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韓国政府は、自ら蒔いた種の収拾で四苦八苦している。日本が徴用工賠償問題で、一切の妥協を拒否しているからだ。韓国大法院(最高裁)は、「人権に時効はない」と啖呵を切ったが、すでに日韓基本条約で解決済みの問題である。それを持出した「非」は韓国にある。

 

韓国の間違いは、条約の持つ重みを軽視していたことだ。頼みの米国も、この問題については沈黙している。最大の責任者は、文在寅氏の甘っちょろい法的認識にある。「人権」と言えば、快刀乱麻のごとく難問を解き韓国に有利に展開すると見たことだ。

 

この甘さは、今回の「チョ・グク法相問題」にも良く現れている。「検察改革」と叫べば、韓国の難問がたちどころに解決すると誤診した。検察改革を実施するには、公正中立で身辺に疑惑のない人間が陣頭指揮すべきである。それを、自らが捜査対象になっている人物を法相に任命するという破天荒なことをやって大失敗した。文在寅なる人物は、この程度の認識しかないことを証明した。

 

日韓問題が戦後最悪事態に落込んでいるのも、文氏の誤った「対日観」と「人権は条約を超える」という法律家として致命的な欠陥に由来する。この大統領が居座る限り、日韓関係は打開されないだろう。それを暗示する報道が現れた。

 

『中央日報』(10月14日付)は、韓国元野党代表『特使が日本行ってきただろう』 韓国首相『どうして知っているのか』」と題する記事を掲載した。

 

今月7日夕方、ソウル三清洞(サムチョンドン)首相公館に李洛淵(イ・ナギョン)首相と政治元老が集まった。マッコリを酌み交わしながらの夕食会が終わるころ、鄭大哲(チョン・デチョル)元新千年民主党代表が李首相の耳に手を当て慎重に尋ねた。
「日本に特使が行ってきただろう」(鄭氏)
「なんと、それをどのように知ったのですか? 秘密なのに」(李首相)

(1)「鄭氏は会合の数日前、「韓国政府高位要人が日本特使として行ってきた」という話を耳にしたという。夕食会の席で李首相に尋ねると、驚いた顔で「どのように知ったのか」という反応が出てきた。鄭氏が「小耳に挟んだところによると4人が日本特使に行ってきたそうだが」と再度聞くと、李首相は「それは確認することはできません」と話した」

(2)「日本特使は韓日経済戦初期に政府が公開した2回の特使とは違う。鄭氏は取材に対し、政府関係者から聞いたところによると、皆知っているほどの有名人を含めた4人が最近、密かに訪問したと聞いた」とし「GSOMIA(軍事情報包括保護協定)問題もすべて解決して整頓しようという次元で派遣したと承知している」と伝えた」

韓国政府はつい最近、4人の密使を日本に派遣したという。文大統領が天皇即位式に出席した場合の日韓首脳会談の可能性を探らせたものだ。密使の持ち帰った回答は、すべて日本の拒否にあったのであろう。韓国は、ずる賢く振る舞っている。韓国国内で徴用工賠償問題を解決するのが筋である。それを巧妙に避けて、無関係なGSOMIAを絡め、日本から利益を吸い取ろうという戦術である。日本が拒否するのは当然である。

 

(3)「李首相は22日の徳仁天皇即位式出席のために日本を訪問する。李首相は7日、鄭氏との席で「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が日本に行けると一番良いが、(水面下の)話がうまくいかないようだ」と雰囲気を伝えた。あわせて「私が政府代表として天皇即位式に行けば安倍晋三首相と会って傾聴したい。昔から安倍首相と近いが、話をよく聞いてくる」と述べたという。NHKなど日本メディアでは李首相が今回の天皇即位式に出席する場合、安倍首相と15分程度の会談が実現する可能性があると報じている

李首相と安倍首相は、旧知の間柄という。その李氏がなぜこれまで、安倍首相とコンタクトを取らなかったのか。文大統領が、自説を主張してあくまでも日本企業に徴用工賠償負担させる。そういう原則論を指示していたからだ。韓国の首相とは、大統領の「僕」(しもべ)に過ぎない。その李首相が、安倍首相と会談したところで「ご意見拝聴」に過ぎまい。しかも、会談時間は、たったの15分程度で成果を得られるはずがない。韓国国内では、この会談に大きな期待を寄せているが、それは「過剰期待」になろう。