勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年01月

    テイカカズラ
       

    韓国の文大統領は突然、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官(外相)の更迭を発表した。後任は、鄭義溶(チョン・ウィヨン)前国家安保室長を内定した。

     

    康氏については、これまで内閣改造のたびに名前が上がってきたほどで、外交手腕に疑問符がつけられてきた。もともと外交官出身でなく、国連職員として英語が堪能という以外に評価されることはなかった。韓国政府部内で浮き上がっており、重要な安保外交会議では外されるなど、負のイメージがつきまとっていた。

     

    ただ、これまで外交部長官に留まってこられたのは、ひとえに文大統領の厚い信頼の結果とされている。その文大統領の贔屓も、文氏自らの政治生命が問われる段階にきて、「サバイバル」という五字で断ち切られることになった。

     


    文大統領の外相更迭理由は、対日外交の改善を含めて韓国外交の立直しである。米国バイデン政権発足に合せて、米韓関係と日韓関係は密接に絡むと判断したのであろう。バイデン次期米大統領は、同盟国の結束を呼び掛けている。それは、米韓と日韓の関係が根本的に見直されることだ。韓国の「二股外交」と対日関係悪化は、同盟国結束にとっていずれも障害物である。文大統領が、これまで取ってきた外交戦略は、根本からひっくりかえされる局面を迎えたというべきである。

     

    対日外交の改善では、姜昌一(カン・チャンイル)駐日新大使が、日本の「アグレマン」(承認)も得ている。姜氏は、22日の赴任前に韓国の記者会見で次のように発言した。『聯合ニュース』(1月17日付)が伝えた。

     

    「強制徴用問題の解決策について、『互いに大義名分と原則を守りながら解決できる方法が多くあると思う。私が把握しただけで12(の解決策)がある』と述べた。具体的な解決策は公開しなかったが、『知恵を集め、真摯(しんし)に議論すれば方法を見つけられると確信する』とし、政治的に解決していかなければならないと強調した」

     

    「姜氏は、文在寅大統領からは両国関係の正常化と協力体制の強化に取り組むよう指示を受けたとし、『(文大統領は)東京五輪の成功のため、必要ならいかなる役割もいとわないと話した』と伝えた。また、『菅首相とも会って率直に話し合いたいという話もあった。非常に強い意志を持っている』と述べた」

     


    徴用工賠償問題で、姜氏は12の解決案を持っていると発言している。これは、文大統領の承認を得たものかどうか不明だが、何らかの具体案を持参して日本へ赴任するのだろう。日本側は、韓国に対して具体案を示せと要求している。これまでの韓国は、「最も重要な国」などとリップサービスを言うだけで、日本側に一層の不信感を募らせるばかりであった。

     

    日本人は、行動を重視する。韓国人は、誠意とか心とか抽象的なことで終始している。日韓関係は、本質的に「行き違い」の起こる構造になっている。

     

    a0001_001089_m
       


    米国では、EV(電気自動車)の新興メーカー・テスラの株価急騰によって、EV関連企業全体に大きな注目が集まっている。現在のEVは、リチウムイオン電池を動力源にしているが、充電に長時間かかることや、発火事故を起こすなど克服すべき技術的課題を抱えている。

     

    いま少し詳しく説明すると、次のようになる。

     

    全固体電池は現在、主流のリチウムイオン電池の電解液の代わりに固体の電解質を使う。発火などのリスクを低減し安全性を高められるほか、電池容量を示すエネルギー密度が数倍に上がる。充電時間も現行EVの3分の1の10分程度ですむという。

     

    こういう「夢の電池」である全固体電池が、米国では、クアンタムスケープの手で進んでいる。クアンタムスケープの技術は、資金力の豊富な支援企業を引きつけている。ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンは、同社に3億ドルを投資し、数年内に実用化される予定のバッテリーを使う計画と報じられている。クアンタムスケープは、昨年11月下旬、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通して上場した。ビル・ゲイツ氏が設立したクリーンエネルギー基金「ブレークスルー・エナジー」からも支援を受けている。以上は、『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』(1月19日付)が報じた。

     


    全固体電池の開発では、トヨタが世界のトップを走っている。トヨタの全固体電池関連の特許数保有は、1000を超えて世界トップという。他の自動車メーカーに先駆け20年代前半の実用化を目指している。21年に試作車を公開し、性能試験を本格化させる。日産自動車も28年めどに自社で開発した全固体電池を実車に搭載する計画だという。以上は、『日本経済新聞』(2020年12月10日付)が報じた。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月19日付)は、「EVバッテリー競争、全固体電池の実装なるか」と題する記事を掲載した。

     

    電気自動車(EV)には2つの大きな欠点がある。限られた航続距離と充電の遅さだ。バッテリーメーカーが「デンドライト(樹状突起)」問題を解決できるまで、問題は続く公算が大きい。解決策は何十億ドルもの価値になる。多くの新興企業が、開発初期における成功をアピールしている。こうした新興企業は自動車メーカーが後ろ盾となっていることが多い。投資家は数少ない上場企業の一つ、クアンタムスケープに群がっている。

     

    (1)「リチウムイオン電池のデンドライトとは、微少な枝状の小針のようなリチウム堆積物をいう。電池の内部で形成され、ショートや火災まで引き起こす原因となる。現在、自動車に搭載されているバッテリーは時間をかけて充電する必要があるが、これはデンドライトの形成リスクも一因となっている。充電が早過ぎると、デンドライトが形成される可能性があるからだ。クアンタムスケープのバッテリーはデンドライト問題を解消したもようで、より短時間で充電することができる」

     

    リチウムイオン電池の弱点は、全固体電池によって取り除かれる。発火事故もなく短時間の充電が可能である。

     

    (2)「一方、コロラド大学のスピンオフ事業で、フォードや現代自動車、BMWが支援している新興企業ソリッド・パワー(本社デンバー)は、リチウムイオン電池の生産と同じ設備や技術を使える全固体電池の生産に取り組んでいる。乗用車用サイズのセルを試作中で、1年以内に大型セルを作成し、2025年までに量産車に搭載することを目指している。トヨタ自動車も全固体電池の開発に長年取り組んでいる。昨夏の東京五輪で実用レベルの試作品を披露する予定だったが、五輪は延期された」

     

    フォード、現代自動車、BMWが支援している新興企業ソリッド・パワーも全固体電池に取り組んでいる。トヨタは、世界一の全固体電池の特許保有とはいえ油断ならない。

     

    『日本経済新聞』(2020年12月10日付)は、「新型EV電池、官民で実用化 20年代前半にトヨタが搭載車 三井金属 素材生産へ」と題する記事を掲載した。

     

    電気自動車(EV)の次世代基幹技術として本命視される「全固体電池」の実用化への動きが官民で加速し始めた。トヨタ自動車は同電池の搭載車を2020年代前半に販売する方針で、三井金属なども関連素材の生産準備に動く。政府も数千億円規模の支援を検討する。現行のEV電池は中国勢が高いシェアを握る。車の電動化の拡大をにらみ次の主要技術で主導権確保を狙う。

     

    (3)「完成車メーカーの動きにあわせ国内の素材メーカーも主要部材の生産体制構築を急いでいる。三井金属は電流の流れを左右する「固体電解質」と呼ばれる素材の生産に乗り出す。埼玉県の研究所で設備を稼働させ、21年には企業の試作レベルの発注量に対応できる年間数十トン規模をつくれるようにする。出光興産も自動車向けを念頭に固体電解質の生産設備を千葉県市原市の事業所に新設し21年から稼働させる。全固体は硫化系物質などを固める作業が重要で、金属や化学メーカーが手がけやすい。住友化学も関連部材の開発に乗り出した」

     

    日本は、「素材の日本」と言われるほどの強みをもつ。高度経済成長時代に培った技術に磨きを掛けて、他国の追随を許さぬ体制を取っている。久しぶりに「オールジャパン」が結束して、全固定電池でトップを走らなければならない。

     

    (4)「日本政府は現状のままでは車の性能に直結する中核技術の多くを中国に頼ることになるとみて全固体電池の開発を後押しする。これから新設する2兆円規模の脱炭素技術の支援用基金などを活用し、数千億円規模の生産開発補助を検討していく。国内での量産体制の整備支援などを想定している。リチウムイオン電池同様に全固体も世界で埋蔵量が限られるリチウムを使うため、材料調達での協力も進める」

     

    政府も脱炭素技術の一環として技術開発を支援する。リチウムの確保も政府の支援を必要とする。

     

    a0960_006618_m
       

    韓国歴代政権は、韓国の財閥を「財布代わり」に利用してきた。強制的に寄付金を課して財団を設立させてきたのだ。韓国では、これが普通のことであった。進歩派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権も行ってきた。こういう「癒着構造」が、政権と財閥企業の間にあるべき緊張関係を緩ませてきたのである。

     

    財閥企業自体もコーポレートガバナンス(企業統治)から外れている。出資と経営の分離という企業経営原則が無視されている。財閥家族(出資)が、経営権を握ることが普通の現象である。日本から見ると、財閥経営者が信じられないような公私混同を起こして騒ぎを広げているのだ。

     

    今回のサムスン副会長(事実上のサムスン・トップ経営者)が、贈賄事件で懲役刑に処せられたのは、韓国に多くの教訓を残している。

    1)財閥と政府の癒着関係を糺す

    2)財閥企業の出資と経営の分離を貫徹する

     


    『朝鮮日報』(1月19日付)は、「サムスン電子副会長再収監 刑務所の塀の上を歩く韓国企業経営者の宿命」と題する記社説を掲載した。

     

    (1)「サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が経営権継承のために会社資金86億ウォン(約8億1000万円)を横領し、朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領と側近の崔順実(チェ・スンシル)氏に賄賂として贈ったとして、ソウル高裁で18日開かれた差し戻し審の判決公判で懲役2年6月を言い渡され、収監された。国政介入事件を巡り、4年以上の捜査、裁判を受けた末、事実上刑が確定したことになる」

     

    韓国を代表するトップ企業であるサムスンに対して、韓国歴代政権は本来国家財政で行うべきことでも、寄付金を強要する関係にあった。すべては、この癒着構造から始まっている。

     


    (2)「李副会長の裁判結果は、韓国で起業するにはどんな覚悟が必要かを示している。裁判所は「朴前大統領が先に賄賂を要求した」とし、「大統領が要求すれば、拒絶するのは非常に難しい」とも指摘した。そうした事情を知りながら、李副会長の法的責任を追及した。李副会長に対する判決が朴前大統領の国政介入事件で判決の「従属変数」だったからだ。事件を最初に捜査した検察は、「朴前大統領の強要によるものだ」と判断した。それを特別検事が、「贈収賄事件」に切り替えた。朴前大統領にさらに重い刑罰を下すため、新たなフレームを構築したのだ。収賄罪を成立させるには贈賄側の人物がいなければならない。結局、強要された人物が贈賄の犯罪者になってしまった」

     

    下線部分で、「朴前大統領が先に賄賂を要求した」とし、サムスンは「大統領が要求すれば、拒絶するのは非常に難しい」とも指摘している。ここでは、公然と「賄賂」という言葉を使っているが、「寄付」を悪意に「賄賂」と置換えている。この大統領と財閥の関係は、従来の政権が行ってきた「ルーティン」と見るべきだ。

     


    (3)「今回の事件で李副会長は下級審から上級審まで4回の判決を受けた。争点となったのは、李副会長が朴前大統領の要求に従い、崔順実氏に馬3頭などを支援したことが賄賂に該当するかどうかだった。賄賂の金額が50億ウォンも増減し、李副会長は実刑と執行猶予を行き来した末、最終的に実刑判決を受けた。根拠は、李副会長が朴前大統領に「経営権継承を助けてほしい」と黙示的請託を行ったことだ。2人が以心伝心で心の中で請託のやりとりをしたという話だ。判事がのぞき込んだ被告の心中に基づき判決を下されたことになる」

     

    下線部は、微妙な問題を含んでいる。崔順実氏の娘が、オリンピックの乗馬選手で出場できるように、競技用馬を用意させたもの。オリンピックといえば、国家行事である。本来、体育協会が用意すべき乗馬を財閥に肩代わりさせたのである。こういう事例は、過去の政権では随所にあったと見るべきだろう。これが、時代に変って、サムスンの贈賄と解釈されたのだ。

     


    「黙示的請託」という、証拠もなく極めて曖昧な判断によって、判決を下していることが汚点であろう。証拠がないにも関わらず多分、「そうであっただろう」ということで判決が出ているのだ。これは、むりやり朴前大統領を犯人に仕立てるための「小道具」にされた。

     

    (4)「企業は現政権の要求を拒絶すれば、政権下で報復を心配しなければならず、拒絶しなければ次期政権で代価を支払うことになる。刑務所の塀の上を歩く曲芸を迫られるのが大韓民国の企業の宿命だ」

     

    今後、こういう事件を絶つには、政権と財閥の間に寄付金など金銭的な関係を無くすことである。政権は、財閥に税金以外の出費を要求しないという原則を打ち立てるべきであろう。

     

    a1180_014549_m
       

    欧州にとって2020年は、歴史の分水嶺になった。中国起源の新型コロナがもたらしたパンデミックは、世界不況を生んだほかに、中国の「マスク外交」で欧州の結束にひび割れさせたからだ。また、中国にあるサプライチェーンの生産停止が、欧州経済に危機を呼込んだ。こうして、アジア外交の基軸を中国に置かず、インド太平洋へ移す強い動機を生んでいる。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月19日付)は、「欧州、インド太平洋に軸足 アジア外交を多様化」と題する記事を掲載した。

     

    欧州各国がインド太平洋地域に関する外交方針を相次ぎ打ち出している。対中国に軸足を置いてきたアジア外交を多様化し、同地域の経済成長を取り込む。地域各国も米国と中国に並ぶ市場として欧州への関心を強めている。

     

    (1)「2020年12月1日、欧州連合(EU)と東南アジア諸国連合(ASEAN)はオンラインの外相会議を開き、両地域の関係を戦略的パートナーシップに格上げすることで合意した。計37カ国で人口11億人を抱え、国内総生産(GDP)は世界全体の23%を占める。自由貿易協定(FTA)の締結など経済分野の連携を強める方針だ」

     

    EUは、ASEANと両地域の関係を戦略的パートナーシップに格上げすることで合意した。経済分野の連携を強める。今後の世界経済の発展地域は、ASEANになる。EUが、関係強化に動くのは当然だ。これは将来、安全保障面で両社が結びつく要因となろう。

     


    (2)「20年後半にEU議長国を務めたドイツ政府は、ASEANとの関係強化を「インド太平洋外交の指針(ガイドライン)を実行するうえで画期的な出来事だ」と指摘する。ドイツ政府は20年9月、インド太平洋外交のガイドラインを初めて閣議決定した。法の支配や航行の自由など、価値を共有する日米豪印や東南アジアの各国と連携する。オランダ政府も11月、インド太平洋に関する同様のビジョンをまとめた。もともと南太平洋に駐留部隊を持ち、18年にインド太平洋での安全保障戦略を策定したフランスと協力し、EUにも地域で主体的に動くよう働き掛けを強めている」

     

    EUの「覇権国」ドイツは、アジア外交の基軸を大きく変えようとしている。20年9月、インド太平洋外交のガイドラインを初めて閣議決定した。価値を共有する日米豪印や東南アジアの各国と連携する姿勢をはっきり見せたのだ。西太平洋へ軍艦を派遣する旨、日本の防衛相に約束したほど。

     


    (3)「EUはこれまでアジア外交の軸足を中国に置いてきた。両者にとり相手との貿易総額は2番目に大きく、20年12月末には投資協定の締結で大筋合意した。欧州は新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済の浮揚を狙う。日中韓とASEANなど15カ国が東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)で合意に達し、EU抜きで経済統合が進むことへの危機感があったとみられる」

     

    EUが、脱中国でASEANへ関心を向けている裏には、RCEPによって経済統合が進みそうなことへの懸念もある。中国と関係を深めていれば、それで済む時代でなくなってきたからだ。

     

    (4)「EUにとってアジア外交での中国偏重のリスクも増しつつある。コロナの感染拡大を巡り、医療用品支援をテコにした「マスク外交」による欧州への影響力行使はEUの警戒感を高めた。国家安全維持法の施行による香港の民主主義後退や新疆ウイグル自治区の人権問題など、EUが重視する基本的な価値に逆行する動きは怒りを買った。中国との投資協定の批准には欧州議会の同意が必要だ。21年16日には香港警察に民主派の約50人が逮捕され、複数の欧州議員から「中国とは建設的な協力はできない」と批判が相次いだ。欧州議会は人権問題に敏感で批准に暗雲も漂う」

     

    EUが、脱中国の動きを見せる裏に、中国経済はピークを過ぎたという認識もあろう。米国が同盟国の結束を強化して、中国の海洋進出に対抗する動きに同調しようとしているのだ。中国の存在が異質であり、世界平和にとって障害になりつつある。そういう潜在的リスクを強めているのだ。

     

    (5)「EUのインド太平洋重視への転換は、これまで中国一辺倒だったアジア外交を東南アジアやインドなどに視野を広げる狙いがある。医薬品や自動車などの戦略部品や原材料の中国依存は、コロナ感染拡大に伴う供給網(サプライチェーン)の寸断で欧州の工場を停止に追い込んだ。対中国関係で経済の実利は維持しつつ、価値を共有しやすい地域との関係を深める」

     

    EUのサプライチェーンは、中国にあることのリスクが強まっている。やはり、価値観を共有している地域と関係を深めるべきという「親類付き合い」に目覚めたのであろう。

     

    (6)「インド太平洋地域の各国は、欧州の方針転換を歓迎する。特に地域の中心に位置する東南アジアにとり、欧州は日中韓や米国に比べ関係が希薄だった。コロナで経済が落ち込むなか、対立する米中と異なる巨大市場として関心が高まる。19年にシンガポール、20年にベトナムがEUとのFTAを発効した。インドネシアはEUとの経済連携協定(EPA)交渉について21年中の妥結を目指す」

     

    欧州は、第二次世界大戦後に東南アジアとの関係が希薄になった。植民地放棄が大きな要因だ。再び、アジアと関係を深めるのは歴史の流れであろう。

     

    a1180_012903
       

    韓国は、今でも風水説(一種の占い)が生きている国である。中国や李朝朝鮮では、墓地の選定などに重視され、現在も普及している。こういう「古代」の風習がなお支配している韓国で、科学知識など吹けば飛ぶような扱いである。

     

    福島原発の処理水には、トリチウム(三重水素)が含まれている。これの海洋放出(むろん限界まで希釈する)に、韓国が猛反対するのも風水説に見る科学知識ゼロの結果である。韓国の月城原発で、このトリチウムが溜まっていたことが判明して、韓国与党と政権支持メディア『ハンギョレ新聞』が尻馬に乗って「放射線物質」と大騒ぎしている。「月城原発廃止」にまつわる政権疑惑事件を隠そうと策略しているのであろう。

     

    この問題については、本欄で1月14日に取り上げた。トリチウムは自然界に存在しており、人間はその中で生きているから、希釈すれば「無害」であるのだ。この常識が通じない韓国進歩派は、小学生以下の科学知識と言うべきだろう。

     


    『韓国経済新聞』(1月19日付)は、「月城三重水素『年間にバナナ6本摂取した時の被爆量』」と題する記事を掲載した。

     

    原子力学界は慶州(キョンジュ)の月城(ウォルソン)原子力発電所の敷地で見つかった放射性物質の三重水素は年間にバナナ3~6本を食べた時に被爆する量にすぎないと明らかにした。検出された放射線は少量にすぎず人体に及ぼす影響は無視しても構わない水準という話だ。学界は「三重水素で恐怖を助長する非科学的怪談は止めなければならない」と注文した。

    (1)「韓国原子力学会と大韓放射線防御学会が18日、「月城原発三重水素、本当に危険なのか」を主題にオンライン記者懇談会を開いた。三重水素は水素の放射性同位元素で、自然状態では陽子1個の一般水素に中性子2個が付いた形態だ。放射線を出すため多ければ人体に有害だが、バナナやカタクチイワシなど自然状態にも存在するというのが専門家らの説明だ」

     

    韓国与党が、トリチウムの存在をことさら騒ぎ立てる背景には、「原発は危険物」という恐怖感を国民に植え付ける魂胆である。世界の大勢は、「脱二酸化炭素」の流れに乗って原発見直し論が高まっているのだ。文政権は、強引に原発廃止に持込んだが、原発恐怖症を過大に煽っている結果でもある。そこで、トリチウム騒ぎを起こして、原発廃止の正統性を植え付けようという狙いである。

     


    (2)「この席でKAIST原子力および量子工学科のチョン・ヨンフン教授は、慶州月城廃棄場民間環境監視機構が2度にわたり実施した月城原発周辺住民に対する体内三重水素濃度分析結果を根拠に「1度目の調査では1リットル当たり平均5.5ベクレル、被爆量は約0.6マイクロシーベルト、2度目の調査では平均3.1ベクレル、被爆量は0.34マイクロシーベルトと出てきた。1度目の調査の結果は年間にバナナ6本、2度目の調査結果は年間バナナ3.4本を摂取した時の現被爆量」と説明した」

     

    月城原発周辺住民に対する体内三重水素(トリチウム)濃度を分析したが、1度目の調査の結果は、年間にバナナ6本。2度目の調査結果は、年間バナナ3.4本を摂取した時の現被爆量というのだ。騒ぎ立てる問題でない。

     

    (3)「チョン教授は、市中にあるバナナを年間6本食べただけでも0.6マイクロシーベルトの被爆が発生すると説明した。三重水素が月城原発周辺住民の人体に及ぼす影響は無視できる水準というのがチョン教授の分析だ。ソウル大学医学部核医学教室のカン・ゴンウク教授と、大韓放射線防御学会放射線安全文化研究所のイ・ジェギ所長ら専門家も、三重水素をめぐる恐怖感拡大は望ましくないとの意見を出した」

     

    トリチウムは、自然界に存在する以上、食物は当然にそれを含んでいる。しかも、いったん体内に摂取されても、10日も経てば対外へ排出されるという。

     


    (4)「カン教授は、「バナナだけでなくコメ、キノコ、肉類、魚など、私たちが摂取するすべての食べ物に三重水素が入っている。微量の三重水素が人体に入っても10日ほど過ぎればほとんどが尿として排出される」と説明した。イ所長は「三重水素は私たちが接する水にはどこにでもある。体内の水分にも1リットル当たり約0.5~1.0ベクレル程度が常在する」と強調した。専門家らは、火力発電所が原発より5倍多い放射線を排出するため、原発の三重水素が問題という話は怪談水準だと指摘した」

     

    体内の水分には、1リットル当たり約0.5~1.0ベクレル程度のトリチウムが常在するという。韓国与党は、こういう現実が立証されてもなお反対する。これは、完全に別の意図(疑惑隠し)に利用しようということだろう。あるいは、本当に科学知識がゼロかも知れない。

     

    科学知識の疎い社会では、もう一つ保守派と進歩派が鋭く対立するという指摘がある。科学の世界では、古い知識を基礎にして新しい研究が発展する。つまり、古い(保守派)知識から新しい研究(進歩派)が生まれるから両者は同根である。韓国進歩派のように、「敵・味方」の二分論で保守派と対立するのは、科学知識がゼロを示唆しているのだ。トリチウム騒ぎは、極めて象徴的な話である。

    このページのトップヘ