勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年08月

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    韓国の文大統領は2日午後、日本が韓国について「ホワイト国除外」を閣議決定したことに対し声明を発表した。韓国は、これまで日本による「ホワイト国」という優遇措置が既得権益と勘違いしている。この錯覚は、韓国をさらなる混迷に導く危険性を高めている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(8月2日付)は、「韓国大統領、経済報復に断固たる措置」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2日、日本政府が優遇対象国から韓国を除外する政令改正を閣議決定したことについて「問題解決に向けた外交努力を拒否し、事態をさらに悪化させる非常に無謀な決定」と非難。「日本の不当な経済報復措置に対する相応の措置を断固として取っていく」と表明した。

     

    (1)「文氏は元徴用工訴訟などの問題解決に向けた「韓国政府の提案を日本政府は最後まで受け入れなかった」と指摘。「状況を悪化させた責任が日本政府にあることが明確になった以上、今後の事態の責任も全面的に日本政府にあることをはっきりと警告する」と強い口調で言い切った。日本政府は韓国の優遇対象国からの除外を安全保障上の措置とし、元徴用工問題とは別だとの立場だ。だが文氏は「どんな言い訳をしようが、韓国最高裁の強制徴用判決に対する明確な貿易報復」と断定。「韓国経済を攻撃し、未来の成長を阻み、打撃を与える意図は明確だ」と批判した。文氏は「たとえ日本が経済強国でも、我々には対応策がある。加害者の日本が居直るばかりか、大口をたたく状況は決して座視しない」と強調。「日本の措置の状況によって、我々も段階的に対応措置を強化する」と予告した」

     

    感情移入たっぷりの大統領声明である。この声明に韓国国民は奮起して、さらなる不買運動に走るのか。それが、同胞の職を奪うリスクになることを忘れた行動である。

     

    この問題の発端は、文氏自身が始めた「反日」にある。その原点を忘れて、日本に責任をなすりつける。典型的な韓国人の振る舞いである。「身から出たサビ」であることを隠している。卑怯と言うほかない。「大口を叩いている」のは文氏である。

     

    (2)「韓国は部品・素材を日本に依存する。輸出手続きに手間取り、調達が遅れれば、韓国企業の生産に影響を及ぼす恐れがある。ただ文氏は「今日の大韓民国は過去の大韓民国ではない。どんな困難も克服できる」とし、「今回の措置を新たな経済飛躍の契機にできれば、韓国経済は日本経済を超える可能性がある」と強調。国民に総力結集を呼びかけた。文氏は「報復が報復を呼ぶ悪循環を止められる道はただひとつ。日本政府が一方的で不当な措置を一日でも早く撤回し、対話の道に出ることだ」と日本に対応を迫った」

     

    文氏は、「今日の大韓民国は過去の大韓民国ではない。どんな困難も克服できる」と大口を叩くなら、なぜこれほどの騒ぎ方をするのだ。日本まで国会議員団を送り、平身低頭して、「ホワイト国除外」をしないように嘆願して歩いた事実をお忘れか。それが一転、この調子で、居丈高になって刃向かってくる。韓国への信用に関わる話だ。

     

    文氏は、自らの過信がこれだけの問題を引き起こしていることに反省すべきである。何も事情を知らない国民は、この炎天下で「反日デモ」に駆り出されている。偽りの愛国主義に踊らされているのだ。文氏の狙いは、反日をテコにした南北統一への野望である。この無益な試みに、国民を巻き込んではならない。

     


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    日本政府による韓国の「ホワイト国除外」は、2日午前の閣議で決定した。「7日公布、28日施行」である。まだ、韓国側の対抗策は発表されていない。

     

    『中央日報』(8月2日付)は、「GSOMIA破棄? 東京五輪のボイコット? 韓国与党の強硬対応カードとは」と題する記事を掲載した。

     

     日本が2日、輸出審査優遇国であるホワイト国から韓国を排除する措置を強行する場合、韓国与党はすべての手段を講じて全方向的な対策を立てるという方針だ。共に民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表など党指導部は2日午後、非公開最高委員会議を開いて具体的な対応方針を議論することにした。

     

      これに先立ち、与党では日本に向かって強硬発言を吐き出してきた。民主党の李仁栄(イ・イニョン)院内代表は1日、国会で開かれた政策調整会議で「日本の経済報復が露骨になれば、経済の全面戦争宣言と見なしてすべての手段を総動員して断固として対応するとはっきりと警告する」として「日本からの経済・技術独立運動である第2の独立運動が火のように起きるだろう」と話した。李海チャン代表も先月31日「(ホワイト国)排除時に最も高い水準の対応に出る」と主張した。

    (1)「共に民主党の日本経済侵略対策特別委委員長を務めるチェ・ジェソン議員は1日、公開会議で「明日(2日)排除が行われようが、あるいはその後に先送りされようが万全の準備を通じて水平的対応措置を取っていきたい」として「水平的な対応措置以外に非対称的な方法も準備されている」と話した。特別委関係者は「『水平的』『非対称的』方法が具体的に何を意味するかについて戦略上発言を控えている」と伝えた。

    韓国与党によれば、水平的対応策と非対称的対応策の二つが考えられるという。水平的対応策は、本来は経済対応であろう。ただ、韓国が対日輸出規制では海産物か食品に限られる。非対称的対応では、奇想天外なものが考えられよう。



    (2)「水平的対応とは現在の自発的に行われている日本製品不買運動以外にも日本経済に打撃を与え得る案になる可能性が大きい。非対称的方法は今月末が期限となっている韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)の延長拒否カードではないかという見方が出ている。特別委は当初「経済は経済、安保は安保」という立場だったが、3日前からは特別委委員の個人的な意見を前提にGSOMIA破棄のカードを取り上げてきた。一部では2020年東京オリンピック(五輪)に打撃を与えるべきだという主張もある」

     

    韓国が冷静になるべきなのは、日本が圧倒的な「カギ」を握っている現実を忘れた突拍子もないことを始めれば、急所を突かれるリスクだ。感情にまかせたことをやると、収拾がつかなくなろう。GSOMIA破棄は、韓国の安保を危機に追い込む。五輪ボイコットは、念願の南北合同ティ-ムの編成が水の泡になる。

     



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    過去の反日運動では、「昼は反日、夜は日本製ビール」と言われていました。その日本製ビールが不買運動で不振です。輸入ビールで首位のアサヒビールが、2位の座も危ないと現地メディアが伝えています。

     

    最低賃金の大幅引上げによって失業者が急増している韓国です。これを反映して、今年の合計特殊出生率は、昨年の世界最低を更新して、「0.89」という絶望的状況に追い込まれています。ここに降って湧いたのが「日本品不買運動」です。国内経済逼塞状態の上に、日本による「ホワイト国外し」という国民感情を刺激する恰好のテーマが飛び出しました。

     

    ここに、アサヒビールがとばっちりを受けて「不買対象」のトップにあげられたのです。この不買運動はこれからどうなるのか。韓国市民の不買運動の動機には、「過去に独立運動をできなかったので、不買運動をする」という者がいるそうです。こうなると、1910年の日韓併合まで話が飛びます。日本への恨みを晴らすことになるでしょう。

     

    実は、7月末に日本を訪れていた韓国の国会議員団が、日本の与野党議員と面会している際に漏らした言葉には、韓国が相当に困った事態に追い込まれていることが窺えました。日本の与野党からは、韓国が慰安婦合意と徴用工問題で国際法違反だと厳しく指摘された点です。そして、「ホワイト国除外」は不可避という認識を持ち、その後の措置としては意思疎通を図るという「約束」のようなものを交わしたようです。

     


    韓国は、日本と喧嘩別れして「ホワイト国除外」を100%厳しく運用されたならば、韓国経済が持たないという切迫した事態に追い込まれています。ここが、韓国の最大の泣き所です。喧嘩をしたくてもできない状況に追い込まれています。韓国与党の李代表は、「日本とは離れられない地理的関係にある」と、これまで口にしたこともないような融和的な口調になっています。

     

    こうした状況を考えると、きょうの日本の閣議で「ホワイト国除外」が決まればヤマを越えます。この後で、韓国大統領は特別声明を出すそうです。その内容が、「徹底抗戦」ということになれば、日本政府は「ハイ、そうですか。それでは規則通りにやらせていただきます」という売り言葉に買い言葉の対応になりかねません。そうなれば、韓国経済は「沈没」です。

     

    文大統領が、いくら「反日主義者」といえども「徹底抗戦」と言わないで、一応の抗議程度にとどめ、今後の日韓和解への道を探る姿勢を示せば、「不買運動」への終息工作を始める可能性が出てくるでしょう。

     

    不買問題は、韓国の首を締めます。日本政府は、遠慮なく「ホワイト国除外」を運用できるからです。仮に、韓国政府が不買運動終息に動けば、日本も「誠意には誠意」という対応が考えられます。韓国政府が、大人の対応をするかどうか。日本も不買運動をそのバロメーターとして見る必要があるでしょう。

     

     

     


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    韓国では、日本による「ホワイト国除外」を機会に、「第2の独立」気構えで自らの道を切開くと与党の院内代表が発言している。大に結構な話だ。いつまでも日本を頼りにせず、「産業的な自立」を図るという。それと同時に、日本のことを忘れて欲しいものだ。日本と聞けば、異常なまでの闘志をかき立てることを止めて貰えれば、日本の受けるストレスはそれだけ減るに違いない。

     

    『中央日報』(7月31日付)は、「反日を越えて克日で美しい復讐を準備しよう」と題するコラムを掲載した。筆者は、元国会議長の鄭義和(チョン・ウィファ)氏である。

     

    (1)「 我々の歴史を振り返ると、隣国にはあまり恵まれていないようだ。東アジアの代表的な大陸勢力である中国、唯一の海洋勢力である日本が順に韓国を苦しめた。韓半島(朝鮮半島)の地政学的な位置が我々をそのような運命に向かわせたのだろうか。しかし我々の責任も大きい。旧韓末に迎えた受難は特にそうだ。当時の執権層は古い思潮にとらわれて世界史の激変を読み取ることができなかった。国の富を増やすことも、国家の防備を強化することも怠った。政治力も外交力も国防力も弱かったため国を維持できなかった。結局、恥ずべき36年間の日帝強占期を迎えることになった

    韓国では、日韓併合時代を「日帝強占期」と呼んでいる。この時期を恥ずべきものとしているが、日本が文明開化で欧米から学んだ制度や知識を「移植」するまたとない機会であったはず。韓国には、こういう角度の分析は絶対に許されない。「親日派」として退けられている。この冷静な分析を許さない韓国の「狂気」が、反日の原動力である。

     

    韓国が、朝鮮動乱を経て急速な発展を遂げたのは、日韓併合における近代化準備と戦後日本の支援の結果である。悔しいと思うなら、「韓国近代化過程」を研究すれば明らかになる。要するに、韓末から現在まで、日本と深い関わりの中で成長発展してきた国が、朝鮮であり韓国である。この認めたくない事実を認めることが、「韓国自立論」の大前提だ。決して韓国は、自力で発展してきたのではない。日本の掌の上にあった国である。

     


    (2)「5年前、筆者は東京で安倍首相に会った。当時、「日本内部の和も重要だが、北東アジアで韓日間の和も非常に重要なので、信義の中で和の形成に努力してほしい」と注文した。「和の文化」を建国理念としてまで強調する日本の自省を促す言葉だった。当時は両国首脳が会うのも難しい時期だった。当然、日本は正しい歴史認識を持たなければいけない。自ら認めることは認めて完全に整理しなければいけない。ヴィリー・ブラント元西ドイツ首相は在任中、ポーランドの首都ワルシャワの戦争犠牲者碑石の前でひざまずいて謝罪した。その誠意ある行動一つでポーランド人の胸中のしこりは消えた。もし安倍首相が韓国の象徴的なところを訪問し、誠意を込めて謝罪をすればどうだろうか

    誠意を込めた謝罪は、パフォーマンスだけではない。戦後の日本が、韓国に対して差し伸べた支援の手こそ、謝罪の証である。韓国経済は、日本の技術と資本でここまで発展できたのだ。だから、「ホワイト国除外」で恐慌を来たしている。この事実こそ、日本の掌の上にあったという動かしがたい証拠である。

     

    (3)「過去を忘れるわけにはいかないが、そこに閉じこもってもいけない。韓日はお互い信頼をさらに築かなければいけない。いま韓国政府がすべきことは先頭に立って反日感情を煽ることではなく、国民の克日精神を呼び起こすことだ。反日フレームは国論を分裂させるだけであり、国益と韓日関係の未来にプラスにならない。日本に対する憎悪を深めるのではなく「美しい復讐」を準備しよう。我々の知恵を集めて実力を高め、日本よりはるかに競争力のある魅力的な強国をつくる必要がある。世界のどの国より正しく清廉で品格の高い社会を築くことが求められる。そうしてこそ本当に日本を克服し、東アジアの新しい平和と繁栄の花を咲かせる主役になれると信じる」

    日韓関係をここまで破綻させたのは、文在寅(ムン・ジェイン)氏だ。自らの出世欲が招いた結果である。文氏に経済知識があれば、ここまで日本を敵視することもなかったであろう。たった一人の経済に無知な大統領が出現したことで、過去70年余にわたる歴史の積み重ねが、2年間で破綻した。恐ろしいことである。

     


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    日韓対立は頂点に達している。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の政治的思惑が招いた事件だ。「平地に波瀾を起こす」に等しい振る舞いが発火点である。その裏には、日韓の動かしがたい文化の相違がある。日本文化は欧米流の契約尊重型。韓国文化は、道徳尊重型である。

     

    契約型では、「悪法も法なり」でルールとしての存在理由がある。道徳尊重型では、道徳が法律より上位概念であるから、既定の条約を無視する。よって、韓国大法院が下した徴用工判決は、国際法においてあり得ない判決となる。日本が、猛然と抗議するのは当然なのだ。

     

    韓国の道徳尊重型では、条約といえども現時点での道徳において見直されるべきとしている。韓国は、中国と同じ儒教文化圏で「宗教的神秘主義」の殻に閉じこもってきた。「科学革命」を拒否したので、古代からの社会ルールのままである。西洋は「神秘的自然主義」であったので、容易に「科学革命」を受入れて社会ルールが変更された。

     

    ここで整理しておく。

     

    韓国→宗教的神秘主義→科学革命受入れず→宗教(道徳)が法律・政治などを支配する。

    日本→神秘的自然主義→科学革命容認→宗教(道徳)の一元的管理が分解し、宗教・法律・政治が並列関係になる。三権分立の原点。

     

    韓国と日本は文化圏が異なっている。この違いを認識しないで、互いに自国の優位性を主張するから衝突する。解決方法は二つある。一つは、没交渉で無関係になること。もう一つは、韓国が国際法に従い法律を上位概念として受入れる。つまり、日本の主張である国際法の優位性を認めて、韓国大法院の徴用工判決は韓国国内で解決することだ。

     

    現在、日本政府が韓国を「ホワイト国除外」にするのは、前者の例によって日韓が無関係になるケースである。韓国が、これでは困るから再考慮してくれとなれば、国際法を守り慰安婦合意と徴用工問題を元の線に戻すことになろう。

     

    以上のように、日韓関係は文化摩擦であるので、容易に解決しないことを認識すべきだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(7月29日付)は、「韓国と日本、真の和解は可能か」と題する寄稿を掲載した。筆者は、キム・ヌリ(韓国) 中央大学教授(独文学)である。

     

    (1)「韓日協定(注:日韓基本条約)は国民の同意に基づいた条約ではなかった。協定に反対する大規模なデモが繰り返されたのは、韓日協定が国民の意思に逆らう「官制協定」だったからだ。その上、韓日協定は反省しない日本の右翼と省察のない韓国の保守の「偽りの和解」の産物だった。このため、韓日協定を絶対的準拠のように掲げ、韓国政府を批判し、日本政府を擁護する人々は、正しい歴史意識も、常識的な法感情も欠如した人々だ」

     

    筆者はドイツ文学専攻である。国際法的な視点はゼロで「情緒的」な主張だ。時の政権が国際的に認知されている以上、その政権が結んだ条約は法的な拘束力を持つ。中国共産党政権は、国民投票で選ばれた政権でないが、中国を代表する政権だ。当時の韓国軍事政権もそれと同じ位置にある。よって、日韓基本条約は、韓国で遵守されるべきである。

     

    (2)「現在の韓日の対立は、表面的には日本の輸出規制のために触発されたが、深層的にはこの一世紀の間に累積された敵対的反感が爆発したものだ。事実、解放後の韓日間で真の和解の試みは全くなかった。冷戦時代に「軍事同盟」という名のうわべに隠されていた敵対感が、冷戦に寄生する韓国の保守と日本の極右の結託で水面下に隠されていた対立が、もはや冷戦体制が解体する新たな局面を迎え、ついに水面上に浮び上がったのだ」

     

    ここでの解釈は、政治的視点そのものだが、私が冒頭に挙げたように日韓の文化摩擦による対立である。韓国の潜在的な日本への不満として、日韓基本条約が国民の意思を反映していないというが、国会での批准は国民による間接的な批准である。日韓基本条約が条約としての形式整えている以上、文政権はそれを遵守する義務を負う。文氏には、この筆者と同じ情緒的な解釈に相違ない。

     


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