勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年08月

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    米国務省が、韓国のGSOMIA破棄に対して猛烈な批判を加えている。韓国首相が動揺を見せているのだ。韓国国会で、「GSOMIA終了決定が効力を発揮するのは11月23日」であることを上げ、日本が韓国を「ホワイト国除外」から撤回すれば、GSOMIAへ復帰可能との見解を述べた。

     

    この戦術は、最初から計算されていた面も否定できない。韓国が、「積極的に米国を日韓対立の仲裁に引き入れ、日本に対する効果を高めることが目的と見える」との見解があるからだ。これは、ビンセント・ブルックス前在韓米軍司令官が、『東亜日報』(8月24日付)で指摘していた。昨日の本欄で紹介した通りである。

     

    前記のブルックス氏は、今回の韓国によるGSOMIA破棄が、日米に取り返しの付かない誤解を与えているとしている。日本には「両国の協力から完全に手を引く」というメッセージに。米国には「韓国が北東アジアで構築されている同盟の構造を危険に陥れかねない」というメッセージに誤解される恐れがあるということだ。米国務省が、3回も韓国へ声明を発表しているのはこの現れである。

     


    『聯合ニュース』(8月26日付)は、「日本の不当な措置、撤回なら軍事協定終了決定見直し」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の李洛淵(イ・ナクヨン)首相は26日、国会予算決算特別委員会で、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了を決めたことについて、「終了決定が効力を発揮するのは11月23日」とした上で、「(対韓輸出規制など)日本の不当な措置が元に戻れば、わが政府もGSOMIAを再検討する方式が望ましい」との認識を示した」

     

    下線を引いた部分は、日本が「ホワイト国除外」を撤回すれば、GSOMIA破棄を取り消すと発言している。これは、韓国側のGSOMIA破棄が、いかに合理的根拠のないかを証明する話だ。「ホワイト国除外」と「GSOMIA破棄」は、全く次元の異なる問題である。それを、強引に結びつけているのが韓国である。

     

    (2)「協定の終了を決めた背景に関しては、「日本が根拠も示さず、韓国を安全保障上信頼できない国であるかのようにレッテルを貼り、いわゆる『ホワイト国(輸出管理の優遇対象国)』からも除外した」とし、「安保協力が難しいとされた韓国が日本に軍事情報を与えることが正しいのかという状態に置かれていた」と説明した。また、「GSOMIAは2016年11月に締結され、それ以前に戻ることになるが、その2年前の14年に韓米日3カ国の情報共有取り決め(TISA)が締結されている」として、「TISAを通じて軍事情報を共有できる体制はある」と強調した」

     

    日本による韓国への半導体製造3素材の輸出手続き審査は、最大90日限度である。このことから、10月以降の輸出は順調に進むはずである。これを見れば、韓国の主張が誤っていることが判明するだろう。要は、韓国の戦略物資の管理がしっかりできていれば済む話である。10月以降の輸出状態が、韓国を納得させるであろう。


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    日米通商交渉が、妥結したこととタイミングを合わせる形で、中国が米国へ通商交渉再開を申入れてきたという。トランプ大統領が、G7首脳会議の合間で明らかにしたもの。第4弾まで中国の対米輸出に掛ける関税率は、既発表に加えて「5%アップ」という常識を超えた「高関税率」になる。中国が負担可能な限界を超えており、米国へ交渉を申し込まざるを得ない局面である。

     

    『ロイター』(8月26日付)は、「トランプ氏、対中関税は延期も含めあらゆること可能との認識」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領は26日、米国は中国との通商交渉でこれまでよりはるかに良好な立場にあるとの認識を示した。対中関税の延期は可能かとの質問には「あらゆることが可能」と答えた。

     

    (1)「トランプ氏はこの発言の前に、当地で開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)の合間に、昨夜中国側が米国の通商交渉担当者に交渉を再開したいと伝えてきたと述べ、中国は合意したがっているとの見方を示したトランプ氏は「あらゆることが可能だ。われわれは率直に言って、かつてないほど有意義な協議を行っている」と述べた」

     

    トランプ関税が、中国を交渉のテーブルに着かせるだろうか。

     

    (2)「また、「中国は偉大な国だ。今は非常に多くの雇用が他国に移り、失われている。もし私が彼らの立場にあれば、合意を望むだろう」と述べた。さらに「われわれは交渉で、これまでよりはるかに優位な立場にあると思う。誰にとっても公平な合意だ」と強調した」。

     

    トランプ氏の強硬作戦により、さすがの中国も音を上げたような感じもする。このままでは、今年の中国のGDPは6%割れが確実となる。それどころか、信用システムの崩壊という事態も想定せねばならない。となれば、強気の中国も交渉のテーブルに着かざるを得まい。

     

    米国自身も、来秋の大統領選を控え、いつまでも強気を通す環境でなくなってきた。ここら辺りで妥結しないと、米国経済も一大事だ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月26日付)は、「対中貿易戦争、トランプ氏再選への危険な賭け」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「トランプ米大統領が仕掛けた対中貿易戦争は、2020年大統領選の明確な争点となりつつある。トランプ氏の強硬な通商姿勢が再選を目指す上で有利に働くとの共和党の主張は、金融市場の動揺と景気鈍化の懸念を受けて試練にさらされている。ジョー・バイデン氏を含む民主党の各大統領候補は既に、トランプ氏の弱点となり得る国内での悪影響に注目している。その中には、関税の打撃を受ける企業や消費者、中国の対抗措置によって対中穀物輸出ができなくなった農家などへの影響が含まれる

     

    中国への関税引上が、しだいに米国経済にも影響を与え始めてきた。関税引上げによる、消費者物価上昇や、農産物輸出への打撃となって現れてくる。ただ、今回の日米通商交渉妥結で、牛肉や豚肉の関税が引下げに向かう点は朗報。中国への大量輸出から見れば、桁違いの規模でも明るい材料にはなる。

     

    (4)「米国の消費者は、中国製の衣料品や電子機器などが10%の追加関税の対象となる91日から影響を感じ始めるだろう。次いで1215日からは、スマートフォンや玩具などへの追加関税が導入される。トランプ氏の戦略にはリスクが伴うが、一部の政治アナリストや世論調査専門家らは2016年の大統領選と同様、対中強硬姿勢はトランプ陣営を支える力になり得るとの見方を示している

     

    熱狂的なトランプ支持者に安閑とはしていられない。米中貿易戦争が確実に、勝利への見通しが立たなければ、大統領選を乗切る上で不安になる。

     

    (5)「対中貿易戦争を推し進めても明確な成果が得られなければ、トランプ氏は苦境に陥るかもしれない。製造業分野の雇用は過去1年で伸びが鈍化した。鉱工業生産指数も落ち込んでいる。さらに言えば、米国の消費者は、対中関税の影響を感じ始めたばかりだ。JPモルガン・チェースの推計によれば、計画されているすべての対中関税が発動されれば、米国の家計負担は年間1000ドル増加するとみられる。民主党全国委員会の幹部を務めた経歴を持つジョージタウン政治公共サービス研究所のモー・エリーシー氏は、トランプ氏の対中強硬姿勢について、消費者の負担が増加し始めた段階で裏目に出る可能性があると指摘する

     

    トランプ氏が、中国に科している関税がすべて発動されれば、米国の家計では一戸当り年間1000ドルの負担増になるという。消費者の負担増が明らかになれば、トランプ氏の強硬策は裏目に出かねない。トランプ氏も、そろそろ矛を収める時期にきたようだ。

     

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    韓国のGSOMIA破棄は、米国で不評を買っている。中国メディアは、日韓関係という視点で取り上げ、感情論に飲み込まれた措置と批判した。

     

    『サーチナ』(8月26日付)は、「GSOMIAの破棄、韓国は自ら泥沼に入り込んだー中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    韓国による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄により、さらなる悪化が見込まれる日韓関係。ここまで複雑になってしまったのはなぜなのだろうか。中国メディアの今日頭条は22日、韓国が「わざわざ自分から面倒を持ち込んでいる」と指摘、その理由について分析する記事を掲載した。

    (1)「記事は、日韓間関係の摩擦においては、韓国の対応の悪さが目立つとしており、これまでこれといった有効な解決策を提示していないと指摘。していることと言えば、反日デモ、日本製品ボイコットばかりで、世界貿易機関(WTO)への提訴も辞さないとしているが、結果が出るには時間がかかり「どうしようもない政策」と一刀両断した」

    下線部で現れているように、反日を煽って来年4月の総選挙で勝つことだけが目的の外交に堕している。


    (2)「そのうえでGSOMIA破棄という韓国政府の決定は、記事の中国人筆者から見れば「韓国は自ら泥沼に入り込んだ」も同然だというが、なぜこのような事態になってしまったのだろうか。記事は、「外交の悪さ」に尽きるとして、日本に評価されたこともある中国の外交と比較している」

     

    韓国の対日外交は、素人外交に落込んでいる。プロの外交官を閑職に追いやり、活躍できる人間がいなくなったという点で、「不毛外交」に落込んでいる。



    (3)「中国はかつて、安倍首相により「嫌な国だが外交はできる」と評価されたことがあると紹介。記事は中国の外交について、韓国と違い「反日感情と外交を切り離せる」と分析し、自国の国力、国際情勢などを冷静に判断し、最低ラインを越えなければ臨機応変に対応できるうまさがあると自賛した」

     

    中国外交は、実利外交である。確実に「得点」を上げる外交だ。韓国は逆である。「空想外交」である。相手の国力など無視した幼稚な外交を行っている。

    (4)「この点、韓国は外交が上手ではなく、自身の国力や国際情勢を無視して日本に歯向かってしまったため、「泥沼」に入ってしまったと論じている。端的に言えば、理性よりも感情的に行動しているからだといえるだろう。それで記事も「韓国もここまで強く出なければ日本も目をつぶってくれただろうに」とあきれ顔だ。ここまで泥沼にはまってしまった韓国は、抜け出すのが難しいはずだ。抜け出すにも早ければ早いほど良いはずだが、GSOMIAも破棄したばかりで解決はさらに遠くなりそうだ」

     

    韓国は、日本が相手だと怖いもの知らずの態度に出てくる。日本を甘く見ている証拠だ。歴史問題を持出せば、日本人は怯(ひる)むと思い込んでいる。過去はそうだったが、もはや世代も交代。反感を買うだけである。今回の、GSOMIA破棄は調子に乗って突進し,独りで土俵を割ったという構図あろう。

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    24日、北朝鮮が短距離弾道ミサイル2発を発射した。日本の防衛省は24日午前7時10分にその事実を発表した。韓国軍による発表は、12分後。7月25日以降、北朝鮮はこれまで6回にわたって発射を繰り返してきたが、いずれも韓国軍が先に発表していた。それが22日、韓国がGSOMIA破棄を発表した後の最初の北朝鮮ミサイル発射の発表である。日本側が、もはや遠慮は要らぬとばかり、先に発表したのだろう。

     

    これが面白くない韓国大統領府は、また「フェイクニュース」を流している。韓国人の「虚言症」が止らない恰好だ。

     

    『中央日報』(8月25日付)は、「青瓦台、北ミサイル『日本の情報使ったことない』日本、なぜ韓国より先に発表したか」と題する記事を掲載した。

     

     24日午前の北朝鮮のミサイル発射を日本が韓国より先に発表した背景に関心が集まっている。今年8回の北朝鮮の短距離飛翔体発射のたびに韓国政府の発表が日本政府より速かったため今回は異例だ。

    (1)「共同通信はこの日午前7時24分、日本政府発表を引用し「北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとみられる」と報道した。韓国合同参謀本部は12分後の午前7時36分に北朝鮮の弾道ミサイル発射の消息を伝えた。これに対し一部では22日に韓国が軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了を決めたため日本側から関連情報を受け取ることができなかったのではないかとの観測が出たりもした。 だが、この日の北朝鮮のミサイル発射の発表自体は日本が速かったが、弾道ミサイルかどうかと、高度、距離、発射場所と方向など具体的情報は韓国軍当局が先に公開した」

    日本は軍事衛星を打ち上げているから、韓国よりもはやく北朝鮮情報をキャッチできる立場にある。これまで日本が早く発表しなかったのは、韓国の顔を立てていたに過ぎまい。今回の発表が韓国よりも早かったのは、もはや韓国に遠慮する必要がなくなったからだろう。

     

    (2)「青瓦台も聯合ニュースとのインタビューで「文在寅(ムン・ジェイン)政権になってから日本から北朝鮮のミサイル発射に関する情報を得て分析に活用したことは1度もない。北朝鮮のミサイル発射と関連して日本が提供した情報はただの1件も意味あるものがなかった」と言い切った」

    下線を引いた部分は、真っ赤なウソである。公的立場の人間が、堂々とフェイクニュースを流している。その証拠をお見せしよう。

     

    『朝鮮日報』(7月27日付)は、「2発とも600キロ、また修正発表した合参GSOMIAで日本から情報提供」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「韓国軍の合同参謀本部(合参)は、韓米共同評価の結果、7月25日に北朝鮮が発射した新型短距離弾道ミサイル2発はいずれも飛行距離が600キロであることを把握した。合参が26日に修正発表した。前日、2発のミサイルはそれぞれ430キロ、690キロ飛行したと言っていたのを変更したのだ。韓国軍は最初の発表の時も、2発のミサイルが430キロ飛行したと言って、後からそれを修正した。ミサイルの飛行距離を2度も間違って探知・発表したのだ

     

    韓国は、2発のミサイルの飛行距離で誤った発表し、後に日本提供のデータで修正するという事態に追い込まれた。恥ずべきことだ。これで、GSOMIAを破棄するというのだ。大した度胸というべきだろう。

     

    (4)「この日、北のミサイルの飛行距離が修正された件では、米国側の情報だけでなく韓日の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に基づき日本側から提供を受けた情報が影響を及ぼしたといわれている。韓国軍の消息筋は「GSOMIAに基づき、25日に北のミサイルの発射情報を韓国と日本が相互交換した」と語った。韓国は北のミサイル発射の初期情報を、日本側は韓国レーダーの東海方面にある死角地帯の情報を、それぞれ提供したと伝えられている。韓日間の速やかな対北情報協力の重要性を示したという指摘がなされている」

     

    韓国は、GSOMIAで日本から提供された情報によって、正確な北朝鮮ミサイル情報を分析できた。大統領府の担当官は、「北朝鮮のミサイル発射と関連して日本が提供した情報はただの1件も意味あるものがなかった」と大嘘を平然と記者に語っている。しかも「1件も意味あるものがなかった」とまでウソで固めた発言だ。

     

    韓国が、二度も北朝鮮ミサイル情報を訂正せざるを得なかったという事態は、憂慮すべきことであろう。


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    「孟母三遷」と言えば、教育ママの元祖です。親として、こどもの教育環境を第一に考えることは、決して貶されることではないでしょう。褒められてしかるべきと思います。

     

    韓国で現在、不正手段で子どもを楽に進学させた問題が社会を騒がせています。その主役のソウル大学教授が、集中砲火を浴びています。韓国政府法務部長官候補の曹国(チョ・グク)氏です。日本でいう法務大臣候補。文大統領は、曹国氏を法務大臣に据えて、徹底的に政敵を刑務所に入れる策を練っていると警戒されています。次期大統領候補と取り沙汰されているほどです。

     

    野党は法務大臣就任を阻止すべく、次々と曹国氏のボロを探し出しています。山ほど出てきました。その一つが、娘を高校生の時に「医学博士」と詐称して医学論文の筆頭筆者にでっち上げ、大学入試をパスさせたというものです。受験地獄の韓国で、こういう甘い手を使い有名大学の高麗大にまんまと入学させたというのです。高麗大学では、学生たちが真相解明を求め集会を行うなど、世論も沸騰しています。

     

    高校生が、医学博士の肩書きを持ち、大学受験するのもおかしな話ですね。高麗大学の入試事務で「変だ」とチェックされなかったのは、ひとえに父親の顔でしょう。

     

    このように、韓国は隅々まで注意深く見ていると「ウソ」が横行していることに気付きます。儒教社会は、顔・恩という「人縁社会」です。個人の自我が確立せず、社会の流れに身を任せる社会です。歴代大統領の家族が、賄賂がらみで事件を引き起こす裏には、この「人縁社会」というクモの糸が回り付く悪習の存在を上げねばなりません。

     


    ソウル大学教授の父親の顔で、高校生の娘に「医学博士」という偽肩書きを付けさせた。また、医学論文の筆頭研究者に名を連ねさせています。これは漫画ですね。一方、これは深刻な学歴社会という韓国の病気を表しています。むろん、本件では父親が関与しているでしょう。その人物が、法務大臣候補とは、さらに嘆かわしいことです。韓国が、民主主義社会とはとても言えません。


    形式さえ整えば、すべてパスする社会が韓国でしょう。日韓でいろいろと揉めるのは、韓国が謝罪せよという形式を要求するからです。日本では一度謝罪すれば、双方が気持ち良く和解する風土です。韓国は、忘れた頃に昔の問題を蒸し返し、謝罪と賠償を要求してきます。形式主義の社会ですから、後になってその形式が変ることがあります。そのたびに、カネをせびられたのでは暴力団と同じでしょう。

     

    この韓国が、西洋式の価値観を持つことなどあり得ないと思います。日本は、この韓国とどういう付き合い方をするのが負担にならずに済むのでしょうか。若い世代に任せるしかなさそうですね。


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