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韓国政府は、「NOJAPAN」「NO安倍」の幟を押し立てて騒ぎ回ってきた。皮肉にもその犠牲が、韓国航空企業に及んできたのだ。韓国メディアは、日本製ビールや日系自動車が売れないというニュースを嬉々として報じている。だが、その程度のレベルでない深刻な韓国企業の身売り話が飛び出している。身売りが上手くいかなければ、最悪事態に陥る。従業員の解雇や銀行への焦げ付け債権発生など、韓国経済に新たなる負担をもたらす。

 

『韓国経済新聞』(10月18日付9は、「韓国、LCCイースター航空が売りに出される 離陸12年でNOジャパンの『流れ弾』」と題する記事を掲載した。

 

韓国の格安航空会社(LCC)イースター航空が売りに出された。「ノー(No)ジャパン」運動やウォン安、景気悪化などが重なって実績が大きく悪化したうえ、見通しも良くないため大株主が売却に動き出したことが分かった。韓国航空業界の構造調整が本格化する信号弾という分析がある。

(1)「17日、航空および投資銀行(IB)業界によると、イースター航空は新たなオーナーを探すため、国内大企業や私募ファンド(PEF)などと接触中だ。イースター航空最大株主であるイースターホールディングスが保有している株式39.6%を960億ウォン(約88億円)で売りに出しているという。イースター航空と最近接触したある大企業関係者は「1カ月前からイースター航空と代理人が大企業を中心に買収提案書を送っていると承知している」と話した。イースターは大企業と私募ファンドが1000億ウォンずつ2000億ウォンの有償増資に参加して持株80%を保有する条件も売却案の一つとして提示したという」

イースター航空は今年の第四半期(~6月期)、数百億ウォン(約数十億円)台の赤字を計上したと伝えられている。ただ、最も積極的に経営に取り組んできた航空会社である。それが、経営的に裏目に出た。日本との間に多くの定期便やチャ-ター便を飛ばしている。成田、関空、鹿児島、宮崎、新千歳、那覇、茨城、福岡、旭川、大分などだ。日本列島にくまなくネットを張るLCCだけに、日本への影響も出てくる。

 

(2)「2007年に設立されたイースター航空は旅客機20機を保有している。日本、香港、台湾、東南アジアなど中短距離路線26路線を運航中だ。2016年まで資本蚕食状態だったが、ウォン高や海外旅行ブームに乗って2016~2018年に黒字を記録したが、今年に入って実績が再び悪化した。昨年末、2機導入したボーイング737MAX機種が2度の墜落事故の余波で運航が禁止されたうえ、主要収入源である日本旅行客が急減したことで打撃を受けた。昨年末基準の負債比率は486%に達する

 

イースター航空は、主要収入源が日本線にあった。そのドル箱路線で日韓紛争が始まり、韓国政府の大々的な「不買運動」という乱気流に巻き込まれてしまった。それにしても、負債比率が486%というのは「危ない経営」の見本である。

 

イースター航空の資本金は昨年末基準で252億ウォン(約23億円)だ。国籍航空会社8社のうちアシアナ航空系列会社のエアソウル(175億ウォン)を除くと最も少ない資本金だ。LCC業界1位のチェジュ航空(3816億ウォン)と比較すると15分の1水準である。

 

(3)「韓国格安航空会社(LCC)のある代表は17日、「増資などを通じて新しい飛行機を導入する資金を用意できなければ会社を売却するほかはない」と訴えた。国内LCC6社は中国や日本、東南アジアなど限定された路線をめぐり「無限競争」を繰り広げている。ここに景気低迷やウォン安、日本旅行客の急減という悪材料が一気に重なって四面楚歌の危機に追い詰められている。実績および財務状態悪化にこれ以上耐えられなくなったイースター航空が売りに出され、韓国航空業界の構造調整が本格化するという見通しも出ている」

韓国政府は、一時的な感情の高ぶりから日本へ全面衝突を仕掛けてきた。怪我をしたのは

結局、韓国企業であることがはっきりした。韓国の目論見では、日本が妥協策に出るとみていたことだ。その思惑は完全な失敗に終わった。

 

日本はいつまでも「日韓併合の亡霊」に脅かされていてはならない。日韓基本条約と戦後の韓国企業支援で十分に、その責めを果たしたのだ。この上さらに、韓国が「ゴールポスト」を動かそうとするリスクを、完全に断ち切るべき時がきた。それは、「政経分離」でなく「政経不分離」を示すことである。

 

中国の対韓国外交の基本はこれだ。中国ほど露骨でなくてもよい。これ以上、日本に対して歴史問題で難題を吹っ掛けてきたら、「政経不分離」を発動する姿勢を見せることが必要だろう。そのくらい、強硬姿勢を見せないと納得しないのが韓国である。今回、韓国大法院の見せた徴用工判決が、「ゴールポスト移動」の典型であろう。