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日本が、7月から始めた韓国向け半導体3素材輸出の手続き規制被害は、ゼロであることが分った。韓国大統領府キム・サンジョ大統領府政策室長が7日、ラジオ放送で明らかにしたもの。本欄では、「10月になれば、輸出規制されていないことが分る」と指摘してきた。韓国側が、これを確認した形だ。

 

韓国にとって「実害がない」ことが理解できれば、これまでの「反日不買運動」はどうなるのか。韓国の一方的な空騒ぎとなり、世界から批判される立場に立たされる。韓国大統領府は、苦悩を深めているようだ。

 

『ハンギョレ新聞』(10月9日付)は、「キム・サンジョ『日本の輸出規制、韓国経済に直接の被害はない』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「キム・サンジョ大統領府政策室長が7日夕方、「日本の直接的な規制とホワイトリスト(輸出審査優待国)除外措置などが、直接、韓国経済にもたらした被害は一つも確認されていない」と語った。キム室長はこの日、CBSラジオ「時事ジョッキー チョン・グァンヨンです」に出演して、「直接的な被害だと報告された企業の事例は全くない」とこのように話した」

 

下線をつけた部分は重要である。日本が意図的に輸出規制した事実がない、ことを韓国大統領府政策室長が認めた。仮に、日本が「輸出妨害」をすれば、世界のサプライチェーンに多大の被害を及ぼすことになる。日本が、逆に批判される立場になるだけに、そのような危険を冒すはずがないからだ。

 

韓国は、WTO(世界貿易機関)に日本の韓国に対する「ホワイト国除外」を違法として提訴している。「ホワイト国除外」による実害ゼロが証明されれば、韓国政府は振り上げた拳に困る事態となろう。日本が、安全保障上の理由で「ホワイト国除外」したという説明が、説得力を持つからだ。

 

(2)「彼は、「(韓日両国が)外交的解決のために、皆、暗中模索をしている段階」と言いながら、22日に開かれる天皇即位式と1122日のGSOMIA(韓日軍事情報保護協定)終了日などが変曲点になることがあり得ると見通した。そうしながらも、「韓国政府は早速な解決のために努力しているが、期待と異なりうまく解決されなければ、長期化する可能性もなくはない」と付け加えた」

 

下線をつけた部分は重要である。韓国では、文大統領が天皇即位式に出席すれば、それが、きっかけで日韓の話合い気運が情勢されるという期待が出ている。これに対して日本側は、水面下で「徴用工問題で何らの回答もなければ会談は難しい」と伝えているという。韓国は、このため李首相の代理出席を検討し、日本の歴代首相との懇談を模索している。

 

韓国は、11月23日に失効期限を迎えるGSOMIAの扱いでも頭を痛めている。破棄理由が、「ホワイト国除外」であったからだ。韓国は、その「ホワイト国除外」で何らの損害も受けていないと認めたので、GSOMIAを廃棄する理由が消えたのだ。この問題で韓国は、米国の厳しい批判を浴びている。実際に「破棄」すれば苦しい立場になる。GSOMIA廃棄は、白紙化される可能性が出てきた。