勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年06月

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    韓国経済は、確実に死期を早めている。皮肉にも、それを促進させているのが文政権である。最低賃金大幅引き上げが、賃金コストを押し上げており、企業の不況抵抗力はゼロである。しかも、売上高も減っている。典型的な「減収減益」という最悪事態を迎えている。

     

    『中央日報』(6月4日付)は、「韓国企業、新型コロナの影響受ける前に売り上げすでにマイナス」と題する記事を掲載した。

     

    昨年利子を払えるほどの利益も稼げなかった企業の割合が過去最高水準に高まった。企業の売上額も4年ぶりに後退した。韓国銀行は3日、こうした内容の「2019年企業経営分析(速報値)」を発表した。韓国銀行が外部監査対象非金融営利法人企業2万5874社を対象に調査した昨年の成績表だ。

    (1)「成長鈍化が目立った。2017年に9.9%を記録した売上額増加率は2018年には4.2%と半減し、昨年はマイナス1.0%まで落ち込んだ。1年間企業を運営したが規模が成長するどころか縮小した格好だ。業種別では製造業が2018年の4.5%から昨年はマイナス2.3%に急落した。自動車と造船が上昇したが、石油・化学などを中心に大幅下落した。非製造業も建設業を中心に3.8%から0.8%に下落した。企業規模別では大企業が4.3%からマイナス1.5%で、下落幅は中小企業の3.9%から1.5%より相対的に大きかった。昨年韓国経済を強打した輸出不振の余波だ」

     

    昨年の売上高増加率は、マイナス1.0%であるから減収である。減収になれば、損益分岐点が上がるので、減益は不可避である。昨年のGDPデフレーターが、マイナスになったことと無縁でない。韓国経済は、老衰が始まったと見て間違いない。「Kモデル」などと悠長なことを言っていられる状況でなくなった。危機への第一歩が始まっている。

     

    (2)「収益性も悪かった。2019年のこれら企業の売上高営業利益率は4.7%だった。前年より2.2ポイント下落した。商売にならず、ものを売っても利益がほとんどないという意味だ。韓国銀行関係者は「細部的に売り上げ原価と販売管理費の割合が上昇し利益率が低下した」と話した。インタレストカバレッジレシオも2018年の593.3%から昨年は360.9%と大幅に落ちた。インタレストカバレッジレシオは営業利益を金融費用(利子)で割った値だ。企業が金を借りて利子を返せる能力を示す指標だ。これが低くなるということは企業が健康に成長できないという意味だ」

     

    昨年の売上高営業利益率が4.7%である。5%を割ると、税金を払ったあとの利益は僅少になる。研究開発費に資金を回すゆとりは減る。将来の成長の種が、それだけ減ることを意味するのだ。

     


    (3)「特に営業利益で利子も返せないインタレストカバレッジレシオ100%未満の企業の割合は34.1%で、2013年に調査を始めてから最も高い数値に上がった。企業の3分の1以上が金を稼いでも利子を返せないという話だ。売上高営業利益率が下落したのに対し金融費用負担は大きくなったためだ」

    営業利益で利子も払えない、インタレストカバレッジレシオ100%未満の企業が、34.1%と3分の1も占めていることは深刻である。いわゆる、ゾンビ企業である。潜在的倒産予備軍がこれだけ存在することは、韓国企業経営が、厳しい局面にあることを示している。売上高営業利益率が低いのは、理由あってのことである。賃金コストの上昇である。

     

    『朝鮮日報』(6月2日付)は、「韓国の労働コスト、労働生産性を上回る伸び」と題する記事を掲載した。

     

    韓国では労働生産性よりも労働コストの伸びが急で、製造業の競争力が低下しており、韓国企業のリショアリング(製造業の本国回帰)を阻んでいるという分析が示された。

     

    (4)「韓国経済研究院は1日、米民間調査機関コンファレンスボードのデータを分析した「製造業単位労働コスト国際比較」を発表した。2010~18年の韓国製造業の単位労働コストは年平均2.5%増加したのに対し、中国、米国、ブラジル、インド、メキシコなど韓国企業の進出が多い主要10カ国の単位労働コストは年平均で0.8%低下したとする内容だ。単位労働コストは商品1単位を生産するのに必要な労働コストを指す。単位労働コストの増加は1人当たりの労働コストが1人当たりの労働生産性よりも急速に上昇し、コスト競争力が低下したことを意味する」

     

    2010~18年の韓国製造業の賃金コスト(労働コスト)は、年平均2.5%上昇している。一方、韓国企業の進出が多い主要10ヶ国は、年平均0.8%低下している。賃金コストは、労働生産性と賃金の上昇率で算出される。賃金コストの上昇は、生産性を上回る賃上げが行なわれていることの証明だ。韓国の労組が、世界最強という意味は賃金コスト上昇で分かる。これを、プッシュしているのが文政権である。

     

     (5)「同院によると、10~18年の韓国の1人当たり労働コストは年平均5.2%増加したが、1人当たり労働生産性の伸び率は年平均2.6%にとどまった。一方、10大進出先の国々では平均で1人当たり労働生産性が年3.9%向上したのに対し、労働コストは年3.0%の伸びにとどまった」

     

    前記の韓国における賃金コスト上昇の内訳が、このパラグラフに記述されている。韓国の賃金上昇率が、労働生産性伸び率のちょうど2倍になっている。韓国経済は、この跛行性にいつまでも耐えられるはずがない。昨年から、ついに限界を超えたことが分かる。文政権が、「執行人」である。


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    深圳といえばハイテク都市で有名である。若者が集り活気ある成長都市として名を売ってきた。その深圳で住宅ローンが払えない人が、この1年で6割も増えている。なにやら、中国衰退を暗示する話である。

     

    『大紀元』(6月3日付)は、「『もう住宅ローン支払えない』返済不能が1年で6割増、中国深圳」と題する記事を掲載した。

     

    中国インターネット上ではこのほど、新型コロナウイルス感染症による経済的な打撃で、広東省深圳市で住宅ローンの返済不能が急増しているとの投稿が相次いでいる。同市の裁判所が、住宅貸付契約に違約した市民から差し押さえて、競売に出した物件は過去1年間で6割増加したとの情報もある。

     

    (1)「中国国内ニュース配信アプリ『今日頭条』では531日、ユーザーが、深セン市内の銀行1社だけで、5月の住宅ローン滞納口座が1万3000件に達したと投稿した。同銀行の関係者は、これまで毎月1000~2000件の住宅貸付契約違約口座が発生していたが、5月の急増は「全く予想しなかった」という。記事は、「市内すべての違約口座件数を統計すれば、恐ろしい状況になるだろう」とした」

     

    5月の住宅ローン滞納口座が1万3000件に達したという。それまでは、毎月1000~2000件であった。それが、一挙に6倍以上という増え方である。5月と言えば、コロナ禍から経済が次第に回復期に向かいつつある時期だ。これまで、貯金を取り崩して住宅ローンを支払ってきたが、それも限界にぶつかったということであろう。となると、6月以降の住宅ローンの滞納はさらに急増しそうである。

     


    (2)「国内ポータルサイト『騰訊網』など一部のメディアは61日、深圳市で住宅ローンの滞納が拡大しているとの情報は「偽情報だ」と反論し始めた。『今日頭条』では、同投稿は取り下げられた。一方、中国版ツイッター『微博』では527日、深圳市で新型コロナウイルスの感染拡大により失業者が急増したため、「もう住宅ローンを支払えない!」とマイホームを手放さざるを得ない市民が増えているとの投稿が注目された。「過去1年間で、深圳市の裁判所による物件競売件数は60%急増した。景気の悪化で、将来住宅ローンの滞納はさらに増えるだろう」。住宅情報サイト『房天下』は5月上旬、中国の金融機関は現在不動産企業の倒産ラッシュと住宅ローンの滞納急増に頭を抱えていると明らかにした」

     

    深圳市での相次ぐ住宅ローンを支払えない訴えの背景を考えると、ウソ情報ではないだろう。第一は、深圳市は成長都市として住宅価格が最も値上りした都市である。第二は、IT関連が輸出停滞で景況が悪化していることだ。輸出で伸びてきた都市だけに、その影響は大きいはずだ。住宅ローンの滞納急増は事実だろう。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月2日付)は、「見た目より悪化している中国経済」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「中国経済は、新型コロナウイルスのロックダウン(都市封鎖)からいち早く抜け出した。中国政府は最近、これをかさに着て強硬な外交姿勢を示しているのかもしれない。だが、中国の労働市場を詳しく見ると、この回復の動きには幾つかの疑問が浮上する。中国都市部の失業統計では、4月に失業中だったのは回答者のわずか6%と、米国の約15%を大幅に下回っている。しかし、ほとんどのエコノミストはこの2つの数字を直接比較できるとは考えていない。1つの理由として、中国の数字には景気後退時に地方に戻る出稼ぎ労働者が含まれていないからだ」

     

    中国の失業率は、都市労働者だけが対象である。農村部の失業状態は計算されていない。それゆえ、中国の失業統計を信頼する者は一人もいない。

     


    (4)「オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の推計では、中国の4月の失業者と不完全就業者(不本意ながらパートタイム労働に従事せざるを得ない人や積極的に求職していない人を含む)を合計した広義の失業率は16%前後となる計算だ。中国経済調査会社のギャブカル・ドラゴノミクスは、34月の失業者は6000万~1億人と、非農業部門就業者の11~20%に上るとみている。
    これらの数字でも、4月時点で米国の広義の失業率(失業・不完全就業・非求職者を含む)が22%だったことに比べれば、ましに見える。

     

    外国人が、中国の農村部を含めた失業率を推計しており、4月の広義の失業率は16%前後となる計算だ。4月時点で米国の広義の失業率が22%だったことに比べれば、若干は良かった計算だ。

     

    (5)「米中の差はもはやそれほど著しいものではない。加えて、貿易が打撃を受けているため、中国で不完全就業状態にある出稼ぎ労働者の多くは、すぐにフルタイム雇用に戻ることが困難だ。5月31日に発表された中国の5月の製造業購買担当者指数(PMI)では、新規輸出受注はまだ、世界金融危機のどん底にあった2009年初めに匹敵する水準で落ち込んでいることが明らかになった」

     

    深圳市の住宅ローンの未返済が急増しているのは、以上の中国全般の失業状況から見て十分にあり得ることである。露店で現金収入を得る人々が増えている事情から見ても、中国経済の末端では異変が起こっているはずだ。

     

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    3つの疑惑で検察が捜査

    慰安婦で反日を煽る悪質

    貧困が生む慰安婦の悲劇

    進歩派の奸計で白を黒に

     

    韓国における反日の原点は、35年間に及んだ植民地支配への怨念である。その間に受けた近代化へ向けた教育・技術・交通など幅広いインフラ整備のメリットは一切、無視して非難だけを続けている。そのシンボルが、元慰安婦問題である。この問題は、事実関係の検証すら親日行為として許さないのだ。これが、韓国進歩派の姿である。

     

    今、進歩派という言葉を使ったが、実態は民族主義である。他国で保守派に位置づけられる民族主義が、韓国では進歩派の主張になっている。アベコベである。韓国では、保守派が制度的イノベーションを積極的に推進する。進歩派は、労組や市民団体の既得権益集団を擁護する保守的な行動を取っている。このように韓国の政治状況は、完全に保守派と進歩派が入れ替わっているのだ。

     

    韓国進歩派は、慰安婦問題を反日のシンボルにしている関係上、この問題で異説を唱える者をすべて排除する極端な行動を取る。5月21日発行のメルマガでは、「検察のメスが入った元慰安婦支援運動、たった1人で率いて韓国食い物に」と題して、元慰安婦支援団体が、捜査対象になっている事実を取り上げた。

     

    3つの疑惑で検察が捜査

    慰安婦支援団体の「正義記憶連帯」(正義連)の前リーダー尹美香(ユン・ミヒャン、先の総選挙で国会議員に当選)氏が、告発されて検察捜査が入っている。その容疑は、次の3点である。

    1)政府の補助金と国民の募金が、会計書類に記載されなかった「会計不正」疑惑

    2)資金の一部が、尹氏の個人口座に入金されたという「横領」疑惑

    3)尹氏が、京畿道安城市の慰安婦被害者休養施設を高値で購入という「背任」疑惑

     

    「会計不正」、「横領」、「背任」という3つの疑惑が、元慰安婦支援団体を率い、厳しい反日運動を展開してきた人物に科されているのは、深刻な事態であろう。真相は、検察の捜査を待たなければならない。小学生まで寄付した募金の使途が、不明となれば由々しき事態だ。

     

    尹錫悦(ユン・ソギョル)検察総長が、「(正義連に)政府の補助金が投入されている以上、迅速に捜査を行い、メディアが指摘した全ての疑惑を明確に究明してもらいたい」と大検察庁幹部に指示したことが分かった。4月の韓国総選挙以降、尹錫悦検察総長が公に下した初の捜査指示となる大型犯罪である。

     

    ここで、不可思議なことが起こってきた。告発した旧慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さん(92)に対する人身攻撃が深刻なことだ。いずれも、韓国進歩派の人たちが悪質なデマと非難を浴びせる事態になっている。旧慰安婦の人たちは、「神聖化」されている。日本植民地主義の「生け贄」にされたという存在だ。元慰安婦を象徴する「少女像」は、唾したり紙を貼ったりすれば犯罪として処罰される。元慰安婦はそれほど、「神格化」された位置が与えられているのである。

     

    その生き本尊の元慰安婦が、不正を告発したばかりに非難中傷されている。これは、理解不能な事態が発生したと言うほかない。同じ進歩派に属する「正義連」の前リーダー尹美香氏を告発したことが、進歩派として許さないという論法である。そこで、どんな非難がされているか見ておきたい。

     

    「李さん(注:告発者)に対する露骨な攻撃は、オンライン上の関連記事のコメントを見ても分かる。李さんの容貌や慰安婦被害者としての行跡、過去の発言に言及しながら暴言を浴びせている。ありもしない事実または推測による非難までさまざまだ。『認知症だ』『ぼけている』などの非難から『本当に大邱(テグ)の人らしい』(注:李さんは大邱出身)など地域侮辱発言までが出ている」(『中央日報』6月1日付)

    慰安婦で反日を煽る悪質

    前記の記事の中に、韓国慰安婦問題に対する認識が、完全に変質していることに気付くであろう。韓国にとっての慰安婦問題は、元慰安婦の人たちへの労りの心でなく、政治運動として日本をやっつける「反日の材料」に使っていることが明白である。だから、告発者を非難し、被告発者を擁護するという逆立ち現象を見せることになった。

    (つづく)

     

    テイカカズラ
       

    米中対立は、冷戦状態に入っている。この結果が、中国経済に大きな痛みを残すことは不可避となった。中国の過剰負債は、これ以上の増加に耐えられない状態であるからだ。とりわけ家計負債が急増しており、すでに住宅ローンの返済が急速に滞っている。

     

    こういう状況の中で、米運輸省は3日、中国の航空会社による米中間の運航便を6月16日から禁止すると発表した。米航空会社が新型コロナウイルスの影響で停止していた中国便の再開を中国政府に申請していたが、中国側が認めないため対抗措置を取るという。米中の対立が一段と激しくなっている。『日本経済新聞 電子版』(6月4日付)が伝えた。

     

    中国の航空会社4社は、新型コロナの感染が拡大した後も大幅に減便したものの、米国との運航を一部続けてきた。運航を止めれば米中間の人の往来が一段と厳しく制限されることになる。米国は、中国とのデカップリングを準備しているが、離婚に喩えれば双方が痛みを覚えるもの。米国の受ける痛みはどの程度か。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月3日付)は、「中国との『離婚』、米国は高い代償を支払えるか」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)や中国による香港への統制強化を背景に、欧米諸国では中国からの経済的なデカップリング(分離)を求める声が高まっている。ドナルド・トランプ米大統領は5月、「(中国との)関係自体を断つ」ことも辞さない構えをみせた。フランスやオーストラリアも中国に対する深い懸念を表明している」

     

    米国だけが、中国に愛想をつかした訳でない。フランスや豪州も中国への懸念を深めているのだ。トランプ大統領が、激怒の余り「ナタ」を振るうのでなく、ヨーロッパも中国という国に呆れかえっている。

     

    (2)「ロイター通信の報道によると、米国は250億ドル(約2兆7000億円)に上る「(製造業拠点の)本国回帰基金」を検討しているとされるほか、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への締め付けも加速させている。米国はさらに、国内ハイテク企業や大学への就職・留学を目指す中国人エンジニアや学生へのビザ承認を遅らせるか、取り消すなどして、米中の人材交流も標的にしている。巨大な中国市場は無視できない存在だ。調査会社ロジウム・グループによると、米国の中国への直接投資は2012年以降、年間150億ドル前後で安定している。だが、地政学やテクノロジー、イデオロギー上の競争が自己実現的になっていく中で、ある程度の米中関係の巻き戻しは不可避のようにみえる」

     

    中国は、欧米諸国から警戒されており、中国の投資を拒否し始めている。これは、将来の高収益地域から締め出されることで、それだけ投資機会を奪われることを意味する。中国が財政困難な発展途上国を相手に「一帯一路」事業を手がけても見通しは暗い。米中冷戦は、投資機会という点でも中国の完敗である。

     

    (3)「その代償は米中双方にとって相当なものになるだろう。米国が中国に頼っているのは、マスクや「iPhone(アイフォーン)」の購入だけではない。中国企業は米国の先端ハイテク技術の主要顧客であり、中国人学生が米大学を資金面で支え、数十年に及ぶ科学・数学の基礎教育に対する投資不足を穴埋めしてきた」

     

    短期的には、米国の方の「離婚コスト」が高いものにつくかもしれない。サプライチェーンのハブが中国にあるからだ。中期的には、生産機能の「脱中国」で、中国は米国という世界最大の輸出市場を失って、経済はキリモミ状態に落込む。恒常的な中国のGDP成長率は、2%見当に落込むという予測が早くも出ている。敗北は、中国である。中国は、米国という技術ソースから切り離される。自力更生という訳にはいかないのだ。

     


    (4)「米国の大学について考えてみればいい。過去10年に連邦政府による研究費支出が低迷する中でも、米大学は科学分野のイノベーションで最先端の地位をなお維持している。その理由の1つに、高い費用がかかる米大学の学位に対する海外からの旺盛な需要がある。中国人学生はその最大の顧客で、外国人留学生全体のおよそ3分の1を占める。中国人学生が支払う教育費やその他の関連支出は2017年に139億ドルに上った。非営利団体のピュー慈善財団によると、これは同年における連邦政府の大学向け研究費のおよそ半分に相当する。中国人学生の専攻は圧倒的に科学に集中しており、そのまま米ハイテク企業に就職するなどして、労働コストの引き下げにも寄与している」

     

    中国からの留学生の減少が、米国経済に与える損害は大きいという。ただ、中国留学生の減少でも、スパイによる技術漏洩の損失を考えれば総合コストは安くなるであろう。

     

    (5)「軍事上の潜在的な競合国から中核のネットワーク機器を購入するのは賢明ではなく、安全保障上の影響が明確なテーマに関する研究協力は厳しい審査を受けるべきだ。必要不可欠な医療備品はより本国に近い場所で生産する必要がある。だが、サプライチェーンや教育分野における米中のつながりを断とうする広範な取り組みは、米国の競争力にも大きな代償をもたらすという点に米国内の安全保障タカ派は留意すべきだ。仮にデカップリングが進めば、それによって生じる不足分を穴埋めするため、連邦政府は基礎研究(および科学・数学教育)に対する支出を一段と拡大する必要があるだろう」

     

    米国は、中国排除を最終決断する場合、これまで中国が占めていた部分の「空き」をどこの国によって埋め合わせるか、というバランス調整が必要になる。当然の話だ。そういう補正策を持たずに一路、デカップリングに進めるはずがない。それは、言うも野暮ということだ。

     

    (6)「そうなれば、増税に加え、中国人の頭脳流出を相殺するため、インドなど外国から優秀な人材を求め、一段と積極的な移民受け入れ政策を取り入れる必要が生じるかもしれない。さらに米国の消費者は、安全かつ多角化された高価なサプライチェーンのために、より高い値段を支払う覚悟が必要になる」。

     

    米国が、自らの覇権に向かってあからさまに挑戦してくる中国へ、妥協する必要があるだろうか。過去の歴史でも、そういう例は聞かない。それが、「安全保障のジレンマ」と言われる部分だ。中国が挑戦すれば、米国と同盟国が防衛を固めて、中国に挑戦を諦めさせるはずだ。旧ソ連の崩壊は、その良き例である。中国が、一国で西側陣営と対抗する無益さを考えるべきだ。そうすれば、答えは自ずと出てくる。中国が、それを覚るまで冷戦という緊張状態は続くであろう。


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    韓国は、米国トランプ大統領からG7へオブザーバーでの出席に招待されて大喜びである。トランプ大統領からの招待電話に出席を即答したほど。メディアは、「国格が上がる」とはしゃいでいる。一方、中国が招待から外されていることから、韓国が「反中連盟」へ加担したと思われたくないという懸念の声も。「事大主義」韓国の悩みは尽きない。

     

    『中央日報』(6月3日付)は、「トランプ大統領『G7招待』すぐに応じた韓国、気になる中国は『仲間外れ』発言」と題する記事を掲載した。

     

    米国のドナルド・トランプ大統領が1日、韓米首脳電話会談で韓国の主要7カ国(G7)合流を公式に提案しながら韓国外交が新たな転換点を迎えている。これについて、韓国が国際舞台で一段階飛躍できる機会となるのか、あるいは米中の間で苦しい立場に立たされることになるのか、見方は交錯している。

     

    トランプ大統領の「G7拡張構想」はドイツのアンゲラ・メルケル首相が「トランプ大統領のG7会議の出席要請を断った」というメッセージとほぼ同時に出てきた。公営「ドイチェ・ヴェレ」によると、ドイツ総理室報道官は30日(現地時間)、「コロナ状況が拡散していて6月末にワシントンDCで開催されるG7会議への直接出席は難しい」と明らかにした。このような脈絡で見ると、今回のトランプ大統領の構想は米国にもう少し友好的な国を引き入れてG7体制を拡張しようとする試みとも考えることができる。G7のうち、トランプ大統領はドイツ・フランス・カナダなどと摩擦を起こしてきた。パリ気候変動協約からの脱退(2017年)、イラン核合意からの脱退(2018年)に続き、今年に入ってからは世界保健機関(WHO)から脱退すると主張しながらだ。



    (1)「このように集めた友好国と「対中国共同路線」を見せるためにG7を活用するという意図を米国は隠さなかった。これに先立ち、ホワイトハウスが今回のG7会議の主題は「伝統的な友好国と中国の未来をどのように扱うのかに関すること」になると確認した。
    トランプ大統領の突発構想で招待を受けた国も、既存G7国家も外交算法が複雑になった。
    ひとまず韓国はすぐに受諾した。青瓦台(チョンワデ、大統領府)によると、文大統領は「G7体制は全世界的な問題に対応して解決策を見出すことに限界がある。招待に喜んで応じる」と答えた」

     

    文大統領は、トランプ大統領の招待に「光栄です」と受託した。G7に招待されることは、確かに光栄であろう。名実ともに「先進国クラブ」であるからだ。韓国の夢は、「先進国」と呼ばれることにある。

     

    (2)「韓国政府はこの日、トランプ大統領の「G7招待」はオブザーバー資格ではなく、正式メンバーで参加するよう提案されたと解釈している。韓国がこのグループに入ることになれば、2008年主要20カ国・地域(G20)への合流以降、国際舞台で新たな飛躍を試みることになるのは間違いない。西側国家中心のG7は中国が含まれたG20に比べて「西側インナーサークル」的な性格が強いためだ。青瓦台の姜ミン碩(カン・ミンソク)報道官も2日、記者団に会い「G7にオブザーバー資格で参加する今回限りの一時的な性格のものではなく、新しい国際体制の正式メンバーになる」としながら「わが国が世界秩序を導くリーダー国の一つになるという意味」と評価した。

    韓国の喜びようは、下線部分に現れている。G20よりも格が一段上であるからだ。この喜び方の中に、反日のカギが隠されている。「憎い日本」は、ジェラシーである。その日本と肩を並べられるという昂揚した気持ちになるのだ。

     

    (3)「問題は中国の反発の程度だ。米国が露骨な中国対抗戦線を張ろうとしていることから、共同声明にもこのような内容を盛り込もうと提案する可能性があるからだ。G7会議は毎回共同声明を出しているわけではないため、意見の隔たりが大きければ声明採択が失敗に終わる可能性もある」

     

    韓国は、中国の反応が気になる。韓国が、「反中連盟」に参加したと、受け取られる懸念である。米国の招待で参加する以上、米国の意向に反する言動はできないからだ。



    (4)「トランプ大統領は9月15日から米国ニューヨークで開催される「国連総会前後の週末」と時点まで具体的に取り上げているが、この時期と習近平国家主席の訪韓が重なれば韓国はさらに難しい立場に立たされることになる。今年を韓中関係改善の機会とみなしてきた韓国に、G7会議への招待は米国が「拒否できないニンジン」を目の前にぶら下げたともいえる。
    実際、中国外交部の趙立堅報道官は2日、「中国を狙って仲間外れをすることでは歓心は得られない」としながら「このような行為は関連国の利益にも符合しない」と話した。趙報道官が言及した「関連国」には韓国も当然含まれる
    トランプ大統領の構想が実現するかは未知数だ。すでにロシアが否定的な立場を明らかにしたほか、日本は韓国のG7正式メンバー入りをけん制しているからだ」

     

    早速、中国からは韓国へ牽制球が飛んできた。「中国を狙って仲間外れをすることでは歓心を得られない」とクギを刺している。中国は、韓国を「関連国」に数えているのだ。二股外交の落し穴である。今回のトランプ招待は、文字通り「一回限り」である。来年は、G7の主催国が代わる。正式メンバーになるには、参加国の了承が必要だ。日本は、反日国の韓国を歓迎するはずがない。となれば、韓国の糠喜びに終わる。






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