勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年05月

    ポールオブビューティー
       

    メルマガ158号で、中国による香港への国家安全法制定は、国内経済混乱への国民の怒りを外に逸らす手段であると指摘した。『フィナンシャル・タイムズ』(5月25日付)は、「『香港国家安全法』は習氏のめくらまし」と題する記事を掲載した。前記メルマガと同趣旨の内容であるので、まず、この点を取り上げたい。

     

    (1)「中国政府は21日夜、一定の自治制度を持つ香港が自ら治安法制を定めるのを待つ代わりに、全人代で『香港国家安全法』を制定すると発表した。香港国家安全法の導入は、アジアの主要金融センターである香港にとってマイナスであるだけでなく、米中関係にも深刻な影響を及ぼす。トランプ米大統領は発表からわずか数時間後に、全人代がこの計画を強行した場合、極めて強力に対処すると明言した」

     

    香港国家安全法は、中英協定による「一国二制度」を骨抜きにするもので違反行為である。米国は、この一国二制度を前提にして香港へ特恵を与えてきた。この前提条件が崩れれば、米国の与えている特恵は見直し対象になる。米国が怒るのは当然である。

     

    (2)「こうした流れは習氏にとって有利だ。反発が起きれば、同氏による新型コロナ禍への初期対応に関する不都合な疑問から人々の関心をそらすことになるからだ。また中国政府による香港国家安全法の制定は、国家主義的な中国市民らを勢いづかせることにもなる。彼らは、民主主義を求めて抗議運動の最前線に立つ香港の人々への共感はほとんどなく、米大統領に至っては国際社会における中国の正当な台頭を妨害する存在だとみなしている」

     

    習近平氏は、海外でこういう反発が起これば起こるほど、中国国内では有利になるという。民族主義的な擁護論によって、習氏によるコロナへの対応ミスと景気悪化の責任が薄まるというもの。まさに、国内の混乱を海外に向ける独裁者の常套手段が登場するのだ。この点は、私の指摘と全く同一である。

     


    (3)「米ワシントンにあるシンクタンク、スティムソン・センターで中国プログラムの責任者を務めるユン・スン氏は、習政権による新型コロナ禍への初期対応の不手際は、習氏に大きな打撃を与えたとは言えないものの、習氏のイメージは確実に傷ついたと見られる。『習氏の地位が深刻な脅威にさらされているというわけではないが、習氏の権威や手法を疑問視する見方は強まった』。21日夜の香港国家安全法を制定するという電撃的な発表は、いわば習氏が中国市民にこう尋ねたのに等しい。『私に付くのか、それとも香港の抗議活動家とトランプ氏の側に付くのか』と」

     

    習氏は、自らの責任を帳消しにしようと悪巧みをしている。だが、それによって支払わなければならない代償は大きいのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月25日付)は、「金融センター香港に打撃も、国家安全法で懸念広がる」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府が制定をめざす「香港国家安全法」が香港の金融センターとしての地位に打撃になるとの見方が強まっている。「一国二制度」で担保された独立した司法システムなどが脅かされれば投資マネーや専門人材の流出を招くリスクがある。在香港米国商工会議所など進出企業・団体からは不安の声が出ている。

     

    (4)「中国共産党序列3位の栗戦書(リー・ジャンシュー)全国人民代表大会(全人代)常務委員長(国会議長)は25日、全人代で国家安全法について「立法任務を必ず果たす」と表明した。早ければ8月にも香港立法会(議会)を通さずに成立・施行する。「外国企業が最も望んでいるのは香港の安全と安定だ。国家安全法は非常に限られた人にしか影響しない」。香港政府の邱騰華(エドワード・ヤウ)商務・経済発展局長(閣僚級)は25日、日本経済新聞のインタビューでこう強調した。香港各紙には同法を支持する中国国有企業の意見広告が大量に掲載されるなど一大キャンペーンが展開されている。一方、進出企業からは不安の声が漏れる。在香港の邦銀幹部は「どの程度、自由が制限されるのか分からない。米中の対立が深まる中でタイミングが悪い」と顔を曇らせる。米商工会議所は「国際ビジネスの将来展望を脅かす可能性がある」との懸念を表明した」

     

    香港国家安全法は、8月にも成立する見込みという。当然、米国の締め付けが始まる。米国が与えた香港への特恵は消えるはずだ。そうなれば、香港の経済的な位置は低下する。それに伴い、香港を利用してきた中国の受ける損害は大きくなるはずだ。香港国家安全法は、天に唾するような愚行である。

     


    (5)「香港は金融面で中国本土と世界をつなぐ役割を果たしてきた。厳しい資本規制がある本土と異なり自由に投資できるためだ。香港中文大学の李兆波・高級講師は「国家安全と金融の関係は深い。投資家は香港が安全ではなく政治の影響を受けると判断すれば、香港に投資しなくなる」と話す」

     

    香港は、中国の「出島」としての価値がなくなれば、ただの「香港島」に戻るだけの話である。ビジネスあっての香港である。中国は、迂闊にもそれを理解していないようだ。

     

    (6)「金融市場では香港を巡る米中関係悪化が最大のリスクだ。香港株は22日に5%超下落、25日は小反発にとどまった。米国で2019年に成立した香港人権・民主主義法は一国二制度が損なわれていると判断すれば香港に制裁を科せる内容。オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は24日、この制裁発動を示唆し「中国が香港を乗っ取れば、香港がアジアの金融センターとしての地位を守るのは困難だろう」と発言した。こうした発言に中国は反発を強める。中国外務省の趙立堅副報道局長は25日、米国が中国の国益を損なえば「必要な一切の措置をとり反撃する」と警告した

     

    米国による香港特恵の取消しは、米国企業にも多大の損害を与える。だが、米国政府は香港に代わる地域を探し出す。多分、東京であろう。小池都知事は、国際金融都市構想を打ち上げている。日本にとって香港問題は、目を話せないテーマになろう。


    ムシトリナデシコ
       

    5月22日開幕の全人代で、李首相の報告で注目されたのは「中国製造2025」という言葉が聞かれず、代わって「新インフラ」が頻繁に登場したことだ。これを聞いた専門家からは、前記のハイテク計画が米国から監視されているので、代わって「新インフラ」に変えたという指摘が出ている。中国が、米国の覇権へ挑戦するにはハイテク計画は不可欠。「中国製造2025」をお蔵にいれたのでなく、名称変更に過ぎないというのだ。この程度の小細工で、米国の目を欺けると見ている辺り、中国は大甘といえる。

     

    『大紀元』(5月25日付)は、「中国、全人代で『新インフラに言及』、専門家『中国製造2025そのもの』」と題する記事を掲載した。

     

    全国人民代表大会(全人代、国会相当)は522日、開幕した。同日、李克強首相が政府活動報告を行い、「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」計画の代わりに、「新インフラの整備」に言及したことが注目された。

     

    (1)「李首相は、政府活動報告の冒頭で、新型コロナウイルスのパンデミックと世界経済の不確実性を理由に、2020年経済成長率の数値目標を「設けない」と表明した。当局は、昨年に挙げた雇用や金融システムなどに関する「6つの安定(六穏)」政策を再強調した。また、食料・エネルギーの安全や産業・サプライチェーンの安定を守るなどの「6つの保護(六保)」政策方針を提示した。雇用市場を守ることが今年の最優先任務だと示した」

     

    今年の最優先政策は、雇用優先としている。コロナ禍と米中貿易戦争で、中国の製造業は壊滅的な打撃を受けている。大都市へ戻ってきた農民工は、仕事がないため農村へUターンする始末だ。これでは、今年のGDP成長率目標など立てられるはずがない。

     


    (2)「
    首相はさらに、「新インフラの整備や建設を強化する。次世代の情報ネットワークを発展させ、第5世代移動通信システム(5G)の応用、充電スタンドの整備や新エネルギー自動車の生産を拡大していく」などと発言した。「中国製造2025」については触れなかった。専門家は、中国当局の「新インフラ建設」計画は、実質的に「中国製造2025」計画そのものであるとの見方を示した

     

    「新インフラ建設」が、新たな中国の目標になっている。専門家によれば、「中国製造2025」の別称にすぎないという。米国を油断させるためだと言うが、この程度のことで米国が騙されるはずがない。米国は、ファーウェイへの輸出禁止範囲を拡大しており、すべての半導体輸出を禁じる徹底的な技術防御策に出ている。中国ハイテク計画の進捗阻止である。

     

    (3)「時事評論家の李林一氏は大紀元に対して、「中国当局のハイテク産業振興策である『中国製造2025』に対して米政府が警戒しているため、中国当局は政策の呼び名を『新インフラ』に変えただけで、中身は変わっていない」と述べた。同氏は、ハイテク産業における中国共産党政権の世界覇権の野心は変わっていないと指摘した」

     

    米国の技術を盗んで米国を倒す。この「のどかな」覇権奪取計画を聞いていると、古代の話に聞える。始皇帝が、ライバルを打ち負かすため相手の技術を盗んできたのか、と思うような寓話だ。これでは、米国を出し抜くことは困難だろう。愚かな夢を見ているものだ。

     


    (4)「中国国家発展改革委員会は4月20日に開いた記者会見で、「新インフラ」の範囲について、情報のインフラ、統合のインフラ、革新的なインフラの3方面があると初めて示した。このうちの情報インフラには、5G網やモノのインターネット(IoT)を含む通信ネットワーク・インフラや、人工知能(AI)やクラウドコンピューティングを含むコンピュータ情報処理・インフラなどがある。同じく5G通信網、ビッグデータ、AI、無人生産工場などの発展を提唱する「中国製造2025」に重なる」

     

    このパラグラフに掲載の技術インフラには、高度の半導体技術が不可欠である。中国には、その技術がないのだ。これまでは、米国半導体輸入でカバーしてきたが、すでに米国の輸出禁止処分になっている。中国は、身の丈に合った技術計画をもつべきであるのに、米国技術の窃取という「泥棒行為」を前提に、米国へ挑戦する計画を立ててきた。なにやら、盗賊社会を連想させる話に見えるのだ。この非現実的な夢の実現は、米国が「超無警戒」でなければ不可能である。国際社会において、こういう僥倖は現れないのだ。


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    日本は、5月26日午前零時から緊急事態宣言が解除された。他国のような罰則を伴わない自主規制で、新型コロナウイルスの第一波をくぐり抜けたのだ。ヤフーの投票(26日午前零時現在)では、全面解除に反対が72%、賛成が22%である。反対が賛成の3倍以上もあることは、日本人の慎重さが覗われる。これで、「第二波が来ても、乗り切れる」という安心感が得られるのである。

     

    韓国では、若者が全面解除の途端に夜のクラブへ殺到。感染者が急増した。こういう例をみて、東京都では解除後のスケジュールが発表されている。ステージ1,ステージ2、ステージ3となっている。クラブは、ステージ3である。この段階を追っての規制枠撤廃は、人々に「解除万歳」という喜びを一度に爆発させない手綱として有効であろう。

     

    日本は、ロックダウン(都市封鎖)という過激な手段に訴えることなく、コロナ犠牲者は人口100万人当り4.6人、韓国5.0人である。世界一の低犠牲と言って良い。PCR検査数が少ないと非難されてきた。だが、クラスター追跡に全力を挙げる防疫対策の原則を守って、成功を引き寄せたのである。

     

    政府の専門家会議副座長の尾身茂氏は、成功した3つの要因として、次の項目を上げている。

    1)医療制度の充実

    2)初期対応でクラスターを捕捉できた

    3)国民の健康意識の高さ

     

    以上の3点についてコメントしたい。

    1)は、今回のコロナ禍が全額、国費負担であること。患者は、経済面の負担を恐れずに治療を受けられ、これが感染者の拡大を防いだ。海外では、患者負担もありこれが感染者を拡大させている。経済的貧困者に、死亡者が多い理由である。

     

    2)は、保健所が初期段階でクラスターをしらみつぶしに調査して感染源を把握した。東京湾の釣り船では、感染源突き止めた。成功例と指摘されている。

     

    3)は、日本国民の健康意識の高さである。日本人の清潔好きは世界的にも有名である。この日々の生活態度が、ロックダウンをしないでも感染拡大を防いだ。ただ、「日本人だから罹らない」という傲慢さが出ると心配だという声がある。日本人の寿命は現在、世界で1~2位である。結局、すべての要因は、日々の生活態度がコロナ感染拡大を防ぎ、世界最低の死亡数に止まった。

     

    以上の3点が、今後も継続されることを前提にすれば、第二波、第三波はそれほどの過酷な生活を送らなくても乗り切れるだろう。ここで、ロックダウンをしなかった日本を例に考えながら、ロックダウンの限界を知っておきたい。

     


    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月25日付)は、「ロックダウンの是非、モラルで語る危うさ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ロックダウンの継続を支持するあなたは科学に従う、良識ある博愛主義者だ。人を助けたくなるのは仕方ないが、あなたは人(まあ、一部の人)が大好きなだけで、彼らに生きてほしいと思っている。あなたは楽しいディナーや休暇などよりも社会的弱者の利益を優先し、専門家の意見には常に敬意をもって耳を傾ける」

     

    ロックダウン継続支持派の論拠が、良識ある博愛主義である。

     

    (2)「ロックダウンに反対する人は、フロリダのビーチでビール漬けになって盛り上がっている愚か者だ。あるいはオハイオで赤いキャップをかぶり、ガラスのドア越しに下品な言葉を叫んでいる、手のひらに毛を生やした偏屈者だ。彼らは合理的な公衆衛生指導を、われわれの心を操るための「影の国家」による悪意のある試みと受け止める陰謀論者だ」

     

    ロックダウン反対派は、合理的な公衆衛生指導を強調する。日本の自主規制は、この分類であろう。海外のロックダウン派から、日本の防疫対策は非難された。日本は、合理的な公衆衛生指導に自信があったので、緩い規制で通すことができたのだ。

     

    (3)「ジョージア州は同州で最も厳しい規制を今月1日に解除した。今はどうなっているのだろう。感染症専門病院に患者が殺到しているだろうか。遺体が通りに山積みにされているのだろうか。実際にはそこまでの事態には至っていない。速報値によると1日当たりの新規感染者数は51日の水準から半減した。1日の平均死者数は51日には36人だったが、先週には7人にまで減った」

     

    ジョージア州は、5月1日に規制解除したが、感染者数は半減している。

     

    (4)「ジョージア州は比較的小さい州で、人口も密集していないからと、ロックダウンをめぐる主張はあっさりと変化する。ではフロリダ州はどうか。フロリダは広くて人口も多く、各地から人々が集まってくる。人が死んでもおかしくないほどあちこちからウイルスが集まるのだから、間違いなくばたばたと人が死んでいるだろう。ところが実際にはフロリダでは新型ウイルスによる1日当たりの死者数は428日がピークで、今ではほぼ半減している」

     

    人口の多いフロリダは、死者数はピークの半減になっている。

     

    (5)「経済を再開した州のほとんどで状況は同じかそれほど変わらない。これらの州の知事はただやみくもに賭けに出ているわけではない。彼らが科学とデータ、それに経済学を活用しているのは明らかだ。彼らはウイルスによる死者数がピークを超えると、リスクのバランスが変化することに気が付いた。ロックダウンの便益はますます費用に見合わなくなっているように見える」

     

    前記の2州は、ウイルス死亡者がピークを越えると、ロックダウンの便益と費用の関係が逆転することに気付いていた。これは、極めて重要な「発見」だ。ロックダウンを長期継続すれば、その費用が便益を上回って市民は損失を被るのだ。死者数がピークを打ったら、その時点で、ロックダウンを解除すれば、便益が費用を上回るのである。

     

    (6)「ただ考えようによっては、そこが一番肝心な点だ。真実は複雑で、このウイルスについてわれわれが知らないことはあまりにも多い。経済上のリスクと健康上のリスクのバランスを適切に取ることは容易なことではない新型ウイルスへの対応は科学か無知か、あるいは善か悪かといった単なる道徳話ではない。だがそれでは「物語」にはなりにくい」

     

    新型ウイルスについては、未知のことばかりで安易な結論を出せない。だが、日本は世界一緩い規制で、第一波を乗り越えた。その実績は輝かしいものだ。理由は、前述の3点にある。これさえ守れば、日本は今後も大丈夫という結論が得られるはずだ。その意味で、この記事は、日本へ有益なヒントを与えてくれる貴重なものであろう。

     

     

     

    テイカカズラ
       

    韓国ほど旗幟鮮明でない国はない。朝鮮戦争で助けてくれた米国への恩義を忘れ、侵略してきた中国に秋波を送るというとんでもない行動を取っている。米韓同盟があるにもかかわらず、文政権は煮え切らない態度を続けているのだ。韓国は、同盟の意味を理解せず、漁夫の利益を得ようという、まことに信じがたい振る舞いである。

     

    韓国が、洞が峠を決め込んでいるのは、対中輸出が25%も占めているという事情がある。豪州も対中輸出比率は25%も占めているが、中国に対してコロナ問題で、堂々と正論を吐いており、あえて対立も厭わない外交姿勢である。中国は、牛肉の輸入を止めるなど、報復しているが、豪州は怯まないのだ。ビジネス(輸出)のために、正論も吐けない国家ほど、惨めな存在はない。韓国が、まさにこの状態である。

     

    『中央日報』(5月25日付)は、「危険レベルの米中対立、冷静な対応だけが韓国の解決策」と題する社説を掲載した。

     

    米国と中国の対立が危険な水準になっている。米国は中国を除いて産業サプライチェーンを新たに構築しようという「経済繁栄ネットワーク(EPN)」提案で「対中封鎖」カードを見せ始めた。中国は「香港国家安全法」制定で対抗した。両国間で「おかしな奴」「悪らつな独裁政権」という暴言までが交わされ、「新冷戦」構図が地球村に影を落としている。

    (1)「このような時期であるほど韓国政府は冷静かつ戦略的な対応が求められる。政治・軍事的には血盟の米国の立場に背を向けるのは難しい。しかし安保イシューを越えて貿易全般で米国の対中封鎖構想についていけば負担は大きい。結局、米中の間で「戦略的あいまい性」を維持し、懸案別に国益を最大化する案を見つけなければいけない。こうした点で、青瓦台(チョンワデ、大統領府)の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長が22日に「米中間の葛藤が激しくなり苦しい」と述べたのは、あえてそのような発言をする必要があったのか疑問だ」

     

    米中対立は、覇権争いである。中国が今の段階で名乗り出て、一騎打ちを演じるのは時期尚早も良いところだ。未熟者が、大人に戦いを挑むような暴挙である。世界における米国の位置と、パンダミックを引き起した新興国の中国が、同等のレベルと錯覚しているだけである。歴史的な視点で見れば、中国の振る舞いは奇異の一言である。

     

    独裁主義が、民主主義に勝てるのか。かのヒトラーや東条も敗北した。民主主義国は、先進国である。科学技術、経済力という総合国力で、独裁国という政治的未成熟国家に比べ優位な立場だ。一人一人の独創力を生かす民主主義国は、国民すべてを弾圧する独裁国に劣ると考えること自体、大きな錯覚に陥っている。こういう視点で米中対立を眺めれば、答えは自ずと出てくるだろう。韓国は、それができない盲目状態になっている。

     

    (2)「まだ米中が我々に公開的に「選択の瞬間」を強要した状況でない。政府関係者によると、キース・クラーク米国務次官(経済担当)が「韓国とEPN構想を議論した」と述べたが、構想段階の具体的な要請をしたとは考えにくいという。にもかかわらず「悩んでいる」という内心を表しながら我々の立場を「中間者」に限定する理由はあるのだろうか。任鍾ソク(イム・ジョンソク)前大統領秘書室長が、南北協力に対する米国の圧力を批判し、南北首脳会談の再開と対北朝鮮支援の拡大を主張したのも適切でない。いま南北関係が膠着しているのは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が韓国側との意思疎通を強く拒否しているからだ」

     

    韓国には、外交哲学が存在しない。李朝以来つづく迷走する外交は、歴史を見る目がなかったことを証明している。目先の利益で右往左往する。豪州の毅然とした外交姿勢を見るがいい。筋を通さない国家は、どこの国も信頼しないのだ。米韓同盟がある以上、自由主義国家の一員として行動すべきなのだ。

     

    (3)「政府が力を注ぐ中国の習近平国家主席の訪韓も慎重な接近が必要だ。いま中国は米国との対立激化で韓国など周辺国との関係を友好的に管理する必要性が高まっている。政府はこの機会を逆に活用するのがよい。習主席が我々の招請に先立ち自ら訪韓の意思を明らかにするよう誘導し、習主席の訪韓が米中間の緊張要素として作用しないよう議題を調整する戦略的な外交を見せるべきだろう」

     

    このパラグラフは、韓国が中国を利用しろと言っている。単純に利用される中国ではない。それをきっかけにして食込んでくる国である。秦の始皇帝以来、中国は2200年の謀略の歴史を持っている。韓国を飲み込む手法はいくつもあるはず。韓国は、隣国としてその実相を知り尽くしている立場だが、幼稚なことを考えているものである。



    (4)「11月の米大統領選挙が終われば、米中が妥協するという見方もある。しかし昨今の米中間の対立は本質的には21世紀のグローバル覇権をめぐる「ビッグ2」の争いだ。どちらか一方が勝つまで終わりにくい「ニューノーマル」でもある。こうした現実を無視して短期的な対応に重点を置けば、いつかは米中間で本当に「真実の瞬間」を強要される状況がくるかもしれない。長期的で構造的な努力も必要だ。何よりも韓国の全体輸出額の25%を占める中国だけに依存せず、市場を東南アジア・中東・欧州・南米などに多角化することに注力しなければならない」

     

    豪州は、経済面(輸出)で韓国と同じ立場である。それにも関わらず、堂々と正論を吐いている。韓国は、物欲しそうな顔でウロウロしている。中国にとって、どちらが御しやすいと思うか。それは韓国である。物を与えれば、簡単に尻尾を振ってくるタイプの国だ。民主主義は独裁主義より強い。この歴史的事実を反芻すべきだろう。独裁主義国家は、一夜にして滅ぶのが歴史の教えだ。情報管理の結果、倒れる寸前まで当事者以外は分からないのだ。


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    習近平氏が、いよいよ歴史の歯車の回転に取り込まれそうな状況を見せ始めている。中国の経済失速原因をつくったのは、「習独裁システム」が生み出したものだ。胡錦濤政権下であれば、武漢コロナの発症はすぐに北京へ報告されたであろう。党内の厳しい締め付けが、地方党幹部にコロナ隠蔽へ走らせたのだ。党内の風通しが良ければ、このようなパンデミックもたらすことはなかったであろう。独裁が、中国のみならず世界を破綻へと追い込んでいるのだ。

     

    中国経済は惨憺たるものだ。地方から北京へやってきた農民工は、2ヶ月間で2日しか働けなかったとNHK・TV(5月24日夜9時)で放映された。これでは、食っていけないと農民工が再び地元へ帰らざるをえなくなっている。街では、「仕事をください」と僅かな工賃(100円)でも稼ごうと、街頭でミシンを踏み作業している姿が映し出された。店舗の売却の張り紙も増えている。中国経済は、徹底的に打ちのめされている。不平・不満が溜まって当然という状況になっているのだ。

     

    コロナの不満に、仕事のない不満が重なればどうなるか。中国の群集心理は、過去の歴史が示すように暴動へ向かう。中国社会は、簡単に暴動へ加わる精神構造である。ここで、習近平氏が編み出したのは、不満を外に向けさせる「帝国主義」手法である。香港へ国家安全法を適用して、民主化要求デモを取り締まろうという強硬策に打って出る方針を固めたのだ。

     


    『日本経済新聞 電子版』(5月24日付)は、「香港で『国家安全法に反対デモ』180人以上を逮捕」と題する記事を掲載した。

     

    香港で24日、社会統制を強める「香港国家安全法」に反対する数千人規模のデモがあった。警察は物を投げつけた若者らに催涙弾を発射し、180人以上を逮捕するなど混乱が広がった。香港では国家安全法が「一国二制度」を骨抜きにして、言論の自由や政治活動の抑圧につながるとの反発が強い。今後、抗議活動が激しくなる可能性がある。

     

    (1)「今回のデモは香港政府が新型コロナウイルス対策で9人以上の集会を禁止してから最大規模。警察は違法なデモだと解散を命じたものの、若者らは制止を振り切って幹線道路を行進した。デモはSNS(交流サイト)で呼びかけられた。香港島の繁華街、銅鑼湾(コーズウェイベイ)に集まった若者らが「天滅中共(天が中国共産党を滅ぼす)」「香港独立」などと書かれたプラカードを掲げた」

     

    中国の「一国二制度」を踏みにじる行為は、絶対に認められない。これが、民主化要求側の姿勢である。自由と民主主義の拠り所である「一国二制度」が崩れれば、香港の良さはなくなるのだ。その危機感が、デモ参加者を増やすのであろう。

     

    (2)「デモ参加者は道路に障害物をおいて火を付けたり、一部の店舗を破壊したりした。新型コロナがほぼ終息した香港の繁華街は多くの買い物客らでにぎわっていた。多数の武装警察が出動し、公共交通機関が止まるなど混乱した。香港政府は「暴徒が傘や物を警察官に投げた。警察は暴力行為を阻止するために催涙ガスを使用した」と取り締まりを正当化した。香港では逃亡犯条例改正案をめぐる一連の大規模デモから6月で1年の節目を迎える。中国が開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で香港議会を通さずに国家安全法を制定する方針を突然打ち出し、市民の間では「一国二制度」が崩壊するとの危機感が高まっている」

     

    香港民主化要求側は、死に物狂いの抵抗をするであろう。実は、中国の暴挙に制裁を加える準備が、米国政府によって着々と進んでいる。

     

    『共同通信』(5月24日付)は、「香港安全法導入なら制裁も、米高官『自治保てず』」と題する記事を掲載した。

     

    オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は24日、中国が全国人民代表大会(全人代)で審議中の香港への国家安全法制を導入すれば、米国は中国と香港に制裁を科す可能性があると述べた。米NBCテレビに語った。

     

    (3)「オブライエン氏は、同法制について「中国が香港を乗っ取ろうとしている」と批判した。導入すれば、「一国二制度」の下で中国が香港に保障した「高度の自治」が維持されていると、米国務省が認定するのは難しくなると指摘。「そうした事態が起きれば、中国と香港に制裁が科されることになる」と強調した」

     

    中国と香港にとっては、取り返しのつかない事態が始まろうとしている。米ホワイトハウスは5月21日に発表した「対中国戦略的接近」報告書で、中国共産党の略奪的な経済政策、軍事力拡張、偽情報の散布および人権侵害など「悪質な行為」を概説したうえ、対中戦略の転換を打ち出した。この20ページに及ぶ報告書にトランプ大統領が署名し、米議会に送られた。中国にとって、まことに間の悪い事態となってきた。

     

    香港問題が、大きくクローズアップされ、習近平氏の想像もしていなかった事態が起こりそうである。専制主義が嵌り込んで、歴史の歯車の回転が始りそうである。

     

     

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