勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年12月

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    韓国は、毎日新聞の世論調査で日本人は韓国よりも中国が好きという結果にショックを受けている。あれだけ「反日不買」騒ぎを起こしたのだから当然のこと。人間とは不思議なもので、嫌いな相手からでも「好きでない」と言われれば、やっぱり衝撃を受けるのだろう。

     

    文政権が発足してから2年半が過ぎた。この間にやったことは「反日政策」だけだ。経済はガタガタである。失業者は激増で、特に働き盛りの40代の就業率が低下するという危機的な状況である。労働組合が天下を握っており、やりたい放題である。労使協調という日本的な労使慣行など全く見られない惨状である。

     

    日本から見た韓国は、旧李朝末期の政治的な混乱時と瓜二つの状況になっている。現在の韓国は、米国と同盟を組みながら、中国へ誼(よしみ)を通じるという「二股外交」である。米国とは同床異夢なのだ。「中立外交」を標榜するが、地政学的に弱い立場にある国は、旗幟(きし)を鮮明にしなければ、いざというときに守っては貰えないのだ。こういう、世界史の教訓も忘れて、右往左往している。「武士道」の日本から見た韓国は、「ヌエ」的存在に見えて不快に映るのだろう。

     


    『朝鮮日報』(12月31日付)は、「日本人は今や韓国より中国の方が好き」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日本人が韓国と中国に対して感じる親近感が逆転した。毎日新聞が日本の有権者2400人を対象に韓国・米国・中国・ロシアの4カ国に対する親近感を調査した結果、5点満点で韓国は1.9点、中国は2.1点であることが明らかになったと30日、報道した。韓国は1年前の同調査に比べ0.2点下げた一方、中国は0.2点上げた。親近感が下がった国は韓国だけで、韓国に対する親近感1.9点は、2014年に調査を実施して以降、最低だった。「毎日新聞は、有権者が「親しみを感じない」(1点)から「親しみを感じる」(5点)までの間で自ら点数をつける方式で調査を実施した。今回の調査で、日本人の親近感が最も高い国は米国(3.4点)であり、次いで中国だった。韓国とロシアは共に1.9点だった」

     

    戦後の日本人にとってロシアと言えば、「裏切り国」という最悪イメージである。日ソ不可侵条約を破って、日本の敗戦直前に参戦し北方四島を違法占領している国である。韓国は、そのロシアと同じ好感度と言えば、日本人がいかに韓国を嫌っているかが分かる。

     

    韓国は、戦前にはなかった「人権論」を振りかざし、日本へ一刀両断で迫ってくる。過去を法的に責めるには、その当時に存在した法律でしか罰することはできないのだ。こういう理屈を無視して、過去を穿り返し騒ぎ立てる。日本人の感覚から言えば、韓国の反日は理屈を超えた、ただの「鬱憤晴らし」にしか思えないのだ。しかも、法的に決着した問題を蒸し返す。「感情8割・理性2割」という国民性がぴったりの動きである。

     

    (2)「日本とこれら4カ国の10年後の関係について「悪くなる」(1点)から「良くなる」(5点)までの間で点数を書き入れるようにした項目でも、韓国は最下位だった。米国・中国・ロシアは関係が良くなるという回答が昨年よりすべて上昇していた。韓国だけが昨年より0.3点下げた2.2点だった。この項目では米国3.3点、中国2.5点、ロシアは2.4点だった」

     

    10年後の韓国に対するイメージでは、昨年調査時の点数よりも0.3点下回って最下位になった。日韓関係は改善どころか、さらに悪化すると見ているのだ。文政権みたいな「反日政権」が続けば、当然の帰結であろう。日韓関係がさらに悪化するとなれば、韓国はどこへ行くのか。中国の「属国」のごとき振る舞いをしているのだろう。国家としての誇りはどこへ消えたのか。その卑屈になるフラストレーションを日本に向けて鬱憤晴らしをする。日本も随分、甘く見られているものだ。日本が、「ガツン」とやり返してやりたい気持ちは、こういうところから出てくるのだろう。

     

    (3)「日本の内閣府が3000人を対象に実施し、今月20日に発表した世論調査でも、韓国に親しみを感じているという回答は昨年の39.4%から今年は26.7%へと急減した。親しみを感じないという人は58%から71.5%へと増加した。「韓日関係が良いとは思わない」という回答も昨年65.7%から87.9%に上昇した」

     

    内閣府の世論調査でも、韓国へ親しみを感じる比率が、昨年よりも12.7ポイント急減した。隣国に対して「NO JAPAN」などという幟を立てる国があるだろうか。戦争をしているわけでない。政策の不一致に過ぎないのだ。余りにも感情的である。


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    世界一の老人大国・日本では、高齢者によるペダルの踏み間違いによる痛ましい事故が頻発している。これを防ぐには高齢者が免許証を自主返納するしかない。だが、高齢者にとっては、歩行が困難になって自動車はますます必要になるケースも増えるのだ。

     

    こういう矛楯を解決すべく、政府が21年以降の新車に自動ブレーキを義務化することになった。自動ブレーキが作動すれば、不幸な事故も防げるだろう。高齢社会にまつわる課題先進国・日本が、いち早く前向きの対応することは、世界への実験データを提供するという意味もある。

     

    もう一つ、自動運転車の実用化に向けて、間もなく「レベル3」(条件付き自動運転)に入っていく。この場合、自動ブレーキの役割は大きい。ここから得られるデータは、自動運転車にとって貴重なデータになる。

     


    国際欧州経済委員会(ECE)が2019年2月、日本や欧州連合(EU)など40カ国・地域で「衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)」の導入を義務付ける規則の原案に合意した。
    自動ブレーキ義務化は、日本とEUが主導している。米国や中国、インドは参加していない。米国などでは、自動車メーカーレベルで自動ブレーキの搭載が進んでいる。2020年以降は、自動ブレーキ非搭載の車は対象国で販売できなくなる可能性もあると言われている。

     

    日本では7割以上の新車に自動ブレーキが搭載され、各自動車メーカーでは自動ブレーキを取り入れた安全運転支援システムの導入が進められている。日本国内では、すでに自動ブレーキが普及している。日本政府は、2020年に新車の9割に衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)を搭載するという目標を掲げている。

     

    『サーチナ』(12月29日付)は、「どうして日本は世界に先がけ、自動車への自動ブレーキを義務化するの?」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア『東方網』(12月27日付)は、日本政府が2021年以降に発売される新車への自動ブレーキ搭載を義務付ける方針を示した背景について解説する記事を掲載した。記事は、日本では21年よりあらゆる車種の新車に対して自動ブレーキシステムの搭載が義務付けられることになると紹介。既存の自動車も25年までに自動ブレーキに対応させることが求められており「今後はどんな車にも自動ブレーキが配されることになる」と伝えた。

    (1)「中国では多くの自動車に自動ブレーキシステムは搭載されておらず、搭載されているのは一部の高級車に限られると説明。この点からも日本の自動ブレーキシステム導入の動きは中国を大きくリードしていることが伺えるとしている。そして、自動ブレーキシステムの主な機能は、前方の車両が減速したことに気づくのが遅れて発生する追突を回避すること、低速走行時に歩行者をはねないようにすることであり、スマート運転技術の基本的な部分であると解説した

     

    中国で自動ブレーキが搭載されているのは、一部の高級車だけという。日本はすでに7割の新車が搭載している。自動ブレーキは、自動運転車の基本的技術である。中国は、自動ブレーキ義務化の国際ルールに加盟していない。世界最大の自動車王国が、このルールを採用しないのは、技術的に難しいという事実があるのだろう。



    (2)「そのうえで記事は、日本が早い段階で自動ブレーキシステムを義務化する理由について「実は言いにくい悩みがあってのことなのだ」とし、日本社会で高齢化が急速に進み、ドライバーに占める高齢者の割合が増えて事故を起こすリスクが高まりつつあることが背景にあると説明。「高齢者は反応が遅いため、自動ブレーキによるアシストを取
    り付けなければ、交通の安全が保証できないのだ」と伝えた」

    ここでの指摘はその通りである。ただ、日本の人口が高齢化するだけでなく、車の追突防止は、世界的な課題でもある。

     

    (3)「運転をアシストする各種機能は最新技術を取り入れたものである一方、そのターゲットは高齢などの理由により運転能力が落ちている人がメインという特徴を持つ。高齢化が進み、実際に高齢者による各種交通事故が社会問題化している日本では、今後もさらに世界に先がけてアシスト技術の導入が進んでいくことだろう」

     

    ECEの発表によると、衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)が搭載されると低速走行時の衝突は38%減、EU内で年間1000人超の命を救えると試算されている。また、搭載の義務付けが開始になると、EUでは年間1500万台以上、日本では400万台以上の新車が対象になると発表された。


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    韓国が、執拗なまでに福島第1原発事故による放射性物質垂流し説を世界中に拡散させている。WTO(世界貿易機関)において、韓国が福島県を含めた近隣各県の海産物輸入規制で「勝訴」したことで、根拠十分と居直っている結果だ。WTO上級審が、日本提出の資料で「無害」を認めたものの、韓国側でなお懸念があれば輸入規制してもやむを得ない、という曖昧な内容であった。

     

    韓国は、これを盾にとって日本の海産物のみならず、野菜や米まで「放射性物質疑惑」をまき散らしている。日本人が、何らの健康被害も被っていないにもかかわらず、なぜ韓国がここまで騒ぎ立てるのか。それには、理由があるのだ。

     

    韓国市民団体は、過激な反原発運動を行い文政権に原発廃止を実行させた。この反原発運動では、福島第1原発事故を過大に宣伝して、放射能による犠牲者が出たと噓八白のパンフレットを韓国全土にばらまいた。韓国原子力学会は、このパンフレットが非科学的で事実に反していると指摘するほどだった。市民団体は、自らの噓言をカムフラージュすべく、学会へ乗り込み謝罪させた上に、学会発表を取り消させる「暴挙」を行なった。

     

    韓国市民団体は、福島第1原発事故を過大に扱い、韓国国内で自らに向けられる批判を封じる必要に迫られている。こうして、今後永久に「福島原発問題」を「慰安婦問題」同様に過激に取り上げてくるであろう。

     


    『中央日報』(12月29日付)は、「福島海洋排出、「韓国の100分の1」文大統領にデータ突き付けた安倍首相」と題する記事を掲載した。

     

    安倍晋三首相が24日に中国の成都で開かれた韓日首脳会談で文在寅(ムン・ジェイン)大統領に「福島第1原発から排出される水に含まれる放射性物質の量は韓国の原発の排水の100分の1以下だ」と話したと産経新聞が29日に報道した。韓日関係筋の話として報じたもので、「福島第1原発事故後、韓国が福島県の水産物をはじめとする日本産食品の輸入を禁止していることを念頭に、科学的な議論を行うよう求めた形だ。文氏は反論しなかったという」と伝えた。

    (1)「新聞は、「福島第1原発では現在、原子炉建屋に流れ込む地下水を減らすために設置したサブドレン(建屋近くの井戸)からで地下水をくみ上げ、浄化後、基準値を下回ることを確認した海洋に排出している」とした。産経は日本政府の関連小委員会資料を引用し、「2016年のサブドレンからのトリチウム排出量は年間約1300億ベクレル。一方で韓国の主要原発である月城(ウォルソン)原発が16年に液体放出したトリチウムの量が約17兆ベクレルで、約130倍だった」とした。倍首相が会談で念頭に置いたのは、このデータ比較だったとみられる」

     

    トリチウムは、排水処理をしても最後に残る物質である。微量であれば、人体になんらの悪影響も与えないものとされている。韓国の月城原発が16年に液体放出したトリチウムは、日本の約130倍だったという。韓国自身がこういう状態にもかかわらず、あたかも日本が危険行為を行なっているように「悪宣伝」するのはきわめて遺憾だ。

     

    (2)「産経は、「福島第1原発の周辺海域や外洋の状況をめぐっては、国際原子力機関(IAEA)が『放射性物質濃度は上昇しておらず、世界保健機関(WHO)の飲料水ガイドラインの範囲内にある』と評価している」と主張した。産経によると安倍首相は文大統領にこうしたIAEAの評価をともに説明し、「科学的に冷静な議論が行われるべきだ」と訴えた」

    韓国側によると、日本が極悪非道な「放射能隠し」をしていると宣伝している。次の『ハンギョレ新聞』記事(12月25日付)は、あたかも重大なことが行なわれるというニュアンスで報じている。

     

    「福島県から出荷される牛肉に対する放射性物質検査が、来年から「全数検査」から「サンプル調査」方式に緩和される見通しとなった。 福島県は牛肉を得るために飼育する「肉牛」について、2011年から行ってきた全数検査を来年以降はサンプル検査に変更する案を示したと、朝日新聞などの日本のマスコミが24日報道した。来年1月にこのような方針を正式に決定する予定だ。やはり全数検査をしてきた福島の近くの岩手、宮城、栃木の3県も、飼育する牛に対する放射性物質汚染度検査を緩和する動きを見せている」

     

    韓国にして見れば、ずっと「悪い状態」が続いて欲しいという感じが滲み出た記事である。


    (3)「新聞は、「今年はバーレーン、コンゴ民主共和国、ブルネイが日本産食品の輸入規制措置を撤廃、欧州連合(EU)も検査証明書の対象地域・品目を縮小した」と指摘した上で、「韓国は輸入規制を緩和に動くどころか、逆に一部で放射性物質の検査を強化した」とした。

     

    韓国は、「隣家の不幸が最大の愉しみ」という感じで、原発被害を過剰に取り上げている。だが、下線を引いた国々では、輸入規制を撤廃したり、縮小する措置を講じている。韓国は、東京五輪における韓国選手団の食材は、韓国から持ち込むという非常識なことを言っている。あくまでも、日本のイメージを傷つけようという魂胆であろう。それは逆に、韓国の評判を下げるだけだ。

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    改めて「デジタル通貨」と言われれば、はてなと考え込む向きもいるだろう。すでに、日常生活の中で「カード決済」という形で入り込んでいる。ここで取り上げる「デジタル通貨」とは、中央銀行が管理するシステムだ。つまり、取引決済はすべてコンピューター上に記録される。

     

    デジタル通貨には、決済の高速化やコスト低下、マネーロンダリング(資金洗浄)の根絶、より開放的で包摂的な金融制度の構築が可能になる。そういったメリットがあるとされている。一方で、法執行当局や政府に新たな能力を与えることになり、あらためてプライバシーを巡る戦線が開かれるのは確実とされる。国家は、個人や企業の取引関係をすべて把握してしまう、「監視社会」が出現するものと考えるべきだ。

     

    簡単に、「デジタル通貨」は時代の趨勢と格好をつけて賛成すると後々、政府によってすべて把握される「恐怖」と隣り合わせになろう。こういうリスクも考えておくべきなのだ。

     

    中国は、すでに監視カメラを総人口の数倍設置して、国民の動向を逐一監視している。これに加えて「デジタル通貨」を導入すれば、表も裏もすべて政府が把握する世界が生まれることになる。庶民は、この危険性をどこまで知っているだろうか。

     


    『ロイター』(12月23日付)は、「2020年導入か、中国デジタル人民元の前例なき威力」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国は国の通貨として世界初のデジタル通貨を発行する準備を進めている。当初は消費者の利用に焦点を絞った、慎重なスタートとなりそうだ。中国銀行システムでのより広範な使用は、混乱を伴う次のステップとなるだろう。国際決済銀行(BIS)が2019年に実施した調査によると、世界主要金融当局の70%がデジタル通貨発行について研究している。中国人民銀行(中央銀行)はフェイスブックが発行を計画するリブアやビットコインなどの民間の暗号資産が正規の通貨にとって代わることを懸念し、主要国のなかで一番乗りで独自のデジタル通貨を発行する公算だ」

     

    中国が、世界最初の「デジタル人民元」を発行するとの予測が強まっている。国民が、ほとんど現金を手にしないで決済する生活に慣れているからだ。中国だけでなく世界の主要金融機関の70%は、デジタル通貨に関心を持っているという。こういう状況で、中国がデジタル人民元を発行しても驚かないとされている。

     

    (2)「デジタル通貨の基礎である分散型台帳というテクノロジーによって、当局は事実上インターネット上の資金の動きを捕捉し監視できる、これまでにない能力を持つことになる。詐欺や脱税、資金洗浄(マネーロンダリング)を取り締まる強力な武器を当局が持つともいえる。ホールセールの金融市場でデジタル通貨が使用できるようになれば、銀行間決済、その他の取引の効率性や安全性が増す。中国金融市場のより遅れた分野で使えるようにすれば、公式データで2兆4000億元(3410億ドル)とされる不良債権の処理にも役立つ可能性がある

     

    デジタル通貨発行には、分散型台帳(ブロックチェーン)が基盤になる。習近平氏は最近、頻りと「ブロックチェーン」を研究せよと、発破をかけている。ブロックチェーンは、仮想通貨の基盤になって注目された。ブロックチェーンの利用は多方面に及んでいる。製造過程で利用されれば、その過程が一目瞭然になる利点も強調されている。食物の製造過程に利用されれば、どこで問題が発生したかを製造履歴が把握できる。

     

    前記の「過程が一目瞭然になる」ことは、詐欺、脱税、資金洗浄という違法取引を防止するメリットがある。だが、中国は「不正・汚職」が市場機構に代わってインセンティブを与えているという分析もあるほど。つまり、中国4000年の歴史は、「暗黒・腐敗」の歴史であったという事実だ。「水清ければ魚棲まず」である。こういう社会とデジタル通貨は、「不整合」である。

     

    中国政府の狙いは、税収不足をデジタル通貨で捕捉して脱税を防ぐ狙いが込められているはずだ。また、2兆4000億元(3410億ドル)とされる不良債権の処理にも役立つ可能性があるとしている。これは、隠し資金を摘発して不良債権弁済に充てさせるというのであろう。

     

    (3)「中国が抱える最大の問題の一つに、債券や譲渡性預金、株などを複数のローンに重複して担保として差し入れる違法だが広く行われている慣行がある。こうした慣行も、分散型台帳技術を利用すれば、従来のデータベースよりも効率的に検知できる。国内企業の多くはなお、銀行の割引手形を現金に相当するものとして決済に使っている。手形などもデジタル化すれば詐欺のリスクが低下する

     

    このパラグラフは、中国ビジネスの「暗黒部門」一覧である。企業が、一つの担保を複数の借り入れ先に差し入れているリスクである。これがすべてデジタル人民元取引に置換えられると、違法担保の実態が暴露されて、デフォルトが多発する危険性も高くなろう。まさに、「諸刃の剣」である。

     

    以上のように、デジタル人民元の採用になれば、想像もできない事態が予想される、政府は、税収不足を解決させる「我田引水」的な動機である。だが、現実に施行してみて思わざる欠陥にたじろぐであろう。もともと、市場機構を否定する習近平氏である。デジタル通貨採用で、さらなる混乱を巻き起こすリスクを避けられないと見る。ドル覇権に挑戦するという「思い上がった」気持ちがあるとすれば、余りにも現実を無視した話である


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    中国は、先の日中韓三カ国首脳会談を機に和牛の輸入を解禁した。2001年から日本でのBSE(牛海綿状脳症)発生を受け、日本産牛肉の輸入を禁止してきた。中国人はこの18年間、中国国内で和牛を食べることができなかったと言える。ただ、密輸で中国へ持ち込まれていた。上海の高級料理店では、和牛の「暗号」を言えば、注文に応じていたという。それだけ、「絶品」として評価されているのだ。

     

    和牛の旨さは、世界でも別格という高品質を誇っている。日本の農水省では、和牛遺伝子を「知的財産権」として保護することに決めた。関係者の間では遅すぎたという声も出ているほどだ。来年の通常国会への関連法案の提出を目指すという。

     

    韓国では、日本が中国から和牛輸入解禁の「プレゼント」を受けたことにジェラシイを見せている。中国は、日本を外交的に取り込むためのジェスチャーだというのだ。韓国が、THAAD(超高高度ミサイル網)問題で中国から経済制裁を受けていることもあり、「なぜ、日本だけ」という気持ちになるらしい。和牛が、「知的財産権」の扱いになることから、中国が和牛を輸入解禁して酪農を活性化させる意図でないか、という見方が強い。

     

    『サーチナ』(12月29日付)は、「まさに群を抜いている和牛、中国はなぜ輸入を解禁したのかー中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府は12月23日、日本産牛肉の輸入を解禁すると発表した。中国では2001年から日本でのBSE(牛海綿状脳症)発生を受けて日本産牛肉の輸入を禁止してきたため、中国人はこの18年間、中国国内で和牛を食べることができなかったことになる。中国メディア『今日頭条』(12月26日付)は、解禁された和牛について紹介する記事を掲載した。

     


    (1)「このたび中国が解禁したのは、月齢30カ月未満の牛肉が対象になっている。記事は、和牛がいかに中国人に人気かについて「日本で最も影響力のある農産品」の1つだと紹介。ジューシーできめが細かく、香りも良く、「ほかの畜産品と比べて群を抜いている」と称賛した。しかし、意外なことに和牛の歴史は決して長くはなく、ここまで短期間に質の高い和牛を配合できたのは、ひとえに日本人の努力のたまものと言えるだろう。記事は、和牛は格付けに厳しく、和牛の飼育には、牛にマッサージを施したりビール酵母を混ぜるなど飼料にもこだわり、冬には防寒着を着せたり温泉で洗ったりと工夫を凝らしており、だからこそこれだけの品質の和牛ができたのだと称賛している

     

    和牛の飼育方法は、工業品と同様に工夫を加えている。米国や豪州では、自然放牧で牛の飼育に手間暇をかけている訳でない。当然、牛肉の質は大味になるだろう。日本の「神戸牛」や「松阪牛」などのブランド牛肉は、工業品同様に丁寧に時間をかけて飼育される。むろん、その裏では掛け合わせての品種改良が行なわれてきた。その遺伝子は、「知的財産権」と言えるものだ。こうして、優れた遺伝子に丁寧な飼育方法が加われば、絶品の味に仕上がるのだろう。

     

    (2)「それにしても、なぜ中国は和牛の輸入を解禁したのだろうか。記事は、国内の供給が追い付かないためだと指摘。日本だけでなく中国は米国やポーランド、デンマーク、イギリス、オーストラリアなどの他国に対しても順次解禁していると伝えた。中国では豚コレラの発生などにより豚肉が急高騰した背景もある。そのため、豚肉を多く食してきた中国では、牛肉や鶏肉を食べる割合が増えてきたことが和牛解禁と関係しているのだろう」

     

    中国では、豚肉が主流である。中華料理の華だ。そこへ、和牛が本格的に登場すれば、中華料理のメニューが変る可能性もあろう。その意味で、「味の革命」をもたらす。中国は、牛肉で米国やポーランド、デンマーク、イギリス、オーストラリアなどの他国に対しても順次解禁予定という。最初に、絶品の和牛が流通するようになれば、他国の牛肉と品質面で格差がついて、大きなアドバンテージになろう。

     


    (3)「中国国内の牛肉と比べると格段に質の高い和牛が、中国市場に与える「衝撃」は大きいかもしれないが、同時に中国の牛肉生産者が日本の和牛生産者から学べることは多いに違いない」

     

    中国で、和牛が高値で売れることが分かれば、中国の酪農家がこぞって和牛飼育に乗り出すであろう。「儲かる」と分かれば、一斉に走り出すのが中国である。和牛にとって、一大転機が訪れたことは間違いない。

     

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