文在寅(ムン・ジェイン)大統領の外交感覚は正常だろうか。北朝鮮が、米国と対決している中で「南北融和による平和経済」を主張している。韓国国民は、米朝緊張を他人事のように扱う大統領に命を託しているのだ。何とも不思議な政治家が存在するものである。
文大統領は24日、中国成都で開催された日中韓ビジネスサミットでの講演で、「平和が経済となり、経済が平和をもたらす平和経済がアジア全体で実現することを期待する」と述べたのだ。北朝鮮が米国を威嚇するという瀬戸際政策を演じているさなかに、はるか先の平和を論じている。燃えさかる火を前にして語る言葉ではない。
『朝鮮日報』(12月25日付)は、「北の挑発が予告される中、文大統領は『平和経済』『東北アジア鉄道』の話ばかり」と題する記事を掲載した。
(1)「文在寅大統領は24日(現地時間)、中国成都で開催された韓中日ビジネスサミットでの講演で「平和が経済となり、経済が平和をもたらす平和経済がアジア全体で実現することを期待する」と述べ、前日に続いて「東北アジア鉄道共同体」構想を呼び掛けた。北朝鮮が米国に向け「クリスマスプレゼント」を予告し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などによる挑発の動きを表面化させる今において、文大統領は北朝鮮との経済協力や対話に重点を置く考えを示したのだ。これは中国とロシアの対北朝鮮政策と軌を一にするもので、米国との足並みが乱れるのはもちろん「北朝鮮の非核化にもプラスにならない」との指摘も相次いでいる」
日中韓首脳会談における文大統領の一連の発言は、米国を強く刺激したことは間違いない。文氏は、習近平氏との会談で新疆ウイグル族問題や香港問題を「中国内政問題」と認めたような素振りを見せたこと。また、北朝鮮制裁緩和に賛成するポーズをとっていることだ。いずれも米国の基本姿勢と正反対である。米韓同盟国として、こういう同床異夢的発言をすることは、文氏の外交センスが狂い始めてきた「惨事」に映る。
米国は、韓国のこういう言動が北朝鮮問題解決にとって何ら利益にもならず、北朝鮮に塩を送る行為と見て厳しく批判している。米国から強いリアクションを受けることは必至であろう。米国に向かってどのように弁明しようとも、米国の不信を解くことは困難だ。
(2)「この日は韓中日首脳会議のメディア向け共同発表が行われたが、その中で文大統領と中国の李克強首相は北朝鮮に対して「警告」ではなく「対話」と「交渉」に重点を置いた。これとは対照的に日本の安倍首相は「(北朝鮮による)相次ぐ弾道ミサイル発射は国連安保理決議違反」と明言し「北朝鮮の完全な非核化に向け、安保理決議の完全な履行が3カ国の共通した立場であることを確認した」と述べた。「制裁緩和を考慮すべきときではない」とする米国の主張と積極的に歩調を合わせた形だ」
韓国が、北朝鮮問題であえて米国に背を向け、中国へ接近している姿は異常である。韓国防衛で米軍は駐留している。その同盟国の戦略と異なることを平然と行なっている。米国は、何のために韓国と同盟を結んでいるか、深い疑惑に包まれてはいるに違いない。
(3)「今月16日(米国時間)に中国とロシアは国連安保理に「南北鉄道・道路協力プロジェクト」を制裁対象から除外することを含む新たな決議案の草案を提出したが、文大統領は今回これによく似た発言を行ったことになる。韓国与党・共に民主党などからは「意図された行動」との声も出ている。同党のある関係者は「最近、韓国政府は南北関係改善にあまりにも消極的という懸念も強まっていた。できそうなことはやってみるべきだ」とコメントした」
韓国は、北朝鮮から罵倒されながら、北朝鮮を経済的に支援する政策に賛成している。韓国が、南北統一への夢を捨てない証拠であろう。だが、核を捨てない北朝鮮に甘い顔することは、間接的に核開発を支援することである。韓国は、「核武装した北朝鮮」と統一する積もりであろう。それが、仇敵日本を倒す道である。こう秘かに期しているとすれば、それは自滅への道。北朝鮮は、必ず韓国を潰しにかかるだろう。「飛んで火に入る夏の虫」の愚を演じるのであろう。気の毒だ。