勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2019年12月

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    韓国主要メディアが、公然と文大統領を酷評している。これまでの任期2年半の間に、一つも成果が上がっていない。このままであれば、歴史に残る「無能大統領」となろうというのだ。「文大統領は無能である」とは、本欄の一貫した見方である。自国のメディアが、文大統領に対してここまで低い評価が出てきて、「やっぱり」と同感せざるを得ない。

     

    日本の国会やメディでは、首相の「花見の会」問題で口角泡を飛ばしている。決して褒められる話でないが、韓国の文大統領に比べたら、天地の差であろう。文大統領の言動や実績を見れば、日本の国会は、他のテーマで議論を深めて貰いたいと思う。

     

    『中央日報』(12月2日付)は、「『在寅兄さん』『ホチョル兄さん』では失敗の政権になる」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の李夏慶(イ・ハギョン)主筆 である。

     

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領に向けられる米国の視線が尋常でない。先日、ホワイトハウスの参謀が記者らを呼んで「韓国で大統領弾劾を要求するデモがあったが知っているか」と尋ねた。ハリス駐韓米国大使は「文大統領が従北左派に囲まれているというが」と発言した。8月22日、韓国政府が韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を延長しないと決定した後に生じたことだ。先月かろうじて終了が猶予されたが、終了決定直後に「米国も理解を示した」という青瓦台(チョンワデ、大統領府)の発表は嘘であることが明らかになった。

    (1)「GSOMIA事態の波紋は、防衛費分担金5倍引き上げと在韓米軍撤収カードに触れているトランプ大統領には好材料となる可能性がある。米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長が述べたように、トランプ大統領は過去30年間に「在韓米軍不必要論」を114回も叫んだ。昨年のシンガポール米朝首脳会談直後には「いつか在韓米軍を撤収したい」と発言した。そのトランプ大統領にGSOMIAカードを突きつけたのは非常に危険な決定だ」

     

    「人を見て法を説け」という言葉がある。相手の性格や時と場所をのみこんだ上で、 その人に最もふさわしい方法で説得し、対応せねばならぬことをいう。釈迦の言葉とされるが、文大統領は、GSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)をオモチャにしすぎた。GSOMIAが、日米韓三ヶ国の安全保障体制のシンボルである。米国は、こう言って韓国を説得したが、聞く耳持たぬ感じで通してきた。これが、米国の心情を痛く刺激したと指摘している。文大統領は、反日「狭窄症」にかかっており、米国の反応を見る余裕がなかった。

     

    (2)「韓国は中朝を意識してGSOMIAを破棄しようとしたと疑われている。文在寅政権は中国とはMD(ミサイル防衛システム)参加THAAD(高高度防衛ミサイル)追加配備韓日米軍事同盟--をしないという「3不」に合意した。GSOMIA終了は「韓国が韓日米安保協力隊列から離脱しようとしている」と疑われるのに十分な事件だった」

     

    文政権は、「親中朝・反日米」と言うのが通り相場である。中国には平身低頭して「3不」という韓国の安全保障体制を揺るがす「約束」をした。米韓同盟がありながら、米国の「仮想敵」にも秋波を送る「二重スパイ」のような存在だ。

     

    (3)「トランプ大統領は米朝関係が改善すれば在日米軍を強化して中国を牽制する方向に北東アジア安保戦略を変更する可能性がある。北朝鮮の非核化を引き出すために、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が強く望む在韓米軍撤収というプレゼントをする可能性もある。文大統領は「在韓米軍は非核化とは関連なく韓米両国が決定する問題」と述べた。在韓米軍を守るという意味だ。なら、慎重に状況管理をすべきだが、GSOMIA終了カードを持ち出したのは軽率だった。核で武装した北朝鮮に対し、在韓米軍なく自国の安全を自ら守ることができると信じているのだろうか。我々は本当にそのような実力を備えているのか」。

     

    米国は、対韓国交渉で日本という切り札がある。日本は、インド太平洋戦略で「キーストーン」である。韓国が米韓同盟を大事にせず、中朝へ媚びる態度ならば、米国は韓国を切り捨てるというゼスチャーも見せる。それが、トランプ大統領であると警告している。その意味で、韓国大統領府は大学生並の防衛論である。

     

    (4)「文在寅政権の機能不全は内政でも確認される。所得主導成長の惨憺たる失敗、急激な最低賃金引き上げ、週52時間勤務制の無理な導入、規制改革の失敗で経済の成長エンジンは消えつつある。韓国銀行(韓銀)は昨年初めに2.9%と提示した今年の成長率予測値を2.0%まで下方修正した。大統領は「不動産市場は安定している」と述べたが、逆に暴騰している。経済正義実践市民連合(経実連)は「誰が大統領に嘘を報告しているのか」と問うている」

     

    このパラグラフの通りである。内政も惨憺たるものだ。文大統領自身が、経済知識ゼロであり、部下の言い分をそのまま聞いている。裸の王様になっている。


    (5)「文在寅政権は2年半の間、一つもまともな結果を出せていない。このままでは最も無能な政権として記録されるかもしれない。政権の失政は国民の苦痛につながる。執権後半期を迎えた今後は180度変わらなければいけない。大統領の心機管理用の虚偽報告は無視し、生きた民心に耳を傾ける必要がある」

    文政権は、実務を知らない点で致命的である。文氏は、社会派弁護士で「弱者保護」を売り物にしている。どうやれば、弱者を守れるか。肝心の知恵がないのだ。こういう政権は、明日にでも交代すべきであろう。



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    前法相のチョ・グク氏を巡るスキャンダルは、消しがたい文政権への不信を生んでいる。チョ氏は、もともと豊かな家庭の出身である。その娘も、両親による不当な手段で医学部というエリートコースに難なく進んだ。その実態が明らかにされるとともに、貧しい家庭出身の若者には、救いがたい絶望感を与えただけでなく、文政権への支持率を急落させている。

     

    文在寅大統領は、「口舌の徒」である。口では実に立派なことを立て板に水のごとく語る。だが、残念ながら実績を伴わないのだ。それは、弁護士稼業の性とでも言うべきだろう。弁護士は、相手の弱点を突いて勝訴するのが仕事である。政治家は実績を伴って初めて、有権者の評価に耐えられるもの。文氏は所詮、弁護士意識のままであって、大統領の意識にまで高まっていないのだ。

     

    『ロイター』(11月27日付)は、「文政権下で広がる格差、韓国『泥スプーン組』の絶望」と題する記事を掲載した。

     

    ファン・ヒョンドンさんは、自身が通うソウル市内の大学キャンパスに近い6.6平方メートルの小部屋で暮らしている。浴室とキッチンは共同、米飯だけは無料で食べられる。家賃は月35万ウォン(302ドル)だ。こうした「コシウォン(考試院)」と呼ばれる施設に並ぶ貧相な部屋は、以前はもっぱら、公務員試験のため一時的に缶詰め状態で勉強をしようという、あまり裕福でない学生が利用する場所だった。だが昨今は、ファンさんのような貧しい若者の恒久的な住まいになる例が増えている。ファンさんは「泥スプーン」組の1人を自称する。「泥スプーン」とは、社会的な成功をほぼ諦めた低所得世帯の出身者を指す言葉だ。

     

    (1)「低所得世帯の出身者を意味する「泥スプーン」組と、裕福な家庭の子息を示す「金スプーン」(注:銀スプーン)組という言葉はよく知られているが、ここ数年、急速に政治的な場面で口にされるようになり、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持を押し下げる要因になっている。文在寅氏は、社会的・経済的公正を公約に掲げ、2017年に大統領の座に就いた。だが、5年の任期も半ばになろうというのに、格差拡大という重荷を背負わされた韓国の若者に対して、ほとんど成果を示せないままだ。文政権になって以来、逆に所得格差は拡大している。公式統計によれば、最上位層と最下位層の所得格差は、文大統領就任前の4.9倍から5.5倍に上昇した

     

    最上位層と最下位層の所得格差が、文大統領就任前の4.9倍から5.5倍に上昇した現実はなぜ起こったのか。最低賃金の大幅引上げで、財閥系企業の労組員の賃金は上昇した。反面で、自営業中心に「最賃失業」とも呼ぶべき被害が出た。最賃を支払えない零細企業は、従業員を解雇したからだ。最低賃金の大幅引上げが、生産性上昇率を上回った結果である。

     

    最賃引上幅をもっと小幅に抑えていたならば、こういう悲劇は起こらなかった。経済に疎い文政権の弱点が曝け出されている。むろん、事前の反対論も強かった。IMFやOECDまでが警告を発していた。それらをすべて無視した点で、単なる無知ではなく「確信犯」であった。文大統領の責任はきわめて重いのだ。

     

    (2)「メディア論を研究する大学3年のファンさんによれば、「泥スプーン」組には自分を含め、以前であれば懸命に努力すれば何とかなると考えがあった。しかし、曺国(チョ・グク)前法相をめぐる汚職疑惑が彼らの怒りに火をつけた。曺前法相と大学教授である彼の妻は、2015年、自分の娘を医学部に入学させるために自らの地位を利用したとして告発された。このスキャンダルは文政権発足以来最大となる抗議行動を数次にわたって引き起こしたが、生活に苦しむ多くの若者にとっては、裕福な家庭の出身者が両親の地位と資産の助けを借り、さらに優位に立つという実態を暴露する結果となった」

     

    文大統領は、チョ・グク氏を法相に任命する前に、多くの疑惑に包まれている事実を知っていた。それにもかかわらず、任命を強行した責任も問われている。それは、チョ氏の行為を「是」として受入れていたことだ。文大統領がこれまで、機会平等、公正な競争、正義について語ってきた。自らが、それを裏切ったのだ。正義観の強い若者が、文氏に絶望したのは当然であろう。

     

    (3)「やはり「コシウォン」の小部屋で暮らす26歳のキム・ジェフンさんは、「スタートラインが違うという点について文句を言うことはできない」と話す。「だが、不正なやり方で支援を得ている人がいるというのは腹が立つ。私が働かなければいけないときに勉強している人がいるのは構わない。私が怒っているのは、彼らが不正な手助けを得ているからだ」。キムさんのような低所得層の有権者の「文政権離れ」は、過去に類を見ないペースで進んでいる。韓国ギャラップが行った世論調査では、19~29歳の有権者による文政権支持率は、2017年6月の90%から今年10月には44%まで急落した。低所得層と見なされる有権者のあいだでの支持率は、2017年半ば以降、44ポイント低下している」

     

    文氏が大統領選で勝利を得たのは、低所得層である若者の正義観がもたらす支持であった。今や、その支持が白紙撤回された事実は、来春の総選挙の結果に表れるだろう。韓国では、中道派(無党派)の動きで選挙結果が左右される特色を持っている。チョ・グク事件は、大きな影響を及ぼすであろう。

     

    テイカカズラ
       

    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    22世紀最初に姿消す国

    経済不振で出生率低下に

    公務員家庭2倍の新生児

    少子化対策は開店休業へ

     

    韓国では、合計特殊出生率(生涯に一人の女性が生む子どもの数)の急低下が止まらない深刻な事態だ。文政権が登場して以来、加速的な低下が続いている。出生率の急低下は、決して他人事ではない。現役世代にとって、将来の年金を払ってくれる人たちの減少を意味するからだ。自らの「年金危機」を確実にする恐ろしい現象と認識すべきであろう。こういう説明をすれば、誰でも出生率の急低下が「自分の問題」になるはずだ。

     

    22世紀に最初に姿消す国

    韓国内外の研究機関が、これまで「22世紀に地球上から真っ先に消える国は韓国」と指摘してきた。例えば、次のような機関が警鐘を鳴らしてきた。2006年、英オックスフォード人口問題研究所が、初めて「人口減少により消滅する最初の国は韓国」と発表した。それ以降、国連未来フォーラム(2009年)、サムスン経済研究所(2010年)、韓国国会立法調査処(2014年)も同様の分析結果を発表している。以上は、韓国メディア『ヘラルド経済』から引用した。

     

    韓国内外の研究機関が揃って、「韓国滅亡説」を打ち出しているのは、不気味である。当の韓国は、他人事のように見ている。文政権は、「反日」に全力を傾けており、これを引き金に国内保守派を「積弊一掃」として扱い、出生率急低下に考えが及ばないという政権である。この虚を突くように、現実に出生率は急激な「右肩下がり」状況に落込んでいる。

     

    韓国の合計特殊出生率が7~9月期に入って、これまで以上に急激な減少を見せている。ソウルでは、なんと0.69である。人類が経験したことのない「絶滅的」な低水準記録である。理由は何か。若者の生活苦である。高い失業率で5人に1人は失業である。就職も出来ない人間が、結婚や出産など考えるゆとりはない。その日その日をどうやって生きて行くか。それで精一杯である。住宅も高騰している。結婚して新居も構えられないのだ。

     

    全国の合計特殊出生率は、7~9月期に0.88で過去最低を記録した。10~12月期は、季節的に出生数が減少傾向にある。2019年の合計特殊出生率は、前記の0.88をさらに下回るのは確実視されている。昨年が0.98であった。今年、仮に「0.86」に低下すれば、韓国「亡国論」が世界的な話題になって、韓国の綜合評価を下げるであろう。

     

    人口は、一国経済の成長にとって重要な要素である。とりわけ、生産年齢人口(15~64歳)の動向がカギを握る。最近の合計特殊出生率の急低下は、韓国経済に15年後から潜在成長率を大きく下押す要因に働く。「時限爆弾」を抱える経済に落込むのだ。

     

    経済不振で出生率低下に

    すでに、韓国経済はふらついている。今年の成長率は、2%割れが濃厚だ。昨年が2.7%成長であるから、その落差は大きくなる。これが、韓国企業の先行き不安を高める。設備投資を控えるので、GDPはさらに落込むという悪循環にはまり込むだろう。

     

    韓国が、日本の半導体3素材の輸出手続き規制撤廃を求めて必死である。12月末に予定されている日韓首脳会談で、日本から前向きの「回答」を引き出すべく、徴用工賠償金問題で新たな法案を準備中である。これは、韓国の文国会議長提案による「基金案」である。日韓の企業・個人による寄付金で賠償を払うという「代位弁済」方式(第三者が代わって弁済)が有力になっている。文議長は、12月中旬までに成案を得たいとしており、与野党が協力する姿勢を見せている。 

     

    文議長が、この「基金構想」を発表したのは、11月5日の早稲田大学講演会の席だ。あれから1ヶ月余で成案にまとめようというのは、韓国経済の深刻さを物語っている。韓国経済を覆う不透明感を一掃しようという狙いであるからだ。

     

    韓国経済の不透明感が、少しでも薄らいでくれば、企業は設備投資を行なう気運になろう。それは、雇用増加に結びつき失業率を低下させる。こういう好循環を描ければ、出生率回復期待がかかるかも知れない。だが、そう言い切れないところに韓国の抱える悩みの深さがある。(つづく)

     

    あじさいのたまご
       


    韓国社会は、病んでいる。反日不買運動が、従来になく盛り上がっている背景には、社会の閉塞感が充満がある。今年、病院の精神科でうつ病の治療を受けた20代の患者が12万人を超えると報じられている。専門家らは、深刻な青年失業や異性問題での悩み、家族との確執で心の病気になる若者が急増していると分析しているという。1年間で30%近い急増で、5年前の2.5倍だ。『朝鮮日報』(11月30日付)が報じた。

     

     

    こういうやり場のない空気の中で、政府が音頭を取る「NO JAPAN」は格好の鬱憤晴らしであろう。病める人たちを煽動する反日運動は、決して清涼剤になるまい。経済的な不安を煽っており、韓国政府は計算違いをしている。日本との対立は、韓国経済を追い詰めるのだ。

     

    『レコードチャイナ』(12月1日付)は、「韓国で『努力すれば向上できると考える人』の割合が激減韓国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中央日報』(11月26日付)は、「努力すれば個人の経済・社会的地位を高めることができる」という考えに賛同する韓国人の割合がこの10年間で大幅に減少していると報じた。中国メディア『観察者網』が伝えた。

    (1)「韓国統計庁が11月25日発表した「2019年社会調査」の中で、「努力によって個人の経済・社会的地位を向上できる可能性」が「高い」と答えた人の割合は全体の227%で、10年前の376%から約15ポイント減少した。また、「子ども世代が努力によって社会・経済的地位を向上できる可能性」について、「高い」と回答した人の割合も289%と低く、10年前の483%から大きく下降した。記事はこれについて、「両親の資産が子どもの経済・社会的地位を決めるという傾向が強くなっていることによるという見方もある」と説明した」

     

    経済成長率の低下が、階層を固定化する。言葉を換えれば、社会の不平等をもたらすという認識は確かに存在する。だが、社会を流動化させること。規制を緩和して自由な発想でビジネスができる環境を整えれば、努力しても報われる比率を下げることにならないはずだ。韓国の場合、規制社会である。官僚がすべて支配する上に、労組と市民団体が特権を求めて流動化を阻止する。こういう二重の社会格差構造では、絶望だけが募る社会になって当然である。

     

    努力が報われるとする見方が、10年前は37.6%もあった。それが現在、22.7%まで減っている。自営業が相次いで倒産の憂き目を見るのは、身近な例として「努力しても無駄」という諦めを生んでいるだろう。この背後には、政府の大幅な最低賃金の引上げという不可抗力が壁になっている。閉塞の原因が、文政権であるという予想外の結論にいたるのだ。

     

    (2)「階層別に見ると、社会的に高水準に属する回答者は、自身や子ども世代について「努力によって個人の社会・経済的地位を向上できる可能性」が、「高い」と答える割合が比較的多かったのに対し、低水準に属する回答者では相対的に少なくなったという。この状況について、漢城(ハンソン)大学経済学部の朴英凡(パク・ヨンボム)教授は、「経済が急成長していた以前とは異なり、現在の韓国経済はすでに成熟していて、何もない状態から事業を起こして一代で成功できるようなチャンスは激減した。加えてここ数年で家賃が絶えず高騰していることも階層間の移動を難しくしており、親の階層が子ども世代にそのまま影響するという傾向が強まっている」と分析したという」

     

    階層固定化は、社会の不満を高める。努力した人には、その成果が得られる社会でなければならない。皮肉なことを言えば、労組と市民団体がもっとも恵まれている立場だ。文政権を利用して、既得権益を確保しているからだ。このとばっちりを受けているのが、一般国民であろう。世にも不思議な政権が登場したもの。朴槿惠政権の弾劾がもたらした歪みと言える。

     

    (3)「記事はまた、「必死で仕事に打ち込む仕事人間をめぐる状況にも変化が生じている」とも指摘。今年5月に韓国で13歳以上の37000人を対象に行われた調査結果を基に、「仕事を優先順位の最上位に置く若者の割合は421%となり、2011年から124ポイント減少した。一方、仕事を家庭と同程度に重要だとみなす人の割合は102ポイント増え、全体の442%となった」と紹介した。調査で「仕事が家庭と同程度に重要」と答える人の割合が「仕事が最優先」と答えた割合を上回ったのは初めてのことだという」

     

    いわゆる「仕事人間」が減って、「ワーク・ライフ・バランス」が増えたのは時代の趨勢である。良い現象である。これを広く普及させるには、労働市場の流動化が必要である。労組はこれに反対している。こういう物わかりの悪い労組を、どうやれば柔軟にさせられるかだ。

    それは、文政権がご機嫌伺いを止めて、毅然と対応すしかない。現政権は、来春の総選挙が怖くて、労組にものを言えなくなっている。

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    中国国家統計局が11月30日発表した11月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.2と前月の49.3から上昇した。市場予測は49.5。同指数が50を上回り、活動の拡大を示唆するのは、4月以来7ヶ月ぶりである。

     

    このデータを見て小躍りするのは早計である。統計局は「新規受注の回復はクリスマス商戦で海外の受注が増えたことと関係がある」と、季節需要の増加を示唆しているからだ。

     

    今後、回復が持続するかどうかが焦点だ。PMIは今年34月も一時的に拡大に転じたが、5月以降は再び低迷した。国務院発展研究センターの張立群研究員は、「PMIは前月比で算出するため、10月に建国記念の長期休暇があった反動で11月の数値を押し上げた面がある。景気対策は効果を挙げているが、依然として下押し圧力がある。今回の改善を過度に評価すべきではない」と指摘している。『日本経済新聞 電子版』(12月1日付)が伝えている。

     

    米中貿易戦争の成り行きが、今ひとつはっきりしないことも見通しを難しくしている。米国による「香港人権法」という扱いの難しい問題が挟まっているからだ。

     

    米中は、基本的に「敵対的関係」に入っている。この基本認識を欠いて一喜一憂していると情勢判断を見誤るであろう。もはや、米中関係は従来のものと異質化した。それは、「香港人権法」で見せた米議会が、上下両院で1名の反対者だけで、全員が法案賛成に一票を投じたことだ。この現実を見落としてはならない。中国は、米国の「敵国」扱いになっている。この事実は重い。

     

    中国経済が予断を許さないのは、金融的に逼迫状態にあることだ。「流動性のワナ」にはまり込んでいる。金融が緩和しても銀行貸出は超慎重である。信用創造能力が極端に落ちているからだ。具体的には、マネーサプライ(M2)の前年比増加率が、今年9~10月でも8.4%増に止まっている。一昨年は、9~11%であった。昨年以来、金融逼迫状態に落込んでいる。こうして、企業のデフォルトは増加基調を辿り、来年はさらに増加する気配である。

     

    『ブルームバーグ』(11月29日付)は、「中国企業のデフォルト、景気減速で2020年も増加-ムーディーズ」と題する記事を掲載した。

     

    米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、デフォルト(債務不履行)に陥る中国企業の数が来年も引き続き増加するとの見通しを示した。経済成長が減速するほか、負債を抱えた企業への政府支援が抑制されるとみているためだ。

     

    (1)「大中華圏クレジット調査・分析責任者の鍾汶権氏によると、ムーディーズは2020年の新規デフォルトが4050社と、今年の35社から増加すると予想。金額ベースでは計2000億元(約3兆1160億円)を下回り、中国債券市場の1%弱相当との見方も示した。同氏は27日、香港での会議で「規制当局の意図は、モラルハザードを減らす」と同時に、デフォルトが「社会経済の安定性を損ねたりシステミックリスクを引き起こしたりしない」よう万全を期すことだとの見方を示した」

     

    ムーディーズは、2020年の新規デフォルトが40~50社と、今年の35社から増加すると予想している。経済状況のさらなる悪化を見込んでいるためだ。来年のGDP成長率は6%割れが見込まれ、5.8%へ減速する公算が強まっている。

     

    中国当局は、モラルハザードは許さず経営に規律を持たせるとしているが、行き過ぎてシステミックリスク(金融連鎖倒産)になることを防ぐという「綱渡り」を宣言している。この言葉の中に、中国経済の置かれている状況が、どれだけ厳しいかを理解できるであろう。要するに、ギリギリまで企業の査定を厳しくするという宣言である。

     

    (2)「中国の規制当局は14年に、オンショア市場での選択的デフォルトを容認し始めた。国盛証券によると、4年前の国有企業初の社債デフォルト以降、今年10月末までのデフォルトは22社、計484億元相当。中国天津市が保有している天津物産集団は先週、ドル建て債市場で事実上のデフォルトに陥り、公有企業としては初の債務再編計画を提示した

     

    ドル建て社債までデフォルトが出てきたのは、対外的に中国企業の信用を落とし、警戒観を強めるであろう。こういう例が一社でも出ると、オフショア市場でのドル建て社債の金利は高くなり、中国企業全体が迷惑を受ける。それを覚悟でデフォルトさせたのは、中国の外貨事情の苦しさを言外に示している。こうして、中国経済は続々とボロを出し始めた。

     

     

     

     

     

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