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中国の不動産バブルは、ついに最終局面に差し掛かっている。地方政府が、不動産企業に住宅価格の値下げ禁止令を出しているほどだ。パンパンに膨れ上がった不動産バブルの一斉崩壊を恐れた結果である。不動産市場の混乱防止で値下げ禁止令を出している反面、中央政府は市場テコ入れもしないという不思議な行動を取っている。中央・地方の政府間で経済政策の意思統一ができていない感すら与えるのだ。

 

中国の10月1日の国慶節(建国記念日)を祝う7日までの大型連休は、住宅市場の活性化を願う不動産開発業者にとって、またとないチャンスであったが外れたようだ。景気が減速しているにもかかわらず、中国政府は不動産業界への締め付けを緩める姿勢を見せないためだ。

 

『フィナンシャル・タイムズ』(10月3日付)は、「沈滞する中国住宅販売、国慶節も不発か」と題する記事を掲載した。

 

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)系のFTコンフィデンシャル・リサーチ(FTCR)がまとめた9月の中国不動産指数は前月と同じ50にとどまり、不動産市場の動きが止まっていることを示唆している。黄金週間と呼ばれるこの7連休は従来、住宅販売が年間で最も盛り上がる時期だ。しかし政府の政策転換により、かつてのような勢いは失われている。

 

(1)「経済への影響力を踏まえ、中国では経済成長が減速するたびに、景気対策の常とう手段として住宅市場のテコ入れが行われてきた。ところが、過剰債務の圧縮に取り組む中央政府は「不動産は住むものであって投機の対象ではない」というスローガンを掲げ、住宅売買に伴う規制を一切緩めていない。買い手に対し銀行を通さず資金を融通する「影の銀行(シャドーバンキング)」の取り締まりも続けている」

 

中央政府は、マクロ経済政策として過剰債務の膨張に歯止めをかけるべく、住宅売買への規制を強めている。だが、地方政府は財政に直接響くので、住宅値下がり禁止令を出さざるを得ないという窮地に立たされている。利害が、相反する立場になっている。まさに、断末魔である。

 

(2)「こうした姿勢を受け、FTCRの中国住宅販売指数は6月以降、前月比の増減の分かれ目となる50を下回った。販売戸数が4カ月続けて減少したことを示している。地方の中核都市にあたる「2級都市」やそれ以下の「3級都市」での不振が主因だ。価格指数の方は9カ月続けて上昇し、実際の住宅価格も年初から上向いてはいるが、9月の伸び率は2月以来の低さだった」

 

住宅価格指数は、地方政府が住宅市場の惨状を隠すため適当に値上がりしているごとく装っているのであろう。GDP統計すら信憑性が疑われている国だ。住宅価格だけ正確に報告されているとは思えない。

 

(3)「中国の経済成長率は今年の政府成長目標の「66.5%」の下限で推移しているようだが、政府が住宅市場の規制を早急に緩和しようとする動きは見られない。中央銀行は9月、銀行の貸出金利の引き下げを狙い、その新指標の金利を下げたが、住宅ローン金利の指標となる金利は据え置き、住宅市場に対する厳しい姿勢は変えなかった

 

中央銀行の住宅市場に対する姿勢は、住宅バブル抑制姿勢である。これは、国家の姿勢として受け取らなければならない。中国経済が厳しい局面にありながら、この姿勢を貫いているのは、評価すべきであろう。だが、ここまで追い込まれる前に、不動産バブル抑制へ真摯に立ち向かわなかった「惰性」は、厳しく批判されるべきである。

 

(4)「FTCR調査は、中国40都市の不動産開発業者300人を対象にしたものだ。9月は54%の業者が、住宅を初めて購入する顧客の住宅ローン金利がこの指標金利より高かったと回答した。3年前、つまり政府の姿勢が変わる前はこう回答した業者は5%に満たなかった。18月期の不動産投資額が前年同期比10%をやや上回るペースで増加している状況では、たとえ政策が後手に回るリスクがあったとしても、中国政府が規制を緩和する前に様子見姿勢を取るのはほぼ間違いない。住宅購入に関する規制を少しでも緩めれば、不動産投機をあおり債務を膨張させるかもしれないと考えているようにみえる」

 

下線を引いた部分は、中国の悩みである。資本取引の規制を厳しくしているので、資産運用は中国国内でしかできないのだ。その手頃の投資対象が住宅である。人間の住むべき場所が、金儲け対象にされている現実に、中国経済の限りない脆弱性が見て取れる。気の毒な経済構造であり、それを強制している中国共産党の存在に時代遅れを感じるのだ。