勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年05月

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    日本外務省が、ウエブサイトで旭日旗の由来について、「日本文化の一部」と説明した。これに対して、韓国外交部(外務省)が、猛然と批判を加えてきた。25日「日本側は謙虚な態度で歴史を直視する必要がある」と喧嘩を売ってきたのだ。

     
    韓国 外務省は、「旭日旗が過去周辺国に軍国主義と帝国主義の象徴と認識されている点を日本側もよくわかっているはず」と高圧的な態度に出てきた。個人の意見ではない。国家としての見解であるが、旭日旗は日本の法律(1954年)で決められたものだ。日本外務省は、旭日旗が「日本文化の一つ」と説明したが、九州地方では家紋として使われている。

     

    こういう庶民生活との関わりを無視して、韓国は隣家へ怒鳴り込んできたのだ。この裏には、韓国大統領府の「86世代」が、日本へ一矢報いろとけしかけていると見られる。「86世代」は、「親中朝・反日米」集団であり、日米緊密化に水を差せという「ジェラシイー」であろう。

     

    韓国外務省が、外交慣例に反する行動に出てきた裏に何があるのか。6月、大阪で開催されるG20での日韓首脳会談が不透明なことへの鬱憤晴らしと考えられる。きわめて子どもじみた行為だが日々、演じられている韓国政界の動向から言えば、あり得る話だ。それほど、低級な争いをやっている国である。

     


    『中央日報』(5月28日付け)は、「日本『日韓防衛相会談しない』、首脳会談開催も不透明」と題する記事を掲載した。

     

    5月31日、シンガポールで開かれるアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、日韓防衛相間の公式会談を進めないことになったと日本メディアが伝えた。読売新聞は複数の日本政府関係者を引用し、「(岩屋毅防衛相は)韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防長官との正式な会談は見送り、立ち話程度の接触にとどめる予定」と28日、報じた。

    (1)「 今回の韓日防衛相会談の見送りが、6月28~29日に大阪で開かれる世界の主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の時の韓日首脳会談の開催にも影響を及ぼしかねないという見方もある。日本政府はこれまでメディアを通じて『首脳会談がないかもしれない』というメッセージを何回も流し、会談開催に懐疑的な反応を示していた」

    日本側が、日韓防衛相会談を断ったとすれば、韓国外務省の「旭日旗批判」が背景にあることは、誰でもピント来るはず。旭日旗は自衛隊旗である。それが、「軍国主義と帝国主義の象徴」とまで罵倒されれば、あえて韓国防衛相と会談する必要はない。日本が、断って当然である。

     

    (2)「 突然、会談を中止した背景に関連し、読売は防衛省幹部の言葉を引用して「岩屋氏は鄭氏との会談に意欲を示していたが、韓国海軍による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題に注目が集まることは避けられず、『時期尚早』と判断した」と防衛省内部の雰囲気を伝えた。 ただし、今回の会議で韓日米3カ国の会談は予定通り開かれると同紙は伝えた」

     

    日本防衛省は、旭日旗が原因と言わないまでも、韓国外務省の言動が頭にあることは当然であろう。もう一つ考えられるのは、韓国国防相がレーダー照射問題で行なった「異常発言」が未処理である。日本側は撤回を求めているので、満足した回答が得られず障害になったかも知れない。韓国外務省の旭日旗批判が「筆禍事件」とすれば、韓国国防相発言は、「舌禍事件」である。

     

    5月23日、パリで行なわれた日韓外相会談は、互いに批判し合って実のある議論はなかったという。日韓関係は、断絶に近い状況に陥っている。


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    中国ファーウェイの任CEOは、人生最大の難所に差し掛かっていると思います。長女の副会長は、カナダで囚われの身です。人の子の親として、一刻も早く自由の身にさせてあげたいと願っているはずです。子どもを持つ親として、その心情に心から同情するのです。

     

    任氏が、ファーウェイをここまで拡大する過程では、随分と「危ない橋」を渡って来たと思います。中国政府とつながりを深め、利用してきた二人三脚の過程だったでしょう。それが、すべて裏目に出てしまいました。

     

    昨日のブログで、任CEOのインタビュー記事を紹介しました。その中で、次の箇所で任氏の本音が出ていて「ハッと」しました。私も記者当時、インタビューした経験から言いますと、相手は最後にポロリと本音を漏らします。だから、インタビュー時間をできるだけ長くし、聞きたいテーマに付いて、本音を語るまで同じことを何回も聞きます。そうすると、最後に胸の内を語るものです。

     


    任氏の注目点は最後にありました。

     

    「私は明日の米国製テクノロジーを盗んだのだ。米国はそうしたテクノロジーを持ってさえいない」と語った上で、「われわれはすでに米国の先を行っている。もしわれわれが後れを取っているなら、トランプ大統領が執拗にわれわれを攻撃する必要はないだろう」

     

    要点を整理します。

     

        明日の米国製テクノロジーを盗んだ

        米国はそうしたテクノロジーを持ってさえいない

        われわれはすでに米国の先を行っている

     

    この技術とは、次世代通信網の「5G」を指しています。「ファーウェイ5G」は、米国の半導体とソフトが深く関わっています。任氏は、米国諜報部門が総力を挙げて「裏」を取っていること知らないようです。豪州と米国が一体になって取り組みました。「ファーウェイ5G」には、恐ろしいバックドアが仕掛けられており、自由世界を乗っ取る青写真を描いていたのです。それが、すべて明らかになったので、今回の輸出禁止令になりました。

     

    任氏は、米国をせせら笑っています。可愛い愛娘は、カナダ官権の手にあります。娘を救いたかったなら、言いたいことを控えた方が良いでしょう。ここまで米国をあからさまに愚弄すれば、そのブーメラン効果に苦しめられるはず。原因をつくったのは、ファーウェイでしょう。それを忘れていると、思わぬ処に落し穴ができると思います。


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    中国は、米国への「強気発言」がすっかり消えてしまった。米国によるファーウェイへの「奇襲攻撃」で、先手を打たれたからだ。中国の戦意を挫く目的である。さらに追い打ちをかけるように、4月の工業部門の利益は前年比3.7%減である。製造業不振は、設備投資や雇用に直結する。習近平氏にとって辛い時期が続く。

     

    『ロイター』(5月27日付け)は、「中国の工業部門企業利益、4月は3.7%減」と題する記事を掲載した。

     

    データは、主力事業の年間売上高が、2000万元以上の企業を対象としている。

     

    (1)「中国国家統計局が発表した4月の工業部門企業利益は前年同月比3.7%減の5154億元(748億ドル)だった。需要や製造業の活動が低迷したもの。3月は13.9%増と8カ月ぶりの大幅な増益を記録していたが一時的だった。4月1日の増値税引き下げを前に3月に駆け込み出荷があったことが、4月の減益の背景。前年同月の利益水準が高かったことも影響したという」

     

    3月の利益が、前年比二桁増になったので楽観的な気運も見られた。だが、4月からの増値税(日本の消費税)引き下げ前の駆け込み出荷による一時的なもの。4月にその反動が出た。

     

    (2)「1~4月の工業部門企業利益は前年同期比3.4%減の1兆8100億元。1~3月は3.3%減だった。米国の関税引き上げの影響が大きかった通信・電子機器製造は、1~4月に15.3%の減益となった。1~3月は7.0%の減益で、1~4月の減益幅が拡大している。4月末時点の工業部門企業の負債は前年比5.5%増」

     

    工業部門企業利益は前年同期比の減益率

    1~3月 3.3%減

    1~4月 3.4%減

    減益率が広がっている一方で、4月末の負債残高は前年比5.5%増である。これは、企業経営から見て事態の窮迫を告げている。減益の中での負債増加は、不健全経営の典型例である。私が企業担当記者当時、こういう状態に置かれ企業に対して、『会社四季報』の短評は「業績不振、債務で延命している。株式は売却」という記事を書いたはず。中国経済の実態はここまで追い込まれている。習近平氏は、米中貿易戦争を早く終わらせるべき段階だ。

     


    (3)「INGの大中華圏担当エコノミスト、アイリス・パン氏は、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を巡る米中の亀裂拡大に加え、他国でもファーウェイ製品に対する懸念が拡大しており、中国の輸出と同国通信セクターの利益が圧迫されると予想。「ハイテク戦争が続く中、中国の工業部門企業利益は5月以降、さらに悪化する可能性が高い」とし、通信部門の業績悪化で1~5月の利益が前年比で5.0%減少する可能性もあるとの見方を示した」

     

    INGの大中華圏担当エコノミストは、1~5月の利益は前年比5.0%減と見ているという。1~4月は3.4%減であるから、減益幅がぐっと広がる。これで、雇用は悪化し設備投資気運はさらにしぼんでいく。今年は、景気循環において在庫循環と設備投資循環が、同時にボトムを付ける最悪局面である。中国は、覚悟を固めるべきである。これが、市場経済の持つ「掟」(景気循環)だ。習氏といえども為す術がないはずである。

     


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    米国トランプ大統領による日本への国賓訪問が終わった。25~28日までの長旅であったが、最も神経を使って眺めていたのは韓国メディアであろう。トランプ氏の訪韓日程は、正式に決まらないままである。それに引き替え、トランプ氏は日本で濃密な4日間を過ごしたので、余計に気にかかったのであろう。

     

    日米首脳会談後の共同記者会見では、「コリア」という言葉が出てくるか。韓国メディアは、その一言を聞き漏らすまいと必死だった。安倍首相とトランプ大統領が、軽い意味で合計2回、「コリア」と言っただけ。落胆ひとしおだ。この原因は、すべて文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「狭量さ」にある。学生時代からの「反日意識」から一歩も出られない原理主義にある。

     

    盧武鉉(ノム・ヒョン)・元大統領は、文氏を評価するに当たり「最高の原理主義者」と言ったという。「宜(むべ)なるかな」、だ。進むことは知っていても、現状に合わせて政策を変えることができない「片道切符」の政治家である。日韓関係を壊しても、元へ戻す術を知らない大統領だ。日本が、相手にする大統領ではない。そのことを、今回の日米首脳会談が浮き彫りにした。

     

    『中央日報』(5月28日付け)は、「日米首脳会談から消えた韓国、『韓日米協力』の代わりにインド太平洋」と題する記事を掲載した。

     

    日本と米国の首脳が「日米同盟は世界で最も緊密な同盟」と叫んだドナルド・トランプ大統領の日本国賓訪問3泊4日間、韓国の存在感はあまりにも薄かったということだ。 合計3時間続いた27日の首脳会談、その後の記者会見、そして日本政府の詳細ブリーフィングなどで韓国に関連した意味のある言及は、事実上、「ゼロ」だった。

    (1)「これまで日米首脳たちの対話や、電話会談に対する日本側のブリーフィングなどで「北朝鮮の核とミサイル問題解決のための日米韓協力の重要性」がしばしば登場したこととも対照的だ。今回の会見では「韓国」という表現が2回登場した 安倍首相は会見の終盤に北朝鮮ミサイル関連の質問を受けて「いずれにしても朝鮮半島の非核化に向けて日米韓が協力しながら~」と述べた。

     
    (2)「『韓国』が登場した別の部分は、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を肩を持つ時だった。『信じることができないほどの経済的潜在力が北朝鮮にある。北朝鮮はロシアと中国の間にあって、その反対側には韓国がある。本当に位置がいい。不動産業界もそのように見ている』という部分だ。韓国の戦略的価値や協力パートナーとしての重要性について言及したわけではなかった」

     

    韓国という言葉が出たのは、安倍首相が1回。トランプ大統領も1回である。それも、直接の言及でなく、単なる引き合いにすぎなかった

     


    (3)「 両首脳の発言や日本側のブリーフィングで『韓日米協力』よりもはるかに強調されたキーワードは、日本と米国が主導する『自由で開かれたインド太平洋構想』だった。 安倍首相は記者会見の冒頭発言で『エネルギー、デジタル及びインフラ分野を含め、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた日米協力が着実に進展していることを歓迎する』と述べた。続いて、オーストラリアやインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)、英国、フランスなどひとつひとつに言及して『関係諸国と、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を強化、拡大していくことでも一致した』と述べた」

     

    (4)  記者会見の後に行われた西村康稔官房副長官の詳細ブリーフィング内容が特に圧巻だった。「北朝鮮情勢」関連の部分でも、「地域情勢」分野でも韓国は全く登場しなかった。「北朝鮮情勢」については「日米の立場が完全に一致していることを改めて確認した」と西村官房副長官は明らかにした。「地域情勢」分野は「両首脳は、地域情勢についても議論を行い、日米同盟を基軸とした米国の地域におけるプレゼンス、米国の地域に対する関与とコミットメントの重要性を再確認した」がすべてだった」

    (5)「また、『自由で開かれたインド太平洋』分野では、『両首脳は、日米印、日米豪、日米豪印を含め、地域における同盟国・友好国のネットワークを引き続き強化・拡大していくことで一致した』とし、インドとオーストラリアだけを取り上げた」

    日米首脳会談の焦点は、中国と対峙する安全保障政策にある。日本の安全保障で重視するのは、1位米国、2位豪州、3位インド、4位ASEAN、そして5位が韓国である。昨年12月、従来2位にあった韓国を5位に下げた理由は、「頼りにならない」からだ。間欠泉のように「反日」騒ぎを起こす韓国は、もはや信頼できる安全保障政策のパートナーでなくなった。これが、「韓国」に言及する頻度が落ちた背景だ。

     

    前記の各国の序列が示すように、インド太平洋の安全なくして、日本の安全はあり得ないと言う認識に変わった。中国の全面的は海洋進出に備えて、前記の各国と手を携えて日本の守りを固めるという構想である。韓国は、ここから外れたのだ。


    ポールオブビューティー
       


    ファーウェイの任CEOが、ブルームバーグのインタビューに応じた。弱味は微塵も見せず、米国と真っ向勝負する構えだ。この強気が、ファーウェイの経営にマイナスにならないか。次々と、米欧IT企業の取引停止のニュースが入る中で、いささか常軌を逸した面も窺える。中国政府が、背後に控えていることが強気にさせていると見る。純粋な民間企業のCEOならば、ここまで強気には振る舞わないであろう。

     

    『ブルームバーグ』(5月27日付け)は、「トランプ政権の脅しには屈しないーファーウェイ創業者インタビュー」と題する記事を掲載した。

     

    任氏(74)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、トランプ政権による禁輸措置がライバルであるエリクソンノキアに対してここ2年ほど積み重ねてきたリードに影響を与えると認めた上で、スマートフォンと第5世代(5G)移動通信における優位を維持するために、独自の半導体供給強化策もしくは代替措置を見いだしていくと述べた。

     

    (1)「ファーウェイは時間があれば自ら解決策を見いだす能力があると任氏は主張。数年にわたり半導体の設計を進め、今は自社製スマートフォンの多くでそうした半導体を使用しているほか、スマホやサーバー向けの基本ソフト(OS)の開発にも取り組む。ただ、任氏はどれくらいのスピードでこうした代替策を強化できるかとの質問に正面から答えることは避け、「われわれの修理工がどれだけ素早く飛行機を直せるか次第だ」とし、「金属もしくは布、紙とどんな材料を使っていようが、目的は飛行機を飛ばし続けることだ」と話した。社内での対策がうまくいかなければ、急成長を遂げている消費者部門が低迷し、クラウドサーバーなどの新規開拓事業が頓挫する恐れもある」

     

    強気の発言の一方で、下線を付けたように弱気をみせている。「飛行機を飛ばす」とは、会社存続を意味している。ファーウェイが、厳しい局面にあることを垣間見せている。

     


    (2)「米政府が対ファーウェイ禁輸措置に加え、中国の有望な人工知能(AI)企業に規制の網を広げる可能性がある中で、中国政府が米国の大企業を本土市場から締め出すとの観測も浮上。ゴールドマン・サックスのアナリストは、中国がアップル製品を禁止すれば、アップルは利益全体の3分の1近くを失い得ると試算している。任氏はそうした対アップル規制に反対すると表明。「まずそんなことは起こらないだろう。もしそんなことがあれば、私は真っ先に反対する。アップルは私の先生だ」と述べた。「生徒としてなぜ先生に反対するのか」。

     

    中国政府が、「米国の大企業を本土市場から締め出すとの観測」は、これまでしばしば伝えられるが現実的でない。中国は、外国企業の進出がなければ、今後の経済発展が不可能であるからだ。長期の安定したドル資金の流入を欲しているのは中国政府である。この現実を無視できないだろう。

     

    (3)「トランプ政権にとって最大の懸念は、ファーウェイがテクノロジー超大国になる中国の野望を主導しつつ、中国政府のスパイ活動を手助けすることだ。同社はかねてから、米企業から知的財産を盗んだとしてシスコシステムズやモトローラ、TモバイルUSなどから提訴されている。こうした窃取がファーウェイをテクノロジー企業として進化させることに寄与したと批判する向きもあるが、任氏はそうした主張を一蹴。「私は明日の米国製テクノロジーを盗んだのだ。米国はそうしたテクノロジーを持ってさえいない」と語った上で、「われわれはすでに米国の先を行っている。もしわれわれが後れを取っているなら、トランプ大統領が執拗(しつよう)にわれわれを攻撃する必要はないだろう」と指摘した」

     

    この下線部分は、スパイ網で米国技術の種を奪えるという自信である。これは今後、ファーウェイを窮地に追い込む「問題発言」となろう。米国情報当局は、この一言に吸い寄せられたと見る。不注意な発言をしたものだ。虚勢を張って墓穴を掘った感じだ。


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