勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年07月

    テイカカズラ
       

    英米がしのぎを削っているコロナワクチンの効果について、英国専門家から「冷めた」指摘がされた。1回の接種で、生涯にわたりコロナに感染しないという保証はないというのだ。庶民にとっては、「それでも結構です」という心境であろう。新型コロナウイルスが、いかに悪質であるという意味だろう。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(7月30日付)は、「英専門家、『コロナワクチン』免疫持続は期待薄」と題する記事を掲載した。

     

    この1週間、新型コロナウイルス感染症の予防接種に向けた有望な試験結果が相次いで発表された。だが、英政府の専門家組織であるワクチン研究・開発タスクフォースのケイト・ビンガム座長は、生涯免疫が持続する「特効薬」はないとして、高まる期待に水を差した。

     

    (1)「ビンガム氏はフィナンシャル・タイムズ(FT)との取材で、科学者が開発するワクチンは、1年間の免疫を獲得するものか、感染症の症状を緩和するだけのものにとどまる可能性が高いとする見方を示した。英国でのワクチン開発や生産、普及に向けた取り組みを統括する立場の同氏は、「現時点の想定は、1年の免疫を獲得するところまで(開発を)急ぐということだ」と話す。「気がかりなのは、人々は特効薬が手に入ると考えていることだ。だが恐らく、そうはならない」と指摘する」

     

    ワクチン専門家から見ても、開発するワクチンが1年間の免疫を獲得するものか、感染症の症状を緩和するだけのものにとどまる可能性が高いという。1回の接種で生涯安全という保証はないというのだ。

     

    (2)「ヘルスケアに特化した資産運用会社SVヘルス・インベスターズのマネジングパートナーも務めるビンガム氏は、2回に分けて接種するワクチンであっても、免疫効果が長続きしないかもしれないとくぎを刺す。「毎年、追加で接種する必要があるかもしれない。我々としては最低限、症状を抑え、感染者の死亡を食い止めたい。おそらくそれが(現在開発中のワクチンでは)限界であろうことを受け入れなければならない」と指摘する。

     

    下線のような限界はあるとしても、現在のような無防備な状況から一歩も二歩も進められれば、「急場しのぎ」になる。その後は、研究でワクチン改良版の出現を期待したい。

     


    (3)「専門家は依然として、1回もしくは2回の接種で永続的な免疫が獲得でき、ウイルスを死滅・不活性化するワクチンを開発する希望を捨ててはいない。だがビンガム氏は、現時点ではどのコロナウイルス株に対してもワクチンが存在しないことを指摘。その上で「ゼロからそのレベルまで持って行くというのは、相当な飛躍がある」と話す。後期のワクチン治験の目的は、参加者が新型コロナウイルス感染症にかかるのを防ぐことだ。だが、研究者らは、患者が重症化するのを食い止められるかどうかにも注目している。つまり、初期のワクチンは感染予防というより、感染者の入院を減らすことにとどまる可能性を認めた格好だ」

     

    現在、ワクチン治験はいずれも3万人規模というもの。英米が、それぞれ第3相治験に入っている。米国では、大統領選にも影響するとあって、トランプ政権は多額の資金を提供して、ワクチン完成を後押ししている。

     

    (4)「ビンガム氏の見立ては、複数のワクチンに新型コロナ感染症の重症化を軽減する効果が認められた場合、免疫反応を高めるために、患者によって異なる選択肢の組み合わせが与えられるというものだ。1回接種タイプか、2回に分けて接種するタイプのワクチンになるのかをまだ明らかにしていないアストラゼネカとオックスフォード大学を除けば、これまでの治験はすべて、最初の接種後に追加で免疫を高める「ブースター」を接種する、2回接種タイプのワクチンだ」

     

    英国のアストラゼネカとオックスフォード大学の研究中ワクチンは、1回接種で効果を維持できるのか不明である。他の医薬品メーカーは、2回接種タイプのワクチンである。米国の医薬品メーカーのモデルナは、2回接種タイプだ。

     


    以上のように、コロナワクチンは完成目前で微妙な段階にある。中国ハッカーは、ここを狙って猛烈なハッキングを米国モデルナ社に仕掛けている。

     

    『ロイター』(7月30日付)は、「中国政府系ハッカー、米モデルナ標的 コロナワクチン情報巡り」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府と関係するハッカーらが今年に入り、新型コロナウイルスワクチンに関するデータを盗むため、米バイオ医薬大手のモデルナを標的にしたことが、米治安当局者の話で分かった。司法省は先週、新型コロナウイルスに関する研究データや軍事機密などをサイバー攻撃により盗んだとして、中国人2人を起訴したことを明らかにした。起訴状によると、2人は今年1月、コロナワクチン開発で知られるマサチューセッツ州のバイオ企業のコンピューターネットワークに対し「偵察」を行ったとされる。

     

    (5)「モデルナはロイターに対し、連邦捜査局(FBI)から接触があり、ハッカーらが行ったとみられる「情報偵察活動」を認識していると表明。「当社は、潜在的なサイバーセキュリティーの脅威に引き続き厳重に警戒しており、当社の貴重な情報の保護や継続的な脅威の評価に向け、社内外の支援を確保し、外部当局との良好な協力関係を維持している」と述べた」

     

    モデルナの極秘情報は、当局によって守られている。ハッカーが、今さら手を出してもFBIに尻尾を掴まれるだけだ。中国も往生際が悪い。


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    11月に控えた米国大統領選まで、あと3ヶ月余と迫った。トランプ大統領は、世論調査で民主党候補予定のバイデン氏に8ポイントもの差を広げられている。これを見る限り、誰でも「バイデン大統領」を想像しがちだ。選挙のプロによれば、これは「素人予想」だそうである。今日は、その筋の専門家の見方を二つ紹介したい。

     

    『日本経済新聞 電子版』(7月18日付)は、「衝撃の『トランプ氏再選確率91%』予測」と題する記事を掲載した。

     

    これは、同紙ワシントン支局中村亮記者のブログである。

     

    (1)「米大統領選の結果を独自モデルで当てるニューヨーク州立大の名物教授、ヘルムート・ノーポス氏の今年の予測に選挙関係者の間で驚きが広がりました。91%の確率でトランプ大統領が再選すると予測したからです。世論調査では野党・民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領が優位との見方が相次いでいますが、なぜトランプ氏の勝利を予測することになったのでしょうか」

     

    (2)「カギは共和・民主両党がそれぞれの大統領候補を決める予備選の序盤の結果から大統領選を予測していることにあります。予備選で圧勝するほど支持者の熱意があると見なします。熱意があるほど投票率が上がりやすいとされます。バイデン氏は序盤の中西部アイオアや東部ニューハンプシャー両州でそれぞれ4位、5位と大きく出遅れました。一方でトランプ氏は有力な対抗馬が現れず楽々と候補指名を固めました」

     

    (3)「いいかげんにも見えますがノーポス氏には「実績」があります。2016年11月の大統領選で同年3月にトランプ氏が87%の確率で勝利すると予想したのです。過激な発言を繰り返すトランプ氏の当選を予測する声は3月時点でほぼ皆無でした。さらにノーポス氏のモデルに基づくと、1912年以降に行われた27回の大統領選のうち25回で結果を正確に当てることができたといいます」

     

    (4)「トランプ氏は16年の大統領選直前に女性蔑視発言が暴露されたり、議会で弾劾訴追されたりしても驚異的に巻き返してきました。新型コロナウイルスや人種を巡る危機から再起して再選を勝ち取り、名物教授の予測が見事的中するのか注目が集まります」

     

    トランプ氏の傍若無人の振る舞いは、いわゆる「インテリ」から天敵のように嫌われている。だが、白人・高校卒というグループからは圧倒的な支持を得ている。前回の大統領選勝利は、世論調査の盲点を突く、共和党独特の選挙運動が功を奏したと指摘されている。身体の不自由な有権者には、投票所まで送迎役を買って出たとのだ。今回の大統領選では、何をやるか。

     

    ヘルムート・ノーポス氏の今年の予測では、91%の確率でトランプ大統領が再選すると予測している。前回大統領選では87%の確率で「トランプ勝利」であった。今回の方がさらに当選の確率が高まるというのだ。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(7月28日付)は、「トランプ氏の再選はないと判断するのは早計」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領は今から再選の芸当を演じることができるのか。ほとんどの専門家がそれは難しいと考えていることは、トランプ氏の実績に対する不支持の広がりを反映している。しかし、再選はないと見限るのは早計だ。

     

    (5)「米ニュースサイト「ファイブサーティーエイト」がまとめた全米の世論調査によると、トランプ氏の支持率は民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領を平均8ポイント下回っている。各州の世論調査は、トランプ氏が過半数の選挙人を獲得するのは困難であると示している。もっとも、バイデン氏はまだ厳しい審判を経ていない。有権者は同氏の姿をしばらく目にしていない。6月下旬まで3カ月近くも記者会見を開かず、今も家から外出したり、ソーシャルメディアに投稿したりすることはめったにない」

     

    バイデン氏が有利なのは、トランプ氏と異なり登場回数が少なく、「失点」がないからだ。選挙運動になり、両候補が直接比較される時点になれば、違った結論が出てくるというのである。

     

    (6)「両陣営の政治顧問は、ともにバイデン氏の露出の少なさが、トランプ氏にとってチャンスになるとみている。現職のトランプ氏は、ライバル候補者に対する有権者の見方に影響を及ぼそうとするだろう。近々、バイデン氏は副大統領候補を発表する予定だが、トランプ氏はこの機会を待ち構えている」

     

    選挙運動が始まれば、トランプ氏は現職であるだけにTVの露出度が多く、バイデン氏よりも有利な展開になろう。

     

     


    (7)「副大統領候補の選択は、大統領候補が自らの核になる魅力を強調できる。一方、大統領候補に足りない部分を補う場合もある。トランプ氏のペンス氏という選択は、伝統的保守層を安心させた。バイデン氏が副大統領候補の選択で革新派や左派の有権者の支持を固めようとすると、議論が割れる問題で立場を明確にしている候補を選ぶ可能性が高い。そうなれば、トランプ氏に付け入る隙を与えることになる。警察予算の削減、歴代大統領の像の撤去、奴隷制への賠償といった主張に対して、穏健派の有権者の多くは不安を感じるだろう」

     

    バイデン氏は、副大統領候補に誰を選ぶのか。それによって、世論の支持率に差がでる。革新派や左派の副大統領候補では、中道派が逃げ出すだろう。難しい選択である。

     

    (8)「トランプ氏再選なしと判断するのは、少なくとも3回の大統領候補討論会を見てからにすべきだ。トランプ大統領がこれを得意とすることは、2015~16年の他の共和党候補との討論会や民主党大統領候補ヒラリー・クリントン氏との対決で実証されている。バイデン氏の失言癖がぶり返せば、トランプ氏には大きなチャンスだ。1976年にはカーター氏がフォード氏に対し、88年にはジョージ・HW・ブッシュ氏がデュカキス氏に対して、相手の失言を機に優位に立った」

     

    トランプ氏は、ディベートを得意とする。相手の欠点を指摘して、自己主張の正しさを立証するのだ。バイデン氏は、失言クセがある。トランプ氏が、その弱点を突けば支持率は大きく変わる。3回にわたる両者の討論会を聞かなければ、優劣の結論は出ない。ここが、米大統領選の大きな見せ場となる。

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    中国軍の急激な海洋進出に脅威を感ずるアジア諸国は、米国を中心にして共同対処方針で一致している。米陸軍の報告書では、米国、日本・豪州・台湾が主力になって、中国軍へ対処するのが効率的と指摘した。ここへ参加しても不思議ない韓国は、米中二股外交路線が改まらず、共同防衛に加えるにふさわしくないとする結論になったという。韓国は、米国から全幅の信頼を勝ち得ていないのだ。はぐれ鳥という存在である。

     

    『朝鮮日報』(7月30日付)は、「米陸軍シンクタンク『中国との競争で在韓米軍の需要減、日本は一層重要に』」と題する記事を掲載した。

     

    国防総省が在韓米軍を含む全世界の米軍再配置を検討する中、今後在韓米軍の必要性が低下し、対中圧力においても韓国の役割がオーストラリア、日本、台湾などに比べて低下するとの研究政策報告書が公開された。

     

    (1)「米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、米陸軍大学院戦略研究院(SSI)が今月17日にまとめた「陸軍の変身:インド太平洋司令部の超競争と米陸軍戦区設計」と題された報告書に上記の内容が記載されているという。この報告書は、米国のエスパー国防長官が2年前、陸軍長官在職当時に発注したものだという。VOAが説明した。報告書は「韓国軍への戦時作戦統制権移管と軍の近代化の大勢を考慮した場合、有事における大規模地上戦に備える在韓米軍への要求は、今後10年で減少する」と予想した。そのため「韓半島における実戦状況に必要な米軍の地上機動戦力の必要性は弱まる」とも予測している」

     

    米陸軍は、朝鮮半島における米軍の役割が今後10年で減少すると見ている。大規模な地上戦の起こる可能性が減る、というのが根拠だ。北朝鮮が、地上戦を挑んでくる可能性を低く見ているが、地対空ミサイルや空軍の攻撃を排除していない。このように、戦争のスタイルが変わるのだ。

     

    (2)「報告書は、「インド太平洋地域は中国との超競争を展開するスタート地点であり、最も重要な戦区になると同時に、中国は有事に米軍を敗退させることを念頭に置いた軍の近代化を加速させている」とも分析した。その一方で現在、米合同軍の域内における前進配備体制とその戦力は日本と韓国に集中しているが、これは韓国戦争と冷戦の遺産に基盤を置いているためだという。報告書は、「一時は第2の韓国戦争勃発に効率的に備えるため、このような配備の計算は費用対効果があったとみられるが、現在の状況で戦略的に見た場合は無責任と評価している」とVOAは伝えた。北朝鮮の脅威に対処する際の米国の重要性は、今後10年間で弱まる可能性が高いのが現状であり、現在の米軍配置は対中圧力という観点では効率的ではないということだ

     

    アジアでは、北朝鮮の脅威に対処する米軍の配置よりも、中国の脅威に対処する配置が優先される状況になってきた。米軍配置は、これに合わすべきとしている。つまり、中国脅威へシフトすべきというのである。

     

    (3)「報告書は、「中国に焦点を合わせた戦略の見直しを進めるために維持すべき核心協力国・地域」として、オーストラリア、日本、フィリピン、韓国、シンガポール、台湾を名指しした。この中で米国の対中戦略において、中国を「共同の脅威」とする認識を共有し、直ちに戦略的な統合が可能な国・地域はオーストラリア、日本、台湾の3カ国・地域としている。これに対して韓国は、中国との超競争あるいは武力衝突を仮定した場合「プラスの側面は限定的な国」と評価された。これは「韓国は対中圧力に積極的に乗り出さない」との判断が根底にあるためとみられる」

     

    中国を「共同の脅威」とする認識を持ち、直ちに戦略的統合が可能な国・地域は、オーストラリア、日本、台湾の3カ国・地域としている。韓国は、中国に対する脅威の認識が、他国より低いと見なされている。米国を加えた日本・豪州・台湾の4ヶ国・地域が、共同で中国に対応するのが効率的と提言しているのだ。韓国は、「はぐれ鳥」という位置づけである。


    (4)「報告書を作成したネイサン・フレアー米陸軍大学院教授は27日、VOAに「個人の意見」と前置きした上で「今回の報告書は北朝鮮の脅威を無視するとか、在韓米軍の削減あるいは撤収を提言するとかしたものではない」「米国のリソースは無限ではなく、北朝鮮と中国という脅威の間で、どちらかへの戦略的な選択が必要な状況になれば、中国に焦点を合わせた戦略の転換が避けられないという点を示した」と説明した。さらに今回の報告書について「米国防総省や陸軍の公式の立場を反映したものではない」とも明言した」

     

    アジアでは、中国と北朝鮮の二国が脅威の対象である。ただ、中国の方が差し迫った脅威国であるので、これに合せた米軍の配置と同盟国軍との共同作戦が必要という認識である。

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    中国のスパイ活動は、際限ないことが分かってきた。新たに中国サンフランシスコ総領事館が、近くにあるシリコンバレーに照準を合わせ、技術窃取活動を行なってきたことが判明した。泥沼の中国スパイ活動である。

     

    『大紀元』(7月30日付)は、「サンフランシスコ中国領事館もスパイ拠点ー米政府関係者」と題する記事を掲載した。

     

    米国はスパイ行為などの安全保障問題を理由に、ヒューストン中国総領事館を閉鎖させた。米国政府関係者は相次ぎ、米国技術系の大手や研究機関が集まるシリコンバレーに近い、サンフランシスコ中国総領事館を名指しして「スパイ活動の拠点」と明言した。日本メディアNNNの単独インタビューに応じた、米国務省のクラッチ次官は、サンフランシスコ中国総領事館「中国人をスパイをかくまうスパイの拠点」であり、ターゲットはシリコンバレーであると述べた。

     

    (1)「サンフランシスコの総領事館は7月23日、米司法省によりビザ詐欺で起訴されている中国人民解放軍所属の研究者ら4人のうち1人をかくまった。この1人は、25日までに拘束された。クラッチ次官は、中国領事館の追加閉鎖の可能性については、中国側の様子を見ると述べるにとどまった。いっぽう、米メディア『アクシオス』は7月29日、米国の元情報当局者の話を引用して、サンフランシスコ中国総領事館が主要なスパイ活動の重要な拠点だと伝えた」

     

    サンフランシスコ中国総領事館が、主要なスパイ活動の重要な拠点とされている。中国人民解放軍所属の研究者が、米国へビザ申請で身分を欺いたことで逮捕される際、このサンフランシスコ総領事館へ逃げ込んでいる。スパイの隠れ屋であったのだろう。

     

    (2)「中国共産党政権は以前から、大使館や領事館を通じて、在外中国人の反体制派の情報を収集したり、中国人留学生の情報収集活動を指揮していると非難されてきた。2018年、ある中国学生・学者協会(CSSA)会長はフォーリン・ポリシー誌に「領事館がCSSAをますます厳しくコントロールしようとしている」と語った。『アクシオス』の報道によると、中国大使館や領事館は、共産党の影響力を広げるために中国人留学生に資金援助している。また、留学生たちに対して「党のイデオロギー」に関するセミナーを開催し、報告書を出すなど「条件を満たしている」ことを確認するよう、CSSAの会長に求めているという。米メディア『ポリティコ』は、サンフランシスコ領事館のスパイ活動は横行しており、ベイエリアのシリコンバレーは標的とされ、企業秘密やハイエンド技術が盗まれていると報じている。情報筋は、サンフランシスコ領事館によるスパイ活動は、「ほぼ毎日、この地域で行われていた」と付け加えた。「企業をターゲットにした諜報活動の微妙な形だ」という」

     

    サンフランシスコ総領事館は、シリコンバレー情報を日常的にスパイしていた。米国は、こういう抜け穴を塞がなければならない。

     


    (3)「海外の中国当局者は、技術的な情報収集に加えて、米の政治情報も長年、収集してきた。ポリティコの報道によると、2018年、カリフォルニア州の民主党上院議員ダイアン・ファインスタイン氏の補佐官で中国系アメリカ人の男性はサンフランシスコ中国総領事館を通じて、長年にわたって中国安全部に政治情報を渡していた」

     

    中国は、米国の政治情報をスパイすることで対米戦略を立てていたのだろう。もはや、その道も閉ざされたであろう。

     

    7月24日に閉鎖された米テキサス州ヒューストンの中国領事館が、新型コロナウイルスワクチン研究資料を盗み出そうとしていたという主張が提起された。米連邦捜査局(FBI)が教授陣と研究陣を相手に近く調査を始める見通しという。

     

    『大紀元』(7月30日付)は、「『ヒューストン中国総領事館閉鎖の背景は新型コロナワクチン』、FBI、テキサス大学に捜査通知」と題する記事を掲載した。


    24日に閉鎖された米テキサス州ヒューストンの中国領事館が新型コロナウイルスワクチン研究資料を盗み出そうとしていた。米連邦捜査局(FBI)が教授陣と研究陣を相手に近く調査を始める見通しだ。



    (4)「7月30日付の香港紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は、テキサス大学が教授陣と研究陣に27日に送った電子メールを入手してこのように報道した。テキサス大学はヒューストン中国領事館と関連し、FBIから先週に捜査通知を受けた事実を認めた。大学は電子メールで「FBI捜査官が新型コロナウイルスワクチン研究を含め中国領事館の役割、米国の大学の研究に対する中国政府の不法な取得などについて研究陣に会い尋ねることになるだろう」と知らせた」

     

    中国は、新型コロナウイルスの開発で米国と張り合っている。その裏では、米国の研究情報の窃取に全力を挙げていたのだ。汚い国である。米国では、「アンフェア」(汚い)が、相手を侮辱する最大のことばだ。ついに、中国もそれに該当する国となった。

     

    (5)「同紙によると、テキサス大学の一部研究陣は現在進行中の新型コロナウイルスワクチン候補物質研究に参加している。代表的なものが新型コロナウイルス表面の「スパイク蛋白質」を認識して免疫反応を起こす研究だ。テキサス大学のジェイソン・マクレラン副教授が率いる研究チームはモデルナとノババックスが開発中のワクチン候補物質2種類に使われる合成スパイク蛋白質を作り出した。ところが中国と関連しているワン・ニェンシュアン研究員がこの研究の核心メンバーだった。ワン研究員は新型コロナウイルスのスパイク蛋白質を安定化する遺伝的変移を明らかにしたという。ただしワン研究員がどのような違法活動と関連していたかは確認されていない」

    中国が狙ったのは、テキサス大学による新型コロナウイルス表面の「スパイク蛋白質」を認識して免疫反応を起こす研究という。この研究は、中国人研究者が担当しており、良好な研究結果が出ていたという。中国が、これを奪ったかどうかについてはFBIの捜査活動の結果待ちである。

     

    仮に奪ったことが判明すれば、米国は中国に対してコロナワクチンの製造禁止手続きを取る必要があろう。そういう不正手段で得た技術に基づくコロナワクチンの製造は認めてはならない。

     

    (6)「テキサス州が地元のマイケル・マッコール下院議員は、最近「中国領事館は米国のバイオ医学研究を奪取しようとする中国のスパイ工作の中心。(がん専門病院)MDアンダーソンの科学者3人がスパイ容疑で解雇された」と話した。また、彼は「テキサスメディカルセンターでワクチン研究が進んでいるが、彼ら(中国人)がワクチンを積極的に盗み出そうとしていると承知している」と主張した」

     

    テキサス州で、中国が活発なスパイ活動をしていたことが判明している。この際、徹底的に調べて、ウミを出し切るべきだ。これにより、中国との関係を断ち切ることだ。

      

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    文大統領の就任演説は、ほれぼれとする「名演説」であった。国民の分裂を乗り越えて、一体化する。それには、公平・民主であると宣(のたま)ったのだ。実際には、就任演説だけの話で、国民の分裂と深めており、もはや修復困難な状況になっている。

     

    税金面では、大企業と富裕層を狙った増税が、いつの間にか不動産課税に広がっている。実は、不動産課税の引上げは家賃の引上げとなって、国民全般の負担になるのだ。この経済の循環性に気付かず行なった不動産増税が、庶民の怒りを買っている。

     

    『朝鮮日報』(7月29日付)は、「『文在寅を罷免する』検索ワード急上昇、沸き立つ不動産世論」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府の不動産政策に反発するネットユーザーのオンラインデモである「リアルタイム検索ワードチャレンジ」に28日、「文在寅(ムン・ジェイン)を罷免する」が登場した。

     

    (1)「『文在寅を罷免する』という検索ワードはポータルサイト「ネイバー」のリアルタイム急上昇キーワードの上位に入った。「617規制遡及適用被害者救済の会」などのインターネット上に開設したブログで今月初めから特定のキーワードをポータルサイトの検索ワード上位にランクさせるオンラインデモを決行し、ついに「大統領罷免」というキーワードまで登場した」

     

    とうとう「大統領罷免」なる過激な言葉まで登場している。家賃の高騰が、失業を余儀なくされている30~40代にとっては、文字通りのダブルパンチになっている。年代から見て、大統領選では、文氏に一票投じた人々であろう。それだけに「裏切られた」という思いが強いのだ。

     

    (2)「彼らは2017310日の朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領に対する弾劾審判宣告文の形式を借り、文在寅大統領を批判した。ブログでリアルタイム検索ワードを周知し、「主文、大統領文在寅は国民が罷免する。被請求人の大統領文在寅は大韓民国歴代大統領の中で最悪の不動産惨事の原因となった当事者として、国民の財産権を保護する職責誠実の義務を遂行するどころか、国民の財産を収奪、強奪するレベルを超え、国民財産没収に近い反憲法的な独裁的蛮行を犯した」と主張した。また、「大韓民国の秩序の根幹である憲法の上に君臨し、懲罰的税金爆弾と遡及適用という超憲法的怪物をつくり出し、自由民主主義市場経済の秩序と憲政を乱し、国家と国民を塗炭の苦しみに追い込んだ」とも指摘した」

     

    下線部分は、文政権の最も痛いところを突いている。法律の「遡及適用」という、絶対にあってはならないことを平気で行なう「無法大統領」であるからだ。法律がなければ罰しられないにもかかわらず、遡って適用する。保守派退治が、「遡及適用」の主なものだ。

     

    (3)「運営者が特定のキーワードを告知すると、メンバーは午後2時から4時にかけ、ポータルサイトでそのキーワードを集中的に検索した。今月1日に「金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部長官のうそ」を検索ワード上位にランクさせたのに続き、「617617日の不動産対策)違憲市民の血と涙」「文在寅支持撤回」「遡及違憲積弊政府」「租税抵抗国民運動」「30403040代)文在寅にだまされた」「国はお前のものか」などの検索ワードをランキング上位に押し上げた」

     

    韓国国民は、「進歩派」という甘い感触に騙されたのである。保守派以上の頑迷固陋さと自派の勢力拡大のためには、あえて法律違反さへ厭わないのだ。「3040(30、40代)文在寅にだまされた」「国はお前のものか」という叫びは、悲痛である。

     


    『朝鮮日報』(7月30日付)は、「一度も経験したことがない税金爆弾」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ドンホ論説委員である。

     

    (4)「現政権は法人税の最高税率を22%から25%に引き上げた。資金力がある大企業が税金をより多く出すべきという論理だった。そして所得税の最高税率を42%に引き上げた。さらに地方税10%まで付ければ実質税率は46.2%にのぼる。5億ウォン超過所得はほとんど半分が税金として出ていく。国際的にはどうか。非常に高い方だ。それでも政府は所得税の最高税率を45%に上げる。地方税を含めると実質税率は49.4%となる。世界1位だ

    実質所得税率は、49.4%で世界一という。これは、海外からの投資を呼込む上でマイナスである。ソウルを国際金融センターにしたいという希望も、この世界一の実質所得税率が壁になって不可能である

     

    (5)「多く稼げば税金も多く出すべきとは言える。しかし他の税金はこのような形で説明できない。不動産関連税金がそのようなケースだ。すべての国民に直接影響を及ぼす。無住宅者もいつか家を購入し、住宅を売買したり贈与・相続したりする当事者になる可能性がある。現政権は課税標準となる公示価格をずっと引き上げている。公示価格が上がれば不動産関連税金がすべて上がる

    日本政府は、この点で慎重であった。地価上昇が、家賃に跳ね上がることを警戒していたからだ。

     

    (6)「公示価格の現実化率は3年前の相場の60%から出発し、現在は80%に上がった。その影響はどうか。公示価格が上がると、取得税・財産税・総合不動産税・譲渡税の負担がすべて増えた。22回目だった7・10不動産対策では取得税・総合不動産税・譲渡税の税率まで大幅に引き上げた。課税表と税率が同時に上がり、まさに税金爆弾だ。取引税は現在、GDP比の徴収比率がOECDで1位だ」

     

    公示地価は、不動産課税の基準点である。現在、公示地価の80%が課税基準となっていれば、不動産関連の税金は上がって当然だ。「税金地獄」と騒ぎが広がった背景である。

     


    (7)「副作用が少なくない。納税者連盟の分析によると、過去20年間の不動産税金は578兆ウォンにのぼる。現在の価値では786兆ウォン(約69兆円)となる。ソウル江南(カンナム)の住宅価格が大きく上がれば税金も多く出して終わるのか。そうではない。その余波は直接・間接的に全国民に及ぶ。税金が上がれば住宅価格が上がり、家賃に転嫁されるからだ。ソウルのマンションの費用は56週連続で上昇した。食料品も原料費が上がれば価格が上がり、原油価格が上がれば交通費が上がるのと同じ論理だ」

     

    下線を引いたような矛楯が起こる。「不動産関連税金が上がれば住宅価格が上がり、家賃に転嫁される」からだ。文政権は、この因果関係を無視して不動産課税を引上げている。それが、不動産価格抑制になると見てきた結果だ。現実は、価格抑制どころか価格促進になっている。完全な不動産政策の失敗である。

    不動産課税引上げでは、文政権支持派の労組や市民団体の暗黙の了解を得て実行しているはずだ。その理由は、資産家に応分の負担をさせて財政赤字を消す、という話をしたのであろう。財政赤字を消すには、潜在的な経済成長率を引上げる政策がなければだめなのだ。

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