韓国最大野党である「国民の力」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長が1日、釜山を訪れて「韓日海底トンネル」公約を打ち出すと、与党「共に民主党」は「親日DNA」だと攻撃を浴びせた。しかし、民主党出身の金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領もかつて韓日海底トンネルの必要性に言及したのだ。とりわけ、金大中氏は熱心であった。
韓国与党の反対論の根拠は、日韓海底トンネルが日本の大陸進出を手助けするというものだ。これは、余りにも時代錯誤な見方である。日本は現在、安全保障上で重視する国家の順位で、韓国を5位へと後退させている事実から見て、朝鮮半島に「興味」を失っている。ちなみに、日本の安全保障上のパートナーは次の順序である。米国、豪州、印度、ASEAN(東南アジア諸国連合)、そして韓国である。
日本は、対中国防衛として「インド太平洋戦略」の構成4ヶ国(日米豪印)で、「クワッド」を結成している。韓国はこれに入っていないのだ。最近の情報では、新たに英国が加わる見込みが出てきたほど。韓国は、中国との関係で正式な参加意思を見せずにいる。こういう国際情勢の変化を見れば、日本が朝鮮半島へ接近するメリットはゼロである。
『朝鮮日報』(2月2日付)は、「金大中・盧武鉉も賛成した韓日海底トンネルを『親日』と攻撃する韓国与党」と題する記事を掲載した。
(1)「民主党のチェ・インホ首席スポークスマンはこの日、国会で報道陣と対面し「『国民の力』が親日DNAを発動した」「どうか、本当にあしき選挙用DNAを消してしまおう」とし「海底トンネルは韓国よりも日本の方に利益となるのは確実」だとしてこのように発言した」
韓国最大野党「国民の力」の金鍾仁・非常対策委員長は、日韓海底トンネルの経済的メリットを次のように語っている。「日本に比べ大幅に少ない財政負担で生産付加効果54兆5000億ウォン、雇用誘発効果45万人に達する途轍もない経済効果が期待される事業」と説明したのだ。
この算出基礎は不明だが、日韓海底トンネルを建設するとすれば、日本側の距離が圧倒的に長いのだ。これは、日本側の財政的負担の大きいことを示す。日本が、この計画に乗るかどうか全く分からない段階で、韓国与党が「反日」の狼煙を上げたのである。これは、文大統領の「日本接近姿勢」に反し敵意をむき出しにしている。
(2)「同じく民主党の禹元植(ウ・ウォンシク)議員は、「韓日海底トンネルは日本の大陸進出を許容するだけという世論の反対で議論が中断して久しい」とし「ユーラシアの関門の始点を日本に変えること」だと語った。梁基大(ヤン・ギデ)議員は「日本に利益をばらまいてやる妄言」「ユーラシア大陸鉄道の出発点を日本に献納する売国的発想」と主張した。キム・ソンジュ民主党全北道党委員長は、「票に焦って日本の有権者の票まで手に入れようというのか」と批判した」
朝鮮半島は、沈み行く地帯になってきた。北朝鮮の専制政治と韓国の出生率の異常低下が示す「亡国シグナル」は、反日騒ぎを起こす局面でなくなっている。そういう冷静な判断力を失い、「バカの一つ覚え」の反日で凝り固まっている。日本から見れば、朝鮮半島に興味を失っているのだ。
(3)「金大中・盧武鉉元大統領は在任中、韓日海底トンネル連結に前向きだった。金・元大統領は、在任中の1999年9月に日本を訪問した際、「韓日間の海底トンネルができれば北海道から欧州までつながるので、未来の夢と思ってみるべき問題」と語った。盧・元大統領も在任中の2003年2月、韓日首脳会談で「韓日間の海底トンネルを貫通させるべきだという意見が存在してきたが、北朝鮮のせいでうまく理解できずにいるようだ」と語った。「国民の力」では、こうした点を挙げて「民主党の論理通りなら、金・盧元大統領も親日なのか」「民主党は旧時代の政治をやっている」と批判した」
日韓海底トンネル計画の推移を見れば、韓国進歩派の大統領2人が旗振り役であったのだ。こういう経緯を忘れて、「親日」と反対し騒いでいる。日韓の歴史といえば、徴用工と慰安婦の問題だけと見ている進歩派の狭量に驚くばかりである。
次の記事もご参考に。
2021-02-02 |