勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年10月

    テイカカズラ
       


    朴正熙を抹殺したい進歩派

    国際情勢に合わない反日米

    朝鮮李朝と酷似する文政権

    外交的孤児は死を意味する

     

    韓国進歩派を動かす文在寅(ムン・ジェイン)氏は、「親中朝・反日米」を心の拠り所としている。進歩派は、軍事政権の弾圧に対し火炎瓶で闘ったと自らの業績に酔って、保守派を全否定する暴力性を持っている。文氏が、保守派=親日派と位置づけて、「積弊一掃」の対象にしているほどだ。「反日米」こそが、韓国政治の理想形と思い定めているのである。

     

    進歩派を動かしているのは、「86世代」である。1960年代に生まれ、1980年代に大学生活を送り、軍事政権と闘った人たちである。

     

    1960年代は、韓国経済が奇跡の高度成長を実現した時代である。そのテコになったのは日韓基本条約(1965年)による日本からの経済協力金である。無償3億ドルのほかに有償2億ドル・借款5億ドル以上という巨額ドル資金が韓国経済を潤した。まさに、疲弊から超繁栄へと大転回した歴史的契機になった。同時に、日本企業による技術と資本が、韓国企業を後押ししたのである。

     

    朴正熙を抹殺したい進歩派

    日韓基本条約は、軍事政権であった朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の手で結ばれ、「漢江の奇跡」という高度成長を実現させた。また、38度線で対峙する北朝鮮軍との対抗上、米韓同盟を強化するほか、国内の共産主義者取締を理由に、厳しい人権弾圧を行なった。「86世代」は、この人権弾圧を理由にして、今もなお保守派を「積弊対象」にする執念深さを見せている。

     

    韓国のGDPは現在(2019年)、世界12位である。10位(2018年)までランクアップしたが、12位へ後退している。カナダやロシアに抜かれたのだ。今後は、このランクで定着するであろう。人口5170万人の韓国が、GDPで世界10位まで上昇した裏には、好むと好まざるとに関わらず、朴正熙軍事政権の経済・外交の路線が、韓国発展の基礎を固めたのである。これは、反対派でも認めざるを得ない歴史的事実だ。

     


    こういう書き方をすると、進歩派から猛烈な反発を受ける。だが、軍事政権の意義を否定しても、現実に制度として存在したのだ。進歩派は、この歴史的事実すら認めたくないようで、現在の社会科教科書からは大幅に削除されている。これは、紛(まご)う方なき歴史の改ざん・欺瞞である。日韓併合時代も一切、拒否するというのも同じ脈絡である。進歩派にとっては、負の歴史でも真摯に向き合う度量が必要である。韓国進歩派は、不都合なことをすべて認めないという傲慢さがある。それが、韓国社会を分裂させている大きな理由だ。

     

    この傲慢さが、文政権と進歩派の基盤をジワジワと蝕んでいる。「親中朝・反日米」が、国際情勢急変の中で、韓国の運命を翻弄することがしだいに明らかになってきたからだ。

     

    国際情勢の急変とは、米中対立の長期化である。米中が、最終的に軍事衝突するという最悪事態を回避できると見ている専門家がいるだろうか。それは、米国にその意思がなくても、中国の「習近平思想」にはっきりと認められるのである。

     

    「習近平思想」は2017年の共産党大会で習氏が提唱した政治思想だ。「2035年までに経済力や科学技術力を大幅に向上させ、建国100年となる2049年に『社会主義現代化強国』を作り上げる。『21世紀半ばまでに世界一流の軍中国隊を建設する』として、人民解放軍の実力を米軍と並ぶ水準まで引き上げる」

     


    中国の有力37大学で、この「習近平思想」を必修科目として学生に学ばせるという。習政権は、学生に対して軍事力で世界覇権を実現させるという暗黙の目標を与えるのである。今時、こういう目標を告知する習政権の特殊性に注目すべきであろう。20世紀当初の帝国主義時代に逆戻りする、殺伐とした雰囲気になるのだ。

     

    国際情勢に合わない反日米

    中国が、ここまで戦闘的になっている現在、文政権の「親中朝・反日米」政策は自由主義国家において外交孤立の道を選ばせるであろう。米韓同盟という安全保障の基盤がありながら、あえて中国へ「秋波」を送ること自体、裏切り行為というリスクが高まるのだ。

     

    文政権が、これまで「親中朝・反日米」という季節外れの振る舞いをしてきても、どの国も苦笑いで済ましてきた。だが、「習近平思想」が有力大学で必須科目になる時代背景を考えれば、笑って済ませる問題でなくなってきた。米国からすれば、韓国に対して「白黒をつけろ」と一喝浴びせても仕方ない局面になっている。(つづく)

     

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    米商務省は9月25日、半導体受託生産の中国最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)と取引のある企業に対し、SMICへの輸出には「軍事目的」に転用される「容認できないリスク」があると警告した。これを受けたサプライヤーは10月4日、SMICに対して製品の納入が不可能になったと通知。これで、中国の半導体生産は危機を迎えた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月4日付)は、中国SMIC、米輸出規制対象に『半導体生産に影響』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は10月4日、一部のサプライヤーが米商務省から米国の設備などをSMICに輸出する際に事前許可が必要になったと発表した。SMICは半導体の生産などに悪影響が出る恐れに言及した。SMICは4日の香港取引所の投資家向け開示資料で「輸出制限の生産や運営への影響の評価を始めた」と明らかにした。「一部の米国から輸出された設備や付属品、原材料の供給が遅れたり、不確実が生じたりして、将来の生産や運営に重要かつ不利な影響が出る可能性がある」と表明した」

     

    産業高度化計画である「中国製造2025」は、半導体の自給率向上を目指した意欲的プロジェクトである。その中心が、SMICとファーウェイであり、米国はこの両社に「輸出禁止」という網をかけ、中国産業高度化計画阻止を鮮明にした。中国は、2047年に米国と軍事的覇権を狙える位置を確立するとの声明が仇になった。こんな計画発表を受けて、米国が無為に時間を費やすはずがない。中国の宣戦布告が早すぎたのである。米国の逆襲を受けたと言える。

     


    (2)「また、米商務省と初歩的な話し合いを始めたことも明らかにした。同社は半導体生産に米アプライドマテリアルズをはじめとした米企業の製造技術を活用している。輸出許可がでなければ、工場新設や増設が難しくなる可能性がある。SMICは2000年に設立した半導体受託生産の中国最大手。19年の売上高は31億ドル(約3300億円)で、純利益は2億ドルに達する。中国国有通信機器大手や国策ファンドなどが大株主に名を連ねる」

     

    米商務省は一応、話合いの窓口を開けているが、たんなるジェスチャーに過ぎない。一度、輸出禁止されれば解除は不可能とされている。

     

    (3)「米国のSMIC規制で、最も深刻な影響を受けるのは中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)との見方がある。SMICはファーウェイ傘下の半導体設計会社、海思半導体(ハイシリコン)から生産を受託し、ファーウェイのスマートフォンや通信機器に半導体を供給しているとされるためだ。習近平(シー・ジンピン)指導部のハイテク産業振興策「中国製造2025」では米国に依存する半導体の自給率向上をめざす。SMICは中国の半導体産業のけん引役となってきた。それだけに、輸出規制が実現すれば、振興策の目標達成はますます困難になりそうだ」

     

    半導体調査会社の予測では、2024年の中国半導体自給率は20%見当と大幅な遅延が見込まれていた。当初計画では、2025年に70%目標を掲げていた。今回のSMICへの輸出禁止措置で、半導体自給率は24年の20%がさらに低下するであろう。中国の半導体産業は、米国によって徹底的に叩かれることになった。

     

    米ユーラシア・グループでテクノロジー政策部門を統括するポール・トリオロ氏は、「米国がどれだけ厳格に制裁を執行するかにもよるが、最悪のシナリオはSMICへの供給は完全に断たれ、中国の半導体生産能力は大幅に低下する事態だ。そうなれば米中関係は新たな局面を迎えることになるだろう」と語っている。これは、『フィナンシャル・タイムズ』(9月26日付)の報道である。

     

    今回のSMICへの米国禁輸措置で、SMICは新工場建設も不可能になる。中国の借り物技術の弱点が、全面化した形だ。「習近平思想」によっても、この難局を克服する便法はないだけに、中国がどう対応するのか。「白旗か」または「戦闘継続か」である。撃つ弾がない状態での戦争継続は、中国の被害を増やすだけである。

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    中国は、自国が世界で一番偉い国と錯覚している。豪州が、この5月に新型コロナウイルスの発生源を調査すべきとの発言に激怒して、豪州へ種々の経済制裁を科している。当然、WTO(世界貿易機関)違反行為である。

     

    今後、中国に対して新型コロナウイルスの発生源を調査すべきという、後続発言が出ないようにする見せしめ措置であろう。だが、この暴力的やり口によって、中国の評価は下がるばかりだ。専制国家・中国の反省を知らない振る舞いである。

     

    『朝鮮日報』(10月4日付)は、「傍若無人な中国のオーストラリアたたき」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ジョンフン記者である。

     

    国家の貿易全体の4分の1を中国が占める。中国への輸出入依存度が日本と米国を合わせたよりも高く、昨年は中国人観光客130万人が訪れ約15兆ウォン(約1兆3400億円)を使って帰った。全留学生の30%近い17万人の中国人学生が、大学の財政を堅固に支えている。韓国のことかと思うが、これは島国オーストラリアの実情だ。このようなオーストラリアと中国の関係が最近、1972年の国交樹立以来最悪になっている。

     


    (1)「中国政府は今年5月からオーストラリア産牛肉の輸入を制限している。中国製ビールの原料として大量に使われるオーストラリア産の大麦にも最大80.5%の関税を上乗せしたかと思えば、最近では完全に輸入を禁止してしまった。オーストラリア産ワインについては反ダンピング(不当廉売)調査に着手した。中国国営メディアの編集者は「オーストラリアは靴に付いたガムのような面倒な存在なので時々石にこすりつけないといけない」と露骨に見下した。自国民にはオーストラリア旅行を控えるよう勧告令を下した。これらは全て、オーストラリアの首相が「新型コロナウイルスの起源を明らかにする国際的な調査が重要だ」と発言した後に起きたことだ」

     

    中国のこうした理不尽な行為を見ていると、沸々と義侠心が沸いてくるのを禁じ得ない。「一撃食らわすべし」とつい、過激な言葉ができそうになる。それほど、中国の振る舞いは許せない行為だ。

     

    (2)「中国の真意は何なのか、中国がどこまでオーストラリアを追い詰めるつもりなのか、大いに気になる。オーストラリアの記者たちが先月末、中国への抗議の意思を込めてオーストラリア産和牛の焼き肉とオーストラリアの大麦入りサラダ、オーストラリア産ワインからなるメニューを準備し、王晰寧・駐オーストラリア中国副大使をもてなした。このような場合、仮にも外交官なら遠まわしにコメントすると思うのだが、王晰寧氏は演壇でオーストラリアの「罪状」を批判した」

     

    豪州記者の「接待」が、極めて紳士的である。だが、中国大使にはそれが理解できず、調子に乗っている。

     


    (3)「王晰寧氏は、「オーストラリア政府は新型コロナの起源の調査を国際社会に提案する前に、まず中国政府に問い合わせるべきだった。最低限の礼儀もない」と述べた。王晰寧氏はオーストラリアに対する中国の感情を「ブルータス、お前もか」というフレーズで表現した。中国をカエサルに、オーストラリアをカエサル暗殺の首謀者だったとされるブルータスに例えたのだ。有無を言わさぬ朝貢国扱いだ」

     

    こういう中国の振る舞いは、いずれ中国自身の災難となって現れるだろう。米中デカップリングの実行で、中国製品の売り先がなくなった時、拍手喝采してやれば良いのだ。ただこれは、「目には目」の因果応報主義で、いささか気の滅入る報復である。諸悪の根源である、「習近平」の早期辞任を祈るほかない。

     

    (4)「これは我々にとって見慣れぬ光景ではない。中国は、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備が確定した2016年7月以降、THAAD運営の主体である米国ではなく韓国だけをたたきまくった。THAADの敷地を提供するロッテは、中国で工事中断と営業停止という形で集中砲火を浴びたし、中国の団体観光客の訪韓が途絶えて明洞の街がガラガラになるという状況が何度も起きた」

     

    韓国もTHAAD問題で、中国の報復を受けている。文政権は、これによって一段と中国への姿勢が「オドオド」している。蛇に睨まれた蛙になっている。

     

    (5)「スタンフォード大学フーバー研究所は、小国である韓国が大国である中国に逆らってはならないという「漢民族至上主義」がTHAAD報復に表れたと分析した。その後、韓国は軍事主権を譲る「三不合意」によってバタバタと中国と妥協した。この合意のせいで、韓国は老朽化したTHAADの部品を交換する際、いちいち事前に中国の了解を得なければならない」

     

    韓国のように、中国へ妥協したならばさらに悪化する。この際、断固として引き下がらない姿勢を堅持することだ。文氏に、その度胸がないのだ。

     

    (6)「オーストラリアの対応の仕方は韓国とは異なる。スコット・モリソン首相は中国の相次ぐ圧力に「我々の価値観を強制的に売り飛ばすようなことはしない」と述べた。オーストラリアはスパイ活動の疑いで中国人の学者たちのビザ(在留資格)を取り消し、オーストラリアにいる中国メディアの記者たちの宿泊先を同じような容疑で捜索した。中国企業によるオーストラリア企業買収計画を、国益に反するとして阻止に乗り出した。中国政府がオーストラリアの州政府と単独契約を結ぶことを阻止する法案を作り、中国の影響力がこれ以上浸透することを防ぐ策を講じた」

     

    中国の暴虐な振る舞いを絶つには、中国と違う経済圏を形成することだ。米中デカップリングによって、中国を自由主義国の市場から引離すことである。そうすれば、中国も痛みを実感するはずである。話して分らない相手には、肌をつねってやることである。

     

    (7)「THAAD騒動から4年、わが政府は何も学んでいないようだ。安全保障は米国との同盟に依存し、経済は中国に依存できるという見方が横行している。しかし過去2年間の貿易戦争、ファーウェイ(華為)をめぐる摩擦、中国排除をもくろむ米国の経済繁栄ネットワーク(EPN)構想において、政治と経済の境界は不明瞭だ。このような時期に政経分離は戦略にはなり得ない。平和な時代にならかろうじて通じるかもしれなかったが、今の時代には韓国の虚妄の望みにすぎない。さらに中国は周辺国に対し、政治と経済を分けて考えるつもりは毛頭ない。オーストラリアは政治と経済が一体であることを理解して中国に対応している。オーストラリアを注意深く観察すべき理由がここにある

     

    相手国への対抗策では、「政経一体論」が増えている。豪州も敢然と行っているのだ。中国と経済面で疎遠になるメリットは、スパイ潜入を防げることであろう。中国と関わりを持たないことが、安全保障上はプラスになる時代になった。中国=スパイ・ウイルスという時代が来るのだろう。

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    文政権は、米韓同盟という太い絆で結ばれていながら、その価値を認識していない不思議な政権である。もともと、大統領府は「親中朝・反日米」が基本的認識という「輩」の集合体であるゆえ、韓国と日米間が円滑な意思疎通を欠くのは当然かも知れない。だが、国際情勢は、米中対立の長期化という新たな火種を抱えてきた。文政権の甘ったれた外交観ではとうてい乗り切れない状況に立ち至っている。

     

    『朝鮮日報』(10月4日付)は、「重病を患っている韓米同盟」と題する寄稿を掲載した。筆者は、千英宇(チョン・ヨンウ)元青瓦台外交安保首席秘書官である。

     

    (1)「韓米同盟は重病にかかっているようだ。9月10日、崔鍾建(チェ・ジョンゴン)韓国外交部第1次官とスティーブン・ビーガン米国務省副長官による会談で、「同盟対話」のための局長級実務協議体を新設することにしたというニュースは、韓米関係の現在地を端的に示している。両国政府内に同盟対話を担当する常設組織があり、外交・国防長官が出席する22協議体が創設されてからも10年が過ぎた。長官級であれ、局長級であれ、会うたびに同盟懸案を協議するのは当然のことだが、同盟対話のための実務協議体を作らなければならないほど韓米間の意思疎通不能が深刻だということだろうか?」

     

    韓国は、過去の担当者が行った施策を踏襲しないという悪弊がある。10年前に外交・国防長官が出席する「2+2協議体」が創設されている。この協議体が活用されずに放置されているのだ。それだけ、米韓関係は韓国の移り気で定着しないという意味であろう。

     


    (2)「韓米同盟がこのような状況にまで壊れるに至った原因を3つだけ挙げてみた。

    第一は同盟間の信頼喪失だ。信頼は同盟の命だ。信頼が崩れた同盟関係では、戦略的意思疎通と協調はさておき、敏感な情報の共有すら不可能だ。韓米間の不信が膨らんだのには、文在寅(ムン・ジェイン)政権の影響も少なからずある。韓米同盟と連合防衛体制に甚大な影響を与える事案を決定しながら、米国との事前協議をおろそかにすることで同盟に深い傷を残した。中国との「THAAD(終末高高度防衛ミサイル)三不合意」は国民5000万人の命と安全を守る自衛権を制限されるという恥辱だけで終わることではない。在韓米軍と有事の際、韓半島(朝鮮半島)で展開される米軍増援戦力が北朝鮮の核ミサイルの脅威に無防備にさらされれば、それだけ米国が防衛公約を守りにくくなるという原理に対する苦悶(くもん)がなかった」

     

    韓国は、米韓同盟の意義を十分理解していないことが米国の不信を買っている理由である。文政権は、米韓同盟を「自国に都合のいいもの」と解釈している。これが、身勝手な行動を起こさせる理由であろう。同盟を結べば、互いに拘束されるものだ。文政権は、この拘束を嫌って、中朝へ秋波を送る事態を生んでいる。結婚して、他の異性に関心を寄せる行為と同じと言えるのだ。

     

    (3)「第二は、同盟の性格と目標に対する同床異夢が同盟の根幹を揺るがしていることだ。李仁栄(イ・イニョン)統一部長官が今月2日、韓米関係を軍事同盟であり冷戦同盟だと規定した上で、平和同盟に転換できるという趣旨の主張をしたのは、政府の間違った同盟観の一端を示す事例だ。韓米同盟は北朝鮮の平和破壊を抑止し、抑止が失敗した場合は平和を取り戻すために存在してきたのだが、平和同盟に転換するというのは一体どういうことなのだろうか? 北朝鮮が核をあきらめなくても南北間交流協力や民族共助で完全かつ持続的な平和が可能だという自己欺まんや確証バイアスに政府がとらわれているなら、米国との同盟対話は的外れな答えにならざるを得ない」

     

    米韓同盟は、防衛を意味している通り軍事同盟である。これを平和同盟に切換えるとは、米韓同盟の解体を意味するはずだ。米韓同盟は、友好親善目的で締結されているのでなく、安全保障という重い目的を担っている。その認識がないとは、文政権が致命的欠陥政権であることを証明している。

     


    (4)「最後に、韓米同盟に期待する米国の戦略的利益が減少すれば、同盟に対する米国の国内政治的支持基盤が弱体化するしかないことだ。過去67年間、韓半島で戦争が再発していないのは、国家の生存保険としての韓米同盟の効用価値を証明している。米国でも東アジアの戦略的バランスと安定維持という利益を享受した。しかし、中国の攻勢的膨張政策が東アジアの平和と安定に新たな挑戦となっている状況で、中国けん制に韓国が参加する意志がなく、米国が日本、インド、オーストラリア、ベトナムなどと連帯して戦略的利益を守る方法があるとしたら、米国にとって韓米同盟の価値はなくなるだろう。韓日間の歴史問題をめぐる反目と対立も米政府や米国の国民に韓米同盟の有用性について疑念を抱かせる要因だ」

     

    下線部は重要である。中国が軍事的膨張を続けている現在、米・日・豪・印が共同で対処しようと「クアッド」を形成した。将来は、「NATOアジア版」にする構想が持ち上っている状況だ。韓国は、これに参加する意思を示さず、右往左往している。国際情勢の変化が読めないのであろう。気の毒な国である。朝鮮李朝末期と同じ外交的混迷に陥っている。

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    韓国と台湾の間は、民間でもほぼ断絶状態である。何が原因なのか。韓国が、台湾に逃れる前の中華民国(蔣介石政権)から受けた恩義に対して、後ろ足で砂をかけた裏切り行為をしたことに原因がある。

     

    ソウル市中区明洞の中華人民共和国大使館は、1992年8月24日までは中華民国大使館だった。中華人民共和国は、現在の中国である。中華民国は、現在の台湾である。日韓併合時代の朝鮮の独立派は、中華民国の支援を受けていた。文政権は韓国の起源が、この朝鮮独立派の中国での運動にあると強調している。ならば、当時の中華民国(現在の台湾)に対して深い感謝の念を捧げるべきなのに、極めて冷淡である。没交渉である。

     

    日韓関係がギクシャクしているのも、韓国の裏切り行為が原因である。日韓慰安婦合意を破棄したり、日韓基本条約を骨抜きにする「違法判決」を出すなど、国際関係を裏切る行為を平気でしているのが韓国である。

     

    『朝鮮日報』(10月3日付)は、「『侵攻してきた中国には友好的で』、台湾には厚かましい」と題するコラムを掲載した。筆者は、金時徳(キム・シドク)ソウル大学奎章閣韓国学研究院教授である。

     

    (1)「中華人民共和国と修交することになると、韓国外交部(省に相当)は台湾側に対し、3日以内に明洞の大使館から撤収することを要求した。韓国以前にも台湾の中華民国と断交する国は多かったせいで、台湾側は「韓国もいつか断交するだろう」という覚悟はしていた。そこで、少なくとも韓国側が中華人民共和国との外交樹立交渉の状況をあらかじめ知らせてくれることによって、自分たちが明洞の大使館を処分する時間を与えてほしいと頼んだ。ところが中華人民共和国に明洞の大使館をプレゼントとして与えたかった韓国側は、この頼みを拒絶し、断交直前になって一方的に台湾側へ通知した。韓国はこのとき、中華人民共和国側の要求に基づいて同国を中国の唯一の政府と認め、こんにちに至っている」

     

    韓国は、台湾に冷たい仕打ちをした。台湾の人々は、これを深く恨んでいる。日本が、台湾と友情で結ばれているのに比べて、韓国は極めて打算的であるのだ。日韓関係が、うまくいかないのは、韓国の打算と薄情による面が極めて強いであろう。

     

    (2)「国民党の蒋介石総統は、大韓民国臨時政府と朝鮮光復軍を後援し、1943年のカイロ会談でも大韓民国の独立についての文言を入れてくれた。朝鮮光復軍は、光復後に韓国軍の原型となった。一方、1938年に金元鳳(キム・ウォンボン)を代表として設立された朝鮮義勇隊は、その内の大部分が共産党の八路軍側へ移り、彼らは光復後に北朝鮮の人民軍に編入された。彼らが北朝鮮に入ったことで、金日成(キム・イルソン)は「彼らと共に韓国へ侵攻するから勝てる」と確信を持つようになった(朝鮮日報2016年6月14日付記事『朝鮮義勇隊員の80%が結成した朝鮮義勇軍、北の人民軍のルーツになった』)」

     

    中国に存在した朝鮮義勇隊の大部分が、共産党の八路軍側へ移り、後に北朝鮮軍に加わり韓国侵略の先兵隊になった。こういう経緯を見ると、韓国は現在の中国政府に感謝し、台湾政府をないがしろにしているのは、全く逆のことをしている。台湾へ、恩を仇で返しているからだ。

     


    (3)「ある人は言う。中国人は大韓民国臨時政府を受け入れてくれたのだから、嫌中しては駄目だと。この人の言葉は、事実を語っているようでありつつ巧みに事実を回避している。困難な時期、寄る辺なき大韓民国の亡命客を受け入れてくれたのは、毛沢東の共産党ではなく蒋介石の国民党だったもちろん、政府がすなわち国民ではないし、日中戦争当時の中華民国市民も、その相当数の子孫が現在の中華人民共和国に住んでいる。しかし、この中華人民共和国市民は「抗美援朝」軍将兵として1951年に韓国へ侵攻した」

     

    中国が、大韓民国臨時政府を受け入れてくれたのは毛沢東の共産党でない。蔣介石の国民党である。この区別をしっかりしなければならない、と指摘している。文政権は日本に対しては執拗なまでに過去を穿り返す。ならば、同様に、中国と台湾に対しても過去を洗い直すべきなのだ。

     

    (4)「こうした意味で私は、韓国市民と政府が中華人民共和国に対し非論理的に友好的で、中華民国の台湾に対しあまりに破廉恥であると思う。中華民国・中華人民共和国の問題で韓国人は、義理より利益を重視した。これでも恥ずかしいと思わず、逆に事実を歪曲しているのだから、国際社会に対しひたすら顔向けできない

     

    文政権の道徳主義は、根拠不明の怪しいものである。韓国政治における文政権の振る舞いは、非道徳の限りを尽くしている。仲間を違法行為から守って、司法の追及を遮る。朝鮮李朝と同じ行為をやっているのだ。この不道徳政権の末路は厳しいものとなろう。

     

     

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