勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年02月

    a0960_008564_m
       

    文政権は、これまで北朝鮮の属国のように振る舞って話題となってきた。文大統領が、訪欧の際に北朝鮮を説明して歩いたこと。北朝鮮へ原子力発電所を建設しようとしたこと。北朝鮮が非難する韓国政府閣僚を更迭する、などだ。

     

    これに加えて新たに分かったのは、脱北の元政府高官や大学教授などに職業を斡旋せず、アルバイト稼業で生活させ冷遇していることだ。文政権は、鉄のカーテで覆われている北朝鮮情報を聞き出さず、北朝鮮のご機嫌取りをしているのである。北朝鮮の情報収集は、韓国政府の基本業務のはずだが、これすら放棄している。真意は、南北統一のためには「雑音」に耳を塞ぎたいのだろう。

     

    『朝鮮日報』(2月23日付)は、「金正恩に代わり文大統領が行う 高官クラス脱北者の完全封鎖」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「かつて北朝鮮政府関係者だった脱北民たちが文在寅(ムン・ジェイン)政権の仕打ちによって生活苦にあえいでいるという。2年前に帰順(脱北)したリュ・ヒョンウ元クウェート駐在北朝鮮代理大使やチョ・ソンギル元イタリア駐在北朝鮮代理大使らは今もまだ明確な職場がない。前政権までは元政府関係者や専門職だった脱北民らは国家情報院、あるいはそれに関係する研究所などに勤務することができた。米中央情報局(CIA)でさえ把握できていない北朝鮮の極秘情報を数多く知り、北朝鮮に対する内側からの見方などを提供してきたからだ」

     

    文政権は、北朝鮮に与えてきた「主敵」という位置を取り消した。代わって、日本が「主敵」とされている。こういう倒錯した情勢認識で、韓国は北朝鮮への防備が完全に緩んでいる。北朝鮮の脱北民が、やすやすと38度線を越えてきているのに気づかない例が跡を絶たないのだ。こういう状況だから、文政権は北朝鮮の末端情報に関心を持つはずがない。

     


    (2)「リュ元大使は、「韓国政府から研究院などへの就職要請はなかったのか」との質問に「全くなかった」と伝えた。国家情報院関係の研究院などは、元北朝鮮政府関係者だった脱北民を新たに採用していない。研究院の顧問を退職した元脱北民も生活苦を訴えている。この脱北民は故ファン・ジャンヨプ元秘書と共に脱北した人物だ」

     

    脱北の元北朝鮮高官について、韓国政府は情報収集もしないという。金正恩氏の発言の信憑性を調べるためにも元北朝鮮高官の握る情報は貴重なはずだ。そういう機会さえ放棄していることは、北朝鮮へ向けた最大の「好意」であろう。

     

    (3)「北朝鮮で検事だったある脱北民は、包装のアルバイトをしている。韓国法務部や統一部(いずれも省に相当)などにとっては北朝鮮の元検事以上に北朝鮮の検察について詳しい人物はいない。ある脱北外交官の妻はコンビニでアルバイトをしており、北朝鮮で大学教授だった脱北民は日雇い労働をしている。彼らは特別な待遇は望んでおらず、ただ北朝鮮に関する情報や自らの経験を韓国社会に提供し、活用してもらえる機会を求めているだけだ

     

    文政権得意の「人権論」から言えば、生命の危険を冒してまで脱北してきた人たちを、それなりに遇するのは義務のはずだ。文政権は、中国や北朝鮮の人権無視を非難する国連声明に賛同したことがない。文在寅の人権論は、味方の中朝にはルーズであり、敵の日本には徴用工や慰安婦の問題で畳みかけてくる「選択的人権論」である。要するに、まやかしなのだ。

     


    (4)「
    韓国政府は、「元高官だった脱北民への冷遇はない」と主張しているが、これはうそだ。元北朝鮮政府高官の脱北民が代表を務める団体への支援はすでに中断しており、事務所に対する監査も行われた。ある脱北民は、「かつて韓国軍や地方自治体から要請のあった安保関連の講演も今はほぼなくなった」と伝えた。収入源が遮断されたのだ。かつて北朝鮮外交官だった太永浩(テ・ヨンホ)議員に対し、元青瓦台(韓国大統領府)行政官の民主党所属議員は「変質者が暴れている」と侮辱した。これが彼らの本音だ。北朝鮮政権がかつて政府高官だった脱北民たちを攻撃する際に使う言葉がまさにこの「変質」と「背信」だ」

     

    韓国与党は、脱北者を敵視している。金正恩氏を神格化しているので、その統治から逃れてきた者は許せないという立場であろう。

     

    (5)「北朝鮮の元海外駐在官による入国は2013年には8人だったのが14年に18人、15年には20人にまで増えていた。これは国家情報院が当時報告していた内容であり、彼らの多くは北朝鮮のエリートたちだ。ところが最近はこの種の亡命が一気に減少したという。コロナの影響により海外で勤務する北朝鮮関係者の数そのものも減っているが、同時に「韓国に行けば生活苦にあえぐ」という話も伝え聞いているはずだ」

     

    北朝鮮の元高官の脱北者数は、文政権になって一気に減少しているという。冷遇している結果であろう。

     


    (6)「文在寅政権による元高官クラス脱北民に対する冷遇は、北朝鮮の高官たちに「韓国に来るな」というシグナルを送るものであり、脱北を最初から阻止する行為に他ならない。これは金正恩(キム・ジョンウン)兄妹が最も望んでいることだ。元高官クラス脱北民への冷遇は北朝鮮暴力集団の生存を助け、彼らの人倫に反する犯罪の幇助(ほうじょ)につながる。文在寅政権の親北行為はこのようなところにまで及んでいるのだ」

     

    文政権は、南北統一が夢である。この夢を実現する上で、脱北者の存在は統一の正統性を疑わせることになる。韓国の国民が、脱北するほど嫌な北朝鮮と統一するのは「ご免」という世論形成を恐れているのだろう。

     

    次の記事もご参考に。

    2021-02-04

    メルマガ229号 文在寅の異常な「北朝鮮愛」 暴かれた原発贈与プランに世論沸騰

     

     

     

     

    a0960_008531_m
       

    文政権は、進歩派を名乗っている。世界標準の進歩派は、革新思想に燃えているはずだ。自由と人権を守る政治思想のパターンである。韓国進歩派は、名ばかりである。その実態は、民族主義である。保守派以上に右派という、極端な政治行動を見せている。

     

    文政権になって驚くのは、政権が司法を完全に握っていることだ。政権の犯罪はことごとく隠蔽されるか、捜査を途中で打ち切らせるという発展途上国並みの蛮行を行っている。その根本的な理由は、大統領制にある。三権分立は形式に過ぎない。人事権を握る大統領が、司法・行政・立法を操る制度である。文政権は、それが最悪な形で現れている。韓国の将来を危ぶむ理由である。

     

    『中央日報』(2月22日付)は、「われわれはなぜ帝王的大統領と決別すべきなのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の主筆・副社長である李夏慶(イ・ハギョン)氏である。

     

    (1)「申ヒョン秀(シン・ヒョンス)大統領府民情首席の辞意波紋の本質は、「私だけが正しい」と信じる帝王的大統領の独走だ。青瓦台(チョンワデ、大統領府)に対する権力型不正捜査の遮断は任期末大統領の最大の関心事である。「防波堤」である李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長を留任させようとする文在寅(ムン・ジェイン)大統領の意中を、朴範界(パク・ポムゲ)法務長官が正確に読み取った。「なぜこちら側に立たないのか」という趣旨で申氏を責めた」

    大統領府民情首席である申氏が、辞意を表明した。その理由が、大統領府で文大統領を検察の捜査から逃れさせようとする側近の浅ましさに呆れた結果だという。韓国の歴代大統領は、集中する権限を存分に使った後、検察の追及を逃れるべく「煙幕」を張る。文氏もそれを始めているというのだ。



    (2)「文大統領は2012年大統領選敗北後に反省した。「ひょっとして私たちは民主化に対する献身と進歩的価値に対する誇りによって、考えが異なる人々との間に線を引いて派閥分けをしたり優越感を持ったりしていなかったか、振り返る必要がある。私たちがいわゆる『礼儀をわきまえない進歩』を自ら招いたのではないか、謙虚な反省が必要な時だ」(『1219終わりが始まりだ』)と言ったが、「礼儀をわきまえない進歩」は相変わらずだ」

     

    文氏も、在野時代は謙虚であった。それが、大統領に就任し全て一存で決められる政治機構に酔ってしまい、善悪の判断を超えてしまった。いま任期が1年余となって、退任後の検察追及を恐れ始めている。哀れな「子羊」の心境であろう。

    (3)「民主主義国家では犯罪を犯せば誰でも捜査の対象になる。原発経済性評価ねつ造、蔚山(ウルサン)市長選挙介入、ライム・オプティマス事態、チョ・グク一家の不正、金学義(キム・ハクウィ)不法出国禁止容疑で、政界の実力者や超親文議員が次々と捜査や裁判を受けている。この状況を到底容認できないというのが、大統領府民情首席「申ヒョン秀(辞任)波紋」の核心だ」。

     

    大統領府民情首席は、かつて文在寅氏が盧武鉉政権時に務めたポストである。清濁合せて飲むポストであり、これに嫌気した文氏は1年で自ら辞任した経緯がある。その精神的疲れを癒やすべく、ヒマラヤへトレッキングしたほどだ。申氏もこれと同じ心境である。政権の汚れ役であろう。



    (4)「国民を無視する非常識の出発点は、帝王的大統領制だ。韓国の「ツァー(皇帝)」は宮廷の中に座り、国民の意思を聞きもせず、誰の牽制(けんせい)も受けないで重大な決定を下す。(国民は)小間使を選んだのに、上典(主人)になって(国民の上に)君臨する。そしてその大部分が悲劇的運命を迎える。
    文大統領も議員時代、帝王的大統領制を批判した。「大統領制よりも内閣責任制がはるかに良い制度だ。民主主義が発展したほとんどの国が内閣責任制を採用している。大統領制を取り入れて成功したのは米国くらいで、米国も連邦制という、連邦に権限が分散した土台の上に成功しているのでわれわれとは環境が違う」。

     

    韓国の大統領制は、帝王的大統領である。任期5年間、極端に言えば好き勝手が出来るポストである。だから、検察捜査を受けるのは不可避である。検察の追及を受けたくなければ、帝王的大統領にならなければ良いだけの話だ。権力を使って悪事を働きながら、検察に追及されたくないとは、余りにも身勝手と言うべきであろう。



    (5)「そのような文大統領も帝王的大統領の道を進んでいる。民意を敬うという意志がどれほどあふれていても、制度が不良なら多元的意志決定は不可能になる。大統領制の原産地は米国だ。国家元首と行政首班の権限を一人の人間が持つ。勝者独占なので連立政府を構成する必要がない。独裁者が出現しやすい制度だ。文大統領も明らかにしたように、成功した国は米国くらいだ。米国が「選挙君主制」「帝王的大統領制」ではない「民主的大統領制」国家になることができたのは、ワシントンの超人的節制があったからだ。長期政権で没落した李承晩(イ・スンマン)・朴正熙(パク・チョンヒ)とも違った」

     

    米国の大統領制が上手く機能したのは、三権分立がそれぞれ「チェック・アンド・バランス」として機能した結果である。米国が、欧州の悪しき点を捨て、良き伝統を継承した結果である。韓国は、朝鮮李朝の歴史をそのまま受け継ぎ、大統領制に名前を変えただけの悲劇が現在、政治を混乱させている。文大統領は、韓国政治を混乱させている張本人である。



     

    a0960_006618_m
       

    中国経済は、「社会主義市場経済」の名前通りに、政治が経済に介入している。その政治とは、生臭い政争である。アリババの傘下企業でフィンテックの最大手、アントが上場直前に延期になり、その後のフィンテックへ制約が加えられている裏に意外な事実が判明した。習近平氏の政敵である上海閥(江沢民・元国家主席が率いる)が、株主として絡んでいると言うのだ。

     

    習氏は現在、中国で絶対的な権力を握っているが、いつ滑り落ちるか分からない不安定要因も抱えている。こともあろうに、米国と覇権争いすると宣言して、米国から日に日に包囲網を狭められている。それだけに、自らの政敵が、アントの株式上場で莫大な利益を上げられたら、いつ寝首をかかれるか分からない。そこで安全策として、フィンテック発展の芽を摘み、アントの上場を遅らせようという露骨な介入を始めた。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(2月21日付)は、「中国がネット融資に新規制、アントさらに打撃」と題する記事を掲載した。

     

    中国の銀行規制当局はネット融資を手がけるプラットフォーム企業に対する規制を強化した。専門家は、同国電子商取引最大手アリババ集団傘下の金融会社アント・グループの企業評価額がさらに下がる可能性を指摘している。

     

    (1)「中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)が週末に発表した新たな規制では、プラットフォーム企業は銀行との共同融資額の少なくとも30%を自己資金でまかなう必要がある。さらに銀保監会は商業銀行がテック企業と共同で行うオンライン融資への支出額に上限を設ける。新規制は2022年から適用される。新規制の草案が昨年末に発表された際、中国テック企業の株価は急落した。アントが香港と上海で予定していた370億ドル(約3兆9000億円)規模の新規株式公開(IPO)が直前に延期された理由の一つにもなった」

     

    アントは現在、数千億ドルに上る消費者融資の2%しか自己資金でまかなっておらず、残りの大部分はパートナー銀行が資金を提供している。それが、上記のような規制によって、銀行との共同融資額の少なくとも30%を自己資金でまかなう必要が出てきた。これは、フィンテックの収益を相当に圧迫するはずである。

     

    ただ、金融の健全性という立場で言えば当然としても、アントの株主に習氏の政敵が潜んでおり、「ぬれ手で粟」を防ぐという不純な動機が絡まっているならば、論外の措置と言えよう。

     


    (2)「アントは、アルゴリズムを用いて個人への融資可否を判断しているが、新規制で同社の企業評価額が一層の圧力にさらされると専門家は予想している。シンガポールのヘッジファンド、APSアセット・マネジメントの創業者ウォン・コック・ホイ氏は、今回の規制強化で中国のフィンテック企業による融資の規模が「大幅に縮小」し、各社の事業は商業銀行に似たものにならざるを得ないと話す。「アントは事業モデルの大幅な見直しを迫られる」。北京大学で金融を教えるマイケル・ペティス教授は、「消費者が融資を受けるコストが上がる。またアントの急成長事業が打撃を受け、企業評価額の急落は避けられないだろう」と指摘した」

     

    今回のフィンテック事業への「縛り」(融資額に占める自己資金率30%)が、アントの成長性を著しく引下げることは必至である。それが、株価上昇の頭を抑える可能性を大きくするのだ。

     


    a1320_000159_m
       

    中国は、昭和初期の日本のように「開戦準備」を思わせるような雲行きである。食糧安保を重視しているが、広い国土の割には耕作地面積(12.7%)が少ないのだ。しかも、肥料の多投によって地味が低下しており、単位面積当たり収量は米国の6割未満という。

     

    ちなみに、米中の耕作地面積を比較すると、次のとおりである。2018年現在でFAO調査である。

    米国(世界1位) 1億5773万7000ヘクタール

    中国(世界4位) 1億1890万ヘクタール

    中国は、耕作地面積で米国の75.4%である。単位当たり収量が、米国の6割とすれば、総収量の差は2倍に開く。一方、中国の人口は米国の4.3倍(2019年)である。

     

    こういう基礎データを重ねてみると、中国が米国と戦端を交えることは不可能な計算だ。それに、米中が戦闘状態になれば、西側諸国は一斉に中国へ禁輸措置を取るだろう。米国は、中国をドル決済機構から排除するはずだ。こうなると、中国は戦争を継続できる状況にないことが分かる。中国は、軍拡をすることがいかに無益であるかを自ら立証している。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月22日付)は、「中国農業政策『安保に重点』食糧生産年6500億トン堅持」と題する記事を掲載した。

     

    中国の農業農村省は22日、2025年までの農業政策として食糧安全保障を重視する方針を示した。過去6年連続で達成した年6500億トン以上の生産量を数値目標として掲げた。対米摩擦を念頭に海外調達の不確実性が高まると懸念を示した。唐仁健農業農村相が記者会見で明らかにした。

     


    (1)「20年の生産量は約6700億トンと最高を記録した。今後は就農人口の減少が生産規模を保つうえでの足かせとなる。
    農業の現代化を進めて、大豆やトウモロコシで米国の6割に満たない単位面積当たりの収穫量を増やす。食糧安全への懸念を拭えないのは「外部の情勢を巡る不確実性や不安定さが明らかに増える」(唐氏)ためだ。大豆やトウモロコシを大量に海外から仕入れている。米国との覇権争いをはじめ外国との摩擦が続けば、食糧の安定輸入という問題は中長期的に中国にのしかかる」

     

    下線部分が、中国の食糧安保を脅かす最大条件である。そこまでして、米国と覇権争いをする神経が理解できない。中国を侵略する国はないのだから、他国との共存共栄を図れば、食糧安保は自ずと実現できるのである。

     

    (2)「中国のトウモロコシ輸入量が増加している。トウモロコシについて、自給自足を目標とするが、国内需給が引き締まっていることから昨年の価格は年初比で4割強も上昇した。米国産を中心に買い付けを進め、2020~21年度には一気に世界最大の輸入国に躍り出る可能性が出てきたと指摘されている。食糧供給について、これまでの「自給」から「輸入能力向上」にかじを切っている」

     

    「輸入能力向上」には、他国と摩擦を起こさないことだ。現在のように、米中対立の長期化という最悪事態を迎えると、「輸入能力向上」に赤信号が灯るのである。こういう総合的な安全保障政策が、中国にあるとは思えない。相手国が気に入らないとなれば、簡単に実力行使の構えを見せるのは、「輸入能力向上」に逆行する動きである。

     


    (3)「習近平国家主席も昨年12月、中国共産党の農業政策における重要会議で「食糧安全は国家の重要事項だ」と強調した。中国が長期目標で掲げるように中間所得層が拡大すれば、食糧需要も膨らむ。食糧安保を巡っては、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会がすでに食品の浪費を禁じる法案の審議に入った。飲食店が顧客に過剰な注文をさせたり、「大食い」を売りにしたテレビ番組や動画を流したりすることを禁じる。21年には「食糧安全保障法案」も審議する方針だ」

     

    飲食店で過剰な注文を控えるとか、「大食い」を止めるという対策で、食糧安保が維持できるはずがない。中国農業が、すでに自給自足を不可能にしている以上、他国との平和共存しか食糧安保を確立できる道はない。そういう自覚がないままに、口先で食糧安保を唱えても無駄である。

     

    (4)「唐氏は、中国人の食卓に欠かせない豚肉について、「供給量は21年後半に正常な水準に戻る」と語った。豚肉はアフリカ豚熱(ASF)の流行や20年の長江流域の洪水被害で供給量が落ち込んだ。消費者物価指数(CPI)でみた豚肉価格は19年末から20年初めにかけて、前年同期の2倍超と高騰していた。必需品の値上がりをうけ、家計が節約意識を高める一因となった」

     

    豚肉が、中国の最大好物である。養豚には、トウモロコシ・大豆の輸入が不可欠である。しかも、米国が主産地である。その米国と覇権争いをやろうと言うのだ。正常な感覚とは言いがたい。何を狙っているのか。精神分裂的な様相を呈している。

     

    次の記事もご参考に。

    2021-02-01

    メルマガ228号 「暴走中国」 安保と経済で落とし穴に嵌まり 自ら危険信号発す

    2021-02-18

    メルマガ233号 中国経済「欠陥構造」 重要指標が示唆する凋落の足音

     

     

     

    ムシトリナデシコ
       

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月18日付)は、「中国、アント上場中止の裏側 株主に習氏の政敵」と題する記事を掲載した。

     

    中国の習近平国家主席が昨年、電子商取引大手アリババグループ傘下のアント・グループの新規株式公開(IPO)を中止に追い込んだ際、その真意は明らかと思われた。習氏はアントが金融システムのリスクを高めていると懸念したうえ、自らが旗を振る金融監視強化の取り組みを創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が批判したことに激怒したとみられていた。だが、中国当局者や政府顧問によると、もう一つの重要な理由があった。アントの複雑な所有構造や、世界最大規模のIPOで利益を手にするはずだった関係者を巡り、中央政府は神経をとがらせていた。

     

    (3)「IPOの数週間前になって、目論見書でアントの複雑な所有構造が曖昧に表記されていることが中央政府の調査で分かった。これまで報じられていなかったこの調査を知る当局者や政府顧問の話で明らかになった。幾重もの不透明な投資構造を通して同社の株を所有していたのは、人脈豊かな中国の有力者たちで、中には習氏やその派閥の対抗勢力となり得る政治家一族とつながりを持つ者もいた」

     

    アントの株主構造は曖昧な記述であった。詳細な調査で驚くべき事実が浮かび上がったのだ。習氏の政敵である江沢民・元国家主席が率いる上海閥が潜んでいたのである。

     

    (4)「こうした人物らはマー氏をはじめとする経営陣と共に、3000億ドル(約31兆7800億円)超の評価額が見込まれたアントの上場で多額の利益を得る立場にあった。習氏は国家主席に就任してからの8年で多くの政敵を失脚させ、今や毛沢東になぞらえられるほどの権力を握る。習氏の主導した取り組みには、汚職撲滅や不動産投機など高リスクの金融活動の締め付けが含まれる。汚職撲滅運動を通して実際に腐敗を標的にすると同時に、権力の掌握も進めてきた。アントのIPO計画は、習氏が長らく難色を示してきた利益獲得や蓄財の象徴だった」

     

    アントのIPO計画が予定どおりに行われていれば、3000億ドル(約31兆7800億円)超の評価額が、それぞれ大株主の手に渡るところだった。習氏が最も警戒していた蓄財であり、水際でそれを阻止したというのだ。

     

    (5)「規制当局が目論見書の詳細を掘り下げるにつれ、アントの一部投資家やその投資構造を巡って警鐘が鳴り響いた。調査を知る関係者が明らかにしたその一つは、江沢民元国家主席の孫にあたる江志成が創業者に名を連ねるプライベートエクイティ(PE)の博裕資本だ。江沢民一派の多くは習氏の汚職撲滅運動で追放されたが、江氏は今なお水面下で影響力を保っている。江氏は「上海閥」と呼ばれる派閥に属する。江氏とつながりのある株主として、中国共産党の元政治局常務委員である賈慶林氏の娘婿が率いる投資グループも浮上した。同常務委は党の最高指導部だ」

     

    下線のように習氏にとって江沢民・元国家主席は「天敵」の関係である。習氏は、意地でも江一派に株価値上りの恩恵に浴させたくない、という思いなのだろう。ただ、フィンテックそのものを「撲滅」させるような圧力を加えることが、中国経済の将来にどのようなマイナス要因になるか、冷静な判断を放棄していることは間違いない。

     

    問われているのは、不健全な中国全体の金融構造是正である。国有銀行=国有企業を別格扱いすることが、フィンテックへ異常なまでの依存をさせているのだ。この点の是正がなければ、中国経済は潜在的な発展力をかなり奪われるはずだ。

     

    次の記事もご参考に。

    021-01-18

    メルマガ224号 西側の技術封鎖! 中国は間違いなく「巣ごもり破綻」

    2021-02-18

    メルマガ233号 中国経済「欠陥構造」 重要指標が示唆する凋落の足音

     

    このページのトップヘ