中国人が日本で自慢するのは、スマホで簡単に支払いができることだ。訪日中国人旅行客が、日本で一番困るのは現金支払いが主流である。中国人が、簡単にスマホ決済に慣れている一方で、日本人は慎重である。この違いはどこから来ているのか興味深い。
一つ考えられる理由は、日本人が買い物に対して慎重であること。質を吟味して選ぶとい選好姿勢が影響しているように思える。だから、ニセ物は生き延びられない。淘汰される運命だ。中国は逆である。欲しいと思えばパッと買う。それには、電子決済がうってつけなのだ。ニセ物を掴まされる可能性は大きいが、「お互い様」と余り気にしないのだろう。
日本で、未だにクレジット決済すらしない人が珍しくない。「買い物は現金で」というのだ。この人々を見ていると、慎重である。やはり、日本人の堅実性の表れとみられるが、さて、読者はどう考えるか。
『サーチナ』(4月29日付)は、「なかなか広まらない非現金決済、日本人は現金決済になぜ執着する?」と題する記事を掲載した。
中国メディア『今日頭条』4月24日付け)は、日本政府は非現金決済を普及させたいようだが、日本人は現金決済に執着しているようだと論じる記事を掲載した。
中国では、買い物の際に現金で支払っている人はもはや少数派。ほぼすべての人がスマホで非現金決済を行っている。路上で物乞いをしている人でも、現金を入れてもらう容器と一緒に自分のアカウントに入金されるQRコードが印刷されたカードを置いているほどだ。 日本でも非現金決済が広がり始めているものの、現金決済にこだわり続ける人が多いことに驚く中国人は多い。
(1)「記事はまず、日本の非現金決済の比率は全決済の20%ほどしかなく「発展途上である」と紹介。非現金決済の普及によって生産性の向上が図られると同時に消費者の利便性も増すため、日本経済の活性化の起爆剤となると期待されていると伝え、観光立国を目指す日本にとっては外国人観光客が日本円を用意しなくて済むため観光業界の活性化も期待できると論じた」
中国人観光客向けに、非現金決済ができるサービスが始まっている。中国人には、それが便利だからだ。だが、中国では「詐欺事件」が多発している。QRコード先進国と言われる中国では偽造コードを使った詐欺が起きている。この結果、「中国ではQRコードを使った偽物の違反切符を利用した詐欺が多発。警察が『QRコード付きの違反切符は必ず警察官が違反者に手渡す。車に貼るのはQRコードが付いていない違反切符だけ』と注意を呼びかける事態となった」(『日本経済新聞 電子版』4月29日付け)という。
簡便なものには、こういう詐欺事件が起るのだろう。
(2)「なぜ、日本では中国のように非現金決済が爆発的に広がらないのだろうか。記事は、①「現金決済でも十分に便利で、安全だから」
②「現金であれば使いすぎを防止できる」
③「高齢化社会であるため現金しか使用できない人が多い」
④「超低金利であるため銀行に預金しない」
などが壁となっていると分析。
一方、非現金決済を利用している人は、
⑤「ポイントで還元される」
⑥「割引率が高い」
という点に魅力を感じている。非現金決済を促進させたい日本の政府は消費税の増税に合わせ決済額の一定割合をポイントで還元する政策も打ち出していると強調した」
日本で、現金支払いを選ぶ理由は、①と②の理由が多数のようにおもえる。
非現金支払いが得になれば、徐々に増えるであろうが、中国のような「激増」にはなるまい。
(2)「中国では、便利なものは非常に早いスピードで社会に広がっていく。後に淘汰され姿を消していくものも多いが、非現金決済はしっかりと定着していて今や中国人の生活に欠かすことの出来ない存在となっている。中国人からすれば非常に便利である非現金決済が日本で爆発的に広がらないことは不思議に感じられるようだ」
最終的には、国民性の違いであろう。欧米人は、同じルーツでも大きな違いが見られる。欧州の堅持型、米国の積極型とその相違点がはっきり分かれているのだ。