勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年07月

    a1370_000549_m
       

    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    バブルの宴の後で

    PPI低迷リスク

    GDP3倍の債務

    保守が改革派圧迫

     

    中国の4~6月期のGDP統計が発表されました。事前予想の通り前年同期比で実質6.2%成長でした。リーマン・ショック直後の09年13月期を下回り、四半期ベースで統計を遡れる1992年以降で最低でした。

     

    前期の実質成長率は6.4%。今期は、0.2ポイント低下しました。ここで注目されるのは、中国共産党が2012年の党大会で2020年までにGDP倍増という長期目標を決めていました。それによると、19~20年に平均6.%の成長が必要になります。今後の米中貿易摩擦の結果しだいでは、6%割れの局面を迎えます。固く見れば、「GDP倍増計画」に警戒信号が灯った感じです。

     

    バブルの宴の後で

    GDP倍増計画には、「中所得国のワナ」を突破する目的もありました。「中所得国のワナ」とは、国民1人当たりのGDPが1万2000ドル前後で停滞して、高所得国グループに手が届かず、経済が停滞局面に陥る現象を指しています。多くの発展途上国が、「中所得国のワナ」にはまってきたのです。共通した理由は、豊富な労働力を使い果たせば、そこで生産性の上昇が止るというものです。

     

    中国は2010年、総人口に占める生産年齢人口比率がピークでした。それまでの急速な経済成長は、生産年齢人口比率の上昇がもたらしたものです。2011年以降は、生産年齢人口比率が下降に向かっています。経済成長率が鈍化するのは不可避でした。

     

    グライダーに喩えれば、飛行機(生産年齢人口比率の上昇)が牽引した経済は、2011年以降に推進力を失い滑降状態へ移行しています。経済成長率は、減速局面入りしたのです。中国経済は、このいかんともし難い人口動態変化の中に巻き込まれています。

     

    中国は2010年以降、経済政策として不動産バブルを利用しました。土地国有制という「土地供給独占」によって地価を釣り上げ、空前の住宅投資を引き出したのです。中国経済が、セメントや鉄鋼という素材産業に結びついた歪な構造になった大きな理由です。目先のGDPを引き上げる目的で、不動産バブルを利用した「咎め」は現在、中国経済に大きな禍根を残しています。GDP規模に比べた過剰な債務を置き土産にしたのです。この問題に付いては、後で触れます。

     


    今年上半期の経済データをまとめました。

     

    公表された主要経済指標(前年比増減率)

               1~6月    1~3月     差し引き

    工業生産       6.%増    6.5%増      0.5ポイント減

    固定資産投資     5.%増    6.%増    0. 5ポイント減 

    社会消費品小売総額  8.%増       .%増      0.1ポイント増

    家計調査の消費額実質 5.%増    5.4%増   0.2ポイント減

    輸出                       .%減    1.%増    2.7ポイント減   

     

    これらの項目を見て気付くことは、1~6月の増加率が1~3月に比べて軒並み、低下しています。4~6月の落勢を示しているもので、とりわけ輸出の急減ぶりが目を引きます。米中貿易戦争の影響が強く出ていることを示しています。

     

    PPI低迷リスク

    米国の関税率引上の多くは、中国企業が負担しています。これは、生産者物価指数(PPI)の推移に現れています。次に、その推移(前年増加率)をマネーサプライ(M2)と比較します。(つづく)

     

     


    a0001_000269_m
       

    中国の年金財政ほど複雑怪奇なものはない。過去、年金積立金が流用されたりして、あるべき財源が存在しないなど信じがたい杜撰な管理がされている。これまで、海外メディアが中国の年金財源を報道してきたが、多くは、すでに赤字というもの。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(2018年9月13日付)は、「中国、福祉財源の賃金税徴収強化」は、次のような報道をしてきた。

     

    「人口の高齢化と労働力の縮小を背景に、中国の公的年金制度は大きな財源不足に直面している。17年時点で社会保険の支出額は賃金税の徴収額を4650億元(約7兆4400億円)上回り、差額は一般税収で補てんしている。国泰君安証券によると、差額は20年に1兆8000億元(約28兆8000億円)、30年には3兆2000億元(約51兆2000億円)に拡大する見通しだ」

     

    年金財源不足は、次のような推移をたどる予測である。

    17年は、約7兆4400億円

    20年は、約28兆8000億円

    30年は、約51兆2000億円

     

    前記の『FT』では、すでに中国全体の年金財政は赤字になっているはずである。それにしても、膨大な赤字である。今後の経済成長率の低下を考えれば、果たして年金制度を維持できるのか疑問である。

     


    一方、都市勤労者の年金財政はまだ黒字という記事が現れた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(7月17日付)は、「中国の年金積立金 2035年に枯渇 長期試算に衝撃」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国が公的年金の財源拡充を急いでいる。政府系研究機関が「会社員らが加入する公的年金の積立金が2035年に枯渇する」との試算を公表し、若者らの間で年金への不安が広がっていることに対応する。不安のきっかけは、中国社会科学院が4月に公表した報告書だった。サラリーマンら34千万人が加入する「全国都市企業従業員基本年金」に関し、19~50年の収支状況を試算した」

     

    サラリーマンら34千万人が加入する「全国都市企業従業員基本年金」の年金財政報告である。これは、都市サラリーマンの年金財政であるから資金の横流しはないのだろう。

     

    (2)「報告書によると、高齢化で支出の伸びが収入の伸びを上回り、単年度の収支は19年の1062億元(約17千億円)の黒字から28年に1181億元の赤字に転落する。赤字幅は年々拡大し、50年には11兆2774億元まで膨らむ。19年末に4兆2600億元ある積立金は27年に6兆9900億元に増えるが、35年には底をつく。それ以降は毎年の赤字をすべて財政で補填しなければならない」

     

    年金資金の運用は、国内金融市場でしかできない仕組みになっているのであろう。海外への資金流出を防止してきたので、年金資金も例外でなかったはずだ。外貨準備高3兆1000億ドルを守るための資本規制が、こうして年金財政破綻への危機をもたらしている。中国経済を総合的に観察すると、完全な落第状態になっている。


    32
       

    韓国は、泣き叫ぶ幼子のように米国へ日本の悪口を言いつけている。自分で演じながら恥ずかしいと思わないだろうかと、見ている日本の方が恥ずかしくなるほどだ。

     

    スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は17日、訪問先のソウルで、対立の解消を支援するため「できることはする」と述べた。スティルウェル次官補は記者団に対し、日韓両国の状況を深刻に受け止めているとしつつ、米政府が取り得る措置については明言せず、対立の解消は基本的に両国次第だと述べた。

     

    韓国は、自国の要求をすべて実現させる積もりらしい。徴用工では、日本企業に賠償金を払わせる。日本が「ホワイト国」から韓国を外すことは「絶対反対」と叫んでいる。これでは、トランプ流の「ディール」は成り立たない。韓国政府の振る舞いは、幼子の域を出ていないのだ。

     

    『ロイター』(7月17日付)は、「日韓対立に解消の兆し見られず、米国務次官補『できることはする』」と題する記事を掲載した。

     

    スティルウェル次官補は記者団に対し、日韓両国の状況を深刻に受け止めているとしつつ、米政府が取り得る措置については明言せず、対立の解消は基本的に両国次第だと述べた。同次官補は「われわれは近いうちに解決することを望んでいる」と表明。「米国は両国の親しい友人・同盟国として、対立解消に向けた両国の取り組みを支援するため、できることはする」と述べた。

     

    (1)「韓国政府筋は匿名を条件に記者団に対し、日本による半導体材料の韓国向け輸出規制の強化は世界のハイテク企業に悪影響を及ぼすとともに、米テキサス州オースティンにあるサムスン電子の半導体工場の操業に打撃を与えると述べた。同政府筋は「アップル、アマゾン、デル、ソニーなどの企業と世界中の数十億人の消費者に悪影響を及ぼすだろう」とした。サムスン電子は政府筋の発言を受け、「オースティン工場に影響がないとは言えないが、将来の生産が阻害されないよう最大限努力する」とのコメントを発表した」

     

    韓国は、日本が半導体製造の3素材の「全面的は輸出禁止」のような騒ぎ方だがそうではない。「韓国企業は引き続き日本から半導体材料を輸入することができるが、その都度、許可を申請しなければならず、最大90日の遅れが生じる可能性がある。日本が承認プロセスをどれほど引き延ばすかは不明」(『ウォール・ストリート・ジャーナル』7月14日付)としている。韓国は、THAAD問題で中国に対してこういう騒ぎ方をしたか。日本が相手だとみると「やりたい放題の騒ぎ方」で度を超している。

     


    (2)「韓国政府筋は、日本の措置は世界貿易機関(WTO)の原則から逸脱しているが、韓国としては対話による問題解決を望んでいると語った。そのうえで、日本が、安全保障上の友好国とみなし、貿易上の規制を最低限に抑える「ホワイト国」から韓国を除外した場合、「甚大な問題」をもたらすことになると指摘した。さらに、韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は17日、日本政府に対し、韓国への輸出規制を解除するよう繰り返し求めるとともに、韓国政府が日本の産業への依存度を減らす計画を間もなく発表することを明らかにした。同相は経済閣僚による定例会議の冒頭、「韓国政府は日本の素材・部品・機器産業への韓国の依存度を減らすための包括的な計画を策定中で、間もなく発表する」と述べた」

     

    下線をつけた部分は、基礎科学の力がなければすぐに実現できない分野である。韓国が、これまで日本に依存してきた背景には、基礎科学力の不足が大きな要因となっている。化学分野に限れば、日韓には100年の遅れがあるという。こういう厳しい現実を認識するならば、対日外交はいかにあるべき。考え直すべきである。自国の立場だけを主張する韓国には愛想が尽きるのだ。


    17
       

    韓国の日本に向けた要求は、「大人」のやるべきことでなく「子ども」の振る舞いそのものに見えます。韓国朱子学とやらは、自己の道徳性の高さを主張して、他人を格下に見るパターンと言われています。まさに、」そのものの行動で呆れかえります。

     

    よくあれだけ自己主張して、自分で恥ずかしいとも思わないところが凄いですね。韓国人とは、とても付合いかねると言うのが正直な感想です。

     

    韓国大法院の判決は正しい。頭からそう信じ切っている。だが司法には、条約に干渉しないという国際法の建前(司法自制の原則)があるのです。そのことを少しも考えずにいる。そういう文氏を、司法の専門家とは呼べないのです。

     

    普通なら、日本がここまで食い下がってくるのは何だろうか、と思うはずです。文氏にはそういう自省がないのでしょう。さらに、日本が国内法で韓国を「ホワイト国」から除外すると決めれば、絶対反対、現状回復とか、自分の持ち物に対する所有権を主張するような騒ぎです。あらゆることが自分(韓国)を中心にして回っていると錯覚している。そういう韓国に対して心底、辟易するのです。

     

    これでは、韓国国内で意見の一致などあり得ないでしょう。自分勝手にバラバラに自己主張しているのですから、まとまるはずがありません。永遠に与野党は対立し続ける運命と思います。民主主義の原点である「妥協」とは無縁の民族ですね。

     


    日韓が、永久に対立したままでいるわけには行きません。どこかで、妥協せざるを得ませんが、韓国にはその覚悟はありますか。いずれ、妥協が成立しても、いつまた破棄されるかも知れない相手ですから、日本も三度目のだまし討ちに引っかからないように細心の注意が必要ですね。これほど警戒しなければならない韓国は、気の毒な存在と思います。


    よく、「雨降って地固まる」という言葉を聞きますが、日韓の間には間違ってもありそうもないですね。日本側が警戒して胸襟を開くことはないように思います。韓国が、日本に見せたこの理不尽な要求を引っ込めない限り、日本との妥協はあり得ません。韓国は、このまま「喧嘩別れ」する積もりならば、日本と妥協する必要もないでしょう。それは、隣国としてありえないこと。となれば、どの点で日本と妥協する積もりですか。大人の国と呼ばれたければ、妥協点を考えておくべきです。子どもの国であれば、その必要もないでしょうが。

     

     


    a0960_005446_m
       

    韓国大統領府は、頭に血が上ったような雰囲気である。だが、韓国進歩派は、日本提案の「第三国仲裁委設置」を受入れろと主張している。日本の言い分は、日韓基本条約の条項に則ったものであると、その理由を説明している。

     

    『中央日報』(7月17日付)は、「『韓国は日本をあまりにも知らなすぎる』」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の イ・チョルホ中央日報コラムニストである。

     

    1997年11月28日、韓国の副首相が日本の大蔵大臣に会って緊急資金支援を要請したがけんもほろろに断られた。米国財務省がすでに大蔵省に「金を貸すな」と手を打っていた状態だった。大蔵大臣は「日本の単独支援は難しい」という言葉を繰り返すのみだった。先週末の日本の冷遇も米国との事前共感や最小限の黙認があったとみるべきだ。
     

    (1)「文大統領が安倍首相の張っておいた罠に引っかかったような感じだ。日本は正確に急所を突いた反面、韓国は慌てながらただ腕力だけを振り回している。一昨日、文大統領の「結局、日本経済のほうが大きな被害を受ける」という発言も事前に計算されたものかどうか疑わしい。これまでの「韓国の被害が3倍以上」という分析からは非常に乖離した状況だからだ。政府が十分に経済被害を確認してみたのかも疑問だ。民間の経済研究所によると、先週末、韓国開発研究院(KDI)が「上からの急な指示」として日本貿易規制に関する資料があれば協力してほしいとあたふたと要請してきたという。いくらKDIといっても2~3日で分析を終えるのは無理というものだ」

     

     韓国が、冷静な計算に裏付けられたデータに基づく議論でなく、感情論で動いていることは下線部分に現れている。

     

    (2)「最近、日本専門家のインタビューのうち、大きく2つのことが恐ろしく迫ってくる。まず一つは「今回の事態による教訓は、韓国社会が日本に対して驚くほど無知だったという点」という津田塾大学の朴正鎮(パク・ジョンジン)教授の指摘だ。日本で嫌韓の雰囲気が盛り上がり、安倍政府が公然と刀を研いでいるにもかかわらず、韓国は事前の警戒と予防に失敗した。もう一つは「安倍政府は東京オリンピック(五輪)が開かれる来年7月ごろに妥協に出る」という松山大学の張貞旭(チャン・ジョンウク)教授の診断だ」

    下線部分で、韓国が日本の対応策も知らないで、むやみやたらと棒を振り回している点を指摘している。驚くほど、日本を研究していないのだ。韓国は、情報分析で日本に負けている。

     


    (3)「意外にも今回の葛藤の解決方法をめぐり、保守・進歩陣営間の違いも大きくない。むしろ進歩側の意見が合理的だ。どちらの陣営も外交的解決法を注文する。ハンギョレ新聞は「世界貿易機関(WTO)に提訴しても数年を要し、韓国企業の困難をすぐには解決できない。勝訴したとしても、報復の撤回や被害の原状回復を引き出すのは容易ではない」と報じた。政府側であり、学者の鄭泰仁(チョン・テイン)氏も京郷(キョンヒャン)新聞に「両国の最終審級が65年韓日協定を相反するように解釈した。日本政府がこの協定に基づいて仲裁を要求するのは最もなことだ。韓国政府はこの要求に応じて大法院の判断根拠を説明し、日本子会社の資産差し押さえの問題も議論するべきだった。ただ冷遇してどうにかなるようなことではなかった」と書いた」

     

    ここでは、進歩派が韓国の無策を嘆いている。WTO提訴は時間がかかりすぎること。日韓基本条約にそって「第三国仲裁委設置」が合理的としている。大統領府は、赤面の至りであろう。

     
    (4) 「民主弁護士会(民弁)のソン・ギホ弁護士も民主党の懇談会で「日本政府としては国際仲裁委に回付するのがむしろ国の責務」と認めた。ソン弁護士はさらに一歩踏み込んで「韓国政府が個人請求権賠償金を先に支給し、その後に国際仲裁手続きによって補償金問題を解決しなければならないだろう」と提案した。このように進歩側専門家たちも口をそろえて仲裁委の構成が不可避だと考えている。それなら迷う理由がない。締め切り期間である明日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)で与野代表会談が開かれる。勝負に出る最後の機会だ。米国も仲裁委カードくらいは出てきてこそ、韓日仲裁に出るものとみられる」

    韓国が、「第三国仲裁委設置案」をうけいれてこそ、米国も仲裁に乗り出せる機会である。それをメンツで潰すのは、チャンスを失うことになる。進歩派はこう嘆いているのだ。


    このページのトップヘ