勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年02月

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    中国は2月1日から「海警法改正」施行により、警備船に武器を所持させ公海上で外国船舶に使用する権限を与えた。これは、極めて危険な行為であり国際法違反である。日本では、尖閣諸島でそのリスクが発生する恐れが強くなってきた。米国は、この海警法施行に当たり中国へ警告を発している。

     

    米国務省は2月19日、中国で施行された海警局に外国船舶への武器使用を認める海警法に懸念を表明した。

     

    国務省のプライス報道官は定例記者会見で、同法の文言が東・南シナ海で「近隣国を脅かす目的」や「違法な海洋権益を主張するために使用される」ことを米政権は懸念していると述べた。さらに、米国は「南シナ海の大半の地域を巡る中国の海洋権益に関する主張は完全に違法」とするポンペオ前国務長官の発言を再確認するとし、日本やフィリピンとの同盟国としてのコミットメントを堅持すると強調した。以上は、『ロイター』(2月19日付)が報じた。

     


    『日本経済新聞』(2月25日付)は、「尖閣で領海侵入、米が中国非難 海警法施行でリスク増大 偶発的な衝突警戒」と題する記事を掲載した。

     

    米国防総省は2月23日、中国海警局の船による沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海への侵入をやめるよう非難した。中国による「海警法」の施行で、平時とも有事とも区別できない「グレーゾーン事態」がおきるリスクが増した。米国は中国に自制を促すとともに、偶発的な衝突への警戒を強める。

     

    (1)「国防総省のカービー報道官は23日、海警局による領海侵入について「誤算につながり、物理的な損害を生む可能性がある」と批判した。記者団からの質問に答えた。当初は「こうした行動への懸念を明確に表明している」と述べるにとどめたが、その後、中国に行動を改めるよう明確な表現で言い直した。カービー氏は「米国は尖閣での日本の主権を支持する。中国にこうした行動をやめるよう求めている」とも語った。国際秩序を維持するため、戦力の近代化や同盟国との協力強化に努める方針を強調した」

     

    米国が、尖閣諸島を巡る中国海警船の領海侵犯について警告した。これまでになかったことである。

     


    中国は、次のような戦術を取ると予想されている。

    1)中国は、大量の漁船を尖閣諸島へ向かわせ、日本の海上保安庁の警備艇と衝突事故を起こさせる。
    2)中国は、兵器を積んだ海警船によって無防備の保安庁警備艇を追い払う。

    3)その間に、中国漁民を尖閣諸島へ上陸させる。

    4)中国軍は、航空機で食糧・武器・弾薬を運び込み、尖閣諸島占領を終了する。

     

    以上のような手順で「尖閣占領」を済ませるというのだ。ここから中国漁民を追い払うには、防衛よりも2倍の犠牲が出ると予測されている。そこで、前記の1)の段階において、海上自衛隊が早期に出動して、上陸防止が最適手段と指摘されている。中国との関係が悪化するとか躊躇していると、その隙を突かれるだけである。日本は、防衛手順を決めておき、それを自動的に発動して退去させることだ。その手順について、米軍と調整しておく。

     

    (2)「バイデン政権は、対中政策の検証を進める。その一環で米軍は6月上旬までにオースティン国防長官に提出する報告書をまとめる。日本の役割も含めて東シナ海、南シナ海を包含するインド太平洋での警戒態勢や軍事作戦も検証の対象となる。内容次第では中国の行動に効果的に対処する態勢を米軍がとる可能性もある。バイデン政権の内情に詳しい関係者によれば日本の役割拡大への期待は大きい。バイデン政権は首脳の電話協議などを通じ、尖閣が米国による日米安全保障条約第5条の適用対象だと繰り返し確認している」

     

    下線のように、米軍は6月上旬までにインド太平洋戦略の具体案を決めるという。尖閣諸島防衛もその一環として取り挙げるはずだ。

     

    (3)「日本政府はカービー氏の発言を好感している。茂木敏充外相は24日の記者会見で、発言を「歓迎する」と表明した。カービー氏は尖閣に関して日本の「主権を支持する」とも言明した。米国はこれまで尖閣における日本の領有権を明言していない。記者団とのやりとりの中で出た発言でもあり、日本外務省幹部は「政権として従来の立場を変更したわけではない」と分析する。日本政府は海警法施行を受け、中国海警局の尖閣周辺での活動に対する批判と国際社会への発信を強めてきた。1日の施行直後は「(海警法が)国際法に反する形で運用されることがあってはならない」と指摘していた」

     

    米国政府が、尖閣諸島防衛に積極姿勢を見せているのは理由がある。

    1)尖閣諸島が中国の手に渡ると、中国海軍は直接、太平洋へ出られるので潜水艦による米本土攻撃が容易になる。

    2)尖閣諸島を埋め立て軍事基地にして、台湾と沖縄への攻撃拠点にする。

     

    前記の2点が現実化すると、日米双方にとって重大な軍事危機が迫ってくる。ここは用意周到に準備して、中国の尖閣諸島略取を絶対に防止しなければならない。

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    韓国は、国際情勢の変化を顧みず戦作権(統帥権)の移管を在韓米軍に求めている。韓国の主張によれば、戦作権の移管は米韓同盟の軍事指揮構造の変化にすぎないとしている。しかし、指揮構造変化は、重大な問題である。指揮官の意思一つで米韓同盟が生きるも死ぬも決まるからだ。

     

    米国は、対中国防衛線の主軸をインド太平洋においている。朝鮮半島防衛は二次的な位置づけに後退するのだ。ただ、韓国がインド太平洋戦略に参加するならば、朝鮮半島防衛はインド太平洋戦略の一環になる。現在の文政権は、インド太平洋戦略に参加する意思を見せないのだ。この状態で、韓国軍に統帥権を移管したならばどういう事態になるのか。米国は、インド太平洋戦略と朝鮮半島防衛を一元的に行えない危険性が出てくる。

     


    中朝は、一体化作戦に出てくるだろう。インド太平洋と朝鮮半島の同時軍事進行も予想される。その場合、指揮官が異なれば二元化されて不利な戦闘を強いられる可能性も出る。例えば、中国が尖閣諸島と台湾に同時攻撃を仕掛け、北朝鮮が38度線を突破する作戦に出て来た場合、兵員をどう動かすのか。それは、米軍の一元化した戦術で戦う方がベストである。米国が、在韓米軍をどう動かすか、重要なポイントになるからだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(2月25日付)は、「都合よく変わる米国の『戦時作戦統制権の移管』方針」と題する寄稿が掲載された。筆者は、キム・ジョンソプ世宗研究所首席研究委員である。

     

    盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代、韓米連合司令官を務めたバーウェル・ベル元司令官が今月10日、次のように述べた。「北朝鮮が核兵器で武装している限り、戦時作戦統制権(戦作権)の移管を進めてはならない。戦作権の移管が強行されれば、韓国は北朝鮮に服属させられる危険性が高まる」。「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)に送った声明書の内容だ。実に衝撃的な主張だ。戦作権の移管が実現すれば、米国は同盟パートナーの役割に専念しないかもしれないし、韓国軍が北朝鮮に撃退される可能性が高いということだ

     


    (1)「朝鮮半島の戦作権の責任を担っていた(元)米軍司令官の発言であることから、軽く聞き流すわけにはいかない。韓国国内でも、北朝鮮の核の脅威が存在する限り、戦作権の移管は時期尚早という声が高い。しかし、はたしてそうだろうか。戦作権の移管は韓米同盟の軍事指揮構造の変化にすぎない。在韓米軍も維持されるだろうし、連合司令部の体制にも変わりはない。重要な変化は、韓国軍の将軍が司令官となり、米軍の将軍が副司令官になるだけのことだ。なのに「北朝鮮が韓国軍を撃退」し、韓国が「北朝鮮に服属」させられるというのはどういう意味なのか」

     

    このパラグラフは、完全に素人の寝言同然である。軍隊の指揮権は絶対的ものである。韓国司令官がトップに立てば、韓国大統領の命令が反映されるはずだ。文大統領であれば、北朝鮮からの攻撃には即時「戦闘中止」の白旗であろう。これほど危険なことはない。

     

    (2)「非核保有国を核の脅威から守るという公約と個別国家の核武装の自制は、一種の交換関係にある。むろん、北朝鮮の核の脅威に対する韓国軍の対応能力を高めることは必要であり、韓国軍が司令官になって主導的に戦作権を行使するのに役立つだろう。しかし、北朝鮮の核の脅威は基本的に韓国軍単独ではなく、同盟の能力で対応しなければならない問題だ。したがって北朝鮮の核の脅威への対応は、戦作権の移管の決定的要因や条件ではなく、戦作権の移管前後を問わず、韓米が共に努力しなければならない課題と理解するのが正しい

     

    下線部も誤解している。北の核脅威に対しては唯一、米軍の核保有の威力で防止することができる。核を持たない韓国軍が、どうやって北の開戦を思い止まらせるのか。こういう夢のような話で、統帥権を論じてはいけないのだ。

     


    (3)「では、ベル(元)司令官はなぜこのような主張を展開したのか。これは元将軍の私的見解だけではない。米国政府は戦作権の移管に対し、なぜ「条件」を満たすことだけを強調し、消極的な立場を堅持しているだろうか。米中競争などの流動的な安保環境の下で、朝鮮半島で軍事的主導権を手放したくないという思惑が大きいだろう。局地的衝突など危機段階で韓国軍に対する統制が弱まるのではないかという懸念もあるだろう

     

    下線部分が、米国の本音であろう。韓国は、それが分からず自国だけの立場で統帥権移管を求めている。米軍は、他国軍の指揮下で戦ったことがないのだ。そういう歴史を考えると、韓国だけ統帥権を渡すことは考えにくい。それは、韓国から米軍が撤退する時であろう。米軍が、韓国に駐留している意味を考え直すことだ。

     

    (4)「重要なのは、戦作権の移管に対する米国の立場が、米国の戦略によっていくらでも変わり得ることだ。盧武鉉政権とブッシュ政権は2007年、戦作権を2012年4月に移管することで合意したが、その過程で移管時期の繰り上げを望んだのはむしろ米国側だった。当時、ラムズフェルド米国防長官は、「韓国軍の能力を信頼する」として、2009年10月の早期移管を主張し、韓国国防部を困惑させた。イラクやアフガニスタン戦争などの対テロ戦争に陥っていた米国としては、朝鮮半島に縛られている在韓米軍をもっと柔軟に活用したいという計算が働いたのだ」

     

    米国が、統帥権について考えがコロコロ変わると指摘しているが、国際情勢の変化に即応していると見るべきだ。韓国が、自力で防衛できず米軍に「助っ人」を依頼する現状では致し方ない話であろう。

     

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    テイカカズラ
       

    韓国社会の本質を掴むには、現在が絶好の機会である。あらゆることで、序列を気にする社会である。韓国のワクチン接種は、26日から始まる。世界で102番目と低開発国並みと嘆いているのだ。このように遅れた責任が、文政権にあるという結論である。

     

    もう一つのワクチン接種を巡る話題は、第1号接種者は文大統領であるべきという社説まで登場していることである。日本では、医療従事者優先で誰が第1号接種者になったかも分からないほど。ここでも、ワクチン接種の順番が話題になる社会である。日本と大いに異なり、目を丸くする社会現象である。

     

    『朝鮮日報』(2月25日付)は、」世界で102番目にワクチン接種、韓国はこんな国だったのか」と題する記事を掲載した。

     

    韓国初の新型コロナワクチンが24日に出荷された。最初の接種は26日に行われる予定だ。ところが、英オックスフォード大学の国際統計情報サイト「アワー・ワールド・イン・データ」によると、韓国は全世界で102番目以降に新型コロナワクチンを接種する国になるという。22日の時点で既に101カ国においてワクチン接種が開始しされているためだ。

     

    (1)「まだ接種が始まっていない国にはタイ、ベトナム、ラオス、フィリピンなどの東南アジア諸国、カザフスタン、ウズベキスタン、アフガニスタン、ウクライナ、ベネズエラ、モンゴル、北朝鮮、そしてアフリカの国々がある。経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国の中で、韓国を除いて未接種の国はない。韓国はなぜ、アフリカや東南アジア諸国と同じ水準でワクチン接種をしなければならなくなったのだろうか」

     

    韓国は、GDPで世界10~12位にあるという自負がある。その韓国が、ワクチン接種序列で世界102番目では、「理屈に合わない」という怒りが底流にある。これほどまでに「序列」が重視される社会だ。この延長に「学歴社会」がある。受験=成績の序列に繋がる。

     

    (2)「ワクチンの早期確保に成功したイスラエルは、全人口の51.5%が1回目の接種を終え、33%は2回目の接種も終えている状況だ。ワクチンこそが新型コロナ問題を終わらせる根本的な解決策であり、日常生活回復へ近道だということが、接種国では繰り返し確認されている。韓国人はなぜこのようにワクチン確保が遅れたのかという理由も明確には知らずにいる。現政権は「K防疫」の宣伝にばかり熱を上げ、「今、ワクチンは十分な速さで導入されている」として、他国に比べてもワクチン接種時期はそれほど遅れていないと言い張っているからだ」

     

    文政権は、「自慢と言い訳」を得意とする。自慢は、序列の高いことを意味する。言い訳は、結果の低いことを取り繕うことである。ともかく、韓国政界のやり取りは、「自慢と言い訳」を巡る攻防戦だ。

     

    (3)「ワクチン確保は複数の部処(省庁)との関連がある上、リスクを抱え込まなければならない問題なので、大統領の関心と決断が何よりも重要だ。ほかの国々はすべて、こうした関心と決断を経てワクチンを確保した。ところが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は韓国が102番目のワクチン接種国になるようにしておきながらも謝罪していない。それどころか接種遅延の懸念などに対しても、「事実ではない」という言葉ばかり繰り返している。世界で102番目が接種遅延でないというなら、接種遅延というのはいったいどういうケースのことを言うつもりなのだろうか」

     

    「自慢と言い訳」を得意とする社会では、最終的に「謝罪」でしか収拾されない。文政権は、滅多に謝罪をしない政権である。あくまでも取り繕って責任回避することに汲汲としているのだ。これが、騒ぎをさらに大きくしている。

     


    『中央日報』(2月24日付)は、「ワクチン第1号接種、指導層の率先垂範を期待する」と題する社説を掲載した。

     

    韓国初のワクチン接種が26日に近づいたが、ワクチンの安全性と有効性に対する不安・不信が収まっておらず対策が必要だ。特に、韓国で一番初めて接種するアストラゼネカ(AZ)のワクチンの有効性をめぐる論議のためなのか、ある世論調査で回答者の52.8%が接種延期、または拒否の意向を明らかにした。

    (4)「政府がまもなくワクチン第1号接種者を公開する予定だが、誰にするのかをめぐって依然として騒ぎとなっている。結論から言えば、ワクチンに不信がある中で国民の信頼を高めるためには指導層の中で誰か率先するのが一つの方法だ。政界では文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最初に接種すべきだという声が提起された。もちろん、個人の選択であるだけに強要する問題ではないが、文大統領としては優れたリーダーシップと政務的感覚を表わす良い機会だ。医者出身である国民の党の安哲秀(アン・チョルス)代表は先に打つ意向をすでに明らかにした状態だ」

    誰が、第1号接種者になるか。これは、コロナワクチンへの潜在的不安が引き起している問題である。韓国は、原子力発電所にかかわる妄想的被害で大騒ぎする社会である。最近の「トリチウム」騒動がその典型であった。トリチウムは、自然界に存在し人間の食物に多数含まれ、食物として摂取後に体外へ排出され無害なのだ。

     

    こういう科学知識がなく、与党のトップや政権支持メディアの『ハンギョレ新聞』まで騒ぐ記事を書いたほど。非科学的気風の強い土壌だけに、ワクチンも風評に左右されているのだ。これを収めるには、文大統領が第1号接種者になるべしという話だ。文氏は、沈黙したままである。文氏も風評に惑わされているのだろう。

     

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    崩れた韓国の天動説的外交観

    米マジノ線は朝鮮半島離れる

    韓国は親藩から転落して外様

     

    日韓関係で、これまでにない大きな潮流変化が起こっている。米国が、日韓双方へ向ける視角が変わったことだ。韓国は、そのことに気付かずにいる。米国が、いずれ日韓紛争を仲介してくれるだろうと安易な期待をつないでいるのだ。もはや、そういう子どもじみた考えは通用しなくなった。それは、日韓を取り巻く国際情勢の変化に基づくのである。

     

    比喩的に言えば、韓国が地図で眺めているのは日本列島であろう。日本は、海洋国家として、世界地図を俯瞰せざるを得ない地政学的位置にある。それだけに、世界の情勢変化に敏感である。韓国は、過去だけに関心を持っている。日本は、未来を展望している。そういう差が最近、如実に現れてきたのだ。日韓の違いを、次に述べる天動説と地動説に喩えたい。

     

    崩れた韓国の天動説的外交観

    16世紀半ばに、従来の天動説に代わって地動説が登場した。精密な天体観測の結果である。これを最初に唱えた人物がコペルニクスであったことから、天動説から地動説への認識変化は、「コペルニクス的転回」と呼ばれている。

     

    日韓関係で韓国は、このコペルニクス的転回が起こっていることを認識すべきだ。現実には、それができずに右往左往している。ワシントン外交界のインナーサークルでは、日本が西側諸国へ分類されているという。もはや、アジアの枠を越えたのだ。外交上における日韓のウエイトは、日本9割に対して韓国1割と圧倒的な差がついている。これは、キム・ドンソク米州韓国人有権者連帯代表が、韓国政権支持メディア『ハンギョレ新聞』(2月23日付)で述べていることだ。韓国人同胞が、韓国紙に語った率直な声である。

     

    韓国は、これまで一貫して「天道説」に立ってきた。米国は、必ず韓国の味方になり日本を「制裁」してくれると信じてきたのである。その最大の根拠は、植民地問題と元慰安婦の人権問題である。次に指摘するように、客観情勢は天動説に不利な状況をもたらしている。

     


    世界情勢が激変してきたのだ。中国の軍事的台頭で、米中対立の長期化が引き金になって、西側では、「インド太平洋戦略」で民主主義政体を守る「体制安保」が緊急の課題になっている。さらに、元慰安婦問題は2015年、日韓慰安婦合意という政府間協定が成立したことで、日韓に関わる過去問題は消えたはずである。こうなると、天動説が自然消滅し、地動説=日本優位の外交状況に代わったのだ。

     

    米国の目指すインド太平洋戦略は、民主主義国を横断する世界戦略である。重ねて言えば、自由と人権を守る体制安保である。日本は、インド太平洋戦略概念の最初の提示国だ。これに参加するのは当然だが、韓国は大きな悩みに直面している。米中対立を象徴するインド太平洋戦略に参加すれば、中国や北朝鮮との対決姿勢を鮮明にするので具合が悪いという「朝鮮半島」的な視点である。

     

    韓国は、体制安保に関する重要性への認識が欠けている。中朝が仮に、韓国を侵略する場合、目的は共産主義化である。それは、体制安保の危機なのだ。韓国は、朝鮮戦争(1950~53年)が共産化にあることを忘れている。つまり、第二次朝鮮戦争が起こるとすれば、目的は共産化以外にない。文政権は、親中朝であるので共産主義に親愛感すら持っている。こういう安保認識では、バイデン政権の唱える体制安保に合流するはずもなかろう。韓国が、文政権の下で潜在的な安保危機を抱えている理由である。

     


    米マジノ線は朝鮮半島離れる

    朝鮮戦争後、米国は在韓駐留米軍によって韓国防衛に当っている。第二次世界大戦後は、朝鮮半島が「発火点」として危惧されてきたからだ。米国は現在、朝鮮半島を超えてインド太平洋という大きな海域で、中国と対峙せざるを得ない局面になった。こうなると、米国の主力防衛線は利害共通国の多さと体制安保という視点から、インド太平洋戦略に置かざるを得なくなっている。

     

    この際、朝鮮半島防衛を広いインド太平洋戦略に包含すれば、米国は極めて効率的な兵力展開が可能だろう。その場合、韓国はインド太平洋戦略に加わる意思を示すことが前提である。文政権は、インド太平洋戦略に加われば、中国敵視を公然と認めることで不都合が起こる、としている。その理由として、経済面(輸出)を強調している。

     

    インド太平洋戦略に参加するクアッド(日米豪印)も、中国と高い経済関係を維持している。しかし、安全保障は国家存立の基盤である。それを損ねるリスクを抱え、経済関係を維持しようとするのは本末転倒である。韓国は、この錯誤した意識に囚われている。(つづく)

     

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    欧州各国は、安全保障面の懸念と入札後の工事結果が芳しくないこともあり、入札から中国企業を締め出すケースが増えている。中国政府は、中東欧各国へ「一帯一路」と絡んで積極的な売り込み工作を行なってきた。それが、欧州の安全保障と危うくするリスクを抱えることに気付いて、ブレーキを掛けている。中国が、中東欧17ヶ国を束ねた「17+1」の首脳会議では、6ヶ国が示し合せて欠席するというサボタージュまで起こっている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月24日付)は、「『中国離れ』欧州でじわり浸透、入札排除の動きも」と題する記事を掲載した。

     

    欧州一部で、中国による経済への関与を阻止する動きが目立ってきた。地政学的な影響力を強める中国に対する警戒感が高まる中、米国が唱える対中戦略と歩調を合わせつつある。バルト海からアドリア海に抜ける地域の欧州諸国では、政府が中国国有企業が落札するとみられていた公共事業の入札を中止するか、中国勢による入札参加や投資を禁じる動きが相次いでいる。

     


    (1)「決定に関与した当局者らは、国家安全保障上の懸念に加え、過去に入札に競り勝った中国業者が期待に添わなかったことへの失望感が中国排除の決定につながったと説明する。中止となった案件には、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関連するものも複数含まれる。一帯一路を巡っては、一部の参加国から落胆の声が上がっていた。こうした「中国離れ」は主に欧州の小規模な国々で起きており、中国と緊密な経済関係を維持したい欧州連合(EU)主要国との間で域内の緊張を高める要因にもなっている」

     

    EU内では、主要国と小規模国との間に対中国企業の姿勢に明確な違いが起こっている。小規模国は、中国ビジネスに期待しただけに、それに添わない結果に落胆している。これが、中国企業締出しという強硬策を招いている。

     

    (2)「ルーマニアとリトアニアは一部の政府調達について、中国企業を幅広い分野で排除する措置を講じた。より的を絞って中国を締め出す国もある。スロベニア、クロアチア、チェコ共和国、ルーマニアは、中国企業が関与する原発、高速道路、鉄道網、保安検査機器、コンテナ船ターミナルの政府入札を中止した。ルーマニア・アジア太平洋研究所のアンドレーア・ブリンザ副所長は、冷戦時代にロシアの支配下に置かれた欧州の国々は、中国に対しても戦略上の懸念が根強い。そのほとんどが、安全保障を米国に頼っていることから、米中の貿易摩擦問題で自国がどちらの側に付くか、明確な姿勢を示したいと考えているという」

     

    中東欧各国は、ソ連占領によって共産主義へのアレルギーを持っている。それが今、中国企業にも向けられている。安全保障をNATO(北大西洋条約機構)に依存しているので、米国へ明確な姿勢を見せたいという心理も働いている。

     

    韓国は、米国の安全保障の傘に入りながら、中国へ秋波を送っている。中東欧各国の義理堅さを学ぶべきだろう。

     

    (3)「EUは昨年、異例の安価で落札を狙う域外企業からの入札参加を排除する指針を公表。外国政府の補助金が欧州に与える影響について調査を開始しており、これには政府調達や企業買収などの分野が含まれている。EUでは、外資による加盟国への投資ついて安全保障上の影響を審査する新たな規則が昨年10月に発効しており、多くの加盟国が国内でも同様の規定を整備している。EUで最大の経済規模を誇る仏独は中国との経済関係強化を唱えているものの、域内では東・南欧諸国を中心に中国企業への警戒が高まっている」

     

    中・東欧諸国は、巨大なインフラ需要が見込まれるので、中国企業にとって格好の標的となっている。しかも、欧州の競合勢をはるかに下回る価格を入札で提示することが多い。安値で受注を勝ち取った中国企業の多くは実績を出せずに終わっていると、地元の政治家は指摘する。中国企業は、こういう無責任なことをするのだから、締め出されるのは当然である。

     

    (4)「アンゲラ・メルケル独首相とエマニュエル・マクロン仏大統領は、EUが2013年から中国と交渉してきた投資協定について、昨年12月の大筋合意を全面的に推進していた。大筋合意に対してポーランドが反対を表明。ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)も、正式に就任する前から、中国問題でEUと米国の連携強化を求めてきた。投資協定の発効にはなお正式承認が必要で、実現しても来年以降になるとみられ、欧州議会からも反発が強まっている」

     

    仏独の両首脳は、中国との投資協定の大筋合意を歓迎しているが、ポーランドが反対を表明している。中東欧各国にも同調の動きがある。投資協定を審議し批准する欧州議会が、反対意向が強いとされており、波乱含みである。

     


    (5)
    「トランプ前米政権が、「クリーンネットワーク」と呼ばれる取り組みを通じて中国排除を働きかけたことを受け、複数のEU諸国は昨年、安全保障に関する基準で米国に追随。次世代通信規格「5G(第5世代)」インフラ整備で華為技術(ファーウェイ)を含む中国企業の参加を事実上禁止あるいは制限する国内法を制定した。ファーウェイは9月、EU当局に対し、米国を踏襲したポーランドやルーマニアの5G関連法案はEUの競争法に違反している可能性があるとして不服を申し立てた」

     

    トランプ前米国大統領に反発していたEUが昨年、複数国で安全保障に関する基準で米国に追随した。ポーランドやルーマニアがそれで、ファーウェイから不服を申し立てられている。だが、安全保障が理由となれば却下されることになろう。

     

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