勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年07月

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    韓国は、日韓問題で米国の仲裁を求めるべく、ホルムズ海峡への海軍部隊派遣を決める公算が強くなってきた。大統領府は、「国益」を強調している。

     

    『聯合ニュース』(7月29日付)は、「青瓦台、ホルムズへの青海部隊派兵『国益』基準に決定する」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「青瓦台(大統領府)の関係者が29日、米国がホルムズ海峡への派兵を要請していることに関連し「われわれの船舶を保護するためにさまざまな方策を検討しており、いかなる決定を下すにしても国益という次元の基準で決定する」と述べた。この関係者は同日、記者団に対し「マイク・ポンペオ米国務長官が、ホルムズ海峡の(安全確保を目的とした)国際有志連合に韓国も参加するだろうと発言し、青海部隊(ソマリアの海賊から韓国船舶を守るために創設された韓国海軍の部隊)の派遣などに言及したが、政府の公式立場はどうなっているのか」との質問に対して答えた。この関係者は「ホルムズへの青海部隊の派遣は現時点で決まっていることはない」と述べ、否定はしなかった」

     

    (2)「国防部のノ・ジェチョン副報道官もこの日の定例ブリーフィングで、関連の質問に対し「(ホルムズ海峡を行き来する)われわれの船舶を保護するためのさまざまな方策が検討されている」と述べた。ノ副報道官は、現時点で軍レベルでの派兵訓練が行われているのかとの質問については「さまざまな可能性に備え、ホルムズ海峡の状況を鋭意注視している」と話した」

     

    (3)「青海部隊のホルムズ派遣が取り沙汰されている理由は、国会で「派兵同意案」が批准されなくても派遣が可能だからだ。青海部隊のほかに別の部隊を組織すれば、国会で新たに派兵同意案が批准される必要があるが、この過程で政治的負担とかなりの時間が必要となる可能性がある。一方、青海部隊は現在、ソマリア沖のアデン湾で作戦中であり、アデン湾はホルムズ海峡と直線距離で2000キロメートルほど、2日あれば移動できる距離だ。また、韓国の船舶および他国の船舶の安全な航海支援、有事の際のわが国民の保護、合同海上部隊の海洋安保作戦への参加など、任務の性格も似ている」

     

    韓国も別途、新たな部隊を派遣する場合、国会で審議するための時間も必要。そこで、すでにソマリア沖に展開中の部隊を移動させる案が検討されている。

     

    (4)「これに先立ち米国政府は10日、中東の海域でイランをけん制するとともに航行の安全を確保するために、多国籍の有志連合を構成する計画を明らかにし、韓国や日本など同盟国に対し派兵への参加を要請した。米国は先月13日、ホルムズ海峡で発生したタンカー攻撃事件の黒幕にイランがいるとみて、こうした措置を取った」

     

    韓国が、ソマリア沖に展開中の部隊をホルムズ海峡へ移動させるには2日もあれば可能とされる。国会で派遣問題を議決しないで済むという「便法」もある。

     

    問題は日本である。日本は原油供給の8割超を湾岸諸国に頼っており、トランプ米大統領にツイッターで「自国で(タンカーを)防衛すべきだ」と名指しされたこともある。ただ、自衛隊派遣は現行法上のハードルが高い。さらに、伝統的なイランとの友好関係を損ないかねないリスクもあり、日本政府は対応に苦慮している。

     


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    韓国の文大統領は、夏休み返上で大統領府において執務すると発表しました。8月2日、日本が閣議で韓国を「ホワイト国」から除外決定すると伝わっているためです。李首相も夏休み返上と韓国メディアが伝えています。

     

    韓国政府が、臨戦態勢を敷いている原因をつくったのは文大統領の判断ミスによります。大法院による徴用工判決後、日本政府が再三にわたり話合いを求めたにもかかわらず拒否。結果的に、今回の「ホワイト国」問題を引き起こしました。現在、韓国政府は必死になって日本政府に話合いを求めています。日本政府は、「ホワイト国」問題は国内法で処理する案件として、拒否しています。因果応報というべきでしょう。

     

    文氏が、徴用工判決後に日本政府との話合いを拒否した背景には、韓国に道徳的優位性があると見たからです。大法院は、「人権に時効はない」と道徳視点を強調する判決を下しました。韓国では、道徳が法を支配する上位概念です。文氏は、この韓国伝統の価値観から日韓基本条約を骨抜きにしたのです。文氏は、得意満面で「正義は我にあり」と固く信じていたのです。

     


    ここまでは文氏の勝利です。

     

    舞台が大きく暗転したのは7月1日、日本が半導体製造3素材の輸出手続きの規制強化と「ホワイト国」から韓国除外を決めたのです。文氏は、はたと自らの打った手が逆効果になったと気付かされました。つまり、過去の道徳性が、現実の経済性に対抗できないことを知らされたのです。

     

    過去の道徳性と現在の経済性は一見、無縁のように見えますがそうではありません。深くつながっています。「ホワイト国」が、まさにそれを証明しています。韓国を除いた26ヶ国は、日本が深い相互信頼関係を結んでいる国々です。全幅の信頼を寄せても間違いの起こらないのです。韓国は、自らの道徳性だけを主張して、日本の立場を無視する普遍的な道徳性ではなかったのです。そうです、「自称」という但し書きがつく道徳性でした。

     

    これでは、日本の主張する経済性に勝つことはできません。韓国の道徳性が、独り善がりで普遍的でない以上、日本を説得することはできないのです。韓国が今、日本の経済性の主張に戸惑い、どうしたらよいのか分らない混乱状態に陥っています。せめて、市民団体や労組に日本糾弾デモをさせて抵抗させるしか方法がなくなりました。

     

    韓国は、日本が経済性を前面に押し出し、「ホワイト国」除外による通関手続きの厳格化を始めたらどうなるか。韓国経済は、壊滅的打撃を受けることが調査結果で判明しました。重化学工業の大部分で、韓国の競争力が日本に大きく劣っている結果が出てきたのです。それは、日本の中間財に依存している結果です。もちろん、日本が故意に韓国をそこまで追い込み、窮地に立たせることはしないまでも、可能性としてはあり得るのです。

     

    現に、米国は中国のWTO(世界貿易機関)違反を是正させる目的で、関税率の引上げを行っています。中国の目に余るWTO違反是正に対する米国の対応に、先進国は暗黙の了解を与えているのです。

     

    韓国はこれまで、自らの道徳性の高さだけを主張し、日本批判をやりたい放題でした。道徳性には、謙虚さという裏付けがあって説得力持ちうるのです。日本が、経済性という伝家の宝刀を抜かないようにするには、韓国に大きな謙虚さが不可欠です。ぜひ、そのことを理解してもらいたいのです。

     

     

     

     

     

     


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    韓国での「日本製品不買運動」で、日本製自動車ユーザーがガソリンスタンドで給油を断れる問題が起こっている。過熱した反日騒ぎの余波だ。今年上半期の日本製自動車輸入は好調である。燃費の良さが、高い評価を得ている結果だ。ただ、最近の不買運動で、日本車好調の波は、途切れた。

     

    『東亜日報』(7月29日付)は、「上半期の日本自動車輸入は3万台に迫る、韓国自動車の輸出はわずか32台」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「今年上半期(1〜6月)の日本車の輸入は3万台に迫ったが、韓国車の日本輸出は32台にとどまったことが分かった。28日、韓国自動車産業協会と韓国輸入自動車協会によると、上半期の日本車の輸入額は6億2324万ドル(約7354億ウォン)で、昨年同期(5826億ウォン)より約26%が伸びて、上半期基準では過去最高を記録した。台数基準でも輸入台数は2万9453台で、昨年同期より5328台(22%)が伸びて、過去最高記録を更新した。燃料効率を前面に出したエコカーが人気を集めたことで、日本車の販売台数が伸びたというのが業界の分析だ」

     

    日本製自動車輸入は、今年上半期に前年比で台数が22%もの増加になった。エコカーが、高い人気を得ている理由だ。中国でも同じ傾向が出ている。トヨタとホンダのハイブリッドカーが抜群の人気を得ている。他の外資系や国産車が不振の中で「独走」体制である。

     

    こういう人気の高いエコカーにも不買運動の影響が出ている。韓国人の反日感情が一気に噴出しているためだ。愛国主義の前には、エコカーも全く無意味のようである。

     


    (2)「日本車の輸入は伸びたものの、ドイツ、イタリア、英国車などの輸入規模が減り、上半期全体の車の輸入額は51億1155万ドル(約6兆300億ウォン)で、昨年同期(63億3111万ドル)より19.3%減少した。日本車の韓国市場でのシェアは、昨年は年間17.4%から今年上半期は21.5%に上昇した。ブランド別では、レクサスが5.1%から7.7%に、ホンダは3.1%から5.2%に上昇した。

     

    ドイツ、イタリア、英国車などの輸入が減っているという。日本車人気の「独り勝ち」という感じだ。日本車の韓国市場でのシェアは、昨年は年間17.4%から今年上半期は21.5%に上昇している。

     

    (3)「国内ブランドの今年上半期の日本輸出台数は、わずか32台にとどまった。自動車業界の関係者は、「自国ブランドを好む日本車市場の特性上、輸入ブランドが開拓しにくいのが特徴だ」と語った」

     

    高い日本車人気のお膝元への韓国車輸出は、今年上半期でたったの32台に止まった。韓国車の日本販売チームはすでに撤退している。理由は、韓国車の販売不振。数年前は、年間販売台数は17台であった。最近、少し増えているが、依然として販売不振に変わりない。

     

     

     

     

     

     

     

     


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    8月2日に、日本が韓国を「ホワイト国」から外す閣議決定をする。韓国メディアは、この動きの裏に日本人の強い「嫌韓感情」があると指摘している。

     

    経済産業省が実施した「ホワイト国」から韓国を除外するための政令改正案に対する意見公募に、4万件を超える意見が寄せられたからだ。大半が個人を中心とした賛成意見とみられている。通常の「意見公募」では、数件~数十件程度が多いとされ、今回のように4万を超える件数は極めて異例であるという。日本人の韓国への怒りが爆発した証拠だ。

     

    韓国メディアは、この現実に注目している。どうしたならば、日本人の怒りを鎮められるかと思案しているというのだ。積もり積もった日本人の韓国への不平不満が爆発したと見るべきだろう。

     

    『中央日報』(7月29日付)は、「安倍の側近も経済報復はやりすぎだったというのに」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の李夏慶(イ・ハギョン)主筆である。

     

    経産省は主要な意見を抜粋して週内にも公表する見通しだ。手続きが順調に進めば政令改正を経て、韓国は8月下旬にもホワイト国から正式に除外される。日本政府は74日から、一部の半導体材料の韓国向け輸出規制を厳しくしている。ホワイト国からの除外は、これに続く措置となる。

     

    (1)「(安倍は)韓国に対する日本国民の世論が最悪のこの時、韓国を強く打って軽々しく行動できないようにして、強い日本を作ろうという考えだ。米国もファーウェイ(華為)に続き、第4次産業革命の潜在的競争者として5G先導国である韓国を牽制(けんせい)しようという心理があり、安倍を止めないと思われるすでに全体図が鮮明になった。日本国民の反韓感情と米国の黙認が安倍の武器だ。中国のTHAAD(高高度ミサイル防衛)報復に言うべきことが言えずにあたふたしている韓国を叩き、日本が戦争できる国になって中国を共に牽制する構図は米国にとって悪いものではない。実際、米国は韓国の必死の仲裁要請に沈黙を続けている。米国が韓国側に立ってくれるという期待は非現実的だ」

    トランプ氏が、サムスンを叩いて「5G」で米国が有利な地位に立つという見方は誤りだ。米国は、東南アジア諸国に対してファーウェイの「5G」を排除し、サムスンを推奨している。この事実を見落として米国を批判するのは筋違いである。米国が仲裁に立ち上がらないのは、日韓政府が、仲裁を受入れる意思表示をしていないからだ。日本は、法的に「ホワイト国」排除が決定後に韓国政府の徴用工問題への姿勢を見極めるまで動かないであろう。

     

    (2)「残ったカードは日本人の反韓感情を鎮めるだけだ。それでこそ安倍の暴走を制御することができる。WTO提訴に行けば有利だが判定までは数年がかかる。経済報復の火が居間まで迫っているではないか。日本人たちは「韓国が約束を守らないから腹が立つ」と言う。慰安婦合意を破ったうえ、1965年韓日協定で終わった強制徴用問題で日本企業を困らせているということだ。韓国が65年体制を崩して新しい局面を作ろうとしているのではないかと疑う。我々としては胸のつぶれる思いだが、これが日本国民の感情だ」

     

    「経済報復の火が居間まで迫っている」というが、これは過剰表現であろう。日本品不買運動をしているのは韓国である。韓国与党は、「反日活動」を行っている。東京五輪ボイコットを世界に訴えるとまでいう話を聞けば、日本人であれば硬化して当然である。

     

    韓国はこれまで、日本に対して「言いたい放題」「やりたい放題」。しかも経済的なメリットを得たいという虫の良さだ。日本はもうこれ以上、「我慢できない」という想いで立ち上がっているのだ。

     

    (3)「日本人の憤怒指数を低くするためには、反日・抗日の言葉を自制しなければならない。「竹槍歌」「義兵」「国債報償運動」を叫ぶほど反韓・嫌韓感情だけを大きくして安倍の暴走に力を与える。腹が立っても耐えて外交的解決法を模索しなければならない。日本戦犯企業の賠償責任を認めた大法院判決を尊重するものの、植民支配が不法かどうかを曖昧に残した65年韓日協定の妥協ラインを守りながら、現実的・合理的案を提示すれば良い。李洛淵(イ・ナギョン)首相も「事態をこれ以上悪化させずに外交的協議を通じて解決策を見出そう」と述べたというから幸いだ」


    韓国でも、行き過ぎた反日言動に自重する動きを見せている。根本的解決には、曖昧さを残したものはダメ。「第三国仲裁委設置」によって法的に白黒をつけるべきである。ともかく、日韓は冷却期間を置くべきである。他人の関係に戻るべきだ。一時的な妥協は、決して解決策ではない。



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    日韓関係は、韓国が頼みの綱とした米国トランプ大統領の具体的な日韓仲裁もなく、暗礁に乗り上げたままです。韓国を「ホワイト国」から除外することは、日本独自の判断で行なうべきことで、韓国が反対論を言い出すのは内政干渉と言えるでしょう。日本が、韓国に向かって「親日排除」に異議を申し立てるような話です。

     

    韓国が、「ホワイト国」排除に対してWTO(世界貿易機関)一般理事会まで乗り込んで、「日本批判論」を打ったのは、過去の日本への干渉癖が表面化した結果と思います。この干渉癖も、8月2日以降はなくなると思います。

     

    それは、韓国を「ホワイト国」から排除することが、8月2日の閣議決定される予定と伝えられているからです。この閣議決定によって日韓関係は「対等」になります。1965年の日韓基本条約締結後、日本は日韓併合時代の「精神的負担」から解放されたと思いきや、そうではなかったのです。さらに重いくびきを掛けられてきました。「反省のない国」、「戦犯国」「戦争をしたがる国」など、ありとあらゆる罵詈雑言を浴びてきました。

     

    こういう下劣な言葉を投げかけられながら、日本は反論することもままならずきました。それは、日本に具体的に対抗できる手段がないからです。日本が、韓国を「ホワイト国」にしたのは2004年と言われます。当時は、これによって韓国との相互理解を深めて、日韓関係を正常化しようという希望もあったのでしょう。

     


    「ホワイト国」一覧を見れば、全て親日国家ばかりです。皇室外交の可能な国々です。そこへ、「親日排除」と叫ぶ韓国がぽつんと入っているのは、異常な感じを受けるのです。韓国は、「ホワイト国」になっている意味を理解して欲しかったですね。どこの国にも触れられたくない歴史はあるものです。あの米国もあります。しかし、そういう弱点を公然と言い募って歩くことはフェアではありません。「惻隠の情」で黙っていてあげることも必要です。

     

    韓国の場合、そういう相手国を優しく包み込む大らかさがないのです。欠点を針小棒大に騒ぎ立てる国でした。日韓は一度、距離を置いて離れるべきです。別に、断交しようというものではありません。他人行儀になることが必要と思います。

     

    8月2日の閣議決定で、韓国を「ホワイト国」から外して、韓国も冷静に日本を見直すべきでしょう。余り大きな声で言えませんが、日本は韓国に対抗できる経済的な手段を取り戻すのです。韓国が、今後も日本に対して理不尽な言動を続ければ、日本として輸出面で若干、手続き面で厳しくするというツールを持つべきでしょう。外交には、そういう手段がなければ、日本の意思を正確に伝えられないのです。

     

    8月2日の閣議決定は、日韓が大人の関係になる上で避けられない、歴史的な日になると思います。


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