勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年12月

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    中国は、米国議会の人権法案の連続目標となっている。これまでの中国は、米国が通商問題に焦点を合せていたのでゆとりがあった。ところが「人権の総本家」である米国が、人権という人類の普遍価値擁護の旗印で中国を揺さぶっている。中国は、あれこれ弁明しているが、いずれも我田引水で説得力ゼロ。一段と窮地に立たされている。

     

    『ロイター』(12月5日付)は、「ウイグル人権法案、中国が香港問題以上に反発する理由」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府は、トランプ米大統領が先月署名して成立した香港人権・民主主義法に怒りを表明した。しかし、米下院が3日可決したウイグル人権法案は、もっと露骨に中国政府を締め付ける内容となっており、中国がさまざまな報復措置を本格的に講じて米中貿易合意に向けた取り組みが台無しになる恐れがある

     

    (1)「ウイグル人権法案は、新疆ウイグル自治区でイスラム教徒の少数民族ウイグル族を弾圧する当局者に制裁を科すことなどを求めている。米議会関係者や中国専門家の話では、特に中国政府は、個人の監視に使われる顔認証や音声認識の技術や製品の輸出を禁じる条項に神経をとがらせているという。中国政府は、法案で共産党政治局員が初めて制裁対象に加えられた点にも気分を害するだろうが、禁輸などの商業的な措置の方が中国共産党指導部の利益に実質的打撃を与える効果が大きいと複数の専門家は話す」

     

    下線を引いた部分は、中国共産党の腐敗ぶりを象徴した話だ。ウイグル人権法では、監視カメラの非人道性が問われている。この監視カメラ会社に多く投資しているのが、共産党幹部や家族たちとされている。それだけに、ウイグル人権法案が米議会上院で可決・成立すると、中国側での抵抗が激しくなり、騒ぎが大きくなるだろう、という観測である。

     

    それにしても、監視カメラの非人道性を利益の道具に使っている共産党幹部のモラルが問われる。儲かる話には、必ず共産党幹部がにじり寄ってくる。「ウジ虫」のような存在に見えるのだ。

     

    ウイグル人権法案が、香港人権法よりも打撃が大きいというのは、完全な錯覚である。香港人権法が作動すれば、中国企業の香港市場(オフショア)の利用が制限されて、中国企業の資金調達が抑制される点で、致命的な打撃を与えられる。香港人権法は、マクロ経済の打撃、ウイグル族人権法案は、個人レベルの懐が満たされないという程度の話だ。両法案は、比較すべき次元が異なる。

     

    (2)「米上下両院の主要メンバーとトランプ政権はかねてから、中国が国連の推定で少なくとも100万人のウイグル族を拘束していることについて、人権と宗教の自由に対する重大な侵害だと警告を発してきた。一方で中国は、そうした非難は不当だと突っぱねている。

    ある中国政府筋はロイターに、中国とすれば香港人権法はまだ我慢できるものの、ウイグル人権法案は「やり過ぎ」で、トランプ氏が最優先課題とする米中間の「第1段階」の貿易合意への道筋が損なわれかねないとの見方を示した

     

    下線は中国政府筋が、完全に香港人権法の保つ「マクロ経済的な影響力」を理解できない、ことを証明している。米中貿易戦争も、この程度の認識で応戦した結果、もはや身動きできない状態へ追い込まれている。香港人権法も同じこと。気付いたら、完全に米国の術中にはまっていることに気付くだろう。彼らには「マクロ経済知識」が欠如している証拠だ。

     

    (3)「米議会関係者の1人も、ワシントンにいる中国政府に近い人物から最近、香港人権法よりもウイグル人権法案の方が反感を持たれる理由が山ほどあると言われたことを明らかにした。なぜならウイグル人権法案には、もうけを生み出すセキュリティー関連技術の厳格な禁輸や、資産凍結の脅し、これに関連しての中国当局者へのビザ発給禁止が盛り込まれているからだ。カリフォルニア大学で中国・太平洋関係を研究するビクター・シン准教授は、中国において大衆監視は巨大ビジネスになっており、法案が可決されると多くの関連ハイテク企業が痛手を受ける可能性があると指摘した」

     

    人権弾圧の監視カメラ産業が、巨大なビジネスとなって共産党幹部の家族に利益のチャンスを与えているという。人間が、人間を食い物にしており極限の「欲望産業化」している。こういう不条理が盛んな国家に永続性があるだろうか。一種の「奴隷売買商人」と同じ振る舞いである。道義上から言って、も、破綻するビジネスである。

     

    (4)「中国は2017年に、国内治安維持で約1兆2400億元(1760億ドル)を支出。政府支出総額の6.1%に相当し、国防費を上回った。監視技術向けを含めた国内治安関係予算は、新疆ウイグル自治区や北京などの地域で倍増している。これらのハイテク企業への出資者には共産党幹部の親族が入っており、法案が通れば金銭的な打撃を受けてもおかしくないと述べ、「法案が彼らの収益を直撃するからこそ、中国がより強く反発している」と説明する。また同氏は、法案が成立すれば、中国企業は米国からの技術調達能力が損なわれ、製品開発に悪影響が及ぶと予想する」

     

     

    「太子党」とか「紅二代」という言葉が今も生きているのは、共産党革命で功績のあった遺族には、特別の利益供与がされている証拠だ。その彼らは今、監視カメラで利益を懐に入れているという。人権弾圧に貢献したカメラ会社で利益を上げるのは、「人間に巣食うダニ」のような存在とも言えよう。

     

     

     

     

     

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    北朝鮮が、ついに「瀬戸際政策」に乗り出した。米国に対して、年末までに今後の米朝会談の回答を出せと「強圧的態度」だ。その一環として、「重大な試験を行なった」と発表した。北朝鮮・国防科学院の報道官が8日に出した談話では、北西部・東倉里の西海衛星発射場で「大変重大な試験が行われた」と明らかにしたもの。韓国青瓦台(大統領府)は論評を発表しないなど、慎重に対応する姿勢を見せた。具体的な対応策は、見つからないのが現実であろう。

     

    この「重大な試験」とは、ICBM(大陸弾道弾ミサイル)用のエンジンと見られる。米国が、北朝鮮に実験禁止を言い渡していたICBM開発に絡むだけに、米国の国益が侵害されることは確実となった。

     

    『聯合ニュース』(12月8日付)は、「北朝鮮大使が声明、『非核化は交渉テーブルから下ろされた』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は7日、外国メディアに声明を送り、今後の米朝協議について、「北朝鮮を窒息させようとする試みから敵視政策を続けている」とトランプ政権を批判し、「われわれは今、米国と長く対話する必要がない。非核化は交渉のテーブルから下ろされた」と主張した。米国と北朝鮮が激しい応酬を続ける中、国連でも米国に警告のメッセージを発した格好となる。金氏は「米国が追求する対話は国内の政治的アジェンダとして朝米対話を利用するための時間稼ぎ」と指摘した。国内の政治的アジェンダは、トランプ大統領が再選を目指す2020年の大統領選を指すとみられる」

     

    北朝鮮は、米国が経済制裁を解かぬままにしていることが、時間稼ぎとして反発している。もはや、非核化交渉をしないとまで強気に振る舞っている。

     

    米国は、あくまでも交渉で解決する姿勢であるが、北朝鮮が「実力行使」してきただけに難しくなっている。米国も、同じ行動に出ればエスカレートするだけで、平和裏の解決が困難になる。

     

    『聯合ニュース』(12月8日付)は、「『北朝鮮の重大試験』発表にもNSC開催せず 慎重対応=韓国大統領府」と題する記事を掲載した。

     

    (2)「北朝鮮・国防科学院の報道官が8日に談話を出し、北西部・東倉里の西海衛星発射場で「大変重大な試験が行われた」と明らかにしたが、韓国青瓦台(大統領府)は論評を発表しないなど、慎重に対応する姿勢を見せた。西海発射場は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発と関連がある場所で、北朝鮮が非核化交渉の期限とした年末が近づく中、米国に圧力をかけて態度の変化を迫る狙いがあるとみられる」

     

    米国は、これまでの非核化優先で、経済制裁解除はその後、という姿勢を貫いている。北朝鮮は、「見返り型」を要求している。つまり、米朝が一歩ずつ前へ進む形だ。ただ、これまで米国は、北朝鮮に騙されてきただけに、「双方の一歩ずつ」に懐疑的である。

     

    (3)「青瓦台が国家安全保障会議(NSC)を開催するなど積極的に対応するとの見方もあったが、NSCは開かれなかった。青瓦台関係者は「関連情報を正確に把握することが優先」として、状況と注視する方針を示した。「韓国政府は米国と緊密に連携し、東倉里付近の地域の動向を分析しているとされる」

     

    米国が、この事態をどう収めるのか。にわかに注目されるに至った。大統領選挙を控えて難しい対応である。

     

    『ロイター』(12月8日付)は、「米韓首脳、北朝鮮との対話維持で協議 『厳しい』認識共有」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は約30分にわたり電話で会談し、北朝鮮との対話を維持する方策について協議した。韓国大統領府が7日発表した。

     

    (4)「北朝鮮の核問題を巡る協議は停滞しており、北朝鮮側は最近になって挑発的な発言を強めている。韓国大統領府によると、トランプ氏と文氏は、状況は「厳しい」ものになっており、「非核化交渉から速やかな成果を得るためには、対話の機運が維持されなければならない」との認識を共有したという。さらに、必要に応じて緊密に協議することで合意したという」

     

    米韓首脳が、電話で会談したものの結論は出なかった。様子を見るという手詰まり状態を見せている。

     

    (5)「北朝鮮は、非核化を巡る対米交渉の期限を年末に設定し、米国が一方的な非核化の要求を撤回しなければ金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が「新たな道」を選ぶ可能性があると表明している。最近では、複数の北朝鮮政府高官らが期限を無視しないよう警告し、米政府側の対話継続の提案は、来年の米大統領選を前にした引き伸ばし戦術だと発言している」

     

    米国の高官レベルは、「力には力で対応する」と強硬姿勢を見せている。トランプ大統領としては、北朝鮮と話合い路線に入っているだけに、これを壊すのも惜しいところ。難しい選択である。


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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    警戒すべきウォン安相場

    北朝鮮の地政学的リスク

    景気底這いの危険高まる

    今年・来年は1.9%成長

     

    韓国は、3回目の通貨危機(ウォン相場急落)に遭遇するのか。正確に予測はできないが、警戒すべき現象が表れている。外人投資家が、韓国株を売っているのだ。その売却資金を海外へ送金するのであろう。対ドルのウォン相場の「マジノ線」とされる、1ドル=1200ウォンへ接近している。

     

    警戒すべきウォン安相場

    為替相場は、一国経済の綜合評価である。ウォン相場急落は、韓国の将来に不安要素が高まっていることを暗示するもの。その意味で、ウォン相場が「マジノ線」である1200ウォンへ接近している現実は、警戒を要するものと見るべきだろう。12月6日の終値は、1ドル=1189.6ウォン。マジノ線の寸前に来ている。

     

    韓国経済は、文在寅大統領が就任した2017年5月以来、明るい話は一つもない。「積弊一掃」で、朴槿惠政権の関係者を根こそぎ告発して、21名が自ら死を選ぶ過酷な「仕打ち」を行なった。一種の「革命政権」である。その文政権が行なった政策はすべて失敗という、革命政権にありがちな「前のめり」姿勢によって、大きく傷口を開けている。

     

    経済政策で失敗したのは、大統領府秘書官が学生運動家上がりであったことだ。革命運動理論には詳しくても、専門知識がゼロの人たちによる「無免許運転」の暴走である。韓国与党にも、これを止める専門的知識のある人がいなかった。こういう「ダブル・ミス」が、最低賃金の大幅引上げという前代未聞のことをやったのである。2年間で約29%の賃上げに耐えられるような、個人業者や零細・中小企業が存在するはずもない。

     

    多くの自営業者や零細・中小企業が、従業員を解雇して「最賃引き上げ違反」という名の下で告発されるリスクを回避した。最賃の大幅引上げが、失業者を増やす。こういう、最低賃金法の趣旨から完全にはずれた事態を招いている。韓国では雇用に占める自営業の比率が、25%にも達している。この雇用構造が、最賃法によって破壊されたのだ。

     

    失業する必要性のなかった人たちが、文政権の登場によって失業者の群に追い込まれた。これほど、不条理なことがあるだろうか。政治が、意図的に失業者を増やしたのだ。経済政策のイロハを知らない素人集団が行なった、「生兵法」であることは明らかだ。次期政権が、保守党になれば必ず告発して、事態の経緯を解明すること。そうすれば、労組との癒着構造が明らかにされるだろう。必ず、この告発をやらなければ、進歩派の「積弊一掃」にならないのだ。

     

    文政権は、高い失業率を隠すために統計庁トップを更迭する非常識なことまでやっている。経済統計では、「季節調整値」が発表されて、「前期」との比較がされる。この常識を覆し、原数値を元に「前年同期比」に変えてしまった。この結果、毎月の失業率が前月との増減比較ができなくなっている。韓国メディも、この非常識な発表変更に異議も出さす、唯々諾々として記事にしているから驚く。メディアに専門知識のある記者がいないのだろう。

     

    こういう「手口」は、大統領府の秘書官が「革命理論」に長けていても、現実の政策運営では全くの「素人」であることを証明している。最大の被害者は、韓国国民である。それでも、文大統領の支持率は40%台を維持している。財閥企業の労働者とその家族、市民団体の関係者が、自己に不利益が及ばないことで文大統領を支持しているのだ。文政権は、「韓国滅亡」のリスクを抱える政権である。そのことが、理解できないのであろう。

     

    北朝鮮の地政学的リスク

    地政学的なリスクも、韓国経済を襲い始めている。北朝鮮が、今年12月末までに米国に対して経済制裁の解除を要求しているからだ。米国の基本的な立場は、北朝鮮の核放棄の後に経済制裁を解除する、というもの。北朝鮮はこれを不服として瀬戸際政策を始めている。

    (つづく)

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    中国は、米国の「香港人権法」施行に抗議する意味で、米艦の香港寄港を一時停止している。これに対した、米議員が、「台湾へ寄港すれば済む」と発言したことに抗議した。台湾は、中国領土であるという理由だ。

     

    理屈の上では、中国の一部になっている。現実には、台湾政府が統治する形で、バックには米国が強力な軍事的な支援を行ない、中国による「開放」を阻止しているのが実態だ。米国の法律で、「台湾関係法」を制定しており、今年で40周年を迎えた。米台の軍事同盟である。今年に入って、米国は「台湾旅行法」を制定して、米台の政府要人が自由な交流を可能とした。このように、米台関係は緊密化している。

     

    『レコードチャイナ』(12月8日付)は、「香港寄れぬ米軍艦は台湾に行け? 米国人はそれがどれほど危険なことかを知らない中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア『環球網』(12月6日付)は、米国の「香港人権・民主主義法」の成立に対抗して中国政府が米軍艦による香港寄港の拒否を発表したことについて、同法の発起人の1人である米議員が「米海軍は台湾で補給せよ」と語ったことを報じた。

    (1)「記事は、「米国が近ごろ、わが国の反対を顧みず、意図的に同法を成立させ、わが国政府は米軍艦の香港寄港の審査認可を一時取りやめることを発表した」とした上で、同法の発起人の1人である米国のリック・スコット上院議員が「米海軍への補給の機会をもっと台湾に与えよ」と発言したと伝えた。そして、米軍艦にとって香港は重要な補給ステーションであり、米軍艦の香港寄港は香港が中国に返還される以前からの伝統だったと紹介。1997年の中国返還後も米中間で合意が結ばれ、中国政府の許可を前提として米軍艦が引き続き香港に寄港することが認められていたと説明した」

     

    米艦は、これまでも米中対立が起こる度に「香港寄港停止」処分を受けてきた。この停止期間が長引けば、台湾寄港を恒常化させるかも知れない。米国には、乗員の休養や水などの補給が必要であるから、台湾寄港もあり得ないことではないだろう。

     

    米国は台湾を防衛するために、米中国交回復と同時期に「台湾基本法」を制定した。この条文の解釈しだいでは、台湾寄港も可能かも知れない。その場合、中国の反発がさらに強まるであろう。

     

    (2)「その上で、伝統的な香港への寄港と、台湾への米軍艦の寄港は全く別の話であるとし、「1つの中国の原則や米中間の3つの共同文書で定めた規定に反する、中国への内政干渉だ」と批判。同議員の発言は一個人のものにすぎなかったとしても「すでに中国の領土主権に対する完全なる挑発である」と断じた」

     

    米国が、国内法で「台湾基本法」を制定していることから言えば、中国との摩擦を配慮しなければ、米艦寄港が可能かも知れない。米中関係は、貿易交渉でこじれている。台湾は、中国領であって、中国領でないという「グレーゾーン」になっている。

     

    (3)「記事は、近年米国が台湾への軍艦寄港の試行を繰り返していると主張した上で「どうやら、米国は台湾海峡地域の軍事バランスにすでに歴史的な変化が起きていることを意識できていないようだ」と伝えた。そして、米国がさらに挑発をエスカレートさせるようなら中国軍機による台湾海峡中間線の突破を常態化させ、さらには総統府上空での低空飛行を含む台湾上空の飛行、海軍軍艦による台湾海岸線への停泊を行って中国の主権を軍事力でアピールすることも考えるべきだと論じている」

     

    下線を引いた部分は、間違えている。米国は、台湾へ新鋭戦闘機「F16」66機の売却を決定した。これで、中国の軍事攻撃を防ぐには十分な能力がある。逆に、中国本土が攻撃される懸念さえあると言われている。ここで、中国が強い姿勢を取れば、米国では「これ幸い」とそれを理由に、さらに軍事強化せよと言う声が出るであろう。米国の対中警戒論は、急速に高まっている。中国は、図に乗った行動をすれば墓穴を掘る。

     



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    中国の高速鉄道は、日本の新幹線技術を導入してようやく実現した。この経緯をお首にも出さず、独自技術による開発と吹聴している。一時は盛んだった世界中の高速鉄道建設の話題が消えている。新興国にとっては、ランニング・コスト(維持費)が嵩むことが分かり、尻込みしてしまったのが実情であろう。

     

    中国の場合は、高速鉄道をGDP押し上げ要因という、需要を無視して建設を強行している。いずれ、中国も人口減に見舞われることが不可避になっている以上、維持費を賄えず、「高速鉄道破産」に見舞われる。高速鉄道線路にぺんぺん草が生えるとき、中国経済が破綻する。

     

                                        米中の将来人口推計

                   2020年      2100年    増減率

    中国 14億3900万人  10億6500万人 -26%

    米国  3億3100万人   4億4500万人 +34%

    (資料:国連人口部 2019年6月)

     

    上記のように、2100年の中国人口は、2020年比で26%減の10億6500万人となる。人口密度の低い地域の高速鉄道の経営が保つはずがない。赤字で倒産=ぺんぺん草にある。

     

    『サーチナ』(12月6日付)は、「高速鉄道をせっせと建設する中国は『すでに遅れている国』なのかー中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    インフラ建設を積極的に行っている中国。その代表的な存在の1つが「高速鉄道」と言えるだろう。中国国内における高速鉄道の総延長は3万キロを優に超えており、高速鉄道網は今なお拡大を続けている。

    (1)「米国は中国よりも大きな国土を持っているが、中国のように高速鉄道で各都市を結ぼうとはしていない。一体これはなぜなのだろうか。中国メディアの『今日頭条』は12月4日、高速鉄道をせっせと建設している時点で、中国は「すでに遅れている」のだろうかと疑問を投げかける記事を掲載した」

     

    鉄道建設が、最初に行なわれたのは英国である。産業革命を牽引した。このように鉄道と産業革命は密接に結びついている。日本も高度経済成長時代まで、政治家の「我田引鉄」と揶揄されるように、全国へ支線を建設した。現在は、すでに赤字路線となり姿を消したが、中国でも必ず起こる事態である。中国の場合は、高速鉄道である。維持費が嵩んで赤字に耐えられるはずがない。その時、中国はどうするのか。各地の治安を守るべく迅速に軍隊を輸送するのが目的とは言え、その鉄道が破壊されれば対応不不可能になろう。大変お荷物になることも分らず、せっせと建設しているのだ。

    (2)「記事は、中国ネット上でこのほど「ある主張」が大きな注目を集めたと伝え、それは「地上に高速鉄道を建設している時点で中国は遅れている」というものだと紹介。この主張の内容としては、米国は高速鉄道ではなく、「航空産業」を発展させており、「空中における高速鉄道とも呼べる航空機は、空中を有効活用できるうえに線路を引く必要がないため、地上も有効活用できる」というものだったと伝えた」

     

    下線部分は、正鵠を得ている主張だ。時代遅れである。維持費が莫大であるからだ。今後の人口減社会を考えれば、なおさらである。中国の場合、治安対策の意味も含めているが、それにしても高コスト過ぎる。


    (3)「一方、中国のネット上ではこの主張に対して「都市の郊外に建設する空港に比べ、高速鉄道の駅の方が利便性は高い」など激しい反発の声が上がったと紹介。中国では中国高速鉄道の発展ぶりを誇りに思っている中国人は少なくないが、それゆえ「高速鉄道を発展させている時点で遅れている」という論調は、多くの中国人にとって受け入れられるものではなかったようだ」

     

    利便性が高い裏には、維持費がかかっているという現実がある。人口が増加している場合、維持費を上回る乗車賃収入が得られて黒字化する。だが、維持費は固定費で変らす、人口減による乗車賃収入が減れば赤字だ。その赤字は財政で負担する。結局は、国民の肩に掛かってくるのだ。利便性の裏にはこういう経営問題が絡むのだ。


    (4)「記事には、中国人ネットユーザーからコメントが寄せられており、こちらでも反発の声が寄せられているのかと思いきや、意外にも「中国でも各地にもっと空港ができれば、高速鉄道はあまり利用されなくなるのではないか」、「数世代後には中国高速鉄道は廃れていると思う」という声が寄せられていた

     

    下線のように、廃れる運命にあることは間違いない。その時期は、「数世代後」でなく、20年後には、その兆候がはっきりと出るはずだ。

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