「ノン・モラル」の中国政府は、スパイが正当な行為と考えているように、留学生に不法行為をさせている。このほど、英情報局保安部(M15)などが英国内に警告書を送った。
中国政府が、留学生を使ったスパイ行為を奨励していることは、世界的に知れ渡っている。米国はFBI(連邦捜査局)が、すでに研究機関や大学を訪問して、スパイ手口を公開しながら警戒を呼びかけている。英国もこれに倣っての中国スパイの封じ込め作戦を始めた。
『大紀元』(10月28日付)は、「英情報機関、中国のスパイ行為に注意、大学や研究機関に警告」と題する記事を掲載した。
英情報機関当局はこのほど同国の大学や研究機関に対して、中国当局が留学生を利用して研究成果や機密情報を窃盗していると警告した。米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が28日報じた。英情報局保安部(MI5)と政府通信本部(GCHQ)国家サイバーセキュリティ・センターは、「敵対国は、英の大学や研究者をターゲットに、個人情報、研究データと知的財産権を盗み、自国の軍事や商業活動に使っている」とした。
(1)「過去10年間に、500人以上の中国人軍事技術者が英の大学が主催した研究会などに参加したことがある。一部の中国人技術者らは、ジェット機、スーパーコンピュータ、ミサイル、戦車、艦艇のステルス性に関するハイテク軍事プロジェクトに関わったことがあるという。英情報機関当局は、中国当局から資金援助を受ける大学について、中国の影響力拡大で校内の学術の自由が損なわれることに懸念を示した」
米国が、ビザの発給自体に厳しい制限をつけており、スパイ行為の防止体制を強化している。「孔子学院」は一見、スパイ活動と無縁のように見えるが、スパイ活動を支援する役割を果たしている。日本でも、大学の付属施設として孔子学院が設置されている。ただ、国公立大学には孔子学院が存在せず、政府が監視している結果でもあろう。
(2)「VOAによると、現在英国に留学している中国人学生は10万人を上回った。10年間で2倍に増えたという。留学生の急増で、英の大学に莫大な収益をもたらした。1人の留学生は毎年5万ポンド(約697万円)の学費などを支払っている。大学の経営が中国人留学に過剰に頼ると、中国当局による英大学への介入がますます強まるとの見方が出ている。すでに一部の大学では、中国当局の圧力を受けて、授業中に香港の抗議活動、チベット問題、台湾などについての議論をしないと自己検閲を行った。また、香港出身の留学生が校内で香港デモを声援する集会を行った際、中国本土出身の一部の留学生から嫌がらせを受けた」
大学経営上、留学生の存在が欠かせなくなっている。中国は、この弱点をついて上手く入り込んでいるのであろう。それが、研究成果の漏出など思わぬ損害を与えれば、大学に致命的損害を及ぼす。
(3)「英紙『フィナンシャル・タイムズ』10月27日付によれば、名門校ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)は今月中旬、中国当局の影響力増大を警戒したことで、中国富豪が出資する学術プロジェクトを取りやめた」
すでに、警戒モードである。民主主義国にとって、「学問の自由」は絶対の守らなければならないレッドラインである。中国は、こういう生命線を脅かす行為を平気で行なう国なのだ。
(4)「近年、米情報機関当局は複数回、中国当局が中国人留学生を利用して、米国で諜報活動を行っていると指摘し、大学や研究機関に警戒を促してきた。今年6月、オーストラリアのメディアは、中国人ハッカーによるサイバー攻撃でオーストラリア国立大学の教職員、学生と訪問学者の過去20年間の個人情報が盗まれた可能性があると報道した。地元メディアは、情報筋の話を引用し、「オーストラリア国立大学のコンピュータネットワークに関して、同大学の職員らよりも、中国当局のほうが詳しいかもしれない」と言っているとした」
米国は、すでに中国留学生の締出しにかかっている。オーストラリアでは、中国共産党マネーが国会議員の手に渡っていた事実が発覚して大騒ぎになった。中国勢力の浸透は「神業」であり、知らないうちに相手を買収して動けぬようにしている。メディアに登場する「中国寄り」の意見は、かなりの確率で中国パワーに冒されたものと見て良さそうだ。要警戒である。金銭の授受のあった関係になると、簡単に縁を切れないから危険である。脅されるからだ。