勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2020年10月

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    中国産ワクチン候補の受け入れを巡り、ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領とサンパウロ州のジョアン・ドリア知事が対立している。ボルソナロ氏は21日、中国の民間医薬品会社、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発中のワクチン候補について、連邦政府が購入することはないと明らかにした。シノバックはサンパウロ州とワクチン開発で提携しており、専門家らは、ブラジルでは同社のワクチンが最初に承認される可能性が高いとの見方を示している。

     

    ボルソナロ氏はこれまで、中国政府とドリア氏の双方を厳しく批判している。ドリア氏は元テレビスターの富豪で、2022年の大統領選でボルソナロ氏の対抗馬になるとみられている人物だ。

     

    「ブラジル国民は誰かの実験マウスにはならない」。ボルソナロ大統領は21日、ツイッターにこう投稿した。これに先立つ20日、ボルソナロ政権のアルド・パズエロ保健相は、シノバックのワクチン候補「コロナバック」4600万回分の購入向けた資金を提供する方針を明らかにしていた。そのワクチンは、サンパウロ州知事ドリア氏がすでにブラジル向けにシノバックから確保していたものだ。ボルソナロ氏は保健相の合意を破棄したとし、これに矛盾するいかなる情報も「裏切り」と断じた。以上は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月23日付)が報じた。

     

    『大紀元』(10月23日付)は、「ブラジル大統領、中国製ワクチン認めず『国民はモルモットではない』」と題する記事を掲載した。

     

    ブラジルのボルソナロ大統領は10月21日、中国製の新型コロナウイルスワクチンの購入しないことを明らかにした。

     

    (1)「同日、ボルソナロ氏は自身のフェイスブックとツイッターで「私の政府にとって、どのワクチンも、公衆に提供するために保健省と国家衛生監督局の科学的認証を受けなければならない」とし、「ブラジル国民は誰のモルモット(実験動物)にもならない」と投稿した。サンパウロ州のジョアン・ドリア知事は20日、州政府は北京拠点のシノバック・バイオテック社(科興控股生物技術、以下「シノバック」)が開発中の新型コロナウイルス向けワクチン「コロナバック」4600万回分を購入することで合意した、と明らかにしたばかり」

     

    ブラジルでワクチン接種が政争の具となっている。中国派のサンパウロ州知事(次期大統領選の有力対抗馬)が、現職大統領と争っている結果だ。サンパウロ州知事は、ワクチンの最終臨床試験を終えていないものを接種しようとして問題になった。

     

    (2)「ドリア氏によると、「コロナバック」の臨床試験は11月中旬に終了する見込みで、ブラジルでは早ければ2021年1月から大規模なワクチン接種計画を開始すると述べていた。今年6月11日、中国のシノバック社とサンパウロ州保健省管轄のブタンタン研究所は、「コロナバック」の第3相臨床試験を実施するための共同開発契約を締結した。この契約に基づき、ワクチンの試験と生産はサンパウロ州で開始される。ブタンタン研究所は19日、後期臨床試験の初期結果として「コロナバック」「安全」との見解を示したが、試験はまだ進行中で、実験がすべて終わるまで、ワクチンの有効性に関するデータは公表しないと付け加えた。トルコとインドネシアでも同様の実験が行われている」

     

    サンパウロのブタンタン研究所は19日、後期臨床試験の初期結果として「コロナバック」について「安全」との見解を示したが、試験はまだ進行中で、実験がすべて終わるまで、ワクチンの有効性に関するデータは公表しないと付け加えた。これでは、ブラジル大統領が、責任をもって接種せよとは言えないだろう。

     


    (3)「サンパウロ州政府は19日、コロナバックの第3相臨床試験で、ボランティア9000人のうち、35%が頭痛、接種部位の腫れなど、軽い副反応があることを明らかにした。ブラジルでは保守派の大統領と州知事の間の緊張がワクチン対応にも延焼している。ボルソナロ大統領は英企業のワクチンの購入を勧めることに対し、ドリア・サンパウロ州知事は連邦政府を飛び越えて、中国製ワクチンの提供を受けると決めた。両氏は中国ウイルス対策をめぐり激しい対立が表面化している」

     

    ボランティア9000人のうち、35%が頭痛、接種部位の腫れなどの副作用が出ているという。これで「安全」とは随分と甘い判定である。ブラジル大統領が、最終臨床試験後の接種方針を固執するのは当然であろう。ただ、米ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、ブラジルのウイルス感染者数は累計で530万人に達し、米国とインドに次いで世界で3番目に多い。累計死者数は15万5000人で、米国に次いで2番目だ。これだけの被害が出ていれば、「頭痛、接種部位の腫れ」などの副作用は、我慢すべきというのだろうか。

     

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    韓国は、自らの力を過信している。米中対立の中で、「外交バランサー」になるという夢を捨てきれないようだ。2017年11月、文政権発足から半年後の米韓首脳会談で、インド太平洋構想の重要性を説明したトランプ大統領に対し、文大統領は最後まで同意しなかった。会談後の共同発表文はトランプ氏の発言だけを紹介し、軍事同盟国間の会談としては異例の形をとったのである。

     

    韓国は代替策として東南アジア諸国連合(ASEAN)との経済協力を深める独自の「新南方政策」を打ち出した。その後も米国からインド太平洋戦略への参加を求められと、『新南方政策』と『インド太平洋構想』との間の調和と協力を推進する」とかわした。以上は、『日本経済新聞 電子版』(10月23日付)が報じた。

     

    こういう韓国の「ヌエ的」行動に米国が、決断を下した。米国防長官は、「中国けん制14ヶ国」に韓国を加えなかったのだ。米韓同盟がありながら、インド太平洋構想に韓国を加えないという、異常な姿が浮かび上がった。

     


    『東亜日報』(10月22日付)は、「国防長官、『中国牽制協力14ヵ国』で韓国を除く」と題する記事を掲載した。

     

    エスパー米国防長官が、米国の対中政策に協力する国家として「クアッド(米国、日本、オーストラリア、インドの4ヵ国協力体)」とともにアジア10ヵ国の名前を読み上げたが、韓国には触れなかった。米中の間で明確な立場を示さない韓国に対する迂迴的な圧力という観測が流れている。

    (1)「エスパー氏は10月20日(現地時間)、ワシントンのシンクタンク「大西洋評議会」が開いたテレビ会議で、「クアッド」関連の質問を受け、「非常に重要で能力のある4ヵ国の民主国家が域内で直面する挑戦について議論している」と答えた。米政府系放送局「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)によると、エスパー氏は、クアッドを今後、北大西洋条約機構(NATO)のような集団安全保障機構にするのかと問われ、「まずは共通の価値を守る力を増進させ、関係を発展させる必要がある」と述べた。インドや日本などとの軍事協力強化の必要性も言及した」

     

    「インド太平洋構想」は、中国を牽制する防衛網である。クワッド4ヶ国として、日米豪印が戦略会議を開き意思疎通を図るものだ。今後、年1回の定例会議を開催する。

     


    (2)「クアッド国家のほかに中国の脅威に対処する協力国としてニュージーランド、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、モンゴル、台湾、パラオ、東ティモール、マルタの10ヵ国を挙げた。「米国が中国およびロシアとの競争時代に対処するために、国の大きさに関係なくすべての域内国家と関与する必要がある」と強調した」

     

    クアッド国家のほかに、ニュージーランド、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、モンゴル、台湾、パラオ、東ティモール、マルタの10ヵ国が協力するという。この中に、台湾が入っていることに注目したい。

     

    「インド太平洋構想」に、台湾が加わっていることは、中国が台湾攻撃を仕掛ければ、先ず米国が共同防衛で立ち上がるという意味である。中国は、こういう連携関係を無視していると、大きな落し穴に嵌り込むであろう。

     

    (3)「しかし、エスパー氏は、北東アジアの核心同盟国と明らかにしてきた韓国については一切言及しなかった。韓国が中国との関係を意識して米国の反中戦線への参加を躊躇する状況を考慮したものとみられるが、米国を中心にアジア地域の国家を結束する構図から韓国だけ外されるのではないかという分析もある。これに先立ち19日、ビーガン国務副長官は、「クアッドの拡大は時期尚早」とし、韓国を含む「クアッドプラス」拡大をすぐには推進しない考えを示した」

     

    前記の14ヶ国に韓国の名前がないことだ。韓国が外れていることは、中国へ秋波を送っている国であるからだ。韓国が入っていたのでは、中国けん制効果を台無しにする恐れが強い。

     


    (4)「また、エスパー氏は、同盟国の防衛費の増額を再び迫った。エスパー氏は、「すべての同盟が国防にさらに投資することを期待する」とし、国内総生産(GDP)比2%以上に引き上げるよう要請した。また、「ますます複雑になる脅威を克服し、共通の価値を防衛するために、共通の安全保障へのただ乗りは認めない」と強調した」

     

    各国が、米国から防衛費引上げを求められている。単独で防衛するよりも、軍事効果は大きい。中国は、こういう動きを見てさらに強気になるのだろうか。多勢に無勢であり、同盟の力には及ばないはずだ。中国が、最も恐れるのは「合従」(同盟)である。韓国は、ここから外れて中国と「連衡」(一対一の関係)になれば、簡単に飲み込まれる。韓国は、この歴史の現実を理解できないのだ。気の毒である。

     

     

     

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    韓国が、米国から無視されていると韓国メディアが気を揉んでいる。ポンペオ米国務長官は、先の訪日の際、韓国を訪問予定であったが中止。さらに、25~30日にインド、スリランカ、モルディブ、インドネシアなどアジアを訪れることにしながらも韓国は含めなかった。文大統領が国連で演説した「北朝鮮との終戦宣言案」についても、ポンペオ氏は否定したのである。これでは、「コリアパッシング」と言われても仕方ない状況だ。

     

    『中央日報』(10月23日付)は、「韓国パッシング? 米国務長官、来週のアジア歴訪から韓国外す」と題する記事を掲載した。


    米国のマイク・ポンペオ国務長官の招待を受けて康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が訪米する予定だと韓国外交部が22日、明らかにした。外交部は康長官が21日と22日の2日間、ポンペオ長官と2回電話会談を行い、「康長官が近く米国を訪問してポンペオ長官と会談し、韓半島(朝鮮半島)や地域、グローバル問題に対する戦略的疎通を続けていくことにした」と明らかにした。



    (1)「ポンペオ長官は当初、今月初めに日本に続いて7~8日に韓国を訪問する予定だったが白紙化した。これについて外交部は「米国が内部の避けられない事情でポンペオ長官が韓国に来ることができないと説明した」とし、ドナルド・トランプ大統領の新型コロナウイルス(新型肺炎)感染が背景であることを示唆した。当時、外交部は「延期」と表現していた。「早い期間内に再びポンペオ長官の訪韓が推進されることを期待する」としながらだ。米国務省も「数週後の10月中にアジア歴訪日程を再び組むために努力する」とし、年内訪韓について可能性を残していた」

     

    米国務省が、韓国に対して冷淡な姿勢を見せているのは、韓国側に責任がある。駐米韓国大使が、二度までも「韓国は米中のいずれかを選択できる立場になった」と発言したからだ。同盟国である米国に対して、これだけ非礼な発言はない。米国を軽んじる発言をしながら、米国から無視されるとこの騒ぎである。

     

    日韓関係も同じだ。駐日韓国大使が「徴用工問題で日本が軟化気配」と発言したとたん、韓国与党代表は、「日韓両国の外交当局に委ねたい」と姿勢を変えてきた。腹の据わった外交が困難な国である。風見鶏の韓国なのだ。

     

    (2)「だが、この日の発表のように、康長官が訪米するというのは、ポンペオ長官の訪韓は「延期」ではなく事実上の「取り止め」になったという意味でみなくてはならない。また、今回もポンペオ長官が25~30日にインド、スリランカ、モルディブ、インドネシアなどアジアを訪れることにしながらも韓国を含めなかった。ポンペオ長官のアジア歴訪日程を勘案する場合、康長官がワシントンを訪問するなら米国大統領選(11月3日)以降になる可能性が非常に高い。それなら大統領選の勝者を占うのが事実上不可能な今の時点に大統領選以降の訪米を約束することに何か意味があるかという反問が出ざるを得ない」

     

    ポンペオ国務長官のアジア歴訪は、10月25~30日である。康長官がワシントンを訪問するなら米国大統領選(11月3日)以降になる。トランプ氏が再選されなければ、康長官訪米は事実上、意味がなくなる。

     

    (3)「民主党ジョー・バイデン候補が当選する場合、ポンペオ長官に会うことは実益がなく、訪米そのものが水泡に帰する可能性もある。同じ指摘は18日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)が徐薫(ソ・フン)国家安保室長の訪米成果を発表して「ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が11月に訪韓することにした」と明らかにした時にもあった。これについて国内的に「コリアパッシング」の懸念が大きくなると、政府がこれを縫合するために緊密な韓米関係を強調しようとする狙いではないのかという解釈もある」

     

    国内的に「コリアパッシング」の懸念が大きくなると、韓国政府がこれをカムフラージュすべく、米韓密着説を演出して国内での批判を回避する。どう見ても、その場限りの外交姿勢である。

     

    (4)「偶然にも外交部の発表は、ポンペオ長官が(文大統領提案の)終戦宣言に対して韓国とやや異なる意見を明らかにした直後に出てきた。ポンペオ長官は21日(現地時間)、国務省の記者会見で「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が国連総会で言及した終戦宣言が北朝鮮の核放棄なしで可能なのか」という質問に「従来の米国の立場に変化はない」と明らかにした。「われわれは(北朝鮮との交渉)テーブルに戻って究極的に韓国大統領が話したこと(終戦宣言)に導くことができる問題について真剣なやり方で始めることを希望する」としながらだ」

    文大統領は「終戦宣言こそ韓半島で非核化と恒久的平和体制の道を開く扉になる」と述べた。これは終戦宣言を非核化プロセスの「入口」として別途取り出し、膠着局面にある交渉に動力を得ようとする趣旨と解釈されている。だが、ポンペオ長官の発言は終戦宣言がむしろ「出口」側に近いという意味としてみることができる。文大統領の「終戦宣言案」は、米国から全く問題にもされていない実態が浮き上がった。米国が、こういう韓国との議論を回避したいのは当然であろう。

     

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    中国が、途上国を相手にワクチン外交を進めている。まだ、最終臨床試験を経ていないうちから、輸出契約を結ぶという急ぎぶりである。当然、リスクを含む。それ以上に、米国を出し抜いて「世界初」に拘っている結果だ。

     

    ブラジルのボルソナロ大統領は10月21日、中国製の新型コロナウイルスのワクチン購入を許可しない考えを示した。ブラジルではサンパウロ州が中国企業からワクチンの提供を受けるとしており、ブラジル政府として20日に承認したばかりだった。対応が二転三転し、ワクチンが政争の具となりつつある。ボルソナロ氏は中国製ワクチンについて、フェイスブックに「科学的な証明が必要だ」と書き込み、「ブラジル人は(実験用の)モルモットにならない」とも投稿。治験を終了していない中国製ワクチンについて、政府予算を使っての購入は認められないと主張した。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(10月21日付)は、「中国、リスク承知で挑む『ワクチン外交』」と題する記事を掲載した。

     

    中国が、自国で開発中の新型コロナウイルスのワクチンをアジア、アフリカ、南米などの国々に優先的に提供する「ワクチン外交」を展開している。他国へのワクチン提供に消極的な米国の隙を突き、各国との関係強化を図る狙いだ。ワクチン外交を主導するのは王毅(ワン・イー)外相だ。マレーシア、タイ、カンボジア、ラオスの東南アジア諸国などに中国製ワクチンを「優先的に」提供すると約束した。

     


    (1)「臨床試験の最終段階である「フェーズ3(第3相)」にあるワクチンを4種類有する中国は、世界的なワクチン供給国を目指している。正式な承認に至る直前のフェーズ3では、ワクチンの安全性と効果を確かめるための、大規模で厳密な治験が実施される。ジョンソン・エンド・ジョンソンやモデルナなど米国の製薬会社が開発中のワクチンも治験の最終段階だが、米政府は海外への提供支援は消極的だ。2国間の合意に基づくワクチン提供で、米国は東南アジアにおいては、中国との競争を放棄してしまった」と、英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)のアーロン・コネリー東南アジア担当研究員は言う」

     

    米国が、他国へのワクチン供給に消極的であるのに対して、中国は真逆の戦術である。発展途上国へ積極に売り込む姿勢だ。最終臨床試験を経ない段階での売り込みは、リスクを伴う。先進国企業にはできない真似だ。

     

    (2)「先週、4日間にわたって東南アジア諸国を歴訪した王外相は、東南アジアにワクチンを配布する準備ができている姿勢を示した。米トランプ政権が「アメリカ・ファースト」政策をとるなか、同地域で優位な立場に立とうする中国政府の戦略の一環だ。王外相は、インドネシアの政府関係者と会談し、中国製薬企業の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)とインドネシア国営企業のビオファルマが8月に合意した協定を再確認した。協定では、シノバックが、フェーズ3の治験段階にあるワクチン候補「コロナバック」を、少なくとも4千万回分、2021年3月までに提供することになっている。11月には供給を開始する予定だ

     

    中国は最終臨床試験を経ないで、11月からインドネシアへ供給するという。売る方も買う方も、最終臨床試験を経ないワクチンを売買する。リスクは売り方・買い方、どちらが取る約束か。先進国レベルでは不可能な契約である。

     


    (3)「インドネシアの新型コロナウイルスの累積感染者数は35万人超で、東南アジアでは最多となっている。インドネシアが中国製ワクチンに過度に依存することになれば、同国に対する中国の影響力はかなり大きなものになるだろう。しかし、ワクチンの免疫反応が弱く、インドネシアがさらに待たされるという可能性もある」とコーネル氏」

     

    未完成コロナワクチンの供給は、リスクを伴うことはいうまでもない。犠牲者が出れば、その責任はすべて中国にはねっ返るからだ。その時の、準備はできているのか。

     

    (4)「中国は、「マスク外交」で手痛い失敗を喫した。「ワクチン外交」は必ず成功させるという決意で臨んでいる、と米シンクタンク外交問題評議会(CFR)のファン・ヤンツォン氏は語る。コロナウイルスの感染が世界的に拡大し始めた頃、中国はマスクや防護具などを海外に提供して中国の魅力向上につなげようとした。しかし、欧州数カ国で、中国製のマスクなどの製品が品質水準を満たしていないとして受け取りを拒否され失敗に終わった。しかし、中国は、「世界的なワクチン開発競争では影響力を拡大し、最終的な勝者になる可能性が高い」とファン氏は言う」

     

    マスク外交の失敗とワクチン外交の失敗では、その質が異なる。ワクチンでは失敗の場合、人命の損傷が起こるのだ。人権重視の西側諸国には、真似のできない荒業だ。成功したとしても、決してほめられることではない。

     

     

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    在カナダ中国大使が、暴言を吐いて大きな批判を浴びている。カナダが、香港や新疆ウイグル自治区の問題で中国批判したことへの反発だ。それにしても、香港在住30万人のカナダ人の安全問題を持出し、危害を加えるような恫喝は、中国外交の未熟さを余すところなく示している。「田舎大使」そのものだ。

     

    在カナダ叢培武中国大使は、カナダ政府がこのほど、香港の民主活動家2人の政治亡命を認めたことや、カナダ国会議員60人余りが提案した香港市民への支援計画を批判した。大使は、昨年の抗議デモに参加した香港市民を「暴力的な犯罪者」と呼び、カナダ政府が香港市民の政治亡命を認めることを「中国内政への介入だ」と非難した。

     

    この上で、大使は「カナダ側は、香港にいるカナダ国民30万人の健康と安全、そして香港で事業を展開しているカナダ企業を気に掛けているなら、中国側の暴力犯罪と戦う取り組みを支援すべきだ」と話したのだ。カナダ国民30万人を人質にとっているという感覚である。この発言が、カナダ国民を激怒させた。野党代表は、追放要求を出すなど騒ぎが広がっている。

     


    『大紀元』(10月22日付)は、「カナダ、中国大使の恫喝に批判強める、香港・新疆問題をめぐって」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「カナダの政界とメディアはこのほど、駐カナダ叢培武中国大使の威圧的な「戦狼」言論に批判を強めている。叢大使は、香港の民主化活動家を支援するカナダ政府に対して、支援をやめなければ、香港にいる30万人のカナダ国民の身の安全を保障できないと発言した。同氏はまた、中国ファーウェイの孟氏の拘束は「米国が作り上げた政治事件だ」と批判し、香港や新疆について、「人権にかかわる問題ではなく」「中国の内政であり、外国からのいかなる干渉も許してはならない」と強い口調で述べた」

     

    中国が、カナダに最も圧力を掛けている理由は、中国ファーウェイの孟氏の米国引き渡しを阻止して、釈放させることだ。孟氏は米国へ引き渡され取り調べが始まれば、どのような機密情報が出てくるか分らない。それだけに、カナダ政府へ圧力を掛けざるを得ない。孟氏が有罪になれば、刑期20年が予想されるという。中国政府が、「救出」に必死となる訳だ。

     

    (2)「叢大使は、カナダ政府がこのほど、香港の民主活動家2人の政治亡命を認めたことや、カナダ国会議員60人余りが提案した香港市民への支援計画を批判した。大使は、昨年の抗議デモに参加した香港市民を「暴力的な犯罪者」と呼び、カナダ政府が香港市民の政治亡命を認めることを「中国内政への介入だ」と非難した」

     

    この叢大使発言、聞けば聞くほどカナダ国民の神経を逆なでしている。日本の中国大使は、これに比べると静かなものだ。日本が、亡命を認めるような「ギリギリ」の外交案件を抱えていない証拠だろう。

     


    (3)「この上で、大使は「カナダ側は、香港にいるカナダ国民30万人の健康と安全、そして香港で事業を展開しているカナダ企業を気に掛けているなら、中国側の暴力犯罪と戦う取り組みを支援すべきだ」と話した。カナダ世論や政府関係者はソーシャルメディアで、叢大使の発言は恫喝だと相次いで糾弾した。16日、ジャスティン・トルドー首相は記者会見で、人権問題について「引き続き声を上げていく」と反発した」

     

    カナダのトルドー首相は、中国の圧力に屈せず中国の要求を撥ね付けている。豪州も同様に、中国へ対抗する姿勢を鮮明にしている。

     

    (4)「野党保守党のエリン・オウトゥール党首は17日、ツイッター上で、トルドー政権に対して、叢大使を国外へ追放するよう求めた。「カナダ保守党は、叢培武大使に発言の取り消しと謝罪を求める。もし、叢大使が迅速に対応しなければ、われわれは政府に対して、大使の信任状を取り下げるよう要求する」とした。カナダ地元紙「トロント・サン」は17日の社説で、オウトゥール氏と同じ見方を示した。「トルドー政権は非難だけにとどまるべきではない」「大使が謝罪を拒否し、脅しの発言を撤回しなければ、大使を北京に戻してください」と主張した

     

    カナダ野党代表は、中国大使の追放さえ要求している。中国大使の暴言は、追放に値するものだ。中国が、こうやって国家としてのイメージを下げていることに気付かないのは、中国の「非文明性」を表わしている。

     


    (5)「
    在米中国人学者の戈壁東氏は、30万人のカナダ国民や各国の市民を「人質」にし、各国政府を意のままにすることは、中国共産党の本性の現れだとした。中国当局は、孟晩舟氏の拘束を受けて、報復措置として、2018年12月カナダ人元外交官2人を逮捕した。今年6月、当局はスパイ罪で2人を起訴した

     

    中国政府は当初、下線部のようにカナダ人元外交官2人を「見せしめ」逮捕した。孟氏との人質交換を要求したが、カナダ政府が拒否している。カナダ国民もこの対応を支持するなど、強い対中姿勢を見せている。

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