つを、それぞれ売却を余儀なくされます。部品納入業者は、「受注減」という形ではね返っています。

     

    底の浅い経済の悲劇

    これに加えて、半導体市況が急落しています。サムスンは3月26日、今年1~3月期の業績発表を10日後に控え、「業績悪化」を予告する緊急事態になりました。当日に突然の発表では、株主に大きな衝撃を与え株価の急落を恐れたのです。サムスンは、詳しい数字を発表しませんが、韓国の証券会社によれば、下記程度の営業利益減益予想になっています。

     

                  サムスン営業利益推移

           昨年1~3月期     今年1~3月期予想(証券会社予想)

    合 計    15.6兆ウォン     6.2兆ウォン

    半導体    11.6兆ウォン     3.7兆ウォン

    ディスプレー  0.4兆ウォン    -0.7兆ウォン

    (出所:朝鮮日報3月27日付け)

     

    このデータを見ますと、1~3月期の営業利益は前年比で60%減に落込む。うち半導体は68%減にもなります。半導体市況の落込みが大きな要因と言えます。問題は、この半導体市況がいつ回復するかです。業界予想では、今年下半期になれば底入れすると期待しています。それほど楽観していて良いのでしょうか。

     

    確かに、次世代通信網「5G」の登場が目前です。4Gに比べて100倍の通信速度が実現するもので、私たちの生活空間が一変すると言われています。こうした、革新的な技術が登場する前に、必ず「踊り場」があるものです。技術発展の軌跡を見ると、「右肩上がりの曲線」ではありません。私が昔調べた技術発展史によれば、技術は「階段状」に発展します。階段を一段上る前に踊り場があります。「5G」の場合もそれは不可避でしょう。

     

    この技術発展史によれば、半導体需要はすぐに回復して元通りの上昇カーブに戻ることは難しいでしょう。私は、こういう見解をブログを書いていますが、この見方を「応援」してくれる記事が登場しました。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月27日付け)です。

     

    「世界各地の景気が鈍化し、米国や中国といった消費をけん引していた国の見通しが曇っている。消費者が先行き不透明感から引き続き携帯電話の買い替えを見合わせれば、半導体需要の低迷が続く可能性もある。サムスン株は1月につけた安値に比べて20%高い水準にある。マイクロンの株価は直近の底値から40%上昇した。市場は年後半の市況回復を確信しているようだ。だが、サムスンが発したあらゆるシグナルを踏まえると、投資家にとって今年の利益を確定するチャンスは今しかなさそうだ」(「サムスン電子の警告、半導体市場回復への過信は禁物」所収)

     


    3視点で半導体分析

    このWSJの記事は、有益なヒントを与えてくれます。

     

    (1)米国や中国といった消費をけん引していた国の見通しが曇っている

    (2)消費者が先行き不透明感から引き続き携帯電話の買い替えを見合わせる

    (3)半導体需要の低迷が続く可能性もある

     

    以上の3項目についてそれぞれ、私のコメントを付けていきます。

    1)米国や中国といった消費をけん引していた国の見通しが曇っている:中国は、OECD(経済協力開発機構)に加盟していません。情報の漏れるのを嫌っているのでしょう。どこまでも秘密主義です。そのOECDは、「今年と来年の韓国の輸出は大幅に減少し、特にアジア市場の鈍化が目立つ」と警告しました。すでに、その兆候が顕著になっています。中国・欧州など成長が減速している地域への輸出が減るからです。この2月で、4カ月連続で輸出額が減少しています。

    輸出は、3月1~20日の通関実績でも引き続き不振です。1カ月前に比べて4.9%の減少でした。輸出が減少した地域は主に中国(-12.6%)、欧州連合(-6.1%)、日本(-13.8%)などです。品目別には半導体(-25.0%)、石油製品(-11.8%)、無線通信機器(-4.1%)など。韓国の主力商品の輸出がそろって不振です。この状況で、半導体の早期の輸出回復を期待できそうもありません。

    (つづく)

     

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    中国は、EV(電気自動車)の世界大国を目指している。その先兵がBYD(比亜迪)である。米国の「投資の神様」と言われるウォーレン・バフェット氏が、その将来性を買って大株主に名を連ねていることでも有名だ。

     

    BYDは、バフェット氏からお墨付きを貰うほどだから、高収益企業と思いきや現実は「月とスッポン」である。売上高営業利益率は、昨年12月期で3.3%に過ぎない。これでは「ゾンビ企業」になりかねない危険ラインである。なぜこうなったのか。

     

    『日本経済新聞 電子版』(3月27日付け)は、「BYD、利益率悪化、品質向上が急務に」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の電気自動車(EV)最大手、比亜迪(BYD)の採算が悪化している。27日の発表によると2018年12月期の売上高営業利益率は3.%と直近のピークの16年12月期の5.%から低下した。EV値下げの原資となってきた補助金が減り、価格維持のための費用が増えたとみられる。『品質を高めて価格を引き上げられるかが課題だ』(みずほ銀行国際営業部の湯進主任研究員)

     

    中国では、EVはもともと不人気であった。政府が強引にエンジン車からEVへ転換させたものだ。例えば、エンジン車のナンバープレートの取得を困難にする一方、高値で売るというはなはだ高圧的なやり方でEVを押しつけてきた。EVでは、ナンバープレートは無料交付で無抽選。中国ではEVの市場性がなかったのだ。

     

    その不人気のEVに、補助金が付かなくなる。あるいは、減らされる事態になれば、EVは見向きもされなくなる「運命」であった。EVが、なぜ中国で不人気なのか。その合理的な理由は、航続距離を除けばなさそうだ。強いて探せば、エンジン車のような「快音」を出さず、ステータスにならないぐらいであろう。中国のような「見栄」の社会では、エンジン車のような「擬音」を出せば、人気が出るかも知れない。中国人の見栄は、日本人の想像を超えている。

     


    (2)「BYDは11年に中国大手で初めて個人向けEVの量販を開始。車種を増やし、補助金も追い風にEVなど新エネルギー車の販売を伸ばしてきた。15年の乗用車の新車販売は約45万台で新エネ車の比率は1割強だったが、18年は50万台のうち半分近くが新エネ車だ。しかし17年からの補助金削減で、売り上げは伸びても利益率は17年12月期から下がり始めた。採算の改善には、品質を高め、補助金なしでも売れるEVを製造することが急務となっている

     

    BYDは、蓄電池のメーカーである。それが、「二輪電動車」に進出して成功し、四輪車メーカーになった経緯がある。日本のホンダのような二輪車(電気)であるが、技術基盤は大違いだ。私が初めて上海へ行ったとき、BYDの「二輪電動車」が大人気であった。雑踏の中を音もせずに「二輪電動車」が表れ、当初は驚いたものだ。

     

    このことから分るように、自転車メーカーが四輪自動車メーカーになったようなもの。「採算の改善には、品質を高め、補助金なしでも売れるEVを製造することが急務」と記事では指摘している。その通りだ。繰り返すが、自転車メーカーが四輪自動車メーカーになったのだから、売れる車を造れるはずがない。このBYDが、中国EVのトップメーカーというのだから、他は推して知るべしだ。

     

    (3)「中国政府は10年から、EVなど新エネルギー車産業育成のため補助金支給を開始。EVの販売台数に応じて補助金がメーカーに支給された。メーカーはこれを原資に値下げして需要を開拓。15年からは中国メーカー製の電池の搭載を支給条件とし、事実上、中国EV勢が有利になるようにした。その後、中国はEVでも世界最大市場に成長。18年の新エネ車の総販売台数は17年比62%増の125万台で、大半を中国勢が占め外資系の存在感は小さい」

     

    外資系EVメーカーが、技術的に未熟な中国EVメーカーと競争になれば、シェアを勝ち取るのは難しいことではないだろう。最大の問題は、ユーザーにEVの良さを確信させることだろう。現状では、当局の「無理強い販売」に過ぎない。それだけに「EV反発」は根強いものがあるように思える。

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    英経済紙『フィナンシャル・タイムズ(FT)』(3月26日付け)は、来年からアジアの時代が来ると報道した。これまで、頻繁に「アジアの時代」という言葉が飛び交ってきたが、突然、「来年から」と時間を切られると驚かざるを得ない。この尺度には、購買力平価説(PPP)に基づくGDP換算が使われている。

     

    日本は、1970年代当初からの「円高」に揉まれてきた。円高による輸出困難を回避すべく、着々とアジアへ生産拠点を移してきた。それが、国内の産業空洞化をもたらし、失業が深刻な問題になってきた。振り返って見れば、市場原理に基づく生産拠点の海外移転は、ベストの選択であったことが分る。FTが、「来年からアジアの時代」と報じる中で、日本はその発展するアジア経済の果実を、現地で享受できる立場に居合わせたのである。経済原則を受入れ、生産拠点を移したことに「感謝」すべきであろう。

     


    前記のFTは、「『アジアの時代』が来年到来、世界は原点回帰へ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「アジアには既に世界人口の半分以上が集中している。国連のデータによると、世界の人口上位30都市のうち21都市はアジアにある。また、アジアには2020年までに世界の中産階級層(05年現在の購買力平価=PPP=で、1人当たり日収10~100ドルの世帯)の約半数が集まる。英調査会社LMCオートモーティブによると、アジアでは07年以来、自動車とトラックをどの地域よりも多く購入しており、30年ごろまでにはアジア以外全域の合計と同じ購入規模になると予測されている」

     

    アジアが2020年に、世界の中心になるという。経済的には事実であろう。日本は、アジアの一員としてODA(政府開発援助)によりインフラ投資などで支援を続けてきた。それが、中国を筆頭にアジアの経済発展に大きく寄与してきた。アジアの世論調査で、日本が最も高い評価を受けている背景がこれだ。

     

    日本は、中国のように地政学的な覇権を求める動きをしなかったことが、「安心して交流できる」関係を築き、日本企業の進出が歓迎された理由である。積極的に技術を供与してきたのだ。中国の『人民網』が、次のように日本を評価している。

     

    「2018年の日本のGDPは緩やかな成長にとどまったが、日本企業の海外子会社からの配当など直接投資による所得収支黒字が前年比13%増と大幅に増加し、その所得収支黒字が初めて10兆円を突破し、過去最高を更新した。この数字は日本の同年の貿易黒字の8.4倍にあたる」(『人民網』3月22日)

     

    日本は、貿易黒字よりも所得黒字の方が上回っている国である。2017年では、貿易収支黒字は262億ドルに対して所得収支黒字は1769億ドルである。所得黒字は貿易黒字の6.8倍になる。一方の中国は、2017年の貿易黒字は4195億ドル、所得赤字が344億ドルである。日中の差はこれほど大きいのだ。日本を羨ましく思うのは自然であろう。日本は「先憂後楽」。中国は「先楽後憂」であって、アジアの経済成長の果実は輸出で得ているが、ストックではマイナスである。

     

    (2)「アジアの時代はいつ始まるのだろうか。英『フィナンシャル・タイムズ(FT)』紙がデータを分析したところ、国連貿易開発会議(UNCTAD)の定義に基づく『アジア』の経済は20年、世界の他全域の経済の合計を上回る。これは19世紀以降では、初めてのことだ。数字が示すところでは、アジアの世紀は20年から始まる。大局的な視点から見ると、アジアは00年、世界生産高の約3分の1をわずかに超える程度だった。FTは算定にあたり、物価格差調整後の国内総生産(GDP)に基づく国際通貨基金(IMF)のデータを分析した。PPPで各国の経済を評価するこの手法は、物価が低いことが多い発展途上国の人々が実際何を購入できるかを考慮に入れるため、最も妥当な手法であると一般に考えられている」

     

    ここでは、購買力平価説(PPP)でGDPを換算し直している。この購買力平価説は古くから使われている概念だが、未来にこれを引き伸ばした議論は要注意である。韓国は、1人当たりの購買力平価の国民所得を計算し、2026年に日本を抜くと自慢しているがナンセンスである。こういう「誤用」に注意すべきである。

     

    (3)「戦後日本の経済成長に始まったアジアの近年の台頭は、歴史的水準への回帰を示す。アジアは19世紀に至るまで、人類史の大部分で世界経済を牛耳っていた。イタリアのボッコーニ大学で経済史を教えるアンドレア・コッリ教授は『欧州は17世紀末ごろ、世界のGDPの3分の2以上と世界人口の4分の3が集中する地域(アジア)に称賛と羨望のまなざしを送っていた』と説明する。

     

    経済の軸がアジアに向かっていることは事実である。ただ、中国という「無法国家」が相当のウエイトを占めている。これが、世界攪乱の種になる危険性を秘めている点に手放しの楽観はできない。

       

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    中国は、あらゆるものが補助金対象である。特許申請も補助金が付くので、低レベルのものが特許申請されている。特許の中身が不明だから、特許件数だけで世界一と話題になるが、中身は惨憺たるものだ。

     

    電気自動車(EV)もその例に漏れない。補助金目当てのEV製造企業が設立されている。中国政府は、この補助金の弊害に気付きようやく補助金の整理に動き出した。ただ、地方財政が逼迫化してきたので、補助金を出す余裕がなくなってきたという隠れた事情もある。

     

    『ブルームバーグ』(3月27日付け)は、「中国がEV補助金削減、イノベーション促進に軸足-質の高い発展狙う」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国は電気自動車(EV)に対する補助金を削減する。EV産業が一定の規模に育ち、コストが下がってきたためで、政府は地場メーカーに補助金頼みではなく、イノベーションで販売を伸ばすよう促したい考えだ。財政省がウェブサイトに26日掲載したによると、航続距離400キロメートル以上の純粋な電動乗用車への補助金は1台当たり2万5000元(約41万円)と、従来の5万元から半分に削減される。これまでは航続距離が150キロあれば補助金対象になったが、今後は250キロ以上の航続距離が必要になる」

     

    中国政府は、EVの補助金対象を絞る。2020年から、航続距離を250キロメートル以上にする。400キロメートルの補助金は1台当たり2万5000元で、従来の半額へ減らす。

     

    (2)「中国政府は、従来から補助金削減と2020年より後は段階的に完全廃止する方針を示していたが、詳細は明らかにしていなかった。購入支援策で中国のEV産業は急拡大したが、メーカーが過度に補助金に依存し、新技術や自動車の改良意欲を損ねているとの懸念もあった。財政省は今回の方針について、「新エネルギー車産業の質の高い発展」の支援を目的としたものだと説明した」

     

    中国政府が、補助金整理に動き出したのは、タイがEVの生産国を目指していることもある。その前に、中国EVメーカーの独立経営を可能にさせる目的も含まれている。タイ政府は、TPP11(環太平洋経済連携協定)加入を目指し動き出している。これが、実現すればASEANのEV需要を一手に引き受け、中国のEVメーカーに対抗する計画である。

     


    『日本経済新聞』(3月8日付け)は、「電動車 東南ア生産へ日本勢布石、タイにPHVEV計画提出 中国をけん制」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「日本の自動車各社が東南アジアで「電動車」の現地生産への布石を打っている。トヨタ自動車やホンダなどがプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)の生産計画案をタイ政府に提出した。トヨタは34年後にPHVを現地生産し、その後にEVの生産にも乗り出す。各社は将来の電動車需要の拡大へ備えを固め、8割超のシェアを握る「金城湯池」の東南ア市場を死守する構えだ」。

     

    東南アジア市場で、日本車は8割以上のシェアを握っている。このシェアを守るには、次世代カーのEVでも品揃えを完全にしておかなければならない。

     

    タイ政府は電動車の現地生産を促すため、自動車メーカーに対して法人所得税、製品にかかる物品税や生産設備の輸入税を減免する恩典を用意した。PHVEVについては2018年末までに生産計画案を提出することを恩典付与の条件とした。これに対応するため各社が案を提出した。

     

    (4)「トヨタのタイ法人のニンナート会長は2月、同国のソムキット副首相にPHVなどの生産計画案を伝えた。現地報道によると34年後にまずPHV、その後EVを生産する。投資規模は100億バーツ(約360億円)を想定するという。トヨタはすでにハイブリッド車(HV)をタイで生産しており、18年に約13千台の販売実績がある。今回の計画案でHVに続き、PHVEVも現地生産に乗り出す方向を示した」

     

    トヨタはすでにハイブリッド車(HV)をタイで生産している。18年に約13千台の販売実績があり、これにつづきPHVやEVの現地生産に乗り出す。

     

    (5)「ホンダ、三菱自動車、マツダなどの日系各社も計画案を提出した。三菱自は「PHVの組み立てから始め、タイミングを見てEVにも広げる方針」(幹部)という。マツダは年内にまずHVの現地生産を始める見通しだ」。

     

    日本勢では、トヨタ、ホンダ、三菱、マツダなどがタイ政府に生産計画書を提出している。マツダは、年内にHVの現地生産を開始する。

     

    (6)「タイは荷台があるピックアップトラックにかかる物品税を優遇し、同トラックの世界的な生産基地の座をつかんだ。07年には低燃費小型車の生産を奨励する「エコカー政策」を導入した。今回はEV時代をにらんだ新戦略で電動車生産への投資を呼び込み、域内最大の車生産国の地位を盤石にする」

     

    タイは、ピックアップトラックの世界的な生産基地の実績を積んでいる。これを足がかりに、EVなどで飛躍してASEANでの基盤を固める戦略だ。日本が支援して、中国へ対抗する。

     

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