勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年03月

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    2016年の米大統領選に対するロシア介入疑惑を捜査したモラー特別検察官は、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠はないとする一方、トランプ大統領による司法妨害の可能性に関しては潔白であるかどうか結論を出さなかった。これで、トランプ氏は疑惑のワナから抜け出た感じだが、このニュースに困っているのは中国政府であろう。

     

    米中通商協議の最終合意を引き延ばしてきた理由は、このロシア疑惑で「黒」でなくても「灰色」を期待していた節が窺える。そうなれば、強気のトランプ氏が米中通商協議を急いで合意すると踏んでいたからだ。この「期待」が崩れるとなれば、トランプ氏は一段と強気になって、中国を追い込むという「恐怖」にさらされることになろう。

     

    次期大統領選は、トランプ氏が有利な戦いになると見られる。これまで、「ロシア疑惑」がはっきりせず、ここ2~3月間、トランプ氏は苦しい時期を過ごすと見られてきた。これを乗切れば、大統領選は勝利を飾れるという楽観論も聞かれた。現状は、この楽観論が優勢な情勢になっている。

     

    トランプ氏に関する醜聞は、嫌悪する派と業績第一とする派の二派に分かれている。保守派は、業績第一とする割り切った考えが強く、支持率はこれから増えるという期待感が強い。逆に、民主党は、醜聞だけを取り上げて個人攻撃に終始すれば「大敗」するとの予測もあり、政策論争で勝負すべきとの指摘が聞かれる。

     

     

    『ブルームバーグ』(3月25日付け)は、「モラー特別検察官、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠なし」と題する記事を掲載した。

     

    2016年の米大統領選に対するロシア介入疑惑を捜査したモラー特別検察官は、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠はないとする一方、トランプ大統領による司法妨害の可能性に関しては潔白であるかどうか結論を出さなかった。特別検察官が先に司法省に提出した報告書の内容として、バー司法長官が24日に明らかにした。バー長官自身は、捜査で得られた証拠では司法妨害を立証できないとの判断を示した。

     

    (1)「バー長官は議会への4ページの書簡でモラー氏の報告書について、司法妨害の「問題の双方の側面について証拠を見つけ」ており、「特別検察官が法律上の難題とした部分は未解決となっている」と説明。同報告書でモラー氏が「この報告書はトランプ大統領が罪を犯したと結論付けていないが、大統領の潔白を証明するものでもない」と判断したことを明らかにした。しかしバー長官は、自分とローゼンスタイン司法副長官は「特別検察官の捜査で得られた証拠は、大統領が司法妨害を行ったと立証するには不十分との結論に達した」と同書簡に記した」

     


    (2)「トランプ大統領は同報告書によって共謀と司法妨害という自らの地位を脅かしかねない2つの疑いが晴れたと受け止めた。ただ、議会民主党はこれらの問題に関して有罪か無罪かを決定する権限を主張している。トランプ大統領はバー長官の書簡公表の約1時間後、「共謀はなく、司法妨害もなかった、完全かつ全面的な潔白が証明された」とツイートした。またフロリダ州パームビーチで記者団に、「違法テイクダウン(タックル)は失敗した」と語った」

     

    民主党が、どのような態度で出てくるか。これは、一つの焦点であることは事実だ。

     

    (3)「バー長官は16年のロシアとの共謀の疑いについて、「ロシアに関係した個人がトランプ陣営に複数回、支援を申し出たことはあったものの、特別検察官はトランプ陣営ないし陣営に関係する者がこれらの企てでロシア政府と共謀ないし連携したとの判断に至ることはなかった」と説明した。司法省当局者によると、ホワイトハウスはモラー氏の報告書の検討ないし議論に関与せず、事前にバー長官の書簡を閲覧することもなかった」

      

    (4)「ホワイトハウスのサンダース報道官は発表資料で、「特別検察官は共謀も司法妨害も見つけなかった」とし、司法妨害を巡る特別検察官の判断部分は事実と異なる形で論評。その上で「バー長官とローゼンスタイン副長官はさらに、司法妨害がなかったとの判断を下した。司法省の結論は大統領の完全かつ全面的な潔白さの証明だ」と論じた」

     

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    けさ、下記の目次で発行(有料)しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    経済より南北交流を優先

    50%切る個人消費比率

    老齢化した韓国経済の弱味

     

    韓国の文在寅大統領は、記者会見で「われわれが進む道は正しい。そのため政策を見直すことはできない」と言い切りました。経済面では、最低賃金の大幅引上げにより、2月失業率が4.7%と1月よりもさらに悪化しました。これでは、「所得主導政策」が正しいとは言えません。文氏は経済の実態が悪化しても、政策を見直す意思がないとなれば、「独善主義」と呼ばざるを得ません。なぜ、ここまで政策に自信を持っているのでしょうか。

     

    これは、韓国朱子学の道徳主義によるものでしょう。文氏によれば、社会の底辺で苦しんでいる人々の賃金を引き上げる「道徳行為」を行なっている。その過程で、失業率が高まったに過ぎない。いずれ、失業率は下がるという認識と思われます。しかし、生産性を上回る最賃引上は、フランスの先行事例でも証明されているように、失業者を増やす逆効果しか生まないのです。この事実を理解しないのか。不思議でなりません。

     

    経済より南北交流を優先

    文氏がここまで強硬であるのは、「経済よりも南北」という政治選択をしていると見られています。高失業率は、財政資金を支出して救済すれば良い。それよりも南北問題に取り組み、大統領としての政治実績にするという選択をしているのです。南北交流は、南北朝鮮の悲願です。この面で解決への糸口をつくり、与党の支持基盤をさらに固めて、次期大統領も進歩派が継承できる環境を整えたい。そうい
    う、政治プログラムを組んでいる、という指摘があるのです。


     

    文氏には、次期政権も与党から出さなければならない事情があるのです。前政権の幹部クラスを次々に告発し、投獄させました。その関係者の懲役年数を合計すると、100年にもなると言われます。この間、数人の自殺者が出ました。次期政権が保守党になれば、文大統領は告発されるでしょう。告発理由は、何なりと付けられます。それに該当する「事件」はすでに2~3上がっています。

     

    次期政権も進歩派与党から出す絶対条件は、南北交流の実現にかかっています。現に、文氏の支持率は、「金正恩氏」に関わるテーマが登場するたびに上がっています。これを見れば、文氏にとって「経済よりも南北」という選択が、正しいということになるのでしょう。

     

    このことが、韓国の将来に有益であるかは別問題です。北朝鮮が、核の完全放棄をしない曖昧なままで南北交流を始める。その場合、韓国は「核の人質」になる重大な危機に直面します。韓国は、北朝鮮の無法な要求を飲まされる危険性が高まります。そのリスクを抱えながら、南北交流→南北統一の意義があるのかが問われます。韓国国民は、文政権が掲げる南北政策を吟味する必要があるのです。隣国日本は、北朝鮮が核を持った状態を受入れられません。日本が、文政権の早急な南北交流に危機感を募らせるのは当然でしょう。

     

    韓国経済が、最低賃金の大幅引上げによって危機的な状況に向かっている事実は、IMF(国際通貨基金)が、すでにGDPの0.5%超の財政支出拡大を勧告したことに表れています。韓国政府が、今年の成長目標(2.6~2.7%)を達成するには、約9兆ウォン(約9000億円)台の補正予算が必要と見ています。現状のまま推移すれば、1.8%程度の成長率に止まるという判断なのでしょう。

     


    IMFの勧告には、内需の相当な冷え込みを予想していると思われます。その前提として、韓国の最低賃金層が雇用全体の中でどの程度占めているか。それを見ておきます。

     

    米国の場合、最低賃金対象の就業者比率は全体就職人口の2.3%と言われます。韓国ではこの比率が13.3%にも達しているようです。飲食宿泊業・卸小売業は、かなり高いのです。特に零細自営業は72.3%にのぼると推測されます。ここから言えることは、韓国は、最低賃金労働者によって支えられている経済ともいえます。この労働者が、低賃金で働いているのは、経営者に搾取されているのでなく、生産性が低い結果と言えます。生産性を引き上げる政策が、先ず行なわれなければ、大幅な最賃引き上げ策が破綻して当然でしょう。(つづき)

     

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    中国人経済学者で、国際機関に勤めた経験者は、超強気の経済論を打ち上げるという習性があるようだ。

     

    世界銀行チーフエコノミスト兼副総裁であった林毅夫北京大学教授は、2012年ころ、10%成長があと20年続くと発言。その後はトーンダウンして、8%成長が20年続くと臆面もなく発言した。この発言を聞いて、私は2010年5月から毎日書いているブログで痛烈に批判した。中国経済は不動産バブルに過ぎないと指摘したのだ。

     

    今度は、IMF副専務理事を務めた経験を持つ精華大教授の朱民氏が、林毅夫氏に似たような楽観論を話している。

     

    『日本経済新聞』(3月25日付け)は、「減速する中国経済の行方、米の追加関税上げが焦点」と題するインタビュー記事を掲載した。

     

    (1)「中国は3040年にわたって高成長を続けてきた。それを長期にわたって維持するのは不可能だ。経済規模がこれだけ大きくなったのだから成長の速度が落ちるのは自然だ。日本や韓国も同じ経験をしてきた。この2年、中国政府が過剰な生産力や債務の削減を進めたことも景気減速の原因だ。特に鉄鋼やアルミ、ガラスといった分野で大きな成果が出た。その過程で経済に下押し圧力がかかるのは避けられない」

     

    1978年改革開放後の40年間、平均成長率は9.5%を記録した。ただ、2009年以降は不動産バブルが支えてきた不健全な成長である。過剰債務=過剰生産=過剰輸出という形で世界経済を攪乱してきた。これからは、その総決算が求められる。米中貿易戦争は、その象徴的な姿だ。

     

    (2)「中国政府は2019年のGDP成長率の目標を『6~6.%』に設定したが、私は6.3~6.%程度の成長は実現できるとみている。決して悪い数字ではない。これからの数年間も6.%前後で安定するだろう」

     

    これから数年間、6.3%前後の成長率が続けられるというのは、完全な作為的な話と言わざるを得ない。現在、中国経済に起っている問題は、在庫循環と設備投資循環のボトムが重なり合っており、景気の調整はこれだけでも相当の圧力になっている。

     

    また、習近平氏や人民銀行幹部が相次いで警戒している「信用収縮」問題が起っている。流動性のワナの問題が起るほど、信用創造能力は低下しているのだ。マネーサプライ(M2)が、名目GDP成長率を下回って8%増という異常事態だ。このような危機的な状況で、「これからの数年間も6.%前後で安定するだろう」という金融環境にはない。

     

    不動産バブルは現在、中国政府の管理で無理矢理、下落を封じ込めているだけだ。世界的な不動産の下落が起れば、いくら海外情勢に鈍感な中国の投機家も危機感に煽られて、手持ち不動産の処分売りに出てくるであろう。そうなったら、中国経済はひとたまりもない。5000万戸と言われ投機用のマンションが、一斉に売られてきたら中国の信用機構は破綻するだろう。それほどまでに危険な橋を渡っているのだ。

     


    (3)「いま貿易戦争の核心的な問題は、米国が2千億ドル相当の中国製品に課している10%の追加関税を25%に引き上げるかどうかだ。引き上げた場合、中国の輸出数量は大きく減るだろう。それだけではない。米国にも打撃となる。われわれの計算では2千億ドルのうち、50%以上は中国製品以外での代替ができない」

     

    米中貿易戦争の本質は、貿易の不均衡という表面的な問題ではない。中国は、WTO(世界貿易機関)のルール無視による不公正貿易ルールの遵守を迫られている。これを、矮小化して捉えるべきでない。中国が、公正なルールに従った輸出や産業政策を求められたら、経済規模がどれだけ縮小させられるかという構造的な問題を抱えている。

     

    50%以上は中国製品以外での代替ができない」と胸を張っているが、すでにサプライチェーンは脱中国の動きを見せている。余りにも従来の「世界の工場論」に囚われた議論をしていると、中国は世界から見捨てられる危機と隣り合わせだ。その現実を認識すべきだろう。朱氏が在籍したIMFは、伝統的に中国経済に甘い見通しを持っている。それを捨てる時期に来たのだ。

     

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    独裁国家は監視カメラで国民を縛り付けている。そうでなければ、支配者は枕を高くして寝られないからだ。国民から信頼されていないという証拠でもある。こういう装置をつくって無理矢理、国民に対して国家へ忠誠を誓わせる。何とも不思議な構図である。

     

    中国の監視カメラの台数は、国民の数の2倍はあるという。だが、IHSマークイットによれば、中国では2016年時点で街角や建造物、公共スペースに約1億7600万台のビデオ監視カメラが設置されている。監視カメラの定かな台数が分らないほど、国民を監視しているのだ。

     

    『ブルームバーグ』(3月24日付け)は、「カメラ2億台の監視社会、中国ハイテク、強権国家を手助けか」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「習政権は17年、国内の治安関連に推計1840億ドルを投じた。20年までに中国全土を網羅するカメラネットワークを導入し、交通違反からビデオゲームの好みに至るあらゆる個人情報を追跡する「社会信用システム」も整備する。つまり天津であれ別の都市であれ、中国本土内で監視されずに移動することは難しくなる状況が迫っているということだ。政府の監視プログラムを支えているのは、天地偉業などの監視に焦点を絞った企業だけではない。アリババグループや中国平安保険集団、騰訊(テンセント)などさまざまな業態の企業が果たす役割も一段と重要度が増している。目を凝らせば、中国でイノベーティブとされる企業のほぼ全てが国家の監視体制と結び付いており、そのうち何社かは米民間企業従業員向けの確定拠出年金(401k)制度を含めた世界的な投資ポートフォリオに欠かせない銘柄となっている」

     

    中国では、AI(人工知能)になどIT関連ビジネスは、ほぼすべてが国家の監視体制に結びつき「スパイ帝国」を形成しているという。この国家の行く末に興味が湧くのだ。中国国民は、羊のように監視され続けるのだろうか。支配層は、そのことに胸の痛みも感じないのだろう。

     


    (2)「中国の監視活動は信頼醸成や治安向上のほか、人工知能(AI)などの分野で同国を世界的に優位にさせるのに役立つとして支持する見方もあるが、著名投資家のジョージ・ソロス氏ら批判的な向きは習政権が市民監視を危険水域まで高めるテクノロジーの悪用を行っていると指摘する。新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒弾圧が報じられる中で、ここ数カ月間そうした懸念は強まるばかりだ。天地偉業など監視カメラメーカーが海外進出するのに伴い、中国の監視産業がアフリカから中南米に至る国々で政府による市民の自由抑制に手を貸す可能性があるとの懸念もある

     

    中国が、突出した監視産業を育てている。民主主義の強敵が、中国で肥大化している訳で、中国は永遠に国民監視の雄として存在し続けるのだろうか。この監視技術が、強権国家のアキレス腱になることはないのか。

     

    (3)「天地偉業など監視カメラメーカーが海外進出するのに伴い、中国の監視産業がアフリカから中南米に至る国々で政府による市民の自由抑制に手を貸す可能性があるとの懸念もある。また、米国が華為技術(ファーウェイ)を厳しく検証しているように、中国製の監視機器が中国政府のスパイ活動に使われる公算が大きいとの恐れも広がる。華為傘下のハイシリコンは監視カメラを機能させる半導体の大手サプライヤーだ」

     

    ファーウェイは、中国政府のスパイ活動に使われる公算がないと頻りに弁明している。だが、傘下のハイシリコンは、監視カメラを機能させる半導体の大手サプライヤーだという。表面的には中国政府と無関係でも、地下ではつながっていると見るのが常識であろう。

     

    (4)「ワシントンのシンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のエルサ・カニア非常勤上級研究員は「社会管理・運営という目的でデータをてこのように利用する中国政府のアプローチは、世界中の民主統治の未来を含め、かなり厄介な暗示を含んだ形で国家が強制する能力を支える可能性がある」と指摘。「顔認識などのAIアプリケーションを輸出している企業の多くを監視のために利用することは可能で、つまり抑圧に使われることになり得る」と語る」

     

    世界中の有識者が集まって、この国民弾圧の機器を野放しにしておくことの危険性を議論する時期が来るに違いない。「核拡散防止」と同じように「監視カメラ拡散防止」の世界協定が結ばれる。国民生活監視を防がなければ危険である。

     

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    中国で高級車が相次いで値下げされた。これまで、国有銀行から自動車ローンが付いたので、販売は小型車に比べて有利であった。それが、ついに高級車まで販売不振の波が押し寄せている。中国の自動車市場は、普及率の天井とされる20%に接近している。新規購入よりも買い換えが主体になる販売環境である。

     

    背景にあるのは自動車市場の低迷だ。昨年、28年ぶりにマイナス成長になった自動車販売台数は、今年なっても回復の兆しを見せていない。高級車の値下げが可能になった理由は、増値税の引き下げだ。増値税は日本の消費税に相当する付加価値税で、物品の売買、加工、修理役務に課税される。中国税収の4割近くを占める。先の全人代(国会に相当)の政府活動報告で製造業などの税率を現行の16%から13%に引下げが発表された。この減税分の恩恵が早速、高級車値下げとなって表れたもの。

     

    『レコードチャイナ』(3月24日付け)は、「中国で高級車相次いで値下げ、背景に販売台数の低迷、政府は税制面からもテコ入れ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国網によると、16日に値下げの口火を切ったのはドイツのベンツ。メルセデス・AMGの希望小売価格は最大64000元(約1024000円)の引き下げ、メルセデス・マイバッハは最大6万元(約96万円)、メルセデス・ベンツは最大4万元(約64万円)、スマートは最大7000元(約112000円)の値下げとなる」

     


    (2)「BMW(中国)と華晨宝馬(BMW)も続いた。両社は16日、即日から中国販売モデルの希望小売価格を引き下げると発表。BMWが中国で生産するBMW 3シリーズ、5シリーズ、X3X57シリーズなどのほか、ミニブランドの傘下全モデルを含め値下げ幅は最大6万元という」

     

    (3)「16日午後にはジャガーランドローバーが追随し公式サイトで、即日から中国で販売するジャガーとランドローバーの全シリーズの希望小売価格を引き下げると発表した。ジャガーの値下げ幅は最大42000元(約672000円)、ランドローバーは最大85000元(約136万円)。ランドローバー・レンジローバー輸入モデルは33000元(約528000円)、ジャガー・XFLは最大15000元(約24万円)の値下げとなる。ボルボやリンカーンも希望小売価格を引き下げた」



    (4)「高級車値下げの理由について、中国網は「中国自動車市場が低迷し、販売が巨大な圧力に直面していることも関係している」と説明した。2018年に全体の販売台数が減少する一方で高級車は前年比9%増加したが、市場が低迷する中で、高級車ブランドの好成績は19年まで続かなかった。19年12月の国内の狭義の乗用車販売台数は3333000台で前年同期比9.8%減少、高級車メーカーの出荷台数は4%減少となった。2月の高級車メーカーの出荷台数は前年同期比2%減少し、小売台数は3%減少した」。

    値下げしたからと言って、すぐに売り上げが回復するという生やさしい状況にないと見られる。冒頭に指摘したように、普及率の壁がある。慌てて買い換える必要もなく、日本でもそうだったが、買い換え期間は先へ延ばされるであろう。

     

    エコノミストには、年内の販売回復を予想する向きもいるが、それは困難であろう。中国経済が、在庫循環と設備投資循環のボトムに当っているので、かなり厳しい経済減速を余儀なくされるはずだ。楽観論に立つのは危険であろう。


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