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10月1~7日までの大型連休中の消費額は、8.5%増と昨年比1.0ポイントの下落となった。国内の低調な景気動向を踏まえ、国民の財布の紐は固くなっている。政府は、この不調をカバーすべくインフラ投資に局面打開の役を担わせている。最後の頼みの綱は、やっぱり消費よりもインフラ投資となってきた。

 

中国政府は、消費が経済を支えているとカムフラージュしている。民間消費と政府消費を合計して「民間最終消費」で発表している。これが、60%近いと称して「先進国並」を吹聴している。個人消費だけでは40%ほど。極端に低いのだ。この中国経済が、安定的に成長できるはずがない。騙されてはいけないのだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(10月7日付)は、「中国国慶節の消費鈍く、小売り・旅行とも伸び悩み」と題する記事を掲載した。

 

(1)「10月1日に始まった中国の国慶節(建国記念日)を祝う大型連休が7日に終了した。商務省が同日発表した期間中の国内小売・飲食業の売上高は前年同期比8.5%増の15200億元(約228000億円)と、2018年(9.5%増)に比べ伸び率が鈍化した。景気減速を背景にした消費者の節約志向や人民元安の影響で旅行者数も伸び悩んでおり、国慶節消費にも減速感が漂う」

 

今年の国慶節の連休では、前年比8.5%増で昨年よりも1%ポイントの低下になった。

 

(2)「現行統計を始めた10年から伸び率は9年連続で低下した。中国の大型連休のうち、12月の春節(旧正月)は帰省先で過ごす人が多いのに対し、国慶節は国内外へ旅行に出かける傾向が強い。内陸部の青海省。人気観光地は4日、多くの人でにぎわっていた。ただ、ツアーを企画した旅行会社の社員は「観光客で一日中行列が続くと思っていたが、途切れる時間帯もあり、想定より客数は伸びなかった」と表情は晴れない」

 

米中貿易戦争の影は、中国経済に重くのしかかっている。雇用不安が発生しており、消費への影響はダイレクトである。また、高騰した住宅を購入して、家計は多額の債務を抱えている。これが、個人消費を減らす大きな要因だ。

 

(3)「文化観光部によると、期間中の国内旅行者数は78200万人と前年同期より7.8%増えたが、18年(9.4%増)から伸び率は低下した。元安の影響もあって海外旅行も伸び悩んだもようだ。上海市の女性会社員(29)は「昨年の国慶節は欧州を旅行したが、今年は上海で過ごした」と語る。長引く抗議デモの影響で、例年は人気旅行先の香港は大きく落ち込んだ。香港の入境管理局によると、国慶節期間中の出入境者数(予測ベース)は1日あたり737千人と前年比25%減となった。80万人を下回るのは9年ぶり。中国本土からの旅行客の減少が響いたとみられる。中国政府は8月以降、台湾への個人旅行も停止している。受け皿になったとみられるのが日本だ。アリババ集団傘下で電子決済「アリペイ」を手がけるアント・フィナンシャルによると、期間中の海外でのアリペイの取引件数は日本がタイや韓国などを抑えて初めてトップとなった」

 

元安の影響は、海外旅行にブレーキ役になった。その中で、日本は距離が短いこともあり、ビザ取得状況では4人が1人は日本旅行となっていた。電子決済「アリペイ」を手がけるアント・フィナンシャルによると、期間中の海外でのアリペイの取引件数は、日本がタイや韓国などを抑えて初めてトップとなった。事前予測通りの結果である。

 

(4)「一方、低迷が続いた映画は愛国心に訴えた作品が人気を呼び、復調した。調査会社の芸恩諮詢(エントグループ)によると、期間中の興行収入は40億元(約600億円)を超え、前年同期の19億元から大幅に増えた。中国建国70年の歩みを題材とした「我和我的祖国(私と私の祖国)」が大ヒットしたことが要因だ」

 

映画が久しぶりで増加に転じた。中国建国70年記念映画が大ヒットというが、多分、割り当てで動員されたのであろう。映画が不振であったのは、国民生活が厳しいことの反映とみるべきだ。