勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年07月

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    米国は、超党派で中国の見せる戦闘的な行動に危機感を抱いている。このまま放置すれば、かつてのドイツのような隣接国侵略を始めるに相違ない。ここで米国は、中国に対して断固として「警告」を発すべきであるという姿勢に変わった。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月29日付)は、「米の対中強硬姿勢、選挙対策にあらず」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「中国ウオッチャーたちは、新型コロナウイルスの流行後に中国が攻撃的になった理由について、自国がより強力になったと感じているからなのか、あるいは習近平国家主席の立場が脆弱となっているからなのかについて議論している。いずれにしても、習氏のこのところの行動により、さらに多くの国が世界秩序にとって中国が脅威であるとする米国の立場に賛同しつつある。そして米国は中国に対抗する上で同盟国を必要としている」

     

    中国が、新型コロナウイルス後に対外的に強硬路線を歩んでいるのは、国内経済が疲弊している結果、高まる不満を外に向ける狙いであろう。コロナワクチン開発で、米国へのスパイ活動を積極化させたのも、米国の研究成果を横取りして中国の業績にして、急場を凌ごうという目的だ。ともかく、中国経済は危機に立たされている。

     

    (2)「西側諸国は、中国の行動をコントロールできないが、権力の乱用に対してコストを負わせることは可能だ。それが、在ヒューストン中国総領事館の閉鎖要求や先週の南シナ海での中国の領有権主張への拒否表明など、米政権が行動で示そうとしていることである。また、中国市民と外国との接触を遮断して共産主義の秩序を維持するために設定されているインターネット上のファイアウォールを回避する試みに対し、米国は資金を供給すべきである」

     

    中国の対外強硬策には、その代償を払わせることが不可欠である。南シナ海不法占拠でも、これまで何らの代償を払わずに、濡れ手に粟で多くの島嶼を手中にしてきた。こういう不合理な行動は、絶対に阻止しなければならない。米国は今、こういう切羽詰まった決断を迫られている。

     


    (3)「衝突によるリスクは多大なものである。外交上および経済上の緊張が軍事的な対決につながることを望んでいる者はだれもいない。中国は権力の乱用によって悪い結果に直面することはないとの自信を深めてきた。だが今、それは変わりつつある。望むべくは、より強硬な対中政策を受け、中国政府の他のメンバーらが、習氏のアプローチを継続するのはあまりにも高くつくと認識することだ

     

    中国の民族派は、習近平氏を焚きつけて多くの軍事行動を取らせてきた。ほとんど、「無コスト」で領土を拡張してきたが、それも限界を迎えたということだ。それは、米国が南シナ海で中国に屈しないというメッセージを送ったことに現れている。

     

    『大紀元』(7月28日付)は、「南シナ海、米中が軍事演習 米偵察機が福建省領海に接近」と題する記事を掲載した。

     

    米中関係が一段と悪化する中、南シナ海をめぐって米中の軍事的緊張も高まっている。中国軍は、7月25日から中国南部広東省の南西部にある雷州半島で実弾演習を実施している。一方、米軍は7月26日に4回も軍機を派遣し、中国の浙江省や福建省などの沿岸部に偵察した。米P-8A哨戒機は一時、中国領海基線まで41海里(約75.9キロ)のところに迫った。

     

    (4)「中国国営中央テレビ(CCTV)は26日、中国軍南部戦区に所属する海軍航空隊が南シナ海で実弾演習を行った映像を公開した。報道は、「演習では、軍機数十機を出動させ、ロケット弾や航空機関砲弾など数千枚を発射した」とした。また、CCTVは、7月25日から82日まで、中国軍は雷州半島の西部海域で実弾演習を行うと発表した」

     

    中国軍が、軍事演習を積極的に報道させている。国内向けに「強い中国」を演出する目的だ。

     


    (5)「一方、南シナ海における中国当局の軍事的脅威に対抗して、米軍は軍艦と軍機を同地域に派遣した。北京大学海洋研究院の研究調査機関、「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)は26日、中国SNSの「微博」に投稿し、米偵察機などの動きを明らかにした。投稿は、「26日米軍の偵察機は東シナ海と南シナ海で飛行した。米軍のEP-3E電子偵察機が、広東省と福建省方面に向けて飛行し、一時台湾海峡の南部空域に入ったという。また、同時に米軍P-8A哨戒機が浙江省、福建省に向け飛行し、福建省の領海基線までわずか41.3海里のところまで接近した。最近の記録では最も近い距離だった」とした」

     

    米軍が、従来にない積極的な軍事展開を見せている。米軍のEP-3E電子偵察機が、広東省と福建省方面に向けて飛行させて情報収集に当っているからだ。中国としては気懸りであろう。米軍は、中国に対しても北朝鮮並みの警戒体制を取っていることに注意すべきだ。

     

     

     

     

     

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    韓国は、文政権が音頭を取って反日運動をやる国だけに、日本に対して何をやっても許されるという錯覚を生んでいる。少女像は、韓国日本大使館前に設置されている。国際法上、このように相手国を不快にさせる建造物は、設置してはならない決まりだ。韓国政府は、民間が勝手に設置したことを理由に、いまだに排除せず放置している。

     

    その上、韓国江原道平昌郡(カンウォンド・ピョンチャングン)の韓国自生植物園で、『永遠の贖罪』と題された造形物が設置された。少女像の前で一人の男性が土下座をしている姿である。その男性が、実は安倍首相に似ているというのだ。前記植物園は、来月除幕式を行って一般に公開される予定だと伝えられていたが、メディアで騒がしくなってきたので、除幕式は中止されるという。

    韓国自生植物園のキム・チャンリョル園長は「除幕式は中止した」とし「一個人である安倍首相を念頭に置いて作ったものではない。韓国の、日本のさまざまな問題は依然として進行中だ。非常に大きな意味があるわけではなく、私の個人的な考えを込めて制作した」と説明した。『中央日報』(7月28日付)が伝えた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(7月28日付)は、「日韓亀裂さらに、謝罪像、官房長官『決定的影響』」と題する記事を掲載した。


    従軍慰安婦問題を象徴する少女像の前でひざまずいて謝罪する像が日韓両国の亀裂を深めている。安倍晋三首相をモチーフにしたもので菅義偉官房長官は28日の記者会見で「事実だとすれば日韓関係に決定的な影響を与える。国際儀礼上、許されない」と批判した。

     


    (1)「韓国北東部、平昌にある民間の植物園が設置した。「永遠の贖罪」と題し、同園は2016年に設置したと説明している。8月に除幕式を開いて一般公開する予定だった。植物園の園長は日本経済新聞の取材に「像は誰かを特定したものではない」と述べ、除幕式はやめるが撤去はしないと話した。韓国メディアには「安倍(首相)を象徴して作った」(ソウル新聞)と明言している」

     

    韓国では、日常の反日運動から神経が麻痺している。やって良いことと悪いことの判断がつかなくなっているのだろう。日韓関係は、ここまで冷却しきっているのだ。肝心の韓国外交部はどのように反応しているのか。

     

    『中央日報』(7月28日付)は、「韓国外交部『安倍謝罪像』関連言及…『外国指導者に対する国際礼譲考慮すべき』」と題する記事を掲載した。

     

    少女像の前にひざまずいた男性の姿を表現したいわゆる「安倍謝罪像」と呼ばれる銅像をめぐり、韓国政府が「国際礼譲」を考慮する必要があると明らかにした。



    (2)「韓国外交部は28日に立場文を出し、「政府と関係のない民間次元の行事に対し具体的な言及は控えたい」としながらも、「ただ、政府としては外国指導者級の人々に対する国際礼譲の側面をともに考慮すべき必要があるとみる」と説明した。外交部のキム・インチョル報道官も同日午後の定例会見で「国際社会には国際礼譲というものがある。どの国であれ外国指導者級要人に対しこうした国際礼譲を考慮することが必要だと考えるようだ」と話した」

     

    下線部は、積極的な「遺憾」という感じではない。こういう発言から見て、外交部はどのような対応するのか。脱北者が、北朝鮮の「金ファミリー」中傷の風船を飛ばしたことから6月、北朝鮮が厳重抗議して開城の南北交流促進センタを爆破した事件がある。韓国は、これに敏感な反応して、脱北者団体を解散に持込んだほどである。

     

    今回の植物園に見られた「安倍謝罪像」は、北朝鮮が不快に思ったことと、同一レベルの話である。日本政府も不快感を正式表明したからだ。韓国は、北朝鮮には即座に反応したが、日本には「民間」を逃げ口上に使えば、完全なダブルスタンダードである。少女像すら取り締まらず放置した韓国である。今回も「逃げの一手」となるのだろうか。

     

    奥薗秀樹・静岡県立大教授は、「国民感情を刺激する行為が重なり、日韓関係が負の連鎖から抜け出せなくなる恐れもある」と『日本経済新聞』で指摘している。韓国は、隣国・日本に対して、これだけやりたい放題のことをしている。日本の本当の姿がわからないのだろう。

     

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    中国は、朝鮮戦争で米軍と戦った経験しかない。中国は正規軍でなく義勇兵であった。朝鮮半島の複雑な地形を生かして、米軍と戦ったに過ぎないのだ。その意味で、米軍の「怖さ」を知らないであろう。日本は、米国と太平洋戦争で戦った経験を持つ。米軍は、前線指揮官に全幅の信頼を寄せた作戦計画で戦う。その作戦が失敗すれば、指揮官は交代の運命だ。極めて柔軟だ。日本軍の硬直した作戦体系と比べて、柔軟そのものであった。日本軍は、これに翻弄されたのである。

     

    中国軍は、南シナ海で不法占拠している島嶼群に対して、米軍の奇襲攻撃を警戒せざるを得ない立場に追い込まれている。米国務長官が、中国の南シナ海占拠は不法であると声明を発した以上、米軍はその是正措置を講じる法的な権利を宣言したのに等しいのである。中国としては、常設仲裁裁判所から「敗訴」を言い渡されている以上、法的な対抗措置は取れない状況に陥っている。

     

    『中央日報』(7月28日付)は、「中国の専門家の警告『米国、南シナ海の中国暗礁を爆破する可能性高い』」と題する記事を掲載した。

     

    米国がヒューストンの中国総領事館を閉鎖したのに続き、南シナ海で中国が領有権を主張する暗礁などを奇襲攻撃して爆破する可能性があるという警告が、中国の専門家の間で出ていると、中華圏インターネットメディア『多維新聞』が7月26日報じた。

    (1)「南シナ海は現在、米中が武力衝突する可能性が最も高いところに挙げられる。世界の海運物流量の4分の1が通過する要衝地だが、中国が20世紀初めに制作された地図1枚を根拠に水域の80%に対する領有権を主張し、ベトナムなど東南アジア諸国との間が摩擦が生じている。米国は、中国の南シナ海主権を認めず「航行の自由」作戦で中国と対立している。13日には中国たたきの先鋒に立つポンペオ米国務長官が「南シナ海の海洋権利に対する米国の立場」という声明を発表した」

     

    中国の南シナ海占拠は、米国が認めないだけでない。国際司法機関が、違法と断罪している。中国がこれに従わないのは、「逆徒」の立場である。米国から実力行使を受けても、抗議できる法的な立場にないのだ。



    (2)「米国務長官声明の骨子は、北京が主張する南シナ海の大部分の海上資源は「完全に不法」ということだ。ポンペオ長官は声明で「中国が恐喝と一方的な措置を通じて、東南アジア国家の南シナ海主権を破壊した」と非難した。続いて「米国は中国が統制している島嶼の12海里以外に対しては中国のいかなる海洋権利も認めないことを決めた」と述べた。米国の一部のメディアは今回の声名が南シナ海で米国が戦争できる権利を付与したものと解釈していると、多維新聞は伝えた」

     

    米国務長官声明が出た後、私も米国が軍事行動に出る「儀式」を行なったと解釈し、そのようにブログで書き込んでいる。米国は、こういう法的な手続きを踏んで、軍事行動に移るのがパターンである。

    (3)「北京大米国研究センターの王勇主任はポンペオ長官の声明について「米国が11月の大統領選挙の前に南シナ海で武力を使用する可能性を排除できない」と述べた。多維新聞は13日の声明が米国の南シナ海奇襲に対する法律的根拠を与えたものだと解釈した。ポンペオ長官は25日にはツイッターで「南シナ海は中国の海洋帝国でない」とコメントした。これを受け、米国が中国の総領事館を閉鎖したのに続き、次は中国のどこを狙うかを表したという評価が出ている」

     

    中国にとっての痛手は、常設仲裁裁判所から「100%敗訴」の判決を受けていることだ。国連常任理事国である中国が、国際司法機関からの判決を無視して、南シナ海で占拠を続ける訳にはいかないのだ。米国の一撃は不可避であろう。



    (4)「香港『サウスチャイナモーニングポスト』(SCMP)は26日、米軍が南シナ海にほぼ毎日3-5機の偵察機を送るなど、南シナ海と中国の海岸に対する偵察飛行を記録的な水準に増やしていると報じた。多維新聞は中国の専門家らを引用し、米国の最初の奇襲打撃対象は現在、中国軍が駐留していないスカボロー礁(中国名・黄岩島)になる可能性が高いと報じた。その次のターゲットは中国で南沙諸島と呼ばれるスプラトリー諸島と予想した」

     

    米軍高官が2~3年前、南シナ海島嶼群の地盤が軟弱であることから、ミサイル一発撃ち込めばガタガタになると豪語していた。米軍が、南シナ海にほぼ毎日3~5機の偵察機を送っているのは、奇襲攻撃を掛ける準備を始めているとも読める

     

    (5)「中国が滑走路などを建設したファイアリー・クロス礁 (中国名・永署礁)とミスチーフ礁(中国名・美済礁)、スビ礁(中国名・渚碧礁)を攻撃した後、周辺暗礁をミサイルと大砲で破壊する可能性が高いということだ。最後には中国以外の国が支配を主張する暗礁などをB-52Hなど戦略爆撃機を動員して爆破し、南シナ海関連国の領有権主張紛争を解決するという手順だ。パラセル(西沙)諸島のウッディー島(永興島)などに戦闘機などを布陣した中国がどのように出てくるかがカギとなる」

     

    中国が不法行為を働いている以上、米軍が奇襲攻撃を掛けても、文句の言いようがあるまい。これが米国や、中国から被害を受けているアジア諸国の本音であろう。中国は、満州へ進出した「第二の日本」の立場へと追い込まれている。


    北京の外交筋は、米国がまず中国に南シナ海人工島に設置した施設の撤去を要求するはずであり、中国がこれを受け入れない場合は戦争を覚悟して武力を行使する手続きに入る可能性が高いと述べたという。これは甘えた見方であろう。米国務長官声明で、儀式は済んでいるのだ。

     

     

     

     

     

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    米国トランプ大統領による「G7拡大構想」は一時、韓国を天にも昇らせる気持ちにさせた。その後G7参加国から、トランプ氏の拡大構想に「反対意見」が表明される事態へと逆転だ。すでに日本は、米国に対して「反対」を申入れた。ドイツ外相も最近、正式に反対意思を表明した。メンバー国の増減決定には、全員一致が原則である。日独が、反対している以上、もはや実現の望みは消えたのである。

     

    この問題は、トランプ大統領は6月の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談で、G7首脳会議に韓国などを招きG11体制に拡大改編する構想を明らかにした。G7のほか韓国、オーストラリア、インド、ロシアの4カ国を追加するというものだった。

     

    『中央日報』(7月27日付)は、「日本に続きドイツも『G7拡大反対』、韓国『既得権の壁』越えられないか」と題する記事を掲載した。

     

    日本に続きドイツも主要7カ国(G7)首脳会議にロシアと韓国などを参加させようというトランプ米大統領の構想に反対する立場を出した。事実上G7の拡大改編は難しくなった状況だ。

    (1)「ドイツのマース外相は26日、独日刊ライニッシェポスト紙とのインタビューで、「G7と主要20カ国(G20)は合理的に組織された体制。われわれはG11やG12を必要としない」との考えを明らかにした。特に過去G8に属していたが2014年のウクライナのクリミア半島併合後にG8から除外されたロシアの復帰に否定的な見方を示した。マース外相は、「ウクライナ東部だけでなくクリミア半島の紛争を解決するのに意味ある進展がない限りロシアがG7に復帰する余地はない」と話し反対の意思を明確にした」

     

    ヨーロッパ諸国にとって、ロシアをG7拡大構想に含めることが承服できるはずがない。ロシアが、ウクライナのクリミア半島を強引に併合したからだ。同時に、日本にとっての韓国も、「天敵」的な存在である。あらゆることで「反日」材料にする国を、仲間に加えたいと思うはずがない。韓国が、世界でステップアップを目指すならば、日本との関係改善が不可欠である。

     

    (2)「トランプ大統領の提案が報道されると、G7各国は日本を筆頭に反対の立場を示した。先月29日の共同通信の報道によると、日本政府は韓国のG7参加に反対する立場を米国政府に伝えた。アジアで唯一の参加国という地位を維持したいとの考えや、文在寅政権の対北朝鮮・対中政策がG7の立場と異なることを理由にしたという」

     

    韓国は、日本の国連常任理事国昇格構想に対して、中国と一緒になって反対した。日本が、その「お返し」をするのは当然であろう。受けた恩義に答えるが、受けた傷には「倍返し」である。冷酷であるが、「目には目を歯には歯を」である。これが、国際関係の基本である。韓国は、それを忘れた振りをしているのだ。

     

    (3)「欧州連合(EU)もトランプ大統領の提案が報道されたのを受け、G7にロシアが復帰するのを許容してはならないとの立場を明確にした。EUの対外政策を総括するボレル外交・安全保障政策上級代表は先月2日にロシアの復帰に反対し、「参加国と形式を恒久的に変えることはG7議長の特権ではない」と指摘した。続けて英国とカナダもロシアのG7復帰を支持しないという立場を公開的に明らかにした。G7拡大再編は既存参加国すべての合意で決定されるだけに、韓国のG7参加は事実上水泡に帰すものとみられる」

    EU・英国・カナダも、ロシアの「G7拡大案」に反対している。国際関係は、これだけ複雑ということだ。韓国が、トランプ氏から声を掛けられたからと言って「G10構想」の一員になれるのではない。

     


    (4)「韓国政府は、G7拡大に対し積極的に対応するとの立場を明らかにしたが、今では鼻白む状況になった。6月、トランプ大統領の構想に文大統領は「喜んで応じる」と前向きな返事をした。当時、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)はG7招請が「もし推進されるスケジュール通りに年末に文大統領の訪米が実現するならば一時的なオブザーバー資格ではない、G11またはG12という新たな国際体制の正式メンバーになるもの」と期待感を示した。その上で、これは「韓国が世界秩序を導くリーダー国のひとつになるという意味」と評価した」

     

    韓国は、日本がなぜ「G7」の一員であるかを吟味すべきである。韓国から見た日本は、蛇蝎のごとき存在でも、国際社会ではしかるべき地位を占めているのだ。韓国は、その日本を足蹴にしている。韓国が、奇異な目で見られて当然であろう。

     

    (5)「高麗(コリョ)大学国際大学院のキム・ソンハン教授は、「相手がどうするかもわからないのに韓国がすでにG11になったかのように行動し、『取らぬタヌキの皮算用』になる懸念がある」と話した。状況を誇張して評価することになれば、ややもすると逆効果を生む可能性があるとの指摘だった」

    世界の勢力図は、完全にできあがっている。それを尊重せず、自国本位の振る舞いは顰蹙を買うだけであろう。韓国は、今回の「G7拡大」騒ぎによって、日本への対応を改めるべきなのだ。

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    2008年のリーマンショックでは、中国が4兆元という超大型投資で世界経済の回復を牽引した。今回のパンデミック下では、世界経済を牽引する力を喪失している。完全な「張り子の虎」であり、早くも老大国と成り下がった。

     

    中国が、現下の景気後退に対して受け身になったのは、08年の財政大盤振る舞いが、その後の中国経済を脆弱化させたという深刻な反省に基づく。不動産バブルを生み出し、国民は未だに「不動産神話」に取りすがっている状態である。こういう不正常が、中国経済の寿命を縮めているという認識に変わったのであろう。中国も、ようやく精神的に「大人」の域に足を踏み入れたと言えそうだ。

     

    『大紀元』(7月27日付)は、「李首相、財政難で地方政府に『倹約生活』を要求」と題する記事を掲載した。

     

    中国の李克強首相は7月23日、国務院(内閣に相当)の会議で、地方政府に対して、財政難に耐え倹約するよう再び指示した。中国当局が財政的・経済的に苦境に陥っている現状を浮き彫りにした。

     


    (1)「李首相は今年5月に行った政府活動報告において、「過緊日子(耐乏生活をする)」との表現を使った。首相は、「今年、中央政府は緊急ではない、または必要ではない支出を50%以上減らし、地方政府も予算を削減しなければならない」と述べた。首相は5月と同様に「耐乏生活をする」と述べたうえ、「経済の下振れと財政難」の現状に言及した。同氏は、各レベルの地方幹部に対して、「倹約を習慣にするように」と要求した。中国国営新華社通信などの各メディアも7月中旬、「財布の紐を締めよう」などと宣伝し始めた」

     

    経済政策の原理から言えば、不況時こそ財政支出拡大が不可欠である。中国当局は、この原理を今回は適応できないほどの財政難に陥っていることを証明している。中国は、これまで「土地本位制」という不動産価格引上げで回転してきた。現在はもはや、その手を使えないほど、弊害が随所に顕在化している。国民の「不動産神話」が、どうにもならないほど膨張しきっているのだ。

     

    この不動産神話は、いずれ崩壊する。際限ない住宅価格の上昇はあり得ないのだ。現在の空き家は5000万戸。住宅の過剰供給に嵌まっているのだ。庶民は愚かにも、この現実に気付かず「浮利」に酔いしれている。合理的な判断力を喪失している。

     

    (2)「今年、各レベルの地方政府の財政収入は大幅に減少している。中国当局の公表によると、上半期において、中央政府の公共予算の収入は前年比で14%減少し、地方の一般公共予算の収入は同7.%減少した。全国の税収と非税収は前年比で、それぞれ11.%と8%の減少となった

     

    全国の上半期の税収と非税収は、前年比でそれぞれ11.%と8%の減少となった。ロックダウンを行なうほど厳しい制約を課した結果だ。だが、この程度の減収に止まったのか、疑問は残る。

     


    (3)「中国メディア「21世紀経済報道」によれば、7月23日までに国内24の省が財政収入を発表した。そのうち20省は、新型コロナウイルスの感染拡大で、上半期の財政収入が前年比でマイナスとなった。輸出産業が盛んな広東省、江蘇省、浙江省はそれぞれマイナス5.8%、マイナス2.8%、マイナス2.6%となった。最大の経済都市上海市と政治中枢の北京市の上半期の財政収入は前年比で、それぞれマイナス12.2%とマイナス11%である。また、ウイルスの発生源である湖北省の財政収入の下げ幅は38%超。下げ幅としては各省の中で最も大きい」

     

    このパラグラフでは、地方政府の税収が軒並み落込んでいる実態を縷々、指摘している。上海市の上半期は、前年比マイナス12.2%。北京市は、同マイナス11%である。果たして、この程度の落込みで済んでいるのか疑問は残る。

     

    今年の中国GDP成長率は、せいぜい前年比1%程度に止まるという見方が増えている。悪ければマイナス成長も覚悟しているようだ。となれば、財政支出を拡大しても体勢挽回の切り札にならないという諦めであろうか。専制政治ゆえに、最終的には国民の不満を権力で踏み潰すという覚悟を固めている。

     

    (4)「中国当局は各地方政府に「倹約」を呼びかける一方で、国民を監視し各地の住民の抗議活動を鎮圧する「社会安定維持費」の確保を要求している。大紀元はこのほど、河北省保定市政府が今年5月20日、市管轄の各区政府に送った内部文書を独自に入手した。文書は、「警察機関の公費を十分に保障するように」「県レベルの警察機関であれば、各地の派出所に優先的に公費を支給すること。2020年、1級地区では(警官)一人当たり5万元(約76万円)、2級地区は一人当たり4万元(約60万円)、3級地区は一人当たり3万元(約45万円)を支給する」などと明記している

     

    中国政府は、公共支出を抑制し財政バランスを取ることに腐心している。これは、人民元投機を回避する目的であろう。国債格付けの悪化が、通貨危機を招くので、早くもマジノ線を敷いているように見える。ただ、これに伴う国民の不満は拡大するので、警察官に手当を増やして危機乗切り策に出ている。中国は、これまでの経済的ゆとりを失っており、急速に守りの姿勢へ転じた。

     


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