勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年04月

    a0003_000019_m
       

    中国が、米国へ執拗なスパイ活動を行なっている。元・米情報当局者をスパイとして採用し、米政府の機密を盗み出す動きを活発化させているというのだ。これは、米国の覇権奪取に狙いを定めたものだろう。満足な自動車エンジンも製造できない中国のやることにしては、調子に乗りすぎた行動に見える。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月30日付け)は、「中国スパイが米国内に拡散、高まる脅威論」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国は政府の機密情報に加え、企業や学術界の知的財産や研究結果を絶えず盗み出しているとして、米国の法執行・情報当局幹部らは、中国のスパイ行為を最も重大な長期の戦略的脅威だとして警告を強めている。トランプ政権は米中通商協議の争点ともなっている中国の経済スパイによる打撃を強調しているが、現旧の米当局者らによると、中国は従来のスパイ作戦においても、これまでとは異なる候補を標的とするなど、一段と大胆になり、成功を収めている」

     

    科学的な知恵に乏しいが、「悪知恵」にかけては世界一というのが中国の現実である。人間を「性善説」と「性悪説」に分けるとすれば、中国人は根っからの「性悪説」とみるべき存在だ。現在の米国は、こういう認識で中国当局と渡り合っているのだろう。

     

    中国は、「信仰心」が存在しない世界で唯一の民族である。「謀略」により権力と富を手に入れる策略においては世界一の国家である。自省と自制という信仰心がない。それが、強味になっている国家である。日本も十分に警戒して当らないと、気が付いたら極秘情報をごっそりと盗まれていたことになりかねない。

     


    (2)「中国はハッカー攻撃で盗み出した大量の個人情報から、中国側のスパイとしておびき寄せるのに格好のターゲットを特定することで、こうした取り組みを強めているようだ。最近の一連のスパイ事件からは、中国側が米情報当局者を使っていかに非公開情報を不正取得しようとしているのか、その広範にわたる手口が浮かび上がってくる。『中国は従来、経済スパイを行っていたが、特に元情報当局者を標的にするのが新たなトレンドとなっている』。こう指摘するのは、元米中央情報局(CIA)当局者で現在はコンサルタントを務めるジェフ・アシャー氏だ」

     

    中国は、元情報当局者を標的にするのが新たなスパイ・トレンドとなっているという。こうなるとCIAは、CIA・OBまでも監視しなければならなくなる。それにしても、中国のえげつなさは世界一である。こういう中国を懲らしめるにはどうすべきか。経済的に追い詰めることが、最大の防御になろう。米国は、TPP(環太平洋経済連携協定)に復帰して、中国を米国市場から排除すべきである。実質的な経済封鎖によって、一挙に零落させることだ。中国の脆弱性は、人口動態にすべて集約化されている。10年間追い込んだら、瓦解するにちがいない。躊躇することなく実行すべきである。原因をつくっているのは中国である。遠慮することはない。

     

    (3)「アシャー氏はこの新しい傾向について、米連邦政府人事管理局(OPM)から、政府職員の身元調査記録などを含む2000万件以上のデータが流出した2015年の事件と関係があるとの見方を示す。米国はデータ流出について、中国のハッカー攻撃によるものとみており、中国が盗み出したファイルを分析するとともに、不正入手した他のデータと関連づけることで、スパイの採用候補を特定する恐れがあると何年も懸念していた。中国側は関与を否定している」

     

    中国4000年は、謀略の歴史である。黄河の中原に源を発する漢族が、広大な版図を築き上げた。それは謀略によってのしあがってきたに相違ない。21世紀の現在、この謀略によって世界の自由と民主主義が挫折させられることを避けなければならない。

     

    (4)「米高官は多方面にわたる中国のスパイ作戦が国家および経済安全保障に与える影響について、社会全体が直面していると問題だとして公然と注意を呼び掛けてきたが、その警告の頻度は増している。米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官は26日、米外交評議会(CFR)で行った講演で『中国ほど大規模かつ深刻な機密収集の脅威となっている国は他にない』と述べた。『情報サービスや国有企業、名ばかりの民間企業、大学院生や研究者など、さまざまな工作員を使って中国のためにスパイ行為を働かせている』という」

     

    「中国ほど大規模かつ深刻な機密収集の脅威となっている国は他にない」という発言こそ、中国の正体を示している。前のパラグラフでコメントしたように、中国は「謀略国家」である。微笑を浮かべながら、虎視眈々と秘密を狙ってくる。身震いするほど嫌悪すべき国家である。共産主義と無信仰が重なっ点では、旧ソ連を上回る凶暴性を秘めている。


    a1380_001541_m
       

    韓国では、日本の年号が明日から「令和」に変ることに大きな興味を持って報道している。一方で、日本の右傾化議論を蒸し返している。次のような記事がその一つである。

     

    「『日米中3強時代』こそ令和時代の安倍内閣が目指す最終目標だ。こうした『グランドプラン』の裏には、安倍首相が内閣や自民党の支持率を引き上げ、長期政権への足場をしっかり築きたいという意図も見え隠れする。令和時代に安倍内閣の右傾化の流れが加速すれば、日本国内でもきしみが生じ、周辺国を緊張させる可能性もある」(『朝鮮日報』4月29日付け)

     

    日本が軍備費を増やしても、対GDP比の枠を設けている。また、日米安全保障条約で自衛隊は米軍との一体的な活動である。こうした状態で、自衛隊が単独行動は不可能である。また、中国の海洋進出の現実を棚上げして、自衛隊を単独で見ることの間違いを知るべきだ。日本の右傾化という議論では、日米安保と中国の軍事脅威をセットにして取り上げるべきだろう。

     

    新天皇は、護憲派という記事も不思議である。天皇は内閣の助言で行動するもので、政治的発言を控えられている。厳密に言えば永遠に護憲の立場である。政治的な意味合いはゼロである。

     

    『朝鮮日報』(4月29日付け)は、「新天皇は憲法改正に反対する『護憲派』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「徳仁皇太子は終戦から70年となる2015年の記者会見の際、戦争と平和に対する自らの考えを明らかにしている。徳仁皇太子は『戦争の記憶が薄れつつある今、謙虚に過去を振り返り、戦争を経験した世代が戦争を知らない世代に、悲惨な経験や日本が通過してきた歴史を正しく伝えることが重要だ』という趣旨の考えを示した。2016年の会見では『平和』という言葉を11回口にした。徳仁皇太子は『戦争を直接経験した人たちと、そうでない人たちに戦争の悲劇と平和の大切さを改めて思い起こす機会を提供した』とも述べた」

     

    新天皇が、平和の大切さを話すことがなぜ護憲派になるのか。この辺りに韓国の誤解がある。改正派は、戦前の日本に戻して再び軍国主義を復活させようと考えているはずがない。争点は、自衛隊の位置づけである。世界5~6位の軍事力を備えた自衛隊が、憲法上において「幽霊的」存在になっていることの矛楯を解決しようというのだろう。護憲派は、自衛隊の位置づけを現状のままにしておくという立場だ。改正派は、しかるべき位置に収めるとしている。その場合、憲法9条の「戦力不保持」の精神とどう調和させるかである。つまり、自衛隊は戦前の日本軍とどのように違うかを明確にする条文が必要になるのだ。

     

    だいたい、安倍内閣の下では「憲法改正に反対」という議論は、感情論の最たるものだ。安倍内閣が永遠に続くという前提で憲法改正を議論するのでなく、中国の軍事的脅威の高まる中で、日米安全保障条約と自衛隊の関係を明確にする議論が、なぜ賛成・反対に結びつくのか。日本の将来を考えて論じるべきだ。

     

    (2)「安倍首相が推進する憲法改正についても反対の考えを持っているという。徳仁皇太子は2014年の記者会見で『今の日本は戦後の日本国憲法を基礎に築かれ、平和と繁栄を享受している』『憲法を守る立場に立ち、必要な助言を得ながら仕事に臨むことが重要だ』と述べた。安倍首相の憲法改正論に対抗する護憲を主張したものと受け取られている」

     

    天皇の立場は、護憲であるべきだ。時の憲法は国民の総意で決められるものである。その結果、一部の修正があっても国民投票で決まれば、天皇はそれを尊重する立場である。従って、永遠に「護憲派」に属する。こういう筋論を忘れて、現行憲法だけを守ることが「護憲」でなく、仮に改正された憲法でもそれを守るので「護憲派」になるのだ。


    1106 (1)
       

    朝鮮半島の周辺海域には、米国や日本だけではなく、英国、フランス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど各国の海軍が配置されている。海上における北朝鮮の違法密売を摘発するために、24時間体制で監視活動を行っているのだ。

     

    主役となるべき韓国海軍の姿が見られないばかりか、むしろ制裁の穴となっているのではないかと国際社会から疑いのまなざしで見られている。韓国が、北朝鮮に協力しているのでないか、疑われている。文大統領が、「危ない橋」を渡っているとすれば、ただ事では済まされない。それこそ、弾劾に値する大事件になろう。

     

    『朝鮮日報』(4月28日付け)は、「なぜ韓国の原油が韓国籍の船を通じて北に違法搬出されるのか」と題する寄稿を掲載した。筆者は、尹徳敏(ユン・ドクミン)韓国外大碩座(せきざ)教授・元国立外交院長である。

     

    (1)「北朝鮮金委員長の非核化への意志は確かだと、米国に対して間違った情報を伝達してきた韓国が、米朝対話の促進者を装い、グッド・イナフ・ディール(十分に良好な取引)、アーリー・ハーベスト(早期収獲)といった感性的な用語で飾り立て、事実上の制裁緩和を要求した。仕事の手順からすれば、当然北朝鮮に非核化の戦略的決断を促し再確認することを優先しなければならなかった。予想通り第2回韓米首脳会談は成果なしに終わった。金委員長でさえ韓国に、さしでがましい仲裁者役はご免だと言い切った」

     

    韓国は、第2回米朝首脳会談前、間違った情報を北朝鮮へ提供した。これが、第2回会談失敗の理由である。

     

    (2)「これほどまでに南北が共に関心を示す制裁緩和とは一体何なのか。2017年末に北朝鮮経済に直接影響を与える力強い制裁案へと水準を引き上げ、決議した。石炭など10億ドル(約1120億円)に上る鉱物の輸出が禁止され、北朝鮮の交易は90%近く減少した。外貨稼ぎの主な手段だった海外への人材派遣も大幅に減った。さらに国連安保理は、北朝鮮が輸入することのできる原油を400万バレルに、そして精製油(航空燃料などを含む)は50万バレルに制限した。北朝鮮経済が必要とする精製油を毎年500万バレルとした場合、その90%が阻まれる計算だ。ハノイ会談で金委員長が制裁解除に固執した理由がまさにここにある」

     

    2017年、北朝鮮への制裁は大幅に引き上げられた。交易は90%減、精製油の90%が削減された。北朝鮮にとっては死活的な問題で、制裁緩和要求が強くなっている背景だ。

     

    (3)「昨夏、数十万トンに及ぶ北朝鮮の石炭が韓国にひそかに搬入された。まかり間違えば、韓国の国民企業である鉄鋼会社や電力会社、最大手の都市銀行までが制裁の対象となるくらいの危険な瞬間だった。幸い事は警告で済んだ。しかし、搬入されたのは何も石炭に限られていたわけではない。国連対北制裁委員会と米政府が最近報告したところによると、韓国製の精製油が韓国の船舶まで動員され、相当量が北朝鮮に違法搬出されたという。ある船舶などは、公海上で27回にわたって16万トンの精製油を積み替えするために使用されていたことが分かった。英海軍によって違法の瀬取りが摘発されたシンガポール国籍の油槽船は、韓国から10万トン以上の精製油を違法搬出したのではないかとの疑いが持たれている。驚くべきことは、韓国港湾で密輸行為が行われ、さらには韓国国籍の船舶までが動員されているというのに、これまで韓国は1件も摘発していないということだ」

     

    昨夏、数十万トンに及ぶ北朝鮮の石炭が韓国にひそかに搬入されていた。重大な事態に至らず警告だけで済まされた。北朝鮮は、韓国を利用して制裁破りを行なっていることが明らかになってきた。ある船舶などは、公海上で27回にわたって16万トンの精製油を積み替えするために使用されていたことが分かった。

     

    (4)「韓国政府が抑留している5隻の船舶も、韓国が摘発した船ではなく、国際社会が提供した情報に基づき摘発した船舶だ。対北制裁専門家のヨシュア・スタントン氏は、同問題が政治的スキャンダルに飛び火する恐れがあると警鐘を鳴らす。問題は、スキャンダルとして終われるような単純な内容ではないということだ。韓国企業と金融機関が米国によってセカンダリーボイコットの対象となれば、対外依存度100%の韓国にとっては致命的だ。そうでなくとも低迷を続ける韓国経済が、こうした外部からの衝撃に果たして耐えることができるのか懸念される。通貨危機のショックからも分かるように、韓国経済は一瞬にして崩壊する恐れがある。文在寅(ムン・ジェイン)政権は南北関係に「完全投入」することで、国民の生活を奈落の底に突き落とすようなまねだけはしないよう心から願っている」

     

    韓国政府が抑留している5隻の船舶も、韓国が摘発した船ではなく、国際社会が提供した情報に基づき摘発した船舶だ。対北制裁専門家のヨシュア・スタントン氏は、同問題が政治的スキャンダルに飛び火する恐れがあると警鐘をならす。韓国大統領府が裏で暗躍した可能性も囁かれている。こうなると、韓国は面目丸潰れになる。


    a0960_006643_m



       

    けさ発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    「一帯一路」事業規模を圧縮

    世界の工場の座を失う羽目に

    米の人口は中国の減少と逆へ

    習氏「第二のゴルバチョフ」?

     

     

    中国政府主催、第二回の「一帯一路」国際フォーラムが4月28日に終わりました。これまでの略奪的な融資姿勢を180度改めて、国際標準に従う旨を明らかにしました。開会に当たり、習国家主席は次のような挨拶をしました。

     

    1)環境保護に裏打ちされたオープンかつグリーンでクリーンという概念を貫く

    2)汚職と戦う

    3)質が高く持続可能でリスク耐性があり、価格も妥当な開かれたインフラ投資

     

    これら3項目は、通常の融資に当って実行するごく普通の前提でしょう。中国は、こういう常識論を改めて打ち出さざるを得ないところに追い込まれたのです。過去の「一帯一路」融資は約4400億ドルと初めて発表しました。閉会式では、今年の融資額を640億ドルの事業規模とします。

     

    「一帯一路」事業規模を圧縮

    この640億ドルは、従来の融資規模に比べてかなり圧縮されたものでしょう。ほぼ半額に圧縮されたとみられます。理由は2つ考えられます。

     

    第1は、中国の経常収支が今年から赤字転落です。これまで世界一の貿易黒字を出してきましたが、貿易黒字の減少と所得収支とサービス収支の赤字が拡大している結果です。海外投融資の資金は経常黒字で賄われます。それが、赤字に転じればもはや投融資の余裕はありません。

     

    第2は、日米豪の三カ国が、各国の政府系金融機関が連携し、エネルギーや通信、資源などの開発案件を協調融資や保証業務などで後押しをします。インド太平洋地域における日米豪の存在感を高める目的です。政府系金融機関が連携して融資するとなれば、中国の「暴利融資」が不可能になります。

     


    アジア開発銀行(ADB)の試算では、アジアのインフラ需要は2016~30年に約26兆ドル(約2900兆円)にものぼると見られます。中国は、こうした資金需要に対して暴利を貪り、借金漬けにしてきました。それが、日米豪の政府金機関が中心になって、低利の安定融資に乗り出せば、中国は対抗できません。温和しく引き下がったのです。

     

    私は、今回の「一帯一路」に関する融資姿勢の変化が、これから始まる中国衰退の重要な第一歩になると見ています。中国の経常赤字国への転落は、米国と意味が異なります。米国は世界一の経常赤字国ですが、世界の基軸通貨国です。米国は、世界一のGDPと世界一の軍事力に裏打ちされた通貨のドルによって、世界経済を束ねています。米ドルが、紙切れにならないという信認に基づいて通用しています。

     

    中国の人民元には、米ドルのような信認はありません。国内市場は保護主義で外国企業と差別しています。政治体制は独裁主義で国民に選挙権も与えていません。人民元相場は、政府の管理による「管理変動相場制」で、先進国共通の「自由変動相場制」でありません。資本移動の規制をしています。こういう中国経済が、経常赤字国に転落した場合、どういう現象が起るかです。

     

    人民元相場は、安値傾向に振れるでしょう。それが極端な形になれば、「人民元投機」に発展します。資金の海外流出が始り、外貨準備高3兆ドル強は一気に減少して、2兆5000億ドル見当になるでしょう。こういう最悪ケースがいよいよ想定される状況になったのです。いまでも「中国経済強し」と見ている向きがあるとすれば、10年は遅れているでしょう。

     

    中国の不動産バブル崩壊について、詳細な言及を控えました。だが、GDPの約300%にも達する債務を抱えています。家計は住宅ローンの圧迫で貯蓄率が低下しています。銀行には預金不足のために「信用創造能力」低下で大きな痛手を受けています。銀行は、貸したくても貸出先の信用悪化と前記の預金不足で動きが取れません。中国経済は、かつての日本が平成バブルに直撃された以上の苦境に立っているのです。日本の辿った苦悩の道を思い出せば、中国経済に楽観論は成り立ちません。

     

    世界の工場の座を失う羽目に

    だが、今回の米中貿易戦争で中国が、技術窃取を認めざるを得ないという屈辱的な場面に追い込まれました。中国が、これを認めた裏にはいずれ米国経済を追い抜き自信があるからだという在日中国人エコにミストがいます。これは、多分に願望であり確たる証拠あっての話ではありません。(つづく)

     


    a0960_004876_m
       

    韓国は、何ごとも日本と同じでなければ気が済まない民族である。ところが、米韓首脳会談で1対1の時間は、たったの2分。日米首脳会談は40分と20倍の差である。韓国が悔しがっている姿が目に浮かぶのだ。

     

    この日韓に対する米国の違った対応は、文氏の北朝鮮優先が米国の勘に障っているのだ。米韓が、一体になって北朝鮮へ対応しなければならないのに、韓国はあえて隊列を乱しているのだ。ホワイトハウスが、韓国を警戒して首脳会談の時間をたったの2分にした理由は、「嫌韓」のシグナルである。それに気付かない文氏は、相当の外交音痴である。経済も音痴ゆえに、全く取り柄のない韓国大統領に成り下がった。

     

    『朝鮮日報』(4月29日付け)は、「単独会談とゴルフで5時間、トランプ・安倍の蜜月関係」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領は4月26日、ホワイトハウスで日本の安倍晋三首相と会うと、記者団に「わが友」と紹介した。記者会見の最後にも「あなたはわたしの友人だ」と改めて強調してみせた。

     

    (1)「26~27日にワシントンで行われた米日首脳会談はトランプ・安倍時代の格上げされた米日同盟関係を見せつけた。4月11日にホワイトハウスを訪れた文在寅(ムン・ジェイン)大統領とトランプ大統領の単独会談は2分だったが、安倍首相とトランプ大統領は40分にわたり単独会談し、27日には4時間半にわたってゴルフを楽しんだ。2人が単独会談とゴルフに充てた時間は5時間を超える。夫妻で夕食を取った時間まで含めると、2人が共にした時間は7時間に達した」

     

    朝日新聞の記事では、「安倍の抱きつき外交」という形容詞だ。朝鮮日報の方が、日米関係の濃密さを正確に理解している。韓国ジャーナリズムは、米韓関係と日米関係を詳細に取り上げているから、日本の読者には裨益(ひえき)するところ大である。

     

    (2)「トランプ大統領は5月25~28日に日本を公式訪問することにも期待感を示した。トランプ大統領にとっては、6月28~29日に主要20カ国(G20)首脳会議が大阪で開かれるため、あえて5月に訪日する必要はなかった。米大統領が日本を2カ月連続で訪問するのは異例だ。トランプ大統領はその背景を紹介した。トランプ大統領は『新しい日王(天皇)の即位の行事に招待された際、安倍首相に『行けるかどうかわからない』と答えた後、『その行事(日王即位)は日本人にとって(米国の)スーパーボウルと比べどれほど大切なものなのか』と尋ねたという。すると、安倍首相『100倍大切だ』と答え、トランプ大統領も『それならば行く』と応じたという。トランプ大統領は5月の訪日で安倍首相と大相撲も観覧する計画であることを明かし、『相撲の優勝力士に贈るトロフィーを製作している』と語った」

     

    明治維新以降の日米外交において、良い関係であった時は日本に幸せがもたらされた。逆の場合は不幸であった。これほど日米関係は、日本の命運に関わっている。安倍首相が、トランプ大統領と個人的に良い関係を結ぶのは、日本にとって歓迎すべきことだ。朝日の記事のような「安倍の抱きつき外交」ではない。日米外交史をひもとくべきだ。

     

    (3)「日米首脳による蜜月は両国が外交・安全保障分野でいかなる同盟よりもしっかりと結束していることを示している。首脳会談後、安倍首相は記者団に対し、『トランプ大統領が日本人拉致被害者問題の解決に向けた北朝鮮と日本の首脳会談実現に向け、全面的に協力する意向を表明した』と述べた。北朝鮮問題でも安倍首相と日本の利益を最大限反映するという姿勢の表れだ」

     

    第2回米朝会談の冒頭、トランプ大統領は金国務委員長に「日本人拉致問題解決」を持出し、金氏を大いに驚かせたという。トランプ氏が、日本への約束を守ってくれている姿に安心する。

     

    (4)「米国は最近、日本の次世代戦闘機開発を支援するため、最新鋭F35ステルス戦闘機の設計機密を提供することを提案した。これは米国がF35を共同開発した英国など8カ国にも提供しなかったものだ。日本はF35の開発に参加すらしていない。また、419日に開かれた日米の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)では、『(日本に対する)サイバー攻撃が米日安保条約5条の武力攻撃に当たる可能性がある』との認識を表明した。日本がサイバー攻撃を受けた場合、武力攻撃を受けたと見なし、米国が共同で反撃に出るという意味だ。一方、産経新聞は27日、韓国が福島原発周辺の水産物の輸入を禁止していることに関連し、世界貿易機関(WTO)の最終審で日本が敗訴したことをめぐる対応で、米国が日本の立場を全面的に支持したと報じた」

     

    米国が、最新鋭機F35戦闘機の設計機密を日本に公開して共同生産体制を提案してきた。これには米国の思惑があるというが、日米関係が過去最高の信頼レベルに達していることを裏づけている。これは、安倍・トランプの蜜月関係だけでなく、ホワイトハウス全体が日本との良好な関係を構築しようとしている印である。米国では、ホワイトハウスのスタッフが強力な力を持っている。大統領の指示でも国益に反するとみれば拒否するのだ。その意味では、日米関係は過去最高レベルと言って間違いない。

     

    日本が、WTOで韓国に「敗訴」した問題で、米国がその不合理性に共鳴し、日本の立場を全面的に支持したと報じられた。韓国にとっては、気になるニュースであろう。


    このページのトップヘ