勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年07月

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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    半数以上が無年金者

    無策が招く財政負担

    最賃大幅引上の帰結

    日韓経済紛争の重圧

     

    韓国の4~6月期GDPが発表されました。1~3月期が前期比マイナス0.4%成長であったことの反動と、政府による集中的な支出増によって前期比1.1%増に跳ね上がりました。内容を子細に見ると、決して褒められる内容でなく、先行きの不安を増幅するものでした。JPモルガンは、4~6月期の経済成長率が期待に及ばなかったとし、年間経済成長率予測値を従来の2.2%から2.0%に下方修正したほどです。

     

    半数以上が無年金者

    韓国は、「病人経済」に成り下がっています。文在寅(ムン・ジェイン)政権になって以来、国民生活は激変しています。

     

    もともと韓国では企業などを退職した人たちが、退職金を元手にして自営業を始めるケースが多いのです。この零細な自営業を襲ったのは、文政権による大幅な最低賃金引き上げでした。2018~19年の2年間で、最低賃金を約30%も引き上げた結果、多くの零細自営業はそれに耐えられず、従業員を解雇せざるを得ませんでした。これが、過去にない失業者を増やすことになった理由です。

     

    失業者の増加は、個人消費を減らします。こうして、自営業者が廃業・倒産するという悪循環に陥っています。これでは、病人が増えて当然です。実はこの病人増加が、皮肉にも韓国のGDPを支える要因だったのです。病人の増加が、個人の医療費増加を招いています。これによって、政府の健康保険医療費支出も自動的に増えます。この病人増加が、4~6月期のGDPに「寄与」したとは、哀しい話です。詳細は、後で取り上げます。

     

    韓国は、合計特殊出生率の急減によって高齢化が急ピッチで進みます。昨年の合計特殊出生率は、0.98と世界で初めて1を割り込みました。この落込みは、今年に入っても止らず、さらに悪化が予想されます。こうして、韓国の高齢化は、日本を上回るスピードで進行する情勢となっています。

     

    人口高齢化は、年金問題と結びつきます。最近の調査では、高齢者で年金を受給していない「無年金者」が、なんと54.1%もいたのです。統計庁の最新調査で判明しました。その調査内容を見ておきます。

     

    韓国の高齢層(55~79歳)の半数以上が、年金を一銭も受け取っていません。年金受給者でも、およそ3人に2人は月平均受領額が50万ウォン(約4万5800円)未満で、基礎生活(生活保護)の受給費にも満たない金額です。以上は、統計庁が23日に発表した「2019年5月経済活動人口調査 高齢層付加調査」によります。『中央日報』(7月23日付)から引用しました。

     

    こういう、厳しい老後生活を強いられる韓国の高齢者が、健康な生活を送れるはずがありません。栄養価的に満足な食生活を送れなければ、病に冒されるのは避けられません。ここで、日本人の高齢者が年金面でどのような生活を送っているかを見ておきます。

     


    日本では現在、サラリーマン退職者は国民年金と厚生年金を受給し、平均で男性は18~19万円、女性は9~10万円ほどの受給額とされています。これに比べて、韓国は年金受給者が全体の45.9%に過ぎないこと。その受給者の月平均年金額が、3人に2人は約4万5800円未満に過ぎません。1人当りの名目GDPは、韓国が日本の約8割(2018年)水準であることを勘案しますと、韓国の高齢者は絶望的状況に置かれていることが分ります。

     

    日韓における、高齢者の経済的な環境格差は年金だけでありません。日本の高齢者は、ほとんど債務がありません。韓国の高齢者は債務が多いのです。

     

     韓国の引退年齢は満60歳ですが、実際の引退時期はこれよりも早くなっています。会社での出世に見切りをつけ、50代半ばを超えるとすでに退職、または退職モードに入ります。この人たちが自営業の核になっています。最近では、中途退社せずに定年まで勤めろ。そういうアドバイスが増えています。老後の経済生活が難しいのが理由です。

     

    2017年の韓国「家計金融福祉調査」では、家計の貯蓄額が最も高い時期が50代です。ただ、家計負債も多く貯蓄と負債の差がほとんどないのです。60代も、貯蓄と負債の差はほとんどありません。ただ、金額は50代に比べてかなり少なくなっています。こうして、日本とは異なって50~60代でも純貯蓄(貯蓄-負債)はゼロ状態です。(つづく)


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    中国の金融情勢は逼迫化したままだ。末端の中小企業は、信用不安で金融機関から締め出されている。これに、米中貿易戦争が加わって、中小企業は混乱の極にある。ベトナムへの企業移転が顕著であり、米国のねらっているサプライチェーンの再編成が、着実に進んでいる。

     

    『ロイター』(7月24日付)は、「笛吹けど踊らず、進まぬ中国の中小企業向け融資促進策」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府は、過去何十年ぶりかの大幅な減速局面に入った経済を支えるため、中小企業向けに積極的に融資するよう銀行に促している。しかし銀行側は融資に消極的で、南部の工業地帯の輸出企業やメーカーなどは債務返済に青息吐息の状態だ。

     

    (1)「複数のバンカーはロイターに対して、いくら政府からせかされても中小企業に融資する意欲は乏しいと話した。理由として(1)経済の先行き不透明感(2)米中貿易摩擦(3)当局が進めてきた金融システムのリスク圧縮の取り組みへの対──を挙げている。このため、中小が多い民間企業セクターへの貸出資金の流れは細り、需要減退の影響を和らげるために政府が打ち出した経済対策の効果が減殺されつつある」

     

    中国の銀行が、中小企業への融資に二の足を踏んでいる理由は、次の3つである。

    1)経済の先行き不透明感

    2)米中貿易摩擦

    3)当局が進めてきた金融システムのリスク圧縮の取り組みへの対応

     

    中国当局は、ブレーキを掛けながら中小企業への融資積極化を求めるという、おっかなびっくりの姿勢で臨んでいる。この矛楯した融資姿勢が、末端の輸出企業に米中貿易摩擦も加わって深刻な事態を招いている。

     

    (2)「中国のメーカーの一大拠点となっている広東省東莞市では、一部の中小企業が事業運営と資金繰りの難しさから海外への生産移転に動き始めた。機械類を入れる紙製包装箱を生産している広東力順源智能自動化有限公司のLi Jiajun最高財務責任者(CFO)は「最近われわれがミーティングでいつも一番話題にするのは、ベトナムに移るべきかどうかだ。多くの顧客は向こうに行ってしまった」と述べた」

     

    中小企業の中で、資金繰り難と取引先のベトナム移転に伴い、工場移転を検討している例が取り上げられている。米国が、中国へ貿易戦争を仕掛けた目的のサプライチェーン再編成は、こういう形でじりじり進んでいる。中国が、米国との決着が遅れれば遅れるほど、中国に後遺症が残る実例を示唆している。

     


    (3)「同社は第2・四半期に4つの銀行のうち2つから取引を打ち切られ、得られる与信枠が1000万元(約1億5700万円)に半減してしまった。CFOによると、取引を解消した2行はいずれも中堅クラスで、1行は上半期の経済環境に基づく融資基準を厳格化したと説明し、もう1行からは不良債権増加で新規融資の承認を禁止されたと告げられた」

     

    このパラグラフの実例は、バブル崩壊過程に加えて米中貿易戦争の影響が実によく説明されている。中国経済が、この後遺症をいかに克服するのか。下線を引いた部分から判断すれば、中国経済は「死に体」である。信用崩壊が8割方進んでいると言って間違いなさそうだ。日本に実例を求めれば、1990年代後半の金融逼迫に該当する。

     

    (4)「ある銀行規制当局者は、税金を支払っている中国企業のうち銀行融資を受けているのはまだ26%にすぎず、銀行にとって新規融資の「多大な余地」が残されているとの見方を示した。それでもバンカーや企業に取材すると、特に貿易摩擦の逆風にさらされている輸出企業の資金繰りは厳しい。銀行が融資審査を引き締め、より厳しいリスク管理態勢を導入しているからだ」

     

    税金を支払っている=黒字企業ですら、銀行融資を受けている中国企業は26%しかない。この事実は、いかに信用不安が深刻であるかを示すものでもある。この事態を解決するには、米中貿易戦争を終わらせて、重石を一つ取り除くことで政府の仕事である。中国政府は、それを怠っている。共産党には、国有企業と国有銀行さえ安泰であれば、それで十分であろう。

     

    (5)「東莞市のある企業は、1000万元の融資枠のほかにオフィスビルを担保に500万元の借り入れを目指している。ただ取引銀行は、ビルの評価額の50%しか融資してくれそうにない。これは貿易摩擦に苦しむ輸出企業に対して銀行がリスク管理を強化した結果だ。同社の会長は地元銀行から融資枠を止められたときの言葉を振り返り、「一部の銀行はもはや貿易を手掛けている企業とは取引自体したがらない」と述べた」

     

    取引銀行が、ビルの評価を50%にしか見ないのは、不動産バブルが崩壊に向かいつつあるのか、その前兆がはっきりしてきたのであろう。


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    韓国の国民性は、熱しやすく冷めやすい特性を持っている。大統領が交代すれば、前政権の目玉政策はほとんどお蔵入りにされてきた。同じ、保守党政権でもそれが起こっている。朴槿惠(パク・クネ)政権もそうであった。

     

    今、文在寅(ムン・ジェイン)政権は、日本の半導体製造3素材の輸出手続き規制によって、韓国の半導体産業が危機に立たされていると深刻である。その結果、日本への対抗策として国産化を図るとして、研究開発費に年間1兆ウォン(約920億円)の財政支援をすると発表した。労働時間も週52時間制の上限を撤廃した残業を認めるなど、優遇策を発表している。

     

    韓国では化学工業における日韓の差が、100年あると指摘されている。日本には江戸時代から鉱山開発が進み、その副産物の利用で化学工業が発展したという経緯がある。韓国には鉱山が存在しないので、化学工業の発展する基盤がなかったのだ

     

    いわば、韓国の化学工業は「ゼロ」からの出発である。100年の差を文政権がいくら旗を振っても短期次元での成功は不可能だ。後継政権もまた党派を超えて引き継がねばとても成功するはずがない。だが、冒頭で取り上げたように目玉政策も政権が変われば関心が薄れる。ましてや、次期政権が保守系になったら、どうなるか分らないのが過去の経緯である。今度は、どうなるのか。

     

    次の記事は、日本が2010年に中国からレアアースの輸出規制に直面した時の対応について述べた記事である。

     

    『東亜日報』(7月27日付)は、「日本はどうやってレアアース紛争で勝利したのか」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「2010年9月7日、尖閣諸島で中国人船長が日本海上警察に逮捕される事件があったし、中国からのレアアース輸出が分からない理由で遅れた。中国人船長逮捕への報復として受け止めた日本は、世界貿易機関(WTO)の協定違反だと抗議し、中国政府は環境保護のためのことなので違反ではないと応酬した。今年7月、韓国への半導体材料の輸出規制について、日本政府が安全保障のためであるので、WTO協定違反ではないと応酬していることとよく似ている」

     

    中国は、資源独占を企てたことがWTO違反とされた。日韓問題では、日本が安全保障政策を理由にしている。中国のレアアースとは事情が異なるのだ。中国がレアアースの独占的な地位を固めるまでには、乱売を行い各国に生産を諦めさせた不当競争があった。こういうネガティブな面がWTOで拒否されたと見られる。資源独占は「悪」と認識されている。

     


    (2)「2010年は中国がG3(主要3カ国)からG2に跳躍した年だった。2018年、日本経済は完全雇用を達成した。大胆な挑発の背景に自国経済への自信があることも似ている点だ。レアアースの一部の鉱物は、日本経済の支えである先端自動車生産に不可欠な素材だ。2019年、日本の輸出規制が韓国経済の基幹である半導体産業をターゲットにするのと同じ状況だ」

     

    この点では、似ている。相手国にダメージを与えられるという計算をしている。

     

    (3)「2010年のレアアースの輸出規制は、日本が被りかねない被害の程度において、2005年の日本製品不買運動とはそのレベルが違った。しかし、日本人たちは、2005年と違って、恐ろしいほど冷静に将来のために動いた。右翼を中心に各地で反中デモが行われたが、暴力沙汰はなかった。中国大使館に向けた脅迫も一切報道されたことがない」。

     

    レアアース問題では、日本がレアアースの精製過程で協力していたので、日本が在庫をかなり持っていたこと。代替品開発にメドをつけていたことも、静かに対応できた理由だ。後に中国は、日本へ売り込みに来るほど過剰在庫に悩まされた。

     

    (4)「レアアースの紛争は結局、日本の勝利に終わった。中国へのレアアースの依存度は2009年の86%から2015年は55%まで低下した。一方、中国のレアアース業界は2014年に赤字を出した。レアアースの価格が急落したためだ。 WTOで敗訴した中国政府は、2015年1月、レアアース輸出規制を全面撤廃した」

     

    中国は、日本の技術開発力に凄さに気付かなかった。

     

    (5)「韓国は大統領が変わるたびに、主要政策が原点から新たにスタートする。以前の政府の政策に関して公正かつ客観的な事後評価書は存在しない。2019年、韓国でも基礎素材産業の育成に投資しなければならないという声が高い。2022年に新大統領が就任した後は、どれほど多くの人が2019年の騒ぎを覚えているだろうか?」

     

    新大統領になれば、次の目玉政策を探し出すので、新素材開発が継続して採用されるか疑問である。

     


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    日本による韓国への「ホワイト国」除外は、8月2日の閣議で決定される見込みが濃厚になってきた。現在、輸出手続きが強化されている半導体製造3素材は、一部品種で従来通りの供給が行われている。

     

    『朝鮮日報』(7月28日付)によれば、DRAMNAND型フラッシュメモリーなどメモリー半導体の生産に必要なフォトレジストの供給は正常で、ファウンドリーで使われるEUV用フォトレジストの供給がストップしたままだ。業界関係者は、「日本は素材供給中断で生産に支障が生じれば、すぐに全世界から非難を浴びかねないDRAMではなく、サムスン電子が次世代技術として推進しているEUVファウンドリーを正確に狙ってきた」と指摘しているという。

     

    このように日本の素材輸出が、韓国の半導体製品の死命を制するまでの力を握っている現状に、中国メディアが次のように報じている。

     

    『サーチナ』(7月25日付)は、「日本の韓国への輸出管理強化で日韓のイメージが逆転、日本こそ半導体業界の王者ー中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    日本が半導体材料の輸出管理を強化したことは、韓国の半導体業界だけではなく、韓国経済にも大きな打撃となっているようだ。中国メディアの今日頭条は23日、「これで日本が半導体業界の王者であることがはっきりした」と紹介する記事を掲載した

    (1)「記事によると、このたびの日本による対韓輸出管理の見直しで「日韓のイメージが逆転した」という。日本企業が中国企業に買収されたり、事業を売却した時期は「日本の製造業は落ちぶれた」と思われ、かたや韓国は科学技術先進国のイメージが付いていたとしながらも、実際には日本は落ちぶれてなどいなかったことが明らかになったとしている。この理由について記事は、日本が輸出規制の見直しをした3品目は、日本企業がほぼ独占している分野であり、しかも高度な技術が必要なものであると指摘。半導体製造に必要な設備でも日本企業が上位を占めており、日本の強さがよく分かるとしている」

    このパラグラフは、中国ではよく報道されてきたものだ。日本製の電気製品が韓国や中国に押されて消えたことが、日本産業の敗北という論調であった。私はそのたびに、その間違いを指摘して、素材や部品などの中間財で存在を示していると指摘してきた。つまり、「B2C」から「B2B」への転換で、安定的な利益を確保してきた。

     


    (2)「日本の産業発展の考え方は中国とは全く異なり、「短期でなく長期的な見方ができる」と分析。特に半導体分野で、日本は川下ではなく川上に向かって発展しているが、高度な技術が求められる川上への発展は、利潤という観点からも正しい戦略だと論じた。
    一方の韓国は、「典型的な貿易国」で国の経済を輸出に頼り過ぎていたと指摘。この点、日本は「経済も産業システムも完璧」だと感心している。それで記事は、中国人が「失われた20年」と軽視している間に、「日本はいつの間にか方向転換」していたと舌を巻いた」

    方向転換とは、「B2C」の耐久消費財製造から「B2B」の中間財製造である。これによって、販路を世界中に拡大させることになった。

     

    (3)「今回の日韓の対立は、中国人に日本を見直させる効果もあったようだ。記事に寄せられたコメントを見ると、「日本は恐ろしい」、「中国にとっても勉強になった」など、自らを省みる良い機会だとの意見が多く見られた。こうしてみると、日本は目立たないというだけで、実は多くの分野で高い技術力を有していることが分かる。中国が恐れを感じるのも無理はないと言えるだろう」。

     

    基礎技術力の高さが、日本企業は方向転換を自由に変えられる原動力である。韓国は、加工貿易型産業構造ゆえに「川上」の素材や部品産業を揃えていない弱点がある。「川下」の加工から「川上」の素材・部品の開発は時間もかかるし膨大なコストを必要とする。現在、韓国政府は急造の計画を発表しているが、どこまで実を結ぶか疑問である。


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    ソウル市の中心部で27日夜、文在寅(ムン・ジェイン)政権を支持する革新系団体の主催で、日本の対韓輸出規制への抗議集会が開かれた。手にロウソク灯した数百人が、「経済侵略を中断しろ」などと叫び、近くの日本大使館へと行進した。

     

    このデモは、8月15日まで毎週、土曜夜に行われる計画という。文政権支持を掲げているだけに、参加者は限定されることも考えられる。デモでは、保守派反対と叫んでいるので、日本の対韓輸出規制への抗議集会が全国横断的な組織にならず、早くも分裂している感じを与える。あえて「保守派非難」と「日本批判」を一緒にしているところに、文政権の真の狙い(反日=反保守派)が浮かび上がっている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(7月27日付)は、「ソウル中心部で反日集会、輸出規制強化に抗議」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ソウル市の中心部で27日夜、文在寅(ムン・ジェイン)政権を支持する革新系団体の主催で、日本の対韓輸出規制への抗議集会が開かれた。数百人が「経済侵略を中断しろ」などと叫び、近くの日本大使館へと行進した。日本の植民地支配からの解放を記念する815日の「光復節」に向け、日本製品の不買運動と合わせて抗議活動がエスカレートする可能性がある」。

     

    市民団体や労組の主催だけに、これら組織に反感を持つグループが合同した「反日

    デモ」になる可能性は低いように思われる。韓国世論では、今回の「ホワイト国」問題では、日本政府批判50%のほか、韓国政府批判も35%ある事実を見落とせない。

     


    (2)「集会はソウル市中心部にある光化門広場で開かれた。参加者は「NO安倍」と書かれたプラカードを掲げ、日韓が防衛秘密を共有する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄や韓国保守派を批判するシュプレヒコールを上げた。日本大使館が入居するビルの前では数百人の警官隊が厳重な警戒態勢を敷いた。デモの主催者には元徴用工訴訟を支援する市民団体や労働組合のほか、親北朝鮮を掲げる組織が名を連ねた。815日まで毎週土曜日に集会を開くという主催者側には朴槿恵(パク・クネ)前大統領を弾劾に追い込んだ「ろうそく集会」を想起させ、文政権が「親日派」とレッテルを貼る保守勢力を攻撃する目的もある」

     

    下線を引いた部分が、このデモの本質を突いていると見られる。このデモが、大規模になるかどうかが注目される。デモの実態は、反日よりも保守派排撃という傾向を強めれば、「国論分裂」という印象をあてることになろう。

     

    韓国南部の釜山でも27日、同様の抗議集会が開かれた。日本外務省は在留邦人や観光客に対し、日本関連の施設周辺では周囲の状況に注意を払うよう呼び掛けている。

     


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