勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2021年07月

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    来年3月の韓国大統領選は、与野党の代表候補を出す前にまず予備選が行なわれる。与党「共に民主党」は9月、最大野党「国民の力」は11月である。現在は、この予備選に向けた立候補宣言があちこちで行なわれている。こうした中で、ユン前検察総長の立候補宣言が6月29日に行なわれた。

     

    日本メディアが、最も注目しているのがユン氏の存在である。韓国世論調査で大統領選候補の人気度トップであることや、文政権と厳しく対立してついに辞任へ追込まれた過程に関心を寄せているのであろう。日本人特有の判官贔屓という面もあろう。及ばずながら、本欄もその一つである。

     

    『ハンギョレ新聞』(7月1日付)は、「日本メディアがユン・ソクヨルの大統領選出馬にひときわ関心示す理由は」と題する記事を掲載した。

     

    日本の諸メディアは、ユン・ソクヨル前検察総長の大統領選出馬についての内容を大きく報じ、特に韓日関係の改善に意欲を示したことに注目している。

     


    (1)「日本最大の日刊紙である読売新聞は、ユン前総長が韓日関係について述べた「回復が不可能なほど悪化した。歴史の真相は明確にしなければならないが、未来世代のためには実用的に協力するべきだ」との発言を紹介し、韓日の「関係改善に意欲を示した」と報じた。朝日新聞は、韓日関係についてユン前総長が「理念偏向ではなく現実主義に立脚すべきだ」と文政権を批判したと報じた。毎日新聞も韓日関係について「関係改善に前向きな姿勢を示した」と評価した」

     

    日本メディアが、日韓関係改善について関心を持つのは当然のこと。ユン氏が、「理念偏向ではなく現実主義に立脚すべきだ」とする指摘は100%正しい。

     

    (2)「ユン前総長は29日、「政府は政権末期になって韓日関係を収拾しようとしているが、うまくいっていないようだ」と現在の状況を診断した後に「韓日関係では、歴史は歴史として我々の後の世代が歴史を正確に記憶するために真相を明確にしなければならないという問題があるが、未来は我々の後の世代のために実用的に協力すべき関係だと思う」と述べた。そして、「この政権になってめちゃくちゃになった(日本軍)『慰安婦』問題、強制徴用問題、韓日の安保協力や経済・貿易問題、これらの懸案を全部まとめて一つのテーブルに載せて『グランドバーゲン』をするようなやり方で問題にアプローチすべき」と述べた。しかし、日本政府がこれまで一貫して示してきた冷淡な姿勢を考えると、「グランドバーゲン」構想に対して直ちに好意的な反応を示すとは期待しにくい状況だ。日本は、強制動員被害者への賠償問題などの懸案で、まず韓国の方から納得できる譲歩案を示すべきとの考えを曲げていない」

     

    日本政府が冷淡な姿勢を取ったのは、韓国が解決案を出さないからである。これでは、外交交渉は成立しない。

     

    (3)「ユン前総長は29日、韓国政府が取るべき外交・安保政策について、「大韓民国は(世界に対して)文明国家の普遍的価値にもとづいているという明確な立場を示さなければならない」と述べた。また「国際社会は人権と法治、自由民主主義の価値を共有する国同士のみで核心先端技術と産業施設を共有する体制へと急変しつつある。外交・安保、経済、国内問題と国際関係は分離できない一つのものとなった」と述べた。韓国は「自由民主主義の価値を共有する国」との協力を強化するとともに、中国などに対しても「普遍的価値にもとづいているという明確な立場」を示し、一線を引くべきだとの立場を明らかにしたわけだ」

     

    韓国は、米韓同盟によって普遍的価値観で結ばれている。それにも関わらず、中国へ二股外交する姿勢は、自由世界から誤解を招く行動である。韓国には、その自覚がゼロだ。

     

    (4)「ユン前総長は、自らの立場を改めて確認するように「大韓民国がどのような国なのか、確固たるアイデンティティを示し、敵と友人、競争者と協力者すべてに予測可能性を与えるべき」と付け加えた。米国と中国の間で「戦略的均衡」を保つために苦心してきた文在寅政権とは異なり、自由民主主義的価値を共有する米日との安保協力を深めていく外交の方向性に重きを置いたものとみられる。この主張は韓国の保守主流の主張を事実上代弁するものだ」

     

    韓国の現状は、どっちつかずの「ヌエ」的存在である。これでは、韓国外交の「予測可能性」はゼロだ。中国から不当な圧力を掛けられるのは、旗幟を鮮明にしないことが理由である。この主張は、韓国の保守主流の主張を事実上代弁するものと記事では切り捨てているが、ハンギョレ新聞の偏見である。

     


    (5)「日本のメディアは韓日関係以外に、現政権との対立など、ユン前総長個人に対しても大きな関心を示した。読売新聞はユン前総長について「政治経験はないが、各種世論調査で次期大統領候補としてトップの支持を得ている」とし「(政府的)圧力に屈しない姿勢が国民の人気を集めた」と分析した。朝日新聞は「文在寅政権との激しい対立で注目を集めたユン氏は、野党勢力の中で世論の支持が最も高い」と紹介した。さらに、ユン前総長の知人たちの話を引用して「ユン氏は金大中(キム・デジュン)元大統領を二つの点から尊敬しているという」と報じた。金大中元大統領が民主化運動で大きな困難を受けたにもかかわらず、保守に報復をしなかったことと、1997年の通貨危機を逆手にデジタル社会を築いた手腕で、現在の新型コロナ危機の克服に通ずるという点を挙げたという」

     

    ユン氏は、文政権から二度も懲戒措置を受けながら行政裁判所の判決で職場復帰した人物である。権力に対して立ち向かう姿勢は見事と言うほかない。ユン氏が金大中・元大統領を尊敬しているという話も日本では高評価の理由であろう。金氏を死刑判決にまで追込んだ保守に報復しなかった姿は、ユン氏に「公平性」を感じさせるのだ。

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    韓国与党は、日本問題になると感情論で対応するのがほとんどである。「反日」で票を集めた御仁が多いからどうにもならないが、元外交官の発言では、日本を冷静に分析している。読む側もホッとする。この元外交官の日韓外交修復論を聞いてみよう。

     

    『中央日報』(6月30日付)は、「日本に過去の賠償を強要しないと明言しよう」と題するコラムを掲載した。筆者は、イ・ヒョク元駐ベトナム大使である。

     

    日本は現在、米国の最も緊密かつ友好的な同盟国であり、クアッド(日米豪印)の一員として米国の対中戦略形成にも相当な影響を及ぼしている。米国の戦略の力点が、中国が含まれたアジア太平洋から、中国排除の含意を持つインド太平洋に移動しているのも、結局は中国を意識した日米共同戦略構想の産物と理解できる。また、米国は韓米同盟、日米同盟を媒介に韓日米の協力で米中競争で優位に立とうとしている。



    (1)「中国の急激な浮上で、世界の中で、そして韓国の国益の側面で、日本の地位が過去より相対的に低下したのは事実だ。とはいえ、我々が現在の停滞した韓日関係を改善しようとする真摯かつ実効性ある努力を軽視すれば、それは我々の国益を大きく損なわせる。むしろ変化した国際秩序パラダイムの中で日本は新しい重要性を帯びることになり、韓日関係に対する新たな思考を我々に要求している。今は北朝鮮核問題で停滞しているものの、日本と北朝鮮の接触が本格化した場合に韓半島の秩序に及ぼす潜在的影響力を決して軽視すべきでない。このように日本との緊密で生産的な関係を維持することが我々の外交力を高め、韓米同盟を強化するだけでなく、健全な韓中関係発展のためのテコになる可能性がある」

     

    韓国にとっては、中国のウエイトが日本よりも高いであろう。だが、民主主義国における日本の役割は高まっている。韓国は、この現実を見落として反日をやっていると大変な損害を被ると見ている。韓国は、日本と密接な関係を樹立すれば、中韓関係の健全な発展のテコになると見ている。これは、斬新な見方である。

     


    (2)「もう日本では韓国との過去に対する負債意識は薄れている。むしろ日本政府は「不可逆的」韓日慰安婦合意に基づいて設立された和解・癒し財団を韓国政府が解体し、合意を違反したと批判している。また、韓国司法府の徴用者賠償判決と慰安婦に対する日本政府の賠償責任判決が国際法違反だと主張している。今は過去の論争で加害者だった日本が被害者だった韓国に対し、あたかも日本が被害者で韓国が加害者だと主張するような状況になってしまった。こうした状況で韓国政府もいくつかの案を模索しているが、これといった答えを探せずにいるという印象を受ける」

     

    現在の日本は、韓国に対して「お荷物」感覚である。率直に言って、韓国と関わりを持ちたくないという意識が強い。嫌韓から無韓というところだろう。日韓首脳会談に応じない背景はこれである。

     


    (3)「韓日政府の間で多くの協議があったが、日本は全く譲歩する態度を見せず、日本が受け入れ可能な解決策を韓国側が提示すべきだという立場で一貫しているようだ。とはいえ、国際社会や日本の大多数の「良心勢力」も韓国を支持する状況ではない。韓国が過去のように被害者プレミアムを武器に日本の譲歩を引き出すことができる状況ではないようだ。しかも日本政府はさらに露骨かつ積極的に「日本の領土の竹島(独島の日本名)を韓国が強制占拠している」と主張し、慰安婦募集に対する日本政府の直接的な関与も否定している」

     

    日本は、国際法違反の韓国と同じ土俵で相撲を取る気持ちがないほど冷え切っている。日本国内が、これほどまでに韓国を見る目が冷淡になったのは初めてであろう。



    (4)「今後、韓国政府は過去を政治的な手段として活用する誘惑から抜け出すことが求められる。また、韓日間で問題が発生した場合、理性的な判断よりも無条件に反日的な対応をするのが安全だという政府の認識も消さなければいけない。振り返ると、歴代政権は韓日の過去に関連して国民感情をあおったり迎合したりする措置を取れば一時的には支持率は上がったが、結局は政権にプラスにならず韓日関係を悪化させる結果だけを招いたという批判を受けるケースがほとんどだった」


    韓国は、反日を政権支持率のテコに使ってきた。極めて非常識な振る舞いである。日韓併合時代が過ぎ去っても未だに、過去を持ちだして賠償金と謝罪を求めるのは常軌を逸していると言うほかない。

     

    (5)「もう、新政権になるほどマイナス遺産ばかりが増える韓日関係に終止符を打つ時だ。現政権の任期は1年も残っていないが、韓日関係が最悪の状態と評価される現時点で、新しい発想で韓日関係改善のきっかけを用意する努力を傾けるべきだろう。徴用者賃金問題に関連し、国内的に非常に複雑で難しい過程があるが、我々が自らこの問題を解決し、もう日本に賠償を強要しないと明らかにする必要がある。そうしてこそ我々の道徳的な権威が高まり、日本政府と企業・国民も韓国人に大きな苦痛を与えた過去を深く省みるだろう

    下線のような言い方が、日本人をカチンとさせるのだ。すでに、日韓基本条約によって解決ずみである。この問題で、韓国が独自の解決案を出すのは当然だ。「日本政府と企業・国民も韓国人に大きな苦痛を与えた過去を深く省みるだろう」としているが、そんなことはない。戦時中の日本人も厳しい状況にあった。朝鮮人だけを酷使したわけでない。戦時中という異常事態が招いた災難である。日本人には当然ながら、一銭の賠償金もない。こういう現実を知ってほしいものだ。

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    合理的思考が苦手の中国

    弱い経済基盤に起ること

    解決法は賃下げしかない

    儚く消える「中華の夢」

     

    今日7月1日は、中国共産党(中共)創立100周年である。中国では、習近平国家主席の威光を一段と高めるべく、数多くのイベントが行なわれる。誠におめでたい日だ。日本からは、小沢一郎議員が祝電を送ったという。民主党政権時代、中国と親密な関係を築いていたから当然であろう。

     

    冒頭から恐縮なのだが、中国はこれからも順調に発展し続けられるだろうか。一人当たり名目GDPは、1万0484ドル(2020年)になった。計画では、2035年にこれを倍の約2万ドルに押し上げるとしている。常識的に言えば、15年も時間を掛ければ倍になるだろうと思いがちである。実は、ここに大きな落し穴がある。

     


    世界経済の発展史を見ると、多くの国がここまで発展して来た後、挫折しているのである。詳細は後半で取り上げる。挫折している共通の理由は、安い人件費で雇える労働力が枯渇すると、どこの国でもそこで経済成長が頓挫していることである。アジアで、この限界を超えて発展した国は、日本・韓国・台湾・香港・シンガポールだけである。他は、労働力の枯渇が経済を停滞局面へ追い込んでいる。

     

    韓国と台湾は、日本の植民地であった。香港とシンガポールは、英国の植民地だ。先進国による植民地統治が、前記4ヶ国に工業近代化への助走を付けさせたと言えよう。中国の場合、もともと専制主義国家であり、それが共産主義国家へ二段階の飛躍(封建主義と資本主義を経験していない)をした。それだけに、工業近代化への技術的・制度的な経験ゼロという決定的なマイナス要因を抱えている。中国経済の発展において、大きなブレーキになろう。

     


    合理的思考が苦手の中国

    経済発展には、合理的な経済計算という素養が不可欠である。ドイツ人社会科学者マックス・ヴェーバーが、20世紀初頭に指摘した事柄である。具体的には、著書『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』において展開したように、プロテスタンティズムの倫理を理解する国が、高度の経済発展を遂げると主張した。

     

    事実、G7でプロテスタント国でないのは、フランスと日本のみだ。フランスは、カソリック国である。日本は、武士道精神がバックボーンにある。かつて、国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造は、海外で欧州の騎士道と武士道に相似性があると説明して理解を得たという。

     

    中国には、そういう合理的な経済計算が成立する基盤がない。儒教倫理と非市場主義である結果だ。第一に、合理的な経済計算の精神が成立する国家であれば現状で、世界覇権に挑戦するなどと無益なことを言い出すはずがない。

     

    かつて、中国共産党中央党校で教授を務めていた蔡霞氏は、共産党の創建100周年に当たる71日に発表予定の論文で、次のように指摘しているという。「米国が、40年にわたり取り組んできた中国との関係構築は、もはや無益なものになっている。習近平国家主席の下で、本質的に米国と敵対的な関係なっている」というのだ。

     


    蔡氏は、うわべは強大に見える中国が、矛盾と自己不信で分裂しており、習政権でそれがより顕著になったと主張している。「中国共産党は飢えた竜のような野心を持っているが、中身は虎の張りぼてだ」。また、米国は共産党が「突如、崩壊する可能性に備えるべき」だとも指摘する。党員9200万人の間には深い溝があるという。多くの党員や社会の上流階層が、「米国の民主主義制度や自由を普遍的価値として受け入れ、支持している」と記している。以上は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月30日付)が報じた。

     

    習近平氏は、こうした内部矛楯と分裂を意識しているのだろうか、頻りと愛国心強化を訴えている。愛国心ですべてを包み込んでしまおうという戦術である。だが、価値観の多様化する中で、政治の一元化で乗り切ることは至難の業であろう。毛沢東が指導していた頃の中国は、食うや食わずの極貧状態にあった。だから、「団結と統一」が唯一の中共における結節点になったであろう。現状は、生活水準の向上に伴い価値観が多様化しており、当時と状況は全く異なるのだ。

     

    中国共産党の党員9191万人(2019年末時点)のうち、民間企業や国有企業などに勤める事務職や研究職が3219万人と、工場労働者や農民らの3201万人を上回った。1921年の結党以来、オフィスで働く「ホワイトカラー」が、現場の労働者や農民の数を超えたとみられる。これは、中共の性格変化を鮮明にさせているはずだ。「団結と統一」の合い言葉で束ねられる限界を超えている。

     

    前記の蔡霞氏は、米国に対して中共が「突如、崩壊する可能性に備えるべき」だと指摘している。その理由を明らかにしていないが、私はその原因を経済要因に求めたい。共産党張りに言えば、お馴染みの「上部構造と下部構造」である。上部構造は、政治・法制・イデオロギーである。下部構造は、それらの土台をなす社会の経済構造である。この下部構造の経済構造に「異変」が起れば、中共は政治・法制・イデオロギーの上部構造がぐらつくという論理構成になっている。

     

    中共の命運は、中国経済の推移いかんに依存するという意味で今後、瀬戸際に立たされるだろう。中共が、「突如、崩壊する可能性に備えるべき」と警告するのは経済が理由だ。

     

     

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    韓国与党「共に民主党」代表の宋永吉(ソン・ヨンギル)氏が、2年前に始まった反日不買運動で、「日本が屈服したような印象」という意味不明の発言をした。これは、前検察総長の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が、大統領選出馬宣言で文政権の対日外交を批判したことへの「当てつけ」である。世にも不思議な「勝利宣言」をしたものである。

     

    『中央日報』(6月30日付)は、「尹氏の『竹槍歌』批判に韓国与党代表『日本、われわれに屈服』…チョ氏は『竹槍歌』FB再掲載」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国与党「共に民主党」の宋永吉代表が6月30日、2年前の日本輸出規制とこれに対する韓国内の不買運動を取り上げて「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が『絶対に負けない国を作る』というスローガンの下にすべての企業が参加して、今では日本がむしろわれわれに屈服するような現象を作った」と話した」

     


    日本は、韓国に対して何ら屈服していない。日韓首脳会談を開いてくれて哀願しているのは韓国である。韓国を「ホワイト国」条項から外して、輸出半導体素材の3製品については、相変わらず輸出1件当たりの個別審査を行なっている。韓国に譲歩したものは一つもないのだ。何を勘違いして、突然の強気になったのか。不思議千万である。韓国に屈服したのでなく、韓国が日本へ屈服して首脳会談を申入れているのが現実である。お間違いないように一言ご注意を申し上げたい。


    (2)「宋代表は、慶尚南道昌原(キョンサンナムド・チャンウォン)にある慶南道庁で開かれた予算政策協議会で「2年前の7月6日は日本が突然韓国に対して半導体部品などに対する輸出統制を始めた日」と述べた」

     

    言葉は、正確に使って貰いたい。輸出統制はしていない。輸出手続きの厳正化である。他国への流出を阻止する目的である。

     

    (3)「このような発言は、前日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長が大統領選挙出馬記者会見で述べたことを意識した発言とみられる。尹氏は尹奉吉(ユン・ボンギル)義士記念館で開かれた記者会見で、韓日関係改善方案に対する日本NHK記者の質問に「外交は実用主義、実事求是、現実主義に立つべきだが、理念偏向的な竹槍歌を歌ってここまで来た」としながら「いまの韓日関係は修交後で最も劣悪になり回復が不可能になるほど壊れた」と答えた。尹氏は実用主義や実事求是、現実主義などを強調し、宋代表は「屈服」という強力な単語を使った点は、尹氏と与党圏の外交観の間に横たわる隔たりを端的に示している」

     

    日韓の立ち位置は、ここ3~4年ですっかり変わった。日本の安全保障において、韓国の占める役割はぐっと下がっている。韓国は、それが分からず昔のままであると誤解している。日本は、インド太平洋戦略のクアッド(日米豪印)の一員で、4ヶ国で安保グループを構成している。韓国への関心は大きく低下しているのだ。

     

    こういう状況にある以上、韓国は歴史問題を持ちだし、日本へ謝罪を求めてもすでに歴史的な局面が変わっている。韓国は、それに気付かず「日本構ってよ」と言っているに過ぎない。

     


    (4)「宋代表は、「当時、保守報道機関や野党は『文大統領が扱い方を間違った』『大韓民国の経済が滅びさせた』としながら、早く安倍首相に謝って韓日関係を復元させろと大騒ぎした」としながら「昨日、尹錫悦前検察総長も我々に対して韓日関係の悪化を非難したが、われわれ大韓民国はやり遂げた。2年の間に国民が共に成し遂げた偉大な成果」と話した」

     

    韓国の本音は、今もここにあるはず。だから、頻りと日韓首脳会談を懇請しているのだろう。

     

    (5)「チョ・グク前法務部長官もこの日、「尹錫悦さんの歴史意識のない大統領選挙出馬宣言に接して再び掲載する」としてフェイスブックに再び『竹槍歌』をシェアした。チョ氏は輸出規制措置で葛藤が深まった2019年に『竹槍歌』をフェイスブックでシェアしたことがある。チョ氏は「日本政府と類似の歴史意識に驚愕する」と書き添えた」

     

    韓国民族派は、一人舞台で踊っていれば良いだろう。今さら「親中朝・反日米」を持ち出しても激変する世界情勢について行けないだけである。せいぜい、来年の大統領選で臍(ほぞ)をかまないように、ご注意申し上げたい。

     

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