勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年07月

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    韓国で文政権を熱烈支持するのは、左翼メディア『ハンギョレ紙』しか存在しない。新聞の売り上げにも影響するのだろうが、ともかく「文支持」である。日本のスポーツ紙で言えば、『報知新聞』は、巨人軍が勝っても負けても「第一面」記事である。『ハンギョレ紙』もこれと同じパターンである。政治とスポーツは別物なのだ。

     

    文在寅(ムン・ジェイン)政権は、反日を最大の政治目標に据えている。文氏にとって、なぜ反日がプラスになるのか。親日排除=韓国保守排除であるからだ。理由は、韓国経済復興過程で政権をになった保守派が、日本の支援を受けてきたという関係だ。文氏は、親日=韓国保守と捉えており、これを排除すれば、韓国の進歩派政権が安泰であり続けられると錯覚している。まさに、国民不在の政治なのだ。『ハンギョレ紙』は、この韓国進歩派の野望実現に邁進する「政治新聞」である。日本で言えばスポーツ紙の『報知新聞』であろうか。

     

    『ハンギョレ紙』(7月23日付)は、「日本右翼と韓国保守のデカルコマニー」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のコ・ミョンソプ論説委員である。

     

    タイトルに「デカルコマニー」という言葉を使っている。ペダンティックな臭いが芬芬とする。「デカルコマニー」とは、フランス語で「転写」を意味する。シュルレアリスムの芸術技法というのだ。まず、タイトルから受ける印象が、衒学的である。メディアのタイトルではない。

     

    (1)「(安倍首相が)力を入れて主催したG20は、閉幕の翌日に南--米首脳の電撃的な板門店会合にスポットライトを奪われ、全世界の耳目は朝鮮半島に集まった。安倍としては、出し抜かれた気持ちだっただろう。安倍政権は直ちに報復の刃を抜いて韓国に向かって駆け寄った」

     

    いかにも左翼メディアである。議論を空想から出発させる。日本が、7月1日に韓国を「ホワイト国」から除外すると発表したのは、前日に朝鮮半島で米韓朝の3首脳が顔合わせした反動だというのだ。驚くべき発想である。

     

    先ず、こういう論法がジャーナリズムに席を置く人間として妥当だろうかという疑問だ。「ホワイト国」問題は、長期にわたって練られてきた課題であろう。そんな、安直に発動させられるテーマではない。この筆者には、「ホワイト国」の重大性が良く分っていないようである。一夜にして決められる話でない。

     

    (2)「安倍の夢は、平和憲法を変え、日本を戦争する国にすることだ。明治維新以後、常勝疾走しアジアを支配した過去の栄光を再現することが安倍の夢だ。その目標を成し遂げるには、平和憲法改正に反対する国内世論を制圧しなければならない。世論の流れを変えるには、北東アジアの緊張と葛藤の持続が欠かせない。ところが、昨年の南北首脳会談と朝米首脳会談以後、このような葛藤構造が解体される兆しが高まっている。そのうえ、今度は板門店で3カ国の首脳が一度に会った。安倍政権としては、決して歓迎できない構造的変化だ。何としてでも朝鮮半島を対決局面に戻すことこそが、安倍政権には死活がかかった問題だ」

     

    このコラムの筆者は、現実の国際情勢がどのように動いているか無関心である。日本の安全保障政策は、朝鮮半島から「インド太平洋戦略」による東シナ海と南シナ海へ移っている。陸上自衛隊が海上自衛隊と共同作戦する時代になった。自衛艦に陸上自衛隊員が乗船して警戒に当るもの。戦前の海軍陸戦隊が、現代にも編成され南西諸島の島嶼防衛に当っている。これでは、朝鮮半島の動きに重大関心はあっても、米韓同盟が対処すること。日本は無関係である。

     

    韓国は、日本の安全保障政策で重要なパートナーから外れている。米国、豪州、インド、ASEAN(東南アジア諸国連合)に次いで、韓国は5位に下がった。昨年12月まで2位の韓国が、ここまで下がったのは、安全保障政策の構造が大きく変わった結果だ。

     

    (3)「安倍政権は、今後南北和解が進展し経済協力が本格化する場合、南北経済交流が北朝鮮の武器開発につながるという論理を前面に出し、南北協力を妨害しようとする可能性が高い」

     

    安倍政権の任期は、2021年9月までだ。永久政権ではない。南北が協力できるかどうかは、北の核放棄しだいだろう。南北協力を妨害する理由はない。拉致被害者の帰国が可能になるからだ。

     

    (4)「日本右翼と韓国保守の戦略的利害関係の一致があらわれる。韓国の保守勢力は、南北の対決と朝鮮半島の緊張を存立の根拠としてきた。北朝鮮の脅威を前面に出し、韓国国民の安保不安を刺激して、そうすることで作った不安感を利用して既得権を維持し育ててきた。朝米対話と南北和解は、その安保既得権の土台を揺さぶっている。韓国の保守勢力は、このような流れを何としてでも阻止し、逆転させようとしている。日本右翼と韓国保守の関心は、デカルコマニーのように似ている。韓国保守のイデオロギー機関紙である朝鮮日報をはじめとする既得権勢力が、安倍の経済挑発を糾弾するどころか、反対に肩を持ったりそそのかして、その波紋の責任を文在寅政府に押し付ける理由がそこにある」

     

    韓国保守は、南北協力に反対である。だから、日本の保守派と同根という荒っぽい前提で議論している。もう少し、論理的な展開はできないだろうか。論説委員の肩書きに傷がつく。

     

    日韓の保守派は、市場経済と自由主義という同じ価値観を信奉している。その点で、韓国進歩派とは価値観が異なる。進歩派は、市場経済の代わりに統制経済。自由主義の代わりに民族主義が支配している。韓国進歩派の「エセ」具合は、強烈な民族主義に裏付けられ、現在の日本品「不買運動」を支持している。民族主義は、感情的であって理性に盲目である。現在の韓国与党「共に民主党」の日本批判にそれが現れている。恥ずかしいほど、冷静さが欠如した政党である。


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    反日をやれば、大統領支持率の上がる国が韓国です。逆に、日韓問題が解決すると支持率は下がる。根っこにあるのは、強烈な「日本嫌い」が充満していることでしょう。

     

    世界的に見た日本の好感度は、必ず上位10位以内に入っています。その日本が、韓国からは大変嫌われています。一方、日本の植民地であった台湾の対日好感度は抜群です。これら、三つの要因を考えると、韓国が日本を嫌うのは「異常」という結論にならないでしょうか。

     

    WTO(世界貿易機関)の一般理事会で、日韓は「ホワイト国」問題で相互に批判し合うという近隣国としては珍しい事態が持ち上がりました。この席では、韓国の主張に賛同する国はなかったようです。それだけに虫が収まらなかったのが、韓国代表団を率いた金氏でした。帰国第一声は、「日本に申し上げる」で、痛烈な日本批判でした。その中に「過去の反省がない日本」という常套句が飛び出しました。

     

    「過去の反省がない」という言葉には、次のような意味が込められていると思われます。

     

    「日本は敗戦国である。しかも朝鮮民族に多大の被害を及ぼしたから、韓国に対して永遠に跪(ひざまず)けという思いが込められています。朝鮮朱子学で、強烈な自己優越論に浸っている国民です。心底では、日本を軽蔑しているのです」

     

    この思いは、DNAになっています。今回の「日本品不買」問題について、韓国の家庭でお母さんが、二人の娘(高校生と小学生)に不買の意味と日韓の歴史を教えている例が報道されていました。

     


    これを読んで驚いたのは、不買運動=反日教育が家庭で行われていることです。これでは、反日が永遠に続くでしょう。これが、韓国進歩派の狙いでもあり、次回総選挙で与党の票集めに寄与するかも知れません。しかし、反日で「得して損している」という思いを強くするのです。

     

    韓国進歩派は、民族主義で国粋主義者の集団とお見受けします。韓国与党は、日本によって「ホワイト国」外しが行われれば、来年の東京五輪ボイコットを世界中に呼びかけると記者会見で堂々と宣言したのです。この発言を聞くと、韓国与党の認識は独り善がりという精神構造であり、朝鮮朱子学の最たるものと言わざるを得ません。

     

    日本は、不幸にもこういう民族と隣り合わせです。昨年12月、海上自衛隊哨戒機が韓国艦船とレーダー照射事件でトラブルになった際、防衛省官僚は「日本が米国の横にあったなら」と嘆いたそうです。

     

    文政権は、国内で反日により支持率が上がっても、海外で「信頼喪失」という国益を失っています。韓国にとって日本は、地政学的にも大事なはず。その日本へ、WTOまで行って悪口雑言を言い放つ。海外では、韓国への同情よりも、信頼喪失の方が大きいと思われます。「唯我独尊」の韓国です。何も感じないとすれば、変化は期待できないでしょう。


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    韓国政府は、日本による「ホワイト国」除外を反日に利用している。日本による半導体材料の輸出厳格化を「天変地異やそれに準ずる災害・事故」に該当するとみなし、対策に着手した企業に対して労働時間の延長を認める措置を打ち出したからだ。

     

    日本は、「ホワイト国」除外は、安全保障上の問題であり、民生品については従来通りの輸出が可能と、繰り返し説明している。それにも関わらず天災レベルの損失発生という悪意ある扱いを行っている。国民の恐怖を煽って「反日」の定着化を狙っているのだろう。

     

    『レコードチャイナ』(7月26日付)は、「韓国政府、日本の輸出厳格化を天災レベルに認定 過度な恐怖心助長するなと現地紙」と題する記事を掲載した。

     

    輸出厳格化について、韓国紙は「過度な恐怖心を助長してはならない」と主張。逆に打撃の大きさをも浮き彫りにした。

    (1)「聯合ニュースによると、李載甲・雇用労働相は22日、「日本の輸出規制により発生しうる韓国企業の被害を最小限に抑えるために、政府は使用可能なものをすべて投入して対応する計画」を明らかにした。具体的には「今回の事態を社会的な災害に準ずるとみなし、輸出規制品目の国産化のための研究開発(RD)、第三国からの調達や関連テストなど研究や研究のサポートに欠かせない人材に対し、勤労基準法による特別延長勤労を認める予定」と説明した」

     

    日本が輸出手続きの厳格化に伴う半導体製造3素材について、R&Dなどについて特別残業を認めるというもの。本来ならば、企業レベルの話で政府が乗り出す問題ではない。

     

    (2)「特別延長勤労は天変地異やそれに準ずる災害・事故を収拾するため、雇用労働相の認可手続きを経て現行の上限週52時間の勤務に加え、週12時間の延長勤務を可能にする制度。2016年に南北経済協力事業の開城工業団地が閉鎖された際も韓国政府はこれを「天変地異やそれに準ずる災害・事故」として、関連企業に対して特別延長勤労を認めたことがある。李雇用労働相は企業が申請すれば必要性などを確認の上、最長3カ月の範囲で認可するとし、3カ月ごとに再申請が可能と言明。一方で、特別延長勤労は労働者の同意が必要で、必要な範囲内で運用されることになるとして「労働者保護のための事項が必要な場合、追加する」と強調した」

    労働時間まで、政府が直接管理する市場経済国家があるだろうか。しかも、天災レベルの事件が起こった時しか認めないという、この仰々しい振る舞いに爆笑せざるをえないのだ。これでは、韓国経済が発展するはずがない。

     

    (3)「特別延長勤労が認められるのは、日本が輸出規制を強化したフッ化ポリイミド、レジスト(感光材)、フッ化水素の3品目を国産化するためのRDや、第三国から調達するためのテストなどを行う労働者。日本が規制範囲を拡大した場合、特別延長勤労の認可範囲も拡大する見通しという

    繰り返えすが、労働時間について政府が管理するのは、市場経済国家としてあり得ない振る舞いである。なぜ、労使に任せないのか。これが、労働市場の流動化を阻害している大きな理由である。日本の「輸出規制」がそれほど脅威に感じるのであれば、全ての規制を撤廃することだ。

     

    (4)「日本経済の報復について過度な恐怖心を助長してはいけない」との社説を掲載したのは、左派系のハンギョレ新聞(注:7月23日付社説「日本経済の報復について過度な恐怖心を助長してはいけない」)。「長期的には国レベルのR&Dによる脱日本戦略を展開することは非常に重要だろう。しかし、一部で提起する『日本経済報復によって韓国経済が崩れる』など、恐怖心を助長するのは当を得ていないだけでなく、百害あって一利なしだ」と訴えた

    下線を引いた部分は一見、政府の方針を批判しているようだが、そうではない。政府の精神論にそったもので、韓国経済は必ず立ち直って日本に対抗可能という「エール」である。ここでは自信満々だが、対外的にはWTO一般理事会での韓国代表の主張のように、日本が韓国を虐めているという具合に、内外で使い分けている。


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    韓国は、スポーツの試合でも日韓戦は、過去の怨念を晴らす好機と見て異常なまでに燃えるお国柄である。今回は、国の威信がかかった激突である。WTO(世界貿易機関)一般理事会で、日本による「ホワイト国」外しの問題が議題だっただけに、日本批判へのボルテージは過去にないほどの高まりを見せた。

     

    だが、一般理事会の空気は韓国に冷たいものだった。多くの国が、日韓で解決すべき問題で、2年に1度開催されるWTO一般理事会に馴染まない問題提起として、否定的に受け取られた。その空気を韓国代表団も感じている様子。韓国代表団が帰国に当り、「日本に申し上げる」という声明を出すほどのエキサイトぶりを見せた。よほど、悔しかったのだろう。

     

    『聯合ニュース』(7月26日付)は、「WTO理事会の韓国代表が帰国、日本の主張と協議に応じない姿勢を批判」と題する記事を掲載した。

     

    日本による対韓輸出規制が議題の一つとして取り上げられたスイス・ジュネーブでの世界貿易機関(WTO)一般理事会(現地時間23~24日)に韓国政府の首席代表として出席した産業通商資源部の金勝鎬(キム・スンホ)新通商秩序戦略室長が26日帰国し、各国の代表を前に日本が輸出規制の理由を安全保障に基づくものと主張したことに悔しさをにじませた。

     

    (1)「金氏は仁川空港で記者団に対し、「日本に対して一言申し上げる」と準備していた用紙を取り出し、「(対韓輸出規制は)安保上の例外措置という日本の発言に対し、私が提案した1対1の直接対話を日本が受け入れていれば、例外措置にならないという点を含め詳細に説明できたのだが、残念だ」と話した」

     

    韓国は、WTO一般理事会で同調国を得られなかったことに強い不満を見せ、それが後述のような日本批判になった。

     


    (2)「韓国は、日本の措置は輸出制限でありWTOのルール違反としているが、日本は大量破壊兵器などへの転用が懸念される物資の韓国における貿易規制が不十分であるため、安保上の重大な利益を守るための例外措置が正当化され、これにより貿易管理を厳しくしたと主張している。金氏はまた過去を反省することなく、安保を持ち出して自国の行動を正当化しようとした日本の態度に不快感を示した」

     

    韓国は、日本に対して二言目には、「過去の反省がない」というが、日韓基本条約でケリがついた問題である。この「過去の反省」云々で、日本に甘えていることは間違いない。日本は、その甘えを断ち切りたい。今回の「ホワイト国」外しは、その証拠である。

     

    (3)「金氏は、「日本の措置の対象になった(半導体材料などの)3品目の対韓輸出額が日本の総輸出額に占める割合は約0.001%で、韓国の総輸出額のうち半導体が占める割合は25%」とし、「日本の措置は自国の0.001%を利用して隣国の25%の利益を損なおうとするもの」と批判した。また「これは現在の国際関係の相互依存、互恵協力の基調にふさわしくない時代錯誤的な発想」とし、「日本自身と国際社会の安寧のために該当措置を一日も早く撤回し、主要20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国にふさわしい責任ある成熟した態度を示すことを願う」と促した」

     

    日本の技術力は、総輸出の0.001%で韓国総輸出の25%を左右できる力を持っている。この日韓のデータ比較は、きわめて象徴的である。「グラム」が「トン」に勝ったような話である。こういう事実が存在しているにもかかわらず、韓国は戦後74年間、日本統治期間15年間の5倍近い年月にわたり謝罪を求め続けて来た。もはや「脅迫」に等しいことだ。

     

    (4)「日本政府や日本メディアがWTOの一般理事会で輸出規制問題を巡り韓日以外の国からの発言がなかったのは、韓国側が国際社会の支持を得られなかったためと主張していることについては、公の場で支持は得られなかったが、心情的に同意するとの連絡は多くあったと伝えた。日本をWTOに提訴する時期については、都合の良い日に行う予定とし、「懸命に準備を進めている」と話した」

     

    韓国は、ここまで日本を敵視して自国の利益を守ろうとしている。それは、余りにも身勝手である。日本が存在しなければ、韓国は生き残れないことを示している。日本敵視を止めて、日本との共存の道を探るべきだ。韓国は、この「0.001vs25」という現実を前に謙虚さを取り戻すべきだろう。


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    米中通商交渉は、月末に上海で開催される。焦点は、中国による米国技術の窃取防止だ。現実の中国による産業スパイは、想像を絶するルートで行われている。米国FBI(連邦捜査局)長官が、米上院司法委員会で公表した。表の顔は学生や研究者であるが、裏の顔は産業スパイであるという。中国政府がバックにいることは疑う余地もない。


    『大紀元』(7月26日付)は、「FBI長官、捜査中の知的財産窃盗事件1000件、ほとんど中国から」と題する記事を掲載した。

     

    米連邦捜査局(FBI)クリストファー・ライ長官は723日、米上院司法委員会に出席し、中国は広範囲にわたり対米諜報活動を展開しており、米国にとって深刻な脅威を与えていると述べた。現在、FBIが抱える1000件以上の知的財産窃盗に関する捜査は、ほとんど中国関連の事案だと明かした。

     

    (1)「ライ長官は、委員会で議員から、外的勢力による潜在的な影響への備えはあるのかを尋ねられた。「中国以外に、わが国に深刻な諜報の脅威をもたらす国はないだろう」と表現し、ロシアは「おそらく」次に並ぶと長官は述べた」

     

    中国が、米国で大規模な産業スパイを働く理由は、研究開発能力の低さを証明するものだ。その弱点を隠して世界覇権を狙うギャップが、産業スパイ活動に現れているに過ぎない。

     


    (2)「中国のスパイ活動について、長官は「中国籍や中国系米国人に限らない」とし、企業などによる組織的な動きもあるという。中国企業は国営、民営を問わず中国共産党から独立しておらず、違法なハッキング、合法的な米企業との協力といったさまざまな手段で、米国の知的財産や機密情報を収集しているとした。「米国で起きた知的財産窃盗事件に関して、全土でおよそ1000件以上の調査が進行している。経済スパイであろうが、破壊活動の拡散であろうが、ほとんどすべて中国に関連する」と述べた」

     

    下線を引いた部分は、民間企業もスパイ網の一翼を担っていることを指摘している。ファーウェイは、その代表例である。

     

    (3)「中国共産党の諜報活動について、長官は「根深く多様で、広範囲かつ厄介だ」と例えた。FBIは、中国政府関係者や学者、学生、ビジネス関係者など、従来の情報収集者とは異なる相手と闘わなければならず、「私たちはすべての協力者と懸命に取り組んでいる」と述べた。ライ長官は4月、外交問題評議会(CFR)との合同会議で、「創造の窃盗」を行う中国のスパイ手法ついて詳しく語った。「中国は諜報機関、国営企業、表向きの民間企業、大学院生や研究者、そして中国を代表して活動するさまざまな関係者を通じて諜報を行っている」「これは違法行為であり、経済安全保障への脅威であり、ひいては国家安全保障への脅威だ」

     

    中国に共産党政権が続く限り、自らの優越性を内外に誇示すべく、裏では産業スパイなど違法行為を行うはずだ。問題解決の根本は、共産党が存在できない経済環境をつくることである。米国トランプ政権が、サプライチェーン再編を目指す理由である。米国が、TPP(環太平洋経済連携協定)に復帰することは不可欠になろう。トランプ氏が、この単純な事実に気付けば効果を上げるはずだが。


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