勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年06月

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    ロイターの最新ニュースによれば、トランプ大統領は米中通商交渉が大詰めであることを明らかにした。中でも、中国側が合意したがっていると漏らしている点が注目される。中国は、トランプ氏の意表を突く強硬策に翻弄されているのだ。

     

    5月初め、中国は「不平等」や「国家主権の侵害」を理由に、150ページにまとまっていた米中合意の文書案を突然、105ページにまで修正・圧縮して米側に送り返した。この強気の習近平作戦が、米国によるファーウェイへの「核爆弾」投下を招く結果になった。中国経済は混乱しており、日本の「終戦前夜」にも似た雰囲気が伝えられている。

     

    『ロイター』(6月26日付)は、「米大統領、中国との通商合意は可能、物別れなら追加関税」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「トランプ米大統領は26日、今週予定する中国の習近平国家主席との会談で通商合意を得ることは「可能」と言明した。同時に、物別れに終われば、中国製品に追加関税を発動する考えを示した。トランプ大統領はFOXビジネスネットワークとのインタビューで、大阪20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に合わせて開かれる米中首脳会談で妥結することは「間違いなく可能だ」と語った。同時に「合意に達することは可能だが、現状にも満足している」とした。さらに、中国指導部は「合意を望んでおり、私以上に合意にこぎ着けることを望んでいる」と語った」

     

    下線を引いた部分は、きわめて重要だ。トランプ流の「張ったり」があるとしても、中国が合意を切望しているとすれば、長期的にサプライチェーンの再編成が行なわれることに危機感を強めている結果であろう。鈍感な中国が、「最後まで戦う」と粋がってきたが、足下の潮流変化に気付き始めたのか。

     

    トランプ氏は、100%の成果を上げる意向を示している。現状は、すでに「90%」ぐらいの満足すべき水準だが、いま一息粘って、この際「有終の美を飾ろう」としているのかも知れない。

     


    (2)「また、「合意できないのであれば大幅な追加関税を課す」とも表明。追加関税を発動する場合、関税率は25%でなく10%になる可能性があると述べた。同時に可能性は残されているとも強調した。さらに中国との通商合意が実現できなければ、同国との取引を縮小する計画だとした。企業の生産拠点を中国からベトナムに移転する点については、ベトナムと通商問題を協議しているが、ベトナムの対応は中国より悪いと指摘した」

     

    第4弾の関税率を当初の25%から10%程度に下げる意向を示した。その背景には、次のような事情があるトランプ政権は25日、中国からのほぼすべての輸入品に制裁関税の対象を広げる「第4弾」に関する公聴会を終えた。その結果、スマートフォンやノートパソコン、衣料品など対象品目では輸入総額に占める対中依存度が平均4割に達し、産業界からは「代替調達が困難」「値上げが避けられない」など反対意見が相次いだ。米通商代表部(USTR)は結果を踏まえて最終案を作成する方針を示したもの。

     

    トランプ氏は、ベトナムを中国に代わる生産基地にする意向を見せている。ベトナムがまだ、それに十分に対応できないことを示唆しているのであろう。ベトナムにとって、夢のような話であるから、前向きに取り込むはずだ。「打倒中国」が、ベトナムの歴史的な悲願である。


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    韓国はまだ、G20サミットでの日韓首脳会談に意欲を持っている。首脳会談となれば、事前に事務当局が入念な打合せをするものだが、韓国大統領府はきわめて簡単に考えているという。「30分も時間があれば会談可能」というお手軽さだ。

     

    日本が、こういう韓国の出たとこ勝負の日韓首脳会談に警戒するのは当然である。韓国は、日本と首脳会談をしたことだけを強調し、中身は二の次になっている。これでは、日本が韓国に利用される最悪の結果となるに違いない。

     

    ここで腑に落ちないのは、韓国外交部(外務省)の影が見えない点である。大統領府は、外交について全くの素人である。それが、采配を振るうところに危なっかしさを感じるのだ。

     

    『朝鮮日報』(6月26日付)は、「韓国の外交課題、大阪とソウルで明らかになる文政権の対応策」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の政治部アン・ジュンヨン記者である。

     

    李明博(イ・ミョンバク)大統領と日本の野田佳彦首相(いずれも当時)が2011年12月、京都で首脳会談を行った。これは韓日外交史における「大惨事」として記録されている。両首脳は慰安婦問題で互いに激しく意見が対立し、もう二度と顔を合わせないような形で別れた。緻密な準備も戦略もないまま、世論だけを意識し、ただ会えば目的が達成されるという首脳会談がいかなる結果をもたらすか。この首脳会談がまざまざと示してくれた。

     

    (1)「韓国大統領府のある幹部は25日の時点でも「日本から『現場で会おう』と要請があれば、われわれはいつでも応じる用意がある」と述べた。正式な形でなければ略式でもよいということだ。政府がこのような態度に出る背景には、両首脳が会うだけで「対日外交を放棄してはいない」と示せるし、また開催できないとしても、その責任を日本に押し付けることができるからだ。しかし会談で強制徴用問題やその賠償など、両国の懸案についてどう話し合うかという点については特に何も考えていないようだった」

     

    韓国が焦っているのは、最近の日韓関係悪化の原因が韓国発であることだ。原因をつくっている韓国が、事務当局の段階で問題解決の具体的提案を練る時間もなく、一気にトップ会談で解決できるはずがない。韓国は、ただ文政権の人気挽回策に利用したいだけであろう。日本が、そういうことに付合っている暇はない。

     


    (2)「北朝鮮と日本が韓国との首脳会談に応じないのは、会っても何も利益がないと判断したからだ。韓国政府も彼らに会うことで何が得られるか考えても、実は何もない。このような状況で単なるイベントとも言える「口実づくりの会談」を強く求めたとしても、相手に大義名分や実利を差し出して引きずられるだけだ。米国のアチソン元国務長官は「首脳会談で首脳同士がやりとりすれば、その後はゴールが一気に開いてしまう」としてその危険性を指摘している」

     

    首脳同士が、事前の十分な準備をせずに会談してもいい成果は得られない。国益を背負った会談だけに、「会えば道が開かれる」といったサイコロを振るような危険な道は選べないのだ。韓国側は頻りと、「トップが会えば解決のヒントが得られる」と言うが、それは無責任な話である。会っても感情的な対立に終わるケースがある。先に挙げた野田・李会談の二の舞になるだけだ。

     

     

     


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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    文氏に根強い反日意識

    日韓には深い文化摩擦

    近現代史教科書の偏向

    日韓経済の希薄化進む

     

    今月28~29日、大阪でG20サミットが開催されます。安倍首相はホスト国として各国首脳と会談します。ただ、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とは会談の計画がありません。韓国で開催された2010年のG20でも、日韓首脳会談は開かれませんでした。日韓の外交摩擦が引き起こしたものです。

     

    このように日韓関係は、日本による韓国併合という歴史が災いして未だに正常化しません。特に、韓国で進歩派と称せられる政権が誕生すると、日韓関係は極度の緊張を余儀なくされています。日本の植民地時代の責任を追及するからです。

     

    日韓基本条約が1965年に締結され、過去の問題はすべて解決済みのはずです。しかし、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は、「親日派」を一掃するとの名目で、日本の植民地政策に協力した人物の財産を没収しました。文在寅政権の場合は、政府間協定の日韓慰安婦合意を白紙に戻しました。その上、旧徴用工問題に関する韓国大法院判決では、日韓基本条約の経済協力金(無償)5億ドルの賠償性格を否定する挙に出ました。司法が、国家間の条約に介入することが許されるのか。そういう国際的な問題を含んでいます。

     


    文氏に根強い反日意識

    文政権が、日韓慰安婦合意破棄と旧徴用工による日韓基本条約骨抜きを受け入れた側面には、「反日感情」が存在しています。日本に一泡吹かせたいと学生運動時代から狙ってきた思いが、政権を手にして露骨に表れているようです。

     

    韓国メディアが、伝える文在寅氏の「反日動機」は些細なものばかりです。

     

    海外の会議で文大統領が、安倍首相に二度声をかけたが無視された。たまたま、安倍氏に他国の首脳が話しかけてきて、文氏に返事ができなかったというケースです。

     

    また、昨年冬の平昌五輪レセプションでは、安倍首相の会場到着が遅れて、レセプション開始を意図的に遅らせた。こういう恨みも買っているそうです。安倍氏の平昌五輪出席は、文大統領の懇請によるものでした。2020年の東京五輪開催もあって、安倍氏は出席しました。内心は出席したくなかったと言われます。慰安婦合意が、白紙化された直後だったからです。

     

    文氏の安倍氏に対する不快感は、昨年5月に日本で開催された日中韓三カ国首脳会談にも現れました。文大統領は日帰りでした。日韓首脳会談で日本側は、サプライズで文氏の大統領就任1年を祝うケーキを用意しました。文氏は、「甘い物は歯に悪い」と言って口にしなかったそうです。日韓首脳会談の雰囲気は、これで冷ややかなものになったでしょう。

     

    中国の李首相は、三カ国首脳会談後に北海道のトヨタ工場を見学しました。安倍首相も同行しています。この李氏の振るまいと文氏のそれには、対日姿勢で大きな差を感じます。文氏の場合、「一分一秒でも早く離日したい」という「嫌日ムード」を感じます。

     

    日韓には深い文化摩擦

    韓国の対日姿勢が、ギクシャクしている裏には日韓の文化摩擦があるはずです。これまで、こういう捉え方をされていません。私は、文化論として見ない限り、韓国の日本批判の強さが理解できません。同じ日本の植民地であった台湾は、大変な親日ぶりです。日本は、朝鮮と台湾と同じ植民地政策を行い、民度を高め経済発展を促進させる政策を行いました。台湾は、率直にこれを評価しています。韓国は真逆で日本を「極悪非道」と表現しています。

     

    朝鮮李朝の時代から、日本は朝鮮と文化摩擦を引き起こしています。朝鮮は、儒教国ですが中国よりも厳しき戒律を守ってきた点で、中国を上回ると自負していました。朝鮮朱子学の道徳主義が自己錬磨させ、他者よりも優れた道徳性を身につけていると信じて来たのです。こういう背景が、秀吉から李朝へ送られた文書に真面目に応えない非礼を重ねさせたのです。

     

    儒教では、日本を「化外(けがい)の地」として軽蔑しています。化外とは、中国の王権が及ばない野蛮な土地という意味です。李朝が、秀吉の文書を対等に扱わなかったのは「化外」という理由です。秀吉による朝鮮出兵の動機は、朝鮮がつくったという指摘が韓国側から出ているのです。『中央日報』(3月18日付)の ホ・ウソン慶煕大名誉教授のコラムに掲載されています。(つづく)

     


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    日韓関係のトゲになっている旧徴用工問題によって、大阪で開催されるG20で日韓首脳会談は見送りになった。この原因を巡って韓国は、予想通り日本を悪者にしてきた。いつもの手段で、責任をすべて相手になすりつける狡猾なやり方だ。

     

    日本は7ヶ月前から韓国に対して日韓政府間の話合いを求めていた。この間、「無視」していたのは韓国である。そこで日本は、第3者委員会の設置を呼びかけたが、韓国はこれにも無反応を続けていた。ところが突然、最近になって「日韓企業の拠出金による賠償案」を出してきたもの。日本が、韓国に要求している案件の回答でないから拒否したら、冒頭に挙げたように、韓国が日本を悪者にしている。

     

    『朝鮮日報』(6月26日付)は、「G20大阪、韓国大統領府「提示した解決策を日本が拒絶」と題する記事を掲載した。

     

    強制徴用問題を巡る判決など歴史問題をきっかけに、安全保障・経済分野まで悪化している韓日関係を修復する突破口として期待された韓日首脳会談が結局見送られた。最近まで韓日首脳会談は日本がG20大阪サミットの主催国であるため、自然に実現するとみられていた。しかし、韓日政府の綱引きが続き、略式会談すら開かれないという最悪の状況を迎えた。外交関係者は、G20サミットの開催国との首脳会談が実現しなかったこと自体が衝撃的だとの受け止めだ。韓日関係が当面は悪化の一途をたどり、韓米日の安全保障協力にも悪影響を与えかねないとの懸念が高まっている。

     

    (1)「青瓦台(韓国大統領府)は25日、韓日首脳会談が実現しなかった責任は日本にあると主張した。青瓦台幹部は会見で、「韓国は準備ができていたが、日本は準備ができていなかったようだ。韓国が提示した解決策を日本がはなから拒否した」と述べた。韓国政府が強制徴用判決問題で韓日企業が参加する基金を通じ、徴用被害者に補償を行うことを提案したのに対し、日本が拒否したことを指した発言だ。その上で、「日本が首脳会談を韓国に提案したことはない。韓国が会う準備はできていると言ったのに、日本からは何の反応もなかった」と説明した。G20サミット主催国の「狭量さ」を批判した格好だ

     

    下線を引いた部分が、韓国「86世代」の三百代言的な逃げ方である。日本は、7ヶ月前から話合いを求めてきた。それに対して、韓国政府は、「韓国大法院の判決には、三権分立の立場からノータッチ」と言って置きながら突然、「日韓企業の拠出金案」を出した根拠は、従来の立場と180度違っている。日本の要求している「第三者委員会設置」を無視して、違う回答を出してきた目的は、日本の拒否を想定した「高等戦術」である。日韓会談が開催不能の場合、その責任を日本に押しつける目的の提案であった。日本は、こういう主旨の違う回答をありがたがり、韓国大統領と会談する必要性がない。

     

    それよりも、韓国はなぜ第三者委員会設置に反対するのか。韓国大法院の判決が正しいと思うのならば、堂々と第三者委員会に委ねるべきである。さらに、国際司法裁判所の判決に任せるのも穏当な道である。韓国は、いずれも敗訴を想定して回避している。韓国大法院といえども、国際間の条約を骨抜きにする判決に妥当性があるはずがないのだ。勝手な理屈をつけた判決に、日本が反撃するのは国益を守る視点から当然である。

     


    (2)「安倍首相が昨年2月の平昌五輪に際し、 金与正(キム・ヨジョン)ら北朝鮮の政府幹部が出席していたレセプションに遅刻したことも青瓦台を刺激したとされる。当時青瓦台関係者は「故意に遅れてきて、行事を妨害しようとしたのではないかという疑念も生じた」と話していた。しかし、文大統領と青瓦台も韓日関係には消極的な姿勢だった。文大統領は就任後初めて日本を訪れた昨年5月の韓中日首脳会談で1泊もせず、日帰りの日程を組み、日本の反発を買った。文大統領と与党は韓日関係の修復を求められると、「過去と未来を切り離す」と言ってきた。しかし、実際は親日清算を政治的に利用し、「官製民族主義」だとする批判を受けた

     

    昨年の平昌五輪のレセプションに、安倍首相が遅れたことを根に持っているとは驚きだ。もともと、日本は出席するかどうかギリギリまで検討していたが、日韓友好の証で出席した。レセプションに遅れたのは、ペンス米国副大統領と打合せのため。わざわざ五輪に出席した「客人」の訪韓に感謝せず批判する。韓国人の底知れぬ日本への悪意を覚えるのだ。

     

    文大統領は、訪日の際に日帰りで帰国。安倍首相との会談では、日本側が文氏の大統領就任1年を祝った特大のケーキを出したが、「歯の病気で甘いものは」と言って一切れも口にしなかった。日本側の厚意を完全に無視したのだ。「日帰りとケーキ」の一件を見ると、明らかに「敵地・日本」という印象が濃厚だ。こういう韓国側の対応を見れば、今さら韓国と友好が成り立つとは思えない。


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    中国は、空前絶後の不動産バブルを引き起こし、未だにその渦中にある。バブル経済がいかなる後遺症をもたらすかは、日本経済のそれが証明している。中国の不動産バブルは、債務総額の対GDP比によっても明らかだ。中国は、すでに300%を上回っている。

     

    米中貿易戦争による輸出減を補うべく、中国はさらなるインフラ投資を全額債務で行う羽目に陥っている。これは、債務がさらに膨らむことを意味する。GDPを押し上げる目的だけの投資ゆえに非効率投資である。債務返済は、最初から望めないものだ。まさに、泥沼経済である。

     

    『レコードチャイナ』(6月11日付)は、「中国はなぜ日本と同じ轍を踏むことはないかー露メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア『参考消息』(6月7日付)によると、ロシアメディア『スプートニク』は、「中国が日本の轍(てつ)を踏むことがないと言える理由」とする記事を掲載した。この記事の特色は、中国に不動産バブルが起こっているという事実認識がゼロであること。こういう観察不十分な記事にありがちな、「中国万々歳」である。

    記事は、「米国が貿易戦争と技術面での脅しを加えることによって中国経済を弱めようとしているが、これはかつて日本に使ったのと同様の方法だ」と分析。「しかし、中国には優位性があるため日本と同じ轍を踏むことはない」とした。

    この記事では、「80年代の日本は経済の実力が最高になっていた時期だ」と紹介。「自動車やその部品、オフィス設備、電気製品などが世界中でよく売れており、米国は日本に対して巨額の貿易赤字となっていた。技術面でも日本が米国を超えると世界中の人から期待されていた。しかしその後、85年のプラザ合意から困難な状況に陥り始め、90年には東京株式市場が暴落し、そこから失われた10年が始まった」と指摘。「中国はこの隣国の失敗から教訓を学んでおり、一連の優位性も持ち合わせているため、日本と同じ轍は踏まない」と論じた。



    (1)「中国が有する優位性について記事は、1つに「人民元は当時の円と違って、国際金融システムに深く溶け込んではいないこと」を挙げた。「中国は国際金融の義務という束縛を受けることはないため、プラザ合意のようなことは発生しない」と記事は分析。「米国に対する依存度も中国は当時の日本より低いため、平等という基礎の上で交渉することができ、独自の道を歩める」とした」

    中国の貿易黒字のうち対米貿易で稼ぎ出しているのは、約6割にも達している。この大半が外資系企業の輸出によるものだ。当時の日本の輸出はすべて日本企業によるものだった。サプライチェーンの再編が行なわれれば、中国の輸出機能は大幅な低下を余儀なくされる。

     

    人民元相場は、自由変動性でなく管理変動性である。中国の貿易黒字減少は、人民元相場に一方的な売り投機を誘い込むリスクを孕んでいる。それが、資金流出をもたらし一層の投機を生み出す要因になるはずだ。自由変動相場制では、相場の自律変動が期待できるが、管理変動性にはそのような自律的相場変動要因はない。一方通行の「人民元危機」を招く。

     

    (2)「2つ目は、「中国には14億の人口という巨大な市場がある」こと。このため中国は、米国からの圧力に首尾よく対処することができ、中国政府は国内需要を喚起することで、全面的な小康社会を実現している」

     

    中国は、少子高齢化の急激な進行が起こっている。14億の人口でも生産年齢人口(15~59歳)が減少し、名目GDP比の個人消費は39%(2017年)と日本よりも特段に低い。日本のバブル崩壊時(1990年)は、51%であった。

     

    中国は、名目GDP比の個人消費が40%に満たない。この状況では、とても「小康状態」と言いがたい。米中貿易戦争の影響で失業者は増えており、社会不安が高まっている。

     

    (3)「3つ目は、「現在の中国経済の規模はピーク時の日本と比べてもより強大である」こと。「現在の中国の輸出規模は80年代の日本よりずっと大きく、しかもハイテク製品に重点を置いている違いがある」とし、「輸出で大きな部分を占めているのが、パソコンやオフィス設備、集積回路、スマートフォンなど価値の高いものだ」と論じた」

     

    ハイテク製品のブランドは、過半が外資系企業のブランドである。中国は、世界企業の「下請け」に過ぎない。外資系企業が、サプライチェーンを中国から他国へ移せば、中国からの輸出はゼロになる。こういうサプライチェーンの再編成が、米国政府の狙いである。中国の弱味は、「下請け」に過ぎない点だ。

     

    自社ブランドのファーウェイは、米国政府から技術とソフトの輸出規制で欧州市場からの撤退を余儀なくされる。一貫生産でない中国ブランドの弱味が現れている。

     

      

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