文在寅政権に奇っ怪な事件が持ち上がっている。8年前に廃船された漁船の位置情報が、北朝鮮と仁川海洋警察専用埠頭に現れているからだ。存在しないはずの漁船の位置情報が記録されているとは何か。北朝鮮への経済制裁逃れに、この「幽霊船」が暗躍しているという筋書きが生まれるのだ。
そう言えば、北朝鮮への「瀬取」では韓国船が最も利用されているというが確証はなかった。意外にも、今回の位置情報によって、韓国政府が絡んでいるとなれば、文政権は吹き飛ぶ大事件になろう。
朝鮮半島の周辺海域には、米国や日本だけではなく、英国、フランス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど各国の海軍が配置されている。海上における北朝鮮の違法密売を摘発するために、24時間体制で監視活動を行っている。こうした摘発において主役となるべき韓国の姿が見られないばかりか、むしろ制裁の穴となっているのではないかと国際社会から疑いのまなざしで見られてきた。今回の「幽霊船」の出現は、この謎を解く鍵になる可能性も出てきたようである。
『中央日報』(5月30日付け)は、「8年前に廃船の漁船、韓国と北朝鮮で位置情報表示の形跡」と題する記事を掲載した。
8年前に廃船となった漁船「ゴールデン・レイク801」の位置情報が昨年から韓国と北朝鮮の双方で相次いで表示されていることが分かり、関心を集めている。米政府系放送『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)が5月28日に報じた。しかし韓国海洋水産部(省に相当)の資料によると、この船はここ3年の間に韓国の港を出入りした記録がないことから、「幽霊船」だとか「国家情報院の工作船」などさまざまな疑惑が持ち上がっている。
(1)「VOAによると、『ゴールデン・レイク801』は300トン級の漁船で、2009年に運航会社が倒産したため11年に廃船となった。ところがリアルタイムの船舶位置情報を示す『マリン・トラフィック』によると、昨年9月5日に同船の位置は一般の船舶が出入りできない仁川海洋警察署の専用埠頭(ふとう)に表示された。それから1カ月後の10月4日には西海(黄海)北方限界線(NLL)を越え、北朝鮮の黄海道にある長山岬から7キロ沖合で再び表示されてから消えた。その後、この船の信号は昨年11月15日に再び仁川海洋警察署専用埠頭で表示された。さらにVOAによると、今年5月3日には突然、平壌の関門と呼ばれる北朝鮮の南浦港に現れ、今月21日には再び仁川海洋警察署専用埠頭で表示されたという」
昨年9月5日に仁川海洋警察署専用埠頭
昨年11月15日に仁川海洋警察署専用埠頭
今年5月21日に仁川海洋警察署専用埠
一般船舶が入港できない海洋警察専用埠頭へ「ゴールデン・レイク801」が入港している。北朝鮮への瀬取りの疑いは十分だ。韓国大統領府が噛んでいることは疑いあるまい。
(2)「これについて海洋水産部はVOAからの取材に『ここ3年の間にこの船が韓国の港を出入りした記録はない』と明らかにした。仁川海洋警察も本紙の電話取材に『ここ1年で民間の船舶が専用埠頭に停泊した事実はない』と説明した。匿名のある関係者はVOAに対し『GPS(衛星利用測位システム)の単純なエラーだろう』という説明を仁川海洋警察署から受けていたと伝えた」
このパラグラフは、真っ赤な噓であることがわかる。「GPS(衛星利用測位システム)の単純なエラーだろう」であるはずがない。エラーならば、同一埠頭に停泊することを示さず、アトランダムになるはずだ。噓噓、大嘘である。