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北朝鮮が10月2日、SLBM(新型潜水艦発射弾道ミサイル)を試射したことで、韓国政府は従来にない危機感を見せている。海中からの発射されるミサイルとなると、現状では探知能力がないからだ。国連安全保障理事会が、非公開会議で北朝鮮のSLBM「北極星3」の発射について議論したことと関連し、韓国外交部は「安保理理事国と対応方向について協議している」と明らかにした。

 

安保理はアフリカ関連事項を議論するために8日(米東部時間)に会議を招集したが、英国、フランス、ドイツなどがこの会議の際に北朝鮮のSLBM試射問題を併せて議論することを提案し、「その他案件」として話し合われたという。国連安保理の対北朝鮮制裁決議は、北朝鮮の弾道ミサイル技術を利用した発射を禁止している。このため、今回のSLBM試射は安保理決議違反にあたるもの。安保理が、この問題をとり上げるのは当然である。

 

問題がここまで国際化して来ると、韓国政府が延長を破棄したGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の扱いがにわかに注目される。2016年11月23日に発効したGSOMIAには、韓国が北によるSLBM開発への危機感が背景にあり、国内での反対を押し切り締結した経緯がある。現実に、SLBMの試射に成功したという事態を受けて、「反日不買」の感情論で「延長破棄」とは、米国への説明不可能だ。

 

『聯合ニュース』(10月8日付)は、「韓国軍制服組トップ、爆破した北の核実験場、補修により再生可能」と題する記事を掲載した。

 

韓国軍制服組トップの朴漢基(パク・ハンギ)合同参謀本部議長は8日の国政監査で、2018年5月に北朝鮮が爆破した北東部の豊渓里核実験場の再使用について、「補修作業をすれば再生できる坑道があると推定する」との見解を示した。

 

(1)「朴氏は、「1番、2番坑道は(再生が)難しいが、3番、4番坑道は状況によっては補修して使用できるだろう」とした上で、再使用するには復旧作業に最短で数週間から数カ月かかるとの見通しを示した。これと関連して、合同参謀本部の関係者は「専門家らの話を聞くと、ある程度復旧作業をすれば再生が可能と推定する」とし、「ただ復旧の動きはない」と話した」

 

(2)「北朝鮮は1回目の核実験を1番坑道で、2~6回目は2番坑道で実施した。昨年5月、1回目の核実験以降廃棄された1番坑道を除く、2~4番坑道を爆破して廃棄した。朴氏はまた、北朝鮮が2日に試射した新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3」について3段式ではなく、2段式との見方を示した」

 

文大統領は北朝鮮を信じ切っているが、安全保障政策としてこれほど危険なことはない。北朝鮮が昨年5月、爆破した北東部の豊渓里核実験場の再使用が可能となれば、文氏のように天真爛漫に北を信じていられなくなろう。軍事情報探知には、二重三重にチェックできることが必要なのだ。

 

文大統領が、先の国連総会で提案したDMZ(非武装地帯)を国際平和地帯化する構想などは、北の非核化が実現した後の話である。文氏は、北朝鮮を無条件に信ずるという無邪気なところがある。先ずは、朝鮮半島の非核化と韓国の安全保障体制の確立である。そのためにも、GSOMIAは不可欠である。