勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年05月

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    韓国メディアでは、日本の「令和」を批判的に捉える向きもいる。それは、書き手の自由だが、批判の場合は自らの名前を名乗るべきだろう。無署名の批判記事は、夜陰に乗じて鉄砲を撃つようなものだ。

     

    『韓国経済新聞』(4月24日付け)は、「幕上がる日本の令和時代」と題する無署名のコラムを掲載した。これに対する私の反論は、4月24日のブログに、「韓国、『令和』 歴史を理解せずに日本批判 『メディアの自殺』」と題して掲載した。

     

    前記のコラムと同一筆者と思われる人物が、再び下記のような「令和」を喜ぶ日本人に痛烈な批判を浴びせるコラムを掲載した。その主旨は、日本人の低経済成長下の不安心理を新天皇誕生で癒やしている病気(症候群)と捉えている。この見当違いの批判に対して、再度の批判を加えたい。

     

    『韓国経済新聞』(5月3日付け)は、「日本『令和シンドローム』の正体」と題するコラムを掲載した。筆者名は不明のコラムだ。

     

    私の推測では、日本のある公立大学の経済学教授と見る。私が彼のコラムを批判した後、コラムの執筆を止めた人物がいる。ほとぼりが冷めたと見て、無署名で日本批判をやろうという狙いならば、フェアでない。自分の名前を堂々と書いて日本批判をするべきだ。日本では、夜陰に乗じて鉄砲を撃つ真似は恥ずかしい行為である。日本では、最も嫌われるタイプだ。

     

    (1)「 新天皇の即位式があった1日、日本全国の神社と神宮に多くの人々が集まった。東京の明治神宮や三重の伊勢神宮などには大勢の参拝客が訪れて祈願し、令和初日の朱印を求める人々の行列が10時間以上も見られたという。新天皇が即位して年号が変わったことを祝うため日本人が列を作って神社を訪れたのだ。 日本人は年号が平成から令和に変わったことにいろいろな意味づけをしながら盛り上がる姿だ。令和が持つ文字的な意味に執着して過剰解釈しようとしている。文字を通じて希望を渇望するのが年号文化の特徴だと自賛する人たちもいる」

    元号が「令和」に変わって喜ぶ姿は、元日に新年を祝う姿と同じだ。そこに、格別の意味もない。ただ、素直に新しい時代を祝うだけである。1億2000万人の国民がいるのだから、1億2000万通りの解釈があって当然。その一つ一つに反応する必要はない。

     

    (2)「神社に集まって新しい年号に歓呼することを日本人は祭りだと言っても、単なる祭りとは見なしにくい側面があまりにも多い。むしろ今の日本人の不安心理を表す行動パターンと見ることもできるというのが心理学者の分析だ。 日本メディアは平成時代を停滞の時代、不作為の時代と批判する。社会の成熟化が進まず『未完の成熟期』と評価するメディアもある。そして令和時代を新しい時代と呼ぶ。それだけ平成と令和の時代を区別して希望を吹き込もうとしている」

    心理学者は、それらしく時代の特徴を切って取るのが職業上の職務である。だが、根拠も示さず漠然とした分析にいかなる意味があるのか。不安心理の現れと指摘するには、その根拠を具体的に示すことだ。

     

    日本の完全失業率は、4月で2.5%。多分、世界最低であろう。働く意欲と能力のある者は、ほぼ100%就職できる「天国」である。

     

    平均寿命は、最近調査(2016年時点)でも世界一の84.2歳である。2位以下は、スイス(83.3歳)、スペイン(83.1歳)、フランス(82.9歳)などのヨーロッパ先進国を抜いている。米国経済通信社『ブルームバーグ』の「健康な国」指数では、最近時で日本が4位にランクされている。ちなみに、上位国は、スペイン、イタリア、アイスランドである。健康面で日本は、ヨーロッパ上位国の「天国」になっている。

     

    就職も保障され健康面でも世界トップ。それが、日本の現状である。この幸せを喜んでいるとみれば、新天皇誕生を祝う気持ちが、不安心理の裏返しとは曲解も曲解、最悪の見方であろう。昔流にいえば、「曲学阿世の徒」と呼ぶべきだろう。

     

    ならば聞きたい。韓国の平均寿命は延びてきたが、自殺率はOECD加盟国中で長らくワースト・ワンの最悪状態であった。最近は1位でなく2位である。若者の体感失業率は約25%。就職できるまでに平均3年もかかるのだ。こういう事態にある韓国メディアが、日本を批判するとは的外れである。そんな余裕があれば、韓国経済立て直し策を書く方がはるかに建設的であろう

     


    (3)「平成初期まで世界経済の15%を占めた日本の国内総生産(GDP)比率は現在6%ほどに落ちている。経済的な格差はもちろん、社会的な格差も深刻になった。高齢化時代に入って高齢者の人口が急速に増加し、全体の人口が減少している。いわゆる「失われた25年」の産物だ。賃金はそれほど上がらなかった。2012年に始まった安倍晋三政権が改革して革新しようとしたが、日本人の不安心理を完全に解消するのに苦労している」

    日本の総人口は、1億2300万人がピークだ。この日本のGDPが、世界の15%を占めたのは、バブル経済のなせる業。永続性があるはずもない。現在の6%がいいポジションである。高齢化は世界の潮流になった。日本は、その最初の国だから戸惑いもあったが、平均寿命の世界一が象徴するように、高齢者も働く環境ができている。

     

    韓国は出生率の急低下によって、日本以上のスピードで高齢化が進むはずだ。高齢化社会への準備がないから、自殺率がワースト・ワンになった理由であろう。韓国から見た日本は、あらゆる点で「天国」である。格差拡大問題の緊急性は、日本のことでなく韓国で現在、起っている問題だ。文大統領による間違った最低賃金の大幅引上げがもたらした悲劇である。

     

    (4)「 問題は1980年前後に皇室に親近感を感じる日本人は40%ほどだったが、現在は76%にのぼるという点だ。未来が不安な時に天皇に寄りかかる心理だ。別の見方をすれば、微弱な経済成長がもたらした日本政治システムの遺産かもしれない。経済が好況を享受できずに生じる現象の一つだ。ブレグジット(英国のEU離脱)と「トランプ現象」も不安心理の表れだった。「令和シンドローム」もこうした道を歩んでいる」


     

    象徴の天皇は、政治的な言動は禁じられている。その天皇に、日本人が寄りかかって何を求めるのか。誤解も甚だしい。新天皇への親近感が増えているのは、その庶民性=開かれた皇室への好感度の高さだ。

     

    高度経済成長時代、昭和天皇への思いも深かった。日本人にとっての天皇制は、理屈を超えた関係にある。この天皇に対して、韓国は「日王」と呼んで揶揄してきた。その感覚が、日本人をして韓国への違和感を生んでいる。韓国人の不用意な天皇批判が、日韓の感情的な違和感を生む要因である。このコラムも、「天皇制批判」が根底にあるようだ。日本人を理解しない哀れな姿に見える。


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    中国の不動産バブルは、経済活動にマイナスであることが、時間の経過とともに明らかになってきた。中国政府は、この副作用に気付かずにバブルを謳歌してきた。だが思わぬところで、中国進出の日本企業が、地価高騰=家賃高騰に音を上げて日本へのUターンを始めている。

     

    中国では、高騰した住宅価格が家計のローン負担を大きくし、これが個人消費を抑制して経済成長率を押し下げる要因になっている。こうして、債務総額の増加がGDP成長率を抑圧するという、新たな局面を迎えている。「バブル万歳」が「バブル怨念」へと変わったのだ。

     

    『サーチナ』(5月4日付け)は、「日本企業が中国の工場を閉鎖し、国内回帰を進めている理由は」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア『今日頭条』(4月28日付け)は、「日本企業はなぜ次から次へと中国の工場を閉鎖し、国内回帰を進めているのか」と題する記事を掲載した。

    (1)「記事は、「今でも日本の方が人件費は高いのではないか」という当然の疑問を呈している。しかし、全体的に見ればこうした日本企業の選択は「ビジネス的に理性的な決定」だという。 まず、「人件費」だが、確かに今でも中国のほうが日本よりも安いものの、以前ほどの魅力はなくなっているという。2003年までは日本の4分の1から3分の1だった人件費が、その後は上がる一方で、2014年までの11年間で2倍になったとしている」

     

    日中の人件費格差が年々、縮まっていることは確かである。中国政府は、強引に最低賃金を引き上げている。これが、所得格差を縮める要因と考えている結果だ。海外からの中国進出企業にとっては、「人件費安」というメリットが消えている。

     

    (2)「同時に、2003年以降の中国では「不動産価格」も大幅に上がっている。大都市では10倍以上に値上がりしており、給料も毎年10%ずつ上がっているそうだ。今でも製造業の人件費は日本よりも低いものの、不動産価格と人件費のバランスを考えると「全体のコストで見ればそのうち日本に追いつき追いこしてしまう」と、もはや中国に製造拠点を置く理由がなくなっていることを指摘した。

    不動産価格は、不動産バブルを反映して押上げられている。これに伴い家賃の高騰を招いている。家賃引上げに応じないと、家主が水道や電気の供給を止めるという強硬手段を取るので払わざるを得ない。こうして、日本企業は総合的に判断して、Uターンを決めている。

     


    (3)「それに加え、「日本製品の人気が相変わらず高いこと」も、国内回帰を後押ししているという。かつての爆買いは見られなくなったとはいえ、今でも訪日中国人に「日本製」は非常に人気だ。中国製の商品もイメージが向上してはいるが、やはり「中国製品はローエンド、ミドルレンジ」、「日本製品はハイエンド」というイメージは払しょくできていないとしている。記事は、「中国人の日本製品好きと中国の製造コスト上昇が、日本企業の工場を日本へ回帰させている」と分析。特に化粧品メーカーでその傾向が顕著だと論じた」

     

    日本製品が人気を得ている裏に、日本国内で生産するという条件がついている。日本人が、厳重な生産管理をして製造した「正直正銘」の「メード・イン・ジャパン」でなければ満足できない。そういう消費者心理が働いているのだ。

     

    こうした海外の消費者心理を反映して、日本企業が国内に工場を新設するケースが増えている。資生堂が国内に相次いで工場新設する背景にはこれがある。今後の訪日観光客の増加を考えると、Uターン現象は理屈に合った企業行動である。


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    北朝鮮は、国内経済対策を二の次にして核・ミサイルの開発に没頭してきた反動が食糧飢饉に現れた。本来ならば、自業自得と言うべきだが圧制下に苦しむ国民は被害者である。

     

    国連は3日、北朝鮮の食糧事情がここ10年間で最悪の状況にあり、食糧不足を解決するには136万トンの食糧支援が必要との調査結果を発表した。

    『聯合ニュース』(5月3日付け)は、「北朝鮮の食糧生産ここ10年で最低 『緊急支援必要』=国連」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「国連食糧農業機関(FAO)と国連世界食糧計画(WFP)が発表した北朝鮮の食糧状況に関する評価報告書によると、今年(2018年11月~19年10月)の北朝鮮の食糧需要を満たすためには136万トンの穀物を輸入する必要があるという。また報告書は北朝鮮の人口の約40%に当たる1010万人が食糧不足の状態にあり、緊急の支援が必要と指摘した」

     

    北朝鮮人口の約40%が食糧不足では、大変な事態に直面している。人道上の対応として、経済制裁との関係が問われるが、これまで核開発を続けてきた北朝鮮政府の責任が第一に問われるべきである。間違っても、経済制裁緩和論へとつながることは回避すべきである。

     

    (2)「北朝鮮の食糧配給量は2018年には1人当たり1日380グラムだったが、19年は300グラムに減り、一般的に配給量が減る7~9月にはさらに減少する可能性があると分析した。北朝鮮の18年の食糧生産量は約490万トンと推計され、08年以来の低水準だった。北朝鮮の食糧不足は干ばつと高温、洪水に加え、国際社会の制裁によって燃料や肥料、機械の部品などが不足したことが原因で、今年の穀物生産量の見通しも懸念される水準と予想された。FAOとWFPは『人道的支援が実施されなければ、数百万人がさらに飢えに直面することになる』とし、国際社会による支援を要請した」

     

    北朝鮮は、食糧援助を要請しながら核開発継続は許されない。この点は、どさくさ紛れに食糧だけ受け取って、核開発を継続するという「良いところ取り」は認められないのは当然だ。食糧配給量が1日400グラム以下というのは厳しい線である。約3000グラムは必要とされるから、北朝鮮国民が、どん底生活を余儀なくされていることを窺わせている。正恩氏の体重から見ると、彼は10人分の食糧を1人で食べている感じだ。

     

    『中央日報』(5月2日付け)は、「米国の北朝鮮担当代表が8日訪韓…『北朝鮮誘引する食料支援案を議論』」と題する記事を掲載した。

     

    (3) 「米国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表が5月8日に訪韓する。ベトナム・ハノイで開催された2回目の米朝首脳会談が決裂した後、初めての訪韓となる。 ワシントンとソウルの外交筋は5月1日、『ビーガン代表は李度勲(イ・ドフン)外交部韓半島平和交渉本部長と韓米ワーキンググループ会議をし、青瓦台(チョンワデ、大統領府)も訪問する予定』とし『膠着状態の米朝交渉に突破口を開く方法を集中的に議論することになるだろう』と伝えた」

     

    米国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表が、訪韓することになった。米朝交渉の膠着状態の打開が目的である。

     

    (4)「ワシントン情報筋は特に『新しい北朝鮮誘引案』として韓国政府が最近構想中の対北朝鮮食料支援問題が集中的に議論されると伝えた。また『先月ワシントンを訪問した金鉉宗(キム・ヒョンジョン)青瓦台国家安保室第2次長に続いて、文在寅大統領も韓米首脳会談でトランプ大統領に対北食料支援の必要性に言及したと聞いている』とし、『ただ現在のところ米政府は原則的に反対しないが、北の態度の変化があるべきという慎重な立場』と話した」

    米国は、北朝鮮への食糧支援には前提条件を付けている。北朝鮮が米朝交渉に応じるというもの。食糧だけ受け取って、米朝交渉に応じないというのであれば、食糧支援に反対の立場だ。

     


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    外務省(韓国では外交部)は、どこの国でも花形部門である。一国のプライドを賭けて、いかに国威発揚をはかるか。現在、韓国ではこの花形部門が、大統領府に陣取る外交の素人衆によって牛耳られ、下請けをさせられているという。

     

    文政権が登場する以前は、韓国外交部は、米国担当と日本担当が花形であり、職員はこの両部門への配置を希望したという。だが、文大統領による積弊=親日排除によって、日本担当の責任者は、すべて左遷されて閑職へ追いやられている。米国担当も大統領府の秘書官や特別補佐官が実権を握っている。要するに、これまでの花形の日米担当者は、閑職か実権を奪われているのだ。

     

    専門外交官が、失職状態に追い込まれているなかで、韓国外交は迷走を続けている。大統領府に陣取る素人衆は、「86世代」という「親中朝・反日米」グループである。学生運動家上がりの元過激集団が、長い在野生活を経て権力機構に潜り込んできたもの。訳も分らずに権力を振り回している構図だ。韓国の国益を著しく損ねており、合法的に権力奪取が行なわれたとも言える状態だ。

     

    『朝鮮日報』(5月3日付け)は、「大統領府の厳しい監視で気軽に電話もできない韓国外交部職員たち」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国外交部(省に相当)のある幹部は最近、自分の携帯電話に登録されていない電話番号から電話がかかったときは受けないようにしているという。「業務用のセキュリティースマホ」に電話がかかると、およそ1秒間「ジジジ」という音が聞こえるからだ。この幹部は「携帯電話にセキュリティーチップが埋め込まれ、通話の内容が監視されていると聞いたことがある」と語る。そのため業務中に外部と連絡を取るときはオフィスの電話を使い、外部の人間と会うときは常に後輩職員と同行するという。「内部情報を漏らした」などと誤解を受けないためだ。別の幹部も「業務用の通話は全て盗聴されていると考えて電話を受ける」と語った」

     

    大統領府が、外交部を監視して盗聴を始めているのは、大統領府が外交部に圧力を加えていると言う自覚があるからだ。その不平不満が、外部に漏れると大統領府の秘書官や特別補佐官が国会やマスコミから批判されるので、それを恐れている。自分たちのやっていることが、決して理に適っていないことを承知なのだ。

     

    この問題は、政権が交代すれば究明されなければならない緊急の事態である。

     

    大統領府の「86世代」は、心情的に「親中朝・反日米」である。北朝鮮の核問題でもできるだけ北に有利な方法を探しているので、米国と軋轢を生んでいる。日本とは、「全面戦争」に突入している。「86世代」にとって日本は、許しがたい仇敵である。日本を追い詰めるという、想定通りの状態へ持ち込んで勝利感に酔っているはずだ。この結果が、何をもたらすか。彼らにとっては、関知しない。ただ、「反日をやる」ことが目的の政権である。

     


    (2)「現政権発足後、大統領府による外交部に対するセキュリティー調査が10回以上行われた影響で、最近は外交官の誰もが完全に萎縮している。昨年末には書記官や事務官などの個人用のスマホも押収され、またある幹部は「人事について外部の人間に話した」として処分を受けた。2017年末に大統領府の特別監察チームが外交部幹部10人の携帯電話を押収し、私生活までチェックしたことから、今や外交部は一層大統領府の顔色をうかがうようになった」

     

    「86世代」は、自分たちの悪行が外部に漏れることを極度に恐れている。マスコミがかぎつけて記事になることが、自らの権力失墜になることを知っているからだ。つまり、悪行であることを十分に認識して権力ハラスメント行なっている点で、きわめて悪質である。

     

    (3)「前政権で力を発揮したとの理由で、北米外交や北核問題に精通する外交官たちが「積弊」として窓際に追いやられ、しかも最近は監察まで日常化しているため、今や外交部全体が完全に自信と活力を失っているという。また外交部のトップとその周辺も大統領府のコード(政治的理念や傾向)に合わせているため、完全な「三流外交」に転落したとの指摘もある。大統領府は現政権発足直後から北核あるいは対北朝鮮政策においてこれまで米国との連携を重視してきた外交部を排除し、今や情報の共有さえ行わないようだ」

     

    外交の基本は、政権が代わっても基調が継続されることだ。他国は、こういう前提があるので安心して外交関係が続けられる。文政権は、この前提をひっくり返し旧政権=積弊排除対象と位置づけている。これは、革命政権と同じことを行なっている。文政権は紛れもなく革命政権である。

     

    文氏は、引退後に厳しく司法から追及される身となろう。「86世代」が国政壟断を行なっている罪である。

     


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    韓国政府は、徴用工問題では原則論を述べており、司法の決定に介入しないと繰り返している。一方の韓国議会は、「議員外交」の名目で訪日する計画を立てている。要するに、韓国大法院の判決を、日本に受け入れろという地均しかも知れない。そういう狙いであれば、日本は韓国の国会議員団の訪日を拒否すべきだ。

     

    『聯合ニュース』(5月3日付け)は、「日本などへの議員外交強化、韓国国会が『フォーラム』立ち上げ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は3日、日本など主要国と拠点地域に対する議員外交活動を強化するため『議会外交フォーラム』を発足させたと発表した。国会議員、外交官、大学教授、該当地域の専門家などでつくる各フォーラムは、米国、中国、日本、ロシアをはじめ北朝鮮、東南アジア諸国連合(ASEAN)、アフリカ、中南米、中東、欧州連合(EU)、インド、英国の12カ国・地域を対象に活動する予定だ」

     

    入院しているはずの文国会議長が、世界の12カ国・地域を対象に「議会外交フォーラム」を立ち上げて、日本を訪問させると発表した。日本の対韓感情悪化を受けて、大慌てで準備した訪問団である。だが、韓国の一方的な措置の説明を聞いても無意味。訪問を断るべきだろう。「国民感情が許さない」と韓国流の口上を使えば問題ない。

     

    (2)「文氏は当選5回以上のベテラン議員に各フォーラムの会長就任を依頼。韓日フォーラムの会長には、超党派の韓日議員連盟会長を務めた経歴を持つ無所属の徐清源(ソ・チョンウォン)議員が就く。徐氏は今月半ばに与党「共に民主党」の姜昌一(カン・チャンイル)議員(韓日議員連盟会長)や同党の金振杓(キム・ジンピョ)議員らとともに日本を訪れて自民党執行部と面会し、行き詰まっている両国関係の改善を模索する計画だ」

     


    韓国政府は最近、従来よりもさらに踏み込んだ発言をしている。

     

    (3)「韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官は2日、強制徴用賠償判決に関連し『司法判断を尊重するという次元を超え、歴史と人権という問題の下で被害者が納得できる、被害者の癒やしとなる方策が重要』と述べた。これは『司法判断を尊重する』という外交部の従来の立場から一歩踏み込んで、『歴史と人権問題の解決という観点から、日本政府が被害者の納得できる措置を取るべき』という意味で述べたものとみられる」(『朝鮮日報』5月2日付け「韓国外相、強制徴用、資産売却は国民の権利行使、政府は介入せず」)

     

    韓国外相の「歴史と人権問題」という発言になると、慰安婦問題と同じ扱いをしていることに気付く。日韓基本条約で無償5億ドルを受け取った韓国政府が、「ネコババ」して徴用工に支払わなかっただけである。それを今さら、日本を悪者にして「二重払い」させようという韓国の司法・行政の混合チームの厚かましさを日本政府は糾弾すべきだ。

     

    韓国議員団が、この韓国政府の説明をオーム返しするつもりならば、訪日計画を断念すべきである。そんな厚かましい言い訳を聞くのは時間の無駄である。


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