米国「マンハッタン計画」勝利
昨年末から中国ハッキング活動
来年3月に日本の国産ワクチン
新型コロナウイルスは、世界で9653万人余、死亡者数49万1000人余(6月28日現在)の被害を出している。死亡率は5.08%だ。一日も早いコロナ・ワクチンの開発が待たれていた。この期待に応える第一報が届いたのである。
米国のバイオ医薬品メーカーのモデルナは6月25日、開発中の新型コロナウイルス・ワクチンについて、米国の製薬会社キャタレントと提携し、7月以降アメリカ市場で供給を始める見通しと発表した。モデルナとキャタレントは、ワクチン1億回分を製造することで合意しているが、追加の数億回分の生産についても、提携の方向で協議しているという。以上は、『テレビ東京』(6月26日)が伝えた。
WHO(世界保険機関)の主任科学者、ソミヤ・スワミナサン氏は6月26日、コロナ・ワクチン開発状況について次のように明かした。『ロイター』(6月27日付)が報じた。
「英製薬アストラゼネカの新型コロナウイルス・ワクチンが開発面で最も進んでおり、最有力候補という見方を示した。記者会見で『開発がどれだけ進んでいるか、どの段階にあるのかという点で、アストラゼネカのコロナ・ワクチンは最有力候補だろう』と指摘。『そのため、かなり早い段階で成果を挙げる可能性がある』とした。また、米バイオ医薬大手モデルナのコロナ・ワクチンも7月中旬頃から第3相臨床試験(注:最終局面)に入ることが見込まれるため、アストラゼネカに『引けをとらない』と語った」。
英国のアストラゼネカと米国のモデルナは、コロナ・ワクチン開発競争で月桂冠を授けられる状況だ。これまでのワクチン開発に要した期間に比べて、革命的な時間短縮になっている。その背景は、次のようなものでる。
モデルナが手掛けるRNAワクチンは、鶏卵や動物細胞などでウイルスを増やす従来型のワクチンと異なる。一般的な化学物質と同様に化学合成で作るもの。これによって、開発時間を従来型に比べて短縮できた。物質の仕組みは単純だが、量産は技術の蓄積がないと難しい。血液中で分解されないような製剤化技術や、成分を均質に保つには特殊な技術が必要である。以上は、『日本経済新聞』(6月27日付)が報じた。
米国「マンハッタン計画」勝利
ワクチン開発競争は、まさに国家としての科学力と資金力が問われる「国家イベント」になった。米国のモデルナが、7~9月にコロナ・ワクチンの供給にこぎ着けられる裏には、米国内での民間ボランティア推進グループが、今年に入って急遽つくれたという隠れた事情がある。献身的な努力で政府に働きかけ、それが実ったのである。次のような活動内容である。
「米国のトップレベルの科学者と億万長者、経済界の大物たちで構成される十数人のグループは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)問題で解決策があると主張している。そして彼らは、米政府にこうした計画を持ち込むための『裏口』を確保している」。こう報じたのは『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月28日付)である。国難ともいうべきパンデミックに遭遇して、従来の方式ではコロナ特効薬もワクチン開発も途方もない時間がかかるとして、「前例を踏襲せず」を原則とする破格の活動を展開した。
この活動は、国家的危機に遭遇したときにどのようの取り組むことが、最も効率的であるかを示している。
1)これら科学者とその支援者たちはグループの取り組みについて、第2次大戦中に原爆開発に関わった科学者グループにちなみ、ロックダウン(都市封鎖)時代の「マンハッタン計画」と表現している。ただし今回の科学者らは、世界中から集められた非凡なアイデアを精査するために頭脳と資金を駆使している。
2)グループは自らを「COVID-19」を食い止める科学者たち」と呼んでいる。その中には、化学生物学者、免疫学者、神経生物学者、時間生物学者、腫瘍学者、胃腸科専門医、伝染病学者、原子物理学者などが含まれている。生物学者で2017年にノーベル生理学・医学賞を受賞したマイケル・ロスバッシュ氏もプロジェクトの中心となっている科学者の一人だ。(つづく)