30 1025    1
   

文在寅大統領のやることなすこと、すべてが裏目に出ている。文氏は、32年に北朝鮮と五輪共同開催構想を打ち上げ、自信満々であった。しかし、肝心の北朝鮮がこの構想に水を差すような行動に出ている。文氏との認識ギャップは、嫌と言うほど目立っている。

 

サッカーのワールドカップ(W杯)予選で、韓国は29年振りに北朝鮮と対戦した。平壌で開催された試合は何と、「無観客」・「無放送」という異常な雰囲気で行なわれた。試合は「引き分け」であり、およそスポーツの常識である「平和の祭典」とほど遠い結果となった。

 

この結末で、最も傷ついたのが文氏であろう。韓国の経済問題よりも、北朝鮮問題に関心を持っていると揶揄されている文氏だ。北朝鮮が「聖地」のようなもの。学生時代から北朝鮮の「チュチェ思想」に凝っている影響もあろう。文氏の両親は、北朝鮮出身である。そのためか、文氏は北への思い入れが人一倍強い。

 

『朝鮮日報』(10月16日付)は、「非正常国家と五輪共同開催とは、無中継サッカー波紋で対北政策懐疑論が拡大」と題する記事を掲載した。

 

10月15日、29年ぶりに行われたサッカー韓国代表の平壌アウェー試合は「中継なし」で終わった。「無観客・無中継・無勝負(引き分け)を風刺して「3無試合」だったと評する声も出た。ワールドカップ(W杯)予選が生中継されないという異例の事態に、サッカーファンの間からは(文大統領の就任時の演説になぞらえて)「本当に一度も経験したことのない国になった」との反応が示された。

 

(1)「試合翌日の16日には、文在寅大統領がこのところ公式の席上で何度も表明していた「2032年ソウル・平壌共同五輪開催」に対する懐疑論へと拡大した。サッカーファンたちは「W杯の試合の生中継もできない国と、何が共同開催だ」「ミサイルでも分からなかった北朝鮮の現実が、サッカーを通して分かった」「このような待遇をされて、何が共同開催だ」「スポーツもバラマキか」といった反応を見せた。一部の専門家らは「今回のサッカー南北戦の事態で、北朝鮮に対する不信感が植え付けられただけに、文大統領の五輪共同開催構想は実現が容易ではないだろう」と分析した」

 

一言で言えば、文大統領の見通しが甘かったことだ。2032年、南北朝鮮による五輪の共同開催構想のきっかけは、「東京も二度、五輪を開催するから」という日本への対抗心であった。動機が不純である。文氏は寝ても覚めても「反日」である。

 

(2)「ネットでは、今回の南北サッカー試合について酷評が殺到しているという。この日、エフエム・コリア、楽サッカー、サッカーラインなどインターネットのサッカーコミュニティーには「北朝鮮は本当に想像以上の国」「北朝鮮のせいで国際的に恥をかいた」などの反応が殺到した。大韓民国サッカー国家代表チームのフェイスブックアカウントにも「北朝鮮はいったい21世紀に何をやっているんだ」「こんなとんでもない試合があるか」などの反応が多く見られた。あるネットユーザーは「米国と中国は『ピンポン外交』のようにスポーツで関係が改善したが、南北関係はスポーツのせいで一層悪化しそうで残念だ」と書き込んだ」

 

北朝鮮が、なぜこういう仕打ちに出たのか理由は不明。ただ、文政権への不満があることは疑いない。ここまで北朝鮮から侮辱を受けながら、文氏はなお「南北交流」を言い続けている。その忍耐心は大したものだ。北朝鮮の「チュチェ思想」に心酔しているので、我慢できるのであろう。

 

(3)「サッカーファンたちの不満は、文大統領が表明した「2032年ソウル・平壌五輪共同開催」へと続いている。文大統領は今年8月の光復節の演説で、南北の五輪共同開催構想に初めて言及した後、先月もトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長と会った際、五輪の南北共同招致を推進するとの意思を重ねて表明した」

 

五輪の南北共同招致は、文大統領の一人芝居に終わることもあろう。次期韓国大統領が保守派になれば、文政権の課題を引き継ぐはずもないからだ。それよりも、北朝鮮の冷淡な態度が、文政権支持率を引下げるというマイナス要因になりかねない。文氏は、政治家としての見通しがすべて外れており、その評価にさらなる汚点を残しそうである。