中国では、「医が算術」である。治療費が目玉の飛び出るほど高額であるからだ。医者は、治療前に「カネはあるか」と聞くのが普通という。北京でも、外国人専用の病院は、酒を飲み過ぎて気分が悪くなった程度でも、数万円の治療費を請求された知人の話を聞いて驚かされた。すべてが、金儲けの手段になっている国だ。経済倫理の存在しない国の哀しさである。
中国の治療費が対GDP比でどの程度か。なんと、5.02%(2016年)にすぎず、調査対象44ヶ国中41位である。軍事費には湯水のようにカネを使っているが、国民の健康にはカネ惜しみしている現状が、このたった一つのデータに表れている。他国の例も出しておこう。
米国 16.94%(2018年) 1位
日本 10.92%( 〃 ) 6位
ロシア 5.26%(2016年)40位
元共産主義国のロシアと現共産主義国の中国が、揃って治療費の支出を惜しんでいる。「人命軽視」が、共産主義では看板に偽りありである。
中国の庶民は、病気になっても簡単に医者のところへ行けない。高額の治療費を請求されるためだ。そこで、漢方薬を飲んで済ませるのが大半という。その漢方薬に、「ニセ物」が多いという。訪日中国人が、知人や親戚に依頼され大量の漢方薬を買って帰国する理由でもある。
『サーチナ』(11月1日付)は、「中国人が日本で漢方薬を買い漁っている事実はショックだ」と題する記事を掲載した。
漢方薬は、言うまでもなく中国に起源を持つ薬だ。日本の漢方薬は伝来後に独自に発展を遂げたため、中国の漢方薬とは異なる存在となっている。日本の漢方薬は中国人旅行客の間でも人気となっているが、中国人旅行客が中国生まれのはずの漢方薬を日本で購入しているという現状について、中国人はどのように感じているのだろうか。
(1)「中国メディアの『今日頭条』はこのほど、日本を訪れる中国人の間で人気の品の1つが「漢方薬」であると紹介し、漢方薬には5000年の歴史があり、中国こそ漢方薬の起源を持つ国でありながら「中国人が日本で漢方薬を買い漁っている事実はショックという言葉以外の何物でもない」と論じる記事を掲載した。記事は、日本の薬局チェーン店などでは「中国人客が漢方薬を争うように購入し、自分のためはもちろん、中国にいる友人や家族のためにお土産にしようとしている姿を見かけることができる」と伝えた。さらに、世界の漢方薬市場における中国のシェアはわずか2%ほどにすぎず、日本が世界で大きなシェアを獲得しているという事実は、中国側にとっては大きなショックであると論じた」
日本では、健康保険に漢方薬が取り入れられている。身体に優しいという理由で、長期服用でも副作用が出ないという特色がある。その漢方薬の世界シェア1位は、日本が握っている。原料の生薬も国内で生産するなど、量産化を実現している。
(2)「中国のなかでも広西チワン族自治区には漢方薬の原料になる生薬が数多く存在するうえ、同自治区に住む少数民族に伝わる医薬の知識もほとんど有効活用できていない現状を紹介。中国人客が日本で漢方薬を爆買いしているという状況に対して、中国国内では「漢方薬という自国の貴重な資源を発展させていくべき」という声が高まりつつあることを強調した」
中国が、自国特産の漢方薬に関心が向かないのは、外延的発展である他国の領土簒奪を国策にしている結果であろう。内政に目を向けて国民の生活向上を目指す政策に転換する時期である。
(3)「中国でも、日本と同じように薬局で手軽に漢方薬を購入できるほか、生薬を調合して処方してもらうこともできる。それでも中国人旅行客が日本で漢方薬を購入している背後には、日本メーカーが生産した薬ならば「安心して服用」できるという安心感があるのかもしれない。また、記事に寄せられたコメントを見てみると「子どもが咳に苦しんでいた際、病院で処方された薬を飲ませても効果が見られなかったが、別の病院で処方された日本の漢方薬を飲ませたらすぐに良くなった。日本の漢方薬のほうが中国の漢方薬より研究されていると言わざるを得ない」といった声が寄せられていた」
中国の漢方薬を飲んでも効かないが、日本産では効いたという。日本製品にはニセ物がないからだ。改めて、経済倫理の大切さが分る。
中国の最大の欠陥は、漢民族が「来世を信ずる」という信仰を持たない民族であることだ。当然、経済倫理も存在しないから約束を守らない民族である。どこで、裏切られるか分らない点が不気味である。黄河の中原に始まった漢民族が、周辺諸国を飲み込み現在の版図に拡大した経緯を考えれば、権謀術策に長けているのだ。