勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年12月

    あじさいのたまご
       

    韓国は、政治的に未熟な国である。検察が、大統領府を家宅捜査したことに、大統領府と与党が怒り狂っているというのだ。これを、側面から応援するような『ハンギョレ新聞』にも失望を禁じ得ない。『ハンギョレ新聞』は、文政権支持のメディアであることは有名だが、普段は論理的な記事を書くのに、大統領府が家宅捜査という「一大事」では俄然、本領を発揮して政権擁護に回る。恥ずかしい報道である。

     

    事件の顛末は、次のようなものだ。

    『聯合ニュース』(12月4日付)が、側近の監察もみ消し疑惑」と題する記事を掲載した。
     

    (1)「韓国のソウル東部地検は4日、柳在洙(ユ・ジェス)元釜山市経済副市長への監察打ち切り疑惑と関連し、青瓦台(大統領府)秘書室を家宅捜索した。柳氏は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の盟友である故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が在任当時、盧氏の随行秘書などを務めた人物。先月末、収賄容疑などで逮捕された」

     

    柳在洙(ユ・ジェス)元釜山市経済副市長の賄賂事件が、大統領府の関与で捜査が打ち切られた経緯を捜査しているもの。盧武鉉元大統領と深いつながりがあるとされている人物の疑惑である。それだけに、大統領府が関与したのでないかた疑がわれている。

     

    (2)「2017年に青瓦台・民情首席室の特別監察班が柳氏の不正情報を入手して監察を行ったが、上層部の指示で監察が打ち切りとなったとの疑惑が持ち上がっている。当時はチョ国(チョ・グク)前法務部長官が民情首席秘書官を務めていた。 同地検は「軍事上の秘密の保持が求められる大統領秘書室の家宅捜索はその責任者の承諾が必要だ」として、「対象機関の特殊性から、家宅捜索の方法は対象機関の協力を受け、任意提出を受ける形で必要な資料を確保する」と説明した」

     

    下線部分は、この疑惑事件が政権上層部と繋がっているのでないかと疑っている。事件が途中でもみ消されたのでないかと今回、検察が本格的な捜査に乗り出したもの。

     

    (3)同地検は17年当時、柳氏への監察がどの程度まで進められていたかなどを確認できる資料や報告書などを確保しようとしたようだ。柳氏への監察が原因不明の理由で打ち切りになったとみて、監察をもみ消した人物の特定に力を入れている。また、チョ氏や与党「共に民主党」のシンクタンクである民主研究院の白元宇(ペク・ウォンウ)副院長(当時は民情秘書官)らが会議を行い、柳氏の監察の打ち切りを決めたとの疑惑についても調べている同地検は昨年12月、特別監察班が民間人の監視・情報収集などを行っていたとの疑惑に関連し、民情首席秘書官室の反腐敗秘書官室と特別監査班の事務所などを家宅捜索した」

     

    これだけ明白に、疑惑の証拠が取り沙汰されている。疑惑があれば、捜査するのが常道であろう。この捜査という「「常道」が、大統領府・与党・ハンギョレ新聞には不愉快千万としている。文政権の権威も地に落ちたものだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(12月4日付)は、「『検察は何も変わっていない』信頼も限界に沸き立つ与党・大統領府」と題する記事を掲載した。

     

    (4)「大統領府を正面から攻撃するような様子を見せている検察の捜査に対し、大統領府と与党が沸き立っている。大統領府の怒りは、ユ・ジェス前釜山市経済副市長の監察もみ消し事件よりも、「民情秘書官室地方選挙介入疑惑事件」に向かっている。特に、選挙介入を既成事実とするような話が検察側から流れており、検察の取り調べを受けた元特別監察班員が自ら命を絶ったことで、大統領府と与党が攻勢に転じている。共に民主党は、早ければ今週末に任命される見通しの法務部長官が検察を特別監察すべきだと要求した

     

    検察が、文政権に関わることを捜査するなと言っているようなものだ。検察は、捜査のプロである。素人が、それを非難することが正しいのか。現在、「チョ・グク氏」の法相辞任で空席になっている。さも、法相不在のために大統領府の家宅捜査が行なわれたような言い分で、司法の尊厳を著しく損ねる発言であろう。

     

    (5)「大統領府のこのような対応は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が重ねて「公正な捜査慣行、人権保護の捜査」を呼びかけたにもかかわらず、改革を約束したはずの検察の態度が変わっていないという、より根本的な判断も作用したものとみられる。参謀たちの間では「検察は何も変わっていない」という激しい反応が出ている。大統領府内部では、ユン・ソクヨル検察総長に対し文大統領はこれ以上信頼を保つことが難しいだろうとみる人々が多い」

     

    下線部を読むと『ハンギョレ新聞』は、メディアの保つべき中立の視点を捨てて、政権側と一体になっている。これでは、韓国メディアが健全な発展ができる訳もない。完全に、政権の「御用新聞」に成り下がっている。

     

     

    a0001_000088_m
       

    下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    中国の米国軽視が対立原点

    香港人権法で出足を封じる

    貿易と金融で米国が有利に

    戦略間違えた中国は苦境に

     

    1989年12月3日は、米ソ首脳がマルタ会談で冷戦終結を宣言した日である。あれから30年経つ。米ソの対立終結で、世界は平和になると期待した。米国は、中国に対して共同でソ連を追い込んだ「仲間」として遇してきた。2001年、中国がWTO(世界貿易機関)加盟に当っても、米国は積極的に後押しした。中国経済が発展すれば、専制主義が民主化されていくと期待したのだ。

     

    米国の中国へかける民主化期待は、習近平氏の国家主席就任で泡のごとく消えた。米国は一時、米国の技術を中国へ自由に使わせるという恩典まで与えていた。これも、中国の民主化への願望であった。だが、中国は一貫して「革命理論」を固執していたのだ。最終的には世界革命を目指し将来、世界覇権を握る野望を鮮明にしている。その推進役が、習近平氏であるのだ。

     

    中国の米国軽視が対立原点

    中国が、「米国弱し」と見くびった契機は、2008年のリーマンショックである。米国経済は、金融機関の破綻や自動車メーカーGMの国有化など、瀕死の重傷を負った。財政破綻を免れるべく、多額の国債を発行。中国へ頭を下げ、国債を「買って貰った」のである。この米国の卑屈なまでの態度が、中国を増長させることになった。

     

    中国は、「米国弱し」と判断し南シナ海の島嶼を占領した。ここを埋め立て、軍事基地を構築し始めたのである。オバマ米大統領(当時)は、習近平氏に抗議して「軍事基地化しない」との約束を取り付けた。そのような「口約束」を守る中国ではない。オバマ氏の温厚な外交姿勢を逆手に取って、中国は南シナ海で次々と島嶼を埋め立て、一大軍事基地を擁するにいたったのだ。

     

    米国は、この予想外の事態に慌てた。トランプ大統領になって、対中強硬策に転じた背景は、以上のような米中間の経緯がある。トランプ氏を一概に、破天荒な大統領と言えない部分がある。中国によって寝首を掻かれたことへの反撃という面があるのだ。

     

    米国外交は、伝統的に「お人好し」な側面を持っている。日露戦争(1904~5年)まで、米国は日本の近代化を支援していた。それが、次第に日本と距離を置き、やがて警戒論に変ったのは、日本の軍事的な野望に気付いたからだ。1910~11年、「オレンジ作戦」と銘打って太平洋での日米開戦を想定した戦略研究に着手したほど警戒姿勢に転じた。

     

    米国は、このように相手国に対して「裏切られた」と認識したとき、一転して厳しく対応する国である。中国に対しても同様であろう。日中戦争当時は、中国の国民党軍支援で全力を挙げた。1949年の共産党革命後は断交したが、1979年に復交。その後は、中国経済の成長発展に向け支援してきた。その中国が、革命理論に従って米国の覇権に挑戦すると公言するにいたったのである。

     

    米国にして見れば、これまでの中国支援は何であったのか。そういう落胆と怒りに燃えているはずだ。米国の怒りは、かつての日本から煮え湯を飲まされた事情と良く似ている。

     

    日本が、日露戦争で辛うじて勝利を掴んだ裏に、米国の外交的支援があった。そういう恩義を忘れて、その後の日本が米国へ敵対行動を始めた。こうした日本による裏切りへの怒りは、現在の中国に向けられているはずだ。米国はカーボーイ精神である。「裏切り者は許さない」というムードが強い。この事実を見落とすと大変なことになろう。余談だが、米国が日本へ原爆2発を投下した裏には、カーボーイ精神が影響していたと言える。

     

    先に米議会が、上下両院で1名の反対者を除き全員が「香港人権法」(「香港人権・民主主義法」を可決した背景を見れば、明らかである。米国が、米中貿易戦争で中国を経済的に追い込むやり方と、いささかの違いもないと見られる。

     

    香港人権法で出足を封じる

    香港人権法が施行されたことは、中国にとって取り返しの付かない事態を招くリスクを抱えた。この認識はまだ一般化していないが、いずれは分るはずである。

     

    日本は米国と開戦する前に、米国から経済封鎖を受けた。いわゆる、日本が命名した「A

    BCDライン」である。Aは米国、Bは英国、Cは中国、Dはオランダである。島国で資源のない日本が、経済封鎖を受けて、石油や鉄くずの輸入が杜絶した。日本の戦争遂行能力の削減が目的であった。(つづく)

    a0960_008407_m
       

    韓国国民が、どれほど日本にコンプレックスを持っているか、よく分かるニュースが報じられた。今年の対日貿易赤字が、16年ぶりの最小になることで大喜びしている。「反日不買」の成果が出て「一矢報いた」というのだ。

     

    この喜びは、糠喜びである。半導体不況で素材や設備の輸入減少が理由なのだ。韓国の不況原因を喜んでいるようなもので、何とも妙な感じがする。

     

    『レコードチャイナ』(11月3日付)は、「韓国の対日赤字がここ17年で最低に『輸出規制はむしろ日本に影響』、韓国ネット『韓国の勝利だ』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国『ニュース1』(12月2日付)によると、韓国の11月の対日貿易赤字がこの17年間で最低水準となった。記事によると、韓国の11月の対日輸出は前年同月比10.9%減少した。一方、対日輸入は18.5%減少した。これにより対日貿易赤字は11億1000万ドルとなり、2002年5月(10億8000万ドル)以来の最低水準となった

    日韓貿易構造では、韓国企業が日本の技術を使用している関係で、中間財や設備機械は日本依存から脱出できないという宿命を負っている。韓国の技術貿易収支では、OECDでも最低ランクの赤字国である。こういう事情を考えれば、11月の対日貿易赤字が2002年5月以来と言っても一時的だ。韓国は、日本の技術を利用していることを解決しなければ、日韓貿易収支の黒字化は困難であろう。

     

    (2)「韓国の産業通商資源部は、対日輸出減少の原因として「石油製品、一般機械、自動車部品の不振」を挙げた。対日輸入減少については「主に半導体・フラットパネルディスプレー製造用装備、関連中間財で見られた」とし、これは「日本の輸出規制強化前から続いていた半導体・ディスプレー業界への投資調整による結果」と説明。ここに「日本の輸出規制に韓国企業が対応策を講じ、輸入先を変更する動きが強まったことも影響を及ぼした」と分析したという」

     

    日本の輸出手続き規制によって、一時的に半導体3素材の輸出が減ったことは事実である。ただ、日本の半導体3素材の優秀性に取って代われる国がないという現実がある。韓国が現在、「ホワイト国除外」解除を求めて必死になっていることを考えれば、対日貿易赤字減少は、韓国の輸出生命線を脅かす困った事態なのだ。

     

    (3)「また、「日本の輸出規制による影響は現在のところ制限的」とし、「輸出規制は韓国よりむしろ日本に大きな影響を与えている」と説明した。10月基準で韓国の対日輸出の減少率は13.9%だったが、日本の対韓輸出の減少率は23.1%だったという」

     

    下線を引いた部分は矛楯している。それぞれの輸出減少率を上げて、韓国が少ないか「勝ち」とは言えない。韓国の輸出全体が、昨年12月から連続12ヶ月減少していることの反映が、日本の対韓輸出減少に現れているものだ。

     

    『中央日報』(11月18日付)は、「対日貿易赤字、16年ぶり最小の見込み」と題する記事を掲載した。以下は、その要約である。

     

    「産業通商資源部と韓国貿易協会によると、今年1-10月の対日貿易赤字は163億6600万ドルルと、前年同期(206億1400万ドル)比20.6%も減少した。1-10月基準では2003年(155億6600万ドル)以来最も少ない赤字幅だ。こうした流れが続く場合、2003年(190億3700万ドル)以来16年ぶりに年間の対日貿易赤字が200億ドルを下回る。過去最高だった2010年(361億2000万ドル)の半分水準ということだ」

    「(韓国の)10大貿易相手国のうち韓国が今年貿易赤字を出している国は日本と台湾だけだ。台湾に対しては今年1-9月の貿易赤字が2000万ドルにもならず、日本(1-10月の対日貿易赤字)は163億6600万ドルルとは比較にならない」

     

    以上の記述の中に、韓国がいかに深く日本企業と結びついているかを証明している。日韓の経済関係は、「いくら喧嘩しても」切るに切れない関係を構築している。

    (4)「これに、韓国のネットユーザーからは「韓国の勝利だ」「強い信念を持って対応する文大統領を支持する」「素晴らしい成績。韓国国民であることが誇らしい」「知らない間に日本は弱くなり、韓国は強くなっていた。地道に素材の国産化を進めよう」などと喜ぶ声が上がっている。一方で、「それでもまだ赤字か。さらなる改善が必要」「貿易赤字が消える日=属国からの脱出だ」と指摘する声や、「韓国政府の統計はどうも信じられない」「これがいつまでも続くわけない。隣国とは仲良くするべきだよ」との声も見られた。

     

    韓国のネットユーザーは、韓国の勝利だと喜んでいるという。これで、日本への劣等感が癒やされれば、それでよしであろう。

    a0960_008707_m
       

    聞き捨てならぬビッグ・ニュースが飛び込んできた。中国の習近平国家主席の側近が、知中派の米国大学教授に、中国共産党が政策的に行き詰まっていることを示唆したという。

     

    この種の情報は根拠もなく大袈裟に扱われるものだが、冷静に中国経済を分析すれば、「行き詰まり」は明らかだ。日本がバブル経済崩壊後、政治も経済も混迷した。この経験を思い出せば、すでに中国も同様な事態に陥っていることは、想像に難くないであろう。

     

    中国の場合、市場機構を無視して権力で経済を動かす致命的な欠陥を抱えている。市場機構であれば、経済の矛楯は価格変動を通して自律的に調整される。権力による経済計画の矛楯は、破綻寸前まで表面化しないのだ。表面化したときは、すでに時遅しで解決不能である。長年にわたり健康診断を受けないで、突然の病魔に驚くのと同じである。

     

    中国は、国有企業という最悪形態に経済を集約化している。国有企業は財政と一体化している。赤字の把握が遅れて手遅れになる。習近平氏は、この国有企業という「経済の墓場」へ、強引に中国経済を追い込んだ。まさに、「万死に値する」誤りである。

     

    経済の破綻が、政治を狂わせる。民衆弾圧で監視カメラを多用する。政治形態としては最悪である。この異常状態が恒常的なものになったら、中国は窒息する。中国国民は、それでも羊のように沈黙しているはずがない。金の切れ目は縁の切れ目だ。中国経済破綻は、中国共産党終焉の鐘になる。

     

    『大紀元』(12月2日付)は、「『中共政権はもう道がないと自覚している』知中家の米教授」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米ペンシルベニア州立大学のアーサー・ウォルドロン(Arthur Waldron)教授(アジア・中国史専門)はこのほど、『大紀元』英字版の番組で、中国習近平主席の側近の話として、「中国共産党の内部は、もう進む道がないと認識している」と述べた。同教授は大紀元英字版のインタビュー番組、「アメリカの思想リーダーたち」(America Thought Leaders)に出演した。教授は、米議会の米中経済安全保障審査委員会の創設者で、シンクタンク・戦略国際問題研究所の常任理事でもある」

     

    アーサー・ウォルドロン教授は、米国の著名人である。その経歴から見ても、こけおどしの話をするはずがない。信憑性があるものと受け取るべきだろう。

     

    (2)「ウォルドロン教授は、習近平主席の側近とされる、ある共産党高官との会話で、この高官が「私たち(中共政権)はどこにも行く道がない。誰もがこの体制は行き詰まっていると知っている。どこにでも地雷があり、一歩踏み間違えば滅びてしまう」と発言したという。ウォルドロン教授はまた、この発言を踏まえて、中国共産党はすでにソビエト連邦の末期と同じように、崩壊の時期に入ったと語った」

     

    下線部分の発言は、中国の価値観が普遍的でないゆえに、他国が中国に同調する基盤のないことを示唆している。中国から利益を引き出そうと狙っている国を除けば、中国の価値観に同調することは自殺行為である。

     

    (3)「教授は、当時の米ソ対峙と違って、米企業や金融機関が現在、中国に投資し、経済関係を築いているとした。「しかし、中国共産党が崩壊することは中国の崩壊ではない。中国はまだそこにある。政治体制だけが大きく変わるだろう」。中国共産党は現状を正しく把握できてないため、機能不全に陥っている。手当たり次第で問題に対応しており、現状から抜け出すための施策をまったく打ち出していない」

     

    中国共産党は崩壊しても、中国経済は残っているという意味だ。ただ、巨大債務が、中国の潜在成長力を奪っている。楽観は禁物である。

     

    (4)「さらに教授は、米ポンペオ国務長官と彼のチームに、共産党体制の崩壊とその後の政治体制の転換に備えるよう助言したと述べた。教授は、米国は過去50年にわたり、リチャード・ニクソン氏やヘンリー・キッシンジャー氏ら米国のかつての指導者たちが、対中政策に大きな過ちを犯してきたと述べた。「彼らは中国共産党に接近し、中国をソ連と対峙させる戦略だった。」この戦略は、「ファンタジー」であり失敗であるとした。「彼らは中国の複雑な政治と社会構造を理解していなかった」。現在続いている香港デモについて、教授は香港の特別な地位が失われるとの考えを示した」

     

    米共和党は、ニクソンが米中復交の立て役者のなったことから、強い思い入れがある。キッシンジャー氏は高齢にもかかわらず、なお米中共存を夢見ている。現在の中国は、習近平氏によって異質のものに変形している。その事実を認めようとしない結果であろう。

     

    (5)「教授は、自らはもう中国の地を踏むことはないだろうと考えていたが、現在の情勢の変化でこの考え方を改めたという。体制変化後の「新しい中国」を確認するため、再び訪中してみたいと語った」

     

    世界は、中国経済が空前絶後のバブルに陥っていることを理解しようとしないのだ。はっきり言えばその「無知」が、中国と世界の経済を楽観視している理由であろう。歴史的な低金利で新興国は、中国を筆頭に巨額の債務を背負っている。返済は不可能なほどの規模である。

     

    中国は本来、米国と経済的な争いを起こすべき時期でなかった。だが、中国の民族主義によって、無謀な争いに突入して経済力を疲弊させている。米国が要求する市場経済化の推進は、中国再生に不可欠である。だが、民族主義によって改革への道を自ら閉ざしている。香港問題は、絶対に起こしてはならなかった。米国の「香港人権法」で、香港の運命すら握られているという最悪事態だ。

     


    a0960_008532_m
       

    最近、悪いことはすべて文在寅政権のせい、という流れが強くなってきた。文政権在任の2年間で、全国の地価上昇分が2000兆ウォン(約182兆円)にも達したからだ。不動産対策が生温いからだと批判されている。この文政権責任論は飛躍し過ぎている面が強い。

     

    原因は、韓国独特の家賃制度「チョンセ」にある。「チョンセ」とは、次のような制度である。

     

    「チョンセ」では、一定の高額の保証金を支払えば、月々の家賃支払いがない。しかも退去する解約時に、保証金が全額返ってくるというもの。これだけ見ると、入居する側にとっては、すごく有利と見られる。それでは、家主はどうしているのか。チョンセ保証金の運用による利子が家主に入ってくるので、これが家賃収入になるのだ。預金金利が下がってくると、家主は損失を招くので、保証金自体を引上げざるをえなくなる。ここから、問題が起こってきた。

     

    こうして、低金利=保証金引上げというパターンで、住宅価格そのものを押し上げるという不可思議な現象が生まれている。韓国人が、この矛楯に気付かないのは、保証金が全額返ってくる上に、月々の家賃が要らないという表面的な点にある。総合的に考えれば、高額保証金を払う点で損(高い機会費用)していることを無視しているのだ。毎月、家賃を支払う「ウォルセ」の方が、高い保証金を必要とせず合理的な選択である。「チョンセ」で払う保証金で持家を買うという有効活用すれば、はるかに大きいメリットを受けられるであろう。

     

    ここら辺りに、韓国人の思考様式が窺える。物事を深く考えずに、表面的な現象で損得を決めていることだ。日韓問題もその最適例であろう。感情的に「不買運動」をやっているが、それが不安心理を高め、韓国のGDPを押し下げるというブーメランに見舞われるのだ。韓国人に見るこの不可思議な行動が、不動産価格を押し上げている

     

    『中央日報』(12月3日付)は、「文政権2年間に地価2000兆ウォン上昇、歴代政権で最高と題する記事を掲載した。

     

    文在寅(ムン・ジェイン)政権の発足後2年間で、全国の地価が2000兆ウォン(約184兆円)ほど上がったことが調査で分かった。歴代政府のうち最高水準だ。経済正義実践市民連合(経実連)と鄭東泳(チョン・ドンヨン)民主平和党代表は3日、国会で記者会見を開き、このように明らかにした。経実連は1979年から2018年まで政府が発表した土地公示地価に相場反映率を逆適用し、地価変動の流れを算出した。

    (1)「各政権の年平均地価上昇率を計算すると、

    文在寅政権 1027兆ウォンで最も高かった。

    盧武鉉政権  625兆ウォン

    朴槿恵政権  277兆ウォン

    金大中政権  231兆ウォン

    李明博政権 -39兆ウォン」


    上記のデータを見れば、文政権2年間で、他の政権5年間を大幅に上回る地価高騰である。この原因は、「チョンセ」という一定額の保証金を払う家賃制度の矛楯にある。つまり、低金利=保証金引上げというパターンが、地価を押し上げている。この制度を禁止すれば、大家は、不動産を処分するであろう。まさに、家賃という制度改革が必要である。

     

    (2)「経実連は、「文在寅政権での2年間、物価上昇率による上昇分を除いて1988兆ウォンの不労所得が発生した」と分析した。これは1所帯あたり9200万ウォンにのぼる規模。国民の70%が土地を保有していない点を考慮すると、土地保有者1500万人が2年間に1人あたり1億3000万ウォンの不労所得を握ったという計算だ土地保有者のうち上位1%が全体の土地の38%を保有しているという国税庁の統計を適用すると、土地保有者上位1%は2年間に1人あたり49億ウォンの所得があったということになる。これは上位1%に該当する勤労所得者の勤労所得(年間2億6000万ウォン、2017年度)と比較して9倍にのぼる金額だ。全国民の平均勤労所得(3500万ウォン、2017年度)と比べると70倍にもなる」

     

    国民の70%が、土地を保有していないという事実に驚かされる。一生、貸家で住んでいるとすれば、家賃高騰が生活を圧迫するはずだ。何とも、おぞましいことをやっているものだと呆れる。高い保証金を払うよりも、持家の方がはるかに低コストで済むはず。こういう、損得計算が、韓国人にできないとすれば言葉を失う。 

     

    土地保有者のうち、上位1%が全体の土地の38%を保有しているという。これも驚きである。「チョンセ」がもたらした、国民収奪であろう。文政権は、こういう矛楯点に切り込むことだ。それが、政治というものであろう。反日の前に、内政でやるべきことは山ほどある。

     

     

    このページのトップヘ