勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年10月

    a0070_000030_m
       


    「ノン・モラル」の中国政府は、スパイが正当な行為と考えているように、留学生に不法行為をさせている。このほど、英情報局保安部(M15)などが英国内に警告書を送った。

     

    中国政府が、留学生を使ったスパイ行為を奨励していることは、世界的に知れ渡っている。米国はFBI(連邦捜査局)が、すでに研究機関や大学を訪問して、スパイ手口を公開しながら警戒を呼びかけている。英国もこれに倣っての中国スパイの封じ込め作戦を始めた。

     

    『大紀元』(10月28日付)は、「英情報機関、中国のスパイ行為に注意、大学や研究機関に警告」と題する記事を掲載した。

     

    英情報機関当局はこのほど同国の大学や研究機関に対して、中国当局が留学生を利用して研究成果や機密情報を窃盗していると警告した。米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が28日報じた。英情報局保安部(MI5)と政府通信本部(GCHQ)国家サイバーセキュリティ・センターは、「敵対国は、英の大学や研究者をターゲットに、個人情報、研究データと知的財産権を盗み、自国の軍事や商業活動に使っている」とした。

     

    (1)「過去10年間に、500人以上の中国人軍事技術者が英の大学が主催した研究会などに参加したことがある。一部の中国人技術者らは、ジェット機、スーパーコンピュータ、ミサイル、戦車、艦艇のステルス性に関するハイテク軍事プロジェクトに関わったことがあるという。英情報機関当局は、中国当局から資金援助を受ける大学について、中国の影響力拡大で校内の学術の自由が損なわれることに懸念を示した」

     

    米国が、ビザの発給自体に厳しい制限をつけており、スパイ行為の防止体制を強化している。「孔子学院」は一見、スパイ活動と無縁のように見えるが、スパイ活動を支援する役割を果たしている。日本でも、大学の付属施設として孔子学院が設置されている。ただ、国公立大学には孔子学院が存在せず、政府が監視している結果でもあろう。

     

    (2)「VOAによると、現在英国に留学している中国人学生は10万人を上回った。10年間で2倍に増えたという。留学生の急増で、英の大学に莫大な収益をもたらした。1人の留学生は毎年5万ポンド(約697万円)の学費などを支払っている。大学の経営が中国人留学に過剰に頼ると、中国当局による英大学への介入がますます強まるとの見方が出ている。すでに一部の大学では、中国当局の圧力を受けて、授業中に香港の抗議活動、チベット問題、台湾などについての議論をしないと自己検閲を行った。また、香港出身の留学生が校内で香港デモを声援する集会を行った際、中国本土出身の一部の留学生から嫌がらせを受けた」

     

    大学経営上、留学生の存在が欠かせなくなっている。中国は、この弱点をついて上手く入り込んでいるのであろう。それが、研究成果の漏出など思わぬ損害を与えれば、大学に致命的損害を及ぼす。

     

    (3)「英紙『フィナンシャル・タイムズ』10月27日付によれば、名門校ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)は今月中旬、中国当局の影響力増大を警戒したことで、中国富豪が出資する学術プロジェクトを取りやめた」

     

    すでに、警戒モードである。民主主義国にとって、「学問の自由」は絶対の守らなければならないレッドラインである。中国は、こういう生命線を脅かす行為を平気で行なう国なのだ。

     

    (4)「近年、米情報機関当局は複数回、中国当局が中国人留学生を利用して、米国で諜報活動を行っていると指摘し、大学や研究機関に警戒を促してきた。今年6月、オーストラリアのメディアは、中国人ハッカーによるサイバー攻撃でオーストラリア国立大学の教職員、学生と訪問学者の過去20年間の個人情報が盗まれた可能性があると報道した。地元メディアは、情報筋の話を引用し、「オーストラリア国立大学のコンピュータネットワークに関して、同大学の職員らよりも、中国当局のほうが詳しいかもしれない」と言っているとした」

     

    米国は、すでに中国留学生の締出しにかかっている。オーストラリアでは、中国共産党マネーが国会議員の手に渡っていた事実が発覚して大騒ぎになった。中国勢力の浸透は「神業」であり、知らないうちに相手を買収して動けぬようにしている。メディアに登場する「中国寄り」の意見は、かなりの確率で中国パワーに冒されたものと見て良さそうだ。要警戒である。金銭の授受のあった関係になると、簡単に縁を切れないから危険である。脅されるからだ。

    111
       

    日韓双方は、先の日韓首相会談の後に相手側の印象について、「少し変ってきたようだ」と認める発言をした。どうやらこの印象に基づき、日韓両国が徴用工賠償で動き出したという報道が出てきた。

     

    『共同』(10月28日付)は、「日韓、徴用工合意へ検討着手、経済協力基金の創設浮上」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日韓両政府が元徴用工問題を巡り、事態収拾に向けた合意案の検討に着手したことが28日、分かった。複数の日韓関係筋が明らかにした。これまでの協議で、韓国の政府と企業が経済協力名目の基金を創設し、日本企業も参加するとした案が浮上。1965年の日韓請求権協定で賠償問題は解決済みだとする日本政府の立場を踏まえた考え方とみられる。 元徴用工問題で安倍晋三首相は24日、来日した韓国の李洛淵首相との会談で「問題解決へ外交当局間の意思疎通を続ける」と伝えており、李氏も日韓協議に前向き姿勢を示している」

     

    記事はこれだけの短いものである。下線を引いたように、韓国政府と韓国企業が「経済協力」名目の基金を創設する。これに、日本企業も参加するというものだ。日本としては、韓国政府が主体になって基金を創設することに「意味」を見出しているのかも知れない。

     

    これまで、「1+1」案が出発点であった。韓国企業と日本企業が資金を出しあい賠償に応じるという韓国政府案であった。日本は、即座にこれを拒否した。日本企業は1965年の日韓基本協定で解決済みであるという立場を主張したもの。その後、非公式ながら「1+1+α」が出てきた。αは韓国政府という解説であったが、文大統領が反対した。大法院判決の趣旨に反するというもの。結局、「1+1+α」案も消えてしまった。

     

    その後、韓国の持出してきたのは、非公式だが「α+1+1」という案である。これは韓国政府が主体になるというニュアンスである。先ず、韓国が「α+1」の経済協力基金をつくり、これに日本企業が参加する案であろう。

     

    文大統領の「大法院判決尊重」という原則論は、日本が絶対に受入れないことが分ったので撤回したのだ。となると、「α」の位置が先頭に来るか、最後に来るかで印象は全く変ってくる。日本の主張に沿うならば、韓国が先ず「α+1」を立上げ、日本が後から参加して「α+1+1」となるのだろうか。

     

    韓国が、この土壇場に来て妥協案を出し始めたとすれば、その理由は何であろうか。それは、GSOMIA(日韓軍事情報包括管理協定)復帰への環境づくりだ。米国務次官補が11月5日から直談判に来る。その時、日本と徴用工問題で協議がまとまりそうな雰囲気になっていれば、GSOMIA復帰を返事しやすくなるという思惑かも知れない。

     

    韓国が狙った「ホワイト国除外」撤回は、どうなるのか。安倍政権としては、これを撤回するとなれば鼎の軽重を問われる事態だ。「ホワイト国除外」は触らず、徴用工問題だけに絞っておくべきだろう。日本政府は、もともと「ホワイト国除外」と徴用工問題は別次元と説明してきた。韓国のWTO提訴でもこの説明で通している。こういう筋論から言っても、「ホワイト国除外」に触ってはならないのだ。

     

    a0960_006618_m
       

    韓国政府は、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)廃棄を巡って、米国から強い圧力を受けている。韓国は、日本へ圧力を掛ける積もりで行なったGSOMIA廃棄が、逆に米国から撤回を要求されるという皮肉な局面に立たされている。

     

    『朝鮮日報』(10月28日付)が、その苦境ぶりを次のように報じている。

     

    「韓国政府は日本による輸出規制への対抗策としてGSOMIA破棄の決定を下したが、逆に米国から「11月中に原状回復せよ」と厳しく要求されたのだ。韓米関係にまで異常な兆候が広がったことで、防衛費分担金引き上げを求める米国からの圧力はさらに強まるものと予想されるため、韓国政府は今後厳しい立場に追い込まれそうだ」

     

    米国が、韓国に対して防衛費分担金の大幅引上げとGSOMIA復帰の要求を突付けている点に注目すべきだ。もし、GSOMIAに復帰しなければ、防衛費分担金引き上げで譲歩しないという狙いも透けて見える。

     

    『中央日報』(10月25日付)は、「1年ぶりに口火を切った韓日関係、両首脳の勇断にかかっている」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「日本を訪問した李洛淵(イ・ナギョン)首相が24日、東京の総理官邸で安倍晋三首相と会談を行い「韓日両国は重要な近隣諸国で、厳しい状態をこのまま放置することはできない」ということで意見を一致した。もちろん、悪化の一途をたどってきた韓日関係が20分余りの「首相会談」で解決されることは簡単ではないだろう。結局、文大統領と安倍首相の決断にかかっている。安倍首相は李洛淵首相との会談をきっかけに韓国向けの輸出規制措置を撤回する一方、植民支配と強制徴用に対して心を込めて謝罪し反省する立場を明らかにしなければならない。文大統領も日本の真正性のある謝罪を前提に「日本が困るならあえて強制徴用被害者の賠償を受けない」と宣言し、GSOMIAも回復させる勇断を下してほしい

     

    日本が、下線をつけた部分のような行動を取ることは100%あり得ない。韓国は、なぜ日本が首脳会談すら拒否しているか、その理由を理解していないのだ。韓国大法院の判決自体が、国際法違反であるという原則論に立っている。それが、「植民支配と強制徴用に対して心を込めて謝罪し反省する立場を明らかにする」必要があるわけがない。この問題は、1965年の日韓基本条約で精算済みである。それを蒸し返したのは、韓国の国内事情である。日本が、韓国の国内事情に対応するのはお門違いである。

     

    さらに驚くのは、「文大統領も日本の真正性のある謝罪を前提に、『日本が困るならあえて強制徴用被害者の賠償を受けない』と宣言し、GSOMIAも回復させる勇断を下してほしい」とは、寝言同然にしか思えない。これほど、韓国に都合のいい形でGSOMIA復帰のシナリオを描いているとすれば、完全な見誤りである。GSOMIAが必要なのは韓国である。日本ではない。

     

    日本では、新聞の世論調査で次のような結果が出ている。

     

    『日本経済新聞』(10月28日付)は、「日韓関係の改善、譲歩不要69%」と題する記事を掲載した。

     

    (2)「日本経済新聞社の世論調査で、日本政府が韓国との関係について、どのような姿勢で臨むべきかを聞いたところ「日本が譲歩するぐらいなら関係改善を急ぐ必要はない」が69%に上った。「関係改善のためには日本が譲歩することもやむを得ない」は19%にとどまった。「関係改善を急ぐ必要はない」と答えた人は内閣支持層で75%、不支持層でも64%だった。同じ質問をした830日~91日の調査でも「関係改善を急ぐ必要はない」は67%だった。日本政府が韓国向けの半導体材料の輸出管理を強化したことや韓国が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたことで、日韓関係は冷え込んでいる」

     

    安倍政権を支持する・支持しないを問わず、韓国への譲歩は不要という見解が69%にも達している。9月調査の67%を上回っている。これが、日本の世論である。

     

     

    118
       

    韓国社会を二分したチョ・グク氏の法相就任を巡る世論は、チョ氏の法相辞任で幕を下ろした。だが、疑惑があれだけ噴出したチョ氏を法相に任命した文大統領の政治責任と左派勢力の支持デモは何だったのか。左派にとっては倫理問題を無視して、ひたすら政治勢力の拡大だけが狙いだったのか。深刻な後遺症を残している。

     

    そのチョ氏が、ついに検察へ召喚される時間が迫ってきたと報じられている。すでにチョ氏の妻、チョン氏が逮捕されている。今後、どのような展開になるか予断を許さないが、韓国政治も落ちるところまで落ちたという実感を否めない。文大統領はこれまで、韓国が日本よりも「道徳性が高い」と見当違いの発言をしてきた。「犯罪人」が法相だったとすれば、韓国の国辱に発展する。文氏の政治責任はきわめて大きい。

     

    『中央日報』(10月27日付)は、「韓国検察、チョ・グク前法務部長官を早ければ今週にも召喚、わいろ容疑追及」と題する記事を掲載した。

     

    検察が早ければ今週にもチョ・グク(54)前法務部長官を召喚し、わいろ授受容疑に対して調査する予定だ。チョ前長官が夫人のチョン・ギョンシム東洋大学教授(57)が二次電池メーカーWFMの株式取得で利益を得ようとしたという事実を知っていたのかが争点だ。

    (1)「検察は昨年1月にチョ前長官の口座から引き出された数千万ウォンがWFMの株式を買う時に利用された状況を把握した。ソウル中央地検は25日午前にチョン教授が拘束された後に初めて召喚調査した。チョン教授は昨年1月にWFMの株式12万株を6億ウォンで取得した。上場企業であるWFMの株式は場内で6000ウォン以上で取引されていた。検察はチョン教授が借名で1株当たり5000ウォンで取得したとみている。その後この株式は二次電池事業の大規模投資などの好材料公示で株価が7500ウォンまで上がった。当時チョ前長官は青瓦台(チョンワデ、大統領府)民情首席秘書官だった」

     

    このパラグラフを読めば、チョ前法相との関係は「真っ黒」という印象だ。妻が夫から得た情報を元に株式を購入したという疑問は拭えない。むしろ、この嫌疑をかわす方が難しいように思える。


    (2)「チョ前長官が、株式取引について知っていたとすれば、公職者倫理法だけでなくわいろ容疑まで適用できるというのが検察の立場だ。贈収賄罪は職務と関連し代価性のある金品を受け取った際に成立する。検察は民情首席秘書官が不公正取引取り締まりの責任を負うだけにチョ前長官といわゆる作銭勢力だった親族のチョ・ポムドン氏(36)の間に職務関連性があるとみている」

     

    下線を引いた部分は、チョ前法相にとって職務上もきわめて拙いことになってきた。本来ならば、仮に妻が株を買うと言い出したら止める役割だったはずである。あるいは、全く知らなかったと関与を否定すれば、妻はどこからその企業情報を入手したか。さらに「借名口座」で株式を購入したこと自体、違法性の認識があった証明だ。妻にそういう知識があったのか。チョ前法相が教えたのか。疑問が深まるばかりだ。

     

    中国の習近平氏が国家主席に就任前、習氏の母親が家族全員を呼び集めて、次のように伝えたという。「近平は間もなく国家主席に就任する予定だ。ついては、家族は株式や不動産をすべて処分せよ」と命じたという。世の中から糾弾されるようなことがあってはならないという配慮である。チョ前法相にも、それくらいの気配りで妻を諫めるべきだった。後の祭りだが、人間として失格であろう。

               

    a0960_006579_m
    メルマガ登録・解除
     

       

    下記の、目次でけさ発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    韓国の日本揺さぶり戦術

    原発過剰報道で狙う利益

    大法院は三百代言に陥る

    韓国歴史定義に二通りも

     

     

    メルマガ「勝又壽良の経済時評」は、昨年11月1日が第1号でスタートしました。今号で100号の発行にこぎ着けました。読者の皆様のご支援あってのことで、厚く御礼申し上げます。今後とも、ご愛読のほど宜しくお願い申し上げます。

     

    韓国は、文在寅政権になって以来、日本「敵視」政策を始めている。日韓基本条約を骨抜きにする韓国大法院判決をテコに、徴用工賠償問題を蒸返した。日韓慰安婦合意を破棄して、日本の提供した10億円が宙に浮いた状態になっている。このように、立て続けに日韓の条約・協定がダメージを受けるのは、正常な外交関係とは言えない。異常である。

     

    韓国が、こうした隣国としてあるまじき行動に出ている裏に、理由があるはずだ。それは、国内で抱える経済問題が、解決不可能な事態へと悪化していることだ。最低賃金の大幅引上げが、雇用構造を破綻させている。そういう失政の矛先を日本に向けていると考えざるを得ない。文政権に向かうべき批判の矢を日本へ向けさせることだ。

     

    この策略は、明らかに失敗した。国内に「反日」への批判も出始めているからだ。これについては、後半で取り上げる。韓国の経済悪化が、文政権の「反日政策」そのものに批判を生んでいる。有り体に言えば、自分の頭のハエも追えないで、「反日煽動」とはおこがましいのだ。反日という韓国特有の歴史観は、日本の貢献を隠した劣等感の裏返しに映る。この点も、最後に取り上げたい。

     

    韓国の日本揺さぶり戦術

    韓国が、日本へ揺さぶりを掛けて牽制している。その一端を紹介しよう。

     

    . ホワイト国除外は違法であるから撤廃せよ。そうすれば、GSOMIA(日韓軍事情報包括管理協定)撤回する。

    .旭日旗を東京五輪の応援席に持ち込むな。

    .福島の五輪会場には放射能汚染があるから、韓国選手団は韓国から食材を持ち込む。

    .福島原発の汚水管理状況を世界に公表しろ。 

     

    これだけ韓国に「ゴネ」られると、日韓関係がスムーズにいくはずがない。日韓が険悪化した最大要因の徴用工賠償問題は、すでに日韓基本条約で解決済みである。それ故、韓国大法院判決は、韓国国内で解決せよ。これが、日本側の一貫した姿勢である。韓国が、日本の要求を認めた解決案を出さない限り、首脳会談に応じない姿勢を取っている。日本が、韓国に対する初めての強硬策だ。朝日新聞社説では、事なかれ主義で日韓首脳会談を開き、問題解決の糸口を探せと「常識論」を展開している。

     

    こういう常識論が、長い目で見た日韓関係の正常化をどれだけ歪めたか分らない。韓国はこれまでの学習効果で、ゴネればいつでも得になること知った。その誤解・錯覚の根源を絶たなければ、また繰り返される。日本が今回、妥協せずに立ち向かっていることは、対韓外交政策の転換を意味する。

     

    韓国が、「ごね得」で狙っているものは何か。GSOMIAを破棄すると日本を脅し、「ホワイト国除外」を撤廃させる戦術である。北朝鮮のミサイル発射実験で、韓国にとっていよいよGSOMIAの必要性が高まっている段階で、日本を困らせるという意図だけでGSOMIA破棄を通告してきた。米国は、この措置にはっきりと批判の姿勢を見せている。日米韓三ヶ国にとって象徴的な安保インフラであるGSOMIAが、韓国にオモチャにされたことへの不快感と、北東アジアンの安全保障に脆弱性をもたらす危惧である。

     

    米国務次官補デビッド・スティルウェル(東アジア・太平洋担当)氏は急遽、11月5~7日に訪韓して韓国政府へ最後通牒を発することになった。ホワイトハウスだけでなく、議会の与野党までGSOMIA延長が必要という立場である。こうなると、韓国政府は日本が「ホワイト国除外」したから対抗手段でGSOMIAを廃棄したという「内向き論理」は通じないのだ。(つづく)

     

     

    このページのトップヘ