韓国の反日不買運動は、2019年7月1日から始まった。あれから間もなく満2年になる。文政権は、「NO JAPAN」の幟を立てて反日不買運動を展開した。これにより、最大の影響を受けたのは耐久・非耐久の消費財関連であった。
韓国は、輸入先の多角化目標を掲げて、素材・部品分野の日本への依存度を下げる努力をした。一部の素材・装備(装置や設備)の国産化に成功するなどの成果も出ているが、中核素材・部品の場合、依然として日本の影響力が大きいことに変わりない。日本を排除せずに供給網の安定化に向け、競争力を備える努力が必要だとの指摘が出ているという。この平凡な結論が出るのに2年もかかったのだ。
『聯合ニュース』(6月27日付)は、「韓国の対日貿易赤字が再び拡大 対日輸入増加・不買運動下火で」と題する記事を掲載した。
日本が対韓輸出規制を強化した2019年7月以降、急減していた韓国の対日貿易赤字が再び拡大している。韓国の輸出の好調に伴って日本からの素材・部品輸入が増加する一方で、輸出規制強化に反発して始まった日本製品の不買運動が下火になったことが影響した。
(1)「韓国貿易協会と関税庁が27日までに発表した資料によると、今年1~5月の韓国の対日貿易赤字は前年同期比35%増の100億ドル(約1兆1100億円)だった。同期間の対日輸出額(同6.6%増の117億ドル)を輸入額(同17.8%増の217億ドル)が大きく上回った。このペースが続くと、今年の年間の対日貿易赤字は不買運動が始まる前の水準に戻る見通しだ。04年以降、年間200億~300億ドルだった韓国の対日貿易赤字額は19年に過去最低の192億ドルとなったが、昨年は209億ドルに増えた」
今年1~5月で、韓国の対日貿易赤字は約100億ドルになった。前年同期比35%増である。この調子だと、今年の対日貿易赤字は約240億ドルに膨れ上がる。04年以降、年間200億~300億ドルだった赤字ゾーンへ逆戻りする。19年に過去最低の192億ドル、昨年は209億ドルとなった。今年は240億ドル予想である。
(2)「これは半導体を中心とした韓国の輸出好調に伴い、日本から電子・機械部品などの素材・部品輸入が増えたことが大きい。今年1~5月の日本からの中間財輸入額は14.8%増の137億ドルで、日本からの輸入額全体の半分以上を占めた。韓国産業研究院のムン・ジョンチョル研究委員は、「日本の輸出規制以降、韓国も素材・部品の調達先を多角化してきたが、先端技術が必要な部品は依然として日本に依存している」と指摘する。韓国政府は素材・部品・装備(装置や設備)産業の育成に力を入れるが、その効果が出るには10年以上かかるとの見方を示した」
韓国の輸出好調に伴い、日本から電子・機械部品などの素材・部品輸入が増えている。これが、韓国の対日貿易赤字を増やしている理由である。韓国も輸出が増えているのだからやむを得ないことだ。韓国の加工型貿易構造のもたらした当然の結果である。韓国政府は、韓国の国産化は10年以上掛かると「負け惜しみ」を言っているが、日本もその間に技術進歩している。韓国に追いつかれる懸念は少ない。
(3)「日本の輸出規制強化を受けて、韓国では日本製品の不買運動が広がった。特に標的となった日本車は韓国での市場シェアが18年の17.8%から急激に縮小し、今年は6.3%まで低下した。日産自動車は20年に韓国から撤退した。日本製ビールの輸入額は19年に前年比49.2%減、昨年は同85.7%減と激減した。ファーストリテイリングの「ユニクロ」は世界で2番目に大きい旗艦店だったソウルの明洞中央店をはじめ、今年上半期に18店舗が閉店した」
韓国はTPP(環太平洋経済連携協定)への加入意思を固めたが、実際は準備ができるまでに数年かかる見通しという。韓国がTPPへ加入すれば、不買運動は無意味になる。反日で騒ぐのもあと数年の間かも知れない。
(4)「このところ不買運動は、下火になっているもようだ。韓国輸入自動車協会によると、同期間の日本車販売台数は7702台で、同5.4%増加。5月の販売台数は2035台で前年同月比21.7%増加した。日本製ビールも今年1~5月の輸入額は300万ドルで、同21.2%増加した。産業研究院のムン研究委員は「日本製品への拒否感が薄れ、消費財の輸入も元通りに回復するだろう」と予想した上で、「不買運動のようなイベント的な対策よりも、韓国経済の体質を転換する根本的な対策を進めることが重要だ」と提言した」
自動車やビールは過去2年間で大きく落込んだが、その傷も薄れてゆくと指摘している。下線部分は、言うは易く行なうは難しである。韓国経済の規模で、中間素材から一貫生産することは不可能である。国際分業の原点を忘れた議論をしている。