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中国は専制国家である。絶対に弱味を見せないというのが鉄則なのだろう。身内や敵に対して、弱味を見せれば一気に攻め込まれる。こういう宿命を負っていきた中国は、GDP統計では水増しする。外貨準備高では外部の債務まで含め水増しする。すべて、ウソが絡んでいるのが中国経済の本質である。

 

私が毎日、中国ウォッチを始めたのが2010年5月のブログからだ。ここで得たヒントは、中国が虚勢を張るという事実だ。虚勢を張れば張るほど、実態はピンチという意味である。このヒントにぴったりの記事が現れた。現実は、相当な困難を金融危機抱えていると見るべきである。システミックリスク(金融連鎖倒産)回避で、米国金融資本を導入するという瀬戸際へ突入した。米中通商協議が突如、「第一段合意」した裏には、中国経済の金融危機がある。

 

『人民網』(10月9日付)は、「中国で数十年間も経済危機が起こらないのはなぜか」と題する記事を掲載した。

 

(1)「新中国成立からの70年間、中国経済の成長率は世界の平均水準を明らかに上回ってきた。改革開放の40年間、中国の国内総生産(GDP)の年平均成長率は95%、対外貿易額の年平均成長率は145%に達し、世界経済成長への寄与度は数年連続で30%を超えている。こうした数字の背景には、中国が絶えず発展させ、改善することで形成してきた「中国の自信」、「中国の能力」、「中国の経験」があり、これらが相まって数十年も経済危機が発生しない中国の状況を生み出した秘密の鍵になったといえる」

 

このパラグラフは自画自賛しているだけで、客観的な分析はない。中国は2010年、人口動態が「人口ボーナス期」のピークを迎えた。それまでの期間は一貫して、人口動態が高成長を押し上げてきた背景を無視している。

 

現に、2011年以降は「人口オーナス期」入りしており、潜在成長率は下降局面に向かっている。中国経済は、この「人口オーナス期」になって、バブル経済崩壊に伴う過剰債務返済という難題にぶつかった。簡単に言えば、定年退職者が、多額の住宅ローンを抱えているようなもの。これが、中国経済の真実である。中国の金融危機が始まるのだ。

 

(2)「数組のデータから、中国の経済規模と総合的競争力が大幅に向上し、基本的に安定した金融システムと十分な外貨準備を構築したことがわかる。工業システムも次第に整い、ハイテク産業をはじめとする新原動力の可能性と潜在力は引き続き広大かつ巨大だ。経済規模の拡大、総合的国力の向上、広大な市場、十分な潜在力が、外部からのリスクと危機が訪れた時に、中国が速やかに効果的に対応することを可能にしている。これこそが中国経済の強靱さの源だ」

 

下線を引いた部分は、既に過去のこととなった。昨年の国際収支における経常収支黒字は、490億9200万ドル。対GDP比で0.4%まで減少した。IMF予測では、2022年に経常赤字に落込む。もはや、「気息奄々」の事態に入り込んだ。しかも、中国の輸出の半分は外資系企業が稼ぎ出している。中国資本の企業ではない。ここに、中国経済の最大の弱点が潜んでいる。

 

中国は、経常収支黒字が減って赤字になる寸前の経済である。貯蓄が減少していることを表している。これでは、金融システムが安全とは言い難い。逆であって、脆弱化している。先の米中通商協議の「第一段合意」で、中国は金融サービスの開放を上げた。米国の金融資本を受入れ、中国の金融システムの補強策に出るのだ。

(3)「新中国成立からの70年間、中国に経済的な変動がなかったわけではなく、中国も同じように国際経済や金融危機の打撃を何度も受けてきた。ただ他国と異なり、中国は常に危機をチャンスに変え、自国の構造改革とモデル転換の発展を遂げてきた。中国交通銀行の連平(リエン・ピン)チーフエコノミストは、「その後で外貨準備による資本注入、中国内外での公開の債券発行や上場といった株式制度改革措置を打ち出したため、08年の金融危機発生時に、中国の銀行業は十分な資本金と高い貸出の能力をもちえたのであり、さらに中国金融産業の全体的なリスク対抗力が目に見えて増強され、この危機の衝撃に耐えることができた」との見方を示した

 

下線部分は、金融面の補強で08年のリーマンショックを乗り越えたと認めている。今後もこの政策によって、中国経済の補強をするという暗示である。前のパラグラフで、私がつけたコメントのように、米国金融資本の導入によるテコ入れ策を認めている。

 

(4)「現在の状況をみると、グローバル経済の下ぶれ圧力は絶えず蓄積し、経済低迷のリスクがますます増大した。最近は、国際通貨基金(IMF)が今年のグローバル経済成長率予測を6.2%に下方修正し、過去10年間で最低になった。未来に向かって、中国は経済危機が発生しないというボーダーラインをどうやって守り続けるか。潜在的な危機・リスクに効果的に対処するにはどうすればよいか

 

このパラグラフで、下線をつけたように「本音」(弱音)を吐いている。経済危機を発生しないというボーダーラインをどう守るか、深刻な事実を吐露している。要注目である。

 

 

(5)「HSBCアジア太平洋地域の王冬勝(ワン・ドンション)行政総裁は、「複数当局にまたがった金融管理監督の協調メカニズムを強化し、統一的で、協調的で、効率の高い金融監督システムを構築しなければならない。より高い次元でグローバル経済ガバナンスに関与し、グローバル経済・金融分野の改革を建設的に推進しなければならない。市場の予想を誘導し、市場の信頼感を高める能力を向上させなければならない」と述べた」

下線部は、金融監督システムを強化して、金融の連鎖倒産を防がねばならないと、深刻な事態にあることを「告白」している。すなわち、システミックリスクの防止だ。シミックリスクとは、ある所で発生した決済不能が次々と広がって、世の中に混乱を及ぼす可能性のこと(リスク)を意味する。中国経済は、ついにこの最後の段階まで追い込まれている。中国経済への楽観論は即刻、捨てるべきだ。