勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年02月

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    韓国の「反日弾」となっている福島原発問題は、日本を貶める最大の武器として使われている。福島食材が放射能汚染されている、と科学的な根拠を無視して世界中に喧伝しているからだ。日本がいくら誠意を込めて、科学的根拠を説明しても聞く耳、持たずである。

     

    韓国の民間団体は、東京五輪の聖火リレーランナーが、防護服と防毒マスクを着用して走る姿を描いたポスターを制作した。1月6日にソウルの在韓日本大使館新築工事現場のフェンスに掲示したほどの嫌がらせをしている。このポスターは、2011年3月に起きた福島第1原発爆発事故の影響で、7月24日に開会する東京五輪で放射能安全に対する懸念が提起されかねないというメッセージを盛り込んだもの。以上は、『中央日報』(2月13日付)が報じた。

    『中央日報』(2月19日付)は、「福島食材 『そっちの国よりきれい』日本復興相 『輸入規制』韓国批判」と題する記事を掲載した。

     

    日本当局者が福島県を含む近隣8県の水産物の輸入を規制している韓国政府を批判した。田中和徳・復興相は18日の記者会見で、2011年原発爆発事故が起こった福島県の食材輸出問題について「そっちの国よりよっぽど安全だし、きれいだ」と話した。



    (1)「田中復興相は、「福島の食材は日本の中でも問題はない低い(放射能の)数値だ。韓国の(食材の)数値も把握している」としながら「日本は世界中でもっとも厳しい基準をクリアしているものを流通させている」と強調した。田中復興相は日本政府が2012年10月から放射性物質であるセシウムの濃度基準を1キログラムあたり100ベクレルに強化したと付け加えた。韓国のセシウム濃度基準は1キログラムあたり370ベクレルだ。米国は1200ベクレル、欧州連合(EU)は1250ベクレルを超えない水準で流通を許可している」

     

    セシウム濃度基準(1キログラム当り)は、各国で次のようになっている。

    日本  100ベクトル

    韓国  370ベクトル

    米国 1200ベクトル

    EU 1250ベクトル

     

    これを見れば一目瞭然、日本が最も厳しい基準を設けていることが分かる。それにも関わらず、韓国は意図的に「反日弾」に悪用している。

     

    (2)「韓国は2013年9月から福島など8県で獲れた水産物の輸入を全面的に禁止してきた。日本産食品の全品目に対しても、セシウムなどが微量でも検出された場合、追加検査を要求した。これに対して日本政府は「規制に科学的根拠がなく、自由貿易の妨げになっている」として、2015年4月に世界貿易機関(WTO)に提訴したが、韓国政府は昨年4月にこの紛争で勝訴している。当時、WTOは世界各国の政府は裁量的に安全基準を設定することができると認めた」。現在、韓国の他にも台湾、中国、香港、マカオなど5カ国が日本産食材の輸入を規制しており、その他にインドネシアやEUなど15カ国は自主的に設定した制限的な規制策を打ち出している状態だ」

     

    昨年4月のWTOの最終審では、日本の科学的根拠を認めて「無害」としたが、韓国の「裁量性」も認めるという、あやふやな決定を下した。これをもって韓国は「勝訴」したと国内に説明している。日本は、「日本の根拠が認められた」という認識である。

     

    WTOが、韓国の「裁量」に委ねたのは、韓国だけに通じることである。日本に対する放射能汚染非難は、全く根拠がないのだ。韓国は、東京五輪で選手団の食材に韓国産を持ち込むとしている。日本よりもセシウム濃度の高い食材を持ち込むのである。日本は、これを拒否できるはずである。日本政府は、堂々とその旨を韓国に通知して持ち込みを禁じるべきだ。

     

     

    テイカカズラ
       

    韓国経済界は、現状の経済政策の下では疲弊するとして、政策転換を要望している。ひな形は、フランスのマクロン式改革である。文大統領の任期は、2022年5月である。仏のマクロン大統領とは4日違いだ。任期は、双方5年である。それだけに、マクロン仏大統領が、果敢に経済改革に取り組んでいる姿に、韓国経済の明日の姿を託したくなるのだろう。

     

    どちらの大統領が業績を上げて退任するか。興味深いものがある。マクロン氏は、強大な労組と対決して経済再生を図っている。文大統領は、巨大労組の顔色を伺い最低賃金の大幅引上げによって、経済破壊が進んでいる。全く、両大統領は真逆の政治姿勢である。

     

    『中央日報』(2月18日付)は、「韓国全経連、『フランス式の経済改革が必要』」と題する記事を掲載した。

     

    低成長に向かっている韓国経済が危機を脱するためにはフランス式の経済改革が必要だと、韓国の全国経済人連合会(全経連)が主張した。

    (1)「全経連は18日、専門家の座談会「改革で復活したフランス経済、韓国経済に示唆する点」を開き、フランスの経済改革の秘訣を通じて韓国経済の望ましい方向を模索した。権泰信(クォン・テシン)全経連副会長は開会のあいさつで、「現在、韓国社会がマクロン大統領にスポットライトを当てる理由は、欧州の病人と呼ばれてきたフランスが変わったため」とし「いまフランスで進行している改革が現在の韓国に必要だということで座談会を開いた」と述べた」

     

    両国の実質GDP成長率を比較したい。

            フランス   韓国

    2014年   1.0%   3.2%

      15年   1.1%   2.8%

      16年   1.1%   3.0%

      17年   2.3%   3.2%

      18年   1.7%   2.7%

      19年          2.0%

    フランスは2017年、マクロン大統領になってから実質GDP成長率は、それ以前の1%強から抜け出た感じで2.3%や1.7%になっている。経済改革が功を奏し始めているのだ。韓国とは対照的である。上り坂のフランスと下り坂の韓国である。このような差が生まれた理由は、言うまでもなく経済政策の違いだ。マクロン大統領は、政治信条では左派であるが、効率的な経済政策を実現するには、あえて右派的な政策を取り上げている。

     

    文大統領は、自らの政治信条に忠実である。左派的な思潮に足を取られて、経済改革どころか、労組の利益奉仕に忠実である。2年連続で合計約29%もの大幅な最低賃金引上げに踏み切った。これが、韓国経済のバランスを一挙に崩したのだ。

     

    (2)「マクロン大統領の改革の成果でテーマ発表をしたホン・ソンミン東亜大教授は、「『働く意志がある人は政府が積極的に助ける』という強いメッセージを通じて改革の意志を表明し、労働改革・鉄道改革・富裕税廃止など果敢な改革を推進した」とし、「国民の反対もあったが、結果的には変化の必要性に共感した」と主張した。キム・ドフン西江大国際大学院招聘教授はフランスの経済改革の3つの成功要因として、次の3点を挙げた。

     

    1)政治的に進歩性向であるにもかかわらず従来の社会党の政策基調に問題を提起して企業寄りの政策を施行したという点

    2)政策推進過程で国民と意思疎通し、折衝と妥協を通じて改革を引き出した点

    3)大統領の行政・経済分野の豊富な経験--を挙げた」

     

    マクロン氏の経済改革は、次のような内容である。

    1)財政改革としてマクロ数値目標(財政赤字の対GDP比率の引き下げ)を設定している。

    2)税制問題では増税措置が先行しており、社会保障費をまかなう一般社会税(CSG)の増税を行った。

    3)減税措置については2022年までに段階的に実施予定である。減税の中心は法人税が予定されており、22年までに法人税33%から25%まで下げる。

    4)富裕税(ISF)の減税(富裕税の課税対象を不動産に限定)やキャピタルゲイン減税(30%のフラットタックス導入)などの実現を目指している。

    5)家庭向けの減税としては80%世帯を対象に地方住民税廃止を22年までに実現する計画である。

    6)公務員12万人の削減も計画している。

    7)雇用と賃金の両面で労働市場の調整力を高めることを目指し、労働市場改革を訴えている。2018年1月までに解雇補償額の上限引き下げ、グローバル企業の解雇要件の緩和、解雇不服申し立て期間の2年から1年の短縮などを実現した。

     


    マクロン改革を見れば、文在寅氏は恥ずかしくて「改革」などと口にも出せないであろう。マクロン大統領は、法人税を初め富裕税、家庭向け減税などを行い、経済の活性化を図る。公務員を12万人削減して「大きな政府」に歯止めをかける。文大統領とは、全く異なるアプローチであることが分かるのだ。

     

    文氏は、労組のご機嫌取りに夢中である。労働週52時間制を強引に導入し、最賃大幅引上げとセットになって労働市場を急襲した形だ。法人税の引上げによって、大企業の負担が増えている。企業は、対中国投資増に活路を求めざるを得なくなっている。国内投資は空洞化しているのだ。

     

    韓国経済界が、フランスのマクロン式改革を要望するのは当然であろう。文政権には、マクロン大統領ほどの度量はない。せいぜい、「反日」を叫んで国民を煽動する程度である。これでは、韓国経済の回復など望めるはずがない。


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    中国は、自ら蒔いた種とはいえ「寒風」に晒されている。鉄鋼製品輸出でキャンセルが出ているというのだ。鉄鋼に「新型コロナウイルス」が付着しており、感染するのでないかという恐怖なのだろう。一方では、ウイルス禍で従業員が集らず生産を再開できず、輸出遅延が起こっている。ユーザーからは、遅延による損害発生で賠償金を請求されている。

     

    『ロイター』(2月18日付)は、「中国の金属メーカー、受注取り消しや損害賠償に直面、新型肺炎で」と題する記事を掲載した。

     

    中国国際貿易振興委員会の金属製錬支部によると、新型肺炎の感染拡大を受けて、一部の海外企業が中国製金属製品の輸入を拒否している。また、中国企業が予定通り金属製品を輸出できなかったことに対し、インド企業など一部の企業が損害賠償を求めているという。同支部がウェブサイトで明らかにした。具体的な企業名は明らかにしていない。

     

    (1)「ロシア、トルコ、中東、北アフリカの企業から輸入のキャンセルの通知や、キャンセルに関する問い合わせが来ているという。中国は世界最大の金属消費国だが、鉄鋼やアルミニウムなどの主要輸出国でもある」

     

    中国の鉄鋼製品輸出先は、多くが友好国であろう。ロシア、トルコ、中東、北アフリカの企業ということから見て、簡単に推測がつくのだ。だが、友好国でも「新型コロナウイルス」が鉄鋼製品に付着して、潜り込むことに警戒している。荷揚げ作業中にウイルスが紛れ込むという想定なのだろう。ここまで、神経過敏になっているのである。

     

    (2)「同国では新型肺炎の感染拡大を受けて、隔離措置が導入されており、多くの従業員が出勤できない状態。金属生産は急減するとみられている。交通機関も制限されており、原材料の調達や商品の出荷にも支障が出ている。同支部によると、内陸輸送のコストは急増。海上輸送の効率も低下している。同支部は、3月下旬に山東省で開催を予定していた鉄鋼業界の年次国際会議が新型肺炎の影響で延期されたことも明らかにした」

     

    中国の輸出遅延では、賠償金を請求されている。生産遅延は、従業員が出勤できないので操業再開ができずに困っているからだ。「交通機関も制限されており、原材料の調達や商品の出荷にも支障が出ている。同支部によると、内陸輸送のコストは急増。海上輸送の効率も低下している」との指摘で、中国経済が塗炭の苦しみにあえいでいる姿が浮かび上がってくるのだ。この問題については、20日発行の「メルマガ131号」で取り挙げる。

     

    中国経済が、世界のサプライチェーンの中核になっている以上、「新型コロナウイルス」発症は、中国の混乱に止まらず、世界経済へ波及していく。その縮図が、この「中国の金属メーカー、受注取り消しや損害賠償に直面、新型肺炎で」記事に、凝縮されているものと見る。


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    文大統領は、責任を他人に押しつける名手である。これは、与党「共に民主党」にも共通している。市民が現在、「新型コロナウイルス」感染を恐れて、外出せず自宅に籠もっていることで、個人消費に悪影響を及ぼしている。これについて、一部メディアがウイルス禍について過剰報道しているから起こったと、メディアを非難している。的外れな指摘だ。

     

    『朝鮮日報』(2月18日付)は、「文大統領、『メディアのせいで恐怖が膨らんだ』」と題する記事を掲載した。

     

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領は17日、企画財政部、産業通商資源部、中小ベンチャー企業部(いずれも省に相当)、金融委員会の四つの経済部処(省庁)から新年業務報告を受けた。文大統領は新型コロナウイルス感染症事態と関連して「経済的な被害が2015年のMERS(中東呼吸器症候群)事態よりもさらに大きく体感している」「一部メディアを通じて過度な恐怖・不安が膨らみ、経済・消費心理が極度に萎縮したことは残念」と述べた。

     

    (1)「文大統領はこの日、経済部処に向け「全員がこれまでよくやってくれた」「昨年の世界の景気下降と日本の輸出規制など、対外的な挑戦に対抗し、積極的な財政政策と先制的な政策対応によって経済回復の足台を築いた」と述べた。その一方で「新産業育成と第2ベンチャーブームによって革新成長の土台を構築し、雇用の反騰と分配指標の改善によって包容性も強化された」と評価した。昨年の経済部処による最も意義深い成果としては「日本輸出規制対応」を挙げた」

     

    文大統領は、下線部について完全に誤解している。日本による半導体3素材の輸出管理手続き強化は、もともと輸出数量を絞るのが目的でなかった。韓国への輸出が、戦略物資として他国へ流出リスクを抑える措置である。そのリスク回避のメドが立ったので、日本は輸出を再開しただけのこと。韓国の経済部署が努力した結果ではない。

     


    (2)「
    文大統領は、新型コロナ事態に関して「国家全体が防疫に総力を傾けた結果、比較的うまく対応している」と評価した。その一方で経済心理萎縮の原因として「メディアにより過度に膨らんだ恐怖・不安」を挙げた。しかし感染経路が明らかになっていない市中感染者が出た状況で「メディアが恐怖・不安をあおった」と断定したことについては論争が予想される。文大統領は「経済の活力をよみがえらせることに全力を傾けるべきとき」「国民も正常な経済活動に復帰してくださるよう改めてお願いしたい」と訴えた。さらに「積極的な消費拡大に呼応することを願う」とも述べた」

     

    文氏は、矛楯したことを言っている。新型コロナウイルスの感染者が、MERSよりも少なくて済んでいる背景は、メディアによる警告情報が効果を上げたものであろう。そのメディアを非難するのは見当違いも甚だしい。メディアが、通り一遍の情報しか流さず、感染者が急増していたならば、どういう評価になったか。市民が外出を控えた結果、感染者がさほど増えなかったのである。その副作用で、個人消費が減っているのだ。こういう因果関係も分からない大統領では困る。

     


    『聯合ニュース』(2月18日付)は、「文大統領、新型肺炎、『経済に打撃特段の対策を』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日の閣議の冒頭、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が韓国経済に与える打撃を非常事態と認識しなければならないとした上で、「政府が取り得るすべての手段を動員する特段の対策」を講じるよう指示した。

    (3)「新型コロナウイルス問題は回復の兆しを見せていた韓国経済に重大な影響を及ぼし始めている。文大統領は「それこそ『非常経済時局』という状況認識を持ち、厳重に対処しなければならない」「現在の状況は思った以上に深刻だ」などと言及し、「国民の安全と経済の両領域で、先手の対応と特段の対応を講じてほしい」と指示した」

     

    文氏は現在の景気状況について、「非常経済時局」と表現している。「経済非常時」という認識であろう。今年1~3月期のマイナス成長は必至である。この状態を「経済非常時」と認識したのだ。

     

    (4)「この日の閣議で決定する1次予備費だけでは足りないと述べ、制限を設けることなく政策的な想像力を働かせるよう求めた。企業の被害を最小限に食い止める強力な支援策の準備、中小企業と小規模事業者への特別金融支援や税負担軽減などの措置の検討を促した。一方で、企業の投資活性化に向けた優遇措置の拡大と思い切った規制改革案の検討も指示した。文大統領は非常時には緊急に処方する必要があると繰り返し、国会にも困難を乗り越えるための協力を呼び掛けた

     

    このパラグラフは、補正予算編成という文脈である。国会にも協力を求めるという意味は、補正予算編成について承認を求めているのだ。文政権では、4回目の補正予算編成である。歴代政権で最多記録である。


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    韓国の産業通商資源部(日本の経済産業省)長官は、素材・部品・製品で「脱日本」を強調した。過去75年間、この「脱日本」が実現できなかった背景を考えれば、そこに経済的な合理性があったからだ。市場の狭隘化、品質問題、価格問題などの点で、日本製品に依存せざるを得なかったのである。それが、反日という感情的な理由で無理矢理、韓国の国内製造に切り替えることは、リスクを伴うものだ。リカードの「比較生産費原理」を思い起こすべきだ。

     

    仮に、日本製に似通ったモノが製造できたとして、品質・価格の面で日本製に対抗できるだろうか。当然、国内需要だけでは採算が乗らないので輸出は不可欠である。その輸出では、日本製品が海外市場を抑えている以上、対抗するには大きな壁が存在する。

     

    ここまでコストをかけ、「脱日本」を実現することよりも、日韓関係改善の外交努力をする方がはるかにメリットは多い。韓国が、標榜して止まない「自由貿易」と脱日本の「国産化」は、矛楯したテーマである。感情的になっていきり立つよりも、まさに自由貿易の原則に立ち返り、得意の産業分野で技を磨く方がはるかに有効な産業政策になるはずだ。

     


    『中央日報』(2月17日付)は、「韓国産業通商資源部長官、『確実な脱日本実現する』」と題する記事を掲載した。

     

    産業通商資源部業務報告で同部の成允模(ソン・ユンモ)長官は「堅固な素材・部品・装備」を最初の推進計画として発表し、「素材・部品・装備で確実な脱日本を実現する」と話した。

    (1)「彼は、「(昨年の日本の輸出規制に対応した)協力と共生の経験を強化し、確実な脱日本を成し遂げる」と話した。日本は昨年7月に半導体・ディスプレーの核心素材である高純度フッ化水素、フッ化ポリイミド、フォトレジストの対韓輸出規制を実施した。成長官によると、日本の突然の輸出規制にも韓国企業の生産支障は1件も発生しなかった。彼は「国民、企業、政府が一致協力して成し遂げた成果」と説明した

    日本の半導体3素材に関する輸出管理手続き強化は、単なる手続きだけの問題である。輸出数量規制を目的としていなかった。だから、韓国は日本から順調に輸入が可能になっている。韓国メーカーにとって生産の支障を起こさなかったのは当然である。韓国の「国民、企業、政府が一致協力して成し遂げた成果」ではない。

     

    (2)「成長官はこの日、日本の輸出規制3品目の供給不安を完全に解消し、9分野の技術自立を成し遂げると述べた。彼は日本依存度が93.7%に達する工作機械数値制御装置を現在主要韓国企業と政府が協力して技術開発中である点を一例として言及し、「脱日本、国産化を成し遂げる」と改めて強調した」

     

    韓国は、9分野で「自給自足」体制を取るという。日本製を上回るパフォーマンスが出せるのか。日本の張り巡らしている特許群をかいくぐって製品化できても、コストや海外市場確保という難題が待っている。それが可能であろうか。これについては、悲観論が強い。韓国の国産化はなぜ進まないのか。これについては、次のような指摘がある。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2019年11月8日付)は、「韓国、半導体素材国産化に死の谷、脱・日本に壁」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「韓国の電機大手幹部は、「品質、価格、納期。すべてを満たしているのが日本だからだ」という説明は明快だ。「韓国企業もつくろうと思えば、何とかつくれる。ただ歩留まりが悪かったり、割高になったりして、採用は難しい。価格や納期も品質のうち」である」。

     

    「品質、価格、納期」は、外販製品にとって3大要件である。購入する側にとっては、前記の3要件を厳守されなければ、長期契約して安定購入するはずがない。一方、日本製品はサービス面を含めて絶対的な信頼を得ている。この日本と対抗できるだろうか。

     

    (4)「研究開発と製品化の間には『死の谷』と呼ばれる高いハードルがある。それを越えるのは難しい」。サムスン電子の尹鍾龍(ユン・ジョンヨン)元副会長は指摘する。「生産技術のプロセスづくりは日本企業に一日の長がある。短期で成果を上げようとしても、うまくいくかはわからない」

     

    研究開発できてもそれを製品化する間には、超えなければならない大きな壁がある。歩留まり、製造コスト、市場確保である。これらをクリアするには、日本製を上回る製品を提供できなければならない。後発の韓国に、それを期待するのは無理である。もし、可能であれば、すでに実現しているはずだ。それが、不可能であったからこそ日本製品を輸入してきたにちがいない。まさに、リカードによって唱えられた「比較生産費原理」が貫徹されていたのである。


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