勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年08月

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    文大統領が、「二度は日本に負けない」という宣戦布告して以来、日韓の経済競争が始まったような印象を与えている。この見方は、大きな間違いだ。潜在的経済成長率は、総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)比率の大小が大きな影響力を与えるからだ。

     

    この重要な事実が見過ごされている。その結果、あちこちで「謬見」がはびこっている。その一つが、中国が2030年ころに米国経済を抜いて世界一になるというもの。前記の生産年齢人口比率に大きな影響を及ぼすのは、「合計特殊出生率」である。これが低下している国家は、いずれ生産年齢人口比率の低下をもたらし、GDP成長率は低下する構図になっている。

     

    中国は、まさにこれに当てはまる「衰退型」である。その点で米国は、「発展型」に分類される。中国がひっくり返っても、米国経済を抜くことはあり得ない。最近、日本経済研究センターが、2030年代前半に一時、中国経済が米国を抜くとみている。だが、生産年齢人口の計算が、米国は国際標準(15~64歳)だが、中国は健康上の理由で15~59歳で、5歳も短いのだ。これを取り違えて計算すると大きな誤差が出るはずだ。

     

    ここからが本論である。

     

    韓国の生産年齢人口比率は、72.22%(2018年)である。日本は59.68%(2018年)である。日韓には、これだけの差がある。韓国の人口動態は、日本よりも約20年遅れている。GDPの潜在成長率から言えば、日韓は競争する次元が異なる。よって、「日韓経済の競争」という概念自体が成り立たない。

     

    日本は、1990年の生産年齢人口比率が69.66%である。GDP成長率は4.89%であった。バブル経済が実態よりも押上げている。韓国の昨年のGDP成長率は、2.7%である。生産年齢人口比率が、72.22%と高いにもかかわらず、この成長率に終わったのは、文政権の政策ミスによることは明らかだ。

     

    文大統領の発言するような、「日韓が経済競争する」共通基盤が存在しない。あえて言えば、韓国の生産年齢人口比率の高さから言えば4%台の成長率を実現できる能力を持っている。それを実現できない理由を問うべきである。反市場主義により企業への管理を強めている結果にほかならない。

     


    『中央日報』(8月5日付)は、「韓日経済戦争、3年以内に低成長脱出競争で結果が出る」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ドンホ論説委員である。

     

    (1)「(日韓) 衝突の根本的背景には日本の経済力衰退がある。今、日本は世界第3位の経済大国といっても見かけ倒しだ。世界第2位の中国との格差があまりに広がっており、インド・ドイツに押されるのも時間の問題だ。2001年、中国の3倍に及んだ日本の国内総生産(GDP)は2010年に逆転されたのに続き、今では36%〔日本4兆9710億ドル(約529兆円)、中国13兆6080億ドル〕に縮小した。さらに中国は2030年頃に米国まで抜いて世界1位になる

     

    このパラグラフの指摘は、すべて生産年齢人口比率の状況で説明がつく。下線の部分は、昨今の合計特殊出生率が、韓国と競うように世界最低ゾーンに落込んでいることから、あり得ない話だ。ちなみに、韓国の合計特殊出生率は世界最低の「0.98」。今年はさらに低下する。

    (2)「その上、日本は植民地統治していた韓国との格差も縮小している。2001年に8倍だった韓日GDP格差は昨年3倍に狭まった(韓国1兆6190億ドル、日本4兆9710億ドル)。日本経済が「失われた20年」を経たことで実質的に成長を止め足踏みした結果だ。さらに、1人当たりの国民所得は韓国が昨年3万ドルを超え、日本と並んで3万ドル台国家グループに入った」

     

    これも、すべて生産年齢人口比率で説明がつく。韓国は、1人当たりの国民所得で日本へ接近したと喜んでいる。だが、IMFでは今が接近したピークと予測している。

    (3)「(韓国が)日本に対する依存度を下げ、独自の産業生態系を構築するには、すぐに政策実験から止めなければならない。そうでなければ韓国も近いうちに1%台の成長率と慢性的低成長構造が固着化し、低成長の沼にはまった日本と同じ道をたどる公算が大きい。そうなれば、今8倍の中国とのGDP格差は開き続け、再び中国の辺境国に転落することになる」

     

    日本が、「失われた20年」に陥った理由は2つある。

        不動産バブル崩壊の後遺症(不良債権累積)

        生産年齢人口比率の低下(人口オーナス期入り)

     

    韓国が、直面する問題点は2つある。

        家計債務の急増

        生産年齢人口比率の低下(人口オーナス期入り)

     

    韓国経済も日本と似た状況にある。ここから脱するには、反市場主義を捨てて、企業への規制を緩めることが先決である。その点で、文政権はマイナスの存在だ。


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    文在寅(ムン・ジェイン)大統領は8月2日以来、「怒髪天を衝く」勢いだ。日本の韓国に対する「ホワイト国除外」決定にショックを受け、日本に勝つと宣言。国民を不買運動へ駆り立てている。

     

    熱病のように「日本討つべし」という姿勢だが、客観的な評価が5日の株価とウォン相場急落となって現れてきた。注目のウォン相場は、一挙に1ドル=1200ウォンを割り込んでおり、警戒信号が灯った感じだ。こうなると、文氏の「大言壮語」が痛々しく映る。日本を討つ前に、韓国が「こけて」しまいそうである。

     

    『聯合ニュース』(8月5日付)は、「韓国株式市場が急落、時価総額約5兆円を喪失」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国総合株価指数(KOSPI)と新興企業向け市場のコスダックが5日急落し、韓国株式市場の時価総額が約50兆ウォン(約4兆3547億円)減少した

     

    この記事ではKOSPIとコスダックが、なぜ急落したか。その理由については、全く触れていない。考えられる点は、中国の人民元相場が7元を割り込んだこと。米中貿易戦争の悪化による韓国の輸出減。それに加え、日韓紛争が嫌気されたと見るほかない。

     

    韓国で「3度目の通貨危機」が起これば、もはや日本の金融支援は受けられない。それどころか、日韓対立がマイナスに作用する懸念の方が大きい。韓国はあれだけいきり立たず、日本との交渉余地を残しておくべきであった。現状は、「日本征伐」という雰囲気であり、株価やウォン相場にプラスになるはずがない。

     

    (2)「この日の終値を基準にしたKOSPIの時価総額は1298兆2000億ウォンで、前営業日比で33兆5000億ウォン減った。コスダックの時価総額は197兆9000億ウォンで、同15兆7000億ウォン減少した。この日KOSPIは前営業日より51.15ポイント(2.56%)安の1946.98で取引を終えた。これは2016年6月28日(1936.22)以来の安値

     

    KOSPIは、2016年6月以来の安値になった。上期の大企業の営業利益が、前年比約40%の減益となったことが嫌気されたのであろう。今後の輸出は、日韓対立もからみ不透明な部分もある。政府自身が、日本を批判して警戒観を打ち出しているので、株価の下がるのは当然であろう。

     

    (3)「コスダックは前営業日比45.91ポイント(7.46%)下落した569.79で取引を終えた。コスダック指数が600を割り込んだのは17年3月10日以来、約2年5カ月ぶり。この日の終値は15年1月8日(566.43)以来の安値だった。コスダックではこの日、指数が6%以上急落したため取引が一時制限された。韓国取引所は同日午後2時9分に、指数急落を受けコスダック市場のプログラム売り呼び値の効力を5分間停止する「サイドカー」を発動したと伝えた。サイドカーはコスダック150先物指数が6%以上、上昇または下落し、コスダック150指数が3%以上、上昇または下落する状態が1分間続いた場合に発動される。指数の急落により売りの効力が停止されたのは2016年6月24日以来、約3年1カ月ぶり

     

    コスダックは、6%以上の値下がりで「サイドカー」措置と呼ばれる取引停止(5分間)が行われた。2016年6月以来である。KOSPIも2016年6月以来の安値に落込んでいるので、「連れ安」相場という印象である。

     

    ウォン・ドル相場は5日、1ドル17.3ウォン安となり、1215.3ウォンで取引を終えた。これまで1200ウォンが「マジノ線」と見られてきたが、簡単にこの線を割ったことは「為替不安」を呼ぶリスクを抱えている。

     

    5日の株価とウォン相場の急落に影響を与えたのは、世界3大信用格付け会社のフィッチのレポートの影響もあろう。米中の貿易紛争が激化する場合、韓国の来年のGDP成長率が0.24ポイント低下する可能性があると明らかにしたもの。

     


    『朝鮮日報』(8月5日付)は、「米中紛争激化なら、韓国のGDP成長率0.24ポイント下落」と題する記事を掲載した。

     

    (4)「8月1日にトランプ米大統領は、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆円)相当に来月から10%の関税を課すと発表した。これに中国が真っ向から反発して報復に出ると仮定すれば、韓国の成長率が低下するという状況に陥るわけだ。これに先立ちフィッチは韓国の経済成長率の見通しを今年2%、来年は2.6%と予想している。フィッチが分析した主要20か国のうち、わが国の成長率見通しの下落幅はメキシコ(-0.25ポイント)に次いで大きい。米国(-0.11ポイント)と中国(-0.23ポイント)よりも大きな打撃を受けることを意味する」。

     

    フィッチは、韓国の来年のGDP成長率を0.24ポイント低下すると予測している。これは、米中貿易戦争の当事国よりも大きい低下幅だ。韓国の輸出相手国の1位は中国、2位が米国のマイナス影響を両方から受ける結果であろう。韓国にとっては「泣き面に蜂」という状況だ。


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    米中貿易戦争の長期化が、はっきりするともについに為替相場へ波及し始めてきた。中国が5日、人民元相場について1ドル=7元割れを容認したからだ。米国が、9月1日から第4弾として3000億ドルに10%関税を引き上げることへの対抗と見られる。

     

    この人民元7元割れは、アジア通貨安を誘っている。円相場は逆に代われて円高になった。韓国国の1ウォン1200ウォン割れも人民元安の余波である。

     

    『ブルームバーグ』(7月5日付)は、「中国が反撃、人民元安と農産物輸入停止ートランプ氏は為替操作と非難」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領の関税計画に対し、中国側も貿易戦争を激化させる行動で反撃した。1ドル=7元を超える人民元安を容認するとともに、国有企業に対し米国産の農産物輸入を停止するよう要請した。

     

    1ドル=7元を超える元安は、おそらく意図的なものという見方が有力だ。トランプ米大統領の関税発表後というタイミングと辻褄が合うからだ。関税に対する中国側の報復手段の選択肢が多くないことを考えると、為替が最も強力なツールというもの。米中貿易戦争が、人民元安という報復を呼べば、アジア通貨安のリスクが高まる。円は、逆行して買われる通貨だ。

     

    (1)「トランプ大統領は米時間5日朝ツイッターで、「為替操作」だと非難。「時間とともに中国をひどく弱体化させるだろう」と記した。大統領はかねて米国産農産物の輸入を増やす約束を守っていないことでも中国を批判している。米中対立の長期化見通しから、5日のアジア市場では株式相場と通貨が下落、安全資産と見なされる円や米国債、金(ゴールド)は値上がりした。投資家は米利下げ幅の見通しも拡大させた

    トランプ大統領は、怒りの余りさらなる対応を通るのか。ただ、泥沼に入るリスクが高まる。中国経済は、一段と苦境に向かう。

     


    (2)「ラボバンクのアジア金融市場調査責任者マイケル・エブリー氏は、「これは最悪のシナリオの1つだ」とし、「まず市場で一斉売りが起こり、トランプ大統領が朝起きれば、事態はさらにずっと悪くなる」と話していた。中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁はアジア時間5日夕に声明を出し、同国は貿易紛争に対処する手段として為替相場を活用することはしないと表明。「外的要因による最近の変動にもかかわらず、人民元が強い通貨であり続けると確信している」とした上で、外国為替への企業と国民の「合理的かつ合法的な需要」を確実に満たすよう中銀が取り組んでいくと付け加えた」

     

    中国人民銀行は、意図的な元安誘導でないとしている。だが、米国の第4弾として3000億ドルの関税10%は、普通であれば耐えられないレベルだ。

     

    (4)「中国の公営メディアは論説で、米国による懲罰的関税を保持したり、共産党の権限を弱める可能性のある国有企業などの問題に関し譲歩を迫ったりするいかなる合意も習近平国家主席(党総書記)は拒否すると示唆した。中国の態度硬化はトランプ大統領が合意の相手方として信頼できず、民主党大統領の誕生を待った方が良いという中国政府の認識の高まりを示すものだ。農産物輸入停止は2020年の大統領選挙を控えたトランプ大統領への打撃となり得る」

     

    米中貿易戦争は、人民元安誘導で最悪事態に一歩、踏み入れた危険性が高まっている。1ドル=7元割れは、08年のリーマンショック以来のことだ。この裏には、中国の経常収支赤字が、現実問題として中国を追い詰めていることも考えられる。「非常事態」と見た方がいいであろう。

     

     

     


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    文在寅大統領は、まだ興奮状態が続いている。南北朝鮮の統一が行われれば、日本経済を一気に抜くと「夢物語」を5日午後2時、大統領府の首席・補佐官会議で語った。文氏の経済知識が、いかに浅薄であるかを示している。東西ドイツでさえ、10年近い歳月を掛けて、ようやく統一成果が出た。現在の、韓国の経済力で北朝鮮を引き上げるのは不可能だ。日本に統一費用を出させる策略を練っているとしたらお断りである。

     

    『中央日報』(8月5日付)は、「文在寅大統領、『南北平和経済の実現時は一気に日本経済に追いつく』」と題する記事を掲載した。

     

    これだけ日本に向け悪口雑言を言って、10月の新天皇の即位の礼に出席するつもりだろうか。また、来年の東京五輪に出席する予定はあるだろうか。もし出席するとすれば、相当の「二重人格」であろう。元首として、「ちょっと、言葉が滑りました」では、済まされない。

     

    (1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「南北間の経済協力によって平和経済が実現すれば我々は一気に日本経済に優位に追いつくことができる」と話した。「日本経済が我々の経済より優位にあるのは経済規模と内需市場」と話したが、韓日葛藤を南北関係改善と結びつけたものだ。また「日本政府はこれまで痛い過去を克服して互恵協力的な韓日関係を発展させてきた両国民に大きな傷を与えている」とし「過去を記憶しない国・日本という批判も日本政府が自ら作っている」と指摘した」

     

    韓国銀行によれば、北朝鮮の昨年の国民総所得(名目GNI)は、韓国の53分の1、率にして1.9%のレベルに過ぎない。北朝鮮の1人当たり国民総所得は、昨年142万8000ウォン(約13万円)である。韓国の26分の1、率にして3.9%だ。韓国と北朝鮮の経済格差は、過去最大にまで広がっている。韓国経済には、この手に負えない北朝鮮経済を救済する力はない。

     

    著名投資家ジム・ロジャーズ氏は今年3月、韓国の国際放送「アリランテレビ」の番組に出演し、「北朝鮮の低賃金で高学歴の人材と豊富な天然資源そして韓国の管理能力と資金が合わされば、世界で最も魅力的な投資先になる」と語った。北朝鮮に金正恩氏が鎮座している政治状況で、海外の資金が北朝鮮に流れるか、きわめて疑問だ。中国資本程度であろう。

     

    大統領府の高官たちは、文氏の出任せ発言を聞かされ、どんな感想を持ったか。韓国経済自身が合計特殊出生率の急低下に象徴されるように、確実に破綻状況に向かっている。韓国が、周辺国と角突き合わせる状況下で、北朝鮮を救済する余裕もない。先ず、自らの身の処し方を糺すことが求められている。

     

    (2)「 続いて、「日本が自由貿易秩序を乱すことに対する国際社会の批判も非常に大きく、日本は経済力だけで世界の指導的位置に立つことができない点に気づかなくてはならないだろう」と強調した。文大統領は、「大韓民国は道徳的優位を基に成熟した民主主義の上に平和国家と文化強国の地位をより高め、経済強国として新たな未来を開くだろう」と話した」

     

    下線部は、朝鮮朱子学が自己の道徳性を高め、他者への優位性を得る道を説いた部分である。典型的は儒教道徳だ。これが、韓国の法意識を歪めた最大要因である。道徳が、法律を支配するという発想は、韓国大法院の徴用工判決を引き出した原動力である。国際法では、司法が条約に関与しない「司法自制の原則」に立つ。文氏は、国際法と全く相容れない「鬼っ子」に帰依した異端の理屈にしがみついて、日本を批判しようというもの。韓国でしか通用しない弁護士である。国際的には、全く無価値の弁護士である。

     

     


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    文大統領の「日本に負けない」発言が、不買運動を燃え上がらせている。食品大手のインスタントご飯の容器の一部に、日本製を使用したことで不買運動の対象リストに上った。インスタントご飯の味を改良するために入れた酸素吸収剤の一部が、日本製という理由で不買リストに挙げられる騒ぎだ。

     

    文氏は、こういう「熱しやすい」国民性を知りながら、「反日」を盛り上げている。自らの外交失策を隠すための工作である。文政権批判を強烈にしてきた『朝鮮日報 日本語版』は、社説もコラムを掲載しないという「変わり身の早さ」を見せている。

     

    その中で、『中央日報』が勇気あるコラムを掲載した。「反日論が韓国の運命を狂わす」という厳しい内容だ。私も、全くその通りと同感するものだ。

     

    『中央日報』(8月5日付)は、「反日感情を節制してこそ反韓感情も和らげることができる」と題するコラムを掲載した。筆者は、 ホ・ウソン慶煕(キョンヒ)大学非暴力研究所長である。

     

    (1)「今日世界の所々で政治理念や民族により組分けして対抗し、さらには敵意と怒りを表わして葛藤する集団利己主義が大半を占める。反日感情もそのような事例だ。反日感情を持って生まれる韓国人はいない。文化と教育・言論がそれを助長する。一度集団的な反日感情が起きればそれを瞑想を通じて観察することも難しく、結果を冷静に問い詰めることも難しい。集団感情に狂気が加われば心理的・物理的なテロをもたらしかねない」

    文大統領が、率先して反日を煽っている。彼は、学生運動家時代から「親中朝・反日米」という思想の中で生きて来た人間である。今や、念願叶って人生最高の舞台で「反日」を叫ぶ。虚しい試みである。国家の運命を狂わせているという自覚はゼロだ。


    (2)「現在の反日感情は韓国大法院(最高裁)の強制徴用賠償判決が招いた日本の経済報復措置によって起こされた側面が強い。韓国司法府の判断と粗末な外交政策に関わったものだが、韓国政府の要人や一部メディアは国民の反日感情を刺激している。これは無能さと無責任を隠そうとするもう一つの無責任な行為だ

     

    下線を引いた部分が、今回の問題の真相である。大統領としての対日外交の失敗が、現在の混乱を招いている。その反省は文氏にない。「悪いのは日本だ」。国民にそう思わせる努力をしている。この主張は、期せずして私のきょう発刊した『メルマガ79号』と重なっている。



    (3)「反日感情は節制しなければならない。ここには2つの利点がある。一つ目は日本人の反韓感情を和らげることができる。そうではなければ、日本人も反日感情に対して反韓感情や嫌韓・不信で対抗するだろう。柳成龍(リュ・ソンニョン)は『懲ヒ録』の冒頭で「願わくはわが国は日本との和平を失わないでほしい」という15世紀最高の外交官・申叔舟(シン・スクジュ)の遺言に言及した」

     

    下線部分も重要である。人間誰でも、嫌われていると思う人を好きになるはずがない。それができるのは高徳の人だけ。凡人には不可能だ。反日熱が高まれば、それに比例して嫌韓ムードが高まる。危険なのだ。

     
    (4)「二つ目は韓国社会内部の怒りや憎しみを減らす。「韓日関係の改善のために外交力を発揮せよ」という人を土着倭寇だと追い立てるのは低級な陣営論理で、韓国社会を分裂させるだけだ。日本との和平を主張した柳成龍が土着倭寇第1号ということなのか? 彼は壬辰倭乱の惨禍を目撃して和平が生存のためにどれだけ重要なのかを骨身に染みるほど感じただけだ。チョ・グク前青瓦台(チョンワデ、大統領府)民情首席の「竹槍歌」云々などは反日感情をそそのかしてわれわれの冷静な判断を阻害する。万一、反日世論と外交的に誤った判断のせいで韓日米安保体制に回復し難い亀裂が生じれば、自由民主主義である韓国の運命は危うくなるだろう」 

    「親中朝・反日米」の文在寅氏が、韓国の大統領に就任したこと自体、韓国の運命を危機に追い込む。現に起こっている「反日論」は、そのシグナルであろう。隣国は、どこへ流れて行くのか。


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